JP2004139940A - 燃料電池システム - Google Patents

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Hiroyasu Kudo
工藤 弘康
Tomohiro Saito
齋藤  友宏
Toshiyuki Kawai
河合 利幸
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Abstract

【課題】低温環境下にて、燃料電池内部の一部の部位を加熱し、その一部の部位にて発電を可能にさせ、さらにその一部の部位での発電に伴う反応熱を他の部位へ移動させることで、燃料電池の内部を暖気して燃料電池を起動させる燃料電池システムにおいて、起動時間を短縮させることを目的とする。
【解決手段】熱伝導率が低いセパレータ2に対して、電解質膜及び電極側の表面のうち、一部の部位41aを除く領域41bに、金属ペースト8などを塗布または貼り付ける。これにより、熱伝導率が低いセパレータを用いた燃料電池と比較して、セパレータ2の一部の部位41aの加熱では、発電までにかかる時間はそのままで、反応熱を他の部位41bに拡散させるときでは、早く熱を拡散させることができる。この結果、燃料電池の起動時間を短縮することができる。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と酸素との化学反応により電気エネルギーを発生させる燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は電解質膜及び電極を有し、電解質膜及び電極における水素と酸素との反応を利用して発電する。そして、燃料電池は発電の際、水を生成する。このため、氷点下という低温環境下では、生成水が燃料電池内に保持されたまま運転停止をした場合、触媒層及び拡散層からなる電極、電解質膜の近傍が凍結し起動不可となるという問題がある。
【0003】
そこで、低温環境下にて燃料電池を早期に起動させる方法として、例えば本発明者らが先に出願した特願2002−184948にて提案する方法がある。これは、外部ヒータからの熱を用いて、燃料電池を構成する複数のセルうち、それら全てのセルにおける一部の部位を加熱することで、その加熱部分での発電を可能にさせる(以下では、このときの加熱を局部加熱と呼ぶ)。そして、その発電による熱を利用して、残りの加熱されなかった部分もさらに加熱する(以下では、このときの加熱を連鎖加熱と呼ぶ)ことで、燃料電池全体を起動させる方法である。これにより、凍結しているセルを早期に解凍し、燃料電池を早期に起動させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した方法において、燃料電池をより早期に起動させるためには、局部加熱にかかる時間(以下では、単に局部加熱時間と呼ぶ)と連鎖加熱にかかる時間(以下では、単に連鎖加熱時間と呼ぶ)の両方、またはどちらか一方を短縮させる方法が考えられる。
【0005】
しかし、次の理由により起動時間を短縮することは困難である。上述した方法は外部ヒータの熱をセパレータを介して電解質膜及び電極を加熱する方法である。このため、局部加熱時間を短縮させるには、各セルのうち最初に加熱する一部の部位において、熱が篭もりやすく、周囲に熱が拡散し難いようにセパレータの熱伝導率を低くする必要がある。一方、連鎖加熱時間を短縮させるには、他の部位にて熱が拡散しやすいようにセパレータの熱伝導率を大きくする必要がある。
【0006】
このことから、局部加熱時間を短縮させるために熱伝導率が低いセパレータを用いても、連鎖加熱時間が増加するため、結果として、起動時間全体を短縮させることができない。同様に、連鎖加熱時間を短縮させるために熱伝導率が高いセパレータを用いても、局部加熱時間が増加してしまうため、起動時間全体を短縮させることができない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、低温環境下にて、燃料電池内部の一部の部位を加熱し、その一部の部位にて発電を可能にさせ、さらにその発電に伴う反応熱を他の部位へ移動させることで、燃料電池の内部を解凍して燃料電池を起動させる燃料電池システムにおいて、起動時間を短縮させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、セルはセパレータ(2)を有し、セパレータは、一部の部位(41a、42a、43a)では熱が篭もりやすく、他の部位(41b、42b、43b)では熱が拡散しやすいように、一部の部位の方が熱伝導率が低く、他の部位の方が熱伝導率が高いことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、セパレータの一部の部位は他の部位よりも熱伝導率が低いことから、一部の部位から周囲に対して熱が拡散し難く、この一部の部位において、熱を篭もりやすくすることができる。また、他の部位では、一部の部位よりも熱伝導率が高いことから、一部の部位から他の部位に熱が移動したとき、この他の部位にて熱を拡散しやすくすることができる。
【0010】
これにより、熱伝導率が低い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較して、局部加熱時間の増加を抑制しつつ、連鎖加熱時間を短縮させることができる。このため、起動時間全体を短縮させることができる。
【0011】
また、熱伝導率が高い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較しても、連鎖加熱時間の増加を抑制しつつ、局部加熱時間を短縮させることができる。このため、起動時間全体を短縮させることができる。
【0012】
なお、燃料電池システムは通常、燃料電池を冷却するために熱媒体として冷却水を用いる冷却システムを備えている。これは、各セルが有する冷却水の入り口から冷却水の出口の間に冷却水を流し、セル全域を冷却水にて冷却するものある。そこで、セルの一部を加熱する手段としては、例えばこの冷却水を利用して燃料電池を加熱することができる。具体的には、ヒータ等の冷却水を加熱するための手段と、バイパス経路等の冷却水を各セルの冷却水の入り口にのみ循環させる手段とを設ける。これにより、燃料電池を加熱するとき、この加熱手段により冷却水を加熱し、この冷却水を例えば各セルが有する冷却水入り口にのみ循環させることで、各セルにおける冷却水の入り口近傍を加熱することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、セパレータ(2)は、他の部位のうち、氷結量が少ない部位(42b、43b)における熱伝導率が、一部の部位の熱伝導率よりも高いことを特徴としている。このように連鎖加熱を行う部位の全域における熱伝導率が、局部加熱を行う一部の部位の熱伝導率より高くなくてもよい。
【0014】
本発明は、氷が少ない領域において、局部加熱された部分にて発電が可能となり、その発電に伴う熱を氷が少ない領域全体に拡散させることで、この領域を優先的に加熱するものである。その領域では氷を溶かすのに必要な熱量が少なく、早くその領域を発電可能な状態にすることができる。
【0015】
このようにしても、セパレータが熱伝導率が低い材料のみにより構成されている場合と比較して、起動時間を短縮することができる。
【0016】
氷が少ない領域としては、例えば請求項3に示すように、燃料電池(1)の重力方向軸に対し、セパレータ(2)の中央よりも上側の領域(42)や、請求項4に示すように、セパレータ(2)のうち、中央よりも空気若しくは燃料供給入り口(4a、5a)側の領域(42、43)がある。このような領域における熱伝導率を高くするのが好ましい。
【0017】
請求項5に記載の発明では、セパレータ(2)は、他の部位における表面上にセパレータよりも熱伝導率が高い材料(8)を備えていることを特徴としている。具体的には、カーボンセパレータを用い、このセパレータの表面上に金属ペーストを塗布または貼り付けることでこのようなセパレータが得られる。
【0018】
本発明によれば、セパレータが熱伝導率が低い材料のみから構成されている場合と比較して、セパレータの一部の部位が加熱され、その部位にて発電し、発電に伴う熱が残りの他の部位に移動したとき、残りの他の部位において、熱伝導率が高い材料中に熱を拡散させることで、熱を早く拡散させることができる。これにより、局部加熱時間の増加を抑制しつつ、連鎖加熱時間を短縮させることができる。このため、起動時間全体を短縮させることができる。
【0019】
なお、熱伝導率が高い材料をセパレータの電解質膜側の面、冷却水路が設けられている面のどちらの面上に配置しても良く、また、両方の面上に配置することもできる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、セパレータ(2)は、厚さ方向における熱伝導率の方が厚さ方向と垂直な方向における熱伝導率よりも高いことを特徴としている。
【0021】
セパレータの表面にセパレータよりも熱伝導率が高い材料を備えているとき、本発明によれば、各セルにおける一部の部位で発電し、その発電に伴う熱が他の部位に拡散するとき、セパレータ中では熱が熱伝導率の高い材料に移動しやすくなる。熱伝導率の高い材料の方がセパレータよりも熱拡散が早いので、連鎖加熱時間をより短縮することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、セルはセパレータ(2)を有し、セパレータは、一部の部位(44、46a、48a)では熱が篭もりやすく、他の部位(45、46b、48b)では熱が拡散しやすいように、一部の部位と他の部位との間に熱抵抗(9)を有することを特徴としている。
【0023】
熱伝導率が高い材料のみからセパレータが構成されている場合、セルの一部の部位を加熱しても、熱が全体に拡散してしまうため、加熱した一部の部位では熱が篭もり難く、セルの一部の部位が発電するまでに長い時間を要する。
【0024】
これに対して、本発明では、セパレータのセルの一部の部位と他の部位との間に熱抵抗を設けていることから、セルの一部の部位から他の部位への熱拡散を小さくすることができる。これにより、熱伝導率が高い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較して、セパレータの一部の部位に熱を篭もりやすくすることができ、局部加熱時間を短縮させることができる。また、本発明はセパレータの一部に熱抵抗を設けるものであり、セパレータ自身の熱伝導率はそのままなので、他の部位における熱拡散時間の増加を抑制できる。この結果、起動時間全体を短縮させることができる。
【0025】
請求項8は一部の部位は、セルのうち、氷結量が少ない部位(46、48)の少なくとも一部であることを特徴としている。このように熱抵抗(9)を配置することもできる。本発明は、氷が少ない領域を優先的に加熱するものである。この領域では氷を溶かすのに必要な熱量が少なく、早くその領域を発電可能な状態にすることができる。
【0026】
このようにしても、セパレータが熱伝導率が高い材料のみにより構成されている場合と比較して、起動時間を短縮することができる。
【0027】
氷結量が少ない部位としては、例えば請求項9に示すように、燃料電池(1)の重力方向軸に対し、セパレータ(2)の中央よりも上側の領域(46)や、請求項10に示すように、セパレータ(2)のうち、中央よりも空気若しくは燃料供給入り口(4a、5a)側の領域(46、48)がある。
【0028】
請求項11に記載の発明では、燃料電池(1)の出力電力が燃料電池(1)自身を動作させるために必要な補機動力となるように、一部の部位の面積が決められていることを特徴としている。
【0029】
このように、局部加熱を行う部位の面積が必要最小限とすることで、局部加熱時間を短くすることができる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態における燃料電池システムの全体構成を図1に示す。本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池を電源として走行する電気自動車(燃料電池車両)に適用したものである。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池1、インバータ11、水素供給装置12、空気供給装置13、加熱冷却システム20〜22、30〜34を備えている。
【0033】
燃料電池(FCスタック)1は、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生するものである。本実施形態では燃料電池1として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となるセル1aが複数積層されて構成されている。
【0034】
図2に1つのセル1aを示す。図2(a)は1つのセル1aの側面側を見たときの外観斜視図であり、(b)は1つのセル1aを上から見たときの平面図である。また、図3(a)に図2(b)中のA−A線方向断面図を示し、図3(b)、(c)にそれぞれ図3(a)中のB−B線方向断面図、C−C線方向断面図を示す。
【0035】
セル1aは図示しないが電解質膜が一対の電極で挟まれ、さらにカーボンにより構成されたセパレータ2a、2bによって狭持された構成となっている。セパレータ2a、2bは、流入側及び流出側の冷却水ポート3a、3b、ガスポート4a、4b、空気ポート5a、5bとを有している。また、セパレータ2a、2bの表面には冷却水路や水素ガス、空気の供給経路としての溝6、7が形成されている。
【0036】
具体的には、セパレータ2bはその表面のうち、図3(a)に示すように、電解質膜側の面に空気の供給通路としての縦方向の溝7を有し、この反対側の面に図3(b)に示すように冷却水路としての横方向の溝6を有している。なお、セパレータ2aもセパレータ2bと同様に電解質膜側の面に水素ガスの供給通路としての縦方向の溝を有し、この反対側の面には冷却水路としての横方向の溝6を有している。
【0037】
図4に図3に示されているセパレータ2のうち、溝が形成された部分のみを示す。図4(a)は図2(b)中のA−A線方向断面図であり、図4(b)、(c)は、それぞれ図3(a)中のB−B線方向断面図、C−C線方向断面図である。なお、図4では、セル2つ分のセパレータを示している。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、セパレータ2の空気、水素ガス供給経路としての溝を有する面上に、セパレータ2よりも熱伝導率が高い高熱伝導率膜8を備えている。なお、図4(a)中の斜線領域が高熱伝導率膜8である。
【0039】
この高熱伝導率膜8は、例えば銅やアルミ等のペースト材を塗布または貼り付けることで形成され、銅の場合、熱伝導率は例えば250W・m−1・K−1であり、アルミの場合では例えば400W・m−1・K−1である。なお、セパレータ2の熱伝導率は例えば100W・m−1・K−1であり、電解質膜の熱伝導率は例えば0.3W・m−1・K−1である。また、高熱伝導率膜8は薄く、空気経路やガス経路にて、空気、水素ガスの供給に影響がない程度の厚さである。
【0040】
高熱伝導率膜8はセパレータ2の表面のうち、冷却水の入り口(図3中の流入側の冷却水ポート3a)の近傍を除く領域41bの全面に配置されている。冷却水の入り口近傍の領域41aは、例えばセパレータ2の溝が形成されている領域全体の10%の大きさとなっている。セパレータ2のうち、冷却水の入り口の近傍を除く領域41bは、高熱伝導率膜8が配置されていることから、冷却水の入り口近傍の領域41aよりも熱伝導率が高くなっている。
【0041】
このような構造のセル1aを複数有する燃料電池1に対して、冷却水、水素ガス及び空気が供給されたとき、これらは各セル1aの流入側の冷却水ポート3a、ガスポート4a及び空気ポート5a(図2、3参照)を通って各セルに供給される。そして、図4に示すように、各セル1aの内部において、冷却水はセパレータ2の冷却水ポートの流入側から流出側に向かって、溝6に沿って流れる。空気は空気ポートの流入側から流出側に向かって、溝7に沿って流れる。水素ガスは図示しないが、ガスポートの流入側から流出側に向かって溝に沿って流れる。その後、各セルの流出側の各ポート3b、4b、5b(図2、3参照)を通って、冷却水、未反応の水素ガス及び空気が燃料電池1の外部に排出される。
【0042】
燃料電池1では、水素および空気(酸素)が供給されることにより、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
(水素極側)H→2H+2e
(酸素極側)2H+1/2O +2e→H
燃料電池1には、発電した電力を取り出すための電極1b、1cが設けられている。発電した電力は、図1に示すように、インバータ(電力変換手段)11を介して図示しない走行用モータを駆動するための負荷電力、あるいは図示しない2次電池の充電等に用いられる。
【0043】
燃料電池1には、水素供給装置12より水素が供給され、空気供給装置13から酸素を含んだ空気が供給されるように構成されている。水素供給装置12としては、例えば改質装置あるいは水素貯蔵タンクを用いることができ、空気供給装置13としては、例えば断熱圧縮機であるエアコンプレッサを用いることができる。燃料電池1に供給された空気のうち反応に用いられなかった未反応空気は、排ガスとして燃料電池1より排出される。燃料電池1に供給された水素のうち反応に用いられなかった未反応水素は、図示を省略しているが、循環され再利用される。
【0044】
燃料電池1では、発電の際の化学反応により水分および熱が発生する。燃料電池1は発電効率のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池システムには、熱媒体を用いて燃料電池1で発生した熱を系外に放出する冷却システム20〜22が設けられている。なお、本実施形態では、熱媒体として低温環境下で凍結しない不凍液冷却水を用いている。
【0045】
冷却システムには、冷却水を燃料電池1に循環させるための熱媒体循環経路20、冷却水を冷却するための熱交換手段であるラジエータ21が設けられている。また、冷却水を循環させる熱媒体循環手段としてのウォーターポンプ(W/P)22が設けられている。燃料電池1を通過した冷却水は熱媒体流路20を介してラジエータ21に循環し、ここで外気(大気)と熱交換され冷却される。
【0046】
さらに、本実施形態の燃料電池システムでは、低温環境下における燃料電池1の早期始動のために燃料電池1を昇温させる昇温システム(加熱手段)30〜33が上記冷却システムと一体的に設けられている。
【0047】
主経路である熱媒体循環経路20には、冷却水を積層されたセル1aの全てにおける流入側の冷却水ポート3aのみを循環させるためのバイパス経路30が設けられている。バイパス経路30には、バイパス経路30を開閉する流路制御弁31が設けられている。流路制御弁31の開度を制御することで、バイパス経路30に流れる冷却水量を調整することができる。
【0048】
また、熱媒体経路20における燃料電池1の上流側に冷却水を加熱するためのヒータ32が設けられている。ヒータ32は電気式ヒータあるいは燃焼式ヒータ等を用いることができる。バイパス経路30における燃料電池1出口近傍には、燃料電池1を通過した冷却水の温度を検出する温度センサ33が設けられている。この温度センサ33により冷却水温度を検出することで、燃料電池1のうち加熱された冷却水にて昇温された部位の温度を間接的に検出する。この検出結果により、ヒータ32による加熱量や、ウォーターポンプ22による冷却水流量を調整することができる。
【0049】
次に、このように構成された燃料電池システムにおいて、0℃以下の低温環境下にて燃料電池1を起動させるまでの作動を説明する。
【0050】
ヒータ32により冷却水を加熱する。ウォーターポンプ22及び流路制御弁31を制御することで、図1に示すように、加熱された冷却水を燃料電池1の流入側の冷却水ポート3a(図2、3参照)とバイパス経路30において循環させる。これにより、図3、4に示すように、冷却水の熱はセパレータ2の流入側の冷却水ポート3a近傍41aに移動し、セパレータ2を介して、電解質膜や電極に移動する。このようにして、各セル1aにおける流入側の冷却水ポート3aの近傍の領域41aを集中的に加熱する。この加熱が局部加熱である。
【0051】
局部加熱により、流入側の冷却水ポート3a近傍の領域41aの温度が上昇して、電解質膜や電極付近の氷が融解し、この領域41aにて発電可能な状態となる。水素供給装置12から水素ガスを供給し、空気供給装置13から空気を供給することで、その領域41aにて発電を開始させる。燃料電池1は発電した部位で発熱することから、この発電により発生した熱が、電解質膜、電極、セパレータ2中を拡散することで、各セル1aのうち、領域41aを除く他の領域41bが加熱される。この加熱が連鎖加熱である。このようにして、各セル1a全体を加熱する。これにより、凍結しているセル1aを解凍し、燃料電池1を起動させることができる。
【0052】
なお、本明細書でいう起動とは、燃料電池1が発電し、その出力値が所定の出力値以上になることである。また、本実施形態では領域41aが特許請求の範囲に記載の一部の部位に相当し、領域41bが他の部位に相当する。
【0053】
本実施形態では、熱伝導率が低いセパレータ2を用いている。このため、セパレータ2に温度分布が生じ、流入側の冷却水ポート3a近傍の領域41aの温度が他の領域41bよりも温度が高くなる、つまり領域41aにて熱が篭もりやすくなる。また、セパレータ2の表面のうち、領域41aを除く領域41bに、高熱伝導率膜8を備えている。したがって、セル1aの領域41aにて発電したときに発生した熱は、セパレータ2を介して、高熱伝導率膜8に伝わり、高熱伝導率膜8中を拡散する。
【0054】
このため、熱伝導率が低い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較して、領域41aでの発電に伴う熱を、領域41bにて早く拡散させることができる。これにより、熱伝導率が低い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較して、連鎖加熱時間を短縮させることができる。
【0055】
また、セパレータ2が熱伝導率が低い材料のみから構成されているとき、セパレータ2の局部加熱を行う領域41aでは熱が篭もるため、必要以上の温度、すなわち、氷が融解する温度以上(例えば10〜30℃)になってしまう。このため、領域41aにて発電が開始されたとき、この余剰分の熱と発電に伴う熱により、高分子膜の温度がその耐熱温度を超え、高分子膜が電解質膜として機能しなくなる恐れがある。
【0056】
これに対して、本実施形態によれば、領域41aにおける冷却水により加熱された熱の余剰分を、各セル1aの高熱伝導率膜8が配置されている領域41bにて早く拡散させることで、減少させることができる。これにより、高分子膜に対して安全に加熱を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、各セル1aの局部加熱を行う領域41aの面積を全体の10%としている。この面積は、各セル1aにおける一部を発電させたときに得られる出力電力が、燃料電池1自身を動作させる為に必要な補機動力をカバーできる出力値となるように決定したものである。この面積は10%に限らず、全体の例えば10〜25%の範囲であれば良い。なお、補機動力とは、水素供給装置12、空気供給装置13及びウォーターポンプ22等を動かすための動力である。これらは、通常、燃料電池1を発電させるとき、バッテリーにより動力を得ている。
【0058】
局部加熱を行うとき、各セル1aの加熱部分の面積が高いほど必要な熱量が多くなり、加熱部分全体にかかる局部加熱時間が長くなってしまう。したがって、局部加熱を行う領域の面積はできるだけ小さい方が好ましい。
【0059】
そこで、本実施形態では、局部加熱を行う領域41aの面積を、各セル1aにおける一部を発電させたとき、バッテリーを用いずに水素供給装置12等を動かすことができる程度の小さな面積としている。このように、局部加熱を行う領域41aの面積を必要最小限とすることで、局部加熱を行う領域の面積が大きい場合と比較して、セル1aの一部が発電するまでに必要な熱量を少なくすることができる。その結果、局部加熱時間を短縮させることができる。
【0060】
なお、局部加熱を行う領域41aの面積としては、補機動力をカバーできる出力値とするためには、全体の面積の例えば10〜25%とすることが好ましいが、他の大きさとすることもできる。
【0061】
また、本実施形態では冷却システムにバイパス経路30、ヒータ32及び流路制御弁31等を設け、加熱された冷却水を各セル1aの流入側の冷却水ポート3aとバイパス経路30において循環させ、各セル1aの流入側の冷却水ポート3aの近傍の領域41aを加熱している。
【0062】
このような加熱方法に限らず、加熱された冷却水の循環経路を、通常の冷却システムと同様の循環経路として、本実施形態における各セル1aの流入側の冷却水ポート3aの近傍の領域41aを加熱することもできる。しかし、この場合では、局部加熱を行う領域41a以外の領域41bも加熱してしまうので、冷却水の熱を効率良く局部加熱を行う領域41aに供給できない。
【0063】
これに対して、本実施形態では上述したように各セル1aの流入側の冷却水ポート3aの近傍の領域41aのみを加熱するようにしている。このため、ヒータ32により吸収した熱を冷却水が無駄にすることなく、セル1aの局部加熱を行う領域41aに熱を供給することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、局部加熱時間の増加を抑制しつつ、連鎖加熱時間を短縮させることができるので、単に熱伝導率が低い材料により構成されたセパレータを有する燃料電池と比較して、起動時間全体を短縮させることができる。
【0065】
なお、本実施形態において、セパレータ2の厚さ方向と垂直な方向(図の左右方向)の熱伝導率はそのままで、厚さ方向の熱伝導率がその厚さ方向と垂直な方向の熱伝導率よりも高いセパレータを用いることで、以下に説明するように、起動時間全体をより短縮させることができる。ここでいう厚さ方向とは、燃料電池1を構成する複数のセルが積層されている方向である。
【0066】
局部加熱のとき、冷却水の熱はセパレータ2中をセパレータの厚さ方向、すなわち、冷却水路側から電解質膜側に移動する。したがって、熱伝導率に異方性を有し、セパレータの厚さ方向の熱伝導率が、その方向と垂直な方向の熱伝導率よりも高いセパレータを用いることで、冷却水から電解質膜及び電極へ熱を早く移動させることができる。これにより、局部加熱時間を短縮させることができる。
【0067】
また、連鎖加熱のときでは、各セル1aのうち、局部加熱をした領域41aでの発電に伴う熱をセパレータ2中を拡散させることで、局部加熱されなかった領域41bを加熱している。したがって、上述した熱伝導率に異方性を有するセパレータ2を用いることで、セパレータの表面にある高熱伝導率膜8に熱を早く移動させることができる。高熱伝導率膜8ではセパレータ2よりも熱が早く拡散することから、連鎖加熱時間を短縮することができる。この結果、熱伝導率に異方性が無いセパレータを用いる場合と比較して、起動時間全体をより短縮させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、図4に示すように、ガス経路及び空気経路としての溝の方向は、重力方向(図では縦方向)であったが、他の方向とすることもできる。例えば、ガス経路及び空気経路としての溝の方向を重力方向に垂直な方向とすることもできる。
【0069】
また、本実施形態では、図4に示すように、セパレータ2の空気、水素ガス供給経路をなす溝を有する面上に、高い高熱伝導率膜8を配置した場合を例として説明したが、その反対側の面、すなわち、セパレータ2の冷却水路が設けられている面上に高熱伝導率膜8を配置することもできる。また、これら両方の面上に高熱伝導率膜8を配置することもできる。
【0070】
(第2実施形態)
図5に第2実施形態におけるセパレータを示す。図5は図4に対応している。なお、本実施形態では、第1実施形態での図4の構造と同じ部分は同一の符号を付すことで、説明を省略する。
【0071】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、セパレータ2の局部加熱を行う領域41aを除く領域41bにおいて、空気経路をなす溝の底部にのみ高熱伝導率膜8が配置されている点である。第1実施形態では、領域41bの表面全体に高熱伝導率膜8が配置されていたが、本実施形態のように部分的に、かつ、領域41b全域にて均等に分散させるように高熱伝導率膜8を配置することもできる。このようにしても、熱伝導率が低い材料のみからセパレータが構成されている場合と比較して、領域41b全体の熱伝導率が、局部加熱を行う領域41aと比較して高いことから、連鎖加熱時間を短縮させることができる。
【0072】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では、各セル1aのうち、流入側の冷却水ポート3aの近傍の領域41aを除く領域41bの全域に、高熱伝導率膜8が配置されていた場合を例として説明したが、本実施形態では、領域41bの一部にのみ高熱伝導率膜8を配置する場合を説明する。
【0073】
図6に第3実施形態におけるセパレータを示す。図6は図4に対応しており、図6(a)は図2(b)中のA−A線方向断面図であり、図6(b)、(c)は、それぞれ図3(a)中のB−B線方向断面図、C−C線方向断面図である。なお、本実施形態では、第1実施形態での図4の構造と同じ部分は同一の符号を付すことで、説明を省略する。
【0074】
図6に示すように、セパレータ2に形成されたガス経路及び空気経路としての溝7が重力方向に形成されている場合、燃料電池1の発電時に生成された水は、セパレータ2のガス経路及び空気経路7に沿って重力方向に滴る。
【0075】
また、燃料電池1にはエアーコンプレッサ等の空気制御装置13により、圧縮された空気が供給されている。したがって、燃料電池1の発電時に供給される空気は例えば20〜30℃であり、また、飽和蒸気圧も高い。このため、本実施形態のように、セパレータ2の上側に流入側の空気ポート5a(図3参照)が設置されている場合では、セパレータ2の溝が形成されている部分のうち、中央より上側の領域は、乾いた状態になりやすい。
【0076】
本実施形態では、これらのことから、燃料電池が氷点下に放置された場合、各セル1aの重力方向下側の領域50は氷結量が多く、燃料電池の重力方向上側の領域42は氷結量が少ない。
【0077】
そこで、本実施形態では、セパレータ2の半分より上側の領域42の表面に高熱伝導率膜8を配置している。具体的には、例えば、図6に示すように、セパレータ2の上側の領域42のうち、冷却水入り口(図3(a)に示す流入側の冷却水ポート3a)近傍42aを除く領域42bにのみ高熱伝導率膜8を配置している。
【0078】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、各セル1aの冷却水近傍の領域41aを局部加熱する。このとき、領域41aのうち、まず上側の領域42aが発電可能な状態となるので、その暖まった部分から発電を開始させる。そして、連鎖加熱では、発電に伴う反応熱を、高熱伝導率膜8中に拡散させ、まず各セル1aの上側の領域を加熱する。
【0079】
第1実施形態のように、連鎖加熱のとき、各セル1aの領域41b全体に一度に熱を拡散させる場合では、各セル1aの下側の領域50は氷結量が多いため氷を溶かすのに多くの熱を必要とする。これに対して、本実施形態では、各セル1aの上側の領域42bに熱が優先的に拡散するようになっており、各セル1aの上側では氷結量が少ないことから、氷を溶かすために必要な熱量(顕熱、潜熱分)が少ない。このため、各セル1aの上側の領域42bを早く発電可能な状態とすることができる。
【0080】
このようにして、各セル1aの重力方向上側の領域42を早期に発電させ、この発電に伴う反応熱を各セル1aの残りの領域に拡散させる。また、各セル1aの冷却水近傍の領域41aにおいても発電可能な状態となり次第発電させ、残りの領域に熱を拡散させる。このようにして、燃料電池1を構成する各セル1a全体を加熱し、燃料電池1を起動させることもできる。
【0081】
このようにしても、セパレータが高熱伝導率膜を有していない燃料電池1と比較して、各セル1aの上側の領域42bにて発電を早く開始させることができる。さらにこれらの領域42a、42bにおける発電時に発生する熱を利用して、各セル1aの全体を加熱することからも、連鎖加熱時間を短縮することができる。この結果、起動時間全体を短縮させることができる。
【0082】
(第4実施形態)
第3実施形態では、セパレータ2の上側の領域42に高熱伝導率膜8を配置した場合を説明したが、必ずしもセパレータ2の上側の領域42に限らず、セパレータ2のうち、氷結量が少ない領域であれば、他の領域に高熱伝導率膜8を配置することができる。例えば、図示しないが、流入側の空気ポート5aが、セパレータ2の横側端部や下側端部に配置されている場合、その近傍であって、かつ、流入側の冷却水ポート3a近傍を除く領域に高熱伝導率膜8を配置することができる。このようにしても、上述した理由により、第2実施形態と同様の効果を有する。
【0083】
また、図7に示すように、セパレータ2のうち、流入側のガスポート4a(図2、3参照)の近傍に高熱伝導率膜8を配置することもできる。なお、図7(a)は、図2(b)中のA−A線において、矢印の反対方向から見たときのセパレータ2の断面図である。図7(b)、(c)はセパレータ2を横方向から見たときの図であり、図3(b)、(c)にそれぞれ対応している。
【0084】
セパレータ2のうち、流入側のガスポート4aの近傍の領域43では、第3実施形態にて説明した流入側の空気ポート5aと同様に、乾きやすい状態となる。したがって、低温環境下では、各セル1aにおける領域43を除く領域51では氷結量が多い。このことから、図7(a)に示すように、セパレータ2の半分より下側の領域43のうち、流入側の冷却水ポート3a近傍の領域43aを除く領域43bにのみ高熱伝導率膜8を配置している。このようにしても、第3実施形態と同様の効果を有する。
【0085】
(第5実施形態)
上記した各実施形態では、セパレータとして熱伝導率が低いものを用いた場合を説明してきたが、本実施形態では、セパレータとして熱伝導率が高いものを用いた場合を説明する。
【0086】
図8に第5実施形態におけるセパレータを示す。図8(a)は図3(a)に対応しており、図3(a)に示すセパレータのうち、溝が形成された部分のみを示した図である。図8(b)、(c)は、それぞれ図3(a)中のB−B線方向断面図、C−C線方向断面図である。本実施形態では、第1実施形態での図4の構造と同じ部分は同一の符号を付すことで、説明を省略する。
【0087】
熱伝導率が高いセパレータを用いた場合において、局部加熱の際、熱伝導率が低いセパレータを用いた場合と比較して、熱がセパレータ全体に早く拡散するため、局部加熱により加熱したい領域での温度上昇が遅くなり、局部加熱時間が長くなってしまう。
【0088】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、セパレータ2の流入側の冷却水ポート3a近傍の局部加熱を行う領域44と、連鎖加熱を行う領域45との間にて、上側端部から下側端部に渡って熱抵抗9を設けている。なお、セパレータ2は例えばアルミにより構成されており、熱伝導率は例えば230W・m−1・K−1である。熱抵抗9は、例えば、セパレータ2の内部に形成した空洞や溝などである。つまり、本実施形態では、熱抵抗9としてセパレータ2の内部に空気層を設けている。
【0089】
このように構成されたセパレータ2を有する燃料電池1に対して、低温環境下では上記した各実施形態と同様に加熱を行う。
【0090】
本実施形態では、熱抵抗9を設けることで、セパレータ2の断面積を減らすことができる。このため、局部加熱を行う領域44から連鎖加熱を行う領域45への熱の移動を抑制することができる。
【0091】
これにより、局部加熱のとき、セパレータ2のうち、局部加熱を行う領域44に熱を篭もり易くすることができ、局部加熱時間を短縮することができる。そして、セパレータ2のうち、連鎖加熱を行う領域45の熱伝導率は高いので、局部加熱を行う領域44から連鎖加熱を行う領域45に熱が移動したとき、早く熱を拡散させることができる。これにより、連鎖加熱時間の増加を抑制しつつ、局部加熱時間を短縮させることができるため、起動時間全体を短縮させることができる。
【0092】
なお、熱抵抗9としては、空気層の代わりに、断熱材等のセパレータ2よりも熱伝導率が低い材料を用いることができる。つまり、セパレータ2に形成された空洞や溝等にこのような材料を充填することもできる。
【0093】
(第6実施形態)
図9に第6実施形態におけるセパレータを示す。図9に示すセパレータは図8に示すセパレータに対応しており、本実施形態は熱抵抗9の配置が第5実施形態と異なるものである。
【0094】
第5実施形態では、図8に示すようにセパレータ2の上側端部から下側端部に至って、熱抵抗9が形成されていた。これに対して、本実施形態では、セパレータ2のうち、左上側の領域46aを囲むように熱抵抗9を配置している。これは、第3実施形態にて説明したように、セパレータ2の重力方向上側や、流入側の空気ポート5a(図3参照)の近傍の領域46は氷結量が少なく、重力方向下側の領域50では氷結量が多い。したがって、図8中の領域44のうち、中央よりも上側の領域46aを囲むように熱抵抗9を配置することで、氷結量が少ない領域46aを優先的に局部加熱できるようにする。
【0095】
これにより、第5実施形態と同様に、領域44を冷却水により局部加熱したとき、領域46aは、他の領域よりも熱が篭もりやすく、氷結量も少ないので、早期に発電可能な状態にすることができる。その後、領域46aにおける発電に伴う熱を他の領域46b、50に拡散させる。また、領域46aを除く局所加熱部44が発電可能な状態となったとき、この領域における発電に伴う熱も他の領域に拡散させる。このようにして、各セル1aを加熱することもできる。
【0096】
このようにしても、セパレータが熱伝導率が高い材料にのみ構成されている場合と比較して、起動時間を短縮することができる。
【0097】
(第7実施形態)
第6実施形態では、熱抵抗9をセパレータ2の重力方向上側の領域に配置していたが、熱抵抗9の位置はセパレータ2の重力方向上側の領域に限らず、セパレータ2のうち、氷結量が少ない領域であれば、他の領域に配置することができる。例えば、流入側の空気ポート5aが、セパレータ2の横側端部や下側端部に配置されている場合、その近傍の領域において局部加熱する領域とその周りの領域とを分けるように配置する。このようにしても、第6実施形態と同様の効果を有する。
【0098】
また、図10に本実施形態におけるセパレータの一例を示す。第4実施形態にて説明したように、セルのうち、流入側のガスポート4aの近傍の領域48は氷結量が少なく、領域48を除く領域51では氷結量が多い。したがって、セパレータ2のうち、流入側のガスポート4aの近傍の領域48において局部加熱を行う領域48aとその周りの領域48b、49とを分けるように配置することもできる。このようにしても第6実施形態と同様の効果を有する。
【0099】
(他の実施形態)
第1〜第3実施形態では、セパレータ2の表面上に高熱伝導率膜8を設ける場合を説明したが、これに限らず以下に示す手段等により、セパレータ2において、連鎖加熱を行う部位での熱伝導率が、局部加熱を行う部位での熱伝導率よりも高い構造とすることもできる。
【0100】
例えば、図4に示すセパレータ2において、局部加熱を行う部位41aの全部と連鎖加熱を行う他の部位の全部とを異なる材質により構成し、局部加熱を行う部位41aの熱伝導率の方が低く、他の部位の熱伝導率の方が高い構造とすることもできる。また、セパレータ2の他の部位41bの全部ではなく、一部を熱伝導率が高い材料にて構成することもできる。例えばセパレータ2の他の部位の全域において、電解質膜及び電極側の表面側部分をセパレータ2を主に構成する材料よりも熱伝導率が高い材質により構成することもできる。
【0101】
また、上記した各実施形態では、図2(a)に示すように、冷却水路は、左右方向に形成された溝が複数並列に配置された構成であったが、冷却水路の形状はこれに限らず、他の形状とすることもできる。例えば、流入側の冷却水ポート3aから流出側の冷却水ポート3bにかけて、セル内部を蛇行するように形成することもできる。
【0102】
また、上記した各実施形態では、冷却水を用いて加熱する場合を例として説明したが、燃料電池の加熱手段はこれに限らず、他の加熱手段を用いることもできる。例えば、電気式ヒータ等の加熱手段を用いて、燃料電池を構成する複数のセルの全てにおける一部の部位を直接的に加熱することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における燃料電池システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】図1中のセルの外観を示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)においてセルを上方向から見たときの平面図である。
【図3】(a)は図2(b)中におけるA−A線方向断面図であり、(b)は(a)中におけるB−B線方向断面図であり、(c)は(a)中におけるC−C線方向断面図である。
【図4】図3に示すセルのセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図5】第2実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図6】第3実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図7】第4実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図8】第5実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図9】第6実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【図10】第7実施形態におけるセパレータのうち、溝が形成されている部分を示す図である。
【符号の説明】
1…燃料電池、2…セパレータ、3…冷却水ポート、4…ガスポート、
5…空気ポート、6…冷却水路、7…空気経路、8…高熱伝導率膜、
9…熱抵抗、10…、11…インバータ、12…水素供給装置、
13…空気供給装置、20…熱媒体循環経路、21…ラジエータ、
22…ウォーターポンプ、30…バイパス経路、31…流路制御弁、
32…ヒータ、33…温度センサ。

Claims (11)

  1. 複数のセル(1a)を有して構成された燃料電池(1)と、前記燃料電池を加熱するための加熱手段(30、31、32、33)とを有し、前記加熱手段により前記複数のセルの全てにおける一部の部位(41a、42a、43a)を加熱し、前記一部の部位で発電させ、該発電のときに発生する熱を前記複数のセルの全てにおける前記一部の部位を除いた他の部位(41b、42b、43b)に拡散させることで、前記燃料電池を加熱する燃料電池システムであって、
    前記セルはセパレータ(2)を有し、前記セパレータは、前記一部の部位では熱が篭もりやすく、前記他の部位では熱が拡散しやすいように、前記一部の部位の方が熱伝導率が低く、前記他の部位の方が熱伝導率が高いことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記セパレータ(2)は、前記他の部位のうち、少なくとも氷結量が少ない部位(42b、43b)における熱伝導率が、前記一部の部位における熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記氷結量が少ない部分は、前記燃料電池(1)の重力方向軸に対し、前記セパレータ(2)の中央よりも上側の領域(42)であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記セパレータは空気及び燃料供給入り口(4a、5a)を有しており、
    前記氷結量が少ない部分は、前記セパレータ(2)のうち、中央よりも空気若しくは燃料供給入り口(4a、5a)側の領域(42、43)であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記セパレータ(2)は、前記他の部位の表面上に前記セパレータよりも熱伝導率が高い材料(8)を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  6. 前記セパレータ(2)は、厚さ方向における熱伝導率の方が厚さ方向と垂直な方向における熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 複数のセル(1a)を有して構成された燃料電池(1)と、前記燃料電池(1)を加熱するための加熱手段(30、31、32、33)とを有し、前記加熱手段により前記複数のセルの全てにおける一部の部位(44、46a、48a)を加熱し、前記一部の部位で発電させ、発電のときに発生する熱を前記複数のセルの全てにおける他の部位(45、46b、48b)に拡散させることで、前記燃料電池を加熱する燃料電池システムであって、
    前記セルはセパレータ(2)を有し、前記セパレータは、前記一部の部位では熱が篭もりやすく、前記他の部位では熱が拡散しやすいように、前記一部の部位と前記他の部位との間に熱抵抗(9)を有することを特徴とする燃料電池システム。
  8. 前記一部の部位は、前記セルのうち、氷結量が少ない部位(46、48)の少なくとも一部であることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記氷結量が少ない部位は、前記燃料電池(1)の重力方向軸に対し、前記セパレータの中央よりも上側の領域(46)であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記氷結量が少ない部位は、前記セパレータのうち、中央よりも空気若しくは燃料供給入り口(4a、5a)側の領域(46、48)であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料電池(1)の出力電力が燃料電池(1)自身を動作させるために必要な補機動力となるように、前記一部の部位の面積が決められていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
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