JP2004130738A - インクジェット記録シート - Google Patents
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Abstract
この現状を鑑み、記録後の画像において優れた光沢度が得られ、かつ印字濃度が高く、高精細なフルカラー画像が得られるインクジェット記録シートを提供することを目的としている。
【解決手段】基材上にインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、該インク受容層にアルミナおよびアルミナ水和物が含有され、該アルミナの結晶形γ、δ、θの割合が1〜3:1〜3:4〜8であり、アルミナとアルミナ水和物の混合重量比が9:1〜5:5であることを特徴とするインクジェト記録シート。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のインクジェット記録方式の機器で使用される記録用紙材料に関するもので、更に詳しくは、インク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、画像鮮明性低下、濃度低下、塗膜の光沢性、透明性等の記録画像劣化現象の防止に優れた効果を発揮するインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンターは、記録の鮮明さ、音の静かさ、カラー化の容易さ等の特徴を有するため、近年その普及はますます増大している。
インクジェットプリンターは、インクの乾燥によるジェットノズルのつまりを防止するため、乾燥しにくいインクを使用する必要がある。この特性を有するインクとして一般には、結着剤、染料または顔料、溶媒、添加剤等を水に溶解または分散した水溶性のインクが使用されている。ところが、水系インクは主として水を溶媒としているため、乾燥が遅く、普通紙などを記録シートとして用いると、滲みが生じ、インクを確実に定着させることができなかった。そのため、インクジェット用インクによって記録される記録シートは、水系インクの受容性を有するインク受容層を支持体上に有している。インク受容層としては、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子と、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物などの多孔質無機顔料との混合物を主成分として含むものが使用されている。インク受容層がこのような混合物であると、水系インクを瞬時に吸収して、確実に定着させることができる。
【0003】
近年、インクジェットプリンターが安価になり、フルカラー用途で多用されている。フルカラー用のインクジェット用記録シートとしては、印字を鮮やかにするため、光沢が高いと同時に、印字した際の印字濃度が高く、滲みのない高精細な画像が得られる記録シートが求められている。しかしながら、従来のインクジェット用記録シートでは、印字記録後の光沢および印字濃度が十分に高くなく、フルカラー用途において、実用上十分鮮やかに印字することが困難であった。
また、インクジェットプリンターに使用されているインクは、その機種によって大別して染料タイプのインクと顔料タイプのインクの2種類がある。前記のようにインク受容層を形成した従来の記録シートは、染料タイプのインクでは良好な画像が得られても顔料タイプのインクに対しては十分な印字濃度や光沢が得られなかったり、逆に、顔料タイプのインクでは良好な画像が得られても染料タイプのインクでは濃度や鮮明性が劣る、という問題を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特願2002−019927において、上記問題点を解決できることが記載されている。しかしながら、現在更なる高精細な画像が要求されてきており、染料タイプおよび顔料タイプのインクの種類に関係なく、優れた画像が得られるインクジェット記録シートについても要求されてきている。
この現状を鑑み、インクの種類の影響を受けることなく、記録画像において優れた光沢度が得られ、かつ印字濃度が高く、高精細なフルカラー画像が得られるインクジェット記録シートを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インク受容層に使用する顔料組成物について種々の検討を重ねた結果、特定の物性をもったアルミナとアルミナ水和物の混合物を記録シートのインク受容層に使用することによって、染料タイプおよび顔料タイプのいずれのインクを使用しても、極めて効果的に、光沢度、印字濃度、画像鮮明性が向上することを見いだし、本発明の完成に至った。
【0006】
即ち本発明は、基材上にインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、該インク受容層にアルミナおよびアルミナ水和物が含有され、該アルミナの結晶形γ、δ、θの割合が1〜3:1〜3:4〜8であり、アルミナとアルミナ水和物の混合重量比が9:1〜5:5であることを特徴としている。また、該アルミナの比表面積が100m2/g以下で、平均一次粒子径が30nm以下、平均凝集粒子径が100〜200nmであることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用紙は、図1の断面図に示すように、基材11上にインク受容層12を必要に応じて下塗り層13を介して塗布法等の積層手段により設けてインクジェット記録用紙10を構成してなる層構成であり、この場合、インク受容層は2層あるいは3層以上あってもよい。インク受容層が複数層からなる場合には、少なくともインク受容層の最表面に本発明のアルミナおよびアルミナ水和物の混合物を使用していればよい。以下、基材およびインク受容層を構成する材料を説明する。
【0008】
(1)基材
本発明に用いられるインク受容層が塗設される基材は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で製造された原紙、さらに原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。このような原紙および塗工紙にそのままインク受容層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0009】
また、基材としては、上記原紙上にポリオレフィン樹脂層を設けたラミネート紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の合成樹脂やこれらの混合物のフィルム材や、これらの合成樹脂製の繊維からなるシート材も用いることができる。
【0010】
(2)インク受容層
インク受容層12には、アルミナおよびアルミナ水和物の混合物とバインダー樹脂が含まれている。該インク受容層に含まれるアルミナの結晶形γ、δ、θの割合は1〜3:1〜3:4〜8で、好ましくは1.5〜2.5:1.5〜2.5:5〜7である。アルミナとアルミナ水和物の混合重量比は9:1〜5:5で好ましくは8:2〜6:4である。アルミナ水和物の添加量が少ないと、十分なインク吸収性が得られず滲みを生じたり鮮明性が劣る問題を生じたり、また、透明性が損なわれて濃度が十分得られなくなるおそれがある。逆に、添加量が多すぎると、塗膜にクラックが発生し、画像劣化の原因となる。
また、上記の如き結晶形を有するアルミナは、比表面積が100m2/g以下、好ましくは40〜80m2/gであり、平均一次粒子径が30nm以下、好ましくは10〜25nmであり、さらに、平均凝集粒子径が100〜200nm、好ましくは120〜180nmであることが好適である。
なお、本発明におけるインク受容層は、顔料として上記のアルミナ混合物のみを使用することが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で一般にインク受容層に用いられている合成非晶質シリカ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、珪酸アルミニウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料を併用しても良い。この場合、全顔料分中のアルミナ混合物の量は70重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0011】
本発明で使用する特定の結晶形を有するアルミナはギブサイト、バイアライト、ベーマイトなどのアルミナ水和物を加熱分解させることにより製造される。アルミナ水和物を1200℃以上で加熱分解するとコランダムと呼ばれるα−アルミナになる。この加熱分解温度が低い場合には、原料の種類、加熱分解の条件により、結晶形の異なるアルミナが生成される。
本発明の結晶形γ、δ、θを含有するアルミナは、アルミナ水和物の加熱分解温度、時間を調節して生成することができる。
【0012】
インク受容層12に含まれるバインダー樹脂としては、水性インクを受容できれば特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アミド系樹脂、酸化澱粉、カゼイン、ポリエチレンオキサイド、シリコーン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、クマロン−インデン樹脂等の水溶性もしくは水分散性の樹脂が挙げられる。上記樹脂中の中でも、インク吸収性、インク乾燥性、記録画像の鮮明性等を考慮すると、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリビニルアセタール樹脂等の水溶性樹脂が好ましい。
【0013】
また、インク受容層12には、耐水性の向上、インクの滲み防止等のために他の添加剤を配合することができる。他の添加剤としては、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール、炭酸ジルコニウムアンモニア等が挙げられる。
また、インク受容層12は、カレンダー処理等の光沢度付与手段を用いて、光沢度を適宜調整することにより、60°表面光沢度試験による光沢度が未記録の状態で10以上、好ましくは25以上であり、記録後の各色光沢度が25以上、好ましくは35以上であると、フルカラー記録後の光沢が十分高くなり、印字を極めて鮮明にできる。
【0014】
下塗り層13とは、インク受容層12を浸透したインクを受容する層であって、アルミナおよびアルミナ水和物の混合物を含有するインク受容層とは別のインク吸収層となるものである。この下塗り層13により、滲みを生じることなく、より優れたインク乾燥性を得ることができる。
下塗り層13としては、特に限定されず、例えば、顔料とバインダー樹脂を主成分とした組成からなるものが挙げられる。下塗り層13に使用される顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックセグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0015】
上記の中でも下塗り層に主成分として含有する白色顔料としては、インクジェットインクの乾燥性や吸収性などが優れていることから、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔質炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらの中で、本発明ではインク吸収性に優れている、比表面積200〜600m2/g程度の沈降タイプおよびゲルタイプの多孔性非晶質シリカを使用することが好適である。なお、アルミナやアルミナ水和物を下塗り層13の顔料として併用してもよい。
【0016】
下塗り層13に用いられるバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル系エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。
また、下塗り層13に用いられるバインダー樹脂としては、インク受容層12に用いられる樹脂を適宣使用することができる。中でもポリビニルアルコール系水溶性樹脂が好ましい。
【0017】
また、インク受容層および下塗り層には画像の耐光性および諸特性を向上させるために、水溶性の2価以上の金属塩化物を添加することができる。具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化スズ、塩化鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。これらの金属塩の含有量は、インク受容層又は下塗り層における総固形分に対して1.0〜40.0重量%が好ましく、さらには5.0〜20.0重量%が好適である。
【0018】
さらに、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発砲剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤等を必要に応じて適宣配合することもできる。
【0019】
下塗り層、インク受容層の形成は、層を形成するための材料を水または適当な溶媒中に溶解もしくは分散させて調整した塗工液を、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで適宣使用して、支持体上に塗布して形成する。
【0020】
インク受容層および下塗り層の塗布量としては、例えば、基材上に下塗り層を積層し、この下塗り層の上にインク受容層を積層する場合、下塗り層の塗布量は5〜30g/m2が好ましく、特に5〜20g/m2が好ましい。かかる範囲より塗布量が少ないとインク吸収性や定着性が十分得られない場合があり、多いと生産性の低下やコストアップを招く。インク受容層の塗布量は、5〜40g/m2が好ましく、5〜25g/m2であることがさらに好ましい。インク受容層の塗布量が40g/m2を超えると、塗布量を増やしても、光沢、印字濃度の向上は僅かとなりコストを高くするだけである。また塗膜のクラックも発生しやすくなり、画像劣化の原因となる。一方、5g/m2未満であると、インク量に対するインク吸収性が不十分となる恐れがあり、光沢度も低下する。このように積層する下塗り層、インク受容層の数によって塗布量をコントロールすることが好ましい。なお、下塗り層およびインク受容層は、2層以上に別けて積層して設けてもよい。また、インク受容層の塗工後にはマシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0021】
【実施例】
次に、本発明に基づく実施例と、比較例とを示し、本発明の効果をより明らかにする。なお以下の説明において「部」は「重量%」を意味するものとする。
(アルミナ製造例)
アルミナ水和物を加水分解温度500〜900℃で加熱分解することにより、結晶の重量比率が異なる下記表1の特性を有するアルミナ1〜6を得た。なお、アルミナ製造において、粉末X線回析を測定し、そのチャートにおける2θの面積比により、結晶比率を確認しながら、加水分解温度を調整した。
また、表1における比表面積はBET法、平均一次粒子径および平均凝集粒子径は電子顕微鏡法によって測定したものである。
【0022】
【表1】
【0023】
<実施例1>
〔下塗り層の形成〕
下記配合の下塗り層の材料を水に溶解・分散し、この塗液を基材(坪量80g/m2 の上質紙)の片面に塗布・乾燥することによって下塗り層(乾燥塗布量15g/m2 )を設けた。
〔下塗り層の配合〕
* 顔料…シリカゲル(水澤化学社製:商品名P−78D) 60部
* バインダー樹脂・・・ ポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名PVA420) 40部
【0024】
〔インク受容層の形成〕
次いで、下記配合の塗液を上記下塗り層上に塗布・乾燥することによってインク受容層(乾燥塗布量8g/m2 )を積層して設け、本発明のインクジェット記録シートを得た。
〔インク受容層の配合]
* バインダー樹脂…ポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名PVA235)
5部
* 顔料…アルミナ1:アルミナ水和物(日産化学社製:商品名アルミナゾル520) 75部:20部
【0025】
<実施例2>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1に代えて、アルミナ2を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0026】
<実施例3>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1に代えて、アルミナ3を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0027】
<実施例4>
実施例1においてインク受容層の配合を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
[インク受容層の配合]
【0028】
<実施例5>
実施例1においてインク受容層の配合を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
[インク受容層の配合]
【0029】
<実施例6>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1とアルミナ混合物の配合割合を、75部:20部に代えて66.5部:28.5部とした以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0030】
<比較例1>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1に代えて、アルミナ4を使用した以外は、実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録シートを作製した。
【0031】
<比較例2>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1に代えて、アルミナ5を使用した以外は、実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録シートを作製した。
【0032】
<比較例3>
実施例1においてインク受容層に使用するアルミナ1に代えて、アルミナ6を使用した以外は、実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録シートを作製した。
【0033】
<比較例4>
実施例1においてインク受容層の配合を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録シートを作製した。
[インク受容層の配合]
【0034】
<比較例5>
実施例1においてインク受容層の配合を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録シートを作製した。
[インク受容層の配合]
【0035】
<作製したインクジェット記録用紙の諸特性評価>
上記実施例1〜6および比較例1〜5のインクジェット記録用紙に、市販の染料インク系インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製:商品名PM−880C)、顔料インク系インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製:商品名PM−4000PX)を使用してシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーパッチやSICD画像などの評価対象物を印刷したところ、何れも良好な印字画像が得られた。なおSICD画像としては、高精細カラーデジタル標準画像で、ISO/JIS−SICD(JIS X 9201−1995に準拠)のN1ポートレート画像およびN3果物かご画像を用いた。これらの画像を用いて、下記に示すような方法で印字濃度、60度鏡面光沢度、画像 鮮明性の評価を行い、その結果を表2に示した。表2の結果から明らかなように、実施例1〜6の本発明のインクジェット記録シートは、いずれも良好な特性が得られているのに対して、比較例1、2、4および5の記録シートは染料インクでの光沢度がやや劣り、画像鮮明性に問題を有し、さらに、比較例4の記録シートでは染料インクでの印字濃度がやや劣るものであった。また、比較例3の記録シートは光沢度がやや劣り、さらに、クラックを生じて画像の劣化が認められた。
【0036】
【表2】
【0037】
印字濃度は、分光光度計(グレタグマクベス社製:SPM50)を用いて、各色の反射濃度を測定し、画像印字濃度特性を評価した。測定数値2.00以上を○、1.75〜1.99を△、1.75未満を×で示した。
【0038】
光沢度は、JIS Z8741に規定される測定法に準じて、60度鏡面光沢度を測定した。測定数値50以上を○、40〜50を△、40未満を×で示した。
【0039】
画像鮮明性はインク吸収性、ドットの滲みを目視観察し、評価した。特に優れている場合を◎、良好な場合は○、やや劣る場合を△、従来レベルもしくはそれ以下を×とした。
【0040】
クラックは、未印字部および印字部を目視観察し、評価した。クラックが無いものを○、クラックが有るものを×とした。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクジェット記録シートのインク受容層に、特定の物性をもつアルミナおよびアルミナ水和物を含有することによって、インクの種類によらず、良好なインク吸収性により滲みのない鮮明なフルカラー画像が得られ、優れたインクジェット記録特性を有するインクジェット記録用紙が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録用紙の断面図
【符号の説明】
10 インクジェット記録用紙
11 基材
12 インク受容層
13 下塗り層
Claims (4)
- 基材上にインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、該インク受容層にアルミナおよびアルミナ水和物が含有され、該アルミナの結晶形γ、δ、θの割合が1〜3:1〜3:4〜8であり、アルミナとアルミナ水和物の混合重量比が9:1〜5:5であることを特徴とするインクジェト記録シート。
- 該アルミナの比表面積が100m2/g以下で、平均一次粒子径が30nm以下、平均凝集粒子径が100〜200nmであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。
- 前記アルミナおよびアルミナ水和物との混合物とバインダーの比率が、重量比で95:5〜70:30であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録シート。
- 前記アルミナおよびアルミナ水和物の混合物が含有されたインク受容層が、顔料およびバインダーを主成分とする下塗り層の上に設けてなることを特徴としたインクジェット記録シート。
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