JP2004132003A - 作業機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置によって操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の誤った方向への走行を防止できる作業機械を提供する。
【解決手段】操作方向により走行方向を切換可能の下部走行体11に対し、上部旋回体12を旋回可能に設ける。上部旋回体12に作業装置14を装着するとともに、走行操作用の走行レバー16を装着する。下部走行体11に対し上部旋回体12の旋回位置を検出する検出装置21を設ける。検出装置21により検出した上部旋回体12の旋回位置が、(a)に示した作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する一側に向けた位置と、(b)に示した他側に向けた位置とで、走行レバー16の同一操作方向に対応する走行方向を逆方向に切換える走行方向切換手段を設置する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下部走行体に対し上部旋回体を旋回可能とした作業機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に示されるように、作業機械としての油圧ショベルは、下部走行体11に対し上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12に運転席13および掘削作業などに用いられる作業装置14が設けられた旋回機能を有する建設機械であり、運転席13の左右両側部に作業装置14を操作する作業レバー15が設けられ、運転席13の前方に下部走行体11を走行操作する走行レバー16が設けられている。
【0003】
そして、図12(a)、(b)に示されるように、走行の際は下部走行体11の左右の走行モータ17の正転、逆転を走行レバー16を用いて操作するが、上部旋回体12と下部走行体11の方向が逆である場合、レバー操作も逆になる。
【0004】
そのため、運転席13のオペレータは、このことを常に意識して走行操作をする必要があるが、上部旋回体12を180°旋回させた状態で前進のつもりで操作しても、誤って「後進」になってしまうこともある。
【0005】
このことは、例えば作業現場が狭く、走行時に特に注意を要する場合などにはオペレータに負担がかかり、作業性を低下させる。
【0006】
従来、この問題を解決するために、下部走行体11と上部旋回体12との位置関係を確認する表示装置を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、これは現在位置をメータ表示しているだけであるため、誤作動低減にはなるが、根本的解決にならない。
【0008】
また、図13(a)、(b)に示されるように、下部走行体11に対する上部旋回体12の向きが前後逆転したときに、走行レバー16の同一操作方向に対する走行モータ17の回転方向を、電子コントローラにより自動的に逆転させることで、操作方向と走行方向とを自動的に一致させるように改良した走行方向自動切換装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
登録実用新案第3013111号公報(第1頁、図2)
【0010】
【特許文献2】
実開平6−79855号公報(第1頁、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来技術には、次のような問題点がある。
【0012】
すなわち、下部走行体11に対して上部旋回体12の位置が中途半端な場合、例えば下部走行体11の前進方向を0°として、上部旋回体12が右25°や左145°に回転した時などの、方向が特定できない場合の操作方向と走行方向の切換の区分がはっきりしない。この区分がオペレータの頭の中できちんと理解されていなければ、自動切換の意味がなく、誤った方向への走行が生じる。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置によって操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の誤った方向への走行を防止できる作業機械を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、走行方向を切換可能の下部走行体と、下部走行体に対し旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体に装着され操作方向により下部走行体の走行方向を切換える走行操作用の操作体と、上部旋回体に装着された作業装置と、下部走行体に対し上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置と、検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が作業装置を下部走行体とほぼ直交する一側に向けた位置と他側に向けた位置とで操作体の同一操作方向に対応する下部走行体の走行方向を逆方向に切換える走行方向切換手段とを具備した作業機械であり、作業装置を下部走行体とほぼ直交する一側に向けた位置と、作業装置を下部走行体とほぼ直交する他側に向けた位置とで、操作体の同一操作方向に対応する下部走行体の走行方向を、走行方向切換手段によって逆方向に切換えることで、作業装置が一側に向けた位置にあるときも他側に向けた位置にあるときも、操作体の同一の操作方向に対し常に作業装置の同一片側を進行方向とするように下部走行体を走行させることができるので、操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の誤った方向への走行を防止できる。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の作業機械における下部走行体が、正逆転可能な走行用流体圧モータを備え、走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁を有し、走行方向切換手段は、切換信号により切換わってコントロール弁へ案内されるパイロット流体を方向切換する切換弁を備えたものであり、パイロット操作型のコントロール弁へ案内されるパイロット流体を、切換信号により切換わった切換弁により方向切換することで、下部走行体の走行方向を簡単に逆方向へ切換えることができる。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載の作業機械において、切換弁に切換信号を供給する信号ライン中に設けられ切換弁の方向切換機能を解除する切換解除スイッチを具備したものであり、切換解除スイッチにより切換弁の方向切換機能を解除することで、切換弁を設置する以前のシステムに習熟した熟練者は、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0017】
請求項4に記載された発明は、走行方向を切換可能の下部走行体と、下部走行体に対し旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体に装着され操作方向により下部走行体の走行方向を切換える走行操作用の操作体と、上部旋回体に装着された作業装置と、下部走行体に対し上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置と、検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が作業装置を下部走行体に対し所定角度の範囲に旋回させた位置にあるときは操作体の操作方向にかかわらず走行を規制する走行規制手段とを具備した作業機械であり、検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が、作業装置を下部走行体に対し所定角度の範囲に旋回させた位置にあるときは、操作体の操作方向にかかわらず走行規制手段により走行を規制することで、下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置が前進側斜めか後進側斜めかを識別することが困難であって操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の、誤った方向への走行を防止できる。
【0018】
請求項5に記載された発明は、請求項4記載の作業機械における下部走行体が、正逆転可能な走行用流体圧モータを備え、走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁を有し、走行規制手段は、切換信号により切換わってコントロール弁へ案内されるパイロット流体を規制する規制弁を備えたものであり、走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁へ案内されるパイロット流体を、切換信号により切換わった規制弁により規制することで、コントロール弁を中立位置に戻して、走行用流体圧モータを停止させることができるので、誤った方向への走行を規制できる。
【0019】
請求項6に記載された発明は、請求項5記載の作業機械において、規制弁に切換信号を供給する信号ライン中に設けられ規制弁の走行規制機能を解除する規制解除スイッチを具備したものであり、規制解除スイッチにより、規制弁の走行規制機能を解除することで、緊急の場合は直ぐに走行できるとともに、規制弁を設置する以前のシステムに習熟した熟練者は、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0020】
請求項7に記載された発明は、請求項1または4記載の作業機械における検出装置が、接触型スイッチを備えたものであり、下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置として接触型スイッチを用いることで、その組付けが容易であるとともに、泥などの障害物による誤作動を防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1乃至図4に示された第1の実施の形態、図5に示された第2の実施の形態、図6乃至図9に示された第3の実施の形態、図10に示された第4の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。なお、図11に示された作業機械としての油圧ショベルは、本発明の説明においても用いるので、該当部分には、同一符号を付する。
【0022】
先ず、図1乃至図4に示された第1の実施の形態を説明する。
【0023】
図1に示されるように、走行方向を切換可能の下部走行体11に対し、上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12に、掘削作業用の作業装置14と、操作方向により下部走行体11の走行方向を切換える走行操作用の操作体としての走行レバー16とが装着されている。さらに、下部走行体11に対し上部旋回体12の旋回位置を検出する検出装置21が設けられている。
【0024】
図2および図3に示されるように、検出装置21は、下部走行体11に検出器作動部としてのドグ22が水平に設けられ、一方、上部旋回体12に検出器である接触型スイッチとしてのリミットスイッチ23が設けられ、このリミットスイッチ23の作動子としてのドグ感知部24がドグ22により押上げられて、ドグ22の設置された旋回位置を検出するように、構成されている。
【0025】
図4は、検出装置21により検出された上部旋回体12の旋回位置が、図1(a)に示されるように作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する一側に向けた位置と、図1(b)に示されるように作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する他側に向けた位置とで、走行レバー16の同一操作方向に対応する下部走行体11の走行方向を逆方向に切換える走行方向切換手段25を示している。
【0026】
この図4に示されるように、下部走行体11は、正逆転可能な1対の走行用流体圧モータとしての走行用油圧モータ(以下、単に「走行モータ17」という)を備えている。
【0027】
メインポンプ26からこれらの走行モータ17に至るメイン回路27には、これらの走行モータ17へ供給される作動流体としての作動油を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁28が設けられている。
【0028】
このコントロール弁28には、左走行モータ制御用および右走行モータ制御用のスプール29がそれぞれ設けられている。これらのスプール29は、両端の一方に作用するパイロット流体圧としてのパイロット油圧によりそれぞれ変位されるが、そのようなパイロット油圧が作用しないときは、図示しないリターンスプリングにより中立位置に復帰する。
【0029】
作動油およびパイロット油は、油タンク30内に収容されている。
【0030】
コントロール弁28の各スプール29の両端には、パイロットポンプ31から走行レバー16により操作されるパイロット弁32を経たパイロット回路33が接続されている。
【0031】
前記走行方向切換手段25は、パイロット回路33中に電磁式の切換弁34が設けられ、この切換弁34の一端にはリターンスプリング35が、他端にはリターンスプリング35に抗して切換弁34を切換作動させるソレノイド36がそれぞれ設けられ、この切換弁34のソレノイド36には、信号ライン37を介して前記リミットスイッチ23が接続され、さらに電源38が接続されている。
【0032】
切換弁34は、リミットスイッチ23からの切換信号により図4(a)から(b)に示されるように切換わって、コントロール弁28の各スプール29へ案内されるパイロット流体としてのパイロット油を方向切換するものである。
【0033】
次に、この図1乃至図4に示された実施の形態の作用を説明する。
【0034】
走行レバー16の操作方向と下部走行体11の走行方向との関係を自動切換する作用を説明すると、例えば、正面を0°として、下部走行体11が0°の状態で、図1(a)に示されるようにオペレータ正面(上部旋回体12の作業装置14)が90°(右側)を向いている場合は、図4(a)に示されるようにリミットスイッチ23がオフ状態にあるので、運転席13のオペレータが走行レバー16を前方に倒すと、0°の方向に下部走行体11が進み、また、図1(b)に示されるようにオペレータ正面(上部旋回体12の作業装置14)が270°(左側)を向いている場合は、図4(b)に示されるようにリミットスイッチ23がオン状態にあり、切換弁34がソレノイド36の励磁作用により切換状態にあるので、同様に走行レバー16を前方に倒しても、コントロール弁28の各スプール29が逆方向に変位して、走行モータ17が逆転し、図1(b)に示されるように180°の方向に下部走行体11が進む。
【0035】
つまり、上部旋回体12が左右どちらに向いても、走行レバー16を前方に倒すと、常にオペレータを正面とすると下部走行体11はオペレータの左方向に動くようになる。
【0036】
この際、90°、270°にはある程度の公差(例えば±2°)があっても良い。また、スイッチ操作により、例えば90°(公差例えば土10°)のときのみ下部走行体11が作動するようにしても良い。
【0037】
次に、この図1乃至図4に示された実施の形態の効果を説明する。
【0038】
検出装置21により検出された上部旋回体12の旋回位置が、作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する一側に向けた位置と、作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する他側に向けた位置とで、走行レバー16の同一操作方向に対応する下部走行体11の走行方向を、走行方向切換手段25の切換弁34によって逆方向に切換えることで、作業装置14が下部走行体11とほぼ直交する一側に向けた位置にあるときも他側に向けた位置にあるときも、走行レバー16の同一の操作方向に対し常に作業装置14の同一片側を進行方向とするように下部走行体11を走行させることができるので、下部走行体11に対する上部旋回体12の旋回位置によって走行レバー16の操作方向と下部走行体11の走行方向との関係が明確でない場合の誤った方向への走行を防止できる。
【0039】
走行モータ17へ供給される作動油を方向制御するコントロール弁28へ案内されるパイロット油を、リミットスイッチ23からの切換信号により切換わった切換弁34により方向切換することで、走行レバー16の同一操作方向に対応する下部走行体11の走行方向を簡単に逆方向に切換えることができる。
【0040】
以上のように、走行方向と操作方向がきちんと規定されるので、オペレータは特に意識することなく走行操作を行うことができる。また、構造も簡単であり、安価に誤操作を防止できる。
【0041】
次に、図5は、第2の実施の形態を示し、切換弁34に切換信号を供給する信号ライン37中に、切換弁34の方向切換機能を解除する切換解除スイッチ39が設けられている。この切換解除スイッチ39は、走行レバー16の上端面などの、直ぐに操作できる位置に設置されている。なお、この実施の形態の他の部分は、図4に示された第1の実施の形態と同様であるから、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
このように、切換弁34に切換信号を供給する信号ライン37中に、切換弁34の方向切換機能を解除する切換解除スイッチ39を設け、図5(a)から(b)に示されるように、この切換解除スイッチ39を開いて、切換弁34をスプリングリターン状態に戻すことで、切換弁34を設置する以前のシステムに習熟した熟練オペレータは、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0043】
次に、図6乃至図9に示された第3の実施の形態を説明する。
【0044】
図6に示されるように、走行方向を切換可能の下部走行体11に対し、上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12に、掘削作業用の作業装置14と、操作方向により下部走行体11の走行方向を切換える走行操作用の操作体としての走行レバー16とが装着されている。さらに、下部走行体11に対し上部旋回体12の旋回位置を検出する検出装置21が設けられている。
【0045】
図7および図8に示されるように、検出装置21は、下部走行体11に検出器作動部としてのドグ22が水平に設けられ、一方、上部旋回体12に検出器である接触型スイッチとしてのリミットスイッチ23が設けられ、このリミットスイッチ23の作動子としてのドグ感知部24がドグ22により押上げられて、ドグ22の設置された旋回位置を検出するように、構成されている。
【0046】
図8に示されるように、ドグ22は、基準となる0°位置に対し、30〜60°、120〜150°、210〜240°、300〜330°の各範囲に設置され、これらの範囲は、図6(b)に斜線で示された各範囲(以下、これらの範囲を「デッドゾーン41」という)と対応している。
【0047】
図9は、油圧回路中に設けられた走行規制手段42を示している。この走行規制手段42は、図6(a)に示されるように検出装置21により検出された上部旋回体12の旋回位置が、作業装置14を下部走行体11に対し所定角度の範囲すなわちデッドゾーン41内に旋回させた位置にあるときは、走行レバー16の操作方向にかかわらず走行を規制するものである。
【0048】
デッドゾーン41は、作業装置14を下部走行体11とほぼ直交する一側に向けた位置でもなく、ほぼ直交する他側に向けた位置でもなく、前進側および後進側と明確に判断できる方向に向けた位置でもない、斜め方向に旋回させた領域である。
【0049】
この図9に示されるように、下部走行体11は、正逆転可能な1対の走行用流体圧モータとしての走行用油圧モータ(以下、単に「走行モータ17」という)を備えている。
【0050】
メインポンプ26からこれらの走行モータ17に至るメイン回路27には、これらの走行モータ17へ供給される作動流体としての作動油を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁28が設けられている。
【0051】
このコントロール弁28には、左走行モータ制御用および右走行モータ制御用のスプール29がそれぞれ設けられている。これらのスプール29は、両端の一方に作用するパイロット流体圧としてのパイロット油圧によりそれぞれ変位されるが、そのようなパイロット油圧が作用しないときは、図示しないリターンスプリングにより中立位置に復帰する。
【0052】
コントロール弁28の各スプール29の両端には、パイロットポンプ31から走行レバー16により操作されるパイロット弁32を経たパイロット回路33が接続されている。
【0053】
前記走行規制手段42は、パイロット回路33中に電磁式の規制弁43が設けられ、この規制弁43の一端にはリターンスプリング44が、他端にはリターンスプリング44に抗して規制弁43を切換作動させるソレノイド45がそれぞれ設けられ、この規制弁43のソレノイド45には、信号ライン46を介して前記リミットスイッチ23が接続され、さらに電源47が接続されている。
【0054】
規制弁43は、リミットスイッチ23からの切換信号により図9(a)から(b)に示されるように切換わって、コントロール弁28の各スプール29へ案内されるパイロット流体としてのパイロット油を規制するものである。
【0055】
次に、この図6乃至図9に示された実施の形態の作用を説明する。
【0056】
上部旋回体12の位置が下部走行体11に対して中途半端な位置、すなわち図6(b)に斜線で示されるような、30〜60°、120〜150°、210〜240°、300〜330°の各デッドゾーン41に上部旋回体12の作業装置付根部分に設置されたリミットスイッチ23が位置したときは、これらのデッドゾーン41に設置されたドグ22により図7に示されるようにリミットスイッチ23が作動され、図9(a)から(b)に示されるように規制弁43がソレノイド45の励磁作用により切換わり、この規制弁43により、パイロットポンプ31からのパイロット回路33が遮断されるとともに、コントロール弁28の各スプール29に作用するパイロット油が油タンク30に排出されるので、走行レバー16を操作してパイロット弁32を動かしても、コントロール弁28の各スプール29は中立位置に保たれ、走行モータ17が停止状態に維持され、下部走行体11は動かない。
【0057】
つまり、デッドゾーン41内に上部旋回体12のリミットスイッチ23が位置する場合は、走行できないように規制する。
【0058】
次に、この図6乃至図9に示された実施の形態の効果を説明する。
【0059】
検出装置21により検出された上部旋回体12の旋回位置が、作業装置14を下部走行体11に対し所定角度の範囲に旋回させた位置にあるときは、走行レバー16の操作方向にかかわらず走行規制手段42により走行を規制することで、下部走行体11に対する上部旋回体12の旋回位置が前進側斜めか後進側斜めかを識別することが困難であって走行レバー16の操作方向と下部走行体11の走行方向との関係が明確でない場合の、誤った方向への走行を規制できる。
【0060】
走行モータ17へ供給される作動流体を方向制御するコントロール弁28へ案内されるパイロット油を、リミットスイッチ23からの切換信号により切換わった規制弁43により規制することで、コントロール弁28を中立位置に戻して、走行モータ17を停止させることができるので、誤った方向への走行を規制できる。
【0061】
以上のように、デッドゾーン41を設けることで、誤操作が起きやすいと考えられる中途半端な旋回位置での誤操作防止に利用できる。
【0062】
次に、デッドゾーン41の領域幅(角度)が大きい場合は、誤作動のおそれが小さくなるが、デッドゾーン41が作業の妨げとなりやすく、オペレータのストレスが増大し、一方、デッドゾーン41の領域幅が小さい場合は、そのようなストレスは軽減されるが、誤作動のおそれが大きくなる。しかも、これらデッドゾーン41の領域幅は、各オペレータによって異なる好みもあり、一概に規定しにくい。
【0063】
そこで、例えば、複数の検出装置と演算装置とを組合わせ、選択スイッチやボリュームスイッチなどを用いてデッドゾーン41を可変領域にし、デッドゾーン41の領域幅をオペレータ毎に調整できるようにすると良い。
【0064】
その場合、各デッドゾーン41の可変領域は、一律に4箇所同時に変化させても良いが、各領域毎に細かく設定できるようにするとさらに良い。
【0065】
このように、オペレータの細かなニーズに答えられるように調整機能を付加すると、例えば複数のオペレータが搭乗する可能性の多いレンタル車両などの適用に効果が期待できる。
【0066】
次に、図10は、第4の実施の形態を示し、規制弁43に切換信号を供給する信号ライン中に、規制弁43の走行規制機能を解除する規制解除スイッチ48が設けられている。この規制解除スイッチ48は、走行レバー16の上端面などの、直ぐに操作できる位置に設置されている。なお、この実施の形態の他の部分は、図9に示された第3の実施の形態と同様であるから、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
このように、規制弁43に切換信号を供給する信号ライン46中に規制弁43の走行規制機能を解除する規制解除スイッチ48を設け、この規制解除スイッチ48により、規制弁43をスプリングリターン状態に戻すことで、緊急の場合は直ぐに走行できるとともに、規制弁43を設置する以前のシステムに習熟した熟練者は、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0068】
次に、検出装置21の接触型スイッチとしてのリミットスイッチ23について説明すると、下部走行体11に対する上部旋回体12の旋回位置を検出する接触型のリミットスイッチ23は、その組付けが容易であるとともに、泥などの障害物による誤作動が生じにくい。
【0069】
一方、上部旋回体12と下部走行体11の位置関係を確認する検出装置21として、光電スイッチ、近接スイッチなどの非接触型センサを用いた場合は、旋回ベアリングの周辺に内装した場合は組付けが難しくなり、コストアップになり易いとともに、旋回ベアリング付近に外装した場合は、泥などの障害物を感知してしまい、誤作動の原因となる。
【0070】
さらに、この接触型のリミットスイッチ23を複数用いることで、旋回方向などを感知し、より的確に位置関係を把握できるようにし、そのスイッチ数をさらに多くすることにより、精度を高めることができる。
【0071】
また、接触型のリミットスイッチ23は、旋回を頻繁に行うとスイッチ自体の消耗を早めるおそれがあるため、例えば取外しが容易な構造として、走行を行うことが少ない作業時などは取外してもよい。
【0072】
また、上部旋回体12の回転角を計算するために、接触型のリミットスイッチ23を接触型センサとして用いる場合は、接触する相手に凸凹が規則正しく配列された面を設けることで、リミットスイッチ23が回転角に対応するパルス数をカウントするようにしても良い。
【0073】
このような接触型センサと、非接触型センサとを併用しても良い。その場合は、例えば、大雑把な位置把握を接触型センサで行い、細かな角度計算のための計測を非接触型センサで行うと良い。
【0074】
次に、図1乃至図5に示された実施の形態の走行方向切換手段25と、図6乃至図10に示された実施の形態の走行規制手段42は、相互に独立したシステムであるが、同時に働くようにしても良い。
【0075】
さらには、これらの走行方向切換手段25を有するシステムと、走行規制手段42を有するシステムとに加えて、従来の下部走行体11に対する上部旋回体12の向きが前後逆転したときに走行レバー16の同一操作方向に対する走行モータ17の回転方向を自動的に逆転させることで操作方向と走行方向とを自動的に一致させるようにした走行方向自動切換装置(例えば、特許文献2参照)を、同時に働かせるようにしても良い。
【0076】
また、これらの走行方向切換手段25、走行規制手段42および走行方向自動切換装置は、走行時以外には利用しない場合が多いので、オペレータが任意で使用の可否を選択できる走行方向切換モード用スイッチ(図示せず)、走行規制モード用スイッチ(図示せず)などを装着し、必要と思う場合にリミットスイッチ23などを使用できるようにすると良い。
【0077】
すなわち、走行方向切換モード用スイッチ(図示せず)と連動させて、走行方向切換モード・オフ時には、リミットスイッチ23をドグ22と接触しないように格納させると良い。
【0078】
同様に、走行規制モード用スイッチ(図示せず)を装着し、この走行規制モード用スイッチと連動させて、走行規制モード・オフ時には、リミットスイッチ23をドグ22と接触しないように格納させても良い。
【0079】
また、より安全性を高めるために、走行方向と操作方向との確認のための例えばモニタでの表示、ブザーなどによる音を用いた警報を併用しても良い。
【0080】
なお、図示された実施の形態では、走行方向切換手段25および走行規制手段42を、パイロット回路33に対して設置しているが、メイン回路27に対して設置しても良く、また、メイン回路27のコントロール弁28を電子コントローラで制御する電子制御方式の場合は、その電子コントローラ内の電子回路に組込むことも可能である。
【0081】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が、作業装置を下部走行体とほぼ直交する一側に向けた位置と、作業装置を下部走行体とほぼ直交する他側に向けた位置とで、操作体の同一操作方向に対応する下部走行体の走行方向を、走行方向切換手段によって逆方向に切換えることで、作業装置が一側に向けた位置にあるときも他側に向けた位置にあるときも、操作体の同一の操作方向に対し常に作業装置の同一片側を進行方向とするように下部走行体を走行させることができるので、操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の誤った方向への走行を防止できる。
【0082】
請求項2記載の発明によれば、走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁へ案内されるパイロット流体を、切換信号により切換わった切換弁により方向切換することで、操作体の同一操作方向に対応する下部走行体の走行方向を簡単に逆方向に切換えることができる。
【0083】
請求項3記載の発明によれば、切換解除スイッチにより切換弁の方向切換機能を解除することで、切換弁を設置する以前のシステムに習熟した熟練者は、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0084】
請求項4記載の発明によれば、検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が、作業装置を下部走行体に対し所定角度の範囲に旋回させた位置にあるときは、操作体の操作方向にかかわらず走行規制手段により走行を規制することで、下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置が前進側斜めか後進側斜めかを識別することが困難であって操作体の操作方向と下部走行体の走行方向との関係が明確でない場合の、誤った方向への走行を防止できる。
【0085】
請求項5記載の発明によれば、走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁へ案内されるパイロット流体を、切換信号により切換わった規制弁により規制することで、コントロール弁を中立位置に戻して、走行用流体圧モータを停止させることができるので、誤った方向への走行を規制できる。
【0086】
請求項6記載の発明によれば、規制解除スイッチにより、規制弁の走行規制機能を解除することで、緊急の場合は直ぐに走行できるとともに、規制弁を設置する以前のシステムに習熟した熟練者は、自分が習熟したシステムを用いることができる。
【0087】
請求項7記載の発明によれば、下部走行体に対する上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置として接触型スイッチを用いることで、その組付けが容易であるとともに、泥などの障害物による誤作動を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業機械の第1の実施の形態を示す平面図であり、(a)はその上部旋回体を一側に向けた姿勢を示し、(b)はその上部旋回体を他側に向けた姿勢を示す。
【図2】同上作業機械の検出装置を示す正面図である。
【図3】同上作業機械の検出装置を示す平面図である。
【図4】同上作業機械の走行方向切換手段が組込まれた電気・油圧回路を示す回路図であり、(a)は走行方向切換前の状態を示し、(b)は走行方向切換後の状態を示す。
【図5】本発明に係る作業機械の走行方向切換手段に切換解除スイッチが組込まれた第2の実施の形態を示す回路図であり、(a)は切換解除前の状態を示し、(b)は切換解除後の状態を示す。
【図6】本発明に係る作業機械の第3の実施の形態を示す平面図であり、(a)はその上部旋回体を下部走行体に対し所定角度に旋回させた姿勢を示し、(b)はその上部旋回体のデッドゾーンの範囲を示す。
【図7】同上作業機械の検出装置を示す正面図である。
【図8】同上作業機械の検出装置を示す平面図である。
【図9】同上作業機械の走行規制手段が組込まれた電気・油圧回路を示す回路図であり、(a)は走行規制前の状態を示し、(b)は走行規制後の状態を示す。
【図10】本発明に係る作業機械の走行規制手段に規制解除スイッチが組込まれた第4の実施の形態を示す回路図であり、(a)は規制解除前の状態を示し、(b)は規制解除後の状態を示す。
【図11】作業機械としての油圧ショベルを示す側面図である。
【図12】従来の作業機械を示す平面図であり、(a)はその上部旋回体を前進側に向けた姿勢を示し、(b)はその上部旋回体を後進側に向けた姿勢を示す。
【図13】従来の改良された作業機械を示す平面図であり、(a)はその上部旋回体を前進側に向けた姿勢を示し、(b)はその上部旋回体を後進側に向けた姿勢を示す。
【符号の説明】
11  下部走行体
12  上部旋回体
14  作業装置
16  操作体としての走行レバー
17  走行用流体圧モータとしての走行モータ
21  検出装置
23  接触型スイッチとしてのリミットスイッチ
25  走行方向切換手段
28  コントロール弁
34  切換弁
37  信号ライン
39  切換解除スイッチ
42  走行規制手段
43  規制弁
46  信号ライン
48  規制解除スイッチ

Claims (7)

  1. 走行方向を切換可能の下部走行体と、
    下部走行体に対し旋回可能に設けられた上部旋回体と、
    上部旋回体に装着され操作方向により下部走行体の走行方向を切換える走行操作用の操作体と、
    上部旋回体に装着された作業装置と、
    下部走行体に対し上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置と、
    検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が作業装置を下部走行体とほぼ直交する一側に向けた位置と他側に向けた位置とで操作体の同一操作方向に対応する下部走行体の走行方向を逆方向に切換える走行方向切換手段と
    を具備したことを特徴とする作業機械。
  2. 下部走行体は、正逆転可能な走行用流体圧モータを備え、
    走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁を有し、
    走行方向切換手段は、切換信号により切換わってコントロール弁へ案内されるパイロット流体を方向切換する切換弁を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の作業機械。
  3. 切換弁に切換信号を供給する信号ライン中に設けられ切換弁の方向切換機能を解除する切換解除スイッチ
    を具備したことを特徴とする請求項2記載の作業機械。
  4. 走行方向を切換可能の下部走行体と、
    下部走行体に対し旋回可能に設けられた上部旋回体と、
    上部旋回体に装着され操作方向により下部走行体の走行方向を切換える走行操作用の操作体と、
    上部旋回体に装着された作業装置と、
    下部走行体に対し上部旋回体の旋回位置を検出する検出装置と、
    検出装置により検出された上部旋回体の旋回位置が作業装置を下部走行体に対し所定角度の範囲に旋回させた位置にあるときは操作体の操作方向にかかわらず走行を規制する走行規制手段と
    を具備したことを特徴とする作業機械。
  5. 下部走行体は、正逆転可能な走行用流体圧モータを備え、
    走行用流体圧モータへ供給される作動流体を方向制御するパイロット操作型のコントロール弁を有し、
    走行規制手段は、切換信号により切換わってコントロール弁へ案内されるパイロット流体を規制する規制弁を備えた
    ことを特徴とする請求項4記載の作業機械。
  6. 規制弁に切換信号を供給する信号ライン中に設けられ規制弁の走行規制機能を解除する規制解除スイッチ
    を具備したことを特徴とする請求項5記載の作業機械。
  7. 検出装置は、接触型スイッチを備えた
    ことを特徴とする請求項1または4記載の作業機械。
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