JP2004141160A - メチル化検出用オリゴヌクレオチド固定化基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 CpGジヌクレオチドを含む標的配列を含む試料DNA中のCpGジヌクレオチドのCのメチル化の有無を、基材上に固定化され、前記標的配列のすべてのCpGジヌクレオチドのC以外のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記標的配列のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドと、メチル化されていないシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換させた試料DNA又はその増幅産物との間でハイブリダイゼーションを行い、前記ハイブリダイゼーションの結果によって、判定する。
【選択図】 図1
Description
さらに、メチル化はエピジェネティックな変化を司るDNAの修飾方法であり、ゲノムインプリンティングでは、発現抑制のために対立する遺伝子のどちらかがメチル化されることで発現が抑制され、どちらかの親由来の遺伝子が発現する機構がある。したがってメチル化状態が変化すると胎生致死や遺伝病などの発症などを引き起こすこともある(非特許文献6、7、8)
以上のようなことから、シトシンのメチル化は、遺伝子の発現制御で大きな役割を担っていると考えられている。したがって、メチル化の有無の検出は、疾病の治療および予後を推し量る上で重要な情報である。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
前記試料DNAは、メチル化され得るCと、その3’側に存在するGとからなるジヌクレオチド(以下、「CpGジヌクレオチド」という)を複数箇所に含む標的配列を含み、
前記複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドは、前記標的配列のすべてのCpGジヌクレオチドのC以外のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記標的配列のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、
メチル化されていないシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換させた試料DNA又はその増幅産物とキャプチャーオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって、前記メチル化の有無を検出する、オリゴヌクレオチド固定化基板。
(2)前記キャプチャーオリゴヌクレオチドが基材上にドット状で固定化され、各々のドットの占有面積が0.1cm2以下である(1)に記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
(3)前記キャプチャーオリゴヌクレオチドが100mer以下のオリゴヌクレオチドである(1)又は(2)に記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
(4)前記試料DNAは複数の標的配列を含み、各々の標的配列に対応するキャプチャーオリゴヌクレオチドが固定化された(1)〜(3)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
(5)CpGジヌクレオチドを含む標的配列を含む試料DNA中のCpGジヌクレオチドのCのメチル化の有無を検出する方法であって、
基材上に固定化され、前記標的配列のすべてのCpGジヌクレオチドのC以外のすべて
のCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記標的配列のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドと、メチル化されていないシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換させた試料DNA又はその増幅産物との間でハイブリダイゼーションを行い、
前記ハイブリダイゼーションの結果によって前記メチル化の有無を判定することを特徴とする方法。
(6)試料DNAを重亜硫酸ナトリウムで処理することによって、前記メチル化されていないシトシンを脱アミノ化する、(5)に記載の方法。
本発明のオリゴヌクレオチド固定化基板は、試料DNA中のCのメチル化の有無を検出するために用いられるものである。試料DNAはメチル化され得るCと、その3’側のGからなるジヌクレオチド(CpGジヌクレオチド)を複数箇所に含む標的配列を含む。標的配列は、試料DNAにつき一個存在してもよく、複数存在してもよい。
感度かつ正確な検出が可能となる。
上記プラスチックとして具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられる。
また、金属として具体的には、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、パラマグ
ネット及びアパタイト等が挙げられる。
また、セラミックとして具体的には、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び炭化ホウ素等が挙げられる。
上記有機低分子として具体的には、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、窒素イペリット基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。
また、金属として具体的には、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、パラマグネット及びアパタイト等が挙げられる。
また、セラミックとして具体的には、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び炭化ホウ素等が挙げられる。
法としては、スプレー、浸漬、ブラッシング、スタンプ、蒸着、フィルムコータを用いたコーティング等の公知の方法を用いることができる。
また、オリゴヌクレオチドの5’末端は、アミノリンカーを介して固定化してもよい。
定することが好ましい。ドット状に固定するとは、基材の大きさに対して、オリゴヌクレオチド固定部位が複数個所設けられる程度に充分小さいことをいう。前記ドットの形状は、特に制限されないが、通常は円形が好ましい。キャプチャーオリゴヌクレオチドは、通常、基材上の複数個所に固定化され、いわゆるDNAアレイ又はDNAチップとして調製される。
は、試料DNAを重亜硫酸ナトリウムで処理することによって行うことができる。具体的には、試料DNAを含む溶液に重亜硫酸ナトリウム(pH5)を2.5M〜3.0Mとなるように加え、50℃で16時間加熱する(J. G. Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93,
9821-9826, 1996)。加熱反応後シリカベースの精製用フィルターに試料DNAを吸着させ重亜硫酸ナトリウムを除去する。除去後シリカベースのフィルターより試料DNAを回収し、エタノール沈殿などで濃縮する。
<1>オリゴヌクレオチドの合成
常法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin-elmer Applied biosystems)を用いて、配列番号1〜13に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。尚、配列番号3、4、5に示すオリゴヌクレオチドは、5’末端をビオチン化した。これらのオリゴヌクレオチドを1pmol/μlになるように1×TE緩衝液(10mM Tris塩酸, pH 8/1mM EDTA)に溶解した。
特開平8−334509号公報に記載の方法にしたがって作製したポリカルボジイミド樹脂コートスライドガラスの所定の位置に、上記配列番号6〜13のオリゴヌクレオチド溶液それぞれを、3箇所づつスポットした。スポットの量は0.5μlづつであり、スポットの大きさは直径約1mmであった。この平板を乾燥機に入れ、42℃で20分乾燥した。次にUvstratalinker 2400(STRATAGENE社製)を用い、波長280nmを含む紫外線を600mJ/cm2照射した。その後、前記スライドガラスを水中で30分間振とうして洗浄した後、乾燥さ
せた。
大腸癌と診断された癌患者について、同一患者の患部細胞及び通常細胞からMGMT蛋白質をコードする遺伝子プロモーター領域のCpG領域のPCR増幅をそれぞれ行なった。同領域の塩基配列を配列番号14に示す。同配列中、「y」は、「c」又は「t」を表す。また、同塩基配列と、各プライマー(配列番号1〜5)及びキャプチャーオリゴヌクレオチド(配列番号6〜13)の対応する位置を、図2に示す。
前記オリゴヌクレオチド固定化スライドガラスの核酸を固定化した部分に、癌細胞由来及び通常細胞由来の検体1の核酸プローブ(約500bp)を含むハイブリダイゼーション溶液Arrayit UniHyb (Telechem International, Inc.)10μlを載せ、スライドガラスに水が浸入しないケース(ハイブリカセット、Telechem International Inc.)に入れて、そのケースごとウォーターバスに沈め、45℃で1時間加熱した。
上記ハイブリダイゼーションの後、2×SSCを用いて、室温で1分間ポストハイブリダイゼーション洗浄を1回行い、オリゴヌクレオチド固定化スライドガラスに非特異的に吸着したプローブを除去した。
スライドガラスのハイブリダイゼーション溶液を載せた部分に、乳タンパクを含むブロッキング溶液(ブロックエース 雪印乳業製)1.5mlを載せ、室温で30分間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液を除いた後、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート溶液(VECTOR社製)を1.5ml載せ、室温で30分間反応させた。
て、30分間放置し、発色反応を行った。
<1>オリゴヌクレオチドの合成
常法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin-elmer Applied biosystems)を用いて、配列番号15〜28に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。尚、配列番号15及び16に示すオリゴヌクレオチドは、5'末端をビオチン化した。これらのオリゴヌクレオチドを1pmol/μlになるように1×TE緩衝液(10mM Tris塩酸, pH 8/1mM EDTA)に溶解した。
実施例1と同様にして、ポリカルボジイミド樹脂コートスライドガラスに、配列番号15〜28のオリゴヌクレオチドを固定化した。
大腸癌と診断された癌患者について、同一患者の患部細胞及び通常細胞からhMLH1蛋白質をコードする遺伝子プロモーター領域のCpG領域のPCR増幅をそれぞれ行なった。同領域の塩基配列を配列番号29に示す。同配列中、「y」は、「c」又は「t」を表す。また、同塩基配列と、各プライマー(配列番号15及び16)及びキャプチャーオリゴヌクレオチド(配列番号17〜28)の対応する位置を、図3に示す。
検体11及び12はいずれも手術の実施以前に化学療法及び放射線療法を受けていない患者に由来するものである。被検体生体試料は手術時に切除し、直ちに−80℃にて凍結保存した。
上記生体試料からDNAを通常のフェノール/クロロホルム法で抽出し、得られたDNA100ngに対し、DNA修飾キット[CpGenome(Intergen社)]を用いて重亜硫酸ナトリウムによる非メチル化シトシンの修飾を行なった。
前記オリゴヌクレオチド固定化スライドガラスの核酸を固定化した部分に、癌細胞由来及び通常細胞由来の検体11の核酸プローブ(約780bp)を含むハイブリダイゼーション溶液Arrayit UniHyb (Telechem International, Inc.)20μlを載せ、スライドガラスに水が浸入しないケース(ハイブリカセット、Telechem International Inc.)に入れて、そのケースごとウォーターバスに沈め、55℃で2時間加熱した。
実施例1と同様にして、ポストハイブリダイゼーション、固定化されたオリゴヌクレオチド及びハイブリダイゼーションの検出を行った。
Claims (6)
- 試料DNA中のCのメチル化の有無を検出するために用いられ、複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドが基材上に固定化された、オリゴヌクレオチド固定化基板であって、
前記試料DNAは、メチル化され得るCと、その3’側に存在するGとからなるジヌクレオチド(以下、「CpGジヌクレオチド」という)を複数箇所に含む標的配列を含み、
前記複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドは、前記標的配列のすべてのCpGジヌクレオチドのC以外のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記標的配列のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、
メチル化されていないシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換させた試料DNA又はその増幅産物とキャプチャーオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって、前記メチル化の有無を検出する、オリゴヌクレオチド固定化基板。 - 前記キャプチャーオリゴヌクレオチドが基材上にドット状で固定化され、各々のドットの占有面積が0.1cm2以下である請求項1に記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
- 前記キャプチャーオリゴヌクレオチドが100mer以下のオリゴヌクレオチドである請求項1又は2に記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
- 前記試料DNAは複数の標的配列を含み、各々の標的配列に対応するキャプチャーオリゴヌクレオチドが固定化された請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド固定化基板。
- CpGジヌクレオチドを含む標的配列を含む試料DNA中のCpGジヌクレオチドのCのメチル化の有無を検出する方法であって、
基材上に固定化され、前記標的配列のすべてのCpGジヌクレオチドのC以外のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記標的配列のすべてのCをTに置換した塩基配列に相補的又は同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む複数のキャプチャーオリゴヌクレオチドと、メチル化されていないシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換させた試料DNA又はその増幅産物との間でハイブリダイゼーションを行い、
前記ハイブリダイゼーションの結果によって前記メチル化の有無を判定することを特徴とする方法。 - 試料DNAを重亜硫酸ナトリウムで処理することによって、前記メチル化されていないシトシンを脱アミノ化する、請求項5に記載の方法。
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