JP2004136436A - ねじフライスツール又はねじ切りバイト及びその製造方法 - Google Patents

ねじフライスツール又はねじ切りバイト及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ねじの製造される直径に関して、既知の解決策に比較して、より小さな外径を有するねじフライスツール又はねじ切りバイトを提供すること。
【解決手段】ねじフライスツール又はねじ切りバイト(1)は、回転軸を中心として回転自在な支持本体(2)と、この支持本体(2)に着脱自在に取り付けられるカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)と、支持本体(2)に着脱自在に取り付けられる固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)とを具備し、カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は固定ねじによる固定のための孔を有さず、支持本体(2)と固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)との間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で形状係合及び/又は摩擦係合で取り付けられる。
【選択図】   図1

Description

 本発明はねじフライスツール又はねじ切りバイトに関する。更に、本発明はこのようなはねじフライスツール又はねじ切りバイトを製造する方法に関する。
 この技術分野のねじフライスツール又はねじ切りバイトは、例えばボルト状の部分の外周面にねじを切るために、必要とされる。既知のねじフライスツールは、この目的ために、回転可能な支持本体を有し、支持本体の軸方向の端部領域には複数のカッティングエレメントが設けられている。これらのカッティングエレメントは、実質的にプリズム状の形状を有し、その中央領域で、貫通孔を有する。この貫通孔は、ねじによってカッティングエレメントを支持本体に取り付けるために用いられる。カッティングエレメントを支持本体に正確に位置決めするためには、支持本体は、個々のカッティングエレメントのための少なくとも径方向の接触面、周方向の接触面及び軸方向の接触面を有する。このようなツールは例えばDE 199 58 636 A1から公知である。
ドイツ特許公開公報第199 58 636 A1号
 既知のツールの場合、以下の事情が欠点であることが明らかになった。すなわち、いくつかの、幾つかの実施の例では、ねじフライスツール又はねじ切りバイトが、ボルトの雄ねじを切る際に、径方向に出来る限り小さく作られていることは重要である。このことが必要でありえるのは、特に、僅かな間隔で並設されている、隣り合ったボルトに雄ねじを切らねばならない場合である。この場合、僅かな径方向の長さを有するツールを把持することは、ねじ切り工程の実施のために必要である。
 このことは公知のねじフライスツール又はねじ切りバイトの場合には当て嵌まらない。カッティングエレメントを支持本体にしっかり取り付けるためには、カッティングエレメントは、ねじによってしっかりと固定されることができるのに十分な幅を有しなければならない。従って、カッティングエレメントの最小限の幅が予備設定されている。このことは、シリンダ状の部分の雄ねじを切る際に、既知のねじフライスツール又はねじ切りバイトが、ねじの切られる直径に関して、比較的大きな外径を有することを意味する。
 従って、前記の欠点を解消する、すなわち、ねじの形成される直径に関して、既知の解決策に比較して、より小さな外径を有するねじフライスツール又はねじ切りバイトを提供するという課題が、本発明の基礎になっている。従って、ツールをより容易に取り扱い、ねじフライスツール又はねじ切りバイト工程をより容易に実行することが意図されている。
 上記課題は、装置に関しては、請求項1又は2に記載の装置によって解決され、方法に関しては、請求項21に記載の特徴によって解決される。
 本発明は、請求項1に記載のように,
 回転軸を中心として回転自在な支持本体と、
 この支持本体に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つのカッティングエレメントと、
 支持本体に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つの固定エレメントとを具備し、
 少なくとも1つのカッティングエレメントは固定ねじによる固定のための孔を有さず、
 支持本体と少なくとも1つの固定エレメントとの間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で形状係合及び/又は摩擦係合で取り付けられる、ねじフライスツール又はねじ切りバイトを提案する。
 提示された課題の他の解決策は請求項1に選択的に従属している請求項2に記載されている。請求項2に記載のように、ねじフライスツール又はねじ切りバイトは、
 回転軸を中心として回転自在な支持本体と、
 少なくとも1つのカッティングエレメントと、
 少なくとも1つの結合手段、特にねじ結合部によって支持本体に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つの固定エレメントとを具備し、
 少なくとも1つのカッティングエレメントは、支持本体と少なくとも1つの固定エレメントとの間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で形状係合及び/又は摩擦係合で及び着脱自在に取り付けられ、
 各々の固定エレメント及び各々の結合手段は、夫々、カッティングエレメントの外側に設けられており、夫々、カッティングエレメントを貫通しておらず、このカッティングエレメントによって囲繞されない。
 本発明によって達成された利点は、特に、カッティングエレメント自体のねじ留め部材(Festschrauber)が省略されるので、カッティングエレメントが固定ねじによる固定のための孔を最早有する必要がないことにある。このことは、従来の技術の場合よりも狭いカッティングエレメントを用いることができるという結果を生じさせる。このことは、纏めれば、形成される雄ねじの直径に関して、既知の解決策の場合よりも小さい外径を有するねじフライスツール又はねじ切りバイトの、その形成を可能にする。同様なことは雌ねじの形成の場合にも当て嵌まる。提案されたツールによって、既知のツールの場合よりも小さい内径を有するねじをフライス盤で切削するか又は切ることができる。従って、ツールをより容易に取り扱い、ねじフライスツール又はねじ切りバイト工程をより容易に実行することが可能となる。
 従って、既知の解決策に比較して、本発明は、カッティングエレメントの孔の中を案内されるねじによってではなく、カッティングエレメントに孔がなくてもカッティングエレメントを支持本体に形状係合及び/又は摩擦係合で固定することができる特殊な固定エレメントの配列によって、カッティングエレメントを支持本体に取り付けることを提案する。この場合、カッティングエレメントを支持本体と少なくとも1つの固定エレメントとの間に固定するのみならず、カッティングエレメントを少なくとも2つの固定エレメントの間に固定することも可能であり、このためには、カッティングエレメントと支持本体との間の直接的な接触は必要でない。
 本発明の実施の形態は、各々の固定エレメントが、取り付けられた状態では、関連のカッティングエレメントに外から接触していて、カッティングエレメントを取り付け、関連のカッティングエレメントが、1つ又は複数の固定エレメントの緩められた状態では、支持本体から取外し可能であることを提案する。
 更に、少なくとも1つの固定エレメントが、緩められた状態では、特に結合手段によって、特に間隔をあけて、支持本体に結合されていることが提案されることができる。更に、少なくとも1つの固定エレメントが、緩められた状態では、支持本体から完全に取り外される。
 本発明の好都合な実施の形態は、少なくとも1つのカッティングエレメントが、支持本体と少なくとも1つの固定エレメントとの間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で締め付けられることにある。従って、カッティングエレメントの固定は、カッティングエレメントと支持本体との直接的な接触を必要とすることなく、カッティングエレメントを支持本体と少なくとも1つの固定エレメントとの間で締め付けることによってあるいはカッティングエレメントを少なくとも2つの固定エレメントとの間で締め付けることによってなされる。
 好都合な実施の形態は、少なくとも1つの固定エレメントが、少なくとも締付領域で、締付楔部材のような及び/又は実質的にプリズム状のカッティングエレメントと共に形成されており、及び/又は締付楔作用をカッティングエレメントに加えることを提案する。
 カッティングエレメントの、支持本体への効率的な取付を、カッティングエレメント及び固定エレメントが、回転軸の方向に延びておりかつ径方向と角度を形成する面に接触していることによって、保証することができる。この角度が10°乃至30°の範囲にあるのは好ましい。
 カッティングエレメントの形状係合による固定を、固定エレメントがカッティングエレメントを径方向に包摂し、カッティングエレメントの取り付けられた状態では、カッティングエレメントを支持本体へ押圧することによって、達成することができる。
 本発明の他の好都合な実施の形態は、支持本体が、1つ又は複数のカッティングエレメントのために、少なくとも1つの径方向の接触面及び/又は少なくとも1つの周方向の接触面及び/又は少なくとも1つの軸方向の接触面を有し、カッティングエレメントが、固定エレメントと径方向の接触面及び/又は周方向の接触面及び/又は軸方向の接触面の間に取り付けられることにある。カッティングエレメントの正確な位置決めのために、カッティングエレメントを径方向、周方向及び/又は軸方向に支持本体エレメントに接触させるための接触面を研磨することができる。
 本発明に係わるツールの他の実施の形態は以下の構想に向けられている。すなわち、固定エレメンは、結合手段及び締付部分のための、支持本体に螺入可能なねじ部分を有する。この場合、カッティングエレメントが、固定エレメントとの接触の領域で、縁部領域に設けられた溝、特に円弧状の溝を有することが提案されることができる。ここでは、特に、溝がホイッスルノッチ又はウェルドン締付面のように形成されていることが提案されることができる。
 この実施の形態との関連で、カッティングエレメントの、カッティングエッジから離隔して設けられている端部に、円形の延長部を取り付け、この延長部に、側方の、円弧状の溝を形成することが提案されることができる。この丸棒状の延長部を、これに対応して支持本体に形成されたシリンダ状の収容部に挿入することができる。支持本体に形成された他の孔を通って、締付ねじを、カッティングエレメントを締め付ける円形の延長部に形成された接線方向の溝に沿って径方向に挿入することができる。接線方向の溝は、既述の如く、ホイッスルノッチ又はウェルドンのように形成されていることができる。このとき、前記の固定ねじの形の固定エレメントの端面は、カッティングエレメントの円形の延長部に形成された接線方向の溝を押圧する。ホイッスルノッチの場合、締付面は幾らか傾斜されている。
 特に好都合な形態は以下の実施の形態によって生じる。すなわち、支持本体は、好ましくは夫々実質的に回転対称に形成されている2つの支持本体エレメントからなる。この場合、一方の支持本体エレメントが、少なくとも1つのカッティングエレメントを収容しかつ保持するための少なくとも1つの収容部分を有することは好都合である。更に、この収容部分は、カッティングエレメントのための、軸方向に延びている少なくとも1つの支持ウェブを有する。
 一方の支持本体エレメントが、カッティングエレメントのために、径方向の接触面及び周方向の接触面を有し、これに対し、他方の支持本体エレメントが、カッティングエレメントのために、軸方向の接触面を有することは特に好都合である。このことによって、接触面の特に簡単な形成が可能である。
 更に、一方の支持本体エレメントはシリンダ状の部分を有し、この部分は他方の支持本体エレメントの孔に設けられることができる。2つの支持本体エレメントの正確な位置決めを、一方の支持本体エレメントのシリンダ状の部分と、他方の支持本体エレメントの孔との間にプレスフィットがあることによって達成することができる。このプレスフィットを焼嵌め工程によって製造することができるのは好都合である。他に、2つの支持本体エレメントの間の結合を、螺着によって形成することができる。
 素早いツールの交換は、ねじフライスツール又はねじ切りバイトが、少なくとも1つのカッティングエレメントから離隔した軸方向の端部に、ツール急速締付装置を具備することによって可能となる。この場合、中空締付錐体を有するツール急速締付装置が用いられるのは好ましい。
 カッティングエレメントの切削箇所に冷却潤滑剤を良好に供給するために、支持本体へ、カッティングエレメントの領域に冷却潤滑剤を供給することができる供給孔及び/又は供給溝が形成されていることが提案されることができる。この場合、カッティングエレメントのための径方向の接触面と周方向の接触面との間に、リセスが、供給溝として用いられる支持本体に形成されていることが、特に提案することができる。
 使用されるカッティングエレメントは1つより多いカッティング領域を有することができる。このことによって、カッティングエッジの摩耗の場合にカッティングエレメントは回転によって再使用可能である。
 更に、カッティングエレメントは、通常、支持本体から一側で軸方向に突出する。既述の収容部分に支持ウェブを備えることに関連して、シリンダ状のボルトに雄ねじを形成するために非常に良く適している「釣鐘状の」ツールが生じる。この場合、カッティングエレメントの有効なカッティングエッジは、径方向内側に向けられている。
 本発明は、請求項21に記載のように、以下の工程、すなわち、
(a)少なくとも1つのカッティングエレメントのための収容部分と、この収容部分に軸方向に接続するシリンダ状の部分とを有する第1の支持本体エレメントを形成すること、
(b)少なくとも1つのカッティングエレメントのための径方向の接触面及び周方向の接触面を第1の支持本体エレメントに形成すること、
(c)第1の支持本体エレメントのシリンダ状の部分を収容するための孔を有する第2の支持本体エレメントを形成すること、
(d)少なくとも1つのカッティングエレメントのための軸方向の接触面を第2の支持本体エレメントに形成すること、
(e)シリンダ状の部分を孔に挿入した後に、第1の支持本体エレメントと第2の支持本体エレメントをしっかりと結合することを有する、ねじフライスツール又はねじ切りバイトを製造する方法を提案する。
 この場合、上記工程b)及びd)に記載の接触面を研磨によって形成することが特に提案されることができる。更に、上記工程e)に記載の第1の支持本体エレメント及び前記第2の支持本体エレメントを熱的な焼嵌めによって結合するとき、特に良好な結合が生じる。
 従って、纏めれば、種々の使用のために利点を供し、容易に取り扱える簡単な構造のねじフライスツール又はねじ切りバイトが生じる。
 図1では、ねじフライスツール又はねじ切りバイト1が斜視図で見られる。ねじフライスツール又はねじ切りバイトは、回転軸Dを中心として回転可能な支持本体2を有する。ツール1の、左側の軸方向の端部領域には、4つのカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´が円周に亘って均等に配設されている。これらのカッティングエレメントは径方向内側に向けられているカッティングエッジを有する。これらのカッティングエッジによって、図示しないワークピースに雄ねじを備えることができる。カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´は実質的にプリズム状に形成されており、支持本体2で、径方向、軸方向及び周方向に設けられた図示しない接触面2に接触している。カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を固定するために、固定エレメント4,4´,4´´,4´´´が設けられている。これらの固定エレメントはねじ結合部5,5´,5´´,5´´´によって支持本体2に取り付けられている。後で詳述するように、固定エレメント4,4´,4´´,4´´´は、支持本体2に取り付けられている状態では、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を固定している。それ故に、これらのカッティングエレメントは位置にしっかり保たれる。
 ツール1の構造に関する詳細は図2乃至4に認められる。
 図3から最も良く分かるように、支持本体2は2つの支持本体エレメント9及び10からなる。支持本体エレメント9はディスク状の収容部分13と、より小さい直径をもってこの収容部分に軸方向に接続しているシリンダ状の部分11とを有する。支持本体エレメント10は実質的に中空シリンダ状に形成されており、第1の支持本体エレメント9のシリンダ状の部分11を収容するための孔12を有する。支持本体エレメント10の、右の軸方向の端部には、中空締付錐体17を有するツール急速締付装置16(DIN69893による)が設けられている(図2及び3を参照せよ)。中空締付錐体17はツール1を締め付けて収容するための締付錐体である。この締付錐体では、外側錐体の他に、追加的に、内側の締付エレメントが設けられており、これらの締付エレメントは径方向外側に弾性をもって押圧し、摩擦係合を強め、外側錐体の熱膨張を補償する。
 第1の支持本体エレメント9の収容部分13は、各々のカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を支持するために、軸方向に延びている各々の支持ウェブ14を有する。この支持ウェブには、各々のカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´が接触している。このことによって、カッティングエレメントの正確かつ安定的な保持が保証されている。
 個々のカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´が支持本体2に所定かつ正確に接触するように、収容部分13は、図4から最も良く見えるように、径方向の接触面6,6´,6´´,6´´´及び周方向の接触面7,7´,7´´,7´´´を有する。他方、図3には、支持本体2の支持本体エレメント10の、左側の、軸方向の端部が、軸方向の接触面15,15´,15´´,15´´´を有することが見られる。
 支持本体2を2つの支持本体エレメント9及び10によって形成することができることによって、接触面6,6´,6´´,6´´´,7,7´,7´´,7´´´及び15,15´,15´´,15´´´を形成すること、すなわち、特にフライス盤で切削し続いて研磨することが、製造技術的に特に容易な方法で可能である。この場合、支持本体が一体になっている場合と異なり、溝底は重要ではない。接触面の形成は、支持本体エレメント9及び10が取り外されている際に、なされる。
 2つの部材すなわち支持本体エレメント9及び10を結合するために、支持本体エレメント10を加熱し及び/又は支持本体エレメント9を冷却し、次に、シリンダ状の部分11を孔12に挿入し、続いて、温度平衡を生じさせることが適切であることが明らかになった。2つの支持本体エレメント9及び10は、この方法で、熱的焼嵌め工程によって互いに結合される。このことは、特に、2つの部分すなわち支持本体エレメントが、正確な寸法で、均等な摩擦係合により及びアンバランスなしに互いに結合されていることをもたらす。この他に、当然ながら、2つの部分9及び10をねじ結合部によっても互いに結合することができる。
 特に図4に見られるように、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´及び固定エレメント4,4´,4´´,4´´´は、自らの接触面で、回転軸Dの方向に延びておりかつ径方向Rに対し角度αを形成する面8,8´,8´´,8´´´が生じるように、形成されている。かくして、固定エレメント4,4´,4´´,4´´´の取付の際に、楔作用の発生によって、高い締付力がカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´に加えられ、それ故に、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´が周方向及び径方向に支持本体2に取り付けられることが達成される。図4に見られるように、固定エレメント4,4´,4´´,4´´´は、夫々、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を径方向に被さる包摂部20,20´,20´´,20´´´を有する。これにより、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を支持本体2に特に良好に固定することができる。しかし、このような包摂部20,20´,20´´,20´´´は、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´を支持本体2にしっかり固定するためには、必ずしも必要ではない。
 カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´の切削箇所又はフライス削り箇所に冷却潤滑剤を供給するために、支持本体2及び特に2つの支持本体エレメント9及び10は中央の供給孔18(図3を参照)を有する。この供給孔は、左側の、軸方向の端部の領域で、径方向に延びる孔又は供給溝18に移行する。図4に見ることができるように、更に、リセス19,19´,19´´,19´´´が、2つの接触している面の嵌め合いを保証するために、支持本体2へのカッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´の接触の領域に設けられている。この代わりに90°の角度を正確に形成することは技術的に不可能である。この理由から、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´が最適に接触するためには、リセス19,19´,19´´,19´´´は好都合である。カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´と固定エレメント4,4´,4´´,4´´´との間には、夫々ギャップ21,21´,21´´,21´´´があり、このギャップは冷却潤滑剤用通路として設けられている。
 図に示したねじフライスツール又はねじ切りバイト1は、雄ねじを形成するために設けられている。従って、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´のカッティングエッジは径方向内側に向けられている。しかし、全く同様に、ツールを雌ねじの形成のために用いることもできる。但し、その場合、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´のカッティングエッジは径方向外側に向けられていなければならない。
 雄ねじの形成の場合には、ねじフライスツール又はねじ切りバイト1は、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´の領域で釣鐘状に成形されたツールとして、従って、外からワークピースに装着することができるツールとして形成されている。形成されるねじは、それよりも大きなワークピースから側方に突出している接続ねじ(Anschlussgewinde)であってよい。このような接続ねじを、幾つかの実施の形態では、何回もの実行で、互いに比較的狭い間隔で形成されねばならないので、ツール1の外径が出来る限り小さいままであることが重要である。このことは提案された措置によって保証されている。このツールは、既知の解決策に比較して、外径の縮径を可能にする。何故ならば、従来の技術の解決策では、外径において、常に、カッティングエレメントの及び支持本体の突起の径方向の寸法が追加されるが、提案された解決策では、実際に、カッティングエレメントが外面を形成することができるからである。
 摩耗したカッティングエレメントの取扱も非常に容易である。何故ならば、カッティングエレメントを、径方向外側から及びツールの端面から軸方向に挿入することができるからである。
 提案された実施の形態の他の利点は、スペースを取らないこと及びツールのコンパクトなデザインの他に、カッティングエレメントが、固定ねじによる固定のための孔を形成することによって弱くされることが最早ないことである。このことは特に重要である。何故ならば、カッティングエレメントは、少なくとも、脆性材料、例えば、硬質材料、HSS(高速度鋼)、CBN(立方晶窒化ホウ素)又はPKD(多結晶ダイヤモンド)からなるからである。
 カッティングエレメントは全体として保たれており、更に、縮小して形成されることができる。何故ならば、ねじ穴のための領域を最早設ける必要がないからである。
 既知の解決策の場合のように、提案されたツールも、同様に、摩耗したカッティングエレメントを新品のカッティングエレメントと容易に交換することができる。その上、カッティングエレメントは、複数の切削領域を、特に、2つ、3つ又は4つの角に有することもできる。摩耗の場合には、カッティングエレメントを、90°又は180°容易に回転させることができる。それ故に、ツールは再度使用可能である。
 記載した実施の形態は、シリンダ状の雄ねじを形成するためのねじフライスツール又はねじ切りバイトに向けられている。しかし、同様に、カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´のカッティングエッジに他の形状を備えることも可能である。それ故に、ねじの歯切りを形成することができるだけではない。カッティングエレメント3,3´,3´´,3´´´の切削領域は、回転軸Dに対し傾斜していることもできる。このことによって、錐形のボルトにねじを設けることも可能となる。
 図5では、図2及び図3に示した左側から見た、ツールの完全な正面図が示されている。図5は図3と実質的に同一である。但し、図5には、支持本体2の外領域2´の構造が追加的に示されている。支持本体2の外領域2´に設けられたリセスの縁部は、一目瞭然であるという理由から、図4には示されていない。従って、図5は、図2及び図3に示したツールの、完全な正面図である。
 図6は従来の技術に基づくツールの斜視図を示している。ツールは支持本体22を有し、この支持本体には、カッティングエレメント23,23´,23´´,23´´´が取り付けられている。カッティングエレメント23´´及び23´´´は、夫々、ねじ結合部25´´及び25´´´によって、支持本体22に直接螺着されている。カッティングエレメント23及び23´も、同様に、図示しないねじ結合体によって取り付けられている。
ねじフライスツール又はねじ切りバイトの斜視図である。 図1に示したツールの側面図である。 図2に示した線AーBに沿った断面図である。 図2及び図3の左側から見た、ツールの部分正面図である。 図2及び図3の左側から見た、ツールの完全な正面図である。 従来の技術に基づくねじフライスツール又はねじ切りバイトの斜視図である。
符号の説明
 1…ねじフライスツール又はねじ切りバイト、2…支持本体、2´…支持本体の外領域、3…カッティングエレメント、3´…カッティングエレメント、3´´…カッティングエレメント、3´´´…カッティングエレメント、4…固定エレメント、4´…固定エレメント、4´´…固定エレメント、4´´´…固定エレメント、5…ねじ結合部、5´…ねじ結合部、5´´…ねじ結合部、5´´´…ねじ結合部、6…径方向の接触面、6´…径方向の接触面、6´´…径方向の接触面、6´´´…径方向の接触面、7…周方向の接触面、7´…周方向の接触面、7´´…周方向の接触面、7´´´…周方向の接触面、8…面、8´…面、8´´…面、8´´´…面、9…支持本体エレメント、10…支持本体エレメント、11…シリンダ状の部分、12…孔、13…収容部分、14…支持ウェブ、15…軸方向の接触面、15´…軸方向の接触面、15´´…軸方向の接触面、15´´´…軸方向の接触面、16…ツール急速締付装置、17…中空締付錐体、18…供給孔/供給溝、19…リセス、19´…リセス、19´´…リセス、19´´´…リセス、20…包摂部、20´…包摂部、20´´…包摂部、20´´´…包摂部、21…ギャップ、21´…ギャップ、21´´…ギャップ、21´´´…ギャップ、22…支持本体、23…カッティングエレメント、23´…カッティングエレメント、23´´…カッティングエレメント、23´´´…カッティングエレメント、25´´…ねじ結合部、25´´´…ねじ結合部、D…回転軸、R…径方向、α…角度。

Claims (23)

  1.  (a)回転軸(D)を中心として回転自在な支持本体(2)と、
     (b)この支持本体(2)に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)と、
     (c)前記支持本体(2)に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)とを具備し、
     (d)前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は固定ねじによる固定のための孔を有さず、
     (e)前記支持本体(2)と前記少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)との間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で形状係合及び/又は摩擦係合で取り付けられる、ねじフライスツール又はねじ切りバイト(1)。
  2.  (a)回転軸(D)を中心として回転自在な支持本体(2)と、
     (b)少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)と、
     (c)少なくとも1つの結合手段、特にねじ結合部(5,5´,5´´,5´´´)によって前記支持本体(2)に着脱自在に取り付けられる少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)とを具備し、
     (d)前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は、前記支持本体(2)と前記少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)との間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で形状係合及び/又は摩擦係合で及び着脱自在に取り付けられ、
     (e)各々の固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)及び各々の結合手段(5,5´,5´´,5´´´)は、夫々、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)の外側に設けられており、夫々、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)を貫通しておらず、このカッティングエレメントによって囲繞されない、特に請求項1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  3.  各々の固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、取り付けられた状態では、前記関連のカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)に外から接触していて、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)を取り付け、前記関連のカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は、1つ又は複数の固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)の緩められた状態では、前記支持本体(2)から取り外されることができる、請求項1又は2に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  4.  少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、緩められた状態では、特に前記結合手段(5,5´,5´´,5´´´)によって、特に間隔をあけて、前記支持本体(2)に結合されている、請求項3に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  5.  少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、緩められた状態では、前記支持本体(2)から完全に取り外される請求項3又は4に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  6.  前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は、前記支持本体(2)と前記少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)との間で及び/又は少なくとも2つの固定エレメントの間で締め付けられる、請求項1乃至5のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  7.  少なくとも1つの固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、少なくとも締付領域で、締付楔部材のような及び/又は実質的にプリズム状の前記カッティングエレメントと共に形成されており、及び/又は締付楔作用を前記カッティングエレメントに加える、請求項6に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  8.  前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)及び前記固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、前記回転軸(D)の方向に延びておりかつ径方向(R)と角度(α)を形成する面(8,8´,8´´,8´´´)に接触している、請求項1乃至7のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  9.  前記固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)を径方向(R)に包摂し、前記支持本体(2)へ押圧する、請求項1乃至8のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  10.  前記支持本体(2)は、1つ又は複数のカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のために、少なくとも1つの径方向の接触面(6,6´,6´´,6´´´)及び/又は少なくとも1つの周方向の接触面(7,7´,7´´,7´´´)及び/又は少なくとも1つの軸方向の接触面(15´,15´´´)を有し、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は、前記固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)と前記径方向の接触面(6,6´,6´´,6´´´)及び/又は前記周方向の接触面(7,7´,7´´,7´´´)及び/又は前記軸方向の接触面(15´,15´´´)の間に取り付けられ、好ましくは各接触面は研磨されている、請求項1乃至9のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  11.  前記固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)は、前記結合手段及び締付部分のための、前記支持本体(2)に螺入可能なねじ部分を有する、請求項1乃至10のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  12.  前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は、前記固定エレメント(4,4´,4´´,4´´´)との接触の領域で、縁部領域に設けられた溝、特にホイッスルノッチ又はウェルドンのように形成されている、特に、円弧状の溝を有する請求項1乃至11のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  13.  前記支持本体(2)は、好ましくは夫々実質的に回転対称に形成されている2つの支持本体エレメント(9,10)からなる、請求項1乃至12のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  14.  前記一方の支持本体エレメント(9)は、前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)を収容しかつ保持するための少なくとも1つの収容部分(13)を有し、この収容部分は、好ましくは、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のための、軸方向に延びている少なくとも1つの支持ウェブ(14)を有する、請求項13に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  15.  前記一方の支持本体エレメント(9)は、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のために、前記径方向の接触面(6,6´,6´´,6´´´)及び前記周方向の接触面(7,7´,7´´,7´´´)を有し、前記他方の支持本体エレメント(10)は、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のために、前記軸方向の接触面(15´,15´´´)を有する、請求項13又は14に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  16.  前記一方の支持本体エレメント(9)はシリンダ状の部分(11)を有し、この部分は前記他方の支持本体エレメント(10)の孔(12)に設けられ、好ましくは、前記一方の支持本体エレメント(9)の前記シリンダ状の部分(11)と、前記他方の支持本体エレメント(10)の前記孔(12)との間にプレスフィットがあり、及び/又は前記2つの支持本体エレメント(9,10)の間の結合は、焼嵌め工程によって又は螺着によって形成されている、請求項13乃至15のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  17.  前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)から離隔した軸方向の端部にツール急速締付装置(16)を具備し、このツール急速締付装置(16)は好ましくは中空締付錐体(17)を有する、請求項1乃至16のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  18.  前記支持本体(2)へは、前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)の領域に冷却潤滑剤を供給することができる供給孔及び/又は供給溝(18)が形成されている、請求項1乃至17のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  19.  前記カッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のための前記径方向の接触面(6,6´,6´´,6´´´)と前記周方向の接触面(7,7´,7´´,7´´´)との間に、リセス(19,19´,19´´,19´´´)が、供給溝(18)として用いられる前記支持本体(2)に形成されている、請求項10に従属する請求項18に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  20.  少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)は少なくとも2つのカッティング領域を有し及び/又は前記支持本体(2)から一側で軸方向に突出し、及び/又は径方向内側に向けられている有効なカッティングエッジを有する、請求項1乃至19のいずれか1に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト。
  21.  (a)少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のための収容部分(13)と、この収容部分(13)に軸方向に接続するシリンダ状の部分(11)とを有する第1の支持本体エレメント(9)を形成すること、
    (b)前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のための径方向の接触面(6,6´,6´´,6´´´)及び周方向の接触面(7,7´,7´´,7´´´)を前記第1の支持本体エレメント(9)に形成すること、
    (c)前記第1の支持本体エレメント(9)の前記シリンダ状の部分(11)を収容するための孔(12)を有する第2の支持本体エレメント(10)を形成すること、
    (d)前記少なくとも1つのカッティングエレメント(3,3´,3´´,3´´´)のための軸方向の接触面(15´,15´´´)を前記第2の支持本体エレメント(10)に形成すること、
    (e)前記シリンダ状の部分(11)を前記孔(12)に挿入した後に、前記第1の支持本体エレメント(9)と前記第2の支持本体エレメント(10)をしっかりと結合すること、を特徴とする請求項10に記載の又は請求項10に従属する請求項に記載のねじフライスツール又はねじ切りバイト(1)を製造する方法。
  22. 請求項21の工程b)及びd)に記載の前記接触面(6,6´,6´´,6´´´,7,7´,7´´,7´´´,15,15´,15´´,15´´´)を製造する請求項21に記載の方法。
  23. 請求項21の工程e)に記載の前記第1の支持本体エレメント(9)及び前記第2の支持本体エレメント(10)を結合する請求項21又は22に記載の方法。
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