JP2004131406A - 尿毒症性物質特異的認識ポリマー及び経口吸着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、患者への負担を小さくすることができるコンプライアンスの優れた経口吸着剤を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーであって、前記特異的認識部位は、分子インプリンティング法により形成されたものである尿毒症性物質特異的認識ポリマー。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーであって、前記特異的認識部位は、分子インプリンティング法により形成されたものである尿毒症性物質特異的認識ポリマー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、慢性腎不全患者の人工透析患者は、20万人を突破し、年々増加傾向にある。慢性腎疾患の多くは、腎機能障害がある程度進むと、それ以後は急激に進行し、末期腎不全に至る。特に糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症は患者の生命予後に直結するものであり、仮に人工透析を導入しても約3年間で50%の死亡率を示し極めて生命予後が悪い。このため、慢性腎不全の進行速度を遅延させることが、患者のQOL維持向上の観点からも非常に重要であり、罹病した患者の早期発見と早期治療とにより透析患者の増加を抑えることが望まれるが、現在のところ有効な治療薬はまだ見出されていない。
【0003】
従来、慢性腎不全の進行を遅延させる目的で実施されている治療方法としては、
(1)低蛋白食を中心とした食事療法、(2)降圧剤、降圧利尿剤等の薬物療法による血圧管理、(3)経口高分子剤の服用等が挙げられる。
【0004】
慢性腎不全の進展・増悪については、いくつかの要因が提唱されている。そのうちの1つとして、腎機能障害によって排泄機能が低下すると尿毒症毒素(uremic toxin)や尿毒症性代謝物等の液性増悪因子が体内に蓄積され、これらが腎不全を更に悪化させて悪循環を来すというものが挙げられる。
最近、このような液性増悪因子の1つとしてインドキシル硫酸が注目されている。食事において摂取した蛋白質は、プロテアーゼによって加水分解され、低分子ペプチド又はアミノ酸となって大部分は小腸から吸収されるが、吸収されなかったペプチドやアミノ酸は腸内微生物によって代謝される。そのなかでもトリプトファンは腸管内で大腸菌等の代謝を受けることによりインドールに変換され、そのまま便中に排泄されるが、一部は腸管から体内に吸収され血流に乗って肝臓に運ばれ、肝臓でインドキシルに変換された後、硫酸抱合されてインドキシル硫酸となる。通常、健常人であればこのインドキシル硫酸は腎臓を経て尿中に排泄されるが、腎機能障害を来した患者では、この排泄経路が絶たれ、インドキシル硫酸が血中に蓄積し、これが慢性腎不全の進展・増悪に大きく関っていることが指摘されている。近年、インドキシル硫酸について、線維化に関連する遺伝子発現を増加させ、腎臓の間質線維化や糸球体硬化を引き起こすことが報告されている。
【0005】
これに対して、経口高分子剤として、球形多孔質活性炭を用いた経口吸着剤である「クレメジン(登録商標)」(呉羽化学工業社製)(特許文献1、特許文献2)が1991年に医薬品として登場した。この薬剤は新しい作用機序に基づいて尿毒症症状を改善し、腎機能低下をできるだけ抑えることにより透析導入の遅延を図るものである。その他、同様の作用機序を示すものとして、酸化デンプン(特許文献3)、酸化セルロース(特許文献4)、キトサン等が検討されている。
【0006】
これらの経口吸着剤は、腸内に発生したフェノール類やインドール類等の腐敗産物を吸着することによって腸管からの腐敗産物の吸収を極力抑えるものであるが、生体にとって大切なビタミン類やその他の栄養素、消化酵素等をも吸着し、腐敗産物のみを選択的に吸着できないものであった。このため、これらの経口吸着剤は、充分な量の腐敗産物を吸着するために大量に服用する必要があった。しかし、慢性腎不全患者は、厳格な水分制限を強いられており、大量の経口吸着剤を毎日飲み続けることは大きな負担であった。また、服用後には、腹部の膨張感、便秘症状、食欲不振、悪心、嘔吐等の消化器系の副作用を伴う場合が多かった。このように、従来の慢性腎不全の治療に用いられていた経口吸着剤は、コンプライアンスの問題があり、必ずしも慢性腎不全患者のQOLを満足せしめるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特公昭62−29368号公報
【特許文献2】
特公昭63−60009号公報
【特許文献3】
特公昭61−30620号公報
【特許文献4】
特開平9−176202号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーであって、前記特異的認識部位は、分子インプリンティング法により形成されたものである尿毒症性物質特異的認識ポリマーである。
以下に、本発明について詳述する。
【0010】
本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマー(以下、本発明のポリマーともいう。)は、少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有するものである。本発明のポリマーは、上記特異的認識部位と認識対象の尿毒症性物質との相互作用により、認識対象とされる尿毒症性物質を選択的に吸着することができる。
上記認識対象とされる尿毒症性物質としては特に限定されず、例えば、尿素、尿酸、アンモニア、インドール、スカトール、クレアチニン等が挙げられる。なかでも、本発明のポリマーは、少なくともインドールに対する特異的認識部位を有することが好ましい。本発明のポリマーが少なくともインドールに対する特異的認識部位を有していれば、本発明のポリマーを含有する経口吸着剤を服用することにより、肝臓におけるインドールからのインドキシル硫酸への変換が抑制され、インドキシル硫酸が血中に蓄積して慢性腎不全の進行が促進されることを防止することができる。
なお、本明細書において、特異的認識部位とは、認識対象となる尿毒症性物質の鋳型に相当する部位であり、認識対象となる尿毒症性物質に対して相補的な孔状部を意味する。
【0011】
上記特異的認識部位は、分子インプリンティング(molecular imprinting)法により形成されたものである。上記分子インプリンティング法とは、官能基を有するモノマー及び架橋性モノマーをプリント分子の存在下で重合させ、次いで、プリント分子を取り除くことにより、プリント分子に相補的な特異的結合部位を有する分子認識物質(以後、MIPともいう)を調製する技術である。上記分子インプリンティング法は、近年開発されたものであり、天然の生物抗体を模倣したMIPを生物抗体の代替として、例えば、医薬物質のクロマトグラフィー分離、イムノアッセイでの人工抗体、構造特異性検出用のバイオセンサ用デバイス等に適用することが現在まで検討されている。
【0012】
本発明者らは、従来の活性炭製剤からなる経口高分子剤における服用量の問題を解決するため鋭意検討した結果、MIPの分子認識能に着目し、尿毒症性物質に対する親和性が高く選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマーを分子インプリンティング法により設計することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明のポリマーは、上記プリント分子として認識対象となる尿毒症性物質を用いて分子インプリンティング法を行うことにより、用いた尿毒症性物質の種類に対応した特異的認識部位を形成したものである。
【0013】
本発明のポリマーは、特異的認識部位により尿毒症性物質と部分的に結合できることが好ましい。尿毒症性物質と部分的に結合できることにより、本発明のポリマーは、2種以上の尿毒症性物質とも結合できるように設計することが可能となり、より効率よく尿毒症性物質を吸着することができる。
【0014】
本発明のポリマーを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、少なくとも1種の尿毒症性物質の存在下で、上記尿毒症性物質との相互作用が可能な少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の架橋性モノマーとを重合させてポリマーを得る工程1と、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2とを有する方法等が好適に用いられる。このような本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを製造する方法であって、少なくとも1種の尿毒症性物質の存在下で、上記尿毒症性物質との相互作用が可能な少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の架橋性モノマーとを重合させてポリマーを得る工程1と、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2とを有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーの製造方法もまた本発明の1つである。
【0015】
上記尿毒症性物質との相互作用が可能なモノマー(以下、機能性モノマーともいう。)とは、少なくとも1種の尿毒症性物質と相互作用することが可能な化合物であって、かつ、重合可能な化合物である。上記相互作用としては特に限定されず、例えば、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力による分子間相互作用等が挙げられる。
【0016】
上記機能性モノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、アリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、及び、これらの四級化物等のカチオン性基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアニオン性基含有モノマー等が挙げられる。なかでも、尿毒症性物質と静電的相互作用を発現するカチオン性基含有モノマーが好適に用いられる。上記機能性モノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0017】
上記ポリマーを得る工程1において、機能性モノマー/尿毒症性物質の配合モル比は、重合開始時において0.01〜100であることが好ましい。この範囲であると、尿毒性物質に対し、より特異的な選択性を発現することができる。より好ましくは0.1〜50である。
【0018】
上記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−フェニレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。上記架橋性モノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記ポリマーを得る工程1において、架橋性モノマー/機能性モノマーの配合モル比は、重合開始時において0.001〜30であることが好ましい。0.001未満であると、重合が充分に進行しないことがあり、また、30を超えると、重合反応が激しくなり制御が困難なことがある。より好ましくは0.01〜10である。
【0020】
上記ポリマーを得る工程1では、得られる本発明のポリマーの吸着性を向上させるために、必要に応じて、架橋性モノマー及び機能性モノマー以外のモノマーを共重合させてもよい。
上記共重合させるモノマーとしては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等の親水性モノマー;アルキル(メタ)アクリレート、スチレン等の疎水性モノマー等が挙げられる。
【0021】
上記ポリマーを得る工程1における重合方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、なかでもラジカル重合法が好適に用いられる。上記ラジカル重合法は、重合溶媒に架橋性モノマー、機能性モノマー、尿毒症性物質及び重合開始剤等の重合成分を溶解させた後、ラジカル重合させることにより、ポリマーを得るものである。
【0022】
上記重合溶媒としては特に限定されないが、機能性モノマーとプリント分子である尿毒症性物質との相互作用を損なわず、各重合成分を溶解することができ、かつ、多孔性にするための溶剤(ポロジェン)となり得るものが好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド等の有機溶媒等が挙げられる。
【0023】
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0024】
上記ポリマーを得る工程1における好適な例としては、例えば、ジメチルホルムアミド中にコール酸、ビニルピリジン、エチレングリコールジメタクリレート、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを加えて窒素雰囲気下で溶解させ、加熱により重合させる例が挙げられる。
【0025】
上記ポリマーを得る工程1によりポリマーを得た後、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2を行うことにより、本発明のポリマーを得ることができる。
上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2において、上記ポリマーから尿毒症性物質を遊離除去する方法としては特に限定されず、例えば、親水性溶媒で洗浄する方法が挙げられる。上記親水性溶媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。なかでも、酢酸/メタノールの混合溶媒が好適に用いられる。
【0026】
本発明のポリマーを経口吸着剤として用いる場合には、通常、粒子状にして使用する。
本発明のポリマーを粒子状にする方法としては特に限定されず、例えば、重合工程を経て製造された本発明のポリマーの塊を粉砕して特定の大きさのものを回収する方法;懸濁重合法、分散重合法等の公知の粒子製造方法により予め特定の粒子形状に重合する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明のポリマーの用途としては特に限定されないが、例えば、経口吸着剤に好適に用いることができる。このような本発明のポリマーを含有する経口吸着剤もまた本発明の1つである。本発明の経口吸着剤は、含有する本発明のポリマーが選択的に尿毒症性物質を吸着することができるので、従来の活性炭製剤からなる経口吸着剤に比べ服用量を低減することができ、慢性腎不全患者の負担を少なくすることができるものである。
【0028】
本発明の経口吸着剤は、物理的及び化学的に適合し得る1種以上の添加剤を含有していてもよい。
本発明の経口吸着剤の剤型としては特に限定されず、製剤学の技術分野における公知の技術によって製剤化することにより、例えば、カプセル、錠剤、顆粒剤、散剤等に調製される。
【0029】
本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーは、分子インプリンティング法により形成された尿毒症性物質に対する特異的親和性が高い特異的認識部位を有し、腸管内物質中でも特異性の高い尿毒症性物質吸着性能を発現することができるものである。また、本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを含有する経口吸着剤は、尿毒症性物質を吸着する際に競合物質の影響を受けにくく、腸管内物質中でも尿毒症性物質吸着性能が低下しないため、服用量を低減することが可能であり、従来の経口高分子剤よりもコンプライアンスに優れ、慢性腎不全の治療薬として極めて有用なものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
フラスコに、ジクロロメタン10ml、インドール3.0g(25.5mmol)、ビニルピリジン3.0g(27.9mmol)、エチレングリコールジメタクリレート6.0g(31.8mmol)、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトル50mgを加えて窒素気流下で攪拌混合した。得られた混合液を60℃の水浴に20時間浸し、ポリマーを得た。得られたポリマーを小型ミルで粉砕して微粒子にし、篩を用いて粒径212μm以下のポリマー粒子を回収した。このポリマー粒子を体積比1:1のメタノール/酢酸で3回、メタノールで3回、アセトンで2回洗浄した後、真空下40℃で一晩乾燥し、本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーの粒子を得た。
【0032】
[実施例2]
ビニルピリジン3.0g(27.9mmol)の代わりにメタクリル酸3.0g(34.8mmol)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーの粒子を調製した。
【0033】
[比較例1]
インドールを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリマー粒子を調製した。
【0034】
[比較例2]
インドールを配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてポリマー粒子を調製した。
【0035】
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2で得られたポリマー粒子をカラムに充填し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてインドールに対する親和性を評価した。溶離液にはアセトニトリルを用い、検出は254nmで実施した。インドールの保持時間trを各々のカラムについて測定し比較した。
その結果、比較例1で得られたポリマー粒子のtrが3.8分であるのに対し、実施例1で得られたポリマー粒子のtrは、6.3分であり、実施例1で得られたポリマー粒子は、同じ樹脂組成である比較例1で得られたポリマー粒子に比べてインドールに対する親和性が高いことが確認された。また、比較例2で得られたポリマー粒子のtrが5.9分であるのに対し、実施例2で得られたポリマー粒子のtrは、8.1分であり、実施例2で得られたポリマー粒子は、同じ樹脂組成である比較例2で得られたポリマー粒子に比べてインドールに対する親和性が高いことが確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、慢性腎不全患者の人工透析患者は、20万人を突破し、年々増加傾向にある。慢性腎疾患の多くは、腎機能障害がある程度進むと、それ以後は急激に進行し、末期腎不全に至る。特に糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症は患者の生命予後に直結するものであり、仮に人工透析を導入しても約3年間で50%の死亡率を示し極めて生命予後が悪い。このため、慢性腎不全の進行速度を遅延させることが、患者のQOL維持向上の観点からも非常に重要であり、罹病した患者の早期発見と早期治療とにより透析患者の増加を抑えることが望まれるが、現在のところ有効な治療薬はまだ見出されていない。
【0003】
従来、慢性腎不全の進行を遅延させる目的で実施されている治療方法としては、
(1)低蛋白食を中心とした食事療法、(2)降圧剤、降圧利尿剤等の薬物療法による血圧管理、(3)経口高分子剤の服用等が挙げられる。
【0004】
慢性腎不全の進展・増悪については、いくつかの要因が提唱されている。そのうちの1つとして、腎機能障害によって排泄機能が低下すると尿毒症毒素(uremic toxin)や尿毒症性代謝物等の液性増悪因子が体内に蓄積され、これらが腎不全を更に悪化させて悪循環を来すというものが挙げられる。
最近、このような液性増悪因子の1つとしてインドキシル硫酸が注目されている。食事において摂取した蛋白質は、プロテアーゼによって加水分解され、低分子ペプチド又はアミノ酸となって大部分は小腸から吸収されるが、吸収されなかったペプチドやアミノ酸は腸内微生物によって代謝される。そのなかでもトリプトファンは腸管内で大腸菌等の代謝を受けることによりインドールに変換され、そのまま便中に排泄されるが、一部は腸管から体内に吸収され血流に乗って肝臓に運ばれ、肝臓でインドキシルに変換された後、硫酸抱合されてインドキシル硫酸となる。通常、健常人であればこのインドキシル硫酸は腎臓を経て尿中に排泄されるが、腎機能障害を来した患者では、この排泄経路が絶たれ、インドキシル硫酸が血中に蓄積し、これが慢性腎不全の進展・増悪に大きく関っていることが指摘されている。近年、インドキシル硫酸について、線維化に関連する遺伝子発現を増加させ、腎臓の間質線維化や糸球体硬化を引き起こすことが報告されている。
【0005】
これに対して、経口高分子剤として、球形多孔質活性炭を用いた経口吸着剤である「クレメジン(登録商標)」(呉羽化学工業社製)(特許文献1、特許文献2)が1991年に医薬品として登場した。この薬剤は新しい作用機序に基づいて尿毒症症状を改善し、腎機能低下をできるだけ抑えることにより透析導入の遅延を図るものである。その他、同様の作用機序を示すものとして、酸化デンプン(特許文献3)、酸化セルロース(特許文献4)、キトサン等が検討されている。
【0006】
これらの経口吸着剤は、腸内に発生したフェノール類やインドール類等の腐敗産物を吸着することによって腸管からの腐敗産物の吸収を極力抑えるものであるが、生体にとって大切なビタミン類やその他の栄養素、消化酵素等をも吸着し、腐敗産物のみを選択的に吸着できないものであった。このため、これらの経口吸着剤は、充分な量の腐敗産物を吸着するために大量に服用する必要があった。しかし、慢性腎不全患者は、厳格な水分制限を強いられており、大量の経口吸着剤を毎日飲み続けることは大きな負担であった。また、服用後には、腹部の膨張感、便秘症状、食欲不振、悪心、嘔吐等の消化器系の副作用を伴う場合が多かった。このように、従来の慢性腎不全の治療に用いられていた経口吸着剤は、コンプライアンスの問題があり、必ずしも慢性腎不全患者のQOLを満足せしめるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特公昭62−29368号公報
【特許文献2】
特公昭63−60009号公報
【特許文献3】
特公昭61−30620号公報
【特許文献4】
特開平9−176202号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーであって、前記特異的認識部位は、分子インプリンティング法により形成されたものである尿毒症性物質特異的認識ポリマーである。
以下に、本発明について詳述する。
【0010】
本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマー(以下、本発明のポリマーともいう。)は、少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有するものである。本発明のポリマーは、上記特異的認識部位と認識対象の尿毒症性物質との相互作用により、認識対象とされる尿毒症性物質を選択的に吸着することができる。
上記認識対象とされる尿毒症性物質としては特に限定されず、例えば、尿素、尿酸、アンモニア、インドール、スカトール、クレアチニン等が挙げられる。なかでも、本発明のポリマーは、少なくともインドールに対する特異的認識部位を有することが好ましい。本発明のポリマーが少なくともインドールに対する特異的認識部位を有していれば、本発明のポリマーを含有する経口吸着剤を服用することにより、肝臓におけるインドールからのインドキシル硫酸への変換が抑制され、インドキシル硫酸が血中に蓄積して慢性腎不全の進行が促進されることを防止することができる。
なお、本明細書において、特異的認識部位とは、認識対象となる尿毒症性物質の鋳型に相当する部位であり、認識対象となる尿毒症性物質に対して相補的な孔状部を意味する。
【0011】
上記特異的認識部位は、分子インプリンティング(molecular imprinting)法により形成されたものである。上記分子インプリンティング法とは、官能基を有するモノマー及び架橋性モノマーをプリント分子の存在下で重合させ、次いで、プリント分子を取り除くことにより、プリント分子に相補的な特異的結合部位を有する分子認識物質(以後、MIPともいう)を調製する技術である。上記分子インプリンティング法は、近年開発されたものであり、天然の生物抗体を模倣したMIPを生物抗体の代替として、例えば、医薬物質のクロマトグラフィー分離、イムノアッセイでの人工抗体、構造特異性検出用のバイオセンサ用デバイス等に適用することが現在まで検討されている。
【0012】
本発明者らは、従来の活性炭製剤からなる経口高分子剤における服用量の問題を解決するため鋭意検討した結果、MIPの分子認識能に着目し、尿毒症性物質に対する親和性が高く選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマーを分子インプリンティング法により設計することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明のポリマーは、上記プリント分子として認識対象となる尿毒症性物質を用いて分子インプリンティング法を行うことにより、用いた尿毒症性物質の種類に対応した特異的認識部位を形成したものである。
【0013】
本発明のポリマーは、特異的認識部位により尿毒症性物質と部分的に結合できることが好ましい。尿毒症性物質と部分的に結合できることにより、本発明のポリマーは、2種以上の尿毒症性物質とも結合できるように設計することが可能となり、より効率よく尿毒症性物質を吸着することができる。
【0014】
本発明のポリマーを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、少なくとも1種の尿毒症性物質の存在下で、上記尿毒症性物質との相互作用が可能な少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の架橋性モノマーとを重合させてポリマーを得る工程1と、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2とを有する方法等が好適に用いられる。このような本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを製造する方法であって、少なくとも1種の尿毒症性物質の存在下で、上記尿毒症性物質との相互作用が可能な少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の架橋性モノマーとを重合させてポリマーを得る工程1と、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2とを有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーの製造方法もまた本発明の1つである。
【0015】
上記尿毒症性物質との相互作用が可能なモノマー(以下、機能性モノマーともいう。)とは、少なくとも1種の尿毒症性物質と相互作用することが可能な化合物であって、かつ、重合可能な化合物である。上記相互作用としては特に限定されず、例えば、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力による分子間相互作用等が挙げられる。
【0016】
上記機能性モノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、アリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、及び、これらの四級化物等のカチオン性基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアニオン性基含有モノマー等が挙げられる。なかでも、尿毒症性物質と静電的相互作用を発現するカチオン性基含有モノマーが好適に用いられる。上記機能性モノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0017】
上記ポリマーを得る工程1において、機能性モノマー/尿毒症性物質の配合モル比は、重合開始時において0.01〜100であることが好ましい。この範囲であると、尿毒性物質に対し、より特異的な選択性を発現することができる。より好ましくは0.1〜50である。
【0018】
上記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−フェニレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。上記架橋性モノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記ポリマーを得る工程1において、架橋性モノマー/機能性モノマーの配合モル比は、重合開始時において0.001〜30であることが好ましい。0.001未満であると、重合が充分に進行しないことがあり、また、30を超えると、重合反応が激しくなり制御が困難なことがある。より好ましくは0.01〜10である。
【0020】
上記ポリマーを得る工程1では、得られる本発明のポリマーの吸着性を向上させるために、必要に応じて、架橋性モノマー及び機能性モノマー以外のモノマーを共重合させてもよい。
上記共重合させるモノマーとしては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等の親水性モノマー;アルキル(メタ)アクリレート、スチレン等の疎水性モノマー等が挙げられる。
【0021】
上記ポリマーを得る工程1における重合方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、なかでもラジカル重合法が好適に用いられる。上記ラジカル重合法は、重合溶媒に架橋性モノマー、機能性モノマー、尿毒症性物質及び重合開始剤等の重合成分を溶解させた後、ラジカル重合させることにより、ポリマーを得るものである。
【0022】
上記重合溶媒としては特に限定されないが、機能性モノマーとプリント分子である尿毒症性物質との相互作用を損なわず、各重合成分を溶解することができ、かつ、多孔性にするための溶剤(ポロジェン)となり得るものが好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド等の有機溶媒等が挙げられる。
【0023】
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0024】
上記ポリマーを得る工程1における好適な例としては、例えば、ジメチルホルムアミド中にコール酸、ビニルピリジン、エチレングリコールジメタクリレート、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを加えて窒素雰囲気下で溶解させ、加熱により重合させる例が挙げられる。
【0025】
上記ポリマーを得る工程1によりポリマーを得た後、上記ポリマーから上記尿毒症性物質を遊離除去して上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2を行うことにより、本発明のポリマーを得ることができる。
上記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2において、上記ポリマーから尿毒症性物質を遊離除去する方法としては特に限定されず、例えば、親水性溶媒で洗浄する方法が挙げられる。上記親水性溶媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。なかでも、酢酸/メタノールの混合溶媒が好適に用いられる。
【0026】
本発明のポリマーを経口吸着剤として用いる場合には、通常、粒子状にして使用する。
本発明のポリマーを粒子状にする方法としては特に限定されず、例えば、重合工程を経て製造された本発明のポリマーの塊を粉砕して特定の大きさのものを回収する方法;懸濁重合法、分散重合法等の公知の粒子製造方法により予め特定の粒子形状に重合する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明のポリマーの用途としては特に限定されないが、例えば、経口吸着剤に好適に用いることができる。このような本発明のポリマーを含有する経口吸着剤もまた本発明の1つである。本発明の経口吸着剤は、含有する本発明のポリマーが選択的に尿毒症性物質を吸着することができるので、従来の活性炭製剤からなる経口吸着剤に比べ服用量を低減することができ、慢性腎不全患者の負担を少なくすることができるものである。
【0028】
本発明の経口吸着剤は、物理的及び化学的に適合し得る1種以上の添加剤を含有していてもよい。
本発明の経口吸着剤の剤型としては特に限定されず、製剤学の技術分野における公知の技術によって製剤化することにより、例えば、カプセル、錠剤、顆粒剤、散剤等に調製される。
【0029】
本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーは、分子インプリンティング法により形成された尿毒症性物質に対する特異的親和性が高い特異的認識部位を有し、腸管内物質中でも特異性の高い尿毒症性物質吸着性能を発現することができるものである。また、本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを含有する経口吸着剤は、尿毒症性物質を吸着する際に競合物質の影響を受けにくく、腸管内物質中でも尿毒症性物質吸着性能が低下しないため、服用量を低減することが可能であり、従来の経口高分子剤よりもコンプライアンスに優れ、慢性腎不全の治療薬として極めて有用なものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
フラスコに、ジクロロメタン10ml、インドール3.0g(25.5mmol)、ビニルピリジン3.0g(27.9mmol)、エチレングリコールジメタクリレート6.0g(31.8mmol)、及び、2,2’−アゾビスイソブチロニトル50mgを加えて窒素気流下で攪拌混合した。得られた混合液を60℃の水浴に20時間浸し、ポリマーを得た。得られたポリマーを小型ミルで粉砕して微粒子にし、篩を用いて粒径212μm以下のポリマー粒子を回収した。このポリマー粒子を体積比1:1のメタノール/酢酸で3回、メタノールで3回、アセトンで2回洗浄した後、真空下40℃で一晩乾燥し、本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーの粒子を得た。
【0032】
[実施例2]
ビニルピリジン3.0g(27.9mmol)の代わりにメタクリル酸3.0g(34.8mmol)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして本発明の尿毒症性物質特異的認識ポリマーの粒子を調製した。
【0033】
[比較例1]
インドールを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリマー粒子を調製した。
【0034】
[比較例2]
インドールを配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてポリマー粒子を調製した。
【0035】
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2で得られたポリマー粒子をカラムに充填し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてインドールに対する親和性を評価した。溶離液にはアセトニトリルを用い、検出は254nmで実施した。インドールの保持時間trを各々のカラムについて測定し比較した。
その結果、比較例1で得られたポリマー粒子のtrが3.8分であるのに対し、実施例1で得られたポリマー粒子のtrは、6.3分であり、実施例1で得られたポリマー粒子は、同じ樹脂組成である比較例1で得られたポリマー粒子に比べてインドールに対する親和性が高いことが確認された。また、比較例2で得られたポリマー粒子のtrが5.9分であるのに対し、実施例2で得られたポリマー粒子のtrは、8.1分であり、実施例2で得られたポリマー粒子は、同じ樹脂組成である比較例2で得られたポリマー粒子に比べてインドールに対する親和性が高いことが確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、選択的に尿毒症性物質のみを吸着することができる尿毒症性物質特異的認識ポリマー、その製造方法、及び、服用量が少なくすることができ、コンプライアンスの優れた経口吸着剤を提供することができる。
Claims (5)
- 少なくとも1種の尿毒症性物質に対する特異的認識部位を有する尿毒症性物質特異的認識ポリマーであって、
前記特異的認識部位は、分子インプリンティング法により形成されたものであることを特徴とする尿毒症性物質特異的認識ポリマー。 - 特異的認識部位により尿毒症性物質と部分的に結合できることを特徴とする請求項1記載の尿毒症性物質特異的認識ポリマー。
- 少なくともインドールに対する特異的認識部位を有することを特徴とする請求項1又は2記載の尿毒症性物質特異的認識ポリマー。
- 請求項1、2又は3記載の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを製造する方法であって、
少なくとも1種の尿毒症性物質の存在下で、前記尿毒症性物質との相互作用が可能な少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の架橋性モノマーとを重合させてポリマーを得る工程1と、
前記ポリマーから前記尿毒症性物質を遊離除去して前記尿毒症性物質に対する特異的認識部位を形成する工程2とを有する
ことを特徴とする尿毒症性物質特異的認識ポリマーの製造方法。 - 請求項1、2又は3記載の尿毒症性物質特異的認識ポリマーを含有することを特徴とする経口吸着剤。
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