JP2004131747A - 表示デバイス用銀合金及びこの銀合金を用いて形成した電極膜または反射膜を使用する表示デバイス - Google Patents
表示デバイス用銀合金及びこの銀合金を用いて形成した電極膜または反射膜を使用する表示デバイス Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低電気抵抗を有し、非金属材料との密着性、耐食性に優れ、かつ、高反射率、高い熱安定性を有する、各種表示デバイスの電極膜または反射膜として用いられるのに好適な銀合金、およびこの銀合金薄膜を電極膜として用いることにより高精細の表示が可能な表示デバイスを提供する。
【解決手段】本発明による表示デバイス用銀合金は、Agを主成分とし、Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Zr,Cr,W,Ru,Niからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。当該銀合金をターゲットとして用いて形成した膜を、各種表示デバイスの電極膜または反射膜として用いることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明による表示デバイス用銀合金は、Agを主成分とし、Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Zr,Cr,W,Ru,Niからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。当該銀合金をターゲットとして用いて形成した膜を、各種表示デバイスの電極膜または反射膜として用いることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどの各種表示デバイスに用いられる銀合金およびこの銀合金の薄膜を電極膜や反射膜として用いた表示デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの各種表示デバイスにおいては、表示デバイスの回路を構成するために電極膜が用いられている。また、反射型液晶ディスプレイなどでは、表示部の明るさを確保するために、反射膜が用いられている。これらの膜には、主としてスパッタリング法などの手段を用いて形成される金属薄膜が用いられており、従来は主として純AlまたはAl合金の薄膜が用いられてきた。
【0003】
近年、表示デバイスには、より高精細で明るい表示が要求されてきている。そのため、狭いライン幅で電気回路を構成できる電気抵抗の低い電極膜が求められている。また、表示部の明るさを向上させるために、高反射率の反射膜も求められている。Agは、電気抵抗が最も低い金属で、かつ、可視光域での反射率が最も高い金属であり、上記の要求に対して最適な材料である。
【0004】
しかし、純Ag薄膜は、熱安定性が悪く、加熱による組織変化が大きいため、微細電気配線を形成したときに断線などの不具合が発生しやすいという問題がある。また、反射膜に用いたときも、反射率にムラが発生しやすいという問題がある。さらに、純Ag薄膜には、硫化に対する耐食性が低い、非金属材料との密着力が比較的低いという問題も有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記点に鑑みて、低電気抵抗かつ高反射率を有し、さらに高い熱安定性を有する、各種表示デバイスの電極膜や反射膜として用いられるのに好適な銀合金、およびこの銀合金薄膜を電極膜や反射膜として用いることにより高精細の表示が可能な表示デバイスを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による表示デバイス電極膜銀合金は、次の組成を有する。すなわち、Agを主成分とし、Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Zr,Cr,W,Ru,Niからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。
【0007】
さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
【0008】
上記の銀合金をターゲットとして用い、マグネトロンスパッタリング法により形成した膜を、各種表示デバイスの電極膜として用いることができる。
【0009】
一方、本発明による表示デバイス反射膜銀合金は、Agを主成分とし、Y,Pr,Nd,Smからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。
【0010】
さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
【0011】
上記の銀合金をターゲットとして用い、マグネトロンスパッタリング法により形成した膜を、各種表示デバイスの反射膜として用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
一般的に、純Agに各種元素を添加すると熱安定性は向上するが、同時に合金の電気抵抗が上昇し、反射率は低下する傾向を示す。本発明のCa以下の各添加元素は、ごく微量の添加で所望の熱安定性を得られるものであり、その結果、低電気抵抗、高反射率、高熱安定性を同時に達成することが可能となる。
【0013】
本発明による合金は、熱安定性が高いために、スパッタ時の膜中の結晶粒が微細化されるとともに、加熱されてもこの微細結晶組織が維持されるため、電気配線中での断線が起こりにくいという特徴を有する。
【0014】
また、反射膜に用いた場合にも安定に微細結晶粒径が得られるために、安定して高反射率を得ることができる。
【0015】
さらに、これらの添加元素によって、ターゲット中の結晶粒径も微細化されるため、スパッタリングレートが均一化され、その結果、膜の厚さが均一化され、さらに反射率も均一化されるという効果が得られる。
【0016】
本発明において、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Zr、Cr、W、Ru、Niは、銀合金の熱安定性を向上させる作用を有する添加元素である。また、これらの元素は、若干ながら膜の密着性を向上させる効果も有する。これらの元素の添加量を0.001〜0.1質量%の範囲とするのは、0.001質量%未満ではその濃度が低すぎるため十分な添加効果を得られず、逆に0.1質量%を超えると合金の耐食性が低下するためである。
【0017】
なお、本発明では、以下の元素を添加することが好ましい。Zn、Mg、Au、Pd、Cuは、耐食性を向上させる効果を有する元素であり、特にSを含む環境での膜の腐食を抑える働きをする。また、Sn、Inは、膜の密着性を向上させる元素である。なお、これらの元素の添加量を0.1〜5質量%の範囲とするのは、0.1質量%未満ではその濃度が低すぎるため添加効果が得られず、逆に5質量%を超えると電気抵抗が上昇するため、低価格なAl膜に対して性能の優位性がなくなるためである。
【0018】
本発明による表示デバイスは、これらの銀合金薄膜を電極膜として用いることにより、高精細な表示を達成できる。また、反射膜として用いることにより、明るい表示も達成できる。
【0019】
なお、本発明は、薄膜を構成するAg合金の組成を規定したものであるが、薄膜の形成に用いられるスパッタリングターゲットの組成についても同等に用いることができる。
【0020】
【実施例】
[実施例]
試験に用いたターゲットは、真空溶解炉を用いた溶解鋳造法、ないしはホットプレスを用いた粉末冶金法により作製した。原料として、99.9〜99.999%の純度を有するAg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Zr、Cr、W、Ru、Ni、Zn、Mg、Au、Pd、Cu、Sn、Inの塊もしくは粉末を用いた。
【0021】
試験で使用した本発明によるターゲットの組成を表1に示す(実施例1〜33)。特性評価用の薄膜試料は、これらのターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法により形成した。形成した膜の組成がターゲット組成とほぼ同等であることを化学分析により確認した。
【0022】
膜の電気抵抗、反射率、熱安定性、密着性、耐食性は、10cm×10cmのガラス基板上に形成した3000Åの膜で評価した。電気抵抗の測定は、フォトエッチングにより幅50μm、長さ10mmの膜を形成した後、直流4端子法を用いて測定した。
【0023】
反射率の測定は、分光光度計により波長650nmを用いて、1つの試料中の30点の異なる場所に対して実施した。反射率の絶対値は、その30点の測定結果の平均値として求めた。反射率の均一性は、30点の測定結果の最大値と最小値の差を求め、差が小さいほど均一性が良好と評価した。
【0024】
膜の熱安定性については、同様に形成した膜50本分について、500℃で10分間の熱処理を施した後の電気抵抗を測定し、抵抗値が30%以上増加した割合が少ないほど良好と評価した。
【0025】
密着性については、同様に形成した膜50本分について、カプトンテープを貼り付けた後に引き剥がし試験を実施し、一部でも膜の剥離を起こした試料の割合が少ないほど良好と評価した。
【0026】
耐食性については、ZnS粉末中に室温で1時間保持した後、膜の反射率を測定し、反射率の低下率が小さいほど耐食性が良好と評価した。
【0027】
以上の試験により得られた評価結果を表2に示す。その結果から、本発明による銀合金を用いることにより、低電気抵抗で、高反射率を有し、密着性、耐食性にもそれぞれ優れ、かつ、熱を受けても膜の性能が低下しにくいAg合金膜を得られることがわかる。
【0028】
また、本発明による銀合金薄膜を電極膜として用いた液晶ディスプレイにおいては、高精細な表示が得られた。さらに、この薄膜を反射膜として用いることでさらに明るい表示を得ることができた。
【0029】
[比較例]
純Ag(比較例34)、Caを0.2質量%添加したもの(比較例35)、Ceを0.2質量%添加したもの(比較例36)、Ca0.05質量%およびMg6.0質量%添加したもの(比較例37)、Ce0.05質量%およびIn6.0質量%添加したもの(比較例38)をターゲットとして特性評価用の薄膜試料をマグネトロンスパッタ法により形成した。形成した膜の組成がターゲット組成とほぼ同等であることを化学分析により確認した。これらについて、実施例と同様に試験・評価を行った。その組成を表1に、評価を表2にそれぞれ示す。
【0030】
その結果、純Ag薄膜では、熱安定性が悪く、反射率の均一性に劣り、さらに非金属材料との密着性が低かった。また、CaまたはCeを0.2質量%と本発明より多く添加したものは、耐食性が低かった。さらに、CaとCeの添加量は本発明の範囲であるが、MgまたはInを6.0質量%と本発明より多く添加したものは、低電気抵抗を達成できず、反射率も低下していた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明による銀合金を用いて作製される表示デバイス用電極膜は、低電気抵抗および高反射率を有し、さらに高い熱安定性を示し、非金属材料との密着性もよく、耐食性にも優れている。よって、本発明による銀合金薄膜を電極膜または反射膜として用いることにより、高精細かつ明るい表示が可能な表示デバイスを提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどの各種表示デバイスに用いられる銀合金およびこの銀合金の薄膜を電極膜や反射膜として用いた表示デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの各種表示デバイスにおいては、表示デバイスの回路を構成するために電極膜が用いられている。また、反射型液晶ディスプレイなどでは、表示部の明るさを確保するために、反射膜が用いられている。これらの膜には、主としてスパッタリング法などの手段を用いて形成される金属薄膜が用いられており、従来は主として純AlまたはAl合金の薄膜が用いられてきた。
【0003】
近年、表示デバイスには、より高精細で明るい表示が要求されてきている。そのため、狭いライン幅で電気回路を構成できる電気抵抗の低い電極膜が求められている。また、表示部の明るさを向上させるために、高反射率の反射膜も求められている。Agは、電気抵抗が最も低い金属で、かつ、可視光域での反射率が最も高い金属であり、上記の要求に対して最適な材料である。
【0004】
しかし、純Ag薄膜は、熱安定性が悪く、加熱による組織変化が大きいため、微細電気配線を形成したときに断線などの不具合が発生しやすいという問題がある。また、反射膜に用いたときも、反射率にムラが発生しやすいという問題がある。さらに、純Ag薄膜には、硫化に対する耐食性が低い、非金属材料との密着力が比較的低いという問題も有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記点に鑑みて、低電気抵抗かつ高反射率を有し、さらに高い熱安定性を有する、各種表示デバイスの電極膜や反射膜として用いられるのに好適な銀合金、およびこの銀合金薄膜を電極膜や反射膜として用いることにより高精細の表示が可能な表示デバイスを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による表示デバイス電極膜銀合金は、次の組成を有する。すなわち、Agを主成分とし、Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Zr,Cr,W,Ru,Niからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。
【0007】
さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
【0008】
上記の銀合金をターゲットとして用い、マグネトロンスパッタリング法により形成した膜を、各種表示デバイスの電極膜として用いることができる。
【0009】
一方、本発明による表示デバイス反射膜銀合金は、Agを主成分とし、Y,Pr,Nd,Smからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる。
【0010】
さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
【0011】
上記の銀合金をターゲットとして用い、マグネトロンスパッタリング法により形成した膜を、各種表示デバイスの反射膜として用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
一般的に、純Agに各種元素を添加すると熱安定性は向上するが、同時に合金の電気抵抗が上昇し、反射率は低下する傾向を示す。本発明のCa以下の各添加元素は、ごく微量の添加で所望の熱安定性を得られるものであり、その結果、低電気抵抗、高反射率、高熱安定性を同時に達成することが可能となる。
【0013】
本発明による合金は、熱安定性が高いために、スパッタ時の膜中の結晶粒が微細化されるとともに、加熱されてもこの微細結晶組織が維持されるため、電気配線中での断線が起こりにくいという特徴を有する。
【0014】
また、反射膜に用いた場合にも安定に微細結晶粒径が得られるために、安定して高反射率を得ることができる。
【0015】
さらに、これらの添加元素によって、ターゲット中の結晶粒径も微細化されるため、スパッタリングレートが均一化され、その結果、膜の厚さが均一化され、さらに反射率も均一化されるという効果が得られる。
【0016】
本発明において、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Zr、Cr、W、Ru、Niは、銀合金の熱安定性を向上させる作用を有する添加元素である。また、これらの元素は、若干ながら膜の密着性を向上させる効果も有する。これらの元素の添加量を0.001〜0.1質量%の範囲とするのは、0.001質量%未満ではその濃度が低すぎるため十分な添加効果を得られず、逆に0.1質量%を超えると合金の耐食性が低下するためである。
【0017】
なお、本発明では、以下の元素を添加することが好ましい。Zn、Mg、Au、Pd、Cuは、耐食性を向上させる効果を有する元素であり、特にSを含む環境での膜の腐食を抑える働きをする。また、Sn、Inは、膜の密着性を向上させる元素である。なお、これらの元素の添加量を0.1〜5質量%の範囲とするのは、0.1質量%未満ではその濃度が低すぎるため添加効果が得られず、逆に5質量%を超えると電気抵抗が上昇するため、低価格なAl膜に対して性能の優位性がなくなるためである。
【0018】
本発明による表示デバイスは、これらの銀合金薄膜を電極膜として用いることにより、高精細な表示を達成できる。また、反射膜として用いることにより、明るい表示も達成できる。
【0019】
なお、本発明は、薄膜を構成するAg合金の組成を規定したものであるが、薄膜の形成に用いられるスパッタリングターゲットの組成についても同等に用いることができる。
【0020】
【実施例】
[実施例]
試験に用いたターゲットは、真空溶解炉を用いた溶解鋳造法、ないしはホットプレスを用いた粉末冶金法により作製した。原料として、99.9〜99.999%の純度を有するAg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Zr、Cr、W、Ru、Ni、Zn、Mg、Au、Pd、Cu、Sn、Inの塊もしくは粉末を用いた。
【0021】
試験で使用した本発明によるターゲットの組成を表1に示す(実施例1〜33)。特性評価用の薄膜試料は、これらのターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法により形成した。形成した膜の組成がターゲット組成とほぼ同等であることを化学分析により確認した。
【0022】
膜の電気抵抗、反射率、熱安定性、密着性、耐食性は、10cm×10cmのガラス基板上に形成した3000Åの膜で評価した。電気抵抗の測定は、フォトエッチングにより幅50μm、長さ10mmの膜を形成した後、直流4端子法を用いて測定した。
【0023】
反射率の測定は、分光光度計により波長650nmを用いて、1つの試料中の30点の異なる場所に対して実施した。反射率の絶対値は、その30点の測定結果の平均値として求めた。反射率の均一性は、30点の測定結果の最大値と最小値の差を求め、差が小さいほど均一性が良好と評価した。
【0024】
膜の熱安定性については、同様に形成した膜50本分について、500℃で10分間の熱処理を施した後の電気抵抗を測定し、抵抗値が30%以上増加した割合が少ないほど良好と評価した。
【0025】
密着性については、同様に形成した膜50本分について、カプトンテープを貼り付けた後に引き剥がし試験を実施し、一部でも膜の剥離を起こした試料の割合が少ないほど良好と評価した。
【0026】
耐食性については、ZnS粉末中に室温で1時間保持した後、膜の反射率を測定し、反射率の低下率が小さいほど耐食性が良好と評価した。
【0027】
以上の試験により得られた評価結果を表2に示す。その結果から、本発明による銀合金を用いることにより、低電気抵抗で、高反射率を有し、密着性、耐食性にもそれぞれ優れ、かつ、熱を受けても膜の性能が低下しにくいAg合金膜を得られることがわかる。
【0028】
また、本発明による銀合金薄膜を電極膜として用いた液晶ディスプレイにおいては、高精細な表示が得られた。さらに、この薄膜を反射膜として用いることでさらに明るい表示を得ることができた。
【0029】
[比較例]
純Ag(比較例34)、Caを0.2質量%添加したもの(比較例35)、Ceを0.2質量%添加したもの(比較例36)、Ca0.05質量%およびMg6.0質量%添加したもの(比較例37)、Ce0.05質量%およびIn6.0質量%添加したもの(比較例38)をターゲットとして特性評価用の薄膜試料をマグネトロンスパッタ法により形成した。形成した膜の組成がターゲット組成とほぼ同等であることを化学分析により確認した。これらについて、実施例と同様に試験・評価を行った。その組成を表1に、評価を表2にそれぞれ示す。
【0030】
その結果、純Ag薄膜では、熱安定性が悪く、反射率の均一性に劣り、さらに非金属材料との密着性が低かった。また、CaまたはCeを0.2質量%と本発明より多く添加したものは、耐食性が低かった。さらに、CaとCeの添加量は本発明の範囲であるが、MgまたはInを6.0質量%と本発明より多く添加したものは、低電気抵抗を達成できず、反射率も低下していた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明による銀合金を用いて作製される表示デバイス用電極膜は、低電気抵抗および高反射率を有し、さらに高い熱安定性を示し、非金属材料との密着性もよく、耐食性にも優れている。よって、本発明による銀合金薄膜を電極膜または反射膜として用いることにより、高精細かつ明るい表示が可能な表示デバイスを提供できる。
Claims (8)
- Agを主成分とし、Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Zr,Cr,W,Ru,Niからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる表示デバイス電極膜用銀合金。
- さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含む請求項1に記載の表示デバイス電極膜用銀合金。
- 添加元素がCaとSn,CeとIn,SrとZn,BaとMg,YとAu,LaとPd,PrとCu,NdとSn,SmとIn,EuとPd,ZrとAu,CrとInとZn,WとRuとAuとPd,NiとAuとCuの組合せからなる群より選択される請求項2に記載の表示デバイス電極膜用銀合金。
- 請求項1〜3に係る銀合金をターゲットとして用いて形成した電極膜を有する表示デバイス。
- Agを主成分とし、Y,Pr,Nd,Smからなる群より選択される1種以上の元素を0.001〜0.1質量%含み、残部が不可避不純物からなる表示デバイス反射膜用銀合金。
- さらに、Zn,Mg,Au,Pd,Cu,Sn,Inからなる群より選択される1種以上の元素を0.1〜5重量%含む請求項5に記載の表示デバイス反射膜用銀合金。
- 添加元素がYとAu,PrとCu,NdとSn,SmとInの組合せからなる群より選択される請求項6に記載の表示デバイス反射膜用銀合金。
- 請求項1または2に係る銀合金をターゲットとして用いて形成した反射膜を有する表示デバイス。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002294462A JP2004131747A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 表示デバイス用銀合金及びこの銀合金を用いて形成した電極膜または反射膜を使用する表示デバイス |
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JP2002294462A JP2004131747A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 表示デバイス用銀合金及びこの銀合金を用いて形成した電極膜または反射膜を使用する表示デバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004131747A true JP2004131747A (ja) | 2004-04-30 |
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JP2002294462A Pending JP2004131747A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 表示デバイス用銀合金及びこの銀合金を用いて形成した電極膜または反射膜を使用する表示デバイス |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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