JP2004130707A - カーボン複写紙用原紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の裏カーボン複写用紙は、カーボン複写紙用原紙の表裏で異なった性質を必要とするために表裏塗液が混入するような塗工設備での塗工が困難であり、生産性に劣るという問題があった。
【解決手段】基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、ゲル含有量が70重量%以上であり、粒径100〜250nmのラテックス粒子、及び少なくとも軽質炭酸カルシウムを有する顔料を含有する塗料を塗布して形成されており、原紙の両面にカーボンインクの受理性及び剥離性が付与されたカーボン複写紙用原紙。
【選択図】 なし
【解決手段】基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、ゲル含有量が70重量%以上であり、粒径100〜250nmのラテックス粒子、及び少なくとも軽質炭酸カルシウムを有する顔料を含有する塗料を塗布して形成されており、原紙の両面にカーボンインクの受理性及び剥離性が付与されたカーボン複写紙用原紙。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、各種配送業において配送伝票などとして用いられるカーボン複写紙用原紙に関し、さらに詳細には、カーボンインクの受理性や複写能力に優れ、両面塗工したものにおいては、原紙にカーボンインク層を形成してカーボン複写紙を形成するに際して原紙の表裏を確認する必要がなく、作業性に優れたカーボン複写紙用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種配送業において用いられる配送伝票の多くは、長方形状の裏カーボン複写用紙を複数枚重ね、短辺においてつづり合わせ、多層の伝票に構成されている。これら多層の伝票の構成は、表面を各種情報記録面とし、裏面にカーボンインクを塗工したり、カーボン用紙を貼布するなどしてカーボンインク層を形成してなる。
そして、使用に際しては、表面から筆記もしくは物理的圧力をかけつつ情報を記録することで、裏面のカーボンインクが裏面に対向する他の用紙に転写され、表面記録情報が複写される。
多層の配送伝票を構成する各紙片は、請求書、売上票、配達表、貼付表などであり、それぞれ別個の用途に使用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
同種の用途に使用できる複写用紙としてはノンカーボン紙もある。しかし、ノンカーボン紙は枚数の多い伝票には不向きであり、また、日光に対する耐光性に劣るという問題もあるため伝票などの用途には裏カーボン複写用紙が用いられているのが現状である。
このような用途に用いられる裏カーボン複写用紙に要求される品質としては、カーボンインクの裏写り防止のため、不透明度が高く、また、インクの裏抜け防止のためピンホールが少ないこと、が挙げられる。
【0004】
また、カーボンインク層を形成する側の面には、カーボンインクの受理性及び剥離性が要求されるとともに、カーボンが転写される側には、カーボンインクの転写性及び伝票印刷時の紙粉を防止するための表面強度が要求される。
このように、裏カーボン複写用紙は、カーボン複写紙用原紙の表裏で異なった性質を必要とするために表裏塗液が混入するような塗工設備での塗工が困難であり、生産性に劣るという問題があった。
【0005】
また、ユーザーにおいては、伝票を作成する際に、いちいち表裏を確認しなければならず、作業性が悪いという問題があった。
従って、本発明の目的は、カーボン複写紙用原紙に求められる諸性能を低下させることなく、生産性に優れ、ユーザーの作業性にも優れたカーボン複写紙用原紙(以下、単に「原紙」という場合には、このカーボン複写紙用原紙を指す)を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、原紙の両面にカーボンインクの受理性及び複写能力を付与したものを提供すればよいと考え、かかる構成の原紙を提供すべくさらに検討した。その結果、接着剤のゲル含有量や粒径を特定の範囲内とした塗料を塗布してなる塗工層を、基材の両面に形成してなる原紙が、上記構成の原紙として十分な性能を有することを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
請求項1の発明は、基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、ゲル含有量が70重量%以上、粒径100〜250nmのラテックス粒子、及び少なくとも軽質炭酸カルシウムを有する顔料を含有する塗料を塗布して形成されていることを特徴とするカーボン複写紙用原紙である。
【0008】
請求項2の発明は、前記顔料は、さらに、クレー及び酸化チタンを、それぞれ軽質炭酸カルシウム100重量部に対して100重量部以下及び60重量部以下の配合量で含有することを特徴とする請求項1に記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0009】
請求項3の発明は、前記塗料は、前記基材上にオンマシンで塗工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0010】
請求項4の発明は、前記基材は、内添灰分率が3〜30重量%となるように抄紙機で抄紙されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカーボン複写用原紙である。
【0011】
請求項5の発明は、前記ゲル含有量が80重量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0012】
請求項6の発明は、前記ラテックス粒子の粒径が、150〜200nmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカーボン複写紙用原紙についてさらに詳細に説明する。
本発明のカーボン複写紙用原紙は、基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、特定のゲル含有量を有し、特定の粒径のラテックス粒子、及び特定の顔料を含有する塗料を塗布して形成されていることを特徴とする。
ここで、上記インク受理作用とは、カーボンインクを転写した際に、加えられる圧力により効率よく原紙表面上にカーボンインクを定着させる作用を意味する。
上記バリヤー作用とは、カーボンインク層を設けた際に、カーボンインクが裏抜けしない様にする作用を意味する。
【0014】
本発明において用いられる上記基材としては、従来よりこの種のカーボン複写紙などに用いられるものであれば特に制限なく用いることができるが、内添灰分率が好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは15〜30重量%となるようにシングルワイヤーやツインワイヤー等の抄紙機で抄紙されたものが特に好ましく用いられる。ここで、内添灰分率を3重量%以上とすることにより、カーボンインクの裏抜けを少なくでき、30重量%以下とすることにより、紙力が低下し抄造時の断紙が発生することを防止できる、ので好ましい。
【0015】
具体的には、原料パルプに内添灰分率が上述の範囲内となるように炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有させてなる紙が好ましく用いられる。
この際用いられる上記原料パルプとしては、古紙パルプ。LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維などが挙げられ、使用に際しては単独もしくは複数混合して用いることができる。古紙パルプの原料には、たとえば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等が挙げられ、使用に際しては2種以上混合して用いてもよい。
【0016】
本発明においてラテックス粒子の含有するゲルは、下記のように定義される。後述するラテックスを乳化重合させた際にポリマー主鎖中の残留二重結合に起因する架橋構造を取り、この架橋部分により、重合物がベンゼン(トルエン)に溶かした際に溶けにくくなり、不溶成分が発生する。この不溶化成分をゲルと定義する。
そして、上記ゲルの含有量は、ラテックス粒子中70重量%以上であり、好ましくは80重量%以上である。ゲル含有量が70重量%未満であると、吸油度が上昇してカーボンの裏抜けが発生する。
【0017】
本発明において用いられるラテックス粒子としては、下記のポリマーを有するラテックスが挙げられる。
ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリレート系共重合体、酢酸ビニル共重合体、酢ビ−エチレン系共重合体、アクリレート−スチレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体等の合成ラテックス。
【0018】
本発明において用いられるラテックス粒子の有する前記の特定の粒径は、100〜250nmであり、好ましくは150〜200nmである。
上記粒径が100nm未満であると、透気度が低下してカーボンの裏抜けが発生する。250nmを超えると、原紙の表面強度が低下する。
本発明において用いられる上記の特定の顔料は、軽質炭酸カルシウムを必須成分として含む顔料である。
【0019】
また、上記顔料は、さらに、クレー及び酸化チタンを、それぞれ炭酸カルシウム100重量部に対して100重量部以下及び60重量部以下の配合量で含有するのがカーボンインクの吸収性と裏抜けのバランスを保つ点で好ましい。
そして、上記ラテックス粒子、及び上記顔料を必須成分として含む塗料における各必須成分の配合割合は、上記ラテックス粒子の配合割合が、塗料中の顔料の乾燥重量100重量部に対して15〜30重量部とするのが好ましく、20〜30重量部とするのがさらに好ましい。上記ラテックス粒子の配合割合を30重量%以下とすることにより、カーボンインクのインク吸収性が良くなり、15重量%以上とすることにより、カーボンインクの裏抜けが少なくなると共に原紙の表面強度が良化し、さらには所望の透気度を得やすくなり、20重量部以上とすることにより、適性な粘度を保って好適な塗工性を得やすくなるため、好ましい。
【0020】
また、上記顔料の配合割合は、塗料の固形分中70〜85重量%とするのが好ましい。上記顔料の配合割合を85重量%以下とすることにより、カーボンインクの裏抜けが少なくなり、70重量%以上とすることにより、カーボンインク印刷時に乾燥性不良による用紙の汚れが発生しなくなる、ので好ましい。
【0021】
上記塗料の固形分濃度は、40〜70重量%とするのが好ましく、50〜60重量%とするのがさらに好ましい。この範囲で適度な塗料粘度となるからである。
【0022】
また、上記塗料には、上述した各必須成分のほかに、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、蛍光増白剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、耐水化剤、潤滑剤等の他の成分を添加して用いることもできる。
【0023】
上記塗料の塗工量は、固形分で8〜14g/m2とするのが好ましい。14g/m2以下とすることにより、所望のカーボンインク受理性能やバリヤー性能が得られ、且つ、印刷時のインク乾燥性が良くなり、8g/m2以上とすることにより、カーボンインクのピンホールが少なくなると共にカーボンインク印刷面の反対面への裏写りが発生しなくなる、ので好ましい。
【0024】
また、本発明のカーボン複写紙用原紙の坪量は、35〜60g/m2とするのが好ましい。60g/m2以下とすることにより、配送伝票にした状態でミシン目部分で断裁した場合に折れ不良が発生しなくなり、35g/m2以上とすることにより、カーボンインクの裏抜け及び裏写りが少なくなる、ので好ましい。
【0025】
本発明のカーボン複写紙用原紙は、通常のカーボン複写紙用原紙と同様の製造装置を用いて製造することができるが、本発明のカーボン複写紙用原紙は、基材の両面に同一の塗料を塗布して形成できるため、前記塗料を、前記基材上にオンマシンで塗工して製造することができる。すなわち、本発明のカーボン複写紙用原紙は、前記塗料が、前記基材上にオンマシンで塗工されているものである。
このようにオンマシンで塗工できるため、生産性に優れている。
【0026】
そして、本発明のカーボン複写紙用原紙は、以下のようにして用いられる。
すなわち、本発明のカーボン複写紙用原紙のいずれか一面に公知の手法に応じてカーボンインクを塗布するか、カーボンインク紙を貼り付ける等してカーボンインク層を形成し、複数枚積層し、所望の印刷を施すなどして、カーボン複写紙として用いられる。その用途としては、各種配送業などにおける配送伝票や、事務用品等が挙げられる。
【0027】
さらに具体的に配送伝票として用いた場合を図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1は、本発明のカーボン複写紙用原紙の好ましい1実施形態としての配送伝票を示す斜視図である。
図1に示す配送伝票1は、3枚の紙を重ね合わせて最上層10、中間層20、最下層30の3層構造に構成されている。
【0028】
そして、本実施形態においては、使用時に依頼主などが必要事項を記入できるようになされた最上層10及び中間層20は、本発明のカーボン複写紙用原紙11、21を用いて形成されたカーボン複写紙からなる。また、最下層30は、配送物に貼付される層であり、特に本発明の原紙を用いる必要はないが、本実施形態においては本発明の原紙31を用いて形成してある。
最上層10及び中間層20は、原紙11,21の裏面側にカーボンインク層12、22をカーボンインクを塗布して形成して構成されている。また、原紙11,21の表面側には、所定の事項を記入するための所定の印刷13,23が施してある。これらのカーボンインクの塗工や所定の印刷は通常公知の配送伝票の製造と同様にして行うことができる。
【0029】
また、最下層30は、原紙31の裏面側にホットメルト樹脂を塗布するなどして接着層を形成してある(図示せず)。このホットメルト樹脂の塗工も従来公知の配送伝票の製造と同様にして行うことができる。また、最上層10や中間層20と同様に、原紙の表面側には、所定の事項を記入するための所定の印刷が施してある。
このように本発明の原紙を用いて構成された配送伝票は、原紙の表裏を気にすることなく使用できるため、ユーザーの作業性に優れている。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに制限されるものではない。また、特にことわりのない限り以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0031】
〔実施例1〜7、比較例1〜4〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従ってカーボン複写紙用原紙を製造した。
<原材料>
基材;LBKP(フリーネス 200cc)またはNBKP(フリーネス 250cc)を混合した原材料を使用し、米坪38g/m2で抄造。
顔料;カオリンクレー(クレー)、軽質炭酸カルシウム(軽質炭カル)、酸化チタン、重質炭酸カルシウム(重質炭カル)
接着剤:ラテックス粒子、澱粉スラリー(澱粉)
原紙灰分:10%(填料:軽質炭酸カルシウム使用)
具体的な配合割合については、〔表1〕に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
<製造方法>
上記原材料を使用し、長網抄紙機を使用して、オンマシンコーターで塗料を基材に塗工、ソフトカレンダーで平滑処理を行ない、最終製品とした。
塗工方式については、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ロッドメタリングコーターのいずれかの塗工方式で製造した。
【0034】
得られたカーボン複写紙用原紙について以下の評価方法で評価した。
<インク裏抜け>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、該カーボンインクがカーボン複写紙用原紙を通過して他面側にピンホール状に抜けるか否かをカーボンインク転写面側から観察し、目視により評価した。評価基準は、○;裏抜けなし、×;裏抜けあり、とした。
<インク裏写り>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、カーボンインク転写面側から観察したときの該カーボンインクの透過度合いをJISP8138に基づく不透明度により評価した。評価基準は、○;不透明度が80%以上、×;不透明度が80%未満、とした。
【0035】
<インク乾燥性>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、カーボンインク印刷面を30秒間風乾で乾燥させた後、白紙をカーボンインク印刷面に当てて、手で擦り、白紙へのカーボンインクの付着状況を目視で評価した。
評価基準は、ほぼ全面に付着した場合は×、わずかに付着した場合は△、全く白紙に付着しない場合は○、とした。
各試験の結果について〔表2〕に示す
【0036】
以下に、各実施例について具体的に説明する。
(実施例1〜2)
両面塗工量を12g/m2とし、塗料処方において、顔料を軽質炭酸カルシウム80部・酸化チタンを20部とし、接着剤として、粒子径 150nm、ゲル含有量 85%のラテックスを26部、澱粉を8部配合することでカーボンインクの裏抜け・裏写り共に良好なカーボン複写紙用原紙を得た。
また、実施例2では、塗料配合は同一で塗工量を12g/m2から8g/m2とし、実施例1と同様にして、同等の品質のカーボン複写紙用原紙を得た。
【0037】
(実施例3)
実施例1の塗料処方で酸化チタンを20部から10部に減配し、軽質炭酸カル シウムを80部から90部に増配して、カーボン複写紙用原紙を得た。
得られたカーボン複写紙用原紙も裏抜け・インク乾燥性共に良好であった。
【0038】
(実施例4〜5)
実施例4は、実施例1の塗料処方でクレーを20部配合し、軽質炭酸カルシウムを80部から60部に減配した処方である。
カーボンインクの裏抜け・裏写り・インク乾燥性については、実施例4のようにクレーを20部配合した場合でも、実施例1とほぼ同等の品質を得ることが出来た。
実施例5では、実施例4の処方にクレーを更に10部増配したが、カーボンインクの裏抜け・裏写りについては、実施例4と同等であった。
【0039】
(実施例6〜7)
実施例6は、実施例1の塗料処方で重質炭酸カルシウムを20部配合し、軽質炭酸カルシウムを80部から60部に減配した処方である。
実施例7では、実施例6の塗料処方で更に重質炭酸カルシウムを10部増配し、軽質炭酸カルシウムを10減配した処方である。
両実施例で得られたカーボン複写紙用原紙は、共に実施例1同様に優れた性能を有するものであった。
【0040】
(比較例1〜2)
比較例1は、実施例1の塗料処方で粒子径80nmのラテックスを使用した処方である。
得られたカーボン複写紙用原紙は、カーボンインクの裏抜けが、増加し、裏写りも多くなった。
比較例2では、塗料中において、ゲル含有量を下げたラテックスを使用した処方である。
カーボンインクの裏写り・裏抜け共には実施例1と比較して悪化した。
【0041】
(比較例3)
比較例3は、軽質炭酸カルシウムを20部とし、重質炭酸カルシウムを60部とした処方である。
使用するラテックスの粒径は、80nmであるが、部数、澱粉の部数は実施例と同様である。
カーボンインクの裏抜け・裏写りは良くなるが、その反面、インク乾燥性が悪化した。
【0042】
(比較例4)
比較例4は、実施例1と同じ処方で塗工量を6g/m2に減らした場合であり、ラテックスの粒径は80nmである。
カーボンインクの乾燥性は良くなるが、その反面、カーボンインクの裏抜け・裏写りが悪化した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の結果から、塗料中の顔料については、カーボンインクの裏写りを抑えるために、酸化チタンを顔料乾燥重量 100部に対して、10部以上配合することが有効であることが判った。また、顔料としてはカーボンインクのインク受理性能の高い軽質炭酸カルシウムを使用する必要があることが判った。
更に、カーボンインクの裏抜け・裏写りを改善するために粒子径が大きく、吸油性の低い顔料、すなわちクレーまたは重質炭酸カルシウムを配合することが有効であることが判った。
塗料中の接着剤として使用するラテックスについては、粒子径は、塗工層の原紙被覆性に影響を及ぼし、ゲル含有量はカーボンインク中の溶媒の吸収性に影響を及ぼすことが判った。
カーボンインクの吸収性が高い顔料を塗料中に使用する場合に、ラテックスは、オンマシンで抄造・塗工する場合には、粒子径が大きく、ゲル含有量の高いラテックスを使用することでカーボンインクの裏抜けが向上されるということが判った。
【0045】
【発明の効果】
本発明のカーボン複写紙用原紙は、カーボン複写紙用原紙に求められる諸性能を低下させることなく、生産性に優れ、ユーザーの作業性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のカーボン複写紙用原紙の好ましい1実施形態としての配送伝票を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 配送伝票
10 最上層
20 中間層
30 最下層
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、各種配送業において配送伝票などとして用いられるカーボン複写紙用原紙に関し、さらに詳細には、カーボンインクの受理性や複写能力に優れ、両面塗工したものにおいては、原紙にカーボンインク層を形成してカーボン複写紙を形成するに際して原紙の表裏を確認する必要がなく、作業性に優れたカーボン複写紙用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種配送業において用いられる配送伝票の多くは、長方形状の裏カーボン複写用紙を複数枚重ね、短辺においてつづり合わせ、多層の伝票に構成されている。これら多層の伝票の構成は、表面を各種情報記録面とし、裏面にカーボンインクを塗工したり、カーボン用紙を貼布するなどしてカーボンインク層を形成してなる。
そして、使用に際しては、表面から筆記もしくは物理的圧力をかけつつ情報を記録することで、裏面のカーボンインクが裏面に対向する他の用紙に転写され、表面記録情報が複写される。
多層の配送伝票を構成する各紙片は、請求書、売上票、配達表、貼付表などであり、それぞれ別個の用途に使用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
同種の用途に使用できる複写用紙としてはノンカーボン紙もある。しかし、ノンカーボン紙は枚数の多い伝票には不向きであり、また、日光に対する耐光性に劣るという問題もあるため伝票などの用途には裏カーボン複写用紙が用いられているのが現状である。
このような用途に用いられる裏カーボン複写用紙に要求される品質としては、カーボンインクの裏写り防止のため、不透明度が高く、また、インクの裏抜け防止のためピンホールが少ないこと、が挙げられる。
【0004】
また、カーボンインク層を形成する側の面には、カーボンインクの受理性及び剥離性が要求されるとともに、カーボンが転写される側には、カーボンインクの転写性及び伝票印刷時の紙粉を防止するための表面強度が要求される。
このように、裏カーボン複写用紙は、カーボン複写紙用原紙の表裏で異なった性質を必要とするために表裏塗液が混入するような塗工設備での塗工が困難であり、生産性に劣るという問題があった。
【0005】
また、ユーザーにおいては、伝票を作成する際に、いちいち表裏を確認しなければならず、作業性が悪いという問題があった。
従って、本発明の目的は、カーボン複写紙用原紙に求められる諸性能を低下させることなく、生産性に優れ、ユーザーの作業性にも優れたカーボン複写紙用原紙(以下、単に「原紙」という場合には、このカーボン複写紙用原紙を指す)を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、原紙の両面にカーボンインクの受理性及び複写能力を付与したものを提供すればよいと考え、かかる構成の原紙を提供すべくさらに検討した。その結果、接着剤のゲル含有量や粒径を特定の範囲内とした塗料を塗布してなる塗工層を、基材の両面に形成してなる原紙が、上記構成の原紙として十分な性能を有することを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
請求項1の発明は、基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、ゲル含有量が70重量%以上、粒径100〜250nmのラテックス粒子、及び少なくとも軽質炭酸カルシウムを有する顔料を含有する塗料を塗布して形成されていることを特徴とするカーボン複写紙用原紙である。
【0008】
請求項2の発明は、前記顔料は、さらに、クレー及び酸化チタンを、それぞれ軽質炭酸カルシウム100重量部に対して100重量部以下及び60重量部以下の配合量で含有することを特徴とする請求項1に記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0009】
請求項3の発明は、前記塗料は、前記基材上にオンマシンで塗工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0010】
請求項4の発明は、前記基材は、内添灰分率が3〜30重量%となるように抄紙機で抄紙されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカーボン複写用原紙である。
【0011】
請求項5の発明は、前記ゲル含有量が80重量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0012】
請求項6の発明は、前記ラテックス粒子の粒径が、150〜200nmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカーボン複写紙用原紙についてさらに詳細に説明する。
本発明のカーボン複写紙用原紙は、基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、前記塗工層は、特定のゲル含有量を有し、特定の粒径のラテックス粒子、及び特定の顔料を含有する塗料を塗布して形成されていることを特徴とする。
ここで、上記インク受理作用とは、カーボンインクを転写した際に、加えられる圧力により効率よく原紙表面上にカーボンインクを定着させる作用を意味する。
上記バリヤー作用とは、カーボンインク層を設けた際に、カーボンインクが裏抜けしない様にする作用を意味する。
【0014】
本発明において用いられる上記基材としては、従来よりこの種のカーボン複写紙などに用いられるものであれば特に制限なく用いることができるが、内添灰分率が好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは15〜30重量%となるようにシングルワイヤーやツインワイヤー等の抄紙機で抄紙されたものが特に好ましく用いられる。ここで、内添灰分率を3重量%以上とすることにより、カーボンインクの裏抜けを少なくでき、30重量%以下とすることにより、紙力が低下し抄造時の断紙が発生することを防止できる、ので好ましい。
【0015】
具体的には、原料パルプに内添灰分率が上述の範囲内となるように炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有させてなる紙が好ましく用いられる。
この際用いられる上記原料パルプとしては、古紙パルプ。LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維などが挙げられ、使用に際しては単独もしくは複数混合して用いることができる。古紙パルプの原料には、たとえば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等が挙げられ、使用に際しては2種以上混合して用いてもよい。
【0016】
本発明においてラテックス粒子の含有するゲルは、下記のように定義される。後述するラテックスを乳化重合させた際にポリマー主鎖中の残留二重結合に起因する架橋構造を取り、この架橋部分により、重合物がベンゼン(トルエン)に溶かした際に溶けにくくなり、不溶成分が発生する。この不溶化成分をゲルと定義する。
そして、上記ゲルの含有量は、ラテックス粒子中70重量%以上であり、好ましくは80重量%以上である。ゲル含有量が70重量%未満であると、吸油度が上昇してカーボンの裏抜けが発生する。
【0017】
本発明において用いられるラテックス粒子としては、下記のポリマーを有するラテックスが挙げられる。
ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリレート系共重合体、酢酸ビニル共重合体、酢ビ−エチレン系共重合体、アクリレート−スチレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体等の合成ラテックス。
【0018】
本発明において用いられるラテックス粒子の有する前記の特定の粒径は、100〜250nmであり、好ましくは150〜200nmである。
上記粒径が100nm未満であると、透気度が低下してカーボンの裏抜けが発生する。250nmを超えると、原紙の表面強度が低下する。
本発明において用いられる上記の特定の顔料は、軽質炭酸カルシウムを必須成分として含む顔料である。
【0019】
また、上記顔料は、さらに、クレー及び酸化チタンを、それぞれ炭酸カルシウム100重量部に対して100重量部以下及び60重量部以下の配合量で含有するのがカーボンインクの吸収性と裏抜けのバランスを保つ点で好ましい。
そして、上記ラテックス粒子、及び上記顔料を必須成分として含む塗料における各必須成分の配合割合は、上記ラテックス粒子の配合割合が、塗料中の顔料の乾燥重量100重量部に対して15〜30重量部とするのが好ましく、20〜30重量部とするのがさらに好ましい。上記ラテックス粒子の配合割合を30重量%以下とすることにより、カーボンインクのインク吸収性が良くなり、15重量%以上とすることにより、カーボンインクの裏抜けが少なくなると共に原紙の表面強度が良化し、さらには所望の透気度を得やすくなり、20重量部以上とすることにより、適性な粘度を保って好適な塗工性を得やすくなるため、好ましい。
【0020】
また、上記顔料の配合割合は、塗料の固形分中70〜85重量%とするのが好ましい。上記顔料の配合割合を85重量%以下とすることにより、カーボンインクの裏抜けが少なくなり、70重量%以上とすることにより、カーボンインク印刷時に乾燥性不良による用紙の汚れが発生しなくなる、ので好ましい。
【0021】
上記塗料の固形分濃度は、40〜70重量%とするのが好ましく、50〜60重量%とするのがさらに好ましい。この範囲で適度な塗料粘度となるからである。
【0022】
また、上記塗料には、上述した各必須成分のほかに、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、蛍光増白剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、耐水化剤、潤滑剤等の他の成分を添加して用いることもできる。
【0023】
上記塗料の塗工量は、固形分で8〜14g/m2とするのが好ましい。14g/m2以下とすることにより、所望のカーボンインク受理性能やバリヤー性能が得られ、且つ、印刷時のインク乾燥性が良くなり、8g/m2以上とすることにより、カーボンインクのピンホールが少なくなると共にカーボンインク印刷面の反対面への裏写りが発生しなくなる、ので好ましい。
【0024】
また、本発明のカーボン複写紙用原紙の坪量は、35〜60g/m2とするのが好ましい。60g/m2以下とすることにより、配送伝票にした状態でミシン目部分で断裁した場合に折れ不良が発生しなくなり、35g/m2以上とすることにより、カーボンインクの裏抜け及び裏写りが少なくなる、ので好ましい。
【0025】
本発明のカーボン複写紙用原紙は、通常のカーボン複写紙用原紙と同様の製造装置を用いて製造することができるが、本発明のカーボン複写紙用原紙は、基材の両面に同一の塗料を塗布して形成できるため、前記塗料を、前記基材上にオンマシンで塗工して製造することができる。すなわち、本発明のカーボン複写紙用原紙は、前記塗料が、前記基材上にオンマシンで塗工されているものである。
このようにオンマシンで塗工できるため、生産性に優れている。
【0026】
そして、本発明のカーボン複写紙用原紙は、以下のようにして用いられる。
すなわち、本発明のカーボン複写紙用原紙のいずれか一面に公知の手法に応じてカーボンインクを塗布するか、カーボンインク紙を貼り付ける等してカーボンインク層を形成し、複数枚積層し、所望の印刷を施すなどして、カーボン複写紙として用いられる。その用途としては、各種配送業などにおける配送伝票や、事務用品等が挙げられる。
【0027】
さらに具体的に配送伝票として用いた場合を図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1は、本発明のカーボン複写紙用原紙の好ましい1実施形態としての配送伝票を示す斜視図である。
図1に示す配送伝票1は、3枚の紙を重ね合わせて最上層10、中間層20、最下層30の3層構造に構成されている。
【0028】
そして、本実施形態においては、使用時に依頼主などが必要事項を記入できるようになされた最上層10及び中間層20は、本発明のカーボン複写紙用原紙11、21を用いて形成されたカーボン複写紙からなる。また、最下層30は、配送物に貼付される層であり、特に本発明の原紙を用いる必要はないが、本実施形態においては本発明の原紙31を用いて形成してある。
最上層10及び中間層20は、原紙11,21の裏面側にカーボンインク層12、22をカーボンインクを塗布して形成して構成されている。また、原紙11,21の表面側には、所定の事項を記入するための所定の印刷13,23が施してある。これらのカーボンインクの塗工や所定の印刷は通常公知の配送伝票の製造と同様にして行うことができる。
【0029】
また、最下層30は、原紙31の裏面側にホットメルト樹脂を塗布するなどして接着層を形成してある(図示せず)。このホットメルト樹脂の塗工も従来公知の配送伝票の製造と同様にして行うことができる。また、最上層10や中間層20と同様に、原紙の表面側には、所定の事項を記入するための所定の印刷が施してある。
このように本発明の原紙を用いて構成された配送伝票は、原紙の表裏を気にすることなく使用できるため、ユーザーの作業性に優れている。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに制限されるものではない。また、特にことわりのない限り以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0031】
〔実施例1〜7、比較例1〜4〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従ってカーボン複写紙用原紙を製造した。
<原材料>
基材;LBKP(フリーネス 200cc)またはNBKP(フリーネス 250cc)を混合した原材料を使用し、米坪38g/m2で抄造。
顔料;カオリンクレー(クレー)、軽質炭酸カルシウム(軽質炭カル)、酸化チタン、重質炭酸カルシウム(重質炭カル)
接着剤:ラテックス粒子、澱粉スラリー(澱粉)
原紙灰分:10%(填料:軽質炭酸カルシウム使用)
具体的な配合割合については、〔表1〕に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
<製造方法>
上記原材料を使用し、長網抄紙機を使用して、オンマシンコーターで塗料を基材に塗工、ソフトカレンダーで平滑処理を行ない、最終製品とした。
塗工方式については、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ロッドメタリングコーターのいずれかの塗工方式で製造した。
【0034】
得られたカーボン複写紙用原紙について以下の評価方法で評価した。
<インク裏抜け>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、該カーボンインクがカーボン複写紙用原紙を通過して他面側にピンホール状に抜けるか否かをカーボンインク転写面側から観察し、目視により評価した。評価基準は、○;裏抜けなし、×;裏抜けあり、とした。
<インク裏写り>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、カーボンインク転写面側から観察したときの該カーボンインクの透過度合いをJISP8138に基づく不透明度により評価した。評価基準は、○;不透明度が80%以上、×;不透明度が80%未満、とした。
【0035】
<インク乾燥性>
カーボン複写紙用原紙の一面にカーボンインクを印刷し、カーボンインク印刷面を30秒間風乾で乾燥させた後、白紙をカーボンインク印刷面に当てて、手で擦り、白紙へのカーボンインクの付着状況を目視で評価した。
評価基準は、ほぼ全面に付着した場合は×、わずかに付着した場合は△、全く白紙に付着しない場合は○、とした。
各試験の結果について〔表2〕に示す
【0036】
以下に、各実施例について具体的に説明する。
(実施例1〜2)
両面塗工量を12g/m2とし、塗料処方において、顔料を軽質炭酸カルシウム80部・酸化チタンを20部とし、接着剤として、粒子径 150nm、ゲル含有量 85%のラテックスを26部、澱粉を8部配合することでカーボンインクの裏抜け・裏写り共に良好なカーボン複写紙用原紙を得た。
また、実施例2では、塗料配合は同一で塗工量を12g/m2から8g/m2とし、実施例1と同様にして、同等の品質のカーボン複写紙用原紙を得た。
【0037】
(実施例3)
実施例1の塗料処方で酸化チタンを20部から10部に減配し、軽質炭酸カル シウムを80部から90部に増配して、カーボン複写紙用原紙を得た。
得られたカーボン複写紙用原紙も裏抜け・インク乾燥性共に良好であった。
【0038】
(実施例4〜5)
実施例4は、実施例1の塗料処方でクレーを20部配合し、軽質炭酸カルシウムを80部から60部に減配した処方である。
カーボンインクの裏抜け・裏写り・インク乾燥性については、実施例4のようにクレーを20部配合した場合でも、実施例1とほぼ同等の品質を得ることが出来た。
実施例5では、実施例4の処方にクレーを更に10部増配したが、カーボンインクの裏抜け・裏写りについては、実施例4と同等であった。
【0039】
(実施例6〜7)
実施例6は、実施例1の塗料処方で重質炭酸カルシウムを20部配合し、軽質炭酸カルシウムを80部から60部に減配した処方である。
実施例7では、実施例6の塗料処方で更に重質炭酸カルシウムを10部増配し、軽質炭酸カルシウムを10減配した処方である。
両実施例で得られたカーボン複写紙用原紙は、共に実施例1同様に優れた性能を有するものであった。
【0040】
(比較例1〜2)
比較例1は、実施例1の塗料処方で粒子径80nmのラテックスを使用した処方である。
得られたカーボン複写紙用原紙は、カーボンインクの裏抜けが、増加し、裏写りも多くなった。
比較例2では、塗料中において、ゲル含有量を下げたラテックスを使用した処方である。
カーボンインクの裏写り・裏抜け共には実施例1と比較して悪化した。
【0041】
(比較例3)
比較例3は、軽質炭酸カルシウムを20部とし、重質炭酸カルシウムを60部とした処方である。
使用するラテックスの粒径は、80nmであるが、部数、澱粉の部数は実施例と同様である。
カーボンインクの裏抜け・裏写りは良くなるが、その反面、インク乾燥性が悪化した。
【0042】
(比較例4)
比較例4は、実施例1と同じ処方で塗工量を6g/m2に減らした場合であり、ラテックスの粒径は80nmである。
カーボンインクの乾燥性は良くなるが、その反面、カーボンインクの裏抜け・裏写りが悪化した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の結果から、塗料中の顔料については、カーボンインクの裏写りを抑えるために、酸化チタンを顔料乾燥重量 100部に対して、10部以上配合することが有効であることが判った。また、顔料としてはカーボンインクのインク受理性能の高い軽質炭酸カルシウムを使用する必要があることが判った。
更に、カーボンインクの裏抜け・裏写りを改善するために粒子径が大きく、吸油性の低い顔料、すなわちクレーまたは重質炭酸カルシウムを配合することが有効であることが判った。
塗料中の接着剤として使用するラテックスについては、粒子径は、塗工層の原紙被覆性に影響を及ぼし、ゲル含有量はカーボンインク中の溶媒の吸収性に影響を及ぼすことが判った。
カーボンインクの吸収性が高い顔料を塗料中に使用する場合に、ラテックスは、オンマシンで抄造・塗工する場合には、粒子径が大きく、ゲル含有量の高いラテックスを使用することでカーボンインクの裏抜けが向上されるということが判った。
【0045】
【発明の効果】
本発明のカーボン複写紙用原紙は、カーボン複写紙用原紙に求められる諸性能を低下させることなく、生産性に優れ、ユーザーの作業性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のカーボン複写紙用原紙の好ましい1実施形態としての配送伝票を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 配送伝票
10 最上層
20 中間層
30 最下層
Claims (6)
- 基材と、該基材の両面に形成された、インク受理作用及びバリヤー作用を有する塗工層とを具備し、
前記塗工層は、ゲル含有量が70重量%以上、粒径100〜250nmのラテックス粒子、及び少なくとも軽質炭酸カルシウムを有する顔料を含有する塗料を塗布して形成されていることを特徴とするカーボン複写紙用原紙。 - 前記顔料は、さらに、クレー及び酸化チタンを、それぞれ軽質炭酸カルシウム100重量部に対して100重量部以下及び60重量部以下の配合量で含有することを特徴とする請求項1に記載のカーボン複写紙用原紙。
- 前記塗料は、前記基材上にオンマシンで片面または両面塗工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボン複写紙用原紙。
- 前記基材は、内添灰分率が3〜30重量%となるように抄紙機で抄紙されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカーボン複写用原紙。
- 前記ゲル含有量が80重量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙。
- 前記ラテックス粒子の粒径が、150〜200nmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカーボン複写紙用原紙。
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-
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- 2002-10-11 JP JP2002298616A patent/JP2004130707A/ja active Pending
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