JP2004139683A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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猪狩 孝洋
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Abstract

【課題】磁気記録媒体の面内配向性を高め、低ノイズ化、および良好な磁気特性、電磁変換特性を実現する。
【解決手段】非磁性の基板1上に、Coを主成分とする磁気記録層3を有する磁気記録媒体10において、上記基板1と、上記磁気記録層3との間に、RuおよびOからなる下地層2を形成する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューターの記憶装置等として、従来ハードディスクドライブが用いられている。このハードディスクドライブは、表面が高精度に研磨されたアルミニウムあるいはガラス等からなるディスク基板上に信号記録層が形成された磁気ディスクを記録媒体として用い、この磁気ディスクの信号記録領域上に、磁気ヘッドを搭載した浮上スライダを所定の浮上量で浮上させて、信号の書き込み及び/又は読み出しを行うようにしている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
上記のようなハードディスクドライブは、その記憶容量および高速なデータ転送速度からコンピューターの記憶装置としてのみならず、家庭用VTR等の代替としてAV市場での普及が見込まれている。
【0003】
一方、最近のコンピューターの低価格化に伴い、ハードディスクドライブあるいは内蔵される磁気ディスクの低コスト化、低価格化が強く望まれている。また、AV市場での普及を考えた場合、ハードディスクドライブの低価格化は、今後においても一層重要な課題となると考えられる。
上記のような要望に応えるために、磁気ディスク基板として、従来のアルミニウム基板よりも低コストで製造が可能な樹脂製磁気ディスク基板が注目されている。
【0004】
ところでハードディスクドライブでは、磁気ヘッドを搭載したスライダが磁気ディスク表面上を20nm程度浮上し、信号の書き込み及び/又は読み出しを行うため、磁気ディスク表面の20nm以上の突起はヘッドクラッシュの原因となる。
従来のアルミニウム基板では、以下のような作製方法によりそのような突起の無い極めて平滑性に優れたディスク表面を得ている。
先ず、アルミニウムからなる母材から基板形状のアルミニウムを切り出す。次にこの切り出したアルミニウム基板に対して高精度な研摩を施す。すなわち、平滑なディスク表面を得るために研摩と洗浄を繰り返し行う。このとき、研摩は繰り返す毎に砥粒の粒径を小さくしていく。このような工程により最終的に、ヘッドクラッシュの原因となる20nm以上の突起を基板表面から除去する。
【0005】
上述したようなアルミニウム基板に対して、樹脂製の基板の場合には、射出成形によって成形されるため、基板表面の粗さは成形に用いるスタンパ表面の粗さに対応し、高精度に平滑化されたスタンパを用いることで表面粗さの小さいディスク基板が生産でき、かつ研摩・洗浄工程を必要としないため、製造コストの低減化が図られる。
【0006】
最近においては、AV用途でのハードディスクドライブの利用や、PCでの画像加工、動画編集など扱うデータ量も以前に比べ格段に増加しているため、磁気ディスクの面記録密度の一層の向上が望まれている。
このような高記録密度化を実現するためには、磁気記録層の高保磁力化、媒体ノイズの低減化、媒体S/Nの改善を図ることが必要不可欠である。
【0007】
一般に、上述したようなアルミニウム基板やガラス基板を用いる場合には、記録膜成膜時に基板温度を200℃以上に高めながらスパッタリング等の膜形成手段により各種下地層や磁性層の形成がなされる。
【0008】
従来下地層としては、CrまたはCrを主成分とするCr合金膜が適用されている。基板加熱成膜を行う場合には、Cr(200)配向が容易に得られるため、引き続いて磁性層を成膜した場合、Cr(200)面と格子間隔のほぼ等しいCoの(110)面が得られる。
すなわち、Cr合金系下地層を適用することにより、Coの磁化容易軸であるc軸が膜面内配向した面内磁気記録層が得られる。
【0009】
一方、Ruは、磁性層の主成分であるCoと同様に六方最密構造をとり、またCoとa軸、c軸はそれぞれ約8%、5%異なるのみでほぼ同様の結晶構造となる。
そのためRuを下地層として用い、c軸が面内に配向した構造、望ましくは(100)配向、あるいは(110)配向が得られれば、Cr下地層以上に磁性層の面内配向性を高めることができ、良好な磁気特性および電磁変換特性が得られると考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−6158号公報
【特許文献2】
特開2000−156530号公報
【特許文献3】
特開平5−143953号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミニウム基板よりも熱に対する軟化点の低いプラスチック基板を用いる場合、上述したような基板加熱を行う膜形成手段を適用できないという問題がある。
そのため、プラスチック基板上にCrまたはCrを主成分とする合金膜を下地層として成膜しても、Cr(200)配向は得られず、従って磁性層の良好な面内磁気特性は得られない。
【0012】
また、六方最密構造であるRuをプラスチック基板上に成膜すると、エネルギー準位の低い(002)面が優先的に成長し、磁性層も同様に(002)面が成長してしまうため、Ru下地層のみでも磁性層に面内磁気特性を付与することはできない。
【0013】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、プラスチックを基板として用いた場合にも、Ruの(002)配向を抑制し、Ruのc軸が面内に配向した結晶構造とした磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法を提供するに至り、磁気記録媒体の低コスト化を実現しつつノイズの低減化、および磁性層の磁気特性、電磁変換特性を改善を図った。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性の基板上に、Coを主成分とする磁気記録層を有する磁気記録媒体であり、基板と磁気記録層との間に、RuおよびOからなる下地層が形成されている構成を有するものとする。
【0015】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性の基板上に下地層を形成する工程と、この下地層上に磁気記録層を形成する工程とを有するものとし、この下地層を形成する工程においては、製膜ガスとしてArに2〜5%の酸素ガスが添加されたものを用いて、スパッタ法によって製膜するものとする。
【0016】
本発明によれば、磁気記録媒体の磁気記録層の面内配向性を高めることができ、低コスト化を図りつつ、低ノイズ化、および良好な磁気特性、電磁変換特性を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら本発明の磁気記録媒体とその製造方法の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体10の一例の概略断面図を図1に示す。
磁気記録媒体10は、プラスチック製の基板1上に、下地層2、磁気記録層3および保護層4が積層形成された構成を有している。
【0018】
基板1形成用材料としては、熱可塑性の樹脂であれば従来公知のものを適用できるが、例えばポリカーボネートを好適なものとして挙げられる。基板1は従来公知の射出成型法によって成型することができる。
【0019】
下地層2は、RuおよびOからなるものとし、膜厚は20nm〜40nmとすることが好適である。
下地層2は、従来公知のマグネトロンスパッタ製膜装置を用いて、スパッタ法によって製膜することができるが、製膜ガスとしては、特にArガスに2〜5%の酸素ガスが添加されたものが好適である。
【0020】
磁気記録層3はCoを主成分とするものとし、従来公知のスパッタ法によって製膜することができる。
【0021】
保護層4はカーボン膜として形成することができ、また、Ru(100)配向を促進するため、図2に示すように基板1と下地層2との間に例えばCr−W膜よりなるシード層5を形成してもよい。
また、磁気記録媒体10の最表面には従来公知の潤滑剤により潤滑剤層を形成してもよい。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例においては、ディスク状の磁気記録媒体について示すが、本発明の磁気記録媒体は、従来公知の各種形状に適用することができ、以下に示す例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を、射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層2を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、1%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
上記のようにCr−Wシード層5の表面を酸素雰囲気中で酸化させるのは、Ru下地層2の(100)配向をより促進させるためである。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0024】
(実施例2)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、2%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0025】
(実施例3)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、3%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0026】
(実施例4)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、4%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0027】
(実施例5)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0028】
(実施例6)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、5nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0029】
(実施例7)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、10nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0030】
(実施例8)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、15nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0031】
(実施例9)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、20nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0032】
(実施例10)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、25nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0033】
(実施例11)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0034】
(実施例12)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、35nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0035】
(実施例13)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、40nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0036】
(実施例14)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、45nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0037】
(実施例15)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、5%の酸素ガスを混合したArガス中で、50nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0038】
(比較例1)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、スパッタガス中に酸素ガスを添加せず、純Arガス中で30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0039】
(比較例2)
直径3.5インチサイズの樹脂製のディスク基板1を射出成形法により成型し、基板1上にスパッタ法により、Crに16atom%のWを添加したシード層5を8nmの膜厚に形成した。
次に、Cr−Wシード層5表面を、酸化雰囲気中で酸化させた後、下地層2としてRuを、6%の酸素ガスを混合したArガス中で、30nmの膜厚にスパッタ製膜した。
続いて、残留磁化膜厚積0.5memu/cmとなるように、Co、Pt、Cr、SiO、Crをそれぞれ73、14、6、6、1mol%含有する磁気記録層3を製膜した。最後にカーボン保護層4を製膜した後、従来適用されている潤滑剤を塗布し、磁気ディスクを得た。
【0040】
上述のようにして作製した(実施例1〜15)、(比較例1、2)の磁気ディスクについて、それぞれ電磁変換特性および磁気特性を評価した。
【0041】
(実施例1〜5)および(比較例1、2)に関し、下地層2のRu膜形成スパッタ工程におけるスパッタガス中の酸素ガス導入量と、最終的に得られた磁気ディスクの媒体ノイズとの関係を下記表1および図3に示した。
【0042】
【表1】
Figure 2004139683
【0043】
表1および図3に示すように、下地層2形成工程において、製膜ガスのAr中に1〜5%の酸素ガスを添加した(実施例1〜5)の磁気ディスクにおいては、酸素ガスを添加せずにスパッタリングを行った(比較例1)の磁気ディスクに比較してノイズが低下し、特に高記録密度側でのノイズの低下が顕著となった。特に、Arガス中に2〜5%の酸素ガスを添加した(実施例2〜5)の磁気ディスクにおいてノイズの低減効果が大きいことが確認された。
一方、酸素ガスを添加せずにスパッタリングを行った(比較例1)の磁気ディスクおよび酸素ガス添加量を6%とした(比較例2)においては、ややノイズが高くなった。
【0044】
(実施例1〜15)および(比較例1、2)に関し、下地層2のRu膜形成スパッタ工程におけるスパッタガス中の酸素ガス導入量と、最終的に得られた磁気ディスクのS/Nとの関係を下記表2および図4に示した。
【0045】
【表2】
Figure 2004139683
【0046】
表2および図4に示すように、下地層2形成工程において、製膜ガスのAr中に2〜5%の酸素ガスを添加した磁気ディスクにおいては、酸素ガスを添加せずにスパッタリングを行った(比較例1)の磁気ディスクに比較してS/Nが0.05〜0.5dB改善された。
一方、酸素ガス添加量を6%とした(比較例2)においては、ややノイズが高くなり、S/Nが劣化した。
【0047】
(実施例1〜15)および(比較例1、2)に関し、下地層2のRu膜形成スパッタ工程におけるスパッタガス中の酸素ガス導入量と、最終的に得られた磁気ディスクの保磁力Hcとの関係を下記表3および図5に示した。
【0048】
【表3】
Figure 2004139683
【0049】
一般に、面記録密度10Gb/inchを得るためには、3000Oe(237000A/m)以上の保磁力が必要とされている。表3および図5に示すように、下地層2製膜時の製膜ガスのAr中に添加する酸素ガスを5%以下とした磁気ディスクにおいては、保磁力Hcが3000Oe(237000A/m)以上となったが、酸素ガス添加量を6%とした(比較例2)の磁気ディスクにおいては、保磁力Hcが3000Oe(237000A/m)未満となり実用上充分な保磁力が得られなかった。
【0050】
(実施例1〜15)に関し、Ru・O下地層2の膜厚と、最終的に得られた磁気ディスクの保磁力Hcとの関係を下記表4および図6に示した。
【0051】
【表4】
Figure 2004139683
【0052】
表4および図6に示すように下地層2の膜厚を20nm以上とした磁気ディスクにおいては、保磁力Hcが3000Oe(237000A/m)以上となった。
一般に下地層2の膜厚を増加させるとともに表面粗さが大となるが、下地層2を40nmよりも厚く形成すると表面性に劣化が確認された。よって下地層2の膜厚は20〜40nmとすることが望ましい。
【0053】
Ru・O下地層2形成スパッタ工程におけるスパッタガス中の酸素ガス導入量を2〜5%としたときの、下地層2のX線回折パターンを図7に示した。
図7に示すように製膜スパッタガス中に酸素を2〜5%添加することにより、Ru(002)配向が抑制され、Ru(100)の結晶配向性が改善され、媒体ノイズ低減が達成されることが確認された。
【0054】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体によれば、Coを主成分とする磁気記録層の下層として、RuおよびOからなる下地層形成したことにより、磁気記録媒体の磁気記録層の面内配向性を高めることができ、低ノイズ化、および良好な磁気特性、電磁変換特性を実現できた。
【0055】
本発明によれば、磁気記録層の下層のRuおよびOからなる下地層の膜厚を20nm〜40nmに選定したことにより、表面性に優れ、かつ高い保磁力を有する磁気記録媒体が得られた。
【0056】
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、RuおよびOからなる下地層の形成工程において、製膜ガスのArに2〜5%の酸素ガスを添加し、スパッタ法によって製膜することとしたことにより、低ノイズ化、および磁気特性、電磁変換特性の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一例の概略断面図を示す。
【図3】磁気記録媒体ノイズのスパッタガス酸素導入量依存性を示す。
【図4】S/Nのスパッタガス酸素導入量依存性を示す。
【図5】保磁力のスパッタガス酸素導入量依存性を示す。
【図6】保磁力の下地層膜厚依存性を示す。
【図7】Ru・O下地層のX線回折パターンを示す。
【符号の説明】
1……基板、2……下地層、3……磁気記録層、4……保護層、5……シード層、10……磁気記録媒体

Claims (3)

  1. 非磁性の基板上に、Coを主成分とする磁気記録層を有する磁気記録媒体であって、
    上記基板と、上記磁気記録層との間に、RuおよびOからなる下地層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 上記下地層の膜厚が、20nm〜40nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 非磁性の基板上に下地層を形成する工程と、当該下地層上に磁気記録層を形成する工程とを有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    上記下地層を形成する工程においては、製膜ガスとしてArに2〜5%の酸素ガスが添加されたものを用いて、スパッタ法によって製膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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