JP2004131052A - 後方視／表示ミラーアセンブリ - Google Patents

Abstract

【課題】後方視及び表示機能を同時に提供できるミラーアッセンブリを提供する。
【解決手段】任意の後方視及び表示のためのミラーアセンブリが特定材質の反射層を備えている。反射層１１は、二酸化珪素／金属／二酸化珪素、又は二酸化チタン／金属／二酸化チタン等の多層膜からなり、好ましくは１５％から６０％の透過率を有する。これにより、運転者は、反射層の反射によってミラーに映された運転者側にある物体を確認することができるとともに、ミラーの背後に設けられたディスプレイ１２によって提供される能動的な情報を確認することができる。能動的な情報には速度情報、方向転換情報、及び／又は渋滞情報等が含まれる。
【選択図】　図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーアセンブリに関するものであり、特に、後方視及び表示の機能を同時に提供することのできるミラーアセンブリに関する。このミラーアセンブリの後方視及び表示機能は特定の反射層を設けることにより得られる。
【０００２】
【従来の技術】
交通状況や車両機能の複雑化により、多くの情報及びデータを適時に運転者が参照できるようにすることが求められている。従来から、種々の情報を表示するために、車両内のダッシュボードが使用されている。しかし、運転中、ダッシュボードに頻繁に目を向けていては安全でない。従って、設計者は情報を表示するのにより好ましい場所を探そうとしている。バックミラー及び風防ガラスはその最善の選択肢に含まれる。
【０００３】
図１（ａ）、図１（ｂ）、及び図１（ｃ）は、情報表示機能を備えた従来のバックミラーの外観及び構造を概略的に示している。図１（ａ）は、車両背後の影像を運転者が確認できるように反射しているバックミラーを概略的に示している。図１（ｂ）は、車両背後の影像を運転者が確認できるように反射するとともに、情報表示機能を実行しているバックミラーを概略的に示している。これらの機能を呈示するために、該バックミラーは図１（ｃ）に示されるような構造を有しており、主として、透光性ガラス１０、反射層１１、及びディスプレイ１２で構成される。透光性ガラス１０及び反射層１１は反射鏡の機能を行うために使用される。能動的に発光するディスプレイ１２からの光が反射層１１及び透光性ガラス１０を透過して運転者の目に届くように、反射層１１の厚みは適切に調整される必要がある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来の反射層１１はアルミニウム、銀、又はクロムといった金属で形成されているため、その透過率は７％から１０％程度である。透過率がこのように低いため、ディスプレイ１２は、反射層を透過してバックミラーのガラス１０に情報を表示できるよう、比較的強い光を発する必要があり、車両の電力利用の点で不利である。従って、本発明は、先行技術が直面する上記の問題点を解決するためになされたものである。
【０００５】
本発明は、適切な反射率及び透過率を有し、良好な後方視及び表示効果を得ることができる後方視／表示ミラーアセンブリを提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の第１の側面は、後方視／表示ミラーアセンブリであって、ユーザが確認できるように物体の影像及び／又は能動的な情報を表示するためのミラーと、ミラーのユーザ側とは反対の側面に設けられ、ユーザと同じ側にある物体の影像が反射されてミラーに映るようにする多層膜反射層と、多層膜反射層のミラー側とは反対の側面に設けられ、発した光の一部が多層膜反射層を透過して能動的な情報がミラーに表示されるようにする、能動的な情報を提供するためのディスプレイとを備えている。
【０００７】
上記構成において、多層膜反射層は、金属、及び二酸化珪素又は二酸化チタンの複合層、例えば、二酸化珪素／金属／二酸化珪素、又は二酸化チタン／金属／二酸化チタンの複合層であり、多層膜反射層における金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることが好ましい。
【０００８】
また、多層膜反射層は１５％から６０％、できれば１５％から４５％、の透過率を有することが好ましい。
【０００９】
ディスプレイは、平面のディスプレイ、例えば、薄膜エレクトロルミネセンス（ＥＬ）ディスプレイ、発光ダイオード（ＬＥＤ）、有機発光ダイオード（ＯＬＥＤ）、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）、又は蛍光表示管（ＶＦＤ）、であることが好ましい。ディスプレイは、薄膜の７セグメントディスプレイ等の数字平面ディスプレイであることが好ましい。
【００１０】
後方視／表示ミラーアセンブリは、反射層のミラー側とは反対の側面に設けられ、物体の影像がミラーに映るのを遮らないように反射層を透過する外部の光を吸収する、吸光バックグラウンドをさらに備えることが好ましい。
【００１１】
後方視／表示ミラーアセンブリは車両のバックミラーであることが好ましい。
【００１２】
一実施形態では、能動的な情報は、後方警報レーダにより通知される後方間隔情報を含んでいる。
【００１３】
本発明の第２の側面は、後方視／表示ミラーアセンブリであって、運転者が確認できるように該運転者と同じ側にある物体の影像を映すためのバックミラーと、バックミラーの背面側に設けられ、バックミラーを透過する光を発して運転者が確認できるように能動的な情報を提供するディスプレイと、バックミラーとディスプレイとの間に設けられ、１５％から６０％の透過率を有する金属／二酸化珪素複合層と、金属／二酸化珪素複合層のバックミラー側とは反対の側面に設けられ、金属／二酸化珪素複合層を透過する外部の光を吸収する吸光バックグラウンドとを備えている。
【００１４】
上記構成において、金属／二酸化珪素複合層における金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることが好ましい。
【００１５】
本発明の第３の側面は、後方視／表示ミラーアセンブリであって、運転者が確認できるように該運転者と同じ側にある物体の影像を映すためのバックミラーと、バックミラーの背面側に設けられ、バックミラーを透過する光を発して運転者が確認できるように能動的な情報を提供するディスプレイと、バックミラーとディスプレイとの間に設けられ、１５％から６０％の透過率を有する金属／二酸化チタン複合層と、金属／二酸化チタン複合層のバックミラー側とは反対の側面に設けられ、金属／二酸化チタン複合層を透過する外部の光を吸収する吸光バックグラウンドとを備えている。
【００１６】
上記構成において、金属／二酸化チタン複合層における金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることが好ましい。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を示して本発明をより具体的に説明する。但し、以下に示す本発明の最良の実施形態の説明は、単に実例の提示及び説明を目的とするものであり、網羅的なものではなく、開示された厳密な形態に限定するものではない。
【００１８】
上述したように、また、図１（ｃ）に示されるように、後方視／表示車両バックミラーは主として、透光性ガラス１０、反射層１１、及びディスプレイ１２を備えている。透光性ガラス１０及び反射層１１は、反射鏡として機能させるために使用される。ディスプレイ１２が表示機能を果たすために能動的に光を発すると、ディスプレイ１２からの光は反射層１１及び透光性ガラス１０を透過して運転者の目に届く。つまり、透光性ガラス１０とディスプレイ１２との間に設けられた反射層１１は、後方の車両の影像を映すために適切な反射率を有するとともに、ディスプレイからの光を透過させて能動的な情報を運転者が参照できるように提供するために適切な透過率を有する必要がある。従って、バックミラーの後方視及び表示効果には、反射層の反射率及び材質が重要な役割を果たす。
【００１９】
透過率が１５％から６０％、好ましくは１５％から４５％、さらに好ましくは約３０％、の多層膜反射層が、後方車両の影像を反射するとともに能動的な情報を表示するために適している。図２（ａ）又は図２（ｂ）は、本発明の一実施形態による後方視／表示ミラーアセンブリの断面構造図である。この後方視／表示ミラーアセンブリは、インジウム錫酸化物（ＩＴＯ）層１３、二酸化珪素層１４、ガラス又はプラスチックミラー１５、二酸化珪素層又は二酸化チタン層１６、金属層１７、二酸化珪素層又は二酸化チタン層１８、背面膠又は塗料層１９、及びディスプレイ２０を備えている。ＩＴＯ層１３及び二酸化珪素層１４により防眩効果が得られる。二酸化珪素層又は二酸化チタン層１６、金属層１７、及び二酸化珪素層又は二酸化チタン層１８は多層膜反射層を構成する。背面膠又は塗料層１９は、光が漏れて反射作用に影響を与えるのを防止するための吸光バックグラウンドとして機能する。当然ながら、反射層の背後に光を吸収し得る暗色のバックグラウンド（例えば図２（ｂ）に示されるような黒色ハウジング５０）がすでに設けられている場合には、背面膠又は塗料層１９は不要となる。ディスプレイは、液晶ディスプレイ等、所望の情報を表示するのに適したものであればよい。
【００２０】
上述の説明はバックミラーについてなされているが、上記機能を要する他の車両ミラーや車両以外のミラーに適用することもできる。また、実施形態においては、二酸化珪素／金属／二酸化珪素反射層又は二酸化チタン／金属／二酸化チタン反射層の多層膜反射層が使用されているが、これは単なる例示であり、その他の適切な多層膜反射層を代わりに用いても上記目的を達成することができる。
【００２１】
１５％から６０％の透過率を有する本発明の多層膜反射層を使用することにより、多量の電力を消費することなく、種々の能動的な情報をミラーに表示することができ、且つ、物体の影像を反射してミラーに映すことができる。例えば、図３（ａ）に示されるように、一連の小さなブロック６１の色を変化させる方法で、間隔の変化を示すようにしてもよい。例えば、車両がバックして背後にある障害物に接近したとき、ディスプレイは赤色の警報ブロック６２をミラーに表示させる。また、図３（ｂ）に示されるように、薄膜の７セグメントディスプレイを使用して、車両の速度、例えば“０７２”、をミラーに表示するようにしてもよい。本発明により、物体の影像及び／又は能動的な情報を運転者が同時に確認できるようにバックミラーに表示することが可能になる。従って、運転者は運転中にダッシュボードに目を向ける必要がなくなり、安全性が得られる。
【００２２】
上述した後方間隔及び速度情報の他に、回転率、進行方向、方向転換指示、ドア安全チェック又は照明チェック、又は、気温、紫外線指数、ステレオ音量、ラジオチャンネル、電話番号といったその他の有用なデータ等の運転情報を表示することもできる。これらの能動的な情報の表示は、同一の譲受人に譲渡された「薄膜エレクトロルミネセンスディスプレイ」という名称の日本特許出願を参照すれば理解されるであろう。
【００２３】
ここでは、室内のバックミラーを例示しているが、同様の設計を室外のバックミラー又はその他のミラーアセンブリに適用してもよい。例えば、本発明の後方視／表示ミラーを電気器具に搭載し、反射鏡として機能させるとともに、時間や温度等の電気器具の情報を表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、情報表示機能を有する従来のバックミラーの外観及び構造を概略的に示している。
【図２】（ａ）は、本発明の一実施形態による後方視／表示ミラーアセンブリの断面構造図であり、（ｂ）は、本発明の別の実施形態による後方視／表示ミラーアセンブリの断面構造図である。
【図３】（ａ）は、後方警報レーダに関連する情報が本発明による後方視／表示ミラーアセンブリに表示された状態を示す概略図であり、（ｂ）は、車両速度に関連する情報が７セグメントディスプレイにより表示された状態を示す概略図である。
【符号の説明】
１５　ガラス又はプラスチックミラー
１６　二酸化珪素層又は二酸化チタン層
１７　金属層
１８　二酸化珪素層又は二酸化チタン層
１９　背面膠又は塗料層
２０　ディスプレイ
５０　黒色ハウジング

Claims (14)

1. 後方視／表示ミラーアセンブリであって、
   ユーザが確認できるように、物体の影像及び／又は能動的な情報を表示するためのミラーと、
   前記ミラーの前記ユーザ側とは反対の側面に設けられ、前記ユーザと同じ側にある前記物体の影像が反射されて前記ミラーに映るようにする多層膜反射層と、
   前記多層膜反射層の前記ミラー側とは反対の側面に設けられ、発した光の一部が前記多層膜反射層を透過して前記能動的な情報が前記ミラーに表示されるようにする、前記能動的な情報を提供するためのディスプレイとを備えたことを特徴とする後方視／表示ミラーアセンブリ。
2. 前記多層膜反射層は、金属及び二酸化珪素の複合層、又は金属及び二酸化チタンの複合層であることを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
3. 前記多層膜反射層は、二酸化珪素／金属／二酸化珪素の複合層、又は二酸化チタン／金属／二酸化チタンの複合層であることを特徴とする請求項２に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
4. 前記多層膜反射層における前記金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることを特徴とする請求項３に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
5. 前記多層膜反射層は１５％から６０％の透過率を有することを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
6. 前記ディスプレイは、薄膜エレクトロルミネセンス（ＥＬ）ディスプレイ、発光ダイオード（ＬＥＤ）、有機発光ダイオード（ＯＬＥＤ）、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）、及び蛍光表示管（ＶＦＤ）から選択されることを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
7. 前記ディスプレイは、薄膜の７セグメントディスプレイであることを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
8. 前記反射層の前記ミラー側とは反対の側面に設けられ、前記物体の影像が前記ミラーに映るのを遮らないように前記反射層を透過する外部の光を吸収する、吸光バックグラウンドをさらに備えたことを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
9. 車両のバックミラーであることを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
10. 前記能動的な情報は、後方警報レーダにより通知される後方間隔、速度、回転率、進行方向、方向転換指示、ドア安全チェック、照明チェック、気温、紫外線指数、ステレオ音量、ラジオチャンネル、及び／又は電話番号を含むことを特徴とする請求項１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
11. 後方視／表示ミラーアセンブリであって、
    運転者が確認できるように、該運転者と同じ側にある物体の影像を映すためのバックミラーと、
    前記バックミラーの背面側に設けられ、前記バックミラーを透過する光を発して前記運転者が確認できるように能動的な情報を提供するディスプレイと、
    前記バックミラーと前記ディスプレイとの間に設けられ、１５％から６０％の透過率を有する金属／二酸化珪素複合層と、
    前記金属／二酸化珪素複合層の前記バックミラー側とは反対の側面に設けられ、前記金属／二酸化珪素複合層を透過する外部の光を吸収する吸光バックグラウンドとを備えたことを特徴とする後方視／表示ミラーアセンブリ。
12. 前記金属／二酸化珪素複合層における前記金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることを特徴とする請求項１１に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。
13. 後方視／表示ミラーアセンブリであって、
    運転者が確認できるように、該運転者と同じ側にある物体の影像を映すためのバックミラーと、
    前記バックミラーの背面側に設けられ、前記バックミラーを透過する光を発して前記運転者が確認できるように能動的な情報を提供するディスプレイと、
    前記バックミラーと前記ディスプレイとの間に設けられ、１５％から６０％の透過率を有する金属／二酸化チタン複合層と、
    前記金属／二酸化チタン複合層の前記バックミラー側とは反対の側面に設けられ、前記金属／二酸化チタン複合層を透過する外部の光を吸収する吸光バックグラウンドとを備えたことを特徴とする後方視／表示ミラーアセンブリ。
14. 前記金属／二酸化チタン複合層における前記金属は、アルミニウム、銀、又はクロムから選択されることを特徴とする請求項１３に記載の後方視／表示ミラーアセンブリ。

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