JP2004136153A - 非相溶性液体の自動分液方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非相溶性の二種以上の液体を効率よく分液分離しうる自動分液方法の提供。
【解決手段】二種以上の混合溶液を分液容器内で静置し、二層以上に分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を分離するに際し、抜出管途中に設けたサイトグラスを通し、流出する液体の光学情報をCCDカメラで検出し、画像処理装置の信号をコンピューターへ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えることを特徴とする自動分液方法である。
【選択図】図1
【解決手段】二種以上の混合溶液を分液容器内で静置し、二層以上に分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を分離するに際し、抜出管途中に設けたサイトグラスを通し、流出する液体の光学情報をCCDカメラで検出し、画像処理装置の信号をコンピューターへ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えることを特徴とする自動分液方法である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は化学産業、食品産業、石油産業、金属産業などの分野に於いて、多用されている軽液と重液を分離する操作に適用できる新規な自動分液方法及び自動分液装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くの産業では軽液と重液を分離する単位操作は多用されている。代表的な例には化学や石油分野の液―液抽出操作、化学、食品、医薬などの分野の有機溶剤に溶解した物質から、水洗浄などにより不純物や副生物を除去する為の液―液分離操作等を挙げることができる。
【0003】
これらの分野で用いられてきた従来技術は、連続した分離操作では遠心分離機、デカンター、適度の滞留時間を有する分離槽を設置した自動分離等が一般的である。しかしながら、化学工場の精密化学品の合成、精製工程に於いては回分(バッチ)分離操作が一般的に多用されている。この場合、まず種々の非相溶性の混合溶液を分液容器内に静置して相分離し、分液容器下部に設置した抜出管の途中に設けたサイトグラス(監視窓)を通して内部液体を目視観察しながら人間が分液操作を行うことが一般的であった。
【0004】
前述した分液操作に於いても、化学反応後の有機化合物を含む有機溶液を水洗により不純物や副生物を除去する場合や、軽液と重液の間に発生するエマルジョン層や副生物による中間相が発生する場合が多々おこる。この様な場合は人間による目視操作に頼るしか方法はなかった。しかしながら、人間による分液操作はサイトグラスを通過する液体の色調、濁度などの変化を側にいて監視していて、変化が現れて界面若しくは界面付近と判断した時に下流の切替えバルブを操作して受け入れ容器を切り替える。この変化は液の抜出し速度が速いと瞬時に起る。また、抜き出し速度が遅いと分液の所要時間が多く掛る。また どの程度の変化の時にバルブを切り替えるか等、操作する人間の経験と個人差が多く発生する、分液作業時間が長く掛る等の問題があった。
【0005】
一方、かかる問題を解決すべく幾つか提案が成されている。特許文献1では、分液容器内で、非相溶性の二種以上の溶液の混合液を静置して、少なくとも2以上の溶液層に分離した後、各溶液層を分液容器の最下部に設けた流出配管により流出させつつ、その流出配管の途中に設けられた密度検出器により流出溶液の密度の変化を自動的に測定し、測定された溶液の密度の変化状況を演算機構で判断して、その結果に従って、演算機構が自動開閉バルブの開閉を行うと言うものである。この提案では、中間相がエマルジョンや副生物に固形物が混在する場合、界面にスラッジやタール状物がある場合には対処できなかった。
【特許文献1】
特公平7−14441号公報
【0006】
更に、特許文献2には、比重の異なる二種以上の非相溶性液体の混合液を分液する方法であって、上記混合液を分液槽内で静置することにより、各液体層に分離するとともに、上記分液槽内の液体を、境界検出容器に通液させつつこの境界検出容器の重量を検出し、且つ、境界検出容器の重量の変化に基づいて、この境界検出容器から流出する液体の受け入れ槽をきり替えると言うものである。この提案では境界検出容器の大きさを相当大きくしないと接続近傍のフレキシブル管の荷重(阻害要因)と検出する荷重変化量の関係から精度的問題が生ずると言う問題点があった。
【特許文献2】
特開平5−154303号公報
【0007】
また、特許文献3には、非相溶性の二種以上の液体を分液する操作に於いて、分液槽より流出する液体中における超音波の速度を計測し、速度の変化を検知しながら、液界面で開閉弁を自動的に切り替えることを特徴とする自動分液方法が提案されている。
しかしながら、この提案では中間層に固形物を含む場合は問題があった。
更に、特許文献4には、サンプル瓶に収納された相溶しない2種類の溶液A・Bからなる溶液相を、画像として読み取るCCDカメラと読み取った画像から、上記溶液相の液面の位置と、界面の位置とを検出するセンサ本体と、センサ本体による検出結果に基づいて、各溶液A・Bの量を求め、各溶液A・Bを抜き取る液抜取装置とを備える分液処理装置を提案している。そして、容器背面に配置されたテープを用い、各溶液の屈折率の違いによりテープ幅が異なって見えることを利用して界面位置検出をしている。それによって上下層の各溶液のいずれか一方または両方を抜き取ると言うものである。しかしながら、この提案では中間層にエマルションや副生物に固形物を含む場合は適応が困難である。
【特許文献3】
特開平7−308511号公報
【特許文献4】
特開平11−51746号号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、これらの問題点を解決し、従来熟練した人間が行っていたと同程度の精度と再現性で、非相溶性の二種以上の液体を効率良く、自動的に分液分離し得る、工業的に有利な方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成したもので、本願の第1の発明の要旨は、二種以上の混合溶液を分液容器内で静置し、二層以上に分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を分離するに際し、抜出管途中に設けたサイトグラスを通し、流出する液体の光学情報をCCDカメラで検出し、画像処理装置の信号をコンピューターへ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えることを特徴とする自動分液方法である。また、第2の発明である自動分液装置の要旨は、下部にサイトグラスを有する抜出管を設けた分液容器と、前記抜出管中を流出する液体を検出するCCDカメラと、該CCDカメラで検出した分液容器中の非相溶性液体の界面もしくは界面付近の情報を画像処理する装置、及び該処理装置によって得た信号により作動する制御系装置(自動弁、コントロール弁等)とからなる自動分液装置であって、前記非相溶性液体の界面もしくは界面付近を自動検出して自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えるようにした自動分液装置である。
【0010】
即ち、本願発明を図1を参照して述べると、分液容器内で静置して二種以上の混合溶液を、二層以上に分離し、分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を比重差により分離するに際し抜出管途中に設けたサイトグラス(▲5▼)を通し、流出する液体の光学情報CCDカメラ(▲6▼)で検出し、画像処理装置(▲7▼)の信号をDCS(分散型制御装置)(▲8▼)へ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁(10)を操作して受け入れ容器を切り替えることにより、効率の良い分液が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明においては、非相溶性の二種以上の液体の界面叉は界面付近を検知するのにCCDカメラからの光学的情報を画像処理することを利用している。これには、液の抜出管途中に設けたサイトグラス(監視窓)の一方から透視灯等による照明を当て、その光は内部流体を通して反対側に設置されたCCDカメラに入り光学情報として取り込まれる。したがって、人間が目視により得ている光学情報に近い情報を取り込んでいることになる。取り込まれた内部流体の光学情報は画像処理装置に送られ、処理されて判定された結果として電気信号をDCS(分散型制御装置)に送られる。そこで予め組み込まれたプログラムにより制御系(自動弁、コントロール弁)へ伝達される仕組みになっている。
【0012】
本発明のための画像処理では、最初にコントラストの高い画像を照明・光学系で得ることが特に重要であり、後の画像処理手法に大きな影響を及ぼす。そのために、サイトグラスを挟んで対の位置に光源の透視灯とCCDカメラを設置することが重要である。このため使用されるサイトグラスは円板状の2枚のガラスを装着したタイプ、円筒形のガラスを装着したもの、或はそれらの保護の為にパンチングプレートを装着したもの等が使用できる。
【0013】
本発明における画像処理としては、画像取り込み→色抽出→二値化処理→ノイズカット処理後、取り込み画像と現在の処理結果を表示させ、予め設定されたウインドウA、B、Cドットの許容値A、B、Cの何れかが、設定値以下になれば界面と判断して電気・機械的処理(バルブ開閉)が行われる。次の界面判断に関しても同様にして画像取り込み→色抽出→二値化処理→ノイズカット処理後、全く同様の処置が繰り返し行われる。一般的に重液(例えば水層)、中間層、軽液(例えば有機溶液層)は光の透過度、屈折率、色相、濁度が異なり、予め許容値を決めて置けばそれぞれの液を判断することは容易である。このことにより重液(下層)、中間層(エマルション層、中間比重層)、軽液(上層)と分離することができる。
【0014】
本発明に於いては分液操作後、重液(下層)、中間層、軽液(上層)をそれぞれ別々の受槽に入れる。この場合重液槽には中間層が出来るだけ入らない様に、また、軽液層にも中間層が出来るだけ入らない様に前記した許容値を決めて置くのが好ましい。更にそれぞれの受槽には液面計測センサーを設置し、各槽の液面管理と本発明システムの連携をとることが安全面からも好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の自動分液システムを詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ、具体的に説明する。まず、図1に基づき本発明の分液装置の構成例を説明する。分液容器は容量 30m3の攪拌槽である。
予め静置し分液された重液は分液容器底部に設けられた自動弁10を介して、サイトグラス▲5▼を通過する。この時透視灯▲4▼からの光はサイトグラスを介し通過液の情報を、反対側に設置されたCCDカメラにより画像として読み取られる。読み取られた画像信号は画像処理装置▲7▼に送られる。この画像信号を処理し、予め設定された許容値から重液、中間液、軽液を判断し、その出力をDCS(分散型制御装置)▲8▼を介してコントロール弁▲9▼を操作する。重液受槽の液位センサー信号により、分液開始初期はコントロール弁▲9▼の開度を大きく、界面付近では開度を小さくすることにより、分液精度を上げることが出来る。
コントロール弁▲8▼の下流は三本に枝別れされており、自動弁10を介して重液受槽A、中間液受槽B、軽液受槽Cに入るようになっている。
【0017】
次に上記装置を用いた実際の分液例について説明する。
▲1▼の軽液は固形分濃度31重量%合成樹脂のMIBK溶液(比重0.88)16.3m3、▲3▼は反応で副生する食塩1,540Kgを溶解した水層5.4m3(比重1.11)、▲2▼は反応により副生した3〜5mmφの粒子状白色固形物を含有するエマルション層である。温度は 60〜70℃である。上述した組成物を15分間攪拌して10分間静置して、エマルジョン層を含む三層に分離した。DCS▲8▼のシーケンスにより、重液の分離→中間エマルジョン層→軽液の順に自動分液を行った。この時の中間エマルジョン層の液量は150Lであった。また、自動分液に要した全行程時間は19分であった。
更に二回目の洗浄の為、分液容器に70℃の温水2.7m3を仕込み15分間攪拌して10分間静置して、エマルション層を含む三層に分離した。前回と同様にして自動分液を行った。中間エマルジョン層は130Lであった。自動分液に要した全行程時間は19分であった。
【0018】
比較例1
実施例と全く同様の分液作業を、図1で自動弁、コントロール弁を手動弁とした状態(自動化前)で作業員Aが行った場合、第一回目の分液操作で中間エマルジョン層は180Lであった。また、分液に要した全行程時間は22分であった。
更に第二回目の洗浄では、中間エマルション層は160Lであった。また、分液に要した全行程時間は21分であった。
【0019】
比較例2
比較例1と全く同様の分液作業を作業員Bが行った場合、第一回目の分液操作で中間エマルジョン層は190Lであった。また、分液に要した全行程時間は25分であった。更に第二回目の洗浄では、中間エマルション層は180Lであった。また、分液に要した全行程時間は26分であった。
【0020】
【発明の効果】
従来熟練した人間と同じ高精度の分離分液が可能で、再現性が良く、安定した生産が可能であり、自動化に依る安定した連続運転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動分液装置の概念図である。
【符号の説明】
▲1▼ 軽液(上層) ▲2▼ 中間層(エマルジョン層)
▲3▼ 重液(下層) ▲4▼ 光源(透視灯)
▲5▼ サイトグラス ▲6▼ CCDカメラ
▲7▼ 像処理装置 ▲8▼ DCS(コンビュータ)
▲9▼ コントロール弁 10 自動弁
【発明の属する技術分野】
本発明は化学産業、食品産業、石油産業、金属産業などの分野に於いて、多用されている軽液と重液を分離する操作に適用できる新規な自動分液方法及び自動分液装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くの産業では軽液と重液を分離する単位操作は多用されている。代表的な例には化学や石油分野の液―液抽出操作、化学、食品、医薬などの分野の有機溶剤に溶解した物質から、水洗浄などにより不純物や副生物を除去する為の液―液分離操作等を挙げることができる。
【0003】
これらの分野で用いられてきた従来技術は、連続した分離操作では遠心分離機、デカンター、適度の滞留時間を有する分離槽を設置した自動分離等が一般的である。しかしながら、化学工場の精密化学品の合成、精製工程に於いては回分(バッチ)分離操作が一般的に多用されている。この場合、まず種々の非相溶性の混合溶液を分液容器内に静置して相分離し、分液容器下部に設置した抜出管の途中に設けたサイトグラス(監視窓)を通して内部液体を目視観察しながら人間が分液操作を行うことが一般的であった。
【0004】
前述した分液操作に於いても、化学反応後の有機化合物を含む有機溶液を水洗により不純物や副生物を除去する場合や、軽液と重液の間に発生するエマルジョン層や副生物による中間相が発生する場合が多々おこる。この様な場合は人間による目視操作に頼るしか方法はなかった。しかしながら、人間による分液操作はサイトグラスを通過する液体の色調、濁度などの変化を側にいて監視していて、変化が現れて界面若しくは界面付近と判断した時に下流の切替えバルブを操作して受け入れ容器を切り替える。この変化は液の抜出し速度が速いと瞬時に起る。また、抜き出し速度が遅いと分液の所要時間が多く掛る。また どの程度の変化の時にバルブを切り替えるか等、操作する人間の経験と個人差が多く発生する、分液作業時間が長く掛る等の問題があった。
【0005】
一方、かかる問題を解決すべく幾つか提案が成されている。特許文献1では、分液容器内で、非相溶性の二種以上の溶液の混合液を静置して、少なくとも2以上の溶液層に分離した後、各溶液層を分液容器の最下部に設けた流出配管により流出させつつ、その流出配管の途中に設けられた密度検出器により流出溶液の密度の変化を自動的に測定し、測定された溶液の密度の変化状況を演算機構で判断して、その結果に従って、演算機構が自動開閉バルブの開閉を行うと言うものである。この提案では、中間相がエマルジョンや副生物に固形物が混在する場合、界面にスラッジやタール状物がある場合には対処できなかった。
【特許文献1】
特公平7−14441号公報
【0006】
更に、特許文献2には、比重の異なる二種以上の非相溶性液体の混合液を分液する方法であって、上記混合液を分液槽内で静置することにより、各液体層に分離するとともに、上記分液槽内の液体を、境界検出容器に通液させつつこの境界検出容器の重量を検出し、且つ、境界検出容器の重量の変化に基づいて、この境界検出容器から流出する液体の受け入れ槽をきり替えると言うものである。この提案では境界検出容器の大きさを相当大きくしないと接続近傍のフレキシブル管の荷重(阻害要因)と検出する荷重変化量の関係から精度的問題が生ずると言う問題点があった。
【特許文献2】
特開平5−154303号公報
【0007】
また、特許文献3には、非相溶性の二種以上の液体を分液する操作に於いて、分液槽より流出する液体中における超音波の速度を計測し、速度の変化を検知しながら、液界面で開閉弁を自動的に切り替えることを特徴とする自動分液方法が提案されている。
しかしながら、この提案では中間層に固形物を含む場合は問題があった。
更に、特許文献4には、サンプル瓶に収納された相溶しない2種類の溶液A・Bからなる溶液相を、画像として読み取るCCDカメラと読み取った画像から、上記溶液相の液面の位置と、界面の位置とを検出するセンサ本体と、センサ本体による検出結果に基づいて、各溶液A・Bの量を求め、各溶液A・Bを抜き取る液抜取装置とを備える分液処理装置を提案している。そして、容器背面に配置されたテープを用い、各溶液の屈折率の違いによりテープ幅が異なって見えることを利用して界面位置検出をしている。それによって上下層の各溶液のいずれか一方または両方を抜き取ると言うものである。しかしながら、この提案では中間層にエマルションや副生物に固形物を含む場合は適応が困難である。
【特許文献3】
特開平7−308511号公報
【特許文献4】
特開平11−51746号号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、これらの問題点を解決し、従来熟練した人間が行っていたと同程度の精度と再現性で、非相溶性の二種以上の液体を効率良く、自動的に分液分離し得る、工業的に有利な方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成したもので、本願の第1の発明の要旨は、二種以上の混合溶液を分液容器内で静置し、二層以上に分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を分離するに際し、抜出管途中に設けたサイトグラスを通し、流出する液体の光学情報をCCDカメラで検出し、画像処理装置の信号をコンピューターへ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えることを特徴とする自動分液方法である。また、第2の発明である自動分液装置の要旨は、下部にサイトグラスを有する抜出管を設けた分液容器と、前記抜出管中を流出する液体を検出するCCDカメラと、該CCDカメラで検出した分液容器中の非相溶性液体の界面もしくは界面付近の情報を画像処理する装置、及び該処理装置によって得た信号により作動する制御系装置(自動弁、コントロール弁等)とからなる自動分液装置であって、前記非相溶性液体の界面もしくは界面付近を自動検出して自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えるようにした自動分液装置である。
【0010】
即ち、本願発明を図1を参照して述べると、分液容器内で静置して二種以上の混合溶液を、二層以上に分離し、分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を比重差により分離するに際し抜出管途中に設けたサイトグラス(▲5▼)を通し、流出する液体の光学情報CCDカメラ(▲6▼)で検出し、画像処理装置(▲7▼)の信号をDCS(分散型制御装置)(▲8▼)へ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁(10)を操作して受け入れ容器を切り替えることにより、効率の良い分液が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明においては、非相溶性の二種以上の液体の界面叉は界面付近を検知するのにCCDカメラからの光学的情報を画像処理することを利用している。これには、液の抜出管途中に設けたサイトグラス(監視窓)の一方から透視灯等による照明を当て、その光は内部流体を通して反対側に設置されたCCDカメラに入り光学情報として取り込まれる。したがって、人間が目視により得ている光学情報に近い情報を取り込んでいることになる。取り込まれた内部流体の光学情報は画像処理装置に送られ、処理されて判定された結果として電気信号をDCS(分散型制御装置)に送られる。そこで予め組み込まれたプログラムにより制御系(自動弁、コントロール弁)へ伝達される仕組みになっている。
【0012】
本発明のための画像処理では、最初にコントラストの高い画像を照明・光学系で得ることが特に重要であり、後の画像処理手法に大きな影響を及ぼす。そのために、サイトグラスを挟んで対の位置に光源の透視灯とCCDカメラを設置することが重要である。このため使用されるサイトグラスは円板状の2枚のガラスを装着したタイプ、円筒形のガラスを装着したもの、或はそれらの保護の為にパンチングプレートを装着したもの等が使用できる。
【0013】
本発明における画像処理としては、画像取り込み→色抽出→二値化処理→ノイズカット処理後、取り込み画像と現在の処理結果を表示させ、予め設定されたウインドウA、B、Cドットの許容値A、B、Cの何れかが、設定値以下になれば界面と判断して電気・機械的処理(バルブ開閉)が行われる。次の界面判断に関しても同様にして画像取り込み→色抽出→二値化処理→ノイズカット処理後、全く同様の処置が繰り返し行われる。一般的に重液(例えば水層)、中間層、軽液(例えば有機溶液層)は光の透過度、屈折率、色相、濁度が異なり、予め許容値を決めて置けばそれぞれの液を判断することは容易である。このことにより重液(下層)、中間層(エマルション層、中間比重層)、軽液(上層)と分離することができる。
【0014】
本発明に於いては分液操作後、重液(下層)、中間層、軽液(上層)をそれぞれ別々の受槽に入れる。この場合重液槽には中間層が出来るだけ入らない様に、また、軽液層にも中間層が出来るだけ入らない様に前記した許容値を決めて置くのが好ましい。更にそれぞれの受槽には液面計測センサーを設置し、各槽の液面管理と本発明システムの連携をとることが安全面からも好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の自動分液システムを詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ、具体的に説明する。まず、図1に基づき本発明の分液装置の構成例を説明する。分液容器は容量 30m3の攪拌槽である。
予め静置し分液された重液は分液容器底部に設けられた自動弁10を介して、サイトグラス▲5▼を通過する。この時透視灯▲4▼からの光はサイトグラスを介し通過液の情報を、反対側に設置されたCCDカメラにより画像として読み取られる。読み取られた画像信号は画像処理装置▲7▼に送られる。この画像信号を処理し、予め設定された許容値から重液、中間液、軽液を判断し、その出力をDCS(分散型制御装置)▲8▼を介してコントロール弁▲9▼を操作する。重液受槽の液位センサー信号により、分液開始初期はコントロール弁▲9▼の開度を大きく、界面付近では開度を小さくすることにより、分液精度を上げることが出来る。
コントロール弁▲8▼の下流は三本に枝別れされており、自動弁10を介して重液受槽A、中間液受槽B、軽液受槽Cに入るようになっている。
【0017】
次に上記装置を用いた実際の分液例について説明する。
▲1▼の軽液は固形分濃度31重量%合成樹脂のMIBK溶液(比重0.88)16.3m3、▲3▼は反応で副生する食塩1,540Kgを溶解した水層5.4m3(比重1.11)、▲2▼は反応により副生した3〜5mmφの粒子状白色固形物を含有するエマルション層である。温度は 60〜70℃である。上述した組成物を15分間攪拌して10分間静置して、エマルジョン層を含む三層に分離した。DCS▲8▼のシーケンスにより、重液の分離→中間エマルジョン層→軽液の順に自動分液を行った。この時の中間エマルジョン層の液量は150Lであった。また、自動分液に要した全行程時間は19分であった。
更に二回目の洗浄の為、分液容器に70℃の温水2.7m3を仕込み15分間攪拌して10分間静置して、エマルション層を含む三層に分離した。前回と同様にして自動分液を行った。中間エマルジョン層は130Lであった。自動分液に要した全行程時間は19分であった。
【0018】
比較例1
実施例と全く同様の分液作業を、図1で自動弁、コントロール弁を手動弁とした状態(自動化前)で作業員Aが行った場合、第一回目の分液操作で中間エマルジョン層は180Lであった。また、分液に要した全行程時間は22分であった。
更に第二回目の洗浄では、中間エマルション層は160Lであった。また、分液に要した全行程時間は21分であった。
【0019】
比較例2
比較例1と全く同様の分液作業を作業員Bが行った場合、第一回目の分液操作で中間エマルジョン層は190Lであった。また、分液に要した全行程時間は25分であった。更に第二回目の洗浄では、中間エマルション層は180Lであった。また、分液に要した全行程時間は26分であった。
【0020】
【発明の効果】
従来熟練した人間と同じ高精度の分離分液が可能で、再現性が良く、安定した生産が可能であり、自動化に依る安定した連続運転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動分液装置の概念図である。
【符号の説明】
▲1▼ 軽液(上層) ▲2▼ 中間層(エマルジョン層)
▲3▼ 重液(下層) ▲4▼ 光源(透視灯)
▲5▼ サイトグラス ▲6▼ CCDカメラ
▲7▼ 像処理装置 ▲8▼ DCS(コンビュータ)
▲9▼ コントロール弁 10 自動弁
Claims (3)
- 二種以上の混合溶液を分液容器内で静置し、二層以上に分離された液層を、分液容器下部の抜出管から流出させて各層を分離するに際し、抜出管途中に設けたサイトグラスを通し、流出する液体の光学情報をCCDカメラで検出し、画像処理装置の信号をコンピューターへ送り、各層の界面もしくは界面付近を自動検出し、そして自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えることを特徴とする自動分液方法。
- 請求項1記載の自動分液方法により、有機溶剤に溶解した物質から不純物、副生物などを水に溶解し洗浄することから成る精製方法。
- 下部にサイトグラスを有する抜出管を設けた分液容器と、前記抜出管中を流出する液体を検出するCCDカメラと、該CCDカメラで検出した分液容器中の非相溶性液体の界面もしくは界面付近の情報を画像処理する装置、及び該処理装置によって得た信号により作動する制御系装置(自動弁、コントロール弁等)とからなる自動分液装置であって、前記非相溶性液体の界面もしくは界面付近を自動検出して自動開閉弁を操作して受け入れ容器を切り替えるようにした自動分液装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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