JP2004134211A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、励磁コイルの軽量化及び材料コストダウンを図る。
【解決手段】励磁コイルを構成する束線に用いられる1本毎の導線50を、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体で形成する。又、この環状導電体を、円周状に配置された複数の細い導線で構成する。
【選択図】図9
【解決手段】励磁コイルを構成する束線に用いられる1本毎の導線50を、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体で形成する。又、この環状導電体を、円周状に配置された複数の細い導線で構成する。
【選択図】図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱材を加圧・加熱する加熱装置、特には電磁誘導加熱(IHF)タイプの加熱装置、および前記加熱装置を記録材に形成担持させた未定着画像を加熱定着処理する像加熱装置として具備した電子写真装置・静電記録装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やプリンター等の画像形成装置における像加熱装置としての定着装置を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置において、電子写真プロセス等の適宜の画像形成プロセス手段で記録材(用紙)に間接(転写)あるいは直接に形成担持させた未定着トナー画像を記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置(定着器)としては従来より熱ローラ方式の加熱装置が広く用いられている。
【0004】
近年では、クイックスタートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式(サーフ)の装置が実用化されている。また金属からなるフィルム自身を発熱させる電磁誘導加熱方式の加熱装置も提案されている。
【0005】
電磁誘導加熱方式の装置の具体例として、磁束により定着フィルムの金属層(発熱層)に渦電流を誘導させて、そのジュール熱で発熱させる誘導加熱定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、誘導電流の発生を利用することで直接定着フィルムを発熱させることができ、ハロゲンランプを熱源とする熱ローラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0006】
しかしながら、磁束(磁場)発生手段としての励磁コイルにより発生した交番磁束のエネルギーは定着フィルム全体の昇温に使われるため放熱損失が大きい。そのため、投入したエネルギーに対して定着に作用するエネルギーの割合が低く、効率が悪いという欠点があった。
【0007】
そこで、定着に作用するエネルギーを高効率で得るために、発熱体である定着フィルムに励磁コイルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が考案された。
【0008】
図11に、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部に集中させて効率を向上させた電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成を示す。
【0009】
10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体層、抵抗体層)を有する回転発熱体体としての円筒状・可撓性の定着フィルム(以下スリーブと称す)である。
【0010】
16cは横断面略半円弧状樋型のフィルムガイド部材(以下スリーブガイド部材と称す)であり、スリーブ10はこのスリーブガイド部材16cの外側にルーズに外嵌させてある。
【0011】
15はスリーブガイド部材16cの内側に配設した磁束発生手投であり、励磁コイル18とT型の磁性コア(芯材)17とからなる。
【0012】
30は弾性加圧ローラであり、スリーブ10を挟ませてスリーブガイド部材16cの下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて相互圧接させてある。
【0013】
上記磁束発生手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応させて配設してある。
【0014】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、該加圧ローラ30とスリーブ10の外面との、定着ニップ部Nにおける摩擦力でスリーブ10に回転力が作用して、該スリーブ10がその内面が定着ニップ部Nにおいてスリーブガイド部材16cの下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってスリーブガイド部材16cの外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0015】
スリーブガイド部材16cは、定着ニップ部Nへの加圧、磁束発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17の支持、スリーブ10の支持、該スリーブ10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。このスリーブガイド部材16cは磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0016】
励磁コイル18は不図示の励磁回路から供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番磁束は定着ニップ部Nの位置に対応している横断面T型の磁性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、その交番磁束は定着ニップ部Nにおいてスリーブ10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。このスリーブ10の電磁誘導発熱は交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0017】
定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検知手段を含む温調制御系により、励磁コイル17への電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。
【0018】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴ってスリーブ10がスリーブガイド部材16の外回りを回転し、励磁回路からの励磁コイル17への給電により、上記のようにスリーブ10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がる。そして温調された状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pは、定着ニップ部Nのスリーブ10と加圧ローラ30との間に画像面が上向きに、即ち定着スリーブ面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面がスリーブ10の外面に密着してスリーブ10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0019】
この定着ニップ部Nをスリーブ10と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程においてスリーブ10の電磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転するスリーブ10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0020】
ところで、前述のように励磁コイル18は定着スリーブ10に接近させる必要があるため、具体的には、図12のように略平面に巻いた後、矢印の方向に変形させて舟形形状とする方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0021】
このとき、励磁コイル18は、高周波の交番電流を流すため、表皮効果が生じ、芯線の中央部は電流が流れず、見かけ上抵抗が上昇して熱変換効率が下がってしまう。そこで一例として、図13のように、絶縁被覆の施された細い導線を複数束ね、束線70として励磁コイルに用いることが考案されている。図13の例では49本の導線で1本の束線を構成しているが、この様にすることで表皮効果が49本の導線の1本ずつに分散し、高周波の交番電流が流れ易くなる。
【特許文献1】
実開昭51−109739号公報
【特許文献2】
特開平2000−243545号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの場合でも、各々の導線においては、表皮効果が存在するため、どうしても電流損失が生じてしまう。一方、これを回避するために導線の直径を小径にして本数を増やしてゆくと、導線自体に十分な表皮電流が流れなくなる、という不具合が生じる。そこで導線の太さを適当な大きさに保ちながら、その本数を稼ぐという必要が生じ、結果的にコイルの重量が大きくなり、コストも嵩む、等の問題点があった。
【0023】
本発明はこの問題点を解決するものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、前記導線は、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体であることにより、前述の問題点を解決するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
以下に、本発明の第1の実施例を示す。
【0026】
(1)画像形成装置
図1は、本発明の加熱装置を定着装置100として適用した、画像形成装置の一例の構成略図である。本例はカラーレーザプリンターである。
【0027】
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転駆動される。
【0028】
感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
【0029】
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103により、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力し、感光ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感光ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0030】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光ドラム101と中間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写ドラム105面に転写される。中間転写ドラム105面に対するトナー画像転写後の感光ドラム101面はクリーナ107により転写残トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0031】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えはマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形成される。
【0032】
中間転写ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を設けたもので、感光ドラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101とほぼ同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光ドラム101との電位差で感光ドラム101側のトナー画像を前記中間転写ドラム105面側に転写させる。
【0033】
上記の中間転写ドラム105面に形成されたカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材(以下、転写材あるいは用紙と記す)Pの面に転写されていく。転写ローラ106は転写材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム105面側から転写材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0034】
二次転写部T2を通過した転写材Pは中間転写ドラム105面から分離されて定着装置(像加熱装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けて、機外の不図示の排紙トレーに排出される。
【0035】
転写材Pに対するカラートナー画像転写後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0036】
このクリーナ108は常時は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保持される。
【0037】
また転写ローラ106も常時中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に転写材Pを介して接触状態に保持される。
【0038】
本例装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモードも実行できる。
【0039】
両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目画像プリント済みの転写材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定著処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
【0040】
(2)定着装置100
A)装置の全体的構成
本例において定着装置100は電磁誘導加熱方式の装置である。図2は本例の定着装置100の要部の横断側面模型図、図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断正面模型図(図2の(4)−(4)線部分の縦断正面模型図)である。
【0041】
本例装置100は前述の図11の定着装置と同様に、回転定着部材(定着スリーブ)としてフィルム状・円筒状の電磁誘導発熱スリーブ(発熱体)を用いた、加圧ローラ駆動方式で、電磁誘導加熱方式の装置である。図11の装置と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0042】
磁束発生手投15は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18からなる。
【0043】
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
【0044】
励磁コイル18には給電部18a・18b(図5)に励磁回路27を接続してある。この励磁回路27は20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
【0045】
励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。高周波電流の周波数fとしては、20kHz〜100kHz程度が公的に用いられることが多い。
【0046】
16a・16bは横断面略半円弧状樋型のスリーブガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせて略円柱体を構成し、外側に円筒状回転体としてa=外径34mmの電磁誘導スリーブ10をルーズに外嵌させてある。
【0047】
前記スリーブガイド部材16aは、磁束発生手段15としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を内側に保持している。
【0048】
また、スリーブガイド部材16aには良熱伝導性部材40が定着ニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、スリーブ10の内側に配設してあり、スリーブ内面側バックアップ部材としても機能している。
【0049】
本例においては、良熱伝導性部材40に厚さ1mmのアルミニウムを用いている。
【0050】
また、良熱伝導性部材40は磁束発生手投15である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設してある。
【0051】
具体的には、良熱伝導性部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17b・17cを隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導性部材40に影響を与えないようにしている。
【0052】
22は良熱伝導性部材40のニップ部Nに対応する部分の裏面側とスリーブガイド部材16bの内面平面部とに当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイである。
【0053】
19は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁するための絶縁部材である。
【0054】
フランジ部材23a・23b(図3・図4)はスリーブガイド部材16a・16bのアセンブリの長手方向左右両端部に外嵌し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、スリーブ10の回転時に該スリーブ10の端部を受けてスリーブ10のスリーブガイド部材16a・16bの長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。
【0055】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30b及び、表層の離型層30cとしてPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂層(厚さ10μm〜100μm程度)で構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0056】
加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより良熱伝導性部材40のニップ部Nに対応する部分の下面と加圧ローラ30の上面とが定着スリーブ10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0057】
本実施例では、ニップ部Nでの加圧ローラ30による押圧力(線圧力)を7.8N/cm(800g/cm)程度とした。
【0058】
ここで、ニップNの幅をある程度確保するには、加圧ローラ30の硬度が高すぎると好ましくない。加圧ローラ30の硬度は、ニップ確保のため上限75度、機械強度から下限45度程度(加圧ローラの表層上からのアスカーC硬度測定、9.8N(1kg加重))の範囲とするのが望ましい。
【0059】
本実施例では、加圧ローラ30の硬度を約56度とし、ニップ量Nを7mm程度とした。
【0060】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、前記加圧ローラ30との外面との摩擦力でスリーブ10に回転力が作用し、前記スリーブ10がその内面が定着ニップNにおいて良熱伝導性部材40の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってスリーブガイド部材16a・16bの外周を回転する。
【0061】
この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝導性部材40の下面とスリーブ10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために定着ニップ部Nの良熱伝導性部材40の下面とスリーブ10の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導性部材40の下面を潤滑部材41で被覆することでニップNでのスリーブ10の摺動性を向上させることもできる。
【0062】
これは、良熱伝導性部材40としてアルミニウムを用いた場合のように表面滑り性が材質的によくない或いは仕上げ加工を簡素化した場合に、摺動するスリーブ10に傷をつけてスリーブ10の耐久性が悪化してしまうことを防ぐものである。
【0063】
また、図5に示すように、スリーブガイド部材16aの周面に、その長手に沿い所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、スリーブガイド部材16aの周面とスリーブ10の内面との接触摺動抵抗を低減させてスリーブ10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eはスリーブガイド部材16bにも同様に形成具備することができる。図5で、給電部18a・18bは、スリーブガイド部材16aからの励磁コイル18の引き出し線である。
【0064】
図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。
【0065】
磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間においてスリーブ10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0066】
ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度φで表したスリーブ10における円周方向の位置を示し、横軸がスリーブ10の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域である。前述(従来例)の様に、スリーブ10の端部においては見かけ上ピーク値Qが低下する。
【0067】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図2)を含む温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。
【0068】
温度検知手段26はスリーブ10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはこの温度センサ26で測定したスリーブ10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0069】
本実施例では、スリーブ10の中央部で表面温度が略180℃となるように温度制御を行った。
【0070】
而して、スリーブ10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により上記のようにスリーブ10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された転写材Pが定着ニップ部Nのスリーブ10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ちスリーブ面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面がスリーブ10の外面に密着してスリーブ10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0071】
この定着ニップ部Nをスリーブ10と一緒に転写材Pが挟持搬送されていく過程においてスリーブ10の電磁誘導発熱で加熱されて転写材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。
【0072】
転写材Pは定着ニップ部Nを通過するとスリーブ10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0073】
転写材P上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0074】
本例においては、図2に示すように、スリーブ10の発熱域H(図6)の対向位置に暴走時の励磁コイル18への給電を遮断するため温度検知素子であるサーモスイッチ60を配設している。
【0075】
なお、サーモスイッチ60はスリーブ10の発熱域Hに対向してスリーブ10の外面に非接触に配設した。サーモスイッチ60とスリーブ18との間の距離は約2mmとした。これにより、スリーブ10にサーモスイッチ60の接触による傷が付くことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止することができる。
【0076】
本例ではトナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置、にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていない。
【0077】
B)スリーブ10
図7の(a)は本例におけるスリーブ10の層構成模型図である。本例のスリーブ10は、電磁誘導発熱性のスリーブ10の基層となる金属スリーブ等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0078】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のため、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。
【0079】
略円筒形状であるスリーブ10において発熱層1が内面側であり、離型層3が外面側である。前述したように、発熱層1に交番磁束が作用することで前記発熱層1に渦電流が発生して前記発熱層1が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3を介してスリーブ10を加熱し、前記定着ニップNに通紙される被加熱材としての転写材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0080】
a.発熱層1
発熱層1はニッケル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といった強磁性体の金属を用いるとよい。
【0081】
非磁性の金属でも良いが、より好ましくは磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の金属が良い。
【0082】
その厚みは次の式で表される表皮深さより厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深さσ[mm]は、励磁回路27の周波数f[Hz]と比透磁率μrと固有抵抗ρ[Qm]で、下式
σ=503×(ρ/fμr)1/2・・・・・・(1)
と表される。
【0083】
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図8)。
【0084】
前述のように、fは一般的に20kHzから100kHz程度までで使用される事が多いため、発熱層1の厚さは好ましくは1〜100μm、より好ましくは20μm〜100μmがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。更に、機械的強度の観点からは、発熱層1の厚さは20μm程度以上であることが望ましい。
【0085】
また、発熱層1が100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。従って、発熱層1の厚みは1〜100μm、機械的強度を考慮して、より好ましくは20μm〜100μmの範囲で決定するのが好ましい。本例では、50μmの厚さのニッケル電鋳メッキ品を用いた。
【0086】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質である。
【0087】
「す」と称するこまかいモザイク状欠陥を防止するのに、この弾性層が重要となる。すなわち、ワックス内包トナー使用時においては、シャープメルト系トナー使用時と異なり、弾性層2のやわらかさを反映してスリーブ10の表層である離型層3がトナー自体をつつみ込む効果が「す」を防止するのに必要である。
【0088】
このために弾性層2としては、ゴム単体での硬度がJIS−A測定、すなわちJIS−K6301のA型硬度計により規定される硬度にて30度以下、より好ましくは25度以下、厚さは50μm以上より好ましくは100μm以上とする必要がある。
【0089】
一方、弾性層2の厚さが500μmを超えると弾性層の熱抵抗が大きくなりすぎてしまい、クイックスタートが実現困難(1000μm以上ではほぼ不可能)となる。このため、弾性層2の厚さは500μm以下とするのが望ましい。
【0090】
また、弾性層2の熱伝導率λに関しては、2.5×10−1〜8.4×10−1[W/m/℃](6×10−4〜2×10−3[ca1/cm・sec・deg.])がよい。
【0091】
熱伝導率λが2.5×10−1[W/m/℃]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、スリーブの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。
【0092】
熱伝導率λが8.4×10−1[W/m/℃]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
【0093】
よって熱伝導率λは2.5×10−1〜8.4×10−1[W/m/℃]がよい。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1[W/m/℃](8×10−4〜1.5×10−3[cal/cm・sec・deg.])がよい。
【0094】
本実施例ではゴム硬度が単体の硬度で10度(JIS−A)、熱伝導率が4.2×10−1[W/m/℃](1×10−3[cal/cm・sec・deg.])、厚さが300μmのシリコーンゴムを用いた。
【0095】
c.離型層3
離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる.離型層3はこのようなフッ素系樹脂のチューブ層あるいは樹脂コート層にすることができる。
【0096】
前述の弾性層2のやわらかさを十分に表面に伝えるためには、離型層3の厚さが最大でも100μm以下より好ましくは80μm以下である必要がある。100μmより大きいと、トナーをつつみ込む効果が発揮されなくなり、べタ画像上に「す」が発生する。
【0097】
更に、弾性層2が薄くなるに従い、離型層3の厚さの上限値も小さくする必要が有る。本件出願人の検討の結果では、離型層3の厚さは最大でも弾性層2の厚さの1/3以下とする必要が有り、これ以上では弾性層2のやわらかさが表層まで十分に反映されなくなった。
【0098】
一方、離型層3の厚さが5μmを下回ると、弾性層に加わる機械的ストレスを緩和出来なくなり、弾性層や離型層自体が劣化してしまう。このため、離型層3の厚さの下限値として5μm以上、より好ましくは10μm以上が必要である。
【0099】
本実施例では離型層3として厚さ30μmのPFAチューブを用いた。
【0100】
上記弾性層2と離型層3相互の層厚の関係をまとめると、弾性層2の厚さをt1、離型層3の厚さをt2としたとき、
50μm≦t1≦500μm、
5μm≦t2≦100μm、
t1≧3×t2、
であることが好ましい。
【0101】
d.断熱層4
また、図8の(b)に示すように、スリーブ10の構成において、発熱層1のスリーブガイド部材面側(発熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱層4を設けてもよい。断熱層4は、スリーブ10とスリーブガイド部材間の摺動性を向上させる目的としても、非常に有用である。
【0102】
断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0103】
また、断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると断熱層4の機械的剛性が強くなり、スリーブ10が円周方向に変形しづらくなる為、好ましくない。また、磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる場合も有る。
【0104】
断熱層4は、発熱層1に発生した熱がスリーブ10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層4がない場合と比較して転写材P側への熱供給効率がよくなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0105】
本実施例では、断熱層4は厚さ略30μmのポリイミド樹脂コートを用いた。
C)励磁コイル18
励磁コイル18は、コイルを構成させる電線として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の導線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて、励磁コイルを形成する構造となっている。
【0106】
本実施例では、98本の導線から成る束線を10ターン巻いて励磁コイル18を形成している。また、励磁コイル18の形状は、図2、図6のようにスリーブ10の発熱層1の曲面に沿うようにしている。
【0107】
このとき上述の導線として、本実施例では図9に示すような外径φ1、空洞径φ2の中空導線(チューブ状導線、横断面環状導線)50を用いた。ここで導線50を流れる高周波電流の表皮効果について考察する。
【0108】
表皮効果は、前述の表皮深さを表わす式(1)により推定できる。即ち、式(1)で定義される表皮深さσは、銅線/80kHzの場合において、略0.23mmとなる。即ち、表面からσの位置において、電流は表面近傍に対し1/eに減衰している(e=2.71828)ので、実際には表皮深さが約100μm程度以下の部分において、特に電流が効率良く流れる。
【0109】
上記を考慮すると、現実的には前述の中空導線50の肉厚(φ1−φ2)/2は、10μm〜100μmの範囲とするのが望ましい(10μm以下では導線の抵抗が上昇し、現実的ではない)。
【0110】
本実施例では導線の外径φ1=200μm、空洞の径φ2=140μm、肉厚(φ1−φ2)/2=30μmとしたところ、高周波電流に対し、良好な導通性能が得られ、コイル自体の発熱も実用限度内に抑えることが出来た。また、外径φ1が200μmで空洞部の無い、従来の導線に比べ64%の大幅な重量削減を達成出来、導線材料費を削減することが出来た。
【0111】
なお、前述の絶縁被覆は導線の外周部のみに施し、空洞部には施していない。図9において、51が絶縁被覆である。
【0112】
絶縁被覆51の材質としてはスリーブ10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよい。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を用いるよい。
【0113】
また、スリーブガイド部材(励磁コイル保持部材)16a、16bの材質としては絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0114】
なお、前述の中空導線50における、中央の空洞部は、必ずしも完全な空洞である必要はなく、例えば絶縁部材が一部または全体に充てんされた構造であっても良い。換言すると「電気的な空洞」であれば良い。中央に軽量の絶縁充てん材を設ける場合の利点として、周囲に導電体を設ける際の支持部材とする等の事が考えられる。
【0115】
また、中空導線50の横断面外形形状、空洞部の横断面形状は円形に限られるものではない。
(第2の実施例)
図10に本発明のコイルに用いる導線部分に関する第2の実施形態を示す。
【0116】
図10では1本の導線を更に細い径φ3の銅製の導線52が複数本円周上に配置された形状のもので構成している。ここで本実施例では、φ3を30μmとし、これ等を個々には被覆を設けず、接触させた状態で互いに導通をとりながら17本を円周配置させることで、見かけ上の外径φ1’が約200μmとなる、中空導線(チューブ状導線、横断面環状導線)53を形成した。また、この導線53には、最外周に絶縁被覆54を設けている。
【0117】
そして、図2等の励磁コイル18を構成するのに、第1の実施例と同様に、上式導線53を98本束ねて図13のような(但し図13の例では49本で束線を形成)束線とし、これを図12のようにして10ターン巻いて励磁コイル18を構成している。
【0118】
上記の様に導線53を形成することで、1本1本の導線の中央を空洞とするための特別な処理を用いることなく、しかも第1実施例中における中空の導線と全く同様にして重量や材料費等の削減効果を得ることが出来る。
【0119】
なお、絶縁被覆54は、第1実施例と同様、アミドイミドやポリイミド等の被覆を好適に用いることが出来る。
【0120】
なお、細い径の導線52の直径φ3としては、電気抵抗の観点から、下限は10μmくらい、上限は表皮深さの観点で100μm位迄が実用上好ましい。
【0121】
また、中空導線52の横断面外形形状、空洞部の横断面形状は円形に限られるものではない。
【0122】
(その他)
1)電磁誘導発熱性の定着フィルム10は、モノクロあるいは1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合は弾性層2を省略した形態のものとすることもできる。発熱層1は樹脂に金属フィラーを混入して構成したものとすることもできる。発熱層単層の部材とすることもできる。
【0123】
2)本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0124】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0125】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0126】
〔実施態様1〕複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、前記導線は、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体であることを特徴とする加熱装置。
【0127】
〔実施態様2〕前記導線は、複数の細い導線を略円周状に接触配置させることにより、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体としたことを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0128】
〔実施態様3〕前記加熱装置は、前記加熱部材と対向配置されてニップ面を形成する加圧部材を具備し、前記ニップ面で被加熱材を挟持搬送して被加熱材を加熱することを特徴とする実施態様1又は2に記載の加熱装置。
【0129】
〔実施態様4〕前記発熱体は、表面に離型層を有する金属層により構成されていることを特徴とする実施態様1から3の何れかに記載の加熱装置。
【0130】
〔実施態様5〕前記被加熱材は画像を担持した記録材であり、装置が該画像を加熱する像加熱装置であることを特徴とする実施態様1から4の何れかに記載の加熱装置。
【0131】
〔実施態様6〕記録材に画像を形成担持させる作像手段と、記録材に形成担持させた画像を加熱する像加熱手段を有し、前記像加熱手段が実施態様1から5の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、励磁コイル18の束線を形成するための導線を、図9の51、又は図10の53の様な中空形状とすることにより、コイルの重量を軽減し、銅線等の材料を削減させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成図
【図2】定着装置(加熱装置)の要部の横断側面模型図
【図3】同じく要部の正面模型図
【図4】同じく要部の縦断正面模型図
【図5】内部に磁束発生手段を配設支持させた右側のスリーブガイド部材半体の斜視模型図
【図6】磁束発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】(a)と(b)はそれぞれ定着スリーブの層構成模型図
【図8】発熱深さと電磁波強度の関係を示したグラフ
【図9】本発明の第1の実施例の説明図
【図10】本発明の第2の実施例の説明図
【図11】従来例の定着装置の要部の横断側面模型図
【図12】成形前の励磁コイルの斜視模型図
【図13】束線の形態図
【符号の説明】
10・・・スリーブ、16a,16b・・・スリーブガイド、18・・・励磁コイル、30・・・加圧ローラ、50・・・中空導線、52・・・導線、51,54・・・絶縁被覆、70・・・束線、100・・・定着器、101・・・感光ドラム、102・・・帯電装置、104・・・現像器、105・・・中間転写ドラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱材を加圧・加熱する加熱装置、特には電磁誘導加熱(IHF)タイプの加熱装置、および前記加熱装置を記録材に形成担持させた未定着画像を加熱定着処理する像加熱装置として具備した電子写真装置・静電記録装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やプリンター等の画像形成装置における像加熱装置としての定着装置を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置において、電子写真プロセス等の適宜の画像形成プロセス手段で記録材(用紙)に間接(転写)あるいは直接に形成担持させた未定着トナー画像を記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置(定着器)としては従来より熱ローラ方式の加熱装置が広く用いられている。
【0004】
近年では、クイックスタートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式(サーフ)の装置が実用化されている。また金属からなるフィルム自身を発熱させる電磁誘導加熱方式の加熱装置も提案されている。
【0005】
電磁誘導加熱方式の装置の具体例として、磁束により定着フィルムの金属層(発熱層)に渦電流を誘導させて、そのジュール熱で発熱させる誘導加熱定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、誘導電流の発生を利用することで直接定着フィルムを発熱させることができ、ハロゲンランプを熱源とする熱ローラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0006】
しかしながら、磁束(磁場)発生手段としての励磁コイルにより発生した交番磁束のエネルギーは定着フィルム全体の昇温に使われるため放熱損失が大きい。そのため、投入したエネルギーに対して定着に作用するエネルギーの割合が低く、効率が悪いという欠点があった。
【0007】
そこで、定着に作用するエネルギーを高効率で得るために、発熱体である定着フィルムに励磁コイルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が考案された。
【0008】
図11に、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部に集中させて効率を向上させた電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成を示す。
【0009】
10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体層、抵抗体層)を有する回転発熱体体としての円筒状・可撓性の定着フィルム(以下スリーブと称す)である。
【0010】
16cは横断面略半円弧状樋型のフィルムガイド部材(以下スリーブガイド部材と称す)であり、スリーブ10はこのスリーブガイド部材16cの外側にルーズに外嵌させてある。
【0011】
15はスリーブガイド部材16cの内側に配設した磁束発生手投であり、励磁コイル18とT型の磁性コア(芯材)17とからなる。
【0012】
30は弾性加圧ローラであり、スリーブ10を挟ませてスリーブガイド部材16cの下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて相互圧接させてある。
【0013】
上記磁束発生手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応させて配設してある。
【0014】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、該加圧ローラ30とスリーブ10の外面との、定着ニップ部Nにおける摩擦力でスリーブ10に回転力が作用して、該スリーブ10がその内面が定着ニップ部Nにおいてスリーブガイド部材16cの下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってスリーブガイド部材16cの外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0015】
スリーブガイド部材16cは、定着ニップ部Nへの加圧、磁束発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17の支持、スリーブ10の支持、該スリーブ10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。このスリーブガイド部材16cは磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0016】
励磁コイル18は不図示の励磁回路から供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番磁束は定着ニップ部Nの位置に対応している横断面T型の磁性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、その交番磁束は定着ニップ部Nにおいてスリーブ10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。このスリーブ10の電磁誘導発熱は交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0017】
定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検知手段を含む温調制御系により、励磁コイル17への電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。
【0018】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴ってスリーブ10がスリーブガイド部材16の外回りを回転し、励磁回路からの励磁コイル17への給電により、上記のようにスリーブ10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がる。そして温調された状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pは、定着ニップ部Nのスリーブ10と加圧ローラ30との間に画像面が上向きに、即ち定着スリーブ面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面がスリーブ10の外面に密着してスリーブ10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0019】
この定着ニップ部Nをスリーブ10と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程においてスリーブ10の電磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転するスリーブ10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0020】
ところで、前述のように励磁コイル18は定着スリーブ10に接近させる必要があるため、具体的には、図12のように略平面に巻いた後、矢印の方向に変形させて舟形形状とする方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0021】
このとき、励磁コイル18は、高周波の交番電流を流すため、表皮効果が生じ、芯線の中央部は電流が流れず、見かけ上抵抗が上昇して熱変換効率が下がってしまう。そこで一例として、図13のように、絶縁被覆の施された細い導線を複数束ね、束線70として励磁コイルに用いることが考案されている。図13の例では49本の導線で1本の束線を構成しているが、この様にすることで表皮効果が49本の導線の1本ずつに分散し、高周波の交番電流が流れ易くなる。
【特許文献1】
実開昭51−109739号公報
【特許文献2】
特開平2000−243545号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの場合でも、各々の導線においては、表皮効果が存在するため、どうしても電流損失が生じてしまう。一方、これを回避するために導線の直径を小径にして本数を増やしてゆくと、導線自体に十分な表皮電流が流れなくなる、という不具合が生じる。そこで導線の太さを適当な大きさに保ちながら、その本数を稼ぐという必要が生じ、結果的にコイルの重量が大きくなり、コストも嵩む、等の問題点があった。
【0023】
本発明はこの問題点を解決するものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、前記導線は、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体であることにより、前述の問題点を解決するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
以下に、本発明の第1の実施例を示す。
【0026】
(1)画像形成装置
図1は、本発明の加熱装置を定着装置100として適用した、画像形成装置の一例の構成略図である。本例はカラーレーザプリンターである。
【0027】
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転駆動される。
【0028】
感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
【0029】
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103により、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力し、感光ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感光ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0030】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光ドラム101と中間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写ドラム105面に転写される。中間転写ドラム105面に対するトナー画像転写後の感光ドラム101面はクリーナ107により転写残トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0031】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えはマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形成される。
【0032】
中間転写ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を設けたもので、感光ドラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101とほぼ同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光ドラム101との電位差で感光ドラム101側のトナー画像を前記中間転写ドラム105面側に転写させる。
【0033】
上記の中間転写ドラム105面に形成されたカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材(以下、転写材あるいは用紙と記す)Pの面に転写されていく。転写ローラ106は転写材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム105面側から転写材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0034】
二次転写部T2を通過した転写材Pは中間転写ドラム105面から分離されて定着装置(像加熱装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けて、機外の不図示の排紙トレーに排出される。
【0035】
転写材Pに対するカラートナー画像転写後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0036】
このクリーナ108は常時は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保持される。
【0037】
また転写ローラ106も常時中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に転写材Pを介して接触状態に保持される。
【0038】
本例装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモードも実行できる。
【0039】
両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目画像プリント済みの転写材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定著処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
【0040】
(2)定着装置100
A)装置の全体的構成
本例において定着装置100は電磁誘導加熱方式の装置である。図2は本例の定着装置100の要部の横断側面模型図、図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断正面模型図(図2の(4)−(4)線部分の縦断正面模型図)である。
【0041】
本例装置100は前述の図11の定着装置と同様に、回転定着部材(定着スリーブ)としてフィルム状・円筒状の電磁誘導発熱スリーブ(発熱体)を用いた、加圧ローラ駆動方式で、電磁誘導加熱方式の装置である。図11の装置と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0042】
磁束発生手投15は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18からなる。
【0043】
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
【0044】
励磁コイル18には給電部18a・18b(図5)に励磁回路27を接続してある。この励磁回路27は20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
【0045】
励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。高周波電流の周波数fとしては、20kHz〜100kHz程度が公的に用いられることが多い。
【0046】
16a・16bは横断面略半円弧状樋型のスリーブガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせて略円柱体を構成し、外側に円筒状回転体としてa=外径34mmの電磁誘導スリーブ10をルーズに外嵌させてある。
【0047】
前記スリーブガイド部材16aは、磁束発生手段15としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を内側に保持している。
【0048】
また、スリーブガイド部材16aには良熱伝導性部材40が定着ニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、スリーブ10の内側に配設してあり、スリーブ内面側バックアップ部材としても機能している。
【0049】
本例においては、良熱伝導性部材40に厚さ1mmのアルミニウムを用いている。
【0050】
また、良熱伝導性部材40は磁束発生手投15である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設してある。
【0051】
具体的には、良熱伝導性部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17b・17cを隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導性部材40に影響を与えないようにしている。
【0052】
22は良熱伝導性部材40のニップ部Nに対応する部分の裏面側とスリーブガイド部材16bの内面平面部とに当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイである。
【0053】
19は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁するための絶縁部材である。
【0054】
フランジ部材23a・23b(図3・図4)はスリーブガイド部材16a・16bのアセンブリの長手方向左右両端部に外嵌し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、スリーブ10の回転時に該スリーブ10の端部を受けてスリーブ10のスリーブガイド部材16a・16bの長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。
【0055】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30b及び、表層の離型層30cとしてPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂層(厚さ10μm〜100μm程度)で構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0056】
加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより良熱伝導性部材40のニップ部Nに対応する部分の下面と加圧ローラ30の上面とが定着スリーブ10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0057】
本実施例では、ニップ部Nでの加圧ローラ30による押圧力(線圧力)を7.8N/cm(800g/cm)程度とした。
【0058】
ここで、ニップNの幅をある程度確保するには、加圧ローラ30の硬度が高すぎると好ましくない。加圧ローラ30の硬度は、ニップ確保のため上限75度、機械強度から下限45度程度(加圧ローラの表層上からのアスカーC硬度測定、9.8N(1kg加重))の範囲とするのが望ましい。
【0059】
本実施例では、加圧ローラ30の硬度を約56度とし、ニップ量Nを7mm程度とした。
【0060】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、前記加圧ローラ30との外面との摩擦力でスリーブ10に回転力が作用し、前記スリーブ10がその内面が定着ニップNにおいて良熱伝導性部材40の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってスリーブガイド部材16a・16bの外周を回転する。
【0061】
この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝導性部材40の下面とスリーブ10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために定着ニップ部Nの良熱伝導性部材40の下面とスリーブ10の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導性部材40の下面を潤滑部材41で被覆することでニップNでのスリーブ10の摺動性を向上させることもできる。
【0062】
これは、良熱伝導性部材40としてアルミニウムを用いた場合のように表面滑り性が材質的によくない或いは仕上げ加工を簡素化した場合に、摺動するスリーブ10に傷をつけてスリーブ10の耐久性が悪化してしまうことを防ぐものである。
【0063】
また、図5に示すように、スリーブガイド部材16aの周面に、その長手に沿い所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、スリーブガイド部材16aの周面とスリーブ10の内面との接触摺動抵抗を低減させてスリーブ10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eはスリーブガイド部材16bにも同様に形成具備することができる。図5で、給電部18a・18bは、スリーブガイド部材16aからの励磁コイル18の引き出し線である。
【0064】
図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。
【0065】
磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間においてスリーブ10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0066】
ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度φで表したスリーブ10における円周方向の位置を示し、横軸がスリーブ10の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域である。前述(従来例)の様に、スリーブ10の端部においては見かけ上ピーク値Qが低下する。
【0067】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図2)を含む温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。
【0068】
温度検知手段26はスリーブ10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはこの温度センサ26で測定したスリーブ10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0069】
本実施例では、スリーブ10の中央部で表面温度が略180℃となるように温度制御を行った。
【0070】
而して、スリーブ10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により上記のようにスリーブ10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された転写材Pが定着ニップ部Nのスリーブ10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ちスリーブ面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面がスリーブ10の外面に密着してスリーブ10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0071】
この定着ニップ部Nをスリーブ10と一緒に転写材Pが挟持搬送されていく過程においてスリーブ10の電磁誘導発熱で加熱されて転写材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。
【0072】
転写材Pは定着ニップ部Nを通過するとスリーブ10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0073】
転写材P上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0074】
本例においては、図2に示すように、スリーブ10の発熱域H(図6)の対向位置に暴走時の励磁コイル18への給電を遮断するため温度検知素子であるサーモスイッチ60を配設している。
【0075】
なお、サーモスイッチ60はスリーブ10の発熱域Hに対向してスリーブ10の外面に非接触に配設した。サーモスイッチ60とスリーブ18との間の距離は約2mmとした。これにより、スリーブ10にサーモスイッチ60の接触による傷が付くことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止することができる。
【0076】
本例ではトナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置、にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていない。
【0077】
B)スリーブ10
図7の(a)は本例におけるスリーブ10の層構成模型図である。本例のスリーブ10は、電磁誘導発熱性のスリーブ10の基層となる金属スリーブ等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0078】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のため、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。
【0079】
略円筒形状であるスリーブ10において発熱層1が内面側であり、離型層3が外面側である。前述したように、発熱層1に交番磁束が作用することで前記発熱層1に渦電流が発生して前記発熱層1が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3を介してスリーブ10を加熱し、前記定着ニップNに通紙される被加熱材としての転写材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0080】
a.発熱層1
発熱層1はニッケル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といった強磁性体の金属を用いるとよい。
【0081】
非磁性の金属でも良いが、より好ましくは磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の金属が良い。
【0082】
その厚みは次の式で表される表皮深さより厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深さσ[mm]は、励磁回路27の周波数f[Hz]と比透磁率μrと固有抵抗ρ[Qm]で、下式
σ=503×(ρ/fμr)1/2・・・・・・(1)
と表される。
【0083】
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図8)。
【0084】
前述のように、fは一般的に20kHzから100kHz程度までで使用される事が多いため、発熱層1の厚さは好ましくは1〜100μm、より好ましくは20μm〜100μmがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。更に、機械的強度の観点からは、発熱層1の厚さは20μm程度以上であることが望ましい。
【0085】
また、発熱層1が100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。従って、発熱層1の厚みは1〜100μm、機械的強度を考慮して、より好ましくは20μm〜100μmの範囲で決定するのが好ましい。本例では、50μmの厚さのニッケル電鋳メッキ品を用いた。
【0086】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質である。
【0087】
「す」と称するこまかいモザイク状欠陥を防止するのに、この弾性層が重要となる。すなわち、ワックス内包トナー使用時においては、シャープメルト系トナー使用時と異なり、弾性層2のやわらかさを反映してスリーブ10の表層である離型層3がトナー自体をつつみ込む効果が「す」を防止するのに必要である。
【0088】
このために弾性層2としては、ゴム単体での硬度がJIS−A測定、すなわちJIS−K6301のA型硬度計により規定される硬度にて30度以下、より好ましくは25度以下、厚さは50μm以上より好ましくは100μm以上とする必要がある。
【0089】
一方、弾性層2の厚さが500μmを超えると弾性層の熱抵抗が大きくなりすぎてしまい、クイックスタートが実現困難(1000μm以上ではほぼ不可能)となる。このため、弾性層2の厚さは500μm以下とするのが望ましい。
【0090】
また、弾性層2の熱伝導率λに関しては、2.5×10−1〜8.4×10−1[W/m/℃](6×10−4〜2×10−3[ca1/cm・sec・deg.])がよい。
【0091】
熱伝導率λが2.5×10−1[W/m/℃]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、スリーブの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。
【0092】
熱伝導率λが8.4×10−1[W/m/℃]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
【0093】
よって熱伝導率λは2.5×10−1〜8.4×10−1[W/m/℃]がよい。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1[W/m/℃](8×10−4〜1.5×10−3[cal/cm・sec・deg.])がよい。
【0094】
本実施例ではゴム硬度が単体の硬度で10度(JIS−A)、熱伝導率が4.2×10−1[W/m/℃](1×10−3[cal/cm・sec・deg.])、厚さが300μmのシリコーンゴムを用いた。
【0095】
c.離型層3
離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる.離型層3はこのようなフッ素系樹脂のチューブ層あるいは樹脂コート層にすることができる。
【0096】
前述の弾性層2のやわらかさを十分に表面に伝えるためには、離型層3の厚さが最大でも100μm以下より好ましくは80μm以下である必要がある。100μmより大きいと、トナーをつつみ込む効果が発揮されなくなり、べタ画像上に「す」が発生する。
【0097】
更に、弾性層2が薄くなるに従い、離型層3の厚さの上限値も小さくする必要が有る。本件出願人の検討の結果では、離型層3の厚さは最大でも弾性層2の厚さの1/3以下とする必要が有り、これ以上では弾性層2のやわらかさが表層まで十分に反映されなくなった。
【0098】
一方、離型層3の厚さが5μmを下回ると、弾性層に加わる機械的ストレスを緩和出来なくなり、弾性層や離型層自体が劣化してしまう。このため、離型層3の厚さの下限値として5μm以上、より好ましくは10μm以上が必要である。
【0099】
本実施例では離型層3として厚さ30μmのPFAチューブを用いた。
【0100】
上記弾性層2と離型層3相互の層厚の関係をまとめると、弾性層2の厚さをt1、離型層3の厚さをt2としたとき、
50μm≦t1≦500μm、
5μm≦t2≦100μm、
t1≧3×t2、
であることが好ましい。
【0101】
d.断熱層4
また、図8の(b)に示すように、スリーブ10の構成において、発熱層1のスリーブガイド部材面側(発熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱層4を設けてもよい。断熱層4は、スリーブ10とスリーブガイド部材間の摺動性を向上させる目的としても、非常に有用である。
【0102】
断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0103】
また、断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると断熱層4の機械的剛性が強くなり、スリーブ10が円周方向に変形しづらくなる為、好ましくない。また、磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる場合も有る。
【0104】
断熱層4は、発熱層1に発生した熱がスリーブ10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層4がない場合と比較して転写材P側への熱供給効率がよくなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0105】
本実施例では、断熱層4は厚さ略30μmのポリイミド樹脂コートを用いた。
C)励磁コイル18
励磁コイル18は、コイルを構成させる電線として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の導線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて、励磁コイルを形成する構造となっている。
【0106】
本実施例では、98本の導線から成る束線を10ターン巻いて励磁コイル18を形成している。また、励磁コイル18の形状は、図2、図6のようにスリーブ10の発熱層1の曲面に沿うようにしている。
【0107】
このとき上述の導線として、本実施例では図9に示すような外径φ1、空洞径φ2の中空導線(チューブ状導線、横断面環状導線)50を用いた。ここで導線50を流れる高周波電流の表皮効果について考察する。
【0108】
表皮効果は、前述の表皮深さを表わす式(1)により推定できる。即ち、式(1)で定義される表皮深さσは、銅線/80kHzの場合において、略0.23mmとなる。即ち、表面からσの位置において、電流は表面近傍に対し1/eに減衰している(e=2.71828)ので、実際には表皮深さが約100μm程度以下の部分において、特に電流が効率良く流れる。
【0109】
上記を考慮すると、現実的には前述の中空導線50の肉厚(φ1−φ2)/2は、10μm〜100μmの範囲とするのが望ましい(10μm以下では導線の抵抗が上昇し、現実的ではない)。
【0110】
本実施例では導線の外径φ1=200μm、空洞の径φ2=140μm、肉厚(φ1−φ2)/2=30μmとしたところ、高周波電流に対し、良好な導通性能が得られ、コイル自体の発熱も実用限度内に抑えることが出来た。また、外径φ1が200μmで空洞部の無い、従来の導線に比べ64%の大幅な重量削減を達成出来、導線材料費を削減することが出来た。
【0111】
なお、前述の絶縁被覆は導線の外周部のみに施し、空洞部には施していない。図9において、51が絶縁被覆である。
【0112】
絶縁被覆51の材質としてはスリーブ10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよい。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を用いるよい。
【0113】
また、スリーブガイド部材(励磁コイル保持部材)16a、16bの材質としては絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0114】
なお、前述の中空導線50における、中央の空洞部は、必ずしも完全な空洞である必要はなく、例えば絶縁部材が一部または全体に充てんされた構造であっても良い。換言すると「電気的な空洞」であれば良い。中央に軽量の絶縁充てん材を設ける場合の利点として、周囲に導電体を設ける際の支持部材とする等の事が考えられる。
【0115】
また、中空導線50の横断面外形形状、空洞部の横断面形状は円形に限られるものではない。
(第2の実施例)
図10に本発明のコイルに用いる導線部分に関する第2の実施形態を示す。
【0116】
図10では1本の導線を更に細い径φ3の銅製の導線52が複数本円周上に配置された形状のもので構成している。ここで本実施例では、φ3を30μmとし、これ等を個々には被覆を設けず、接触させた状態で互いに導通をとりながら17本を円周配置させることで、見かけ上の外径φ1’が約200μmとなる、中空導線(チューブ状導線、横断面環状導線)53を形成した。また、この導線53には、最外周に絶縁被覆54を設けている。
【0117】
そして、図2等の励磁コイル18を構成するのに、第1の実施例と同様に、上式導線53を98本束ねて図13のような(但し図13の例では49本で束線を形成)束線とし、これを図12のようにして10ターン巻いて励磁コイル18を構成している。
【0118】
上記の様に導線53を形成することで、1本1本の導線の中央を空洞とするための特別な処理を用いることなく、しかも第1実施例中における中空の導線と全く同様にして重量や材料費等の削減効果を得ることが出来る。
【0119】
なお、絶縁被覆54は、第1実施例と同様、アミドイミドやポリイミド等の被覆を好適に用いることが出来る。
【0120】
なお、細い径の導線52の直径φ3としては、電気抵抗の観点から、下限は10μmくらい、上限は表皮深さの観点で100μm位迄が実用上好ましい。
【0121】
また、中空導線52の横断面外形形状、空洞部の横断面形状は円形に限られるものではない。
【0122】
(その他)
1)電磁誘導発熱性の定着フィルム10は、モノクロあるいは1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合は弾性層2を省略した形態のものとすることもできる。発熱層1は樹脂に金属フィラーを混入して構成したものとすることもできる。発熱層単層の部材とすることもできる。
【0123】
2)本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0124】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0125】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0126】
〔実施態様1〕複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、前記導線は、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体であることを特徴とする加熱装置。
【0127】
〔実施態様2〕前記導線は、複数の細い導線を略円周状に接触配置させることにより、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体としたことを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0128】
〔実施態様3〕前記加熱装置は、前記加熱部材と対向配置されてニップ面を形成する加圧部材を具備し、前記ニップ面で被加熱材を挟持搬送して被加熱材を加熱することを特徴とする実施態様1又は2に記載の加熱装置。
【0129】
〔実施態様4〕前記発熱体は、表面に離型層を有する金属層により構成されていることを特徴とする実施態様1から3の何れかに記載の加熱装置。
【0130】
〔実施態様5〕前記被加熱材は画像を担持した記録材であり、装置が該画像を加熱する像加熱装置であることを特徴とする実施態様1から4の何れかに記載の加熱装置。
【0131】
〔実施態様6〕記録材に画像を形成担持させる作像手段と、記録材に形成担持させた画像を加熱する像加熱手段を有し、前記像加熱手段が実施態様1から5の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、励磁コイル18の束線を形成するための導線を、図9の51、又は図10の53の様な中空形状とすることにより、コイルの重量を軽減し、銅線等の材料を削減させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成図
【図2】定着装置(加熱装置)の要部の横断側面模型図
【図3】同じく要部の正面模型図
【図4】同じく要部の縦断正面模型図
【図5】内部に磁束発生手段を配設支持させた右側のスリーブガイド部材半体の斜視模型図
【図6】磁束発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】(a)と(b)はそれぞれ定着スリーブの層構成模型図
【図8】発熱深さと電磁波強度の関係を示したグラフ
【図9】本発明の第1の実施例の説明図
【図10】本発明の第2の実施例の説明図
【図11】従来例の定着装置の要部の横断側面模型図
【図12】成形前の励磁コイルの斜視模型図
【図13】束線の形態図
【符号の説明】
10・・・スリーブ、16a,16b・・・スリーブガイド、18・・・励磁コイル、30・・・加圧ローラ、50・・・中空導線、52・・・導線、51,54・・・絶縁被覆、70・・・束線、100・・・定着器、101・・・感光ドラム、102・・・帯電装置、104・・・現像器、105・・・中間転写ドラム
Claims (1)
- 複数の導線を束ねた束線を、複数回周回させることにより形成した励磁コイルを有する磁束発生手段と、該磁束発生手段によって発生する磁束が作用して電磁誘導発熱する発熱体とを有する加熱部材を有し、該加熱部材により被加熱材を加熱する加熱装置において、
前記導線は、中央部に電気的な空洞部分を有する環状の導電体であることを特徴とする加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002297098A JP2004134211A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002297098A JP2004134211A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 加熱装置 |
Publications (1)
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JP2004134211A true JP2004134211A (ja) | 2004-04-30 |
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ID=32286882
Family Applications (1)
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JP2002297098A Pending JP2004134211A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 加熱装置 |
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JP (1) | JP2004134211A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1942670A1 (en) | 2004-04-28 | 2008-07-09 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Stream generation apparatus, stream generation method, coding apparatus, coding method, recording medium and program thereof |
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-
2002
- 2002-10-10 JP JP2002297098A patent/JP2004134211A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1942670A1 (en) | 2004-04-28 | 2008-07-09 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Stream generation apparatus, stream generation method, coding apparatus, coding method, recording medium and program thereof |
EP2184919A2 (en) | 2004-04-28 | 2010-05-12 | Panasonic Corporation | Stream generation apparatus, stream generation method, coding apparatus, coding method, recording medium and program thereof |
JP2014066852A (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-17 | Brother Ind Ltd | 定着装置 |
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