JP2004139800A - 非水電解液電池、及びその極板 - Google Patents
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Abstract
【課題】負極極板上にリチウム金属が析出しにくく、電池の性能を著しく損なわない非水電解液電池、及びその極板を提供する。
【解決手段】ケース内部にリチウム塩を溶解した有機電解液と、正極集電体へリチウム酸化物を含む正極合剤層を設けた正極極板31と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板41とを、セパレーター23を介して渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池において、正極極板31の正極合剤層が最内側の巻き部分37及び最初の折り返し部分39まで設けず、さらに、負極極板41の負極合剤層を正極合剤層が設けていない部分に相対する部分47に設けず、該正極極板31と負極極板41とをセパレーター23を介し渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池、及びその極板を特徴とする。
【選択図】 図5
【解決手段】ケース内部にリチウム塩を溶解した有機電解液と、正極集電体へリチウム酸化物を含む正極合剤層を設けた正極極板31と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板41とを、セパレーター23を介して渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池において、正極極板31の正極合剤層が最内側の巻き部分37及び最初の折り返し部分39まで設けず、さらに、負極極板41の負極合剤層を正極合剤層が設けていない部分に相対する部分47に設けず、該正極極板31と負極極板41とをセパレーター23を介し渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池、及びその極板を特徴とする。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池に関し、さらに詳しくは、発火、爆発の恐れのある負極極板へのリチウム金属の析出を防止する非水電解液電池、及びその極板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
(技術の背景)近年、AV機器,パソコン等のコードレス化、ポータブル化に伴い、これらの駆動用電源である電池に対しても、小型化、軽量化、高エネルギー密度化が要求されている。このため、従来のアルカリ蓄電池に代わり、高エネルギー密度で高電圧を有する非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池が提案されている。また、その形状としては、機器の薄型化、スペースの有効利用の点から薄型化の要望が高まっている。
非水電解液二次電池は、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き回し、非水電解液を満たした容器に密封されている。しかしながら、正極活物質量に対して負極活物質量が不足すると、充電反応時に正極から電解液中に離脱したリチウムイオンの全てを負極の炭素層間に挿入することができず、過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって負極極板上にデンドライト(柱状)析出するおそれがある。特に、負極の集電体が剥き出しになっている負極極板端面にはリチウム析出が起こりやすい。この析出物が成長すると、正極極板と負極極板の間にあるセパレータを突き破り、正極と負極を短絡させ、電池の性能を著しく損なうおそれがあり、発火、爆発に至る恐れもある。
【0003】
(従来技術)従来、充放電サイクル寿命の延長、高エネルギー密度化のため、正極又は負極合剤を結着材(バインダー)とともに集電体へ塗布しプレス処理して、極板を薄膜化するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。渦巻き状に巻き回した電極群を扁平にプレスしたり、熱加圧で一体化するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。コイン型電池の場合には、正極リード及び負極リードのタブ付け位置を逆にするものが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
しかしながら、いずれでも、充電反応時に過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって、負極極板にデンドライト(柱状)析出するおそれをなくすことは極めて困難であり、また、リチウム金属の析出を抑えるための、正極極板に設ける正極合剤層、負極極板に設ける負極合剤層の形状に対する記載や示唆は全くない。
また、負極極板の端面に相対する部分の正極極板の、正極合剤層を覆って厚さ10〜100μmの化学的に不活性なテープを貼り付けるものが知られている。しかしながら、テープ代がかかり、テープ貼り工程を必要とするので、生産性が低下し原価がかかり、さらに、テープの厚み分だけ電池内へ入る極板が少なくなるという欠点もある。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−285262号公報
【特許文献2】
特開2000−164259号公報
【特許文献3】
特開2002−117900号公報
【特許文献4】
特開2002−164076号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、正極極板、又は正極及び負極極板の合剤層を所定の塗布パターンとすることで、負極極板上にリチウム金属が析出しにくく、電池の性能を著しく損なわない非水電解液電池、及びその極板を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる非水電解液電池は、ケース内部にリチウム塩を溶解した有機電解液と、正極集電体へリチウム酸化物を含む正極合剤層を設けた正極極板と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板とを、セパレーターを介し非水電解液電池て渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池において、正極極板の正極合剤層が、最内側の巻き部分及び最初の折り返し部分まで設けられていないように、したものである。本発明によれば、特にリチウム金属析出が起こりやすい負極極板41の集電体が剥き出しになった先端部と、正極合剤層35とが相対しないで、電池性能を損なわない非水電解液電池が提供される。
請求項2の発明に係わる非水電解液電池は、正極合剤層が設けられていない正極極板に相対する部分に、負極極板の負極合剤層を設けないように、したものである。本発明によれば、巻き回しの最内側の巻き部分では、実質的に充放電反応が行われないため、リチウム金属の析出の恐れは極めて少なく、電池性能を損なわない。また、未設置部分の負極合剤層の原材料を節約でき、低コストな非水電解液電池が提供される。
請求項3の発明に係わる非水電解液電池は、非水電解液電池が、コイン型のリチウムイオン2次電池であるように、したものである。本発明によれば、複数回の充放電サイクルに耐え、電池性能を損なわない小型で薄いコイン型リチウムイオン2次電池が提供される。
請求項4の発明に係わる正極極板は、請求項1、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられものである。本発明によれば、負極極板41の集電体が剥き出しになった先端部へ、リチウム金属の析出が起こりにくい非水電解液電池に備えられる正極極板が提供される。
請求項5の発明に係わる負極極板は、請求項2、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられるものである。本発明によれば、巻き回しの最内側の巻き部分では実質的に充放電反応を行われず、リチウム金属の析出の恐れは極めて少なく、また、負極合剤層の原材料を節約できる低コストな非水電解液電池に備えられる負極極板が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様について、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
図2は、極板群の構成を示す断面図である。
(基本の構成)非水電解液電池1は、極板群21と電解液とが、ガスケット15を介して負極ケース11と正極ケース13に密閉されている。極板群21は正極極板31と負極極板41とが、セパレータ23を介して渦巻き状に巻き回されている。また、正極極板31と負極極板41は、それぞれが電気的に正極ケース13と負極ケース11に接続されて電池を形成している。
【0008】
(発明のポイント)正極極板31は正極集電体33へ正極合剤層35が形成され、同様に、負極極板41は負極集電体43へ負極合剤層45が形成されている。極板群21状態では、正極合剤層35と負極合剤層45がセパレータ23を介して、対向し相対している。前述のように、負極極板には、充電反応時にリチウム金属が析出するおそれがあるが、これをなくすことは極めて困難である。特に、負極の集電体が剥き出しになっている負極極板上にはリチウム金属がより析出しやすい。そこで、本発明者らは、リチウム金属が析出しやすい、巻き回しの最内巻き部分の正極合剤層35、及び正極合剤層35と負極合剤層45のパターンを所定の形状とすることで、電池性能を損なわず、また、生産性が低下せず、コストが上がらない、極板、及び電池を見出して、本発明に至った。
【0009】
図3は、本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
図4は、図3の正極極板、負極極板の断面図である。
(請求項1、4)図3、図4に示すように、正極極板31の正極合剤層35を最内側の巻き部分37及び最初の折り返し部分39まで設けないパターンとする。負極極板41とをセパレータ23を介して巻き回した際に、正極合剤層35は負極極板41の集電体が剥き出しとなった端部とは、相対させない。また、負極極板41の先端部は、集電体が剥き出しになり、特にリチウム金属析出が起こりやすいので、このような所定のパターン形状とする。
【0010】
図5は、本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
図6は、図5の正極極板、負極極板の断面図である。
(請求項2、5)さらにまた、図5、図6に示すように、上記の所定パターンの正極合剤層35に加えて、負極極板41の負極合剤層45を、正極極板に相対する部分47に設けない。このような所定のパターンで負極合剤層45を設けるので、巻き回しの最内側の巻き部分で、正極合剤層35と、さらに、正極合剤層35の未設置部分37と同39では実質的に充放電反応が行われないため、相対する部分の負極合剤層45を未設置とすることで、その分の原材料を節約でき、コストを抑えることができる。負極合剤層45とが相対することがなく、リチウム金属の析出の恐れは極めて少ない。
【0011】
(リチウムイオン電池)リチウムイオン電池とは、液状、ゲル状および高分子ポリマー状の電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き取り、非水電解液を満たした容器に密封することにより組み立てられる。正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成は、正極集電材、正極活性物質層、電解質層、負極活性物質層、負極集電材、及びそれらを包装する外装体からなる。
【0012】
(材料、製造方法)正極集電材としてはアルミニウム、ニッケルなどが適用できる。正極活性物質層としてはリチウム遷移金属複合酸化物、カルコゲン化合物、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子正極材料、導電助剤、バインダなどからの構成が適用できる。電解質層としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質などが適用できる。負極活性物質層としては、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、グラファイト、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料、バインダなどからの構成が適用できる。負極集電材としては銅、ニッケル、ステンレスなどが適用できる。リチウムイオン電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
【0013】
(電極)次に、電極について説明する。極板は集電体の少なくとも一方の面へパターン状に活物質からなる電極合剤層を設けたもので、該電極は電気を取り出す露出部と合剤層からなっている。電極の基体である集電体としては、通常は金属箔が用いられ、正極極板用としてはアルミニウム箔、負極極板用としては銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚さは、通常、5〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。
【0014】
集電体へ、活物質とバインダとを少なくとも含有する合剤層用塗工液を塗布し乾燥させて合剤層を形成する。本発明の合剤層は、前述した所定のパターン状に形成すればよい。また、1部に電気を取り出す露出部15を設け、該露出部15は、長手方向の端部や、長手方向に沿って設けてもよく、目的とする電池に合わせた位置やパタ−ン形状とすればよい。
【0015】
(合剤層層)合剤層は、活物質とバインダとを少なくとも含有する。活物質には、正極用活物質と負極用活物質がある。正極用活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2もしくはLiMn2O4等のリチウム遷移金属複合酸化物、またはTiS2、MnO2、MoO3もしくはV2O5等のカルコゲン化合物を例示することができる。これらの正極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。負極用活物質としては、例えば、金属リチウムまたはリチウム合金等のようなリチウム含有金属、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラックのような炭素質材料が好んで用いられる。特に、LiCoO2を正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用いることにより、4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系2次電池が得られる。前記正極活物質および前記負極活物質は、これらの活物質を塗工層中に均一に分散させるために、平均粒径が約1〜100μmの粉体であるのが好ましい。
【0016】
(バインダ)バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーをバインダ中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム系、フッ素系樹脂のバインダである。フッ素系樹脂はバインダとして好ましく用いられ、その中でもポリフッ化ビニリデンは特に好ましい。
【0017】
(合剤層用塗工液)活物質、バインダ、及び必要に応じてその他の成分を混合して合剤層用塗工液を調製する。例えば、適宜選択した活物質などとバインダとを、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、水或いはこれらの混合物のような有機溶剤の中に投入し、さらに必要に応じて導電剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミルまたはロールミル等の分散機により溶解又は分散して、塗工液を調製する。この時の配合割合は、塗工液全体を100重量部とした時に活物質とバインダの合計量が約35〜90重量部となるようにするのが好ましい。また、活物質とバインダとの配合割合は従来と同様でよく、例えば、正極の場合は活物質:バインダ=5:5〜9.9:0.1(重量比)程度とするのが好ましく、負極板の場合は活物質:バインダ=8:2〜9.9:0.1(重量比)程度とするのが好ましい。また導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラック等の炭素質材料が必要に応じて用いられる。
【0018】
(塗工方法)このようにして調製された塗工液を、集電体上に塗布・乾燥して、合剤層を形成する。合剤層用塗工液の塗工方法は、特に限定されないが、例えばスロットダイコート、スリットダイコート、スライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等のように、厚い塗工層を形成できる方法が適している。
【0019】
(パターン化法)合剤層を所定のパターン状に形成する方法は、塗工方法でコーターヘッドを機械的に制御しながら電極塗工液を集電体上に塗工して塗工部と非塗工部のパターンを直接形成する方法や、集電体の全面に塗工膜を形成した後でヘラなどの機械的手段により塗工膜を部分的に剥離させて非塗工部を形成する方法がある。前者の方法による場合には、塗工部又は非塗工部のパターンに合わせてコーターヘッド及び/又は集電体を動かしながらコーターヘッドからの活物質塗工液の吐出開始と吐出停止を繰り返したり、或いは、塗工作業が塗工部と非塗工部の境界に到達するたびに、コーターヘッド及び/又は集電体の移動停止とその再開、塗工面に対するコーターヘッドの離脱と再接近、電極塗工液の吐出停止とその再開をそれぞれ同調させて繰り返すなどの作業を行なう。
【0020】
また、合剤層に求められる厚さが比較的薄い場合には、予め集電体へ露出部15、及び本発明の合剤層のパターン状に剥離性の樹脂層を設けておき、剥離層上の合剤層もろとも剥離し除去することでもよい。この場合には、グラビアコートやグラビアリバースコート等により塗工してもよい。合剤層塗工液を所定のパターン状に塗工する必要がないので、スロットダイコート、スライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等により塗工する場合であっても、コーターヘッドを機械的に制御する必要がない。
【0021】
乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、バインダを架橋反応させて合剤層を得ることもできる。塗布と乾燥は、複数回繰り返してもよい。合剤層の厚さは、乾燥時で通常10〜200μm、好ましくは50〜170μmの範囲にする。
【0022】
(プレス加工)得られた合剤層をプレス加工する。該プレス加工により、極板の均質性が向上し、また、薄膜化することによって電池内に巻き込める極板の面積をより大きくできる。二次電池の性能に大きく影響を及ぼす正極および負極の各極板をプレス加工することで、充放電サイクル寿命を延長させ、また、エネルギー密度を高度化できる。プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行なう。プレス圧力は、通常4903〜73550N/cm2(500〜7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)である。4903N/cm2(500kgf/cm2)よりプレス圧力が小さいと合剤層の均質性が得られにくく、73550N/cm2(7500kgf/cm2)よりプレス圧力が大きいと集電体を含めて極板自体が破損してしまう場合がある。合剤層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上、及び/又は高密度化する目的で数回に分けてプレスしてもよい。
【0023】
ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を4.9〜19614N/cm(0.5kgf/cm〜2tf/cm)とする。プレス後の極板の厚さを考慮して、数回に分けてのプレスや多段プレスしてもよい。また、合剤層の乾燥途中で、その表面にポリエチレンテレフタレートフィルム等の表面平滑なフィルムを軽く圧着して再び剥離することによって、合剤層の表面を平滑化してもよい。
【0024】
(スリット、切断)極板の形状は細長く、例えば、携帯電話用のリチウムイオン電池の正極材であれば、短辺幅は20〜70mm、長辺の長さは0.2〜1m程度である。また、コイン電池であれば、短辺幅は1〜100mm程度、長辺の長さは50〜1000mm程度である。このために、上記で説明してきた極板の製造工程は、幅及び長さともに複数個がとれることができる広幅で、長尺の巻取体で加工する。プレス加工が終わった段階で、所定の幅及び長さへ、また、コイン型の場合には所定の形状に、切断して極板とする。
【0025】
図7は、本発明の1実施例を示すコイン型イオンリチウム2次電池の極板の外側、内側からみた平面図、及びその断面図である。
コイン型イオンリチウム2次電池は電池外形をコイン型とするために、極板も巻き回した後に、コイン型となるようにする。図7(B)は上記で説明した正極極板35で、図7(A)はその巻き回しの外側から見た展開平面図で、図7(C)はその巻き回し内側から見た展開平面図である。同様な形状に加工した負極極板45とセパレータ23を介して扁平状に巻き回すと、平面形状はコイン型となる。また、矩形状の極板を巻き回した後に、周辺を切断してコイン型としてもよい。
【0026】
(電池の組立)上記のような方法により作製された極板を用いて二次電池を作製する際には、電池の組立工程に移る前に合剤層中の水分を除去するために、加熱処理や減圧処理等をあらかじめ行うことが好ましい。
この極板を用いて、例えばリチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiOSO2CF3、LiOSO2C2F5、LiOSO2C3F7、LiOSO2C4F9、LiOSO2C5F11、LiOSO2C6F13、LiOSO2C7F15等の有機リチウム塩等が用いられる。
【0027】
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
【0028】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)(本発明の正極極板31)
活物質としてコバルト酸リチウム100質量部、導電剤としてアセチレンブラック粉末5質量部、バインダとしてポリ弗化ビニリデン樹脂5質量部を、溶剤(n−メチル−2ピロリドン)中へ溶解又は分散させて正極合剤組成物(インキ)を得た。該正極合剤組成物(インキ)を、正極集電体33として厚さが20μmのアルミニウム箔面へ、乾燥後の塗工量200g/m2になるようにダイコート法にて塗布し乾燥し、さらにもう一方の面にも同様に塗布し乾燥した。この時、塗布パターン(正極合剤層35のパターン)図3、図4に示す本発明の構成となるようなパターンとした。
両面に正極合剤層35を設けたアルミニウム箔を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが150μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、正極極板とした。
【0030】
(比較例1)(従来の正極極板31)
正極合剤層35の塗布パターンを、集電端子部を除き全面に塗布部する以外は、実施例1と同様にして、正極極板を得た。
【0031】
(実施例2)(本発明の負極極板41)
リチウムをドープ、脱ドープし得る黒鉛系材料を100質量部、導電剤としてグラファイト粉末を5質量部、バインダとしてポリ弗化ビニリデン樹脂5質量部を、溶剤(n−メチル−2ピロリドン)中へ溶解又は分散させて負極合剤組成物(インキ)を得た。該負極合剤組成物(インキ)を、負極集電体43として厚さが14μmの銅箔面へ、乾燥後の塗工量100g/m2になるようにダイコート法にて塗布し乾燥し、さらにもう一方の面にも同様に塗布し乾燥した。この時、塗布パターン(負極合剤層45のパターン)図5、図6に示す本発明の構成となるようなパターンとした。両面に負極合剤層45を設けた銅箔を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが150μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、負極極板とした。
【0032】
(比較例2)(従来の負極極板)
負極合剤層45の塗布パターンを、集電端子部を除き全面に塗布部する以外は、実施例2と同様にして、負極極板を得た。
【0033】
(実施例3)(請求項1の電池、本発明の正極と従来の負極)
実施例1の本発明の正極極板と比較例2の従来の負極極板との間に、ポリプロピレン製のマイクロポーラスフィルムからなるセパレータ23を介して、積層し数回巻き回して、扁平な渦巻き状とした後に、平面形状が略四角形となった該電極群の角部を円弧にカットして極板群を得た。該電極のリード端子部分を電池容器の内底部、電池封止板の内天部にそれぞれスポット溶接して接続した。電池容器としては、円形半殻体の正極及び負極ケースを用い、非水溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1(質量比)溶液にLiPF6を1mol/1L溶解し有機電解液(非水電解液)とした。この有機電解液を電極を収納した電池容器に注入し、電池容器と封口板をポリプロピレン製パッキンを介してかしめて密閉してコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0034】
(実施例4)(請求項2の電池、本発明の正極と本発明の負極)
実施例1の本発明の正極極板と実施例2の本発明の負極極板とを用いる以外は、実施例3と同様にしてコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0035】
(比較例3)(従来極板の電池)
比較例1の従来の正極極板と比較例2の従来の負極極板とを用いる以外は、実施例3と同様にしてコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0036】
(評価)評価方法としては、各々の電池10個の充放電試験を行い、500サイクル以上の充放電正常が100%であるもの合格とし、合格した場合には、さらに100サイクルを行った。
実施例3は充放電500サイクルでは10個中10個が正常に機能し、600サイクルでも10個中8個が正常に機能した。
実施例4は充放電500サイクルでは10個中10個が正常に機能し、600サイクルでも10個中10個が正常に機能した。
比較例3は充放電500サイクルでも正常に機能するものが10個中9個であり、機能不良品を分解したところ、巻き回し最内層が短絡していた。また、正常に機能したもの電池容量も、実施例4と比較して3〜5%程度少なかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の正極極板31は、負極極板41の端面に相対する部分と巻き回した場合の巻芯部の1パターン部分とに、正極合剤層35を設けない正極極板31とすることで、次の効果が現われる。テープの貼り工程が不要となって、生産性向上、コストダウンできる。また、正極合剤35をパターン化する必要が発生するが、パターンは単純な形状であり、正極合剤35を形成する工程は従来と同様な工程でよい。
本発明の負極極板31は、正極合剤層35が設けられていない巻芯部1パターンに相対する部分に、負極合剤層45を設けないようにすることで、巻き回し後の極板群の厚みをより薄くできる。また、正極合剤層35の未設置部分37と同39では実質的に充放電反応が行われないため、相対する部分の負極合剤層45を未設置とすることで、その分の原材料を節約でき、コストを抑えることができる。正極合剤層35と負極合剤層45とが相対することがなく、リチウム金属の析出の恐れは極めて少ない。
【0038】
本発明の正極極板31、及び/又は本発明の負極極板41を用いた本発明の非水電解液電池1は、テープが不要となって電池内へ入る電極量が多くでき、電池容量が増加できる。また、正極合剤35及び/又は負極合剤45が相対しないことで、負極極板41の端部にリチウム金属が析出しにくく、電池の性能を著しく損なわず、また、発火や爆発の恐れも極めて減ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
【図2】極板群の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
【図4】図3の正極極板、負極極板の断面図である。
【図5】本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
【図6】図5の正極極板、負極極板の断面図である。
【図7】本発明の1実施例を示すコイン型イオンリチウム2次電池の極板の外側、内側からみた平面図、及びその断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池
11 負極ケース
13 正極ケース
15 ガスケット
21 極板群
23 セパレータ
31 正極極板
33 正極集電体
35 正極合剤層
37 最内側の巻き部分
39 最初の折り返し部分
41 負極極板
43 負極集電体
45 負極合剤層
47 相対部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池に関し、さらに詳しくは、発火、爆発の恐れのある負極極板へのリチウム金属の析出を防止する非水電解液電池、及びその極板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
(技術の背景)近年、AV機器,パソコン等のコードレス化、ポータブル化に伴い、これらの駆動用電源である電池に対しても、小型化、軽量化、高エネルギー密度化が要求されている。このため、従来のアルカリ蓄電池に代わり、高エネルギー密度で高電圧を有する非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池が提案されている。また、その形状としては、機器の薄型化、スペースの有効利用の点から薄型化の要望が高まっている。
非水電解液二次電池は、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き回し、非水電解液を満たした容器に密封されている。しかしながら、正極活物質量に対して負極活物質量が不足すると、充電反応時に正極から電解液中に離脱したリチウムイオンの全てを負極の炭素層間に挿入することができず、過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって負極極板上にデンドライト(柱状)析出するおそれがある。特に、負極の集電体が剥き出しになっている負極極板端面にはリチウム析出が起こりやすい。この析出物が成長すると、正極極板と負極極板の間にあるセパレータを突き破り、正極と負極を短絡させ、電池の性能を著しく損なうおそれがあり、発火、爆発に至る恐れもある。
【0003】
(従来技術)従来、充放電サイクル寿命の延長、高エネルギー密度化のため、正極又は負極合剤を結着材(バインダー)とともに集電体へ塗布しプレス処理して、極板を薄膜化するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。渦巻き状に巻き回した電極群を扁平にプレスしたり、熱加圧で一体化するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。コイン型電池の場合には、正極リード及び負極リードのタブ付け位置を逆にするものが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
しかしながら、いずれでも、充電反応時に過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって、負極極板にデンドライト(柱状)析出するおそれをなくすことは極めて困難であり、また、リチウム金属の析出を抑えるための、正極極板に設ける正極合剤層、負極極板に設ける負極合剤層の形状に対する記載や示唆は全くない。
また、負極極板の端面に相対する部分の正極極板の、正極合剤層を覆って厚さ10〜100μmの化学的に不活性なテープを貼り付けるものが知られている。しかしながら、テープ代がかかり、テープ貼り工程を必要とするので、生産性が低下し原価がかかり、さらに、テープの厚み分だけ電池内へ入る極板が少なくなるという欠点もある。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−285262号公報
【特許文献2】
特開2000−164259号公報
【特許文献3】
特開2002−117900号公報
【特許文献4】
特開2002−164076号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、正極極板、又は正極及び負極極板の合剤層を所定の塗布パターンとすることで、負極極板上にリチウム金属が析出しにくく、電池の性能を著しく損なわない非水電解液電池、及びその極板を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる非水電解液電池は、ケース内部にリチウム塩を溶解した有機電解液と、正極集電体へリチウム酸化物を含む正極合剤層を設けた正極極板と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板とを、セパレーターを介し非水電解液電池て渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池において、正極極板の正極合剤層が、最内側の巻き部分及び最初の折り返し部分まで設けられていないように、したものである。本発明によれば、特にリチウム金属析出が起こりやすい負極極板41の集電体が剥き出しになった先端部と、正極合剤層35とが相対しないで、電池性能を損なわない非水電解液電池が提供される。
請求項2の発明に係わる非水電解液電池は、正極合剤層が設けられていない正極極板に相対する部分に、負極極板の負極合剤層を設けないように、したものである。本発明によれば、巻き回しの最内側の巻き部分では、実質的に充放電反応が行われないため、リチウム金属の析出の恐れは極めて少なく、電池性能を損なわない。また、未設置部分の負極合剤層の原材料を節約でき、低コストな非水電解液電池が提供される。
請求項3の発明に係わる非水電解液電池は、非水電解液電池が、コイン型のリチウムイオン2次電池であるように、したものである。本発明によれば、複数回の充放電サイクルに耐え、電池性能を損なわない小型で薄いコイン型リチウムイオン2次電池が提供される。
請求項4の発明に係わる正極極板は、請求項1、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられものである。本発明によれば、負極極板41の集電体が剥き出しになった先端部へ、リチウム金属の析出が起こりにくい非水電解液電池に備えられる正極極板が提供される。
請求項5の発明に係わる負極極板は、請求項2、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられるものである。本発明によれば、巻き回しの最内側の巻き部分では実質的に充放電反応を行われず、リチウム金属の析出の恐れは極めて少なく、また、負極合剤層の原材料を節約できる低コストな非水電解液電池に備えられる負極極板が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様について、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
図2は、極板群の構成を示す断面図である。
(基本の構成)非水電解液電池1は、極板群21と電解液とが、ガスケット15を介して負極ケース11と正極ケース13に密閉されている。極板群21は正極極板31と負極極板41とが、セパレータ23を介して渦巻き状に巻き回されている。また、正極極板31と負極極板41は、それぞれが電気的に正極ケース13と負極ケース11に接続されて電池を形成している。
【0008】
(発明のポイント)正極極板31は正極集電体33へ正極合剤層35が形成され、同様に、負極極板41は負極集電体43へ負極合剤層45が形成されている。極板群21状態では、正極合剤層35と負極合剤層45がセパレータ23を介して、対向し相対している。前述のように、負極極板には、充電反応時にリチウム金属が析出するおそれがあるが、これをなくすことは極めて困難である。特に、負極の集電体が剥き出しになっている負極極板上にはリチウム金属がより析出しやすい。そこで、本発明者らは、リチウム金属が析出しやすい、巻き回しの最内巻き部分の正極合剤層35、及び正極合剤層35と負極合剤層45のパターンを所定の形状とすることで、電池性能を損なわず、また、生産性が低下せず、コストが上がらない、極板、及び電池を見出して、本発明に至った。
【0009】
図3は、本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
図4は、図3の正極極板、負極極板の断面図である。
(請求項1、4)図3、図4に示すように、正極極板31の正極合剤層35を最内側の巻き部分37及び最初の折り返し部分39まで設けないパターンとする。負極極板41とをセパレータ23を介して巻き回した際に、正極合剤層35は負極極板41の集電体が剥き出しとなった端部とは、相対させない。また、負極極板41の先端部は、集電体が剥き出しになり、特にリチウム金属析出が起こりやすいので、このような所定のパターン形状とする。
【0010】
図5は、本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
図6は、図5の正極極板、負極極板の断面図である。
(請求項2、5)さらにまた、図5、図6に示すように、上記の所定パターンの正極合剤層35に加えて、負極極板41の負極合剤層45を、正極極板に相対する部分47に設けない。このような所定のパターンで負極合剤層45を設けるので、巻き回しの最内側の巻き部分で、正極合剤層35と、さらに、正極合剤層35の未設置部分37と同39では実質的に充放電反応が行われないため、相対する部分の負極合剤層45を未設置とすることで、その分の原材料を節約でき、コストを抑えることができる。負極合剤層45とが相対することがなく、リチウム金属の析出の恐れは極めて少ない。
【0011】
(リチウムイオン電池)リチウムイオン電池とは、液状、ゲル状および高分子ポリマー状の電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き取り、非水電解液を満たした容器に密封することにより組み立てられる。正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成は、正極集電材、正極活性物質層、電解質層、負極活性物質層、負極集電材、及びそれらを包装する外装体からなる。
【0012】
(材料、製造方法)正極集電材としてはアルミニウム、ニッケルなどが適用できる。正極活性物質層としてはリチウム遷移金属複合酸化物、カルコゲン化合物、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子正極材料、導電助剤、バインダなどからの構成が適用できる。電解質層としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質などが適用できる。負極活性物質層としては、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、グラファイト、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料、バインダなどからの構成が適用できる。負極集電材としては銅、ニッケル、ステンレスなどが適用できる。リチウムイオン電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
【0013】
(電極)次に、電極について説明する。極板は集電体の少なくとも一方の面へパターン状に活物質からなる電極合剤層を設けたもので、該電極は電気を取り出す露出部と合剤層からなっている。電極の基体である集電体としては、通常は金属箔が用いられ、正極極板用としてはアルミニウム箔、負極極板用としては銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚さは、通常、5〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。
【0014】
集電体へ、活物質とバインダとを少なくとも含有する合剤層用塗工液を塗布し乾燥させて合剤層を形成する。本発明の合剤層は、前述した所定のパターン状に形成すればよい。また、1部に電気を取り出す露出部15を設け、該露出部15は、長手方向の端部や、長手方向に沿って設けてもよく、目的とする電池に合わせた位置やパタ−ン形状とすればよい。
【0015】
(合剤層層)合剤層は、活物質とバインダとを少なくとも含有する。活物質には、正極用活物質と負極用活物質がある。正極用活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2もしくはLiMn2O4等のリチウム遷移金属複合酸化物、またはTiS2、MnO2、MoO3もしくはV2O5等のカルコゲン化合物を例示することができる。これらの正極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。負極用活物質としては、例えば、金属リチウムまたはリチウム合金等のようなリチウム含有金属、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラックのような炭素質材料が好んで用いられる。特に、LiCoO2を正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用いることにより、4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系2次電池が得られる。前記正極活物質および前記負極活物質は、これらの活物質を塗工層中に均一に分散させるために、平均粒径が約1〜100μmの粉体であるのが好ましい。
【0016】
(バインダ)バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーをバインダ中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム系、フッ素系樹脂のバインダである。フッ素系樹脂はバインダとして好ましく用いられ、その中でもポリフッ化ビニリデンは特に好ましい。
【0017】
(合剤層用塗工液)活物質、バインダ、及び必要に応じてその他の成分を混合して合剤層用塗工液を調製する。例えば、適宜選択した活物質などとバインダとを、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、水或いはこれらの混合物のような有機溶剤の中に投入し、さらに必要に応じて導電剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミルまたはロールミル等の分散機により溶解又は分散して、塗工液を調製する。この時の配合割合は、塗工液全体を100重量部とした時に活物質とバインダの合計量が約35〜90重量部となるようにするのが好ましい。また、活物質とバインダとの配合割合は従来と同様でよく、例えば、正極の場合は活物質:バインダ=5:5〜9.9:0.1(重量比)程度とするのが好ましく、負極板の場合は活物質:バインダ=8:2〜9.9:0.1(重量比)程度とするのが好ましい。また導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラック等の炭素質材料が必要に応じて用いられる。
【0018】
(塗工方法)このようにして調製された塗工液を、集電体上に塗布・乾燥して、合剤層を形成する。合剤層用塗工液の塗工方法は、特に限定されないが、例えばスロットダイコート、スリットダイコート、スライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等のように、厚い塗工層を形成できる方法が適している。
【0019】
(パターン化法)合剤層を所定のパターン状に形成する方法は、塗工方法でコーターヘッドを機械的に制御しながら電極塗工液を集電体上に塗工して塗工部と非塗工部のパターンを直接形成する方法や、集電体の全面に塗工膜を形成した後でヘラなどの機械的手段により塗工膜を部分的に剥離させて非塗工部を形成する方法がある。前者の方法による場合には、塗工部又は非塗工部のパターンに合わせてコーターヘッド及び/又は集電体を動かしながらコーターヘッドからの活物質塗工液の吐出開始と吐出停止を繰り返したり、或いは、塗工作業が塗工部と非塗工部の境界に到達するたびに、コーターヘッド及び/又は集電体の移動停止とその再開、塗工面に対するコーターヘッドの離脱と再接近、電極塗工液の吐出停止とその再開をそれぞれ同調させて繰り返すなどの作業を行なう。
【0020】
また、合剤層に求められる厚さが比較的薄い場合には、予め集電体へ露出部15、及び本発明の合剤層のパターン状に剥離性の樹脂層を設けておき、剥離層上の合剤層もろとも剥離し除去することでもよい。この場合には、グラビアコートやグラビアリバースコート等により塗工してもよい。合剤層塗工液を所定のパターン状に塗工する必要がないので、スロットダイコート、スライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等により塗工する場合であっても、コーターヘッドを機械的に制御する必要がない。
【0021】
乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、バインダを架橋反応させて合剤層を得ることもできる。塗布と乾燥は、複数回繰り返してもよい。合剤層の厚さは、乾燥時で通常10〜200μm、好ましくは50〜170μmの範囲にする。
【0022】
(プレス加工)得られた合剤層をプレス加工する。該プレス加工により、極板の均質性が向上し、また、薄膜化することによって電池内に巻き込める極板の面積をより大きくできる。二次電池の性能に大きく影響を及ぼす正極および負極の各極板をプレス加工することで、充放電サイクル寿命を延長させ、また、エネルギー密度を高度化できる。プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行なう。プレス圧力は、通常4903〜73550N/cm2(500〜7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)である。4903N/cm2(500kgf/cm2)よりプレス圧力が小さいと合剤層の均質性が得られにくく、73550N/cm2(7500kgf/cm2)よりプレス圧力が大きいと集電体を含めて極板自体が破損してしまう場合がある。合剤層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上、及び/又は高密度化する目的で数回に分けてプレスしてもよい。
【0023】
ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を4.9〜19614N/cm(0.5kgf/cm〜2tf/cm)とする。プレス後の極板の厚さを考慮して、数回に分けてのプレスや多段プレスしてもよい。また、合剤層の乾燥途中で、その表面にポリエチレンテレフタレートフィルム等の表面平滑なフィルムを軽く圧着して再び剥離することによって、合剤層の表面を平滑化してもよい。
【0024】
(スリット、切断)極板の形状は細長く、例えば、携帯電話用のリチウムイオン電池の正極材であれば、短辺幅は20〜70mm、長辺の長さは0.2〜1m程度である。また、コイン電池であれば、短辺幅は1〜100mm程度、長辺の長さは50〜1000mm程度である。このために、上記で説明してきた極板の製造工程は、幅及び長さともに複数個がとれることができる広幅で、長尺の巻取体で加工する。プレス加工が終わった段階で、所定の幅及び長さへ、また、コイン型の場合には所定の形状に、切断して極板とする。
【0025】
図7は、本発明の1実施例を示すコイン型イオンリチウム2次電池の極板の外側、内側からみた平面図、及びその断面図である。
コイン型イオンリチウム2次電池は電池外形をコイン型とするために、極板も巻き回した後に、コイン型となるようにする。図7(B)は上記で説明した正極極板35で、図7(A)はその巻き回しの外側から見た展開平面図で、図7(C)はその巻き回し内側から見た展開平面図である。同様な形状に加工した負極極板45とセパレータ23を介して扁平状に巻き回すと、平面形状はコイン型となる。また、矩形状の極板を巻き回した後に、周辺を切断してコイン型としてもよい。
【0026】
(電池の組立)上記のような方法により作製された極板を用いて二次電池を作製する際には、電池の組立工程に移る前に合剤層中の水分を除去するために、加熱処理や減圧処理等をあらかじめ行うことが好ましい。
この極板を用いて、例えばリチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiOSO2CF3、LiOSO2C2F5、LiOSO2C3F7、LiOSO2C4F9、LiOSO2C5F11、LiOSO2C6F13、LiOSO2C7F15等の有機リチウム塩等が用いられる。
【0027】
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
【0028】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)(本発明の正極極板31)
活物質としてコバルト酸リチウム100質量部、導電剤としてアセチレンブラック粉末5質量部、バインダとしてポリ弗化ビニリデン樹脂5質量部を、溶剤(n−メチル−2ピロリドン)中へ溶解又は分散させて正極合剤組成物(インキ)を得た。該正極合剤組成物(インキ)を、正極集電体33として厚さが20μmのアルミニウム箔面へ、乾燥後の塗工量200g/m2になるようにダイコート法にて塗布し乾燥し、さらにもう一方の面にも同様に塗布し乾燥した。この時、塗布パターン(正極合剤層35のパターン)図3、図4に示す本発明の構成となるようなパターンとした。
両面に正極合剤層35を設けたアルミニウム箔を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが150μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、正極極板とした。
【0030】
(比較例1)(従来の正極極板31)
正極合剤層35の塗布パターンを、集電端子部を除き全面に塗布部する以外は、実施例1と同様にして、正極極板を得た。
【0031】
(実施例2)(本発明の負極極板41)
リチウムをドープ、脱ドープし得る黒鉛系材料を100質量部、導電剤としてグラファイト粉末を5質量部、バインダとしてポリ弗化ビニリデン樹脂5質量部を、溶剤(n−メチル−2ピロリドン)中へ溶解又は分散させて負極合剤組成物(インキ)を得た。該負極合剤組成物(インキ)を、負極集電体43として厚さが14μmの銅箔面へ、乾燥後の塗工量100g/m2になるようにダイコート法にて塗布し乾燥し、さらにもう一方の面にも同様に塗布し乾燥した。この時、塗布パターン(負極合剤層45のパターン)図5、図6に示す本発明の構成となるようなパターンとした。両面に負極合剤層45を設けた銅箔を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが150μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、負極極板とした。
【0032】
(比較例2)(従来の負極極板)
負極合剤層45の塗布パターンを、集電端子部を除き全面に塗布部する以外は、実施例2と同様にして、負極極板を得た。
【0033】
(実施例3)(請求項1の電池、本発明の正極と従来の負極)
実施例1の本発明の正極極板と比較例2の従来の負極極板との間に、ポリプロピレン製のマイクロポーラスフィルムからなるセパレータ23を介して、積層し数回巻き回して、扁平な渦巻き状とした後に、平面形状が略四角形となった該電極群の角部を円弧にカットして極板群を得た。該電極のリード端子部分を電池容器の内底部、電池封止板の内天部にそれぞれスポット溶接して接続した。電池容器としては、円形半殻体の正極及び負極ケースを用い、非水溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1(質量比)溶液にLiPF6を1mol/1L溶解し有機電解液(非水電解液)とした。この有機電解液を電極を収納した電池容器に注入し、電池容器と封口板をポリプロピレン製パッキンを介してかしめて密閉してコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0034】
(実施例4)(請求項2の電池、本発明の正極と本発明の負極)
実施例1の本発明の正極極板と実施例2の本発明の負極極板とを用いる以外は、実施例3と同様にしてコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0035】
(比較例3)(従来極板の電池)
比較例1の従来の正極極板と比較例2の従来の負極極板とを用いる以外は、実施例3と同様にしてコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0036】
(評価)評価方法としては、各々の電池10個の充放電試験を行い、500サイクル以上の充放電正常が100%であるもの合格とし、合格した場合には、さらに100サイクルを行った。
実施例3は充放電500サイクルでは10個中10個が正常に機能し、600サイクルでも10個中8個が正常に機能した。
実施例4は充放電500サイクルでは10個中10個が正常に機能し、600サイクルでも10個中10個が正常に機能した。
比較例3は充放電500サイクルでも正常に機能するものが10個中9個であり、機能不良品を分解したところ、巻き回し最内層が短絡していた。また、正常に機能したもの電池容量も、実施例4と比較して3〜5%程度少なかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の正極極板31は、負極極板41の端面に相対する部分と巻き回した場合の巻芯部の1パターン部分とに、正極合剤層35を設けない正極極板31とすることで、次の効果が現われる。テープの貼り工程が不要となって、生産性向上、コストダウンできる。また、正極合剤35をパターン化する必要が発生するが、パターンは単純な形状であり、正極合剤35を形成する工程は従来と同様な工程でよい。
本発明の負極極板31は、正極合剤層35が設けられていない巻芯部1パターンに相対する部分に、負極合剤層45を設けないようにすることで、巻き回し後の極板群の厚みをより薄くできる。また、正極合剤層35の未設置部分37と同39では実質的に充放電反応が行われないため、相対する部分の負極合剤層45を未設置とすることで、その分の原材料を節約でき、コストを抑えることができる。正極合剤層35と負極合剤層45とが相対することがなく、リチウム金属の析出の恐れは極めて少ない。
【0038】
本発明の正極極板31、及び/又は本発明の負極極板41を用いた本発明の非水電解液電池1は、テープが不要となって電池内へ入る電極量が多くでき、電池容量が増加できる。また、正極合剤35及び/又は負極合剤45が相対しないことで、負極極板41の端部にリチウム金属が析出しにくく、電池の性能を著しく損なわず、また、発火や爆発の恐れも極めて減ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
【図2】極板群の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
【図4】図3の正極極板、負極極板の断面図である。
【図5】本発明の1実施例を示す極板群の最内部の状態の断面図である。
【図6】図5の正極極板、負極極板の断面図である。
【図7】本発明の1実施例を示すコイン型イオンリチウム2次電池の極板の外側、内側からみた平面図、及びその断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池
11 負極ケース
13 正極ケース
15 ガスケット
21 極板群
23 セパレータ
31 正極極板
33 正極集電体
35 正極合剤層
37 最内側の巻き部分
39 最初の折り返し部分
41 負極極板
43 負極集電体
45 負極合剤層
47 相対部分
Claims (5)
- ケース内部にリチウム塩を溶解した有機電解液と、正極集電体へリチウム酸化物を含む正極合剤層を設けた正極極板と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板とを、セパレーターを介して渦巻き状に巻回した極板群を備えた非水電解液電池において、正極極板の正極合剤層が、最内側の巻き部分及び最初の折り返し部分まで設けられていないことを特徴とする非水電解液電池。
- 正極合剤層が設けられていない正極極板に相対する部分に、負極極板の負極合剤層を設けないことを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
- 非水電解液電池が、コイン型のリチウムイオン2次電池であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の非水電解液電池。
- 請求項1、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられる正極極板。
- 請求項2、3のいずれかに記載の非水電解液電池に備えられる負極極板。
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