JP2004140702A - 映像信号処理装置、ガンマ補正方法及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガンマ補正装置11は、入力映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、各サンプル点に対する補正された後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を保持するサンプルデータレジスタ21と、キュービック補間演算のカーネル関数を保持するカーネル係数メモリ23と、サンプルデータレジスタ21に保持されている補正レベル及びカーネル関数を用いて、入力映像信号に対してキュービック補間演算を行ってガンマ補正をする補間回路25を備えている。補間回路25は、入力映像信号をキュービック補間をしてガンマ補正を行う。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号に対してガンマ補正又は逆ガンマ補正を行う映像信号処理装置及びガンマ補正方法、並びに、使用するディスプレイのガンマ特性が、入力された映像信号に行われているガンマ補正の特定と異なる場合に、使用するディスプレイに応じたガンマ補正を行う表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ(以下、LCDという。)やプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという。)等のフラットパネルのディスプレイが注目されている。これらの新たなディスプレイのガンマ特性は、これまでのブラウン管ディスプレイ(以下、CRTという。)とは特性が異なっているとともに、LCDとPDPといったフラットパネルディスプレイの種類毎にも異なっている。さらに、現状のテレビジョン放送は、使用するディスプレイがCRTであることを前提として、送信側でCRTのガンマ特性を相殺するようなガンマ補正処理を映像信号に対して施している。従って、テレビジョン放送を表示する表示装置として、LCDやPDPを使用した場合には、映像信号に対して、送信側で施したガンマ補正を除去するとともに、使用している表示装置に対応したガンマ補正を施す必要がある。従って、受信側において、複数種類のディスプレイに対応した映像出力を行う場合には、それぞれのディスプレイに対応したガンマ補正装置が必要となる。
【0003】
このように複数種類のディスプレイに対応したガンマ補正を行うため、従来のガンマ補正装置では、ガンマ補正曲線に基づき作成された変換データが記述されたルックアップテーブル(以下、LUTという。)を読出専用の半導体メモリ(ROM)等に格納しておき、このLUTをディスプレイの種類毎に設けている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、LUTを用いるガンマ補正装置は、ディスプレイの種類の数だけLUTを用意しなければならなく、また、そのLUTを予めROMに格納しておかなければならない。従って、CRT、LCT及びPDP等のガンマ特性の異なる複数のディスプレイに対応した出力を行ったり、さらに、テレビジョン信号等の予めガンマ補正処理が施された映像信号とPCから出力された信号等のガンマ補正処理が施されていない映像信号とを入力可能としたりするガンマ補正装置は、回路規模が大きくなってしまっていた。また、LUTを用いたガンマ補正装置の場合、予めLUTをROMに格納しておかなければならないので、装置出荷後に外部からガンマ特性を変更することが困難であった。
【0005】
また、LUTを用いたガンマ補正を行う問題点を解決したガンマ補正装置として、例えば、ガンマ曲線を直線近似することによってROMに格納するデータ量を削減するもの(例えば、特許文献3参照。)や、ガンマ曲線を多項式により近似するもの(例えば、特許文献4参照。)等がある。
【0006】
しかしながら、ガンマ曲線を直線近似することによってROMに格納するデータ量を削減するガンマ補正装置では、例えば、図9に示すようなCRTのガンマ特性に対応した曲線を直線近似すると、例えば図10に示すように、変化量が急峻に変わってしまうポイント(図10のA点参照。)が発生してしまい、正確に近似ができないという問題があった。
【0007】
また、ガンマ曲線を多項式により近似するガンマ補正装置では、正確に近似を行うために膨大な演算を行わなければならなく、演算量が多くなりコストが増大してしまうという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−190363号公報
【特許文献2】
特開平8−1994450号公報
【特許文献2】
特開平11−288241号公報
【特許文献4】
特開2000−152035号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、大規模なルックアップテーブルや高次の演算を行うことなく、回路規模や演算量が少ない簡易な構成によって、映像信号のガンマ補正及び逆ガンマ補正を行うことが可能な映像信号処理装置、ガンマ補正方法及び表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる映像信号処理装置は、入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、各サンプル点に対する補正された後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を保持する補正レベル保持手段と、上記補正レベル保持手段に保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応した補正された後の映像信号の信号レベルを求める補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるガンマ補正方法は、入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、各サンプル点に対するガンマ補正された後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を保持し、保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求めることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる表示装置は、映像信号が入力され、入力された映像信号に対して上記ディスプレイのガンマ特性に応じたレベル補正を行うガンマ補正部を備え、上記ガンマ補正部は、入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、上記ガンマ特性に応じた補正がされた後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を各サンプル点に対応させて保持する補正レベル保持手段と、上記補正レベル保持手段に保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求める補正手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
以上のような本発明にかかる映像信号処理装置、表示装置及びガンマ補正方法では、キュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求めている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、本発明を適用した表示装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施の形態の表示装置のブロック構成図を図1に示す。本発明の実施の形態の表示装置1は、図1に示すように、例えばPDP等のディスプレイ10と、入力された映像信号に対してディスプレイ10のガンマ特性に対応した逆ガンマ補正を行う逆ガンマ補正装置11と、逆ガンマ補正装置11により逆ガンマ補正がされた映像信号に対して誤差拡散処理及びディザ処理を行う誤差拡散・ディザ処理装置12と、誤差拡散・ディザ処理装置12により処理された映像信号に基づきディスプレイ10を駆動して当該ディスプレイ10に対して映像を表示させるディスプレイ駆動装置13とを備えている。
【0016】
表示装置1の逆ガンマ補正装置11には、NTSC方式で放送された放送信号から抽出されたRGBの映像信号が入力される。また、ディスプレイ10は、例えば、プラズマディスプレイパネル等のガンマ特性がほぼ直線的なディスプレイである。NTSC方式では、CRTのガンマ補正曲線(γ2.2)に応じたガンマ補正を映像信号に施すことを規定している。従って、逆ガンマ補正装置11では、ディスプレイ10に送出する映像信号に対してPDPのガンマ特性に合わせたガンマ補正が施されるように、入力された映像信号のレベル変換を行う。具体的には、逆ガンマ補正装置11は、図2に示すような、ガンマ補正曲線(γ2.2)の逆特性曲線(以下、逆ガンマ補正曲線という。)に応じた信号レベルの変換を行う。
【0017】
以下、以上のような逆ガンマ補正曲線に対応したレベル変換を行う逆ガンマ補正装置11について説明をする。
【0018】
逆ガンマ補正装置11は、逆ガンマ補正後のサンプルデータを所定数予め保持しておき、これらのサンプルデータに基づきキュービック補間演算を行うことによって上記逆ガンマ補正曲線を復元し、復元した逆ガンマ補正曲線に従った映像信号のレベル変換を行う装置である。
【0019】
逆ガンマ補正装置11は、具体的には、次のような処理を行う。
【0020】
逆ガンマ補正装置11は、図3に示すように、入力映像信号の信号レベルの最小値(=0)から最大値(=max)までの間を任意の間隔で等間隔に分割することによって、入力映像信号のダイナミックレンジ上に複数のサンプル点を設定する。例えば図3に示す例では、入力映像信号の信号レベルの最小値から最大値までの間を8分割して、分割位置におけるサンプル点を設定している(図3中縦軸で示すポイント)。逆ガンマ補正装置11は、そのサンプル点における逆ガンマ補正曲線上にある信号レベルを、サンプルデータとして保持しておく(図3中の○で示した補正後の信号レベル)。つまり、サンプルデータは、入力映像信号がサンプル点の信号レベルであった場合に、その信号レベルに対して逆ガンマ補正を行った後の信号レベルである。
【0021】
逆ガンマ補正装置11は、ある任意の信号レベルの映像信号が入力された場合(例えば、図3中のA点で示す信号レベル)、その入力された信号レベルに対して高レベル側の近傍に位置する2つのサンプル点及び低レベル側の近傍に位置する2つのサンプル点を検出する。そして、検出した4つのサンプル点に対応した4つのサンプルデータ(例えば、図3中の破線で囲んだ4つのサンプルデータ)を選択する。逆ガンマ補正装置11は、選択した4つのサンプルデータに基づきキュービック補間演算を行って、入力映像信号の信号レベルに対応した補正後の信号レベルを算出する(図3中の●で示した信号レベル)。
【0022】
逆ガンマ補正装置11は、以上のように、入力映像信号の信号レベルのレベル変換を行う。
【0023】
キュービック補間演算についての詳細は、例えば、George Wolberg 「DigitalImage Warping」,IEEE Computer Society Press ,ISBN 0−8186−8944−7,1990年発行 に記載されている。キュービック補間演算は、3次の多項式を用いた補間アルゴリズムであり、そのカーネル関数h(x)は、式(1)に示すようになっている。また、このカーネル関数h(x)をグラフ上に表すと、図4に示すようになる。なお、この図4に示しているグラフは、a=0.5の場合のグラフである。
【0024】
【数1】
【0025】
キュービック補間演算を用いて、任意の入力レベルに対して、逆ガンマ補正後の信号レベルを求めるには、次のような処理が行われる。
【0026】
すなわち、入力映像信号の信号レベルから上記の4つのサンプル点までのレベル差に基づき距離xを算出する。なお、この距離xは、隣接するサンプル点のレベル差が、距離“1”に対応している。すなわち、入力映像信号の信号レベルから上記の4つのサンプル点までのレベル差を、隣接するサンプル点間のレベル差で除算すれば、距離xが求められる。続いて、その距離xを上記の式(1)のカーネル関数に代入して、選択した上記の4つのサンプルデータに対する重み係数を求める。続いて、カーネル関数から算出した重み係数を、対応する各サンプルデータに乗算し、これらの総和を求める。この総和が、逆ガンマ補正されたのちの信号レベルとなる。
【0027】
なお、キュービック補間演算において、任意の信号レベルを近似するために必要となるサンプルデータは、距離xが、−2≦x<−1の範囲、−1≦x<0の範囲、0≦x<1の範囲、1≦x<2の範囲の4つの範囲から、それぞれ1つずつとなり、それ以外の範囲のサンプルデータは用いられない。
【0028】
このようなキュービック補間演算は、他の非線形補間演算とは異なり、必ずサンプルデータを通過する曲線で近似が行われる。従って、ガンマ補正曲線を近似する場合などには、最適な補間演算となる。
【0029】
つぎに、逆ガンマ補正装置11の具体的な構成例について説明を行う。図5に、逆ガンマ補正装置11の具体的なブロック構成を示す。なお、ここでは、逆ガンマ補正装置11に入力される映像信号は、6ビットで表されているものとする。また、入力される映像信号の最小レベルは“000000(2進数)”であり、入力される映像信号の最大レベルは“111111(2進数)”であるものとする。
【0030】
逆ガンマ補正装置11は、図5に示すように、サンプルデータレジスタ21と、サンプルデータ選択回路22と、カーネル係数メモリ23と、係数選択回路24と、補間演算回路25とを備えている。
【0031】
サンプルデータレジスタ21には、各サンプル点における逆ガンマ補正曲線上の信号レベルがサンプルデータとして格納されている。本逆ガンマ補正装置11では、入力映像信号のダイナミックレンジを3ビット幅(000〜111)毎に分割することによりサンプル点が設定されている。従って、サンプルデータレジスタ21には、図6に示すように、入力映像信号の信号レベルが“000000(2進数)”(最小レベル)のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D1)、入力映像信号が“001000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D2)、入力映像信号が“010000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D3)、入力映像信号が“011000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D4)、入力映像信号が“100000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D5)、入力映像信号が“101000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D6)、入力映像信号が“110000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D7)、入力映像信号が“111000(2進数)”のときの逆ガンマ補正後の信号レベル(D8)が、サンプルデータとして格納されている。各サンプルデータは、逆ガンマ補正曲線上に位置する信号レベルである。
【0032】
さらに、サンプルデータレジスタ21には、逆ガンマ補正曲線をマイナス側に拡張して、入力映像信号の信号レベルが“−001000(2進数)”であったとした場合に想定される逆ガンマ補正後の信号レベルの推定値(D0)が、サンプルデータとして格納されている。このように推定値D0をサンプルデータとして格納しておくのは、例えば、入力信号の信号レベルが、000000(2進数)〜000111の範囲であった場合にもキュービック補間演算ができるようにするためである。
【0033】
また、サンプルデータレジスタ21には、逆ガンマ補正曲線をプラス側に拡張して、入力映像信号の信号レベルが“1000000(2進数)”であったとした場合に想定される逆ガンマ補正後の信号レベルの推定値(D9)、入力映像信号の信号レベルが“1001000(2進数)”であったとした場合に想定される逆ガンマ補正後の信号レベルの推定値(D10)も、サンプルデータとして格納されている。このように推定値D9及びD10をサンプルデータとして格納しておくのは、例えば、入力信号の信号レベルが、111001(2進数)〜111111の範囲であった場合にもキュービック補間演算ができるようにするためである。
【0034】
サンプルデータ選択回路22には、入力映像信号の信号レベルの上位3ビットが入力される。サンプルデータ選択回路22は、入力された上位3ビットの値に基づき、サンプルデータレジスタ21に格納されている全サンプルデータから4つのサンプルデータを選択し、選択したサンプルデータを補間データ(C−2,C−1,C1,C2)として補間回路25に出力する。
【0035】
具体的には、サンプルデータ選択回路22に入力される3ビットの値が“j”(jは、0以上7以下の自然数)であるとした場合、補間データC−2としてサンプルデータD(j)を選択し、補間データC−1としてサンプルデータD(j+1)を選択し、補間データC1としてサンプルデータD(j+2)を選択し、補間データC2としてサンプルデータD(j+3)を選択する。
【0036】
さらに具体的に説明すると、例えば、図6の●で示すような入力映像信号の信号レベル(例えば、100011(2進数))が入力された場合には、補間データC−2としてサンプルデータD4を選択し、補間データC−1としてサンプルデータD5を選択し、補間データC1としてサンプルデータD6を選択し、補間データC2としてサンプルデータD7を選択する。
【0037】
すなわち、サンプルデータ選択回路22は、入力映像信号の信号レベルに対して高レベル側の近傍に位置する2つのサンプル点及び低レベル側の近傍に位置する2つのサンプル点を検出し、検出した4つのサンプル点に対応した4つのサンプルデータを選択する処理を行う。
【0038】
カーネル係数メモリ23は、キュービック補間演算に用いるカーネル関数(式(1)に示す関数)の具体的な係数群が格納されている。カーネル係数メモリ23に格納されている係数は、カーネル関数に入力される変数xが、隣接するサンプル点間の距離で正規化されている。つまり、カーネル関数に入力される変数xが、111(2進数)で正規化されている。従って、カーネル関数に入力される変数xは、元々−2≦x<2の範囲をとるので、111(2進数)で正規化された場合には、図7に示すように、変数xが、−10000(2進数)≦x<10000(2進数)となる。なお、図7に示しているカーネル関数は、a=0.5の場合の係数を示している。
【0039】
さらに、カーネル係数メモリ23に格納されている係数値は、図7に示すように、入力映像信号の量子化ビット単位のステップ毎に、格納されている。従って、カーネル係数メモリ23に格納されている係数の数は、32個となる。
【0040】
係数選択回路24は、入力映像信号の信号レベルの下位3ビットが入力される。係数選択回路24は、カーネル係数メモリ23から、4つの係数値(h−2,h−1,h1,h2)を選択して、補間回路25に出力する。具体的には、入力された下位3ビットの値に基づき、入力映像信号の信号レベルから、上記サンプルデータ選択回路22から出力される4つの補間データ(C−2,C−1,C1,C2)までの距離を算出し、算出した距離に基づき変数xを求め、この変数xに基づき対応する係数値をカーネル関数メモリ23から選択する。
【0041】
具体的には、サンプルデータ選択回路22に入力される3ビットの値が“k”(kは、0以上7以下の自然数)であるとした場合、係数選択回路24は、次のようにカーネル係数メモリ23から係数を選択する。すなわち、補間データC−2に対応する係数値h−2としてx=(k−16)の係数値を選択し、補間データC−1に対応する係数値h−1としてx=(k−8)の係数値を選択し、補間データC1に対応する係数値h1としてx=(k)の係数値を選択し、補間データC2に対応する係数値h2としてx=(k+8)の係数値を選択する。
【0042】
補間演算回路25は、サンプルデータ選択回路22から出力された補間データ(C−2,C−1,C1,C2)及び係数値(h−2,h−1,h1,h2)に基づき、以下の式(2)に示す補間演算を行う。
y = h−2・C−2+h−1・C−1+h1・C1+h2・C2 (2)
上記式(2)で求められた出力値yが、逆ガンマ補正がされた後の映像信号の信号レベルとなる。
【0043】
以上のように逆ガンマ補正装置11では、入力された映像信号を1サンプル毎にレベル変換を行い、逆ガンマ補正がされた映像信号を出力する。
【0044】
従って、この逆ガンマ補正装置11では、大規模なルックアップテーブルや高次の演算を行うことなく、回路規模や演算量が少ない簡易な構成によって、映像信号の逆ガンマ補正を行うことができる。
【0045】
なお、この逆ガンマ補正装置11では、サンプルデータレジスタ21に格納するサンプルデータを適宜外部から変更するようにしてもよい。例えば、外部から新たなサンプルデータを入力してもよいし、或いは、サンプルデータレジスタ21に複数パターンのサンプルデータを格納しておいて外部からの制御信号に基づき切り換えても良い。このため、例えば、特性が異なったガンマ補正が施された映像信号が入力されたり、或いは、ガンマ特性の異なるディスプレイを接続したりしたとしても、容易に対応することが可能となる。また、さらに、R信号、G信号、B信号のそれぞれでガンマ補正量が異なる場合にも、入力される信号の種類に応じてサンプルデータのパターンを切り換えれば、適宜対応をとることが可能となる。
【0046】
また、この逆ガンマ補正装置11では、カーネル係数メモリ23をRAMで構成してもよいし、ROMで構成してもよい。もし、RAMで構成した場合には、外部のコントローラから適宜係数群を格納することが可能となる。そのため、例えば、サンプルデータの間隔が変更された場合などには、そのサンプルデータの間隔に適応したカーネル係数を外部から格納することができる。
【0047】
また、逆ガンマ補正装置11のカーネル係数メモリ23に格納している係数の数は、上述の実施の形態の場合であれば、入力される映像信号の量子化ステップに対応した数だけ格納している。つまり、サンプル点の間隔が111(2進数)であれば、32個の係数を格納している。しかしながら、カーネル係数メモリ23に格納している係数の数を、入力される映像信号の量子化ステップに対応した数より少なくしても良い。この場合、係数選択回路24が選択する係数が、カーネル係数メモリ23内に存在しない、という状態が発生してしまうが、図8に示すように、係数選択回路24とカーネル係数メモリ23との間に直線補間回路31を設け、対応した係数が存在しない場合には、他の係数から直線補間をして近似した係数を算出するようにすればよい。
【0048】
また、本実施の形態の逆ガンマ補正装置11では、入力される映像信号のビット数が6ビットである場合について説明をしたが、6ビットに限らず他のビットあってもよい。例えば、映像信号のビット数がmビット(mは自然数。)であった場合には、mビットのうち上位のpビット(pはmより小さい自然数)をサンプルデータ選択部22に供給し、mビットのうち下位qビット(p+q=m)を係数選択回路24に供給すればよい。その場合、サンプルデータの分割数はqとなる。
【0049】
また、本実施の形態では、ガンマ補正が施された映像信号から、そのガンマ補正を除去するという逆ガンマ補正を行う補正装置について説明をしたが、本発明はこのような逆ガンマ補正に限らず、通常のガンマ補正処理にも適用することができる。つまり、映像信号に対してガンマ補正を施すガンマ補正回路に本発明を適用してもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる映像信号処理装置、表示装置及びガンマ補正方法では、キュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求めている。
【0051】
このため本発明にかかる映像信号処理装置、表示装置及びガンマ補正方法では、大規模なルックアップテーブルや高次の演算を行うことなく、回路規模や演算量が少ない簡易な構成によって、映像信号のガンマ補正及び逆ガンマ補正を行うことができる。また、さらに、ガンマ補正量が異なる映像信号が複数入力される場合、及び、出力する映像信号が用いられる表示装置の種類が複数ある場合にも、回路規模を増大させずに簡易な構成でガンマ補正及び逆ガンマ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の表示装置のブロック図である。
【図2】逆ガンマ補正曲線を示す図である。
【図3】逆ガンマ補正装置に設定されるサンプルデータについて説明をするための図である。
【図4】キュービック補間演算に用いられるカーネル関数を示す図である。
【図5】逆ガンマ補正装置のブロック図である。
【図6】逆ガンマ補正装置のサンプルデータレジスタに設定されるサンプル点及びサンプルデータについて説明をするための図である。
【図7】逆ガンマ補正装置のカーネル係数メモリに格納される係数を説明するための図である。
【図8】直線補間回路が設けられた逆ガンマ補正装置のブロック図である。
【図9】逆ガンマ補正曲線を示す図である。
【図10】逆ガンマ補正曲線を直線補間で生成した場合の曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 表示装置、10 ディスプレイ、11 逆ガンマ補正装置、12 誤差拡散・ディザ処理装置、13 ディスプレイ駆動装置、21 サンプルデータレジスタ、22 サンプルデータ選択回路、23 カーネル係数メモリ、24 係数選択回路、25 補間演算回路、31 直線補間回路
Claims (19)
- 映像信号が入力され、入力された映像信号に対してガンマ補正又は逆ガンマ補正を行う映像信号処理装置において、
入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、各サンプル点に対する補正された後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を保持する補正レベル保持手段と、
上記補正レベル保持手段に保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応した補正された後の映像信号の信号レベルを求める補正手段と
を備える映像信号処理装置。 - 上記補正手段は、
入力された映像信号の信号レベルに対して高レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点及び入力された映像信号の信号レベルに対して低レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点を選択し、選択した4つのサンプル点に対応した各補正レベルを上記補正レベル保持手段から取得する補正レベル取得部と、
隣接する2つのサンプル点の間の距離で変数が正規化されたカーネル関数に基づき、キュービック補間演算のための係数を発生する係数発生部と、
上記補正レベル取得部が取得した4つの補正レベルと、上記係数発生部により発生された係数とに基づきキュービック補間演算を行う補間演算部とを有し、
上記係数発生部は、入力された映像信号の信号レベルから、上記補正レベル取得部が選択した各サンプル点までの距離を、上記カーネル関数の変数に入力することにより算出される4つの係数を、発生すること
を特徴とする請求項1記載の映像信号処理装置。 - 上記係数発生部は、上記カーネル関数に対応した係数群をメモリに格納し、当該メモリに格納されている係数群のなかから上記距離に対応した係数を読み出すこと
を特徴とする請求項2記載の映像信号処理装置。 - 上記係数発生部は、外部のコントローラから上記係数群が上記メモリに対して書き込み可能とされていること
を特徴とする請求項3記載の映像信号処理装置。 - 上記係数発生部は、入力される映像信号の量子化ステップに対応した上記係数群を上記メモリに格納していること
を特徴とする請求項3記載の映像信号処理装置。 - 上記係数発生部は、入力される映像信号の量子化ステップより広い間隔に対応した係数群を格納しており、
当該メモリに格納されている係数群のなかから上記距離に対応した係数を読み出し、
上記距離に対応した係数が上記メモリに格納されていない場合には、上記メモリ内に格納されている係数に基づき直線補間をして、当該距離に対応した係数を算出すること
を特徴とする請求項5記載の映像信号処理装置。 - 上記補正レベル保持手段は、入力される映像信号の最低の信号レベルよりも低い信号レベルにサンプル点を拡張して設定するとともに、入力される映像信号の最高の信号レベルよりも高い信号レベルにサンプル点を拡張して設定し、拡張して設定したサンプル点に対する補正レベルの推定値を保持すること
を特徴とする請求項1記載の映像信号処理装置。 - 上記補正レベル保持手段は、入力される映像信号及び出力した映像信号が用いられる表示装置の種類に応じて、保持する補正レベルが切り換えられること
を特徴とする請求項1記載の映像信号処理装置。 - 映像信号が入力され、入力された映像信号に対してガンマ補正又は逆ガンマ補正を行うガンマ補正方法において、
入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、各サンプル点に対するガンマ補正された後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を保持し、
保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求めること
を特徴とするガンマ補正方法。 - 入力された映像信号の信号レベルに対して高レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点及び入力された映像信号の信号レベルに対して低レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点を選択し、選択した4つのサンプル点に対応した各補正レベルを取得し、
入力された映像信号の信号レベルから選択した各サンプル点までの距離を、隣接する2つのサンプル点の間の距離で変数が正規化されたカーネル関数の変数に入力することにより算出される4つの係数を発生し、
取得した4つの補正レベルと上記4つの係数とに基づきキュービック補間演算を行うこと
を特徴とする請求項9記載のガンマ補正方法。 - 上記カーネル関数に対応した係数群をメモリに格納し、当該メモリに格納されている係数群のなかから上記距離に対応した係数を読み出すこと
を特徴とする請求項10記載のガンマ補正方法。 - 外部のコントローラから上記係数群を上記メモリに対して書き込むこと
を特徴とする請求項11記載のガンマ補正方法。 - 入力される映像信号の量子化ステップに対応した上記係数群を上記メモリに格納していること
を特徴とする請求項11記載のガンマ補正方法。 - 入力される映像信号の量子化ステップより広い間隔に対応した係数群を格納しており、
当該メモリに格納されている係数群のなかから上記距離に対応した係数を読み出し、
上記距離に対応した係数が上記メモリに格納されていない場合には、上記メモリ内に格納されている係数に基づき直線補間をして、当該距離に対応した係数を算出すること
を特徴とする請求項13記載のガンマ補正方法。 - 入力される映像信号の最低の信号レベルよりも低い信号レベルにサンプル点を拡張して設定するとともに、入力される映像信号の最高の信号レベルよりも高い信号レベルにサンプル点を拡張して設定し、拡張して設定したサンプル点に対する補正レベルの推定値を保持すること
を特徴とする請求項14記載のガンマ補正方法。 - 入力される映像信号及び出力した映像信号が用いられる表示装置の種類に応じて、保持する補正レベルを切り換えること
を特徴とする請求項9記載のガンマ補正方法。 - 映像信号が入力され、入力された映像信号をディスプレイに表示する表示装置において、
映像信号が入力され、入力された映像信号に対して上記ディスプレイのガンマ特性に応じたレベル補正を行うガンマ補正部を備え、
上記ガンマ補正部は、
入力される映像信号の最低の信号レベルから最大の信号レベルの間を等間隔に分割して複数のサンプル点を設定し、上記ガンマ特性に応じた補正がされた後の映像信号の信号レベル(補正レベル)を各サンプル点に対応させて保持する補正レベル保持手段と、
上記補正レベル保持手段に保持されている上記補正レベルを用いてキュービック補間演算を行うことによって、入力された映像信号の信号レベルに対応したガンマ補正された後の映像信号の信号レベルを求める補正手段と
を備えることを特徴とする表示装置。 - 上記補正手段は、
入力された映像信号の信号レベルに対して高レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点及び入力された映像信号の信号レベルに対して低レベル側に位置する近傍の2つのサンプル点を選択し、選択した4つのサンプル点に対応した各補正レベルを上記補正レベル保持手段から取得する補正レベル取得部と、
隣接する2つのサンプル点の間の距離で変数が正規化されたカーネル関数に基づき、キュービック補間演算のための係数を発生する係数発生部と、
上記補正レベル取得部が取得した4つの補正レベルと、上記係数発生部により発生された係数とに基づきキュービック補間演算を行う補間演算部とを有し、
上記係数発生部は、入力された映像信号の信号レベルから、上記補正レベル取得部が選択した各サンプル点までの距離を、上記カーネル関数の変数に入力することにより算出される4つの係数を、発生すること
を特徴とする請求項17記載の表示装置。 - 入力される映像信号には、CRTに対応したガンマ補正が施されており、
上記ディスプレイのガンマ特性は、直線的な特性となっており、
上記補正レベル保持手段は、CRTに対応したガンマ補正曲線の逆特性を示す曲線上の補正レベルを保持していること
を特徴とする請求項18記載の表示装置。
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