JP2004137562A - 抽画金属薄板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を使用した加工性にも優れる金属ラミネートフィルムを提供することと、初期設備投資コストや各工程毎の温度、光管理が不要となり原材料費と製造工数の削減が図れる抽画金属薄板の製造方法および該方法で製造された抽画金属薄板を提供すること。
【解決手段】耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材2上に金属薄板4を貼着したところに金属ラミネートフィルム10の特徴があり、前記金属薄板4上に所定パターンをパターニングする工程と、前記プラスチック基材2から前記金属薄板4を剥離させる工程を含むところに抽画金属薄板10の製造方法の特徴があり、この製造方法にて製造されたところに抽画金属薄板10の特徴がある。
【選択図】 図1
【解決手段】耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材2上に金属薄板4を貼着したところに金属ラミネートフィルム10の特徴があり、前記金属薄板4上に所定パターンをパターニングする工程と、前記プラスチック基材2から前記金属薄板4を剥離させる工程を含むところに抽画金属薄板10の製造方法の特徴があり、この製造方法にて製造されたところに抽画金属薄板10の特徴がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム基板を用いた抽画金属薄板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品などに代表される抽画金属薄板を製造する際に、被着材の表面保護を目的とした再剥離性の粘着テープを使用する方法が公知である。
【0003】
例えば、金属板のフォトエッチング工程において、金属板にフォトレジストを塗布し、写真パターンを露光し、現像した後、金属板のフォトレジストが施されていない端部に、耐酸、耐水性の合成樹脂フィルムを基材とした粘着テープを貼着し、エッチングを実施し、その後、粘着テープを剥がし、フォトレジストを剥離する方法(特許公報1)が提案されている。
【0004】
【特許公報1】
特開平7−18471号公報、(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許公報1の方法は、使用する粘着テープが金属薄板と強固に密着するためにエッチング工程においては好適であるものの、耐アルカリ特性がないため、フォトレジスト剥離工程前に剥離しなければならない。
【0006】
特に、エッチングやプレスなどの種々の加工工程において、それぞれの加工時に適する粘着テープを各工程ごとに選択し使用しなければならず、また、各工程ごとに粘着テープの貼着作業と剥離作業が必要となり、かかる作業が厄介でその作業性が悪く、コスト高になるという問題がある。
【0007】
そのため、電子部品などに代表される抽画金属薄板の製造方法において一貫し使用できる粘着テープの創出が期待される。かかる粘着テープには、つぎの、
・ 酸やアルカリなどの溶液を用いて加工する過程において粘着剤と金属薄板が剥 れないこと、
・粘着剤と金属薄板との界面への溶液の侵入がないこと、
・電子部品として使用される場合には、粘着テープを剥がす際に転写された部品が変形しないこと、
・部品として使用される場合には、部品面に粘着物が一切残余しないこと
などの要件をすべて満足する必要がある。
【0008】
このような要求を満たす粘着テープとして、例えば、紫外線などで硬化する粘着剤を用いた粘着テープによりエッチング工程においては金属薄板を強固に接着し、剥離工程前に紫外線等を照射して3次元架橋させることで接着力を低下させるもの、或いは、マイクロカプセル化した発泡剤を粘着剤中に含有させた粘着テープにより、剥離工程前に加熱して発泡させることにより接着面積を低減して接着力を低下させるもの等が提案されているとのことである(特許公報2)。
【0009】
しかしながら、これらの粘着テープを用いる方法にあっては、粘着テープコストの上昇を招き、加えて、紫外線照射装置や高温加熱装置の設置による設備コストの増大や、各工程毎に温度、光管理が必要となり、曳いては、最終製品がコスト高になるという問題がある。
【0010】
鍍金加工やエッチング加工には、基材自体が耐熱性、耐薬液性を備えていることが必要不可欠であるため、接着層として介装させる接着剤の種類が制限される。本発明者らはこの点に関して鋭意検討した結果、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤(特には、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル系ベースポリマーおよびそれらのモノマーとの共重合体を用いた接着剤)を塗布したポリエステル系のプラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))フィルム)基材上に金属薄板を貼りつけた金属ラミネートフィルムは、製造が簡単であるとともに叙上の課題のすべてを解決できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、外線照射装置や高温加熱装置などの初期設備投資コストが不要であつとともに各工程毎の温度、光管理が不要となり、原材料費と製造工数の削減が図れる抽画金属薄板およびその製造方法を提供するにある。
【0012】
本発明の他の目的は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を使用した加工性にも優れる金属ラミネートフィルムを提供するにある。
【0013】
【特許公報2】
特開平9−217034号、(段落番号「0004」の第2行〜第8行)
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属薄板上に所定パターンをパターニングする工程と、前記プラスチック基材から前記金属薄板を剥離させる工程を含むところに特徴を有する抽画金属薄板の製造方法を、その要旨とする。
【0015】
請求項2の発明は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属薄板上に所定パターンをパターニングし、前記プラスチック基材から剥離させてなるところに特徴を有する抽画金属薄板を、その要旨とする。
【0016】
請求項3は、請求項2に記載の抽画金属薄板において、前記抽画金属薄板が、電子機器部品または工芸品のいずれかであるものを、その要旨とする。
【0017】
請求項4は、請求項2又は3に記載の抽画金属薄板を製造するための金属ラミネートフィルムであって、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属泊を貼着してなるところに特徴を有するものを、その要旨とする。
【0018】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは代表的なものを示したに過ぎず、その要旨を越えない限り、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の抽画金属薄板20の製造方法を概略的に示すフローチャート図である。
【0020】
図において、まず、本発明に係る金属ラミネートフィルム10は、ポリエステル基材テープ2の上面に粘着剤6を塗布しその上に金属薄板4を配し、ラミネーターにて加圧、加熱しながら一体形成したものである。なお、貼付けした後に金属薄板4と粘着剤6の間に気泡ができないよう、各材料(とりわけ粘着剤)に適した圧力、温度をかける必要がある。
【0021】
ポリエステル基材テープ2は、ポリエステル系のプラスチックフィルムから構成されており、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが例示できる。ポリエステル基材テープ厚は10〜500μm程度であり、ラミネートされる金属薄板4の種類や厚み等を考慮して適宜変更される。使い勝手、経済性の観点から、厚み30〜200μm程度のものを使用することが、好ましい。
【0022】
粘着剤6は、耐酸性、耐アルカリ性を有するアクリル系、エポキシ系、ゴム系、シリコン系粘着剤、または、UV硬化性のアクリル系もしくはエポキシ系粘着剤からなる群より選択されたいずれか1又はその複数であり、耐薬液性や剥離性(弱粘着性)、経済性の観点からは、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル系ベースポリマーおよびそれらのモノマーとの共重合体を用いた粘着剤を使用することが好ましい。
【0023】
金属薄板4は、その種類を制限するものではないが、例えば、SUS304等に代表されるSUS系ステンレスの薄板、C1020等に代表される銅系の薄板、電磁鋼帯等に代表される鉄の薄板、42アロイ等に代表されるニッケル系の薄板、A1050等に代表されるアルミニウム系の薄板、その他、銀系の薄板、マンガン系の薄板、チタン系の薄板などが例示でき、その厚さや寸法形状などはその使用の目的に応じて適宜設計変更される事項である。
【0024】
つぎに、抽画金属薄板20は、金属ラミネートフィルム10の製造工程に連続して(インラインでも)製造される。
【0025】
より詳しくは、金属ラミネートフィルム10を間欠的に走行させ、例えば洗浄、露光、現像・エッチング・レジスト剥離等の処理を施して所定パターンを金属薄板4上にパターニングした後、プラスチック基材2から金属薄板4を剥離させると、本発明の抽画金属薄板20が製造できる。ただし、金属薄板4上に所定パターンのパターニング方法を制限するものではなく、シルク印刷法など公知のエッチング技術にて所定パターンをパターニングしても構わない。
【0026】
【実施例】
実施例1:金属ラミネートフィルムの製造方法
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(二村化学(株)製FE−2000)の上面全面にアクリル樹脂系粘着剤を塗布、乾燥し、厚さ20μm程度の粘着剤層を形成した。アクリル樹脂系粘着剤は、アクリル粘着剤(綜研化学(株)製SK−702)に硬化剤(綜研化学(株)製E−AX)を固形分比10%となるように混合して作製した。
【0027】
ついで、粘着剤層上に厚さ0.2mmの銅薄板を配し、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VAII700)」を使用して、2kg/cm2〜7kg/cm2に加圧するとともに、50〜140℃に加熱しながら両者を気泡が入らないようにラミネート加工し、銅薄板ラミネートPETフィルム基材を作製した(図2参照)。
【0028】
この銅ラミネートフィルム基材は、60℃に加温した1.6MFeCl3 溶液中に浸漬しても、また、50℃に加温した1.4MKOH溶液中に浸漬しても、PETフィルム基材から銅板が剥がれることはなく、また、フィルム基材から銅薄板を手で簡単に剥がすことができた。
【0029】
このことから、この銅ラミネートフィルムには耐酸及び耐アルカリ性があり、例えば電子部品などに代表される抽画金属薄板を製造する際の各工程において、各工程ごとに粘着テープの貼着作業と剥離作業を繰り返す必要のない金属ラミネートフィルム基材として使用できることが解った。
【0030】
実施例2:片面銀メッキした抽画銅板
実施例1と同様の手順にて、テープ状に加工したPET基材フィルム上に銅薄板をラミネートした後、銀メッキを行なった。ついで、銀メッキ層にフォトレジストを塗布し、乾燥冷却後、レジスト側に露光機を使用して写真パターンを露光し、0.1MのNa2CO3 を用いて不用部分を溶解除去した。メルテックス社製「アグリップ940(商品名)」を用いて露出銀メッキを除去した。フォトレジストを再度塗布、乾燥冷却した後、レジスト側に露光機を使用して写真パターンを露光し、0.1MのNa2CO3 を用いて不用部分を溶解除去した。
【0031】
つぎに、1.6Mの塩化第2鉄を使用してエッチングを行い、銅薄板のフォトレジストで被覆していない部分を腐食させ、製品形状を作製し、ついで、水洗後、1.4MのKOH(剥離剤)に浸漬して、残ったフォトレジストを除去した。
【0032】
乾燥後、金属部分からPET基材フィルムを剥がして、片面銀メッキした抽画銅薄板(工芸品)を得た。
【0033】
この片面銀メッキ抽画銅薄板の製造方法によると、従来のかかる製造法(図3参照)とは異なり、テープを貼り替えることなく一貫して使用できるため、材料費や工数を削減でき、製造コストの大幅ダウンが図れる。
【0034】
最終製品である片面銀メッキした抽画銅薄板(工芸品)は、従来の係る方法で製造したものと対比しても遜色はなかった。
【0035】
実施例3:薄板ヒーター
金属板の油や汚れの付着を取り去る脱脂洗浄処理を行い実施例1と同様の手順にて、テープ状に加工したPET基材フィルム上にインコネル薄板をラミネートした後、耐酸性インクを用いた印刷技術で金属部にパターニングを行なう。耐酸性インクで印刷されたパターン中の金属の露出部を、エッチング液で腐食加工する。エッチング加工された製品上の耐酸性インクを除去し、ヒーターとテープを分離剥離することで目的のヒーターを得た。
【0036】
この方法によっても、第2実施例の製造方法と同様、従来のかかる製造法とは異なり、テープを貼り替えることなく一貫して使用できるため、材料費や工数を削減でき、製造コストの大幅ダウンが図れた。
【0037】
最終製品であるヒーターは、従来の係る方法で製造したものと対比しても何ら遜色はなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の抽画金属薄板のよると、つぎの、
(1) テープによって金属を支えているので、従来ブリッジ付け困難だった複雑形状製品を容易に作製できる。
(2) 支持体により、変形しやすく扱いが困難な薄板の加工性、搬送性が向上する。
(3) 製品を使用する際、容易に剥がすことができ変形等の不良発生が減少する。
(4)加工毎に貼り替え不用なので工数、材料費が削減できるため、大幅なコストダウンができる。
など、実効性に優れた作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抽画金属薄板の一製造方法を概略的に説明するフローチャートある。
【図2】本発明の金属ラミネートフィルムを模式的に示す断面図である。
【図3】従来の抽画金属薄板の一製造方法を概略的に説明するフローチャートある。
【符号の説明】
2 … 基材テープ
4 … 金属薄板
6 … 粘着剤
10 … 金属ラミネートフィルム
20 … 抽画金属薄板
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム基板を用いた抽画金属薄板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子部品などに代表される抽画金属薄板を製造する際に、被着材の表面保護を目的とした再剥離性の粘着テープを使用する方法が公知である。
【0003】
例えば、金属板のフォトエッチング工程において、金属板にフォトレジストを塗布し、写真パターンを露光し、現像した後、金属板のフォトレジストが施されていない端部に、耐酸、耐水性の合成樹脂フィルムを基材とした粘着テープを貼着し、エッチングを実施し、その後、粘着テープを剥がし、フォトレジストを剥離する方法(特許公報1)が提案されている。
【0004】
【特許公報1】
特開平7−18471号公報、(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許公報1の方法は、使用する粘着テープが金属薄板と強固に密着するためにエッチング工程においては好適であるものの、耐アルカリ特性がないため、フォトレジスト剥離工程前に剥離しなければならない。
【0006】
特に、エッチングやプレスなどの種々の加工工程において、それぞれの加工時に適する粘着テープを各工程ごとに選択し使用しなければならず、また、各工程ごとに粘着テープの貼着作業と剥離作業が必要となり、かかる作業が厄介でその作業性が悪く、コスト高になるという問題がある。
【0007】
そのため、電子部品などに代表される抽画金属薄板の製造方法において一貫し使用できる粘着テープの創出が期待される。かかる粘着テープには、つぎの、
・ 酸やアルカリなどの溶液を用いて加工する過程において粘着剤と金属薄板が剥 れないこと、
・粘着剤と金属薄板との界面への溶液の侵入がないこと、
・電子部品として使用される場合には、粘着テープを剥がす際に転写された部品が変形しないこと、
・部品として使用される場合には、部品面に粘着物が一切残余しないこと
などの要件をすべて満足する必要がある。
【0008】
このような要求を満たす粘着テープとして、例えば、紫外線などで硬化する粘着剤を用いた粘着テープによりエッチング工程においては金属薄板を強固に接着し、剥離工程前に紫外線等を照射して3次元架橋させることで接着力を低下させるもの、或いは、マイクロカプセル化した発泡剤を粘着剤中に含有させた粘着テープにより、剥離工程前に加熱して発泡させることにより接着面積を低減して接着力を低下させるもの等が提案されているとのことである(特許公報2)。
【0009】
しかしながら、これらの粘着テープを用いる方法にあっては、粘着テープコストの上昇を招き、加えて、紫外線照射装置や高温加熱装置の設置による設備コストの増大や、各工程毎に温度、光管理が必要となり、曳いては、最終製品がコスト高になるという問題がある。
【0010】
鍍金加工やエッチング加工には、基材自体が耐熱性、耐薬液性を備えていることが必要不可欠であるため、接着層として介装させる接着剤の種類が制限される。本発明者らはこの点に関して鋭意検討した結果、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤(特には、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル系ベースポリマーおよびそれらのモノマーとの共重合体を用いた接着剤)を塗布したポリエステル系のプラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))フィルム)基材上に金属薄板を貼りつけた金属ラミネートフィルムは、製造が簡単であるとともに叙上の課題のすべてを解決できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、外線照射装置や高温加熱装置などの初期設備投資コストが不要であつとともに各工程毎の温度、光管理が不要となり、原材料費と製造工数の削減が図れる抽画金属薄板およびその製造方法を提供するにある。
【0012】
本発明の他の目的は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を使用した加工性にも優れる金属ラミネートフィルムを提供するにある。
【0013】
【特許公報2】
特開平9−217034号、(段落番号「0004」の第2行〜第8行)
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属薄板上に所定パターンをパターニングする工程と、前記プラスチック基材から前記金属薄板を剥離させる工程を含むところに特徴を有する抽画金属薄板の製造方法を、その要旨とする。
【0015】
請求項2の発明は、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属薄板上に所定パターンをパターニングし、前記プラスチック基材から剥離させてなるところに特徴を有する抽画金属薄板を、その要旨とする。
【0016】
請求項3は、請求項2に記載の抽画金属薄板において、前記抽画金属薄板が、電子機器部品または工芸品のいずれかであるものを、その要旨とする。
【0017】
請求項4は、請求項2又は3に記載の抽画金属薄板を製造するための金属ラミネートフィルムであって、耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属泊を貼着してなるところに特徴を有するものを、その要旨とする。
【0018】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは代表的なものを示したに過ぎず、その要旨を越えない限り、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の抽画金属薄板20の製造方法を概略的に示すフローチャート図である。
【0020】
図において、まず、本発明に係る金属ラミネートフィルム10は、ポリエステル基材テープ2の上面に粘着剤6を塗布しその上に金属薄板4を配し、ラミネーターにて加圧、加熱しながら一体形成したものである。なお、貼付けした後に金属薄板4と粘着剤6の間に気泡ができないよう、各材料(とりわけ粘着剤)に適した圧力、温度をかける必要がある。
【0021】
ポリエステル基材テープ2は、ポリエステル系のプラスチックフィルムから構成されており、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが例示できる。ポリエステル基材テープ厚は10〜500μm程度であり、ラミネートされる金属薄板4の種類や厚み等を考慮して適宜変更される。使い勝手、経済性の観点から、厚み30〜200μm程度のものを使用することが、好ましい。
【0022】
粘着剤6は、耐酸性、耐アルカリ性を有するアクリル系、エポキシ系、ゴム系、シリコン系粘着剤、または、UV硬化性のアクリル系もしくはエポキシ系粘着剤からなる群より選択されたいずれか1又はその複数であり、耐薬液性や剥離性(弱粘着性)、経済性の観点からは、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル系ベースポリマーおよびそれらのモノマーとの共重合体を用いた粘着剤を使用することが好ましい。
【0023】
金属薄板4は、その種類を制限するものではないが、例えば、SUS304等に代表されるSUS系ステンレスの薄板、C1020等に代表される銅系の薄板、電磁鋼帯等に代表される鉄の薄板、42アロイ等に代表されるニッケル系の薄板、A1050等に代表されるアルミニウム系の薄板、その他、銀系の薄板、マンガン系の薄板、チタン系の薄板などが例示でき、その厚さや寸法形状などはその使用の目的に応じて適宜設計変更される事項である。
【0024】
つぎに、抽画金属薄板20は、金属ラミネートフィルム10の製造工程に連続して(インラインでも)製造される。
【0025】
より詳しくは、金属ラミネートフィルム10を間欠的に走行させ、例えば洗浄、露光、現像・エッチング・レジスト剥離等の処理を施して所定パターンを金属薄板4上にパターニングした後、プラスチック基材2から金属薄板4を剥離させると、本発明の抽画金属薄板20が製造できる。ただし、金属薄板4上に所定パターンのパターニング方法を制限するものではなく、シルク印刷法など公知のエッチング技術にて所定パターンをパターニングしても構わない。
【0026】
【実施例】
実施例1:金属ラミネートフィルムの製造方法
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(二村化学(株)製FE−2000)の上面全面にアクリル樹脂系粘着剤を塗布、乾燥し、厚さ20μm程度の粘着剤層を形成した。アクリル樹脂系粘着剤は、アクリル粘着剤(綜研化学(株)製SK−702)に硬化剤(綜研化学(株)製E−AX)を固形分比10%となるように混合して作製した。
【0027】
ついで、粘着剤層上に厚さ0.2mmの銅薄板を配し、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VAII700)」を使用して、2kg/cm2〜7kg/cm2に加圧するとともに、50〜140℃に加熱しながら両者を気泡が入らないようにラミネート加工し、銅薄板ラミネートPETフィルム基材を作製した(図2参照)。
【0028】
この銅ラミネートフィルム基材は、60℃に加温した1.6MFeCl3 溶液中に浸漬しても、また、50℃に加温した1.4MKOH溶液中に浸漬しても、PETフィルム基材から銅板が剥がれることはなく、また、フィルム基材から銅薄板を手で簡単に剥がすことができた。
【0029】
このことから、この銅ラミネートフィルムには耐酸及び耐アルカリ性があり、例えば電子部品などに代表される抽画金属薄板を製造する際の各工程において、各工程ごとに粘着テープの貼着作業と剥離作業を繰り返す必要のない金属ラミネートフィルム基材として使用できることが解った。
【0030】
実施例2:片面銀メッキした抽画銅板
実施例1と同様の手順にて、テープ状に加工したPET基材フィルム上に銅薄板をラミネートした後、銀メッキを行なった。ついで、銀メッキ層にフォトレジストを塗布し、乾燥冷却後、レジスト側に露光機を使用して写真パターンを露光し、0.1MのNa2CO3 を用いて不用部分を溶解除去した。メルテックス社製「アグリップ940(商品名)」を用いて露出銀メッキを除去した。フォトレジストを再度塗布、乾燥冷却した後、レジスト側に露光機を使用して写真パターンを露光し、0.1MのNa2CO3 を用いて不用部分を溶解除去した。
【0031】
つぎに、1.6Mの塩化第2鉄を使用してエッチングを行い、銅薄板のフォトレジストで被覆していない部分を腐食させ、製品形状を作製し、ついで、水洗後、1.4MのKOH(剥離剤)に浸漬して、残ったフォトレジストを除去した。
【0032】
乾燥後、金属部分からPET基材フィルムを剥がして、片面銀メッキした抽画銅薄板(工芸品)を得た。
【0033】
この片面銀メッキ抽画銅薄板の製造方法によると、従来のかかる製造法(図3参照)とは異なり、テープを貼り替えることなく一貫して使用できるため、材料費や工数を削減でき、製造コストの大幅ダウンが図れる。
【0034】
最終製品である片面銀メッキした抽画銅薄板(工芸品)は、従来の係る方法で製造したものと対比しても遜色はなかった。
【0035】
実施例3:薄板ヒーター
金属板の油や汚れの付着を取り去る脱脂洗浄処理を行い実施例1と同様の手順にて、テープ状に加工したPET基材フィルム上にインコネル薄板をラミネートした後、耐酸性インクを用いた印刷技術で金属部にパターニングを行なう。耐酸性インクで印刷されたパターン中の金属の露出部を、エッチング液で腐食加工する。エッチング加工された製品上の耐酸性インクを除去し、ヒーターとテープを分離剥離することで目的のヒーターを得た。
【0036】
この方法によっても、第2実施例の製造方法と同様、従来のかかる製造法とは異なり、テープを貼り替えることなく一貫して使用できるため、材料費や工数を削減でき、製造コストの大幅ダウンが図れた。
【0037】
最終製品であるヒーターは、従来の係る方法で製造したものと対比しても何ら遜色はなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の抽画金属薄板のよると、つぎの、
(1) テープによって金属を支えているので、従来ブリッジ付け困難だった複雑形状製品を容易に作製できる。
(2) 支持体により、変形しやすく扱いが困難な薄板の加工性、搬送性が向上する。
(3) 製品を使用する際、容易に剥がすことができ変形等の不良発生が減少する。
(4)加工毎に貼り替え不用なので工数、材料費が削減できるため、大幅なコストダウンができる。
など、実効性に優れた作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抽画金属薄板の一製造方法を概略的に説明するフローチャートある。
【図2】本発明の金属ラミネートフィルムを模式的に示す断面図である。
【図3】従来の抽画金属薄板の一製造方法を概略的に説明するフローチャートある。
【符号の説明】
2 … 基材テープ
4 … 金属薄板
6 … 粘着剤
10 … 金属ラミネートフィルム
20 … 抽画金属薄板
Claims (4)
- 耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属薄板に所望する所定パターンをパターニングする工程と、前記プラスチック基材から前記金属薄板を剥離させる工程を含むことを特徴とする抽画金属薄板の製造方法。
- 耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなる金属ラミネートフィルムの前記金属泊上に所望する所定パターンをパターニングし、前記プラスチック基材から前記金属薄板を剥離してなることを特徴とする抽画金属薄板。
- 前記抽画金属薄板が、電子機械部品または工芸品のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の抽画金属薄板。
- 請求項2又は請求項3に記載の抽画金属薄板を製造するために使用される前記金属ラミネートフィルムであって、
耐酸性及び耐アルカリ性の接着剤を塗布したポリエステル系のプラスチック基材上に金属薄板を貼着してなることを特徴とする金属ラミネートフィルム。
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---|---|---|---|
JP2002303831A JP2004137562A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 抽画金属薄板とその製造方法 |
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JP2002303831A JP2004137562A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 抽画金属薄板とその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008291329A (ja) * | 2007-05-25 | 2008-12-04 | Toppan Printing Co Ltd | ブリッジレスのエッチング製品およびその製造方法 |
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2002
- 2002-10-18 JP JP2002303831A patent/JP2004137562A/ja active Pending
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