JP2004135655A - ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】癌を早期に発見するための診断方法や治療方法等の評価に適する、遺伝子異常の検出に基づいたヒト由来の検体の癌化度評価方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法であって、
(1)ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度をリアルタイムPCR法により測定する第一工程、及び
(2)測定された前記メチル化頻度と、対照とを比較することにより得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する第二工程
を有することを特徴とする評価方法
等に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法であって、
(1)ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度をリアルタイムPCR法により測定する第一工程、及び
(2)測定された前記メチル化頻度と、対照とを比較することにより得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する第二工程
を有することを特徴とする評価方法
等に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌が遺伝子異常を原因とする疾病であること等が次第に明らかになりつつあるが、癌患者の死亡率は未だ高く、現在利用可能な診断方法や治療方法が必ずしも十分に満足できるものではないことを示している。癌を早期に発見し、発見された癌に対する有効な治療方法を選択し、さらに、治療後には癌再発の有無確認等のアフターケアを行うことは、臨床的に重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、癌を早期に発見するための診断方法、癌に対する治療方法の有効性の評価、癌再発の有無確認等に適する、遺伝子異常の検出に基づいたヒト由来の検体の癌化度評価方法の開発が切望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、癌患者検体において特定なDNAのメチル化頻度が健常者の検体と比較して有意に高いことを、リアルタイムPCR法を用いることにより見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法であって、
(1)ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体(以下、本DNAと記すこともある。)におけるメチル化頻度をリアルタイムPCR法により測定する第一工程、及び
(2)測定された前記メチル化頻度と、対照とを比較することにより得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する第二工程
を有することを特徴とする評価方法(以下、本発明評価方法と記すこともある。);
2.ヒト由来の検体が細胞であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
3.ヒト由来の検体が組織であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
4.ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
5.ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする前項3記載の評価方法;
6.メチル化頻度が、当該DNAの塩基配列内に存在する一つ以上の5’−CG−3’で示される塩基配列中のシトシンのメチル化頻度であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
7.ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする前項6記載の評価方法;
8.ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする前項6記載の評価方法;
9.癌マーカーとしての、メチル化された配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体の使用;
10.癌マーカーが乳癌マーカーであることを特徴とする前項9記載の使用;
11.リアルタイムPCR法によるメチル化頻度の測定が、検体から調製されたDNAを非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させた後、該DNAを鋳型として、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能な一対のプライマーを用いてPCRを行い、得られた増幅産物の量を、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能なプローブを用いてリアルタイムに測定することによりなされることを特徴とする前項1記載の評価方法;
12.フォワードプライマーが配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする前項1記載の評価方法;
13.フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする前項1記載の評価方法;
14.癌細胞の検出用キットであって、配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット;
15.癌細胞の検出用キットであって、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット;
等を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、癌マーカー(例えば、乳癌マーカー等)としての、メチル化された、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体の使用等に関連する発明である。
本発明において癌マーカーとして用いられる本DNAは、ヒト由来のHeparan sulfate D−Glucosaminyl 3−O−sulfotransferase−2遺伝子(以下、3OST−2遺伝子と記すこともある。)[J.Biol.Chem.,274,5170−5184(1999)]のプロモーター領域の一部の塩基配列を有するDNAである。ヒト由来の3OST−2遺伝子の翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列を担うエクソンのうち最も5’上流側に位置するエクソン(以下、エクソン1と記す。)と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列は、例えば、Genbank Accession No.HUAC003661等に記載されている。Genbank Accession No.HUAC003661に記載される塩基配列において、例えば、ヒト由来の3OST−2タンパク質のアミノ酸配列のアミノ末端に位置するメチオニンをコードするATGコドンは、塩基番号58514〜58516に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号58514〜58999に示されている。本発明において利用される配列番号1で示される塩基配列を有する本DNAは、このプロモーター領域に位置する塩基番号58252〜58432に示される塩基配列を有するDNAである。本DNAには、上記の公知の塩基配列を有するDNAのほか、等価体として、かかる塩基配列に、生物の種差、個体差若しくは器官、組織間の差異等により天然に生じる変異による塩基の欠失、置換若しくは付加が生じた塩基配列を有するDNAも含まれる。
【0006】
哺乳動物では、遺伝子(ゲノムDNA)を構成する4種類の塩基のうち、シトシンのみがメチル化されるという現象がある。ヒト由来の、例えば、3OST−2遺伝子では、そのゲノムDNAの一部のシトシンがメチル化されている。そして、DNAのメチル化修飾は、5’−CG−3’で示される塩基配列(Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表す。以下、当該塩基配列をCpGと記すこともある。)中のシトシンに限られる。シトシンにおいてメチル化される部位は、その5位である。細胞分裂に先立つDNA複製に際して、複製直後は鋳型鎖のCpG中のシトシンのみがメチル化された状態となるが、メチル基転移酵素の働きにより即座に新生鎖のCpG中のシトシンもメチル化される。従って、DNAのメチル化の状態は、DNA複製後も、新しい2組のDNAにそのまま引き継がれることになる。
【0007】
本発明評価方法の第一工程において「メチル化頻度」とは、例えば、調査対象となるCpG中のシトシンのメチル化の有無を複数のハプロイドについて調べたときの、当該シトシンがメチル化されているハプロイドの割合で表される。より具体的には、後述するメチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量と非メチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていないDNA量とを加え総計DNA量とし、元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量を総計DNA量で除した割合で表される。また、メチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量で表されることもある。
【0008】
本発明評価方法の第一工程におけるヒト由来の検体としては、例えば、乳癌細胞等の癌細胞若しくはそれを含む組織、及び、乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる可能性のある、細胞、それを含む組織(ここでの組織とは、血液、血漿、血清、リンパ液等の体液、リンパ節等を含む広義の意味である。)若しくは体分泌物(尿や乳汁等)等の生体試料をあげることができる。具体的には、例えば、癌が乳癌である場合、被験者から採取された乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織等をあげることができる。ヒト由来の検体が血液である場合には、例えば、定期健康診断や簡便な検査等で採取される血液試料をあげることもできる。
これらの生体試料はそのまま検体として用いてもよく、また、かかる生体試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された生体試料を検体として用いてもよい。
【0009】
本発明評価方法の第一工程において、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定する方法としては、リアルタイムPCR法を用いる。
【0010】
リアルタイムPCR法とは、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を用いて、PCRでの増幅産物の生成過程をリアルタイムでモニタリングし、解析する方法である。例えば、鋳型依存性核酸ポリメラーゼプローブ(以下、本プローブと記すこともある。)等のプローブを用いてPCR反応産物をリアルタイムでモニターし、カイネティックス分析を行うことにより、例えば、遺伝子量に関して2倍程度の差異をも検出する等の高精度の定量が可能なPCR法である。当該リアルタイムPCR法のための装置及びキットもすでに市販されている。
【0011】
まずヒト由来の検体から、例えば、市販のDNA抽出用キット等を用いてDNAを抽出する。
因みに、血液を検体として用いる場合には、血液から通常の方法に準じて血漿又は血清を調製し、調製された血漿又は血清の中に含まれる遊離DNA(乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる)を分析すると、血球由来のDNAの混入を避けて乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAを解析することができる。
次いで、抽出されたDNAを、非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させた後、例えば、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中の解析対象とするシトシンのメチル化の有無を識別可能なプライマー及びプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、得られる増幅産物の量により、検体中に含まれていた本DNAのメチル化頻度を調べる。
ここで使用するプライマー及びプローブを設計する領域としては、ヒト由来の3OST−2遺伝子のエクソン1の5’上流に位置するプロモーター領域の一部の塩基配列をあげることができ、具体的には、配列番号1で示される塩基配列(Genbank Accession No.HUAC003661に記載される塩基配列の塩基番号58252〜58432で示される塩基配列に相当する。)である。配列番号1で示される塩基配列中に存在するCpGで示される塩基配列中のシトシンは、例えば、乳癌細胞等の癌細胞において高いメチル化頻度(即ち、高メチル化状態(hypermethylation))を示す。
【0012】
非メチル化シトシンを修飾する試薬としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩(bisulfite)等を用いることができる。因みに、原理的には、非メチル化シトシンを修飾する試薬の代わりに、メチル化シトシンのみを特異的に修飾する試薬を用いてもよい。
【0013】
抽出されたDNAを非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させるには、例えば、まず当該DNAをアルカリ溶液(pH9〜14)で変性した後、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩(bisulfite)(溶液中の濃度:例えば、終濃度3M)等で約10時間〜約16時間(一晩)程度、55℃で処理する。反応を促進するため、95℃での変性と、55℃での反応を10−20回繰り返すこともできる。この場合、メチル化されていないシトシンはウラシルに変換され、一方、メチル化されているシトシンはウラシルに変換されず、シトシンのままである。
次いで、例えば、重亜硫酸塩等で処理されたDNAを鋳型とし、かつ、メチル化されたシトシンが含まれる場合の塩基配列[メチル化されているシトシン(CpG中のシトシン)はシトシンのままであり、メチル化されていないシトシン(CpG中に含まれてないシトシンも含む)はウラシルとなった塩基配列]とかかる塩基配列に対して相補的な塩基配列からそれぞれ選ばれる一対のメチル化特異的プライマーならびにプローブを用いるリアルタイムPCR(以下、メチル化特異的リアルタイムPCRとも記すこともある。)を行う。あるいは、例えば、重亜硫酸塩等で処理されたDNAを鋳型とし、かつ、シトシンがメチル化されていない場合の塩基配列(全てのシトシンがウラシルとなった塩基配列)とかかる塩基配列に対して相補的な塩基配列からそれぞれ選ばれる一対の非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCR(以下、非メチル化特異的リアルタイムPCRとも記すこともある。)を行う。
メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCRの場合(前者)には、解析対象とするシトシンがメチル化されているDNAからDNAが増幅され検出される。一方、非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCRの場合(後者)には、解析対象とするシトシンがメチル化されていないDNAからDNAが増幅され検出される。これらの増幅産物の量により、元々検体中に含まれていたメチル化されていたDNA量及びメチル化されていなかったDNA量を求める。次に、以下の式(メチル化されていたDNA量)/[(メチル化されていたDNA量)+(メチル化されていなかったDNA量)]を用いて、メチル化されていたDNAの割合、すなわち、メチル化頻度を算出することができる。また、メチル化特異的リアルタイムPCRのみを実施して、得られたDNA量(すなわち、元々検体中に含まれていたメチル化されていたDNA量)の絶対量をメチル化頻度として用いてもよい。
【0014】
ここで、プライマー及びプローブとしては、メチル化を受けていないシトシンがウラシルに変換され、かつ、メチル化を受けているシトシンはウラシルに変換されないことを考慮して、メチル化を受けているシトシンを含む塩基配列に特異的なプライマー(メチル化特異的プライマー)およびプローブ(メチル化特異的プローブ)を設計し、また、メチル化を受けていないシトシンを含む塩基配列に特異的なプライマー(非メチル化特異的プライマー)及びプローブ(非メチル化特異的プローブ)を設計する。重亜硫酸塩処理により化学的に変換され相補的ではなくなったDNA鎖を基に設計することから、元来二本鎖であったDNAのそれぞれの鎖を基に、それぞれからメチル化特異的プライマー、プローブと非メチル化特異的プライマー及びプローブを作製することもできる。かかるプライマーは、メチル、非メチルの特異性を高めるために、プライマーの3’末端近傍にCpG中のシトシンを含むように設計することが好ましい。
【0015】
より具体的には、本DNAの場合、プライマーは、例えば、本DNAの塩基配列内に存在するCpG中のシトシンを1以上含む塩基配列を基にして、上記のようにして設計することができる。例えば、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、30、52、63、71、80、100、121、130、133、142、146、151、153、159、167、172又は174で示されるシトシンを1以上含む塩基配列を基に設計することができる。さらに具体的には、以下のプライマーが好ましい。
<メチル化特異的プライマー>
M1(フォワードプライマー):5’−CGGTTGTTCGGAGTTTTATC−3’(配列番号2)
M2(リバースプライマー) :5’−GTAACGCTACCACGACCACG−3’(配列番号3)
<非メチル化特異的プライマー>
U1(フォワードプライマー):5’−TGGAGTTTTATTGTTTAGGATT−3’(配列番号4)
U2(リバースプライマー) :5’−AAAACTCACATAACACTACCACA−3’(配列番号5)
【0016】
本発明におけるプローブとしては、例えば、オリゴヌクレオチドに後述するレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素とが結合したものをあげることができる。プローブ上の、本DNAからの増幅産物とハイブリダイズする領域の塩基配列は、例えば、本DNAの塩基配列内に存在するCpG中のシトシンを1以上含む塩基配列を基にして、上記のようにして設計することができる。例えば、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、30、52、63、71、80、100、121、130、133、142、146、151、153、159、167、172又は174で示されるシトシンを1以上含む塩基配列を基に設計することができる。具体的には、増幅産物とハイブリダイズする領域の塩基配列として以下の塩基配列を有するプローブが好ましい。
<メチル化特異的プローブ>
MP:5’−CCCGAAAACAACGACTCCTCGAA−3’(配列番号6)
<非メチル化特異的プローブ>
UP:5’−TCCCAAAAACAACAACTCCTCAAAA−3’(配列番号7)
尚、鋳型となるDNAおよび増幅産物において、プローブがハイブリダイズする領域と、上記フォワードプライマー又はリバースプライマーがアニールする領域とが、互いに重複することがないように、プライマーとプローブの組み合わせを選択する必要がある。また、上記フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて得られる増幅産物を、上記プローブで検出可能とするために、増幅産物においてプローブがハイブリダイズする領域が、上記フォワードプライマーおよびリバースプライマーがそれぞれアニールする領域の間にあるように、プライマーとプローブの組み合わせを選択する。
【0017】
上記レポーター蛍光色素の励起光は、クエンチャーにより吸収されている間は測定されず、増幅産物へのハイブリダイズによりプローブに構造等の変化が生じてクエンチャーにより吸収されなくなると当該励起光が測定されるようになる。例えば、TaqMan(Roche Molecular Systemsの登録商標)法で用いられるプローブは、レポーター蛍光色素がクエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記クエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では蛍光強度が抑制されないものである。レポーター蛍光色素としては、FAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)のようなフルオレッセイン系蛍光色素が好ましく、クエンチャー蛍光色素としては、TAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)のようなローダミン系蛍光色素が好ましい。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイムPCR用検出キットに含まれているのでそれを用いることもできる。レポーター蛍光色素及びクエンチャー蛍光色素の結合位置は特に限定されないが、通常、プローブの一端(好ましくは5’末端)にレポーター蛍光色素が、他端にクエンチャー蛍光色素が結合される。尚、オリゴヌクレオチドに蛍光色素を結合する方法は公知であり、例えば、Noble et al., (1984) Nuc. Acids Res. 12:3387−3403、Iyer et al., (1990) J. Am. Chem. Soc. 112:1253−1254等に記載されている。
【0018】
リアルタイムPCRにおける反応液としては、例えば、鋳型とするDNAを50ngと、上記フォワードプライマー、リバースプライマーを終濃度で、それぞれ200nMと、上記プローブを終濃度で100nMと、dNTPを終濃度で200μMと、MgCl2を終濃度で4mMと、耐熱性DNAポリメラーゼを 1.5Uと、10×緩衝液(100mM Tris−HCl pH 8.3、500mM KCl)を5μlとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を50μlとした反応液をあげることができる。尚、プライマー及びプローブの組み合わせについては、メチル化特異的リアルタイムPCRの場合には、メチル化特異的プライマーとメチル化特異的プローブとを組み合わせて使用し、非メチル化特異的リアルタイムPCRの場合には、非メチル化特異的プライマーと非メチル化特異的プローブとを組み合わせて使用する。反応条件としては、例えば、前記のような反応液を、95℃にて3分間保温した後、95℃にて15秒間次いで60℃にて60秒間を1サイクルとする保温を55サイクル行う条件があげられる。このような反応を行い、反応液からの蛍光強度をリアルタイムに測定する。このリアルタイムPCR法自体は公知であり、そのための装置及びキットも市販されているので、このような市販の装置及びキットを用いて行なうことができる。
【0019】
反応では、bisulfite処理されたDNAを鋳型としてPCRによりDNAの増幅が起きる。もし、DNAがメチル化特異的プライマーと相補的な領域を有していれば(例えば、メチル化特異的プライマーとアニールする領域に含まれるシトシン部分が、全てメチル化されていたDNAが元々検体中に存在していれば)、メチル化特異的プライマーによりDNAが増幅される。さらに、増幅されたDNAがメチル化特異的プローブと相補的な領域を有していれば(例えば、増幅されたDNAにおいてメチル化特異的プローブとハイブリダイズする領域に含まれるシトシン部分が、全てメチル化されていたDNAが元々検体中に存在していれば)、メチル化特異的プローブは一本鎖状態の増幅DNAにハイブリダイズする。次いで、例えば、TaqMan(Roche Molecular Systemsの登録商標)法によるリアルタイムPCRでは、メチル化特異的プローブが一本鎖DNAに完全にハイブリダイズした状態で、当該一本鎖DNAを鋳型とする伸長が起きると、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により、当該一本鎖DNAにハイブリダイズしていたメチル化特異的プローブが5’末端側から加水分解される。この分解の結果、メチル化特異的プローブに結合されているレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素とが分離され、クエンチャー蛍光色素に起因する蛍光共鳴エネルギー転移により抑制されていたレポーター蛍光色素からの蛍光強度が増加する。一方、検体中に上記DNAが存在しない場合には、DNAの増幅が起きず、メチル化特異的プローブはDNAにハイブリダイズせず、従ってメチル化特異的プローブがDNAポリメラーゼによって加水分解されることもない。このため、レポーター蛍光色素からの蛍光は、クエンチャー蛍光色素により抑制されたままであり、蛍光強度は増加しない。従って、蛍光強度を測定することにより、検体中に存在しているメチル化された本DNAを定量することが可能である。メチル化されていない本DNAを定量する場合には、上記で使用した、メチル化特異的プライマー及びプローブの代わりに、非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いることにより、メチル化されていない本DNAを定量することが可能である。
【0020】
本発明評価方法では、蛍光強度をリアルタイムに測定する。すなわち、蛍光強度を測定しながらPCR反応を行なう。測定される蛍光強度は、あるサイクル数を過ぎると検出下限を超え、急激に増加する。そして、検体中に目的とするDNA量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が急に増加する。従って、何サイクルを過ぎた時に蛍光強度の急激な増加が始まるか等を調べることにより、検体中の目的とするDNAを定量することができる。より具体的には、例えば、108個の目的とするDNAが含まれていたとしても急激な増加が起こりえない例えば10サイクル目までの蛍光強度のブレの標準偏差の10倍を閾値として設定し、蛍光強度がこの閾値を超えるサイクル数を調べることにより、検体中のメチル化された本DNAを正確に定量することができる。即ち、検体中のメチル化された本DNAの数の常用対数を横軸に、上記閾値を超えた時のサイクル数を縦軸にとると、測定結果はほぼ完全に直線上にのるので、検量線を作成しておけば、何サイクルで閾値を超えるかを調べることにより検体中のメチル化された本DNAを定量することができる。従って、本発明評価方法によれば、従来のPCRのように、PCR後に反応液の電気泳動を行なってDNAの増幅を調べる操作が不要であり、非常に簡便である。またプライマーの他にプローブを同時に用いると、ノイズを低く抑えることが可能となり、高年齢者由来の検体にも精度よく適用可能である。
【0021】
以上の方法を用いて、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定する。測定されたメチル化頻度と、例えば、乳癌細胞等の癌細胞を持たないと診断され得る健常なヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度(対照)とを比較して、当該比較により得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する。仮に、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度が対照と比較して高ければ(配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体が対照と比較の上で高メチル化状態であれば)、当該検体の癌化度が対照と比較の上で高いと判定することができる。
ここで「癌化度」とは、一般に当該分野において使用される意味と同様である。具体的には、例えば、ヒト由来の検体が細胞である場合には当該細胞の悪性度を意味する。また、例えば、ヒト由来の検体が組織である場合には当該組織又は当該検体の起源である個体における癌細胞の存在量等を意味している。因みに、例えば、ヒト由来の検体が血液、血漿、血清である場合には「癌化度」を当該検体の起源である個体が癌を有している可能性の度合いとしても考えてもよい。
【0022】
本発明評価方法における配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定するためのリアルタイムPCR法で使用し得るプライマー及びプローブは、乳癌細胞等の癌細胞の検出用キットの試薬として有用である。本発明は、これらプライマー及びプローブを試薬として含有する乳癌細胞等の癌細胞の検出用キットも提供しており、本発明評価方法の権利範囲は、当該方法の実質的な原理を利用してなる前記のような検出用キットのような形態での使用も含むものである。
【0023】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
実施例1 (早期乳癌患者の血液における配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体のメチル化状態の確認試験)
ステージI及びIIの乳癌患者30名並びに健常者35名から血漿2mLを得た(インフォームドコンセント実施済)。血漿2mL中のDNAをQIAamp DNA Blood Midi Kit(QIAGEN)により抽出した。抽出により得られたDNA全量を、Clark et al., Nucl. Acids Res., 22, 2990−2997, 1994; Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 93, 9821−9826, 1996に記載される方法に準じて亜硫酸水素ナトリウム処理した。即ち、上記のDNAをTEバッファーに溶解して15μlのゲノムDNA溶液を調製し、これに6M水酸化ナトリウムを約2μl加えた後、当該混合物を37℃で15分間放置した。放置された混合物に、10mMヒドロキノン(Sigma)9μlと3.6N亜硫酸水素ナトリウム(Sigma)120μlとを加えた後、これを95℃30秒、50℃で15分を1サイクルとする保温を15サイクル行った。インキュベートされた液からWizard DNA clean−up system(Promega)を用いてDNAを精製した。精製されたDNAの溶液(約50μlのTEバッファー溶液)に5μlの6M水酸化ナトリウムを加えた後、当該混合物を室温で5分間放置した。次いで、放置された混合物をエタノール沈澱することにより沈澱(DNA)を回収した。回収された沈澱を10μlのTEバッファーに懸濁した。
【0025】
得られたDNAを鋳型とし、以下に示すメチル化特異的プライマーM1とM2、および5’末端がレポーター蛍光色素であるFAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)で標識され3’末端がクエンチャー蛍光色素であるTAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)で標識されたメチル化特異的プローブMPを用いてリアルタイムPCRを行った。この場合、配列番号1で示される塩基配列の塩基番号1〜172のbisulfite処理後の塩基配列に相当する172bpのDNAが増幅される。すなわち、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、63、71、80、153、159、167及び172で示されるシトシンが全てメチル化されている本DNAから172bpのDNAが特異的に増幅される。
<メチル化特異的プライマー>
M1(フォワードプライマー):5’−CGGTTGTTCGGAGTTTTATC−3’(配列番号2)
M2(リバースプライマー) :5’−GTAACGCTACCACGACCACG−3’(配列番号3)
<メチル化特異的プローブ>
MP:5’−CCCGAAAACAACGACTCCTCGAA−3’(配列番号6)
【0026】
PCRの反応液としては、鋳型とするDNAを1μLと、上記プライマーを終濃度で、それぞれ200nMと、上記プローブを終濃度で100nMと、dNTPを終濃度で200μMと、MgCl2を終濃度で4mMと、Platinum Taq DNAポリメラーゼ(PlatinumはInvitrogenの登録商標)を 1.5Uと、10×緩衝液(100mM Tris−HCl pH 8.3、500mM KCl)を5μlとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を50μlとしたものを用いた。当該反応液を、95℃にて3分間保温した後、95℃にて15秒間次いで60℃にて60秒間を1サイクルとする保温を55サイクル行う条件でリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRの装置としては、iCycler iQ Real−Time Detection System (Bio−Rad社)を使用した。尚、メチル化特異的PCR用プライマー及びメチル化特異的プローブが、メチル化された本DNAのみ特異的に増幅することを確認するため、ヒト由来の正常乳腺上皮細胞(HMEC、Clonetics社)から通常の方法でゲノムDNA(1:ネガティブコントロール)を抽出し、この一部をメチル化酵素SssI(NEB社)により処理しゲノムDNAの−CpG−全てをメチル化した(2:ポジティブコントロール)。この無処理のゲノムDNA(1:ネガティブコントロール)及びメチル化処理したDNA(2:ポジティブコントロール)を、上記と同様、bisulfite処理に供し、得られたDNAを鋳型として、リアルタイムPCRを行った。その結果、無処理のDNAでは、増幅産物は得られず、メチル化処理したDNAでのみ増幅産物が得られた。この事実により、メチル化特異的PCR用プライマー及びメチル化特異的プローブが、メチル化処理したDNAのみ特異的に増幅することを確認した。また、メチル化処理したDNA(2:ポジティブコントロール)を用いて検量線を作成した。即ち、まず、DNAをPCRにより増幅し得られたPCR産物を精製した。PCR反応溶液中の分子の重量を吸光高度計により計測し、PCR産物の予測分子量から、溶液中の分子数を算出した。その分子数をもとに、鋳型となるPCR産物を10、100、1000、10,000、100,000、1,000,000、10,000,000又は100,000,000コピー含んだPCR反応溶液を調製し、これを用いて蛍光モニター下、リアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRにおいてPCR反応溶液からの蛍光強度が閾値を超えるサイクル数を調べ、当該PCR反応溶液中のDNA数(メチル化された本DNAの数)の常用対数を横軸に、上記閾値を超えた時のサイクル数を縦軸にとり、検量線を作成した。この検量線を作成した後、検体のリアルタイムPCRを行い、蛍光強度が閾値を越えるサイクル数を求めた。得られた結果から、検量線を用いて、メチル化された本DNAの量を算出した。
【0027】
乳癌患者由来の検体(血漿)に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度(メチル化された本DNAの量)を調べた結果を表1及び表2に示した。表1及び表2に示すように、乳癌患者30名のうち9名(30%)でメチル化された本DNAを定量することができた。また、健常者においては、35名中1名でしかメチル化された本DNAを定量することができず、その量は、55.3コピー/0.2mL血漿相当量であった。即ち、検体中に含まれる本DNAがメチル化されていれば(メチル化特異的リアルタイムPCRにおいて増幅産物が得られれば)、検体の起源である個体が乳癌を有している可能性が高いという結果が得られた。また、これら乳癌患者においては、腫瘍マーカーであるCEA(5ng/mL以下で正常値)及びCA15−3(28U/mL以下で正常値)が測定されており、CEAについては、2例でのみ擬陽性を示し、CA15−3については、全員陰性であった。従って、本発明評価方法が、現在一般的に用いられる腫瘍マーカーよりも高感度である可能性が示唆された。
【0028】
【表1】
【表2】
【0029】
以上の結果から、検体に含まれる本DNAがメチル化されていれば(メチル化特異的リアルタイムPCRにおいて増幅産物が得られれば)、被検者が乳癌を有している可能性が高いことが示された。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法等が提供可能となる。
【0031】
[配列表フリーテキスト]
配列番号2
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号7
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0032】
【配列表】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌が遺伝子異常を原因とする疾病であること等が次第に明らかになりつつあるが、癌患者の死亡率は未だ高く、現在利用可能な診断方法や治療方法が必ずしも十分に満足できるものではないことを示している。癌を早期に発見し、発見された癌に対する有効な治療方法を選択し、さらに、治療後には癌再発の有無確認等のアフターケアを行うことは、臨床的に重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、癌を早期に発見するための診断方法、癌に対する治療方法の有効性の評価、癌再発の有無確認等に適する、遺伝子異常の検出に基づいたヒト由来の検体の癌化度評価方法の開発が切望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、癌患者検体において特定なDNAのメチル化頻度が健常者の検体と比較して有意に高いことを、リアルタイムPCR法を用いることにより見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法であって、
(1)ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体(以下、本DNAと記すこともある。)におけるメチル化頻度をリアルタイムPCR法により測定する第一工程、及び
(2)測定された前記メチル化頻度と、対照とを比較することにより得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する第二工程
を有することを特徴とする評価方法(以下、本発明評価方法と記すこともある。);
2.ヒト由来の検体が細胞であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
3.ヒト由来の検体が組織であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
4.ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
5.ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする前項3記載の評価方法;
6.メチル化頻度が、当該DNAの塩基配列内に存在する一つ以上の5’−CG−3’で示される塩基配列中のシトシンのメチル化頻度であることを特徴とする前項1記載の評価方法;
7.ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする前項6記載の評価方法;
8.ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする前項6記載の評価方法;
9.癌マーカーとしての、メチル化された配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体の使用;
10.癌マーカーが乳癌マーカーであることを特徴とする前項9記載の使用;
11.リアルタイムPCR法によるメチル化頻度の測定が、検体から調製されたDNAを非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させた後、該DNAを鋳型として、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能な一対のプライマーを用いてPCRを行い、得られた増幅産物の量を、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能なプローブを用いてリアルタイムに測定することによりなされることを特徴とする前項1記載の評価方法;
12.フォワードプライマーが配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする前項1記載の評価方法;
13.フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする前項1記載の評価方法;
14.癌細胞の検出用キットであって、配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット;
15.癌細胞の検出用キットであって、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット;
等を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、癌マーカー(例えば、乳癌マーカー等)としての、メチル化された、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体の使用等に関連する発明である。
本発明において癌マーカーとして用いられる本DNAは、ヒト由来のHeparan sulfate D−Glucosaminyl 3−O−sulfotransferase−2遺伝子(以下、3OST−2遺伝子と記すこともある。)[J.Biol.Chem.,274,5170−5184(1999)]のプロモーター領域の一部の塩基配列を有するDNAである。ヒト由来の3OST−2遺伝子の翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列を担うエクソンのうち最も5’上流側に位置するエクソン(以下、エクソン1と記す。)と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列は、例えば、Genbank Accession No.HUAC003661等に記載されている。Genbank Accession No.HUAC003661に記載される塩基配列において、例えば、ヒト由来の3OST−2タンパク質のアミノ酸配列のアミノ末端に位置するメチオニンをコードするATGコドンは、塩基番号58514〜58516に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号58514〜58999に示されている。本発明において利用される配列番号1で示される塩基配列を有する本DNAは、このプロモーター領域に位置する塩基番号58252〜58432に示される塩基配列を有するDNAである。本DNAには、上記の公知の塩基配列を有するDNAのほか、等価体として、かかる塩基配列に、生物の種差、個体差若しくは器官、組織間の差異等により天然に生じる変異による塩基の欠失、置換若しくは付加が生じた塩基配列を有するDNAも含まれる。
【0006】
哺乳動物では、遺伝子(ゲノムDNA)を構成する4種類の塩基のうち、シトシンのみがメチル化されるという現象がある。ヒト由来の、例えば、3OST−2遺伝子では、そのゲノムDNAの一部のシトシンがメチル化されている。そして、DNAのメチル化修飾は、5’−CG−3’で示される塩基配列(Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表す。以下、当該塩基配列をCpGと記すこともある。)中のシトシンに限られる。シトシンにおいてメチル化される部位は、その5位である。細胞分裂に先立つDNA複製に際して、複製直後は鋳型鎖のCpG中のシトシンのみがメチル化された状態となるが、メチル基転移酵素の働きにより即座に新生鎖のCpG中のシトシンもメチル化される。従って、DNAのメチル化の状態は、DNA複製後も、新しい2組のDNAにそのまま引き継がれることになる。
【0007】
本発明評価方法の第一工程において「メチル化頻度」とは、例えば、調査対象となるCpG中のシトシンのメチル化の有無を複数のハプロイドについて調べたときの、当該シトシンがメチル化されているハプロイドの割合で表される。より具体的には、後述するメチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量と非メチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていないDNA量とを加え総計DNA量とし、元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量を総計DNA量で除した割合で表される。また、メチル化特異的リアルタイムPCRにより求めた元々検体中に存在したメチル化されていたDNA量で表されることもある。
【0008】
本発明評価方法の第一工程におけるヒト由来の検体としては、例えば、乳癌細胞等の癌細胞若しくはそれを含む組織、及び、乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる可能性のある、細胞、それを含む組織(ここでの組織とは、血液、血漿、血清、リンパ液等の体液、リンパ節等を含む広義の意味である。)若しくは体分泌物(尿や乳汁等)等の生体試料をあげることができる。具体的には、例えば、癌が乳癌である場合、被験者から採取された乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織等をあげることができる。ヒト由来の検体が血液である場合には、例えば、定期健康診断や簡便な検査等で採取される血液試料をあげることもできる。
これらの生体試料はそのまま検体として用いてもよく、また、かかる生体試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された生体試料を検体として用いてもよい。
【0009】
本発明評価方法の第一工程において、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定する方法としては、リアルタイムPCR法を用いる。
【0010】
リアルタイムPCR法とは、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を用いて、PCRでの増幅産物の生成過程をリアルタイムでモニタリングし、解析する方法である。例えば、鋳型依存性核酸ポリメラーゼプローブ(以下、本プローブと記すこともある。)等のプローブを用いてPCR反応産物をリアルタイムでモニターし、カイネティックス分析を行うことにより、例えば、遺伝子量に関して2倍程度の差異をも検出する等の高精度の定量が可能なPCR法である。当該リアルタイムPCR法のための装置及びキットもすでに市販されている。
【0011】
まずヒト由来の検体から、例えば、市販のDNA抽出用キット等を用いてDNAを抽出する。
因みに、血液を検体として用いる場合には、血液から通常の方法に準じて血漿又は血清を調製し、調製された血漿又は血清の中に含まれる遊離DNA(乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる)を分析すると、血球由来のDNAの混入を避けて乳癌細胞等の癌細胞由来のDNAを解析することができる。
次いで、抽出されたDNAを、非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させた後、例えば、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中の解析対象とするシトシンのメチル化の有無を識別可能なプライマー及びプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、得られる増幅産物の量により、検体中に含まれていた本DNAのメチル化頻度を調べる。
ここで使用するプライマー及びプローブを設計する領域としては、ヒト由来の3OST−2遺伝子のエクソン1の5’上流に位置するプロモーター領域の一部の塩基配列をあげることができ、具体的には、配列番号1で示される塩基配列(Genbank Accession No.HUAC003661に記載される塩基配列の塩基番号58252〜58432で示される塩基配列に相当する。)である。配列番号1で示される塩基配列中に存在するCpGで示される塩基配列中のシトシンは、例えば、乳癌細胞等の癌細胞において高いメチル化頻度(即ち、高メチル化状態(hypermethylation))を示す。
【0012】
非メチル化シトシンを修飾する試薬としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩(bisulfite)等を用いることができる。因みに、原理的には、非メチル化シトシンを修飾する試薬の代わりに、メチル化シトシンのみを特異的に修飾する試薬を用いてもよい。
【0013】
抽出されたDNAを非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させるには、例えば、まず当該DNAをアルカリ溶液(pH9〜14)で変性した後、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩(bisulfite)(溶液中の濃度:例えば、終濃度3M)等で約10時間〜約16時間(一晩)程度、55℃で処理する。反応を促進するため、95℃での変性と、55℃での反応を10−20回繰り返すこともできる。この場合、メチル化されていないシトシンはウラシルに変換され、一方、メチル化されているシトシンはウラシルに変換されず、シトシンのままである。
次いで、例えば、重亜硫酸塩等で処理されたDNAを鋳型とし、かつ、メチル化されたシトシンが含まれる場合の塩基配列[メチル化されているシトシン(CpG中のシトシン)はシトシンのままであり、メチル化されていないシトシン(CpG中に含まれてないシトシンも含む)はウラシルとなった塩基配列]とかかる塩基配列に対して相補的な塩基配列からそれぞれ選ばれる一対のメチル化特異的プライマーならびにプローブを用いるリアルタイムPCR(以下、メチル化特異的リアルタイムPCRとも記すこともある。)を行う。あるいは、例えば、重亜硫酸塩等で処理されたDNAを鋳型とし、かつ、シトシンがメチル化されていない場合の塩基配列(全てのシトシンがウラシルとなった塩基配列)とかかる塩基配列に対して相補的な塩基配列からそれぞれ選ばれる一対の非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCR(以下、非メチル化特異的リアルタイムPCRとも記すこともある。)を行う。
メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCRの場合(前者)には、解析対象とするシトシンがメチル化されているDNAからDNAが増幅され検出される。一方、非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いるリアルタイムPCRの場合(後者)には、解析対象とするシトシンがメチル化されていないDNAからDNAが増幅され検出される。これらの増幅産物の量により、元々検体中に含まれていたメチル化されていたDNA量及びメチル化されていなかったDNA量を求める。次に、以下の式(メチル化されていたDNA量)/[(メチル化されていたDNA量)+(メチル化されていなかったDNA量)]を用いて、メチル化されていたDNAの割合、すなわち、メチル化頻度を算出することができる。また、メチル化特異的リアルタイムPCRのみを実施して、得られたDNA量(すなわち、元々検体中に含まれていたメチル化されていたDNA量)の絶対量をメチル化頻度として用いてもよい。
【0014】
ここで、プライマー及びプローブとしては、メチル化を受けていないシトシンがウラシルに変換され、かつ、メチル化を受けているシトシンはウラシルに変換されないことを考慮して、メチル化を受けているシトシンを含む塩基配列に特異的なプライマー(メチル化特異的プライマー)およびプローブ(メチル化特異的プローブ)を設計し、また、メチル化を受けていないシトシンを含む塩基配列に特異的なプライマー(非メチル化特異的プライマー)及びプローブ(非メチル化特異的プローブ)を設計する。重亜硫酸塩処理により化学的に変換され相補的ではなくなったDNA鎖を基に設計することから、元来二本鎖であったDNAのそれぞれの鎖を基に、それぞれからメチル化特異的プライマー、プローブと非メチル化特異的プライマー及びプローブを作製することもできる。かかるプライマーは、メチル、非メチルの特異性を高めるために、プライマーの3’末端近傍にCpG中のシトシンを含むように設計することが好ましい。
【0015】
より具体的には、本DNAの場合、プライマーは、例えば、本DNAの塩基配列内に存在するCpG中のシトシンを1以上含む塩基配列を基にして、上記のようにして設計することができる。例えば、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、30、52、63、71、80、100、121、130、133、142、146、151、153、159、167、172又は174で示されるシトシンを1以上含む塩基配列を基に設計することができる。さらに具体的には、以下のプライマーが好ましい。
<メチル化特異的プライマー>
M1(フォワードプライマー):5’−CGGTTGTTCGGAGTTTTATC−3’(配列番号2)
M2(リバースプライマー) :5’−GTAACGCTACCACGACCACG−3’(配列番号3)
<非メチル化特異的プライマー>
U1(フォワードプライマー):5’−TGGAGTTTTATTGTTTAGGATT−3’(配列番号4)
U2(リバースプライマー) :5’−AAAACTCACATAACACTACCACA−3’(配列番号5)
【0016】
本発明におけるプローブとしては、例えば、オリゴヌクレオチドに後述するレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素とが結合したものをあげることができる。プローブ上の、本DNAからの増幅産物とハイブリダイズする領域の塩基配列は、例えば、本DNAの塩基配列内に存在するCpG中のシトシンを1以上含む塩基配列を基にして、上記のようにして設計することができる。例えば、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、30、52、63、71、80、100、121、130、133、142、146、151、153、159、167、172又は174で示されるシトシンを1以上含む塩基配列を基に設計することができる。具体的には、増幅産物とハイブリダイズする領域の塩基配列として以下の塩基配列を有するプローブが好ましい。
<メチル化特異的プローブ>
MP:5’−CCCGAAAACAACGACTCCTCGAA−3’(配列番号6)
<非メチル化特異的プローブ>
UP:5’−TCCCAAAAACAACAACTCCTCAAAA−3’(配列番号7)
尚、鋳型となるDNAおよび増幅産物において、プローブがハイブリダイズする領域と、上記フォワードプライマー又はリバースプライマーがアニールする領域とが、互いに重複することがないように、プライマーとプローブの組み合わせを選択する必要がある。また、上記フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて得られる増幅産物を、上記プローブで検出可能とするために、増幅産物においてプローブがハイブリダイズする領域が、上記フォワードプライマーおよびリバースプライマーがそれぞれアニールする領域の間にあるように、プライマーとプローブの組み合わせを選択する。
【0017】
上記レポーター蛍光色素の励起光は、クエンチャーにより吸収されている間は測定されず、増幅産物へのハイブリダイズによりプローブに構造等の変化が生じてクエンチャーにより吸収されなくなると当該励起光が測定されるようになる。例えば、TaqMan(Roche Molecular Systemsの登録商標)法で用いられるプローブは、レポーター蛍光色素がクエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されている場合には蛍光共鳴エネルギー転移によりその蛍光強度が抑制され、前記クエンチャー蛍光色素と同一のプローブに結合されていない状態では蛍光強度が抑制されないものである。レポーター蛍光色素としては、FAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)のようなフルオレッセイン系蛍光色素が好ましく、クエンチャー蛍光色素としては、TAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)のようなローダミン系蛍光色素が好ましい。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイムPCR用検出キットに含まれているのでそれを用いることもできる。レポーター蛍光色素及びクエンチャー蛍光色素の結合位置は特に限定されないが、通常、プローブの一端(好ましくは5’末端)にレポーター蛍光色素が、他端にクエンチャー蛍光色素が結合される。尚、オリゴヌクレオチドに蛍光色素を結合する方法は公知であり、例えば、Noble et al., (1984) Nuc. Acids Res. 12:3387−3403、Iyer et al., (1990) J. Am. Chem. Soc. 112:1253−1254等に記載されている。
【0018】
リアルタイムPCRにおける反応液としては、例えば、鋳型とするDNAを50ngと、上記フォワードプライマー、リバースプライマーを終濃度で、それぞれ200nMと、上記プローブを終濃度で100nMと、dNTPを終濃度で200μMと、MgCl2を終濃度で4mMと、耐熱性DNAポリメラーゼを 1.5Uと、10×緩衝液(100mM Tris−HCl pH 8.3、500mM KCl)を5μlとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を50μlとした反応液をあげることができる。尚、プライマー及びプローブの組み合わせについては、メチル化特異的リアルタイムPCRの場合には、メチル化特異的プライマーとメチル化特異的プローブとを組み合わせて使用し、非メチル化特異的リアルタイムPCRの場合には、非メチル化特異的プライマーと非メチル化特異的プローブとを組み合わせて使用する。反応条件としては、例えば、前記のような反応液を、95℃にて3分間保温した後、95℃にて15秒間次いで60℃にて60秒間を1サイクルとする保温を55サイクル行う条件があげられる。このような反応を行い、反応液からの蛍光強度をリアルタイムに測定する。このリアルタイムPCR法自体は公知であり、そのための装置及びキットも市販されているので、このような市販の装置及びキットを用いて行なうことができる。
【0019】
反応では、bisulfite処理されたDNAを鋳型としてPCRによりDNAの増幅が起きる。もし、DNAがメチル化特異的プライマーと相補的な領域を有していれば(例えば、メチル化特異的プライマーとアニールする領域に含まれるシトシン部分が、全てメチル化されていたDNAが元々検体中に存在していれば)、メチル化特異的プライマーによりDNAが増幅される。さらに、増幅されたDNAがメチル化特異的プローブと相補的な領域を有していれば(例えば、増幅されたDNAにおいてメチル化特異的プローブとハイブリダイズする領域に含まれるシトシン部分が、全てメチル化されていたDNAが元々検体中に存在していれば)、メチル化特異的プローブは一本鎖状態の増幅DNAにハイブリダイズする。次いで、例えば、TaqMan(Roche Molecular Systemsの登録商標)法によるリアルタイムPCRでは、メチル化特異的プローブが一本鎖DNAに完全にハイブリダイズした状態で、当該一本鎖DNAを鋳型とする伸長が起きると、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により、当該一本鎖DNAにハイブリダイズしていたメチル化特異的プローブが5’末端側から加水分解される。この分解の結果、メチル化特異的プローブに結合されているレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素とが分離され、クエンチャー蛍光色素に起因する蛍光共鳴エネルギー転移により抑制されていたレポーター蛍光色素からの蛍光強度が増加する。一方、検体中に上記DNAが存在しない場合には、DNAの増幅が起きず、メチル化特異的プローブはDNAにハイブリダイズせず、従ってメチル化特異的プローブがDNAポリメラーゼによって加水分解されることもない。このため、レポーター蛍光色素からの蛍光は、クエンチャー蛍光色素により抑制されたままであり、蛍光強度は増加しない。従って、蛍光強度を測定することにより、検体中に存在しているメチル化された本DNAを定量することが可能である。メチル化されていない本DNAを定量する場合には、上記で使用した、メチル化特異的プライマー及びプローブの代わりに、非メチル化特異的プライマー及びプローブを用いることにより、メチル化されていない本DNAを定量することが可能である。
【0020】
本発明評価方法では、蛍光強度をリアルタイムに測定する。すなわち、蛍光強度を測定しながらPCR反応を行なう。測定される蛍光強度は、あるサイクル数を過ぎると検出下限を超え、急激に増加する。そして、検体中に目的とするDNA量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が急に増加する。従って、何サイクルを過ぎた時に蛍光強度の急激な増加が始まるか等を調べることにより、検体中の目的とするDNAを定量することができる。より具体的には、例えば、108個の目的とするDNAが含まれていたとしても急激な増加が起こりえない例えば10サイクル目までの蛍光強度のブレの標準偏差の10倍を閾値として設定し、蛍光強度がこの閾値を超えるサイクル数を調べることにより、検体中のメチル化された本DNAを正確に定量することができる。即ち、検体中のメチル化された本DNAの数の常用対数を横軸に、上記閾値を超えた時のサイクル数を縦軸にとると、測定結果はほぼ完全に直線上にのるので、検量線を作成しておけば、何サイクルで閾値を超えるかを調べることにより検体中のメチル化された本DNAを定量することができる。従って、本発明評価方法によれば、従来のPCRのように、PCR後に反応液の電気泳動を行なってDNAの増幅を調べる操作が不要であり、非常に簡便である。またプライマーの他にプローブを同時に用いると、ノイズを低く抑えることが可能となり、高年齢者由来の検体にも精度よく適用可能である。
【0021】
以上の方法を用いて、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定する。測定されたメチル化頻度と、例えば、乳癌細胞等の癌細胞を持たないと診断され得る健常なヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度(対照)とを比較して、当該比較により得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する。仮に、ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度が対照と比較して高ければ(配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体が対照と比較の上で高メチル化状態であれば)、当該検体の癌化度が対照と比較の上で高いと判定することができる。
ここで「癌化度」とは、一般に当該分野において使用される意味と同様である。具体的には、例えば、ヒト由来の検体が細胞である場合には当該細胞の悪性度を意味する。また、例えば、ヒト由来の検体が組織である場合には当該組織又は当該検体の起源である個体における癌細胞の存在量等を意味している。因みに、例えば、ヒト由来の検体が血液、血漿、血清である場合には「癌化度」を当該検体の起源である個体が癌を有している可能性の度合いとしても考えてもよい。
【0022】
本発明評価方法における配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度を測定するためのリアルタイムPCR法で使用し得るプライマー及びプローブは、乳癌細胞等の癌細胞の検出用キットの試薬として有用である。本発明は、これらプライマー及びプローブを試薬として含有する乳癌細胞等の癌細胞の検出用キットも提供しており、本発明評価方法の権利範囲は、当該方法の実質的な原理を利用してなる前記のような検出用キットのような形態での使用も含むものである。
【0023】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
実施例1 (早期乳癌患者の血液における配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体のメチル化状態の確認試験)
ステージI及びIIの乳癌患者30名並びに健常者35名から血漿2mLを得た(インフォームドコンセント実施済)。血漿2mL中のDNAをQIAamp DNA Blood Midi Kit(QIAGEN)により抽出した。抽出により得られたDNA全量を、Clark et al., Nucl. Acids Res., 22, 2990−2997, 1994; Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 93, 9821−9826, 1996に記載される方法に準じて亜硫酸水素ナトリウム処理した。即ち、上記のDNAをTEバッファーに溶解して15μlのゲノムDNA溶液を調製し、これに6M水酸化ナトリウムを約2μl加えた後、当該混合物を37℃で15分間放置した。放置された混合物に、10mMヒドロキノン(Sigma)9μlと3.6N亜硫酸水素ナトリウム(Sigma)120μlとを加えた後、これを95℃30秒、50℃で15分を1サイクルとする保温を15サイクル行った。インキュベートされた液からWizard DNA clean−up system(Promega)を用いてDNAを精製した。精製されたDNAの溶液(約50μlのTEバッファー溶液)に5μlの6M水酸化ナトリウムを加えた後、当該混合物を室温で5分間放置した。次いで、放置された混合物をエタノール沈澱することにより沈澱(DNA)を回収した。回収された沈澱を10μlのTEバッファーに懸濁した。
【0025】
得られたDNAを鋳型とし、以下に示すメチル化特異的プライマーM1とM2、および5’末端がレポーター蛍光色素であるFAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)で標識され3’末端がクエンチャー蛍光色素であるTAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)で標識されたメチル化特異的プローブMPを用いてリアルタイムPCRを行った。この場合、配列番号1で示される塩基配列の塩基番号1〜172のbisulfite処理後の塩基配列に相当する172bpのDNAが増幅される。すなわち、配列番号1で示される塩基配列において塩基番号1、9、20、63、71、80、153、159、167及び172で示されるシトシンが全てメチル化されている本DNAから172bpのDNAが特異的に増幅される。
<メチル化特異的プライマー>
M1(フォワードプライマー):5’−CGGTTGTTCGGAGTTTTATC−3’(配列番号2)
M2(リバースプライマー) :5’−GTAACGCTACCACGACCACG−3’(配列番号3)
<メチル化特異的プローブ>
MP:5’−CCCGAAAACAACGACTCCTCGAA−3’(配列番号6)
【0026】
PCRの反応液としては、鋳型とするDNAを1μLと、上記プライマーを終濃度で、それぞれ200nMと、上記プローブを終濃度で100nMと、dNTPを終濃度で200μMと、MgCl2を終濃度で4mMと、Platinum Taq DNAポリメラーゼ(PlatinumはInvitrogenの登録商標)を 1.5Uと、10×緩衝液(100mM Tris−HCl pH 8.3、500mM KCl)を5μlとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を50μlとしたものを用いた。当該反応液を、95℃にて3分間保温した後、95℃にて15秒間次いで60℃にて60秒間を1サイクルとする保温を55サイクル行う条件でリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRの装置としては、iCycler iQ Real−Time Detection System (Bio−Rad社)を使用した。尚、メチル化特異的PCR用プライマー及びメチル化特異的プローブが、メチル化された本DNAのみ特異的に増幅することを確認するため、ヒト由来の正常乳腺上皮細胞(HMEC、Clonetics社)から通常の方法でゲノムDNA(1:ネガティブコントロール)を抽出し、この一部をメチル化酵素SssI(NEB社)により処理しゲノムDNAの−CpG−全てをメチル化した(2:ポジティブコントロール)。この無処理のゲノムDNA(1:ネガティブコントロール)及びメチル化処理したDNA(2:ポジティブコントロール)を、上記と同様、bisulfite処理に供し、得られたDNAを鋳型として、リアルタイムPCRを行った。その結果、無処理のDNAでは、増幅産物は得られず、メチル化処理したDNAでのみ増幅産物が得られた。この事実により、メチル化特異的PCR用プライマー及びメチル化特異的プローブが、メチル化処理したDNAのみ特異的に増幅することを確認した。また、メチル化処理したDNA(2:ポジティブコントロール)を用いて検量線を作成した。即ち、まず、DNAをPCRにより増幅し得られたPCR産物を精製した。PCR反応溶液中の分子の重量を吸光高度計により計測し、PCR産物の予測分子量から、溶液中の分子数を算出した。その分子数をもとに、鋳型となるPCR産物を10、100、1000、10,000、100,000、1,000,000、10,000,000又は100,000,000コピー含んだPCR反応溶液を調製し、これを用いて蛍光モニター下、リアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRにおいてPCR反応溶液からの蛍光強度が閾値を超えるサイクル数を調べ、当該PCR反応溶液中のDNA数(メチル化された本DNAの数)の常用対数を横軸に、上記閾値を超えた時のサイクル数を縦軸にとり、検量線を作成した。この検量線を作成した後、検体のリアルタイムPCRを行い、蛍光強度が閾値を越えるサイクル数を求めた。得られた結果から、検量線を用いて、メチル化された本DNAの量を算出した。
【0027】
乳癌患者由来の検体(血漿)に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度(メチル化された本DNAの量)を調べた結果を表1及び表2に示した。表1及び表2に示すように、乳癌患者30名のうち9名(30%)でメチル化された本DNAを定量することができた。また、健常者においては、35名中1名でしかメチル化された本DNAを定量することができず、その量は、55.3コピー/0.2mL血漿相当量であった。即ち、検体中に含まれる本DNAがメチル化されていれば(メチル化特異的リアルタイムPCRにおいて増幅産物が得られれば)、検体の起源である個体が乳癌を有している可能性が高いという結果が得られた。また、これら乳癌患者においては、腫瘍マーカーであるCEA(5ng/mL以下で正常値)及びCA15−3(28U/mL以下で正常値)が測定されており、CEAについては、2例でのみ擬陽性を示し、CA15−3については、全員陰性であった。従って、本発明評価方法が、現在一般的に用いられる腫瘍マーカーよりも高感度である可能性が示唆された。
【0028】
【表1】
【表2】
【0029】
以上の結果から、検体に含まれる本DNAがメチル化されていれば(メチル化特異的リアルタイムPCRにおいて増幅産物が得られれば)、被検者が乳癌を有している可能性が高いことが示された。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法等が提供可能となる。
【0031】
[配列表フリーテキスト]
配列番号2
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号7
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0032】
【配列表】
Claims (15)
- ヒト由来の検体の癌化度を評価する方法であって、
(1)ヒト由来の検体に含まれる配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体におけるメチル化頻度をリアルタイムPCR法により測定する第一工程、及び
(2)測定された前記メチル化頻度と、対照とを比較することにより得られる差異に基づき前記検体の癌化度を判定する第二工程
を有することを特徴とする評価方法。 - ヒト由来の検体が細胞であることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- ヒト由来の検体が組織であることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする請求項3記載の評価方法。
- メチル化頻度が、当該DNAの塩基配列内に存在する一つ以上の5’−CG−3’で示される塩基配列中のシトシンのメチル化頻度であることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- ヒト由来の検体が血液、血漿又は血清であることを特徴とする請求項6記載の評価方法。
- ヒト由来の検体が乳房組織、乳腺組織又は乳腺上皮組織であって、かつ、癌が乳癌であることを特徴とする請求項6記載の評価方法。
- 癌マーカーとしての、メチル化された配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体の使用。
- 癌マーカーが乳癌マーカーであることを特徴とする請求項9記載の使用。
- リアルタイムPCR法によるメチル化頻度の測定が、検体から調製されたDNAを非メチル化シトシンを修飾する試薬と接触させた後、該DNAを鋳型として、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能な一対のプライマーを用いてPCRを行い、得られた増幅産物の量を、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA又はその等価体中のシトシンのメチル化の有無を識別可能なプローブを用いてリアルタイムに測定することによりなされることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- フォワードプライマーが配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- フォワードプライマーが配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、リバースプライマーが配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、かつ、プローブが配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
- 癌細胞の検出用キットであって、配列番号2で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット。
- 癌細胞の検出用キットであって、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするキット。
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