JP2004132745A - 多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート - Google Patents

多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート Download PDF

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Ichiji Miki
三木 一司
Ichiro Shiraki
白木 一郎
Ko Yashiro
矢代 航
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Abstract

【課題】多探針を持つ走査型プローブ顕微鏡において、複数の探針間の相対位置の補正を簡便に実現する多探針の位置の構成技術を提供する。
【解決手段】多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域(1)上に、複数の校正パターン(2)が、一定間隔を持って2次元マトリックス状に配列されており、それぞれの校正パターン(2)には、校正パターンの座標を特定するインデックスナンバーが割り当てられており、これらの校正パターン(2)が探針により読取り可能である。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、複数の探針間の相対位置を校正するための多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
単一多探針走査型顕微鏡による計測技術は成熟期にあり、最近では、単一探針の替わりに多探針を用いた多探針走査型顕微鏡の研究開発が進められている。多探針を用いることで、電気伝導度の測定、近接場光誘起による電気的ポテンシャルの変化の付加、多々振動時測定による効率的な測定、および、効率的な磁性情報の読み書き等の従来の単一探針走査型顕微鏡では実施不可能であった機能が新たに与えられることから、技術の確立を目的とした様々な研究開発が進められている。
【0003】
多探針を用いた測定においては、それぞれの探針の相対位置を正確に把握することが重要である。例えば、多探針走査型顕微鏡の応用例である微細金属構造の電気伝導度測定においては、図12に示すように、試料(121)表面に形成された金属細線(122)上に探針1(123)と探針2(124)をナノスケールで位置制御して、探針1(123)と探針2(124)との間の抵抗値を測定し、この抵抗値から電気伝導度を算出するものである(たとえば文献1および2が参照される)。この際、探針1(123)と探針2(124)との間の相対距離の測定精度が、電気伝導度算出の精度となることから、各探針の正確な位置制御は極めて重要である。
【0004】
すなわち、各探針に連結されている走査素子においては、その特性にばらつきが存在することから、それらのばらつきを補正して、正確な走査距離を知ることが重要である。また、それぞれの探針は、走査における相対位置がベクトル的であり、各探針の走査軸が走査領域を構成するX軸、Y軸に対して相対的に傾斜角度を持つ可能性がある。それを考慮した上で、各探針の相対位置を補正する校正技術は、いままで実現されておらず、多探針を用いた走査型プローブ顕微鏡の実用化を進める上での重要な課題となっていた。
【0005】
多探針を用いた走査型プローブ顕微鏡を、大型の走査電子顕微鏡の内部へ導入することで、探針端の相対位置を知ることはもちろん可能であるが、極めて大がかりであることから、試験的なケースに対してのみ適用可能であって、汎用的に実施するのは現実的ではない。
【0006】
【文献1】
Review of Scientific Instruments −− July 1991 −− Volume 62, Issue 7, pp.1767−1771
Twin−probe scanning tunneling microscopeShigemi Tsukamoto, Byron Siu, and Nobuyuki Nakagiri
【文献2】
青野正和他、応用物理19、p698(1998)
【0007】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、多探針を持つ走査型プローブ顕微鏡において、複数の探針間の相対位置の補正を簡便に実現する多探針の位置校正技術を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1に、多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域上に、複数の校正パターンが、一定間隔を持って2次元マトリックス状に配列されており、それぞれの校正パターンには、校正パターンの座標を特定するインデックスナンバーが割り当てられており、これらの校正パターンが探針により読取り可能であることを特徴とする多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートを提供する。
【0009】
また、この出願の発明は、第2に、校正パターンが2次元マトリックス状に配列されたドット要素からなるマトリックスパターンであり、マトリックスのドット要素の値が2値により選択されることを特徴とする多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートを、また、第3に、マトリックスパターンにおける少なくとも1つ以上のドット要素が、校正パターンのX−Y走査領域における方向性に関する情報を有することを特徴とする多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートを提供する。
【0010】
また、以上の多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートにおいては、第4の発明の態様として、多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域上に複数の校正ラインが等間隔に配列されており、これらの校正ラインが探針により読取り可能であることを、第5の発明の態様として、酸化薄膜が形成されたシリコン基板上に、ポジ型レジストを塗布し、校正パターンを電子ビーム露光法により感光し、現像後、レジストの開口部分から酸化薄膜を反応性イオンエッチングによりエッチングすることにより作製されることを、また、第6の発明の態様として、校正ラインが光の干渉効果により形成されることを、それぞれ特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0012】
この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートにおいては、図1に示すとおり、多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域(1)上に複数の校正パターン(2)が一定間隔(列方向:dx,行方向dy)を持って2次元マトリックス状に配列されている。これらの校正パターン(2)には、それぞれ、校正パターン(2)の座標を特定するインデックスナンバーが割り当てられており、また、これらの校正パターン(2)は探針により読取り可能である。
【0013】
そして、これらの校正パターン(2)は、2次元マトリックス状に配列されたドット要素(3)からなるマトリックスパターンであり、ドット要素(3)に格納される値は、「0」および「1」の2値から選択される。
【0014】
校正パターン(2)のサイズ(列方向:Ix,行方向Iy)は、多探針走査型顕微鏡による測定の分解能に応じて適宜に選択されるものである。また、校正パターン(2)を構成するドット要素(3)のサイズ(列方向:Ux,行方向Uy)は、探針が接続される走査素子の走査分解能および校正に必要な座標数に応じて適宜に選択される。校正に必要な座標数は、校正が行なわれるX−Y走査領域における校正パターンの総数である。また、それぞれのドット要素は一定の間隔(列方向:dUx,行方向dUy)を有して配列されている。
【0015】
1個当たりの校正パターンにおけるドット要素数がNである場合、最大で2N/2通りの座標をそれぞれの校正パターンに割り当てることができる。一方で、この出願の発明においては、マトリックスパターンにおける少なくとも1つ以上のドット要素が校正パターンのX−Y走査領域における方向性に関する情報を有するよう設定することが好適である。すなわち、図2に示すように、X−Y走査領域(21)上の全ての校正パターン(22)において値が固定されている要素ドット(23)を用意することで、校正パターン(22)がX−Y走査領域においてどちらの方向を向いているかを特定する。この場合、校正パターンの座標に関するインデックスナンバーを格納するための要素ドット(24)の数Nは、値が固定されている要素ドット(23)の数Mの分だけ減ることから、それぞれの校正パターン(22)に割り当てられる座標の数は、最大で2(N−M)/2通りとなる。もしくは、Ix≠Iy、Ux≠Uy、dx≠dy、または、dUx≠dUyのいずれかのように設定して、校正パターンあるいは要素ドットを長方形とすることで、校正パターンの方向性を特定してもよい。
【0016】
この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートは、例えば、酸化薄膜を形成したシリコン基板上に、ポジ型レジストを塗布し、校正パターンを電子ビーム露光法により感光し、現像後、レジストの開口部分から、酸化薄膜を反応性イオンエッチングによりエッチングすることで製造される。
【0017】
また、この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートにおいては、上記の校正パターンに加えて、多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域上に複数の校正ラインが等間隔に配列されていてもよい。これらの校正ラインは、探針により読取り可能である。この校正ラインを絶対距離の指標として用いることで絶対距離補正を行い、複数の探針の相対位置の校正精度を高めることが可能となる。
【0018】
校正ラインは、光の干渉効果により形成されるものである。具体的には、校正ラインは、前記の校正パターンを電子ビーム露光法により感光する工程において、光の干渉効果により生成される干渉縞を重ね書きすることで形成される。あるいは、光フォトグラフィに準じた形で干渉縞を刻印する工程を先に行い、独立に電子ビーム露光を用いた工程を行うこともできる。
【0019】
以上は、この出願の発明における形態の一例であり、以上で示した形態に限定されることはなく、その細部について、様々な形態をとりうることが考慮されるべきであるとは言うまでもない。
【0020】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
実施例1
まず、簡単のため、校正パターンが1次元アレイ状に配列されている探針相対位置校正テンプレートについて考える。図3に示すように、校正パターン(31)において、行方向および列方向に対して5個ずつ、すなわち合計25個のドット要素(32)が設けられている。ここでは、限定して10個のドット要素を用いる。その内の9個のドット要素X0〜X8を、校正パターン(31)のX座標を特定するインデックスナンバーを格納するために用い、また、残りの1個のドット要素X9を校正パターン(31)の方向性を表すために用いる。このとき、X0〜X8の値は、校正パターンのX座標AXに対応するように、例えば、次式が成り立つように設定されるものである。
X0・2+X1・2+X2・2+X3・2+X4・2+X5・2+X6・2+X7・2+X8・2=AX           ……(I)
ただし、ドット要素X0〜X8に格納される値は0または1のいずれかである。このときAXの値は、0〜511となることから、512通りのインデックスナンバーを割り当てることが可能となる。
【0022】
図4に、校正パターンが1次元に配列されている探針相対位置校正テンプレートを用いた相対位置校正の原理について示す。X−Y走査領域(41)において列方向に一定の間隔dxを設け、列方向の幅がIxであるN個の校正パターン(42)が形成される。校正パターンの座標を特定するためのインデックスナンバーとして、左から順に0〜N−1の値が割り当てられている。2本の探針(43、44)によって読みとられた校正パターン(45、46)のインデックスナンバーがiおよびjであれば、2本の探針間には|i−j|個の校正パターン分の間隔(一定間隔dx分を含む)が存在することになり、実際の距離は、(Ix+dx)×|i−j|で与えられる。
【0023】
全ての校正パターン(31)においてドット要素X9は同じ値を有することから、これらの連続性を調べることで、構成パターン(31)の方向を知ることが可能となり、X−Y走査領域を校正するX軸およびY軸に対する傾斜角を調べることができ、この傾斜角分を補正して走査距離の校正を行うことが可能となる。実施例2
次いで、校正パターンが2次元マトリック状に配列されている探針相対位置校正テンプレートについて考える。図5に示すように、校正パターン(51)において、行方向および列方向に対して5個ずつ、すなわち合計25個のドット要素(52)が設けられている。ここでは、限定して20個のドット要素を用いる。その内の9個のドット要素X0〜X8を、校正パターン(51)のX座標を特定するインデックスナンバーを格納するために、他の9個のドット要素Y0〜Y8を、校正パターン(51)のY座標を特定するインデックスナンバーを格納するために、また、残りの2個のドット要素X9およびY9を校正パターン(51)の方向性を表すために用いる。このとき、X0〜X8およびY0〜Y8の値は、校正パターンのX座標AXおよびY座標AYに対応するように、例えば、次式が成り立つように設定されるものである。
X0・2+X1・2+X2・2+X3・2+X4・2+X5・2+6X・2+X7・2+X8・2=AX           ……(II)
Y0・2+Y1・2+Y2・2+Y3・2+Y4・2+Y5・2+6Y・2+Y7・2+Y8・2=AY           ……(III)
ただし、ドット要素X0〜X8およびY0〜Y8に格納される値は0または1のいずれかである。このときAXおよびAYの値は、0〜511となることから、512×512通りのインデックスナンバーを割り当てることが可能となる。
【0024】
図6に、校正パターンが2次元に配列されている探針相対位置校正テンプレートを用いた相対位置校正に関する概要図を示す。X−Y走査領域(61)において、列方向および行方向に一定の間隔dx、dyをそれぞれ設け、列方向の長さがIx、行方向の長さがIyであるN×N個の校正パターン(62)が形成される。校正パターンの座標を特定するためのインデックスナンバーとして、左から順に(0,0)〜(N−1,N−1)の値が割り当てられている。2本の探針(63および64)によって読みとられた校正パターン(65および66)にそれぞれ割り振られている値が(ix,iy)および(jx,jy)であれば、2本の探針間には、行方向に|ix−iy|個,列方向に|jx−jy|個の校正パターン分の間隔(一定間隔dx、dy分を含む)が存在することになり、実際の距離は、行方向:(Ix+dx)X|ix−iy|,列方向(jx−jy)×|ix−iy|で与えられる。
【0025】
全ての校正パターン(51)においてドット要素X9およびY9は同じ値を有することから、これらの連続性を調べることで、校正パターン(51)の方向を知ることが可能となり、X−Y走査領域を構成するX軸およびY軸に対する傾斜角を調べることができ、この傾斜角分を補正して走査距離の校正を行うことが可能となる。
実施例3
次いで、校正パターンが2次元マトリック状に配列されている探針相対位置校正テンプレートについて考える。図7に示すように、校正パターン(71)において、行方向および列方向に対して5個ずつ、すなわち合計25個のドット要素(72)が設けられている。ここでは、限定して25個のドット要素を用いる。その内の9個のドット要素X0〜X8を、校正パターン(71)のX座標を特定するインデックスナンバーを格納するために、他の9個のドット要素Y0〜Y8を、校正パターン(71)のY座標を特定するインデックスナンバーを格納するために、また、残りの7個のドット要素X9、Y9およびD0〜D4を校正パターン(71)の方向性を表すために用いる。
【0026】
このとき、X0〜X8およびY0〜Y8の値は、校正パターンのX座標AXおよびY座標AYに対応するように、例えば、前記の式(I)および(II) が成り立つように設定されるものである。
【0027】
全ての校正パターン(71)においてドット要素X9、Y9およびD0〜D4は同じ値を有することから、これらの連続性を調べることで、校正パターン(71)の方向を知ることが可能となり、X−Y走査領域を構成するX軸およびY軸に対する傾斜角を調べることができ、この傾斜角を補正して走査距離の校正を行うことが可能となる。一般に、走査型顕微鏡の観察像は探針の状態により明瞭性が異なり、場合によっては非常に不明瞭となることもあるため、校正パターン(71)の方向性を知るために用いられる要素ドット(72)の数を、例えば上記の通りに1列分以上とすることで、その出現の周期性をより正確に把握することが可能となり、精度の高い傾斜角の算出が可能となる。校正パターン(71)の方向性を知るために用いられる要素ドット(72)の形成するパターンは、適宜に設定可能であることはいうまでもない。
実施例4
図8に、実際に作製した多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートのレーザー顕微鏡像を示す。この探針相対位置校正テンプレートにおいて、校正パターン1個当たりのサイズは、列方向:Ix=750nm、行方向:Iy=750nmであり、また、校正パターン間の間隔は、列方向:dx=150nm、行方向:dy=150nmである。要素ドット1個当たりのサイズは、列方向:Ux=150nm、行方向:Uy=150nmであり、また、要素ドット間の間隔は、列方向:dUx=0nm、行方向:dUy=0nmである。
【0028】
厚さ200nmの酸化薄膜が形成されたシリコン基板上に、厚さ300nmのポジ型レジストを塗布し、校正パターンを電子ビーム露光法により感光し、現像後、レジストの開口部分から酸化薄膜を反応性イオンエッチングにより300nm分エッチングすることにより、探針相対位置校正テンプレートを作製した。
【0029】
独立した走査素子を有する2本の原子間力顕微鏡用探針により、それぞれの位置における校正パターンを読みとった顕微鏡像を図9に示す。図9に示したとおり、探針1の座標はX:424、Y:440であり、一方、探針2の座標はX:423、Y:223であった。したがって、インデックスナンバーの差はX:1、Y:217であり、これに900nm(=Ix+dx=Iy+dy)を掛けた値が、X方向およびY方向における相対座標差となる。このとき、各探針で観察した像内における校正パターンの相対位置が、X:−486nm、Y:143nmであったことから、相対位置補正のために必要な相対距離は、X:414nm、Y:195443nmと分かる。また、探針1および探針2の走査方向の傾斜は、図8に示した校正パターンの方向より計測誤差内で0と考えられることから、傾斜に関する走査方向の補正を行う必要はない。また、探針1および探針2は、それぞれ2μmの走査距離を持つことになっている。
【0030】
図9に示された校正パターン像が正方形となっていないことから、走査距離の補正が必要であると考えられるが、具体的には、探針1のY軸においては、校正パターンの行方向の距離が913nmと計測されることから−1.4%の補正が必要となる。また、探針1のY軸方向の走査素子における走査距離を基準とすると、探針1のX軸方向の走査素子における走査距離は+6%、探針2のX軸方向の走査素子における走査距離は+12%、探針2のY軸方向の走査素子における走査距離は−6%となる。
実施例5
この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートにおいては、図10に示すように、校正パターン(101)に加えて、一定間隔R1で規則的に並んだ複数の校正ライン(102)が重ね書きされていてもよい。この校正ライン(102)は、光の干渉による干渉縞パターンであり、具体的には、校正ライン(102)は、校正パターン(101)を電子ビーム露光法により感光する工程において、光の干渉効果により生成される干渉縞を重ね書きすることで形成される。あるいは、光フォトグラフィに準じた形で干渉縞を刻印する工程を先に行い、独立して電子ビーム露光を用いた工程を行うこともできる。
【0031】
こられの校正ラインは、探針により読取り可能であり、校正ラインを絶対距離の指標として用いることで絶対距離補正を行い、複数の探針の相対位置の校正精度を高めることが可能となる。また、図10に示したように1方向に対して校正ライン(102)を配列させるだけでなく、図11に示したようにお互いが直交する2種類の校正ライン(112、113)を、それぞれ一定間隔R1,R2で配列することで、2次元的な絶対距離補正を行ってもよい。
【0032】
【発明の効果】
この出願の発明によって、以上詳しく説明したとおり、多探針を持つ走査型プローブ顕微鏡において、複数の探針間の相対位置の補正を簡便に実現する多探針の位置の校正技術が提供される。
【0033】
この出願の発明により、多探針走査型顕微鏡の探針の校正精度が大きく向上することから、ナノスケールにおける様々な計測が高い精度で実施可能となり、ナノ材料やナノ電子デバイスの開発に貢献するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図2】この出願の発明である多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図3】この出願の発明の実施例において、校正パターンが1次元アレイ状に配列されている探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図4】この出願の発明の実施例において、校正パターンが1次元アレイ状に配列されている探針相対位置校正テンプレートを用いた相対位置校正の原理について示した概要図である。
【図5】この出願の発明の実施例において、校正パターンが2次元マトリックス状に配列されている探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図6】この出願の発明の実施例において、校正パターンが2次元マトリックス状に配列されている探針相対位置校正テンプレートを用いた相対位置校正の原理について示した概要図である。
【図7】この出願の発明の実施例において、校正パターンが2次元マトリックス状に配列されている探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図8】この出願の発明の実施例において、実際に作製した多探針走査顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートのレーザー顕微鏡像である。
【図9】この出願の発明の実施例において、独立した走査素子を有する2本の原子間力顕微鏡用探針により、それぞれの位置における校正パターンを読みとった顕微鏡像である。
【図10】この出願の発明の実施例において、校正ラインを加えた多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図11】この出願の発明の実施例において、校正ラインを加えた多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレートの構成について示した概要図である。
【図12】多探針走査型顕微鏡による微細金属構造の電気伝導度測定の測定原理について示した概要図である。
【符号の説明】
1 X−Y走査領域
2 校正パターン
3 ドット要素
21 X−Y走査領域
22 校正パターン
23 要素ドット
31 校正パターン
32 ドット要素
41 X−Y走査領域
42 校正パターン
43 探針
44 探針
45 探針によって読みとられた校正パターン
46 探針によって読みとられた校正パターン
51 校正パターン
52 ドット要素
61 X−Y走査領域
62 校正パターン
63 探針
64 探針
65 探針によって読みとられた校正パターン
66 探針によって読みとられた校正パターン
71 X−Y走査領域
72 校正パターン
101 校正パターン
102 校正ライン
111 校正パターン
112 校正ライン
113 校正ライン
121 試料
122 金属細線
123 探針1
124 探針2

Claims (6)

  1. 多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域上に、複数の校正パターンが、一定間隔を持って2次元マトリックス状に配列されており、それぞれの校正パターンには、校正パターンの座標を特定するインデックスナンバーが割り当てられており、これらの校正パターンが探針により読取り可能であることを特徴とする多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート。
  2. 校正パターンが2次元マトリックス状に配列されたドット要素からなるマトリックスパターンであり、マトリックスのドット要素の値が2値により選択されることを特徴とする請求項1記載の多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート。
  3. マトリックスパターンにおける少なくとも1つ以上のドット要素が、校正パターンのX−Y走査領域における方向性に関する情報を有することを特徴とする請求項2記載の多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート。
  4. 多探針走査型顕微鏡のX−Y走査領域上に複数の校正ラインが等間隔に配列されており、これらの校正ラインが探針により読取り可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート
  5. 酸化薄膜が形成されたシリコン基板上に、ポジ型レジストを塗布し、校正パターンを電子ビーム露光法により感光し、現像後、レジストの開口部分から酸化薄膜を反応性イオンエッチングによりエッチングすることにより作製されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート
  6. 校正ラインが光の干渉効果により形成されることを特徴とする請求項4または5の多探針走査型顕微鏡の探針相対位置校正テンプレート。
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