JP4971151B2 - 工具アダプタ - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の工具アダプタに関する。

工具アダプタは、加工機械の回転する工具スピンドルの工具収容部に、穿孔工具、フライス工具、鋸歯またはその他のこのような形式の回転工具を解離可能かつ交換可能に固定するためのもの先行技術により公知である。工具アダプタは、公知のように工具の工具シャフトが緊締または固定されている工具側と、工具収容部が固定されている機械側とを有している。この場合、工具収容部が解離可能に、加工工具の回転する工具スピンドルに固定可能であるか、または工具収容部が既にこのような工具スピンドルの構成部分を成している。工具アダプタは主として、工具の回転軸線に対して回転対称的に形成されていて、これにより、ワークの加工の際に高い回転速度により生じる不均衡を回避することができる。

先行技術、例えば特開平１１−０９０７６２号公報により公知の工具アダプタでは、軸方向で機械側に向かって、円錐状に延びる円錐区分が設けられていて、この円錐区分には工具側に向かって工具側に直接的に続いているつばがあり、このつばには扁平当接面が設けられている。この扁平当接面は工具アダプタの回転軸線に対して垂直に向けられている。つばには、工具又は工具シャフトを固定するための公知の装置を備えた工具側が続いている。
工具アダプタの円錐区分を工具収容部に結合するために、工具アダプタおよび工具収容部に半径方向で配置された横方向孔が利用される。この横方向孔に、円錐状の区分を有する緊締ピンが、通常は工具アダプタに設けられたねじ山付き孔および緊締ピンに設けられた雄ねじ山を介して挿入される。これにより工具アダプタは工具収容部に解離可能かつ交換可能に設けられ、円錐区分は、工具収容部に対して相対的な工具アダプタのガイドもしくは配向のために働く。工具収容部はこのために、相応に円錐状に形成された、工具アダプタの円錐区分のための収容開口ならびに扁平なストッパ面を有しており、このストッパ面には組み立てられた状態で、工具アダプタのつばの扁平当接面が当接し、工具収容部もしくは回転軸線に対して相対的な工具アダプタの正確な配向のために働く。工具アダプタの使用により、特に種々異なる工具シャフト直径を備えた工具を、加工機械の１つの又は同じ工具スピンドルに使用することができ、工具を簡単かつ安価に迅速に取り替えることができる。

この場合欠点として、特に軸方向で相前後して複数のアダプタを使用する場合、例えば、大きな直径を有する工具スピンドルで小さなシャフト径を有する工具を使用するために、個々のアダプタを互いに、及び公知のアダプタを備えた工具スピンドルに対して正確に軸方向で整合させることは不可能であることが示されている。何故ならば、例えば英国特許出願公開第２１７１９３７号明細書における工具ホルダにより行われるように、唯一の緊締ピンによる片側の緊締により常に側方のずれが軸方向で生じ、力は回転軸線に対して垂直に働くので、不均衡が生じるからである。このことはアダプタの横方向負荷の際に、アダプタが堅固に工具収容部に緊締されている場合でも常に僅かに傾動させられるので、加工結果が悪くなることを意味する。

ドイツ連邦共和国実用新案第２０３１４０９３号明細書により公知の工具アダプタは、工具アダプタの円錐区分の周面に高い横方向負荷が生じた場合でも、工具と工具アダプタの正確な整合を良好に保証するために、２つまたはそれ以上の対称的に分配配置された横方向孔と、円錐区分に続く円筒状のつばとを有している。

先行技術を起点とした本発明の課題は、工具アダプタを改良して、特に横方向負荷が生じた場合に、工具アダプタの軸方向の整合をさらに改善し、工具収容部への工具アダプタの緊締を改善することである。さらに、作業時の冷却水の侵入に抗してアダプタの改善されたシールが得られると望ましい。

この課題は本発明によれば、請求項１の特徴を有する工具アダプタによって解決された。本発明の有利な構成は請求項２〜６に記載されている。

工具アダプタの本発明による新しい構成は、工具アダプタにおいて、円錐区分に続く円筒状のつばに、有利には直径上で、互いに向かい合って位置する、緊締ピンを収容するための横方向孔が設けられていて、円筒状のつばが、工具側の収容領域に向けられた扁平当接面を有していることにある。加工時に生じる横方向力を吸収する円筒状のつばが、右に向かって工具側へと延長されていることにより、比較的高いトルクを伝えることができ、これにより、アダプタが工具収容部に堅固に緊締されている場合でさえ、生じる不均衡により引き起こされることのある工具アダプタの横方向負荷が良好に補償され、高い横方向負荷が生じた場合に、アダプタとその内部に配置された工具の軸方向の整合は、円筒状のつばにおける横方向孔に配置された緊締ピンによる横方向負荷の吸収により改善される。このような力は、例えばフライス加工の際に生じる力のような、回転軸線に対して垂直に作用する特別な力である。

工具収容部における工具アダプタの良好な固定を維持するために、少なくとも２つの横方向孔が、工具アダプタの円筒状のフランジの周面に対称的に配置されていて、これらの横方向孔が、工具収容部にそれぞれ１つのねじ山付き孔と、それぞれこのねじ山付き孔に続く円筒状のつばに形成された円錐孔とを緊締ピンを収容するために有していると有利である。緊締ピンはこのために有利には、工具収容部に固定するためのねじ山付き付加部と、工具収容部において工具アダプタをガイドし配向するために利用される円錐区分とを有している。

有利な構成では、工具アダプタの工具収容部は工具側で、収容領域に向かって扁平当接面を有しており、この扁平当接面は負う面研磨部を有するように形成されている。これにより冷却液に対する良好なシールが得られ、公知の装置とは異なり、工具アダプタの内部において、中央の軸方向の孔を介して冷却媒体が供給される場合に、冷却液に対するシールのもとで生じる毛管作用が排除される。

有利には、緊締ピンの円錐区分の軸線が、円筒状のつばの扁平当接面が工具収容部の扁平なストッパ面に接した状態で、工具アダプタの円筒状のつばにおける円錐孔の軸線に対してずれを有している。

有利な別の構成では、工具収容部から工具アダプタの円筒状のフランジへの移行面に、工具収容部の扁平なストッパ面に対する扁平当接面の当接を保証し、これにより過剰規定を回避するためにギャップが設けられている。

本発明の主要な利点は、工具アダプタの工具側の新しい構成により、工具アダプタもしくはその内部に配置されている工具の良好で精密な軸方向の整合が得られることにある。工具アダプタの改良された構成により、加工の際の高い横方向負荷を吸収することができる。さらに、工具側の収容領域への工具収容部の扁平当接面の新しい配置によっても、加工のために必要な冷却水に対する工具収容部の良好なシールが得られる。新しい工具アダプタのさらなる利点は、特に、生じる横方向力の改善された吸収により最小限の不均衡しか生じないことによっても、このような工具アダプタが極めて高い回転数による使用に適していることにある。

本発明による工具アダプタの実施例を図面に概略的に示し、以下で詳しく説明する。

図１には、機械側に設けられた工具収容部２に固定するための工具アダプタ１がいわゆる縦断面図で示されていて、この工具アダプタ１は回転軸線１′に関して対称的に形成されている。この工具アダプタ１は、１つの円錐区分４と、工具側に設けられた円筒状のつば３と、工具側でこの円筒状のつば３に形成されていて、回転軸線１′に対して垂直に向けられている扁平当接面７とから成っている。この扁平当接面７は緊締状態で、工具収容部２の扁平なストッパ面６に当接している。扁平当接面７またはストッパ面６は有利には凹面研磨を有しており、即ち僅かに、有利には数千分の１ｍｍの範囲で、回転軸線に対する垂線に傾けられていて、これにより運転中にワークもしくは工具へと放出される冷却水もしくは発生する冷却水霧に対して良好にシールされる。

工具アダプタ１の円筒状のつば３に、機械側で続く円錐区分４は、工具収容部２に関して工具アダプタ１をガイドし方向付けるために働く。工具アダプタ１を工具収容部２に固定するために、工具アダプタ１の円筒状のつば３の周面内にまで達している横方向孔８，９にそれぞれ緊締ピン１０，１１が設けられている。この場合、緊締ピン１０，１１は有利には直径上で互いに向かい合って、円筒状のつば３に配置されている。横方向孔８，９はそれぞれ、工具収容部２におけるねじ山付き孔１８，１９と、円筒状のつば３における円錐孔１６，１７とから成っている。

緊締ピン１０，１１はねじ山付き付加部１４，１５で工具収容部２に設けられたねじ山付き孔１８，１９にねじ込まれており、円錐区分１２，１３で工具アダプタ１の円筒状のつば３に設けられた円錐孔１６，１７に緊締されるように挿入されており、これにより工具アダプタ１は解離可能に工具収容部２に固定もしくは緊締されている。緊締ピン１０，１１を工具収容部２にねじ込む際に、緊締ピン１０，１１の円錐区分１２，１３が、工具アダプタ１の円筒状のつば３に設けられた対応する円錐孔１６，１７内に引き込まれる。工具アダプタ１の円筒状のつば３に設けられた円錐孔１６，１７の軸線２２，２３に対して、緊締ピン１０，１１の円錐区分１２，１３の軸線２０，２１が軸方向に向けられてずらされていることにより、円筒状のつば３の扁平当接面７が工具収容部２の扁平なストッパ面６に当接した状態で、緊締ピン１０，１１の円錐区分１２，１３の円錐壁２４，２５は片側で当接し、工具アダプタ１の扁平当接面７は工具収容部２の扁平なストッパ面６に向かって引っ張られる。これにより、工具機械の作業スピンドルに有利には解離可能に固定されている工具収容部２に対して規定通りの確実な工具アダプタ１の位置が得られる。円筒状のつば３は、扁平当接面７とは反対側の扁平面２６では当接できず、この扁平面２６と対応する工具収容部２の内面との間にはギャップ２７が設けられていなくてはならない。これにより、過剰規定は存在せず、従って常に扁平なストッパ面６と扁平当接面７とだけが互いに当接する。

工具収容部２はさらに１つの中央の孔５を、工具への冷却媒体の供給のために有している。この場合、図面には、冷却媒体を案内するために工具アダプタ１に設けられた公知の通路は示されていない。

本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、開示された範囲で多重に変化可能である。

本発明による工具アダプタの断面図である。 工具アダプタにおける緊締ピンの配置を示す図１の細部Ｘの断面図である。

符号の説明

１ 工具アダプタ、 １′ 工具アダプタ１の回転軸線、 ２ 工具収容部、 ３ 工具アダプタ１の円筒状のつば、 ４ 工具アダプタ１の円錐区分、 ５ 工具収容部２に設けられた中央孔、 ６ 工具収容部２の扁平なストッパ面、 ７ 円筒状のつば３の扁平当接面、 ８，９ 横方向孔、 １０，１１ 緊締ピン、 １２，１３ 緊締ピン１０，１１の円錐区分、 １４，１５ 緊締ピン１０，１１のねじ山付き付加部、 １６，１７ 円筒状のつば３の円錐孔、 １８，１９ 工具収容部２のねじ山付き孔、 ２０，２１ 緊締ピン１０，１１の円錐区分の軸線、 ２２ 円筒状のつば３の円錐孔１６の軸線、 ２３ 円筒状のつば３の円錐孔１７の軸線、 ２４ 緊締ピン１０の円錐区分１２の円錐壁、 ２５ 緊締ピン１１の円錐区分１３の円錐壁、 ２６ 円筒状のつば３の反対側の扁平面、 ２７ ギャップ、 ２８ 機械スピンドル

Claims (4)

1. 穿孔機、フライス加工機または類似の切削をするための、少なくとも１つの回転機械スピンドル（２８）を有した工具機械に、切削工具を収容し位置決めし、解離可能かつ交換可能に固定するための工具アダプタ（１）であって、該工具アダプタ（１）は機械スピンドル（２８）に配置されている工具収容部（２）に固定され、該工具収容部（２）は冷却媒体供給のために中央孔（５）を有しており、工具アダプタ（１）は工具側に工具のための収容領域を有しており、かつ、機械側に工具収容部（２）に工具アダプタ（１）を固定するための円錐区分（４）と円筒状のつば（３）とを有していて、工具アダプタ（１）を工具収容部（２）に固定するための複数の緊締ピン（１０，１１）と、該複数の緊締ピン（１０，１１）を収容するための複数の横方向孔（８，９）とが設けられている形式のものにおいて、
   円筒状のつば（３）は円錐区分（４）と工具側の収容領域との間に配置されており、円筒状のつば（３）は工具側において、回転軸線（１′）に対して垂直に配置されている円環状の扁平当接面（７）に隣接しており、該扁平当接面（７）は機械側において前記収容領域に配置されており、緊締ピン（１０，１１）を収容するための複数の横方向孔（８，９）が直径上で互いに向かい合って、円筒状のつば（３）に設けられており、少なくとも２つの横方向孔（８，９）が、工具アダプタ（１）の円筒状のつば（３）の周面に対称的に、各緊締ピン（１０，１１）を収容するために配置されていて、前記２つの横方向孔が、工具収容部（２）におけるそれぞれ１つのねじ山付き孔（１８，１９）と、このねじ山付き孔に続く、円筒状のつば（３）に加工成形された円錐区分（１６，１７）とを有しており、横方向孔（８，９）に固定するための緊締ピン（１０，１１）が、ねじ山付き付加部（１４，１５）と円錐区分（１２，１３）とを有していることを特徴とする工具アダプタ。
2. 工具収容部（２）に設けられた工具側の扁平なストッパ面（６）または、該ストッパ面（６）に向けられた、工具アダプタ（１）に設けられた扁平当接面（７）に凹面研磨部が設けられるように形成されている、請求項１記載の工具アダプタ。
3. 緊締ピン（１０，１１）の円錐区分（１２，１３）の軸線（２０，２１）がそれぞれ、工具アダプタ（１）の円筒状のつば（３）に設けられた円錐孔（１６，１７）の軸線に対して、円筒状のつば（３）の扁平当接面（７）が工具収容部（２）の扁平なストッパ面（６）に当接した状態で、緊締ピン（１０，１１）の円錐区分（１２，１３）の円錐壁（２４，２５）が片側で円錐孔（１６，１７）に当接し、扁平当接面（７）が工具収容部（２）の扁平なストッパ面（６）に向かって引っ張られるように、回転軸線（１′）に沿ったずれを有している、請求項１又は２記載の工具アダプタ。
4. 扁平当接面（７）とは反対側の、つば（３）の扁平面（２６）と、工具収容部（２）の対応する内面との間にギャップ（２７）が設けられている、請求項１から３までのいずれか１項記載の工具アダプタ。

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