JP2004131437A - ジヒドロキシベンゼンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造プロセスにおける、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応工程が、下記工程を含むことを特徴とするジヒドロキシベンゼンの製造方法。
(1)無水硫酸をガス化して溶剤に溶解し、無水硫酸の溶液を調合する工程。
(2)該無水硫酸の溶液を触媒として、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解し、ジヒドロキシベンゼンを得る工程。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造方法に関し、スケール生成の少ない優れたジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解触媒調合工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジヒドロキシベンゼンは、通常ジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むプロセスにより製造されている。中間体のジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応工程においては、無水硫酸を酸分解反応触媒として使用している。この無水硫酸の物性は、沸点44.8℃、凝固点16.8℃であり、かつその使用量は極めて微量であるので、取り扱いが極めて困難である。そこで従来は、無水硫酸をアセトンに溶解し、濃度0.01〜10.0wt%の無水硫酸アセトン溶液を調合し、分解反応器への安定供給が行われてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記特許文献1には、無水硫酸アセトン溶液の調合方法についての記載はないが、一般的には、液体の無水硫酸をアセトンに滴下あるいは液中に供給する等の方法で無水硫酸アセトン溶液の調合が通常行われる。しかし、この方法では無水硫酸とアセトンの接触部分において局部的に加熱され、アセトンの熱分解による重合物等のスケールが生成し、調合槽内のスケール除去の頻度が多いことや、希アセトン溶液をジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応器へ供給するに際して、触媒供給ポンプのストレーナー切り替え頻度が大であること、分解反応器への供給ラインがスケールで閉塞するなど製造プラントの安定運転に問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−143111号公報(第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において、本発明はジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造プロセスにおける、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応工程において、スケールを発生しない無水硫酸の希薄溶液の調製工程、および該スケールの少ない無水硫酸の希薄溶液を触媒として供給する工程を含む、安定運転の可能なジヒドロキシベンゼンの製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、ジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造プロセスにおける、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応工程が、下記工程を含むことを特徴とするジヒドロキシベンゼンの製造方法に係るものである。
(1)無水硫酸をガス化して溶剤に溶解し、無水硫酸の溶液を調合する工程。
(2)該無水硫酸の溶液を触媒として、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解し、ジヒドロキシベンゼンを得る工程。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる無水硫酸をガス化して調合する工程の溶剤としては、ケトン類が好適に用いられ、中でもアセトンまたはメチルイソブチルケトンが好ましい。アセトンとメチルイソブチルケトンの混合溶剤を用いてもよい。
【0008】
無水硫酸をガス化して調合する工程は、例えば下記のごとく行われる。
【0009】
無水硫酸液をポンプアップして、無水硫酸の濃度が、0.01〜10wt%程度の希薄溶液となるように流量計および調節弁で流量調整した後、熱交換器で加熱して無水硫酸液をガス化する。加熱温度は、無水硫酸がガス化する温度であればよく、溶剤の沸点以下に加熱するのが好適である。アセトンに溶解する場合は、55℃程度まで加熱するのが適当である。ガス化した無水硫酸は溶剤が入っている調合槽に送られる。無水硫酸ガスのフィードノズル位置は、溶剤の液中になるように液面を調整し、ガスをバブリングして混合する。混合に際して、溶剤との接触をさらによくするため攪拌機を用いてもよい。無水硫酸の熱交管器および調合槽への供給は、前記の如くポンプおよび流量計を用いて送ってもよいが、計量器を用いて計量した後、ポンプによる送液または窒素などの不活性ガスによる圧送によって熱交管器および調合槽へ送ってもよい。
【0010】
上記のようにして調合した無水硫酸の希薄溶液を触媒として、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解し、ジヒドロキシベンゼンが得られる。
【0011】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
無水硫酸液をポンプアップして、0.8wt%の溶液が得られるにように流量計および調節弁で流量調整した後、熱交換器で55℃程度まで加熱し、無水硫酸液をガス化した。ガス化した無水硫酸をアセトンで満たした調合槽に送り、無水硫酸ガスのフィードノズル位置を溶剤の液中になるように液面を調整して、無水硫酸ガスをバブリングさせて溶解した。調合槽内のスケールの発生はほとんど見られなかった。このようにして調合した無水硫酸のアセトン溶液をジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解を行った。酸分解を行っている間のアセトン溶液フィードポンプのストレーナーの詰りはなく、安定運転が可能であった
【0012】
比較例1
無水硫酸液をポンプアップして、0.8wt%の溶液が得られるにように流量計および調節弁で流量調整し、そのまま無水硫酸をアセトンで満たした調合槽に送りアセトンと混合した。無水硫酸液のフィードノズル位置は、溶剤の液中になるように液面を調整し、攪拌を行いながら溶解した。調合槽内にはスケールの発生が見られ、調合槽内のスケールパージを週一回行う必要があり、週40L程度のスケールが発生した。また、このようにして調合した無水硫酸のアセトン溶液をジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解を行ったところ、アセトン溶液フィードポンプのストレーナーの詰りがあり、ストレーナー切り替えを週一回は行う必要があった。
【0013】
【発明の効果】
無水硫酸をガス化して溶剤に溶解することにより、無水硫酸の希薄溶液の調合に際してスケール発生が見られず、該無水硫酸の希薄溶液を触媒としてジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解工程に供給することにより、安定運転の可能なジヒドロキシベンゼンの製造方法の提供が可能になった。
Claims (3)
- ジイソプロピルベンゼンを酸化する工程と、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解する工程を含むジヒドロキシベンゼンの製造プロセスにおける、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの酸分解反応工程が、下記工程を含むことを特徴とするジヒドロキシベンゼンの製造方法。
(1)無水硫酸をガス化して溶剤に溶解し、無水硫酸の溶液を調合する工程。
(2)該無水硫酸の溶液を触媒として、ジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンの分解反応器に供給してジ(2−ジヒドロペルオキシ−2−プロピル)ベンゼンを酸分解し、ジヒドロキシベンゼンを得る工程。 - 請求項1記載の溶剤がケトン類である請求項1記載のジヒドロキシベンゼンの製造方法。
- 請求項2記載のケトン類がアセトンおよび/またはメチルイソブチルケトンである請求項2記載のジヒドロキシベンゼンの製造方法。
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