JP2004137421A - 含硫ポリエン化合物および高屈折率硬化物 - Google Patents
含硫ポリエン化合物および高屈折率硬化物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】新規な含硫ポリエン化合物を含有した重合性組成物を硬化させることにより、高屈折率且つ高硬度の硬化物を得ることができた。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、コーティング層、光学フィルターなどの高屈折率が要求される光学部品の材料として有用である新規な含硫ポリエン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学材料分野においてプラスチック材料は軽量かつ靭性に富むことから、眼鏡レンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、および光学材料用のコーティング剤、接着剤等に近年多用されている。特に、レンズ、コーティング層、光学フィルターなどの光学部品の材料として、高屈折率を有するプラスチック材料が求められていた。
【0003】
高屈折率プラスチック材料として、ポリチオールとポリイソシアネートの共重合体(例えば特許文献1、2参照)や、ポリエピスルフィドの開環重合体(例えば特許文献3参照)が提案されている。しかし、両者はいずれも熱重合によるため、長い硬化時間が必要であり、また、低温で硬化できない問題があった。短時間および低温での硬化が可能な光硬化性の材料がより求められていた。
【0004】
光硬化性材料として、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などの反応性二重結合を2個以上有したポリエン化合物が挙げられるが、例えば一般的に知られているエポキシアクリレート(例えば特許文献4参照)やウレタンアクリレート(例えば特許文献5参照)は屈折率が低い欠点があり、屈折率がより高いポリエン化合物が求められていた。
【0005】
また、屈折率を高めるなどの目的でポリエン化合物とポリチオール化合物を共重合させる場合があるが、チオール化合物の含有量が増えると得られる硬化物は柔軟になる欠点があった。この欠点を解消するために、架橋性の高い4官能以上のポリエン化合物を用いる必要があった。
【0006】
【特許文献1】特公平4−58489号公報
【特許文献2】特開平5−148340号公報
【特許文献3】特開平9−110979号公報
【特許文献4】特開平8−176243号公報
【特許文献5】特開平5−134101号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記の問題点を解決することであり、即ち高い屈折率且つ高い架橋性を有するポリエン化合物、およびそれらを含有した重合性組成物、およびそれから得られる硬化物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はこの発明の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)
【化3】
(式中、aは1または2の整数を表し、R1〜R4は水素原子もしくは炭素数0〜20の有機残基を表す。但し、R1〜R4の少なくとも2個以上は反応性二重結合を有する脂肪族、芳香族を表す。)
で表される含硫ポリエン化合物が、1分子内に硫黄原子を5個以上含有するため高屈折率であり、また最大4個の官能基を有するため架橋性に優れていることから、高屈折率硬化性材料として有用であることを見出し、本発明に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
(ポリエン化合物の説明)
本発明の含硫ポリエン化合物とは上記一般式(1)で表される新規化合物である。これらの含硫ポリエン化合物は硫黄原子を5個以上含有することから屈折率が高いことを特徴とする。また、2〜4個の反応性二重結合および0〜2個のチオール基を有することから重合時の架橋密度が高いことを特徴とする。
【0010】
(合成方法)
一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物の合成方法は特に限定されないが、例えば、チオール化合物とハロゲン化物のチオエステル化反応やエピスルフィド化合物とチオール化合物の開環付加反応やこれらの反応を組み合わせることにより合成が可能である。その構造によって以下に示す方法により効率良く合成できる。
【0011】
合成方法(1):一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物は、下記式(3)
【化4】
(式中、aは1または2の整数を表す。)で表される含硫テトラチオール化合物と、下記一般式(4)
X−R5 (4)
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R5は炭素数0〜20の有機残基を表す。)で表されるハロゲン化物1〜4種類を塩基の存在下で反応させることで合成できる。但し、反応原料である一般式(4)のハロゲン化物の少なくとも1種類は反応性二重結合を有する構造を含んでいなくてはならない。この合成方法により、特に一般式(1)において、
(1)R1=R2=R3=R4である化合物
(2)R1=R4、R2=R3=Hである化合物
を効率良く合成できる。
【0012】
合成方法(2):一般式(1)において、R2=R3=Hである化合物は、下記式(5)
【化5】
(式中、aは1または2の整数を表す。)で表される含硫ジエピスルフィド化合物と、下記一般式(6)
HS−R6 (6)
(式中、R6は炭素数0〜20の有機残基を表す。)
で表されるチオール化合物1〜2種類を塩基の存在下で反応させることで合成できる。但し、反応原料である一般式(6)のチオール化合物の少なくとも1種類は反応性二重結合を有する構造を含んでいなくてはならない。この合成方法により、特に一般式(1)において、R1=R4、R2=R3=Hである化合物を効率良く合成できる。
【0013】
合成方法(3):一般式(1)において、R1≠H、R4≠Hであり、且つR2およびR3のうち少なくとも一方は水素以外の炭素数0〜20の有機構造を表す化合物は、式(5)の含硫ジエピスルフィド化合物と上記一般式(6)で表されるチオール化合物1〜2種類を塩基の存在下で反応させた後、上記一般式(4)で表されるハロゲン化物1〜2種類を塩基の存在下で反応させることで合成できる。但し、反応原料である一般式(6)のチオール化合物および一般式(4)のハロゲン化物の中で少なくとも1種類は反応性二重結合を有する構造を含んでいなくてはならない。この方法により、特に一般式(1)において、R1=R4≠HおよびR2=R3≠Hである化合物を効率良く合成できる。
【0014】
一般式(4)で表されるハロゲン化物の例としては、ビニルクロライド、ビニルブロマイド、アリルクロライド、アリルブロマイド、アクリロイルクロライド、アクリロイルブロマイド、メタクリロイルクロライド、メタクリロイルブロマイド、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、クロロエチルスチレン、ブロモエチルスチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロメチルベンゼン、ブロモメチルベンゼン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼンなどが挙げられる。
【0015】
一般式(6)で表されるチオール化合物の例としては、ビニルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオアクリル酸、チオメタクリル酸、メルカプトスチレン、メルカプトメチルスチレン、メルカプトエチルスチレン、メルカプトベンゼン、メルカプトメチルベンゼン、メルカプトエチルベンゼンなどが挙げられる。
【0016】
チオール化合物とハロゲン化物のチオエステル化反応において、
(1)反応原料である一般式(4)のハロゲン化物は塩化物が好ましい。また、その合計の添加量は、チオール基に対して1.0〜5.0倍当量、好ましくは1.2〜2.0倍当量である。5.0倍当量以上では未反応のハロゲン化物が多く残りコスト上好ましくない。また1.0倍当量以下では未反応のチオール基が多く残り収率が低下するため好ましくない。但し、一般式(1)においてR1〜R4の少なくとも1個が水素を表すような、チオール基を含んだ化合物を得たいときは故意的にハロゲン化物の添加量を減らしても構わない。
【0017】
(2)用いられる塩基は反応原料によって一概には限定できないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属塩やトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などが挙げられる。また塩基の添加量はチオール基に対して1.0〜5.0倍当量、好ましくは1.2〜2.5倍当量である。5.0倍当量以上では未反応の塩基が多く残りコスト上好ましくない。また1.0倍当量以下では未反応のチオール基が多く残り収率が低下するため好ましくない。但し、一般式(1)においてR1〜R4の少なくとも1個が水素を表すような、チオール基を含んだ化合物を得たいときは故意的に塩基の添加量を減らしても構わない。またこれらの塩基は式(3)の含硫テトラチオール化合物と予め塩形成した形で存在しても良い。
【0018】
(3)反応温度は反応原料によって一概には限定できないが、好ましくは−20〜50℃であり、より好ましくは−10〜20℃である。50℃以上ではチオール基と二重結合の副反応が起きるため好ましくない。−20℃以下では反応速度が遅くなり生産性が悪くなるため好ましくない。
【0019】
(4)溶媒は反応原料に対して溶解性があり且つ反応性がないものなら特には限定されない。塩基として水酸化ナトリウムなどの金属酸化物を用いる場合は水溶液中で反応を行っても構わない。また、塩基としてアミン類を用いる場合は有機溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、これらの溶媒を2種類以上混合して用いても構わない。
【0020】
エピスルフィド化合物とチオール化合物の開環付加反応において、
(1)反応原料である一般式(6)のチオール化合物の合計の添加量は、エピスルフィド環に対して1.0〜5.0倍当量、好ましくは1.2〜2.0倍当量である。5.0倍当量以上では未反応のチオール化物が多く残りコスト上好ましくない。また1.0倍当量以下では未反応のエピスルフィド環が多く残り収率が低下するため好ましくない。
(2)用いられる塩基は反応原料によって一概には限定できないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属塩やトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などが挙げられる。また塩基の添加量はチオール基に対して0.001〜0.1倍当量、好ましくは0.01〜0.05倍当量である。
【0021】
(3)反応温度は反応原料によって一概には限定できないが、好ましくは−20〜50℃であり、より好ましくは−10〜20℃である。
(4)溶媒は反応原料に対して溶解性があり且つ反応性がないものなら特には限定されない。塩基として水酸化ナトリウムなどの金属酸化物を用いる場合は水溶液中で反応を行っても構わない。また、塩基としてアミン類を用いる場合は有機溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、これらの溶媒を2種類以上混合して用いても構わない。
【0022】
(具体例)
一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物の具体例を以下に示すがこれらに限定されない。一般式(1)で表される化合物の中で効率良く合成できるものは、一般式(1)においてR1=R4およびR2=R3である化合物であり、下記式で表される化合物などが挙げられる。
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
上記の化合物の中でより効率良く合成できるものは、一般式(1)において
(1)R1〜R4が同一で構造式(2)のいずれかの構造を表す化合物
(2)R1とR4が同一で構造式(2)のいずれかを表し、且つR2とR3が同一で水素を表す化合物
(3)R1とR4が同一でフェニル基を表し、且つR2とR3が同一で構造式(2)のいずれかを表す化合物
であり、即ち、下記の式で表される化合物等が挙げられる。
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物とは、上記一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物を1種類以上含有する組成物である。該重合性組成物は上記一般式(1)の化合物を含有する点が新規であり、高屈折率であり且つ高い架橋密度を有する硬化物が得られることを特徴とする。
【0030】
該重合性組成物は上記一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物1種類以上のみで構成されても、その他の共重合可能な化合物を含んでも構わない。一般式(1)の化合物と共重合可能な化合物としては、一般式(1)以外の(ポリ)エン化合物、(ポリ)チオール化合物などが挙げられる。
【0031】
一般式(1)で表される含硫ポリエン化合物の中で、高屈折率および高架橋性を有する点で好ましいものは、下記式で表される化合物などが挙げられる。
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
また、該重合性組成物に含有される一般式(1)以外の(ポリ)エン化合物としては、
(1)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビニルアルコール、メチルビニルカルビノール、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ビニルエチルスルフィド、ビニルフェニルスルフィド、メチルビニルケトン、ジビニルジカーボネイト、ビニルジグリコールカーボネイト、ビニレンカーボネイト、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、ビニルブロマイド、ビニルアイオダイド、ビニルリン酸、ビニル尿素、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、スチルベン、ビニルフェノール、3−ビニルベンジルアルコール、4−ビニルベンジルアルコール、2−(4−ビニルフェニルチオ)エタノール、2−(3−ビニルフェニルチオ)エタノール、2−(4−ビニルベンジルチオ)エタノール、2−(3−ビニルベンジルチオ)エタノール、1,3−ビス(4−ビニルベンジルチオ)−2−プロパノール、1,3−ビス(3−ビニルベンジルチオ)−2−プロパノール、2,3−ビス(4−ビニルベンジルチオ)−1−プロパノール、2,3−ビス(3−ビニルベンジルチオ)−1−プロパノール、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルフタレート、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−アミノスチレン、3−シアノメチルスチレン、4−シアノメチルスチレン、4−ビニルビフェニル、2,2’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、2,2’−ジスチリルエーテル、4,4’−ジスチリルエーテル、2,2’−ジスチリルスルフィド、4,4’−ジスチリルスルフィド、2,2−ビス(4−ビニルフェニル)プロパン、ビス(4−ビニルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ビニロキシフェニル)プロパンなどのビニル化合物。
【0034】
(2)上記したビニル化合物のビニル基の一部もしくは全部がアリル基に置き換わったアリル化合物。
【0035】
(3)メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシエチルシアヌレートモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルシアヌレートジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1、3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビス(2,2,2−トリメチロールエチル)エーテルのペンタアクリレート、ビス(2,2,2−トリメチロールエチル)エーテルのヘキサアクリレート、ビス(4−アクリロイル−チオフェニル)スルフィドなどのアクリル化合物。
【0036】
(4)前記したアクリル化合物のアクリル基の一部もしくは全部がメタクリル基に置き換わったメタクリル化合物。
などが挙げられる。
【0037】
以上例示した一般式(1)以外の(ポリ)エン化合物は、重合性組成物の中に一般式(1)の含硫ポリエン化合物が少なくとも1種類以上含有されれば適宜用いることができ、1種類または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
該重合性組成物に含有される(ポリ)チオール化合物としては、下記一般式(10)
【化13】
(式中、aは1または2の整数を表し、R9〜R12は水素原子もしくは炭素数0〜20の有機残基を表す。但し、R9〜R12の少なくとも2個以上は水素原子もしくはメルカプト基を有する有機残基を表す。)
で表されるポリチオール化合物や一般式(10)以外の(ポリ)チオール化合物が挙げられる。
【0039】
上記(10)式で表されるポリチオール化合物の中で、屈折率が高く且つエン化合物と高い架橋密度で共重合する点で好ましいものは下記式で表される化合物が挙げられる。
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
上記式以外の(ポリ)チオール化合物としては、
メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、i−プロピルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、3−メチルフェニルメルカプタン、4−メチルフェニルメルカプタン、4−クロロベンジルメルカプタン、4−ビニルベンジルメルカプタン、3−ビニルベンジルメルカプタン、メチルメルカプトプロピオネート、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール、メルカプト酢酸、メルカプトグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、 ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン等の脂肪族メルカプタン類、および、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4、4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、4−ヒドロキシチオフェノール、メルカプト安息香酸等の芳香族環状メルカプタン類等などが挙げられる。
【0042】
(硬化方法)
本発明の硬化物は、本発明の重合性組成物を重合させることにより得られる。その硬化方法は特に限定されず、加熱による重合や可視光または紫外光または電子線などの活性エネルギー線照射による重合などが挙げられ、これらの硬化方法を組み合わせても構わない。その際に熱重合開始剤や光重合開始剤を使用してもよい。短時間重合、低温重合などが求められる用途では光重合が好ましい。
【0043】
熱重合を行う際に用いられる重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤や熱カチオン重合開始剤や熱アニオン重合開始剤が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤としては、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、次亜硝酸t−ブチル、過硫酸塩、過酸化水素−鉄(II)塩、過硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロパーオキシド−鉄(II)塩、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリン、ジイソプロピルパーオキシジカルボナート、ジシクロヘキシルパーオキシジカルボナートなどの過酸化物系開始剤や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩などのアゾ系開始剤が挙げらる。
【0044】
また、熱カチオン重合開始剤としては、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛などのルイス酸や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0045】
また、熱アニオン重合開始剤としては、トリメチルアミンやトリエチルアミンなどのアミン類が上げられる。これらの開始剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせても構わない。
【0046】
光重合を行う際に用いられる重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤や光アニオン重合開始剤が挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジエトキンアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルジフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、キサントン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、10−ブチル−2−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0047】
また、光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、芳香族オキシスルホキソニウム塩、メタロセン系化合物などが挙げられる。
【0048】
また、光アニオン重合開始剤としては、トリブチルナフトイルメチルアンモニウムブチルアイオダイド、トリブチルナフトイルメチルアンモニウムブチルヘキサフルオロホスフェート、トリブチルナフトイルメチルアンモニウムブチルトリフレート、トリブチルナフトイルメチルアンモニウムブチルヘキサフルオロアンチモネート、トリメチルナフトイルメチルアンモニウムブチルトリフェニルボーレート、トリブチルベンゾイルメチルアンモニウムブチルトリフェニルボーレート、トリブチルナフトイルメチルアンモニウムブチルトリフェニルボーレートなどのアンモニウム塩が上げられる。これらの開始剤は単独で用いても2種類以上を組み合わせても構わない。
【0049】
以上例示した重合開始剤の中で好ましいものは、熱ラジカル重合開始剤および光ラジカル重合開始剤である。
【0050】
本発明の重合性組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて、増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、離型剤、密着剤、表面調整剤、リベリング剤、消臭剤などを添加しても構わない。本発明の重合性組成物を重合させる前に適宜、脱気処理、濾過処理などの処理を施しても構わない。
【0051】
本発明の重合性組成物に含有される化合物の一部または全部を予備的に反応させておき、この予備反応により得られたプレポリマーを用いて重合性組成物を調製することも可能である。予備反応の方法は特に限定されず、加熱による重合反応でも光照射による重合反応でも構わない。その際に必要に応じて重合開始剤を使用しても構わない。
【0052】
本発明の硬化性組成物を重合して得られる硬化物の成形方法は特に限定されず、ガラスや金属製のモールドに注入しても、ガラスやプラスチックなどの基板上に塗膜しても、2枚の基板で挟み合わせても構わない。
【0053】
光硬化を行う際に用いられる光源は、光重合開始剤の種類にも依るが、オゾンランプ、蛍光ランプ、陽光ランプ、電球、日光、マイクロ波無電極ランプ、マイクロ波有電極ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ヘリウムランプ、ネオンランプ、アルゴンランプ、ナトリウムランプ、カーボンアーク、赤外線電球、EB照射装置、磁力線照射装置などが挙げられる。また、加熱または冷却を行いながら光硬化を行っても構わない。
【0054】
【実施例】
(合成例1)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコに20%水酸化ナトリウム水溶液60.0g(300mmol)を仕込み、遮光窒素雰囲気下で30℃以下に保ちながら滴下ロートより下記式(12)
【化16】
で表される含硫テトラチオール化合物12.3g(50mmol)を5分かけて滴下した。さらに反応温度を30℃以下に保ち1時間攪拌した。反応温度を0℃まで冷却し、アリルクロライド23.0g(300mmol)を15分かけて滴下した。滴下終了後さらに同温度で1時間攪拌した。反応生成物をヘキサンで抽出し、抽出層を希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄した後、減圧濃縮し、ヘキサン及び過剰のアリルクロライドを除いた。続いて濃縮液を塩化メチレンとヘキサンの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、無色透明な液体である下記式(13)
【化17】
で表される化合物19.9gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0055】
(元素分析)C:測定値53.2%(計算値53.1%)、H:測定値7.6%(計算値7.5%)、O:測定値0.2%(計算値0.0%)、S:測定値39.0%(計算値39.4%)、[FD−MS]m/z=406(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=2.82−2.93(m、4H)、2.95−2.98(m、6H)、3.15−3.17(m、4H)、3.22−3.23(m、4H)、5.09−5.17(m、8H)、5.74−5.87(m、4H)、[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=34.6、34.9、35.6、37.5、44.4、117.3、134.2、134.4
【0056】
(合成例2)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコに式(12)で表される含硫テトラチオール化合物10.0g(41mmol)、アクリロイルクロリド18.0g(201mmol)、ジクロロメタン60mlを仕込み、遮光窒素雰囲気下で0℃以下に保ちながら滴下ロートよりピリジン14.0g(177mmol)とジクロロメタン40mlの混合溶液を1.5時間かけて滴下した。さらに0℃で3.0時間攪拌した。その後反応溶液を、希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(14)
【化18】
で表される化合物11.4gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0057】
(元素分析)C:測定値46.6%(計算値46.7%)、H:測定値4.9%(計算値4.8%)、O:測定値14.0%(計算値13.8%)、S:測定値34.5%(計算値34.7%)、[FD−MS]m/z=462(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=1.93−2.01(m、12H)、2.90−3.02(m、4H)、3.35−3.40(m、2H)、3.47−3.52(m、2H)、3.91−3.94(m、2H)、5.30(s、4H)、5.07−5.09(m、4H)、[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=18.0、18.1、31.9、37.1、44.2、123.6、123.8、143.5、192.1
【0058】
(合成例3)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコに式(12)で表される含硫テトラチオール化合物9.0g(37mmol)、メタクリロイルクロリド23.0g(219mmol)、ジクロロメタン60mlを仕込み、遮光窒素雰囲気下で0℃以下に保ちながら滴下ロートよりピリジン14.4g(183mmol)とジクロロメタン40mlの混合溶液を1.5時間かけて滴下した。さらに0℃で3.0時間攪拌した。その後反応溶液を、希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(15)
【化19】
で表される化合物14.7gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0059】
(元素分析)C:測定値51.0%(計算値50.9%)、H:測定値5.9%(計算値5.8%)、O:測定値12.6%(計算値12.4%)、S:測定値30.5%(計算値30.9%)、[FD−MS]m/z=518(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=2.96−3.07(m、8H)、3.26−3.32(m、2H)、5.67−5.71(m、4H)、6.25−6.38(m、8H)、[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=31.6、39.5、42.6、126.8、134.9、189.8
【0060】
(合成例4)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコに式(12)で表される含硫テトラチオール化合物10.0g(41mmol)、メタノール40mlを仕込み、遮光窒素雰囲気下で10℃以下に保ちながら滴下ロートより35%水酸化ナトリウム水溶液26.4g(231mmol)を2.0時間かけて滴下し、次に10℃以下を保ちながら滴下ロートよりクロロメチルスチレン33.6g(220mmol)を2.5時間かけて滴下した。さらに20℃で2.0時間攪拌した。その後反応溶液を酢酸エチルで抽出した後、抽出層を希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(16)
【化20】
で表される化合物27.1gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0061】
(元素分析)C:測定値71.0%(計算値70.9%)、H:測定値6.6%(計算値6.5%)、O:測定値0.1%(計算値0.0%)、S:測定値22.3%(計算値22.6%)、[FD−MS]m/z=711(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=2.67−2.75(m、10H)、3.64−3.70(m、8H)、5.22−5.25(m、4H)、5.70−5.75(m、4H)、6.65−6.72(m、4H)、7.20−7.34(m、16H)、[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=35.7、35.8、36.9、37.6、45.0、113.9、125.0、126.7、128.4、129.1、136.4、137.9、138.4
【0062】
(合成例5)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコにメルカプトメチルスチレン20.0g(56mmol)、ナトリウムエトキシド9.0g(132mmol)、メタノール100mlを仕込み、遮光窒素雰囲気下で25℃以下に保ちながら滴下ロートより下記式(17)
【化21】
で表されるジエピスルフィド化合物10.0g(56mmol)を0.5時間かけて滴下した。さらに25℃で5.0時間撹拌した。その後反応溶液を酢酸エチルで抽出し、抽出層を重曹水溶液、希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(18)
【化22】
で表される化合物14.7gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0063】
(元素分析)C:測定値60.0%(計算値60.2%)、H:測定値6.6%(計算値6.3%)、O:測定値0.2%(計算値0.0%)、S:測定値33.2%(計算値33.5%)、[FD−MS]m/z=478(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=1.84−1.87(m、2H)、2.84−3.02(m、8H)、3.20−3.31(m、2H)、3.71−3.74(m、4H)、5.22−5.26(m、2H)、5.71−5.76(m、2H)、6.66−6.73(m、2H)、7.25−7.37(m、8H)[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=35.6、36.7、38.8、42.8、113.9、126.4、129.1、136.3
【0064】
(合成例6)攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコにチオフェノール15.0g(136mmol)、ナトリウムエトキシド9g(132mmol)、メタノール100mlを仕込み、窒素雰囲気下で25℃以下に保ちながら滴下ロートより式(17)で表されるジエピスルフィド化合物10.0g(56mmol)を0.5時間かけて滴下した。さらに25℃で5時間撹拌した。その後反応溶液を酢酸エチルで抽出し、抽出層を重曹水溶液、希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(19)
【化23】
で表される化合物18.7gを得た。
【0065】
次に、攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた容量200mlの4つ口のフラスコに式(19)で表される化合物18.7g(47mmol)、アクリロイルクロリド10.0g(110mmol)、ジクロロメタン60mlを仕込み、遮光窒素雰囲気下で0℃以下に保ちながら滴下ロートよりピリジン9.0g(114mmol)とジクロロメタン40mlの混合溶液を1.5時間かけて滴下した。さらに0℃で3.0時間攪拌した。その後反応溶液を、希塩酸、重曹水溶液、水で洗浄し、減圧濃縮により溶媒を除いた。続いて濃縮液をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒に溶解し、シリカゲルを充填したカラムを通過させた後、再び減圧濃縮することにより、黄色透明な液体である下記式(20)
【化24】
で表される化合物15.7gを得た。以下にこの化合物の構造決定のための分析結果を示す。
【0066】
(元素分析)C:測定値56.9%(計算値56.9%)、H:測定値5.2%(計算値5.2%)、O:測定値6.4%(計算値6.3%)、S:測定値31.5%(計算値31.7%)、[FD−MS]m/z=506(M+)、[1H−NMR](溶媒:CDCl3)δ=2.80−3.18(m、10H)、5.65−5.71(m、2H)、6.24−6.39(m、4H)、7.19−7.39(m、10H)[13C−NMR](溶媒:CDCl3)δ=39.9、40.3、41.4、125.9、126.8、129.1、130.1、134.0、135.0、189.8
【0067】
(実施例1)
下記式(21)
【化25】
で表される化合物(以下、VIと称す。)100部に対して2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを3部添加し、よく撹拌した。この混合物を減圧下で撹拌することで脱気し、2枚のガラス板とゴム製リングから構成される厚さ2mmのモールド内に注入した後、100W/cmのメタルハライドランプの光を光源から30cmの距離で60分間照射して硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度の測定結果を表1に示した。
【0068】
(実施例2−8)
下記式(13)
【化26】
で表される化合物(以下、ARと称す。)、および下記式(14)
【化27】
で表される化合物(以下、ACと称す。)、および下記式(15)
【化28】
で表される化合物(以下、MAと称す。)、および下記式(22)
【化29】
で表される化合物(以下、STと称す。)、および下記式(16)
【化30】
で表される化合物(以下、MSTと称す。)、および下記式(23)
【化31】
で表される化合物(以下、ESTと称す。)、および下記式(20)
【化32】
で表される化合物(以下、BAC)を実施例1と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表1に示した。
【0069】
(実施例9)
下記式(18)
【化33】
で表される化合物(以下、MMSTと称す。)71部、トリメチロールプロパントリアクリレート(以下、TMPTAと称す。)29部から成る組成物を実施例1と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表1に示した。
【0070】
(比較例1−2)
ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート(以下、BPDGDAと称す。)およびTMPTAを実施例1と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
(実施例10)
VI100部に対して、t−ブチルパーオキシネオデカネート0.5重量部添加し、よく撹拌した。この混合物を減圧下で撹拌することで脱気し、2枚のガラス板とゴム製リングから構成される厚さ2mmのモールド内に注入した後、30℃から100℃まで10時間かけて一定の速度で昇温して硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度の測定結果を表2に示した。
【0073】
(実施例11−17)
AR、AC、MA、ST、MST、EST、BACを実施例10と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表2に示した。
【0074】
(実施例18)
MMST71部、TMPTA29部から成る組成物を実施例10と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表2に示した。
【0075】
(比較例3−4)
BPDGDAおよびTMPTAを実施例10と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表2に示した。
【0076】
【表2】
【0077】
(実施例19)
VI74部および下記構造式(12)
【化34】
で表されるテトラチオール化合物(以下、TMTHと記す。)26部から成る組成物に2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン3部を添加し、よく撹拌した。この混合物を減圧下で撹拌することで脱泡し、2枚のガラス板とゴム製リングから構成される厚さ2mmのモールド内に注入した後、100W/cmのメタルハライドランプの光を光源から30cmの距離で60分間照射して硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度の測定結果を表3に示した。
【0078】
(実施例20−26)
AR、AC、MA、ST、MST、EST、BAC各々のポリエン化合物とTMTHを表3に示した割合で混合した組成物を実施例19と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表3に示した。
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例27)
VI74部、TMTH26部から成る組成物にt−ブチルパーオキシネオデカネート0.5部を添加し、よく撹拌した。この混合物を減圧下で撹拌することで脱泡し、2枚のガラス板とゴム製リングから構成される厚さ2mmのモールド内に注入した後、30℃から100℃まで10時間かけて一定の速度で昇温して硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度の測定結果を表4に示した。
【0081】
(実施例28−34)
AR、AC、MA、ST、MST、EST、BAC各々のポリエン化合物とTMTHを表3に示した割合で混合した組成物を実施例27と同様の方法で硬化させた。得られた硬化物の屈折率および鉛筆硬度を表4に示した。
【0082】
【表4】
【0083】
【発明の効果】
本発明の含硫ポリエン化合物を含有した重合性組成物を硬化させることにより、高屈折率且つ高硬度の硬化物を得ることができた。
Claims (10)
- R1〜R4が同一で上記構造式(2)のいずれかを表す、請求項2記載の含硫ポリエン化合物。
- R1とR4が同一で上記構造式(2)のいずれかを表し、且つR2とR3が同一で水素を表す、請求項2記載の含硫ポリエン化合物。
- R1とR4が同一でフェニル基を表し、且つR2とR3が同一で上記構造式(2)のいずれかを表す、請求項2記載の含硫ポリエン化合物。
- 請求項1〜5記載の含硫ポリエン化合物を含有する重合性組成物。
- 請求項6記載の重合性組成物を重合して得られる硬化物。
- 重合を光重合で行うことにより得られる請求項7記載の硬化物。
- 屈折率が1.6以上である請求項7または請求項8記載の硬化物。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の硬化物からなる光学材料。
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WO2024101258A1 (ja) * | 2022-11-08 | 2024-05-16 | 三井化学株式会社 | 化合物、重合性組成物、接着剤、樹脂硬化物、成形品、フィルム、粘着剤、および、化合物の製造方法 |
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