JP2006340651A - Rnaの調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
プローブ結合部位から5’末端までの長さが一律であり、アレイ上のプローブとより安定なハイブリッド体を形成するRNAの調整方法を提供する。
【解決手段】
cRNAを合成した後、cRNAが有するポリU塩基配列を除去することでポリU塩基配列を持たないcRNAを調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、RNAを調整する方法に関する。本発明で調整されたRNAは、疾病関連遺伝子などのプローブが固相上に固定されたDNAマイクロアレイの検体としても使用可能である。
ヒトゲノム計画に代表されるように各種の生物の遺伝子が解明され、生命活動のメカニズム、病気、体質等と遺伝子との関係が次々と調べられている。そして、遺伝子の有無やその存在量(発現量)を知ることで、例えば病気などのより詳細な特徴やタイピング、あるいは効果的な治療方法の選択などが可能となることが分かってきており、網羅的な発現解析によって疾病遺伝子を同定する研究が行われている。網羅的な解析を行う手段としては、近年DNAチップ(またはDNAマイクロアレイともいう。以下同じ)が用いられるようになっている。DNAチップとは、ガラス等の固相上に高密度に多数の核酸配列を固定したものであり、検出対象とする遺伝子に特異的な配列(プローブ)を配置しておくことにより、一度に1万以上の遺伝子について調べることができる。DNAチップに、異なった検体をハイブリダイゼーションさせ、各検体に存在するそれぞれの遺伝子発現量を比較して、高発現あるいは低発現の遺伝子を分類することにより、膨大な遺伝子の中から機能や疾病などと関連した遺伝子を抽出することができる。DNAチップは遺伝子発現解析だけでなく、病気の診断、創薬等種々の領域において重要な役割を果たすことが期待されている。
DNAチップにハイブリダイゼーションさせる検体はDNAやRNAが用いられるが、血液や培養細胞からの抽出量だけでは十分な感度が得られないことが多い。そのため、DNAチップで検出する前に検体を増幅するのが一般的である。増幅方法によっては対象とする配列ごとに増幅効率が異なることがあり、増幅後に発現プロファイルが歪んだ結果、実際の状況を反映しない場合がある。しかし遺伝子の発現解析ではもとの発現プロファイルを保ったまま検体を増幅できることが望ましい。
in vitro transcription法(IVT法)は、遺伝子の発現プロファイルを保ったまま検体を増幅することができる手法である。IVT法の増幅効率は100倍程度で、PCR(polymerase chain reaction)法より劣るものの、遺伝子の発現プロファイルを保ったまま増幅できるため、マイクロアレイで遺伝子発現量を定量する際の検体処理方法はIVT法が用いられることが多い。(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。
細胞などの生体試料をIVT法で調整する際、通常は次の手順で行われる。トータルRNAを細胞から抽出し、RNA合成酵素のプロモーター配列が付加されたプライマーを用いて逆転写反応により一本鎖のcDNAを合成する。その後DNA合成酵素によって相補鎖を合成し、二本鎖のcDNAを合成する。二本鎖cDNAに対し、RNAポリメラーゼで転写反応を行うことによって、RNA合成酵素のプロモーター配列を始点としてcDNAからRNA(cRNA)の合成が行われる。材料となるリボ核酸が存在し酵素が活性を維持している範囲内では、cDNAからRNAが合成され続けるので、最終的には1分子のDNAから約100分子のRNAが生成する。このcRNA合成時に標識ヌクレオチドを添加して標識cRNAを合成すれば、マイクロアレイの検体として用いることができる。
ところで、多くのマイクロアレイは、プローブの5’末端に導入された物質を介して固相上に固定されている。従って、プローブとハイブリッド体を形成するcDNAのうち、ハイブリッド部位より3’末端側は固相側、5’末端側は液相側に存在する。ハイブリッド部位から5’末端までの長さが長くなるほど、ハイブリッド体の安定性が低くなることが報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。
逆転写の際に一般的に用いられるT7−oligo (dT)24 プライマーはTが24塩基連続する配列を有しているが、ポリAテイルの長さが25塩基以上である場合、どの部分に結合するか確定できないため、合成後のcDNAのポリT塩基配列長は一律ではない。従って、このcDNAを鋳型として合成されるcRNAの5’末端のポリU塩基配列も一律の長さにはならない。
従来のIVT法でcRNAを合成した場合、5’末端側のポリU塩基配列長が一律にならないため、同じ細胞に由来するサンプルであっても、ポリU配列が長い場合には輝度が低くなったり、ハイブリッド体の安定性が一定しないという課題が生じる。ランダムに断片化したcRNAを検体として用いている場合もあるが、断片化しても5’末端側の長さは一律にはならず、ハイブリッド体の安定性には課題が残る。
この課題を解決するために、例えば特許文献1には、3'末端に混合塩基を有するT7−oligo (dT)24プライマーを用いてcDNA増幅する方法が開示されている。しかし、該方法では増幅中のcDNA合成段階においてハイブリダイズ可能な場所の条件を厳しくするものであり、条件によっては正確な増幅が行われない場合がある。
「Gene Chip プロトコール」 Affymetrix社 「CodeLink Expression Bioarray System」 Amersham Bioscience社 監修 高木利久、編集 東京大学理学部生物情報科学学部教育特別プログラム「東京大学 バイオインフォマティクス集中講義」 羊土社 特開2002−65263号公報
本発明は以上の点に着目してなされたもので、より好適なRNAの調整方法を提供するものである。また、本発明はプローブ結合部位から5’末端までの長さが一律であり、アレイ上のプローブとより安定なハイブリッド体を形成するRNAの調整方法を提供するものである。
本発明は、従来の方法によってcRNAを合成した後、cRNAが有するポリU塩基配列を除去することでポリU塩基配列を持たないcRNAを調整するよう考案したものである。本発明によって調整されたcRNAをDNAマイクロアレイに供した場合に、cRNAとプローブとが形成するハイブリッド体の安定性を高める効果がある。
本発明によるcRNA調整方法は、任意の長鎖のポリU塩基配列を有するcRNAに対して、ポリAオリゴヌクレオチドをcRNAにアニールさせてRNA−DNAハイブリッド体を形成するステップと、RNA分解酵素を用いて前記RNA−DNAハイブリッド体を含む前記cRNAからRNA−DNA結合部分のRNAを除去するステップとを有することを特徴とする。
RNA分解酵素の中には、DNA−RNAハイブリッド体を形成しているRNAだけを特異的に分解する性質を持つものが存在する。このような性質をもつRNA分解酵素を用いれば、cRNA末端のポリU配列に相補的なDNAプライマー(以下、ポリAプライマーと記載)をアニールさせた後、ポリU塩基配列のみ切断することが可能である。長いポリU塩基配列を有するcRNAの場合、ポリAプライマーはポリU塩基配列中にランダムにアニールする。そして必ずしもポリU塩基配列の3’末端にアニールするとは限らないため、上記RNA分解酵素による切断後でも短いポリU塩基配列を有したcRNAが残存する可能性がある。
これを回避しポリU塩基配列の3’末端にプライマーを結合させるためには、5’末端にG(グアニン),C(シトシン),T(チミジン)のいずれかの塩基が付加されたポリAプライマー用いることが好ましい。cRNAの塩基配列においてポリU塩基配列終末の3’末側の隣接塩基は必ずG、CまたはA(アデニン)のいずれかである。5’末端にG、CまたはTを有するポリAプライマーをそれぞれ等濃度混合させたものをcRNAのアニールステップに用い、RNaseH処理を行えばポリU塩基配列を完全に除去できる。
また、プライマーのポリAプライマーの長さは15merから40merに設定する。遺伝子特異的配列の中にはAやTが連続して11塩基並ぶものもあり、ポリA塩基配列長が10以下ではその部分でDNA−RNAハイブリッド体を形成し、cRNAの末端以外の部分まで切断する場合がある。逆にポリA塩基配列長が極端に長い場合、DNA融解温度(Tm値)の上昇によってプライマー5’末端のG、CまたはTがポリA塩基配列にミスマッチし、結果としてポリU塩基配列は十分に除去されない可能性が高い。このため、ポリA塩基配列の適切な長さとして15merから40merを選択する。
またこの調整方法を用いて調製したcRNAは、固相上のプローブとハイブリダイゼーションした時の安定性が高い。cRNAを調整した後、このcRNAをマイクロアレイ上のプローブにハイブリダイゼーションさせ、特定の核酸を標識している化合物の蛍光量を測定することで、cRNAのハイブリダイゼーション量を定量する。ハイブリダイゼーションした量を測定するには、ポリU塩基配列除去後のcRNAを形成する塩基のうち少なくとも一塩基は蛍光標識されている必要がある。本発明は、核酸の標識方法が合成時の取り込み式であれば標識物質の種類を限定しない。
本発明に係る方法で調整したcRNAは、発現解析用の検体としてDNAマイクロアレイに用いることができる。この方法で調整したcRNAをマイクロアレイに用いれば、固相上のプローブとcRNAが形成するDNA−RNAハイブリッド体の安定性が向上し、再現性および精度の高い結果を得ることが可能である。
また、増幅されたcRNAに対してポリUの除去が行われるため、増幅条件等に影響を与えることがない。すなわち、より精度の高い結果を得ることができる。
以下、本発明について詳しく説明するが、いずれの記述も本発明内容を好適に実施するための一例であり、本発明によるほかの実施形態を制限するものではない。
本発明により提供されるcRNA調整方法は、cRNAの5’末端に存在するポリU塩基配列とポリAプライマーをアニールさせ、上記RNA分解酵素を用いてDNA−RNA結合部位を除去することによって実施される。このポリAプライマーの5’末端はG,C,Tの何れかの塩基を有し、cRNAのポリA塩基配列の3’末端隣接塩基を始点として結合することで、cRNAのポリU塩基配列を確実に除去する。
図1と図2に本発明の実施の形態を示した。
Aのみの配列を持つプライマーをcRNAのポリU塩基配列にアニールさせると、どの部分から伸長反応が始まるか確定できないため、合成後のcRNAのポリU塩基配列長は一律にならない。ここで5’末端にはG、CまたはTが付加されているポリAプライマーを用いると、ポリU塩基配列の3’末を始点としてポリAプライマーをアニールさせることができる(図1)。RNA分解酵素の一つであるRNaseHは、RNAの中でもDNA−RNAハイブリッド体を形成しているRNAだけを特異的に分解する性質をもつ。図2は、上記RNA分解酵素を用いて、ポリAプライマーにアニールしたポリU塩基配列を3’末端から完全に除去した状態を示す。
本発明の調整方法で調製されたcRNAは、マイクロアレイに供するのに有効である。マイクロアレイに用いる際には予め核酸を標識しておく必要があり、cRNA合成時に標識を行うことが望ましい。標識物質には蛍光物質等を用いる。中でも、Cy3、Cy5を代表とするCyDye(アマシャムバイオサイエンス社製)は核酸標識用の蛍光物質として良く用いられ、これらの蛍光物質は本発明において好適に用いられる。Alexa Fluoro(モレキュラープローブ社製)もCyDye同様、本発明において好適に用いられる。また、ビオチン、アミノアリル等も本発明の核酸標識には有効である。ビオチンはCy3に比べて分子の大きさが小さいので、IVTの際の立体障害は比較的少ない。ビオチン自体は蛍光を発さないが、ビオチン標識されたcRNAをマイクロアレイ上のプローブとハイブリダイゼーションさせた後、ストレプトアビジンで標識された蛍光色素と反応させると、cRNAがハイブリダイゼーションしたスポットのみ蛍光検出することができる。
標識されるリボヌクレオチドとしては、ウラシルが一般に良く用いられ、対応する標識試薬も多く市販されており、本発明はそれを好適に用いることができる。
本発明の検体調整方法により調整されたターゲット核酸は、固相上あるいは固相表面に固定されたプローブとのハイブリダイゼーションによって2本鎖を形成させ、標識物質のシグナルを測定することによって高感度に検出することができる。固相ハイブリダイゼーションを利用した高感度な検出デバイスとしては、様々な物質、形態が知られているが、本発明は制限なく適用可能である。このうち、ガラス基板に核酸を固定化したDNAマイクロアレイはその代表例であり、本発明の検体調整方法によって作製されたターゲット核酸の検出に特に好適である。固相に用いられる材質としてはその他にも、樹脂、金属、金属薄膜、繊維などがある。またその概観上の形態も、微粒子、光ファイバー先端、多孔質材料、繊維などがある。
固相へのプローブの結合様式としては吸着、化学結合など様々な方式が存在するが、いずれの結合様式でも、本発明のターゲット核酸の検出に適用可能である。例えば、イオン結合では、アミノ基をコートしてあるガラス基板あるいは樹脂表面に対し、通常の核酸を供するだけでイオン的に結合させることができる。また、5’末端、3’末端にアミノ基、チオール基等の官能基を修飾した修飾オリゴヌクレオチドを用いて固定化することも可能である。例えばアミノ基を利用する場合、固相表面にアミノ基と効率的に反応するスクシイミド基を予め結合させておき、5’末端、もしくは3’末端にアミノ基を修飾したオリゴヌクレオチドを固相表面に供給することにより、容易に共有結合を形成させることができ、本発明のターゲット核酸を検出するためのプローブとして好適に用いることが可能である。またチオール基を用いる場合には、例えば固相にマレイミド基を結合させておくことにより、アミノ基の場合と同様、共有結合を容易に形成し、本発明のターゲット核酸を検出するためのプローブとして好適に用いることが可能である。
固相への供給方法としては、インクジェット法によってDNA溶液を固相に印字する方法などがある。このインクジェット法で作製されたDNAマイクロアレイは、プローブのスポットが小さいことが特長であり、検出にはS/N比も重要なファクターになるが、本発明の検体調整方法によるターゲット核酸は、ターゲット当たりの標識量が多いためS/N比の向上の効果もあり、特に効果的である。
また、本発明に係る調整された検体は、種々の分析に用いることができる。例えばノーザンハイブリダイゼーション実験、インサイチュハイブリダイゼーション実験などの検体として用いることができる。
また、本発明は上述の試薬を組み合わせた検体調整用のキットをも提供する。
従来の手法で合成されたcRNAが有する、5’末端に少なくとも二以上連続したウラシル配列を除去するため、ポリA塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、DNAとRNAとのハイブリッド体の結合部分におけるRNAを特異的に分解する分解酵素とを含有するキットを挙げることができる。また、この調製キットとマイクロアレイを組み合わせ、検体検出キットとして提供することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に述べる実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
プラスミドDNAを用いて、ポリU塩基配列を持たないcRNAを以下の手順により調製した。
(1)プラスミドDNAの調整
ヒト遺伝子TFF1(trefoil factor 1)のクローンを有する大腸菌(Invitrogen社)を1.5mlの2xYT/amp液体培地(組成は表1を参照)で一晩培養し、プラスミドDNA精製キット:GFX Micro Plasmid Prep Kit(Amersham Bioscience社)を用いて精製し、50μlのプラスミドDNA溶液を得た(手順は表2を参照)。このプラスミドDNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ505ng/ulだった。なお、表2中のSolution I〜IIIは、上記プラスミドDNA精製キットに含まれる試薬を表す。
Figure 2006340651
Figure 2006340651
(2)cRNAの合成、精製
プラスミドDNAにはT7プロモーターが組み込まれているので、(1)で精製・溶出したDNAに対し、T7 MEGAscript Kit(Ambion社)を用いてcRNAを合成した。表3の順に以下の試薬を加え、37℃で4時間インキュベートした。cRNAの合成後、RNA精製キット:Rneasy Mini Kit(Qiagen社)を用いて精製し、50μlのcRNA溶液を得た(手順は表4を参照)。このcRNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、386ng/ulだった。
Figure 2006340651
Figure 2006340651
(3)cRNAのポリU塩基配列の除去
(2)で合成したcRNAのポリU塩基配列を除去するため、この配列に特異的にアニールするプライマーを合成した。合成されたプライマーの塩基配列を以下に示す。
5’TAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA 3’(配列番号:1)
cRNA溶液10μlに上記プライマー(100μM)を1.5μl加え、94℃で2分間、55℃で45秒間加熱してアニールさせた。アニール後氷上で急冷し、Tris−EDTA−buffer 87.5μl、RnaseH(Invitrogen社)1μlを加え、37℃で5分間加熱し、プライマーと結合している部位を切断した。その後、RNA精製キットであるRneasy Mini Kit(Qiagen社)を用いて精製し、50μlのcRNA溶液を得た(手順は表4を参照)。ナノドロップ分光光度計(NanoDrop technology社製)を用いてこのcRNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、380ng/ulだった。
(4)cRNA全長の測定
ポリU塩基配列除去前と除去後でそれぞれcRNAの全長を測定した。RNA6000 Nanoアッセイキット(Agilent社)で電気泳動を用い、アジレント2100バイオアナライザー(Agilent 2100 bioanalyzer)(Agilent社製)で検出した(手順はキットに付録されるマニュアルを参照)。
(5)実験結果
TFF1のcRNA全長は564merであり、そのうちポリA塩基配列は90merである。上記バイオアナライザーで検出した結果、核酸の長さを表すピークの位置は除去前で544、除去後で455であった。ポリAプライマーの長さが25mer(ポリA塩基配列 24mer+G、CまたはT)、除去された配列長が91merであることから、ポリAプライマーはcRNAのポリU塩基配列と3’末側の隣接塩基まで切断されたことがわかる。このことからポリAプライマーとRNaseHによって、cRNAのポリU塩基配列は除去されることが示された。ポリAプライマーを下記の通り3種類用意することにより、この手法はTFF1のcRNAのみならずIVT法で増幅された遺伝子のcRNAすべてに用いることができる。
5’ TAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA 3’
5’ GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA 3’(配列番号:2)
5’ CAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA 3’(配列番号:3)。
<実施例2>
DNAアレイとIVT法を用いて、胃癌標準細胞KATOIIIにおける遺伝子発現解析を以下の手順で行った。
I.IVT法による検体調整
(1)細胞からトータルRNAの抽出
胃癌標準細胞KATOIII(大日本製薬社)の懸濁液に、Qiagen社のRNA抽出キットであるQiashredderとRNA精製キット:Rneasy Mini Kitを用いてtotal RNAを抽出、精製した。
まず、細胞懸濁液(1×106個/100μl)にβメルカプトエタノールを含むRLT緩衝液を600μl加え、混合液をQiashredderに添加した。15000rpmで1分間遠心後、抽出液に70%エタノールを350μl加えて、Rneasyのカラムに添加した。12000rpmで15秒間遠心後、廃液を捨ててからカラムにRW1緩衝液を700μl添加した。12000rpmで15秒間遠心後、新しいチューブにカラムをセットし、RPE緩衝液を500μl添加した。12000rpmで2分間遠心後廃液を捨て、何も添加せずに15000rpmで1分間遠心した。新しいチューブにカラムをセットし、Rnase free waterを50μl加えて1分間静置後、12000rpmで1分間遠心してRNAを溶出した。
(2)逆転写によるcDNAの合成、精製
(1)で調整したtotal RNA溶液11μlにT−7−(dT) 24 Primer(タカラバイオ社)1μlを加えた後、70℃で10分間インキュベートした。その後表5の試薬を表記順に加え、42℃で1時間インキュベートし、逆転写反応を行った。
Figure 2006340651
さらに表6の試薬を表記順に加え、16℃で2時間インキュベートし、2本鎖DNAを合成した。
Figure 2006340651
最後にT4 DNA polemerase (Invitrogen社) 2μlを加えて16℃で5分間インキュベートし、両端の一本鎖の部分を二本鎖に調整した。続いてPhase Lock Gel(PLG)(eppendorf社)を用いてDNAを精製し、50μlのDNA溶液を得た(手順は表7参照)。
Figure 2006340651
(3)標識cRNAの合成、精製
cRNAの合成にはT7 MEGAscript Kit(Ambion社)を用いた。表8の順に以下の試薬を加え、37℃で4時間インキュベートした。cRNAの合成後、RNA精製キットであるRneasy Mini Kit(Qiagen社)を用いて精製し、50μlのcRNA溶液を得た。ナノドロップ分光光度計(NanoDrop technology社製)を用いてこのcRNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、404ng/ulだった。
Figure 2006340651
(4)cRNAの5’ポリU塩基配列の除去
(3)で合成したcRNAのポリU塩基配列を除去するため、実施例1(3)と同様の方法で行い、50μlのcRNA溶液を得た。このcRNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、400ng/ulだった。尚コントロールとして、RNaseHを添加せずに実施例1(3)と同様の処理を行い、対照となる50μlのcRNA溶液を得た。コントロールcRNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、402ng/ulだった。
II.DNAマイクロアレイの作製
(1)プローブの設計および合成
beta actin(ACTB)、glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase(GAPDH)の発現を調べるため、プローブを設計した。各遺伝子の配列を取得し、設計した部分塩基配列を特異的に認識できるよう、配列、GC%、融解温度(Tm値)に十分配慮して設計を行った。
設計されたプローブの塩基配列およびTm値を表9に示す。
Figure 2006340651
このプローブ設計においては、cRNA鎖がプローブとハイブリダイゼーションし、プローブとハイブリッド体を形成する。
(2)ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ(W×L×T):25mm×75mm×1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリ性のラックに入れ、所定の濃度に調整した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩、洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて、ガラス基板を取り出し、軽く純水で漱いだ後、超純水中で20分超音波洗浄を行った。次に、80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間、ガラス基板を浸した。再び、純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAチップ用の洗浄済石英ガラス基板を用意した。
(3)表面処理
シランカップリング剤KBM−603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、洗浄済石英ガラス基板を、このシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、ガラス基板の表面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。次に、窒素ブロー乾燥したガラス基板を、120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させた。このカップリング剤処理により、ガラス基板表面に、シランカップリング剤由来のアミノ基が導入された。
一方、N−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimido);以下、EMCSと略す)(同仁化学研究所社製)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を用意した。ベーク終了後、カップリング剤処理済ガラス基板を放冷し、調整したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この浸漬処理間に、カップリング処理済ガラス基板の表面に導入されているアミノ基と、EMCSのスクシイミド基とが反応し、ガラス基板表面にEMCS由来のマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のジメチルスルホキシドとエタノールの混合溶媒を用いて洗浄し、さらに、エタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
(4)プローブ用DNAの合成
上記(1)で設計したプローブを合成した。プローブDNAは、上記の表面にマレイミド基が導入されガラス基板に対して共有結合させるため、定法に従って、5’末端にチオール化処理を施した。その後、DNA合成時における副反応を避けるために、保護基を脱保護し、さらにHPLC精製および脱塩処理を施した。
得られたプローブDNAは、純水に溶解し、それぞれ、最終濃度(インク溶解時)10μMとなるように分注した後、凍結乾燥を行い、水分を除いた。
(5)BJプリンターによるプローブDNA吐出、および基板表面への結合
グリセリン7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、尿素7.5wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を用意した。続いて、分注したプローブDNAを上記の混合溶媒に規定濃度(10μM)となるように溶解した。得られたプローブDNA溶液を、バブルジェットプリンター(商品名:BJF−850、キヤノン(株)社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
なお、前記バブルジェットプリンターは、平板へのインクジェット印刷が可能なように改造を施したものである。また、該改造バブルジェットプリンターは、所定のファイル作成方法に従って印字パターンを入力することにより、約5plのDNA溶液液滴を、約120μmピッチでスポッティングすることが可能となっている。
続いて、この改造バブルジェットプリンターを用いて、ガラス基板表面にプローブDNA溶液のスポッティング操作を行った。DNAマイクロアレイ1枚あたり、プローブ毎に16スポットの吐出が行われるよう印字のパターンを予め作製し、インクジェット印字した。目的のパターンにDNA溶液のスポッティングが確実に行われていることを拡大鏡等により確認した後、30分間常温で加湿チャンバー内に静置し、ガラス基板表面のマレイミド基とプローブDNA5’末端のスルファニル基(−SH)とを反応させた。
(6)洗浄
加湿チャンバー内における30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により、ガラス基板表面に残った未反応のプローブDNAを洗い流した。ガラス基板表面に、各DNAチップ当たり16スポットに所定の一本鎖プローブDNAが、それぞれ固定された、DNAマイクロアレイ型DNAチップを得た。
III.ハイブリダイゼーション反応
IIで作製したDNAマイクロアレイと、サンプル核酸検体としてIで調整したIVT増幅産物を用いて、マイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションを行った。
(1)ハイブリダイゼーション溶液の調製
上記I(4)で調整したcRNAで、RNaseHを加えて処理した検体をRNaseH(+)、RNaseHを加えずに同様の処理を行った検体をRNaseH(−)とする。下記表10の通り、各cRNAに対しハイブリダイゼーション溶液を調製した。
Figure 2006340651
(2)ハイブリダイゼーション
水切りしたDNAチップを、ハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. hybridization Station)にセットし、上記組成のハイブリダイゼーション溶液を用いて、下記表11に示す手順・条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
Figure 2006340651
(4)蛍光染色
ハイブリダイゼーション反応終了後、下記表12の通り調整した蛍光試薬を基板のアレイ上に添加し、室温で30分間遮光して反応させた。
Figure 2006340651
反応後、2×SSCに5分間浸し、0.1×SSCでリンスしてスピン・ドライ乾燥した。
(5)蛍光測定
蛍光染色反応後、DNAチップについて、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、Genepix 4000B)を用いて、ハイブリッド体に由来する蛍光測定を行った。
輝度の算出にあたっては、DNAチップ上、プローブDNAのスポットのない部分において観測される蛍光輝度をバックグラウンド値として、各スポットからの見掛けの蛍光強度より、バックグラウンド値を差し引いた値を、蛍光強度の実測値とした。
(6)結果
以下表13にACTBおよびGAPDHの蛍光強度の実測値を示す。I(4)で調整したcRNAで、RNaseHを加えて処理した検体をRNaseH(+)、RNaseHを加えずに同様の処理を行った検体をRNaseH(−)とする。
Figure 2006340651
表13の結果から、RNaseで処理したcRNAもDNAチップで検出され、固相上のプローブとハイブリッド体を形成していることが示された。
本実施例の検体調整法により、ポリAプライマーとRNaseHを用いて5’末端にポリU塩基配列をもたないcRNAを調整することができた。
また、上述の実測を複数回にわたって行った結果を表14に示す。
Figure 2006340651
表14の結果から、RNaseH処理によって輝度のばらつきが抑えられたことが示された。
本実施例の検体調整法によって5’末端のポリU塩基配列をもたないcRNAを調整することで、DNAチップの検出精度を向上させることができた。
5’末端にGまたはCまたはTが付加されているポリAプライマーを用いるときの、ポリU塩基配列の3’末を始点としてポリAプライマーをアニールさせることを示す図である。 RNaseHを用いて、ポリAプライマーにアニールしたポリU塩基配列を3’末端から完全に除去した状態を示す図である。

Claims (15)

  1. 5’末端にU(ウラシル)が少なくとも2以上連続した塩基配列を有するRNAにおいて、前記5’末端に連続したUを除去する工程を有するRNAの調整方法。
  2. 前記RNAはcRNAである、請求項1に記載のRNAの調整方法。
  3. ポリAオリゴヌクレオチドを前記cRNAにアニールさせてRNA−DNAハイブリッド体を形成するステップと、
    RNA分解酵素を用いて前記RNA−DNAハイブリッド体を含むcRNAからRNA−DNA結合部分のRNAを除去するステップと、
    を有する、請求項2に記載のRNAの調整方法。
  4. 前記ポリAオリゴヌクレオチドは、3’末端にG、CまたはTの少なくともいずれかを有するポリA塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項3に記載のRNAの調整方法。
  5. 前記ポリA塩基配列を有するオリゴヌクレオチドは、ポリAの塩基長が15mer以上40mer以下である、請求項4に記載のRNAの調整方法。
  6. 前記cRNAが、標識物質で標識されたオリゴヌクレオチドを少なくとも1塩基含む、請求項2〜4のいずれかに記載のRNAの調整方法。
  7. 前記標識物質がCy3である、請求項6に記載のRNAの調整方法。
  8. 前記標識物質がCy5である、請求項6に記載のRNAの調整方法。
  9. 前記標識物質がビオチンである、請求項6に記載のRNAの調整方法。
  10. 前記標識物質がアミノアリルである、請求項6に記載のRNAの調整方法。
  11. 前記標識物質がAlexa Fluorである、請求項6に記載のRNAの調整方法。
  12. 前記cRNAが固相上のハイブリダイゼーションに供せられる、請求項6〜11のいずれかに記載のRNAの調整方法。
  13. 前記固相がDNAマイクロアレイである、請求項12に記載のRNAの調整方法。
  14. 請求項1に記載の、5’末端に少なくとも2以上連続したU(ウラシル)塩基配列を有するRNAから、5’末端に連続したUを除去するためのキットであって、
    3’末端にG,CまたはTのいずれかの塩基を有し、且つ少なくとも2以上の連続したポリA塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、
    DNAとRNAとのハイブリッド体の結合部分におけるRNAを特異的に分解する分解酵素と、
    を包含するキット。
  15. 請求項14に記載のRNA増幅キットと、マイクロアレイとを包含する、検体検出用キット。
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