JP2004129624A - 両軸受型リールの変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速操作をし易くする。
【解決手段】ハンドルを有する入力軸と、出力軸と、操作軸の3本の平行な軸を設け、上記入力軸と出力軸のうち、何れか一方を第1軸とし、他方を第2軸と呼ぶことにすると、第1軸には直径の異なる2枚のギヤを固定し、第2軸に上記第1軸のギヤに噛合い可能の2枚のギヤを装着し、上記第2軸の一方のギヤは軸に対して相対回転可能とし、対応する第1軸のギヤと常時噛合い状態で装着し、上記第2軸の他方のギヤは軸方向移動可能とし、軸方向移動によって、第1軸の対応するギヤとの噛合いと、上記第2軸の相対回転可能ギヤとの係合のいずれか一方が選択的に可能となるよう装着し、上記操作軸には、操作軸の回動に応じてカム機構により軸方向の移動が可能で、かつ上記第2軸の軸方向移動可能ギヤの係合部に係合し、同ギヤを軸方向に移動させる係合部材を装着する。
【選択図】 図4
【解決手段】ハンドルを有する入力軸と、出力軸と、操作軸の3本の平行な軸を設け、上記入力軸と出力軸のうち、何れか一方を第1軸とし、他方を第2軸と呼ぶことにすると、第1軸には直径の異なる2枚のギヤを固定し、第2軸に上記第1軸のギヤに噛合い可能の2枚のギヤを装着し、上記第2軸の一方のギヤは軸に対して相対回転可能とし、対応する第1軸のギヤと常時噛合い状態で装着し、上記第2軸の他方のギヤは軸方向移動可能とし、軸方向移動によって、第1軸の対応するギヤとの噛合いと、上記第2軸の相対回転可能ギヤとの係合のいずれか一方が選択的に可能となるよう装着し、上記操作軸には、操作軸の回動に応じてカム機構により軸方向の移動が可能で、かつ上記第2軸の軸方向移動可能ギヤの係合部に係合し、同ギヤを軸方向に移動させる係合部材を装着する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トローリング漁に適した両軸受型リールの変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トローリング漁に用いる両軸受型リールにおいては、大形魚を巻き取る場合は高トルク低速回転とし、小形魚を巻き取る場合は低トルク高速回転とするよう、伝達される回転速度を手動操作によって可変にする変速装置が組込まれている。
【0003】
従来の両軸受型リールでは、スプールの中心部を貫通し右方の変速装置部に突出するスプールの回転軸と、外側の端部にハンドルを備えた中空管状の入力軸が、互いに平行に回転可能に支持されている。入力軸の内側の端部には、軸方向のスリットが設けられている。その外周部に、半径が互いに異なる低速駆動ギヤと高速駆動ギヤとが、軸に対して相対回転可能に支持されている。上記低速駆動ギヤと高速駆動ギヤのボス部には、内面から外方へ向かう半径方向の係合切欠きが形成してある。回転軸には、上記の2種の駆動ギヤにそれぞれ噛合う状態で、低速従動ギヤと高速従動ギヤとが、軸に対して固定されている。
【0004】
入力軸の中空部には棒状の操作軸が軸方向に移動可能に嵌装され、その内端部には、上記スリットから管外へ突出し、上記操作軸の軸方向移動に応じて、上記2個の駆動ギヤの係合用切欠きに選択的に係合する係合片が取付けてある。操作軸の外端部は入力軸の端部に取り付けられているハンドルの回転中心を貫通して外部へ突出し、その端部に変速操作用つまみが設けてある。変速操作を行う場合には、上記つまみを持ち、手動で操作軸を押し込みまたは引き出して、内部の係合片を軸方向に移動させ、低速駆動ギヤと高速駆動ギヤとのいずれかの係合切欠きに選択的に係合させる。これによって係合した方の駆動ギヤは入力軸に対する回転が阻止され、固定ギヤとして機能し、噛合っている固定従動ギヤとの歯数比に応じた回転の伝達が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また別の例として、係合部の機構はほぼ上記の例と同様であるが、操作軸を回動可能にし、操作軸の外端部に操作軸回動操作用つまみを設け、操作軸の押し込み動作は上記の例と同様に手で押し込むが、操作軸の引き出しの場合は、操作軸を回動させて、内部のコイルばねの弾発力で操作軸の引き出しが行われるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−14456号公報(第4−5頁、図2、図3)
【特許文献2】
特開平10−117648号公報(第3−4頁、図2、図5)。
【0007】
いずれの例にも共通していることは、入力軸の中心空間に同軸的に操作軸を配置し、操作軸を軸方向に移動させることによって、操作軸内端部に取付けてある係合片の位置を変更して、目的とするギヤに選択的に係合させるようになっており、操作軸の移動は、操作軸外端部のつまみを介して行うようになっている。そのつまみの位置は、ハンドル回転中心を貫通しハンドル外面に突出した操作軸の外端部に設けられている。
【0008】
【解決しようとする課題】
従来の両軸受リールでは、つまみがハンドルの回転中心の外面に設けられているので、魚巻き上げ操作中に回転速度の変更をしようとする場合には、巻き上げを中止し、つまみ操作の邪魔にならない位置へハンドルを回してから、つまみを操作する必要があった。すなわち、つまみは、はなはだ操作しにくい位置に設けてあった。
【0009】
また、入力軸を中空にしなければならず、さらに内端部には係合片を挿通させるためのスリットを設ける必要があるので、強大な力が加わる入力軸の強度が弱くなるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、入力軸の中空部に操作軸を配置することを止め、入力軸とは別の場所に変速操作のための軸を設け、操作部もハンドルとは別の場所に設けて、変速操作をし易くし、かつ入力軸の強度低下の問題も解消しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、釣り竿に装着される本体枠の内側において回転可能に装着されて釣り糸を巻き取るスプールに、ハンドルからの回転力を伝達すると共に、低速回転と高速回転の切り換えを可能にする両軸受型リールの変速装置において、外端部に上記ハンドルを有し回転可能に支持された入力軸と、上記スプールに回転を伝えるよう回転可能に支持された出力軸と、外端部に操作部を有し回動可能に支持された操作軸の3本の平行な軸を備え、上記入力軸と出力軸のうち、何れか一方を第1軸とし、他方を第2軸と呼ぶことにすると、第1軸には直径の異なる2枚のギヤが固定され、第2軸には上記第1軸のギヤに噛合い可能の2枚のギヤが装着され、上記第2軸の一方のギヤは、軸に対して相対回転可能、軸方向移動不可能であり、対応する第1軸のギヤと常時噛合い状態で装着され、上記第2軸の他方のギヤは、軸に対して相対回不転可能、軸方向移動可能であり、軸方向移動によって、第1軸の対応するギヤとの噛合いと、上記第2軸の相対回転可能ギヤとの係合のいずれか一方が選択的に可能となるよう装着され、上記操作軸には、操作軸の回動に応じてカム機構により軸方向の移動が可能で、かつ上記第2軸の軸方向移動可能ギヤの係合部に係合し、同ギヤを軸方向に移動させる係合部材が装着され、外部からの操作軸の回動によって上記係合部材を介して第2軸の軸方向移動可能ギヤを移動させ、低速回転と高速回転の2種類のギヤ比による選択的な回転力伝達を行うことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は上記のように構成されているので、入力軸とは別の場所に変速操作のための軸を設け、操作部をハンドルとは別の場所に設けてあるので、変速操作がし易く、かつ入力軸の強度低下の問題も解消される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る両軸受型リールを後方から見た図、図2は同リールを右方から見た図である。両軸受型リールは、釣り竿1に装着されるかご状の本体枠2と、この本体枠2の内側に回転自在に装着されて釣り糸を巻き取るスプール3と、この本体枠2の一方の側面に取り付けられスプール3を回転させる駆動手段4と、この本体枠2の他方の側面に取り付けられスプール3に巻かれた釣糸に一定のテンションが作用した時スプール3に釣り糸繰り出し方向の回転を許容するドラッグ機構5とを備えている。
【0014】
図3は同リールの横断面図である。図3の中央部および左側部分は図2の中心部の断面を示しているが、図3の右側の歯車装置部分は図2のX−X断面を、図3の右側のハンドル部分は図2のY−Y断面を示している。図において、駆動手段4は、本体枠2やスプール3などの中央部とを仕切る仕切り壁6の右側の部分であり、ハンドル9、変速装置10、および一方向クラッチ11からなっている。このうちの変速装置10は、仕切り壁6の右側、右サイドカバー7、および副サイドカバー8に囲まれた部分に設けられた歯車群12などからなる部分と、外部に設けられた操作レバー13とから構成される。変速装置10には、3本の軸がある。それは、ハンドル9が連なる入力軸A、歯車群12を介して入力軸Aの回転が伝達される出力軸B、および変速切り換え操作を行うための、上記操作レバー13に連なる操作軸Cである。
【0015】
上記出力軸Bに接続されているスプールの回転軸14はスプール3の中心空洞部を貫通し、左サイドカバー15内に収容されているドラッグ機構5に連結され、ドラッグ機構5はスプール3に接続されている。ドラッグ機構5の構造は図示していないが、回転軸14に連なる内側円錐面と、スプール3に連なる外側円錐面と、上記両円錐面の間で押圧挟持されている複数個のローラからなっている。
【0016】
上記両軸受型リールは、駆動手段4のハンドル9で入力軸Aを回し、その回転が歯車群12を介して出力軸Bを回し、出力軸Bに接続されている回転軸14に伝達され、通常の釣り糸巻き取り時には、回転軸14の回転はドラッグ機構5を介してスプール3に伝達される。上記リールにおいて、一方向クラッチ11は出力軸Bの釣り糸巻取り方向の回転は許容するが、逆方向の回転を阻止するよう働く。
【0017】
ドラッグ機構5は、釣り糸に作用する張力が設定値以下の時は、前記両円錐面の間で押圧されているローラは摩擦力によって転動も摺動もできないので、前記両円錐面は同じ方向に回転し、回転軸14の巻取り方向の回転はスプール3に伝達され、スプールは釣り糸を巻き取る。
【0018】
釣り糸に作用する張力が設定値以上となった時は、釣り糸からスプールに加わる釣り糸繰り出し方向のトルクが両円錐面とローラとの間の摩擦力に打ち勝ち、前記両円錐面の間でローラの転動と摩擦を伴う摺動が生じ、スプール3は、釣り糸に引っ張られて、回転軸14が伝達する回転方向とは逆方向に、抵抗のかかった状態で回転を始める。したがって、釣り糸は抵抗がかかった状態で繰り出される。これは、大型魚による釣り糸の張力によって釣り糸が切れることを防ぐためのドラッグ機構の機能である。上記両軸受型リールのドラッグ機構の詳細については本件出願人が過去に出願した発明に関する特開2002−125541号等に掲載されているので説明を省略する。
【0019】
図3において、ハンドル9は大きく分けると、基端部が入力軸Aに接続されているハンドルアーム20、同ハンドルアームの先端部に上記入力軸Aに平行に突出固定されているハンドルシャフト21、および同ハンドルシャフト21の外周に回転可能に支持されているほぼT字型のハンドルノブ22からなっている。ハンドルノブ22はハンドルシャフト21の外周で回転する筒状部23と、同筒状部23の先端部に直交して取り付けられた棒状の握り部24とからなっている。入力軸Aの端部には、ボルト16を介して取りつけられた雄ネジ部材17があり、ハンドルアーム20の基端部には4本のネジ25で固定された雌ネジ部材26がある。その雌ネジ部材26が、入力軸Aの端部の雄ネジ部材17に螺合してハンドルアーム20を入力軸Aに固定し、ハンドルアーム20の回転を入力軸Aに伝える。
【0020】
図4および図5は変速装置10の断面図である。図4は低速回転状態、図5は高速回転状態を示している。図4において、変速装置10の主要部は仕切り壁6、右サイドカバー7、および副サイドカバー8に囲まれた室に収容されている。上記変速装置10とハンドル9等を含む駆動手段4は、ボルト18によって、本体枠2の右端に取付けられている。
【0021】
ハンドルアーム20に連なる入力軸Aは、仕切り壁6と副サイドカバー8とによって、ボールベアリング31、32を介して回転可能に支持されている。出力軸Bは、スプール3(図3)と副サイドカバー8とによって、ボールベアリング33、34を介して、回転可能に支持されている。操作レバー13に連なる操作軸Cの左端は、仕切り壁6に設けられた凹部35に回動可能に支持され、右端は副サイドカバー8に嵌装された支持部材36によって、貫通孔を有する円板部材37を介して、回動可能に支持されている。
【0022】
入力軸Aには低速駆動ギヤ40と、同低速駆動ギヤ40より直径の大きい高速駆動ギヤ41が嵌装してある。低速駆動ギヤ40はキー42を介して緩やかに嵌装してあり、入力軸Aに対して相対回転不可能であるが、軸方向摺動は可能である。歯車の歯に近い部分に、一対の係合用ピン43が軸方向に圧入固定してあり、左方へ突出している。これは高速駆動ギヤ41に係合させるためのものである。このギヤのボス部には、その周囲を取り巻く環状溝40aが設けてある。これは、操作軸Cに装着されたシフトフォーク51の二叉部51aが係合される溝である。図6はシフトフォーク51および歯車部を右方から見た図である。図6には各軸A、B、Cの中心位置、シフトフォーク51の形状、および各ギヤの噛合い状態が示してある。
【0023】
図4において、入力軸Aの上記低速駆動ギヤ40の左側に高速駆動ギヤ41が、入力軸Aに対して相対回転可能に嵌装してある。ただし、軸方向には移動できないようになっている。このギヤには、上記低速駆動ギヤ40の係合用ピン43に対応する半径位置に一対の貫通孔41aが設けてある。これは上記の軸方向移動可能な低速駆動ギヤ40が移動し接近した時、その係合用ピン43が挿入される孔である。
【0024】
出力軸Bには、低速従動ギヤ45と、同低速従動ギヤ45より直径の小さい高速従動ギヤ46が設けてある。低速従動ギヤ45はキー47を介して嵌装されているので、軸に対して相対回転不可能である。又軸方向にも移動できないようになっている。上記の軸方向移動可能な低速駆動ギヤ40が、対応する位置にある時だけ、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45とは噛合う。
【0025】
出力軸Bの上記低速従動ギヤ45の左側に、高速従動ギヤ46が設けてある。この高速従動ギヤ46は出力軸Bと一体に製作されたものであり、上記高速駆動ギヤ41と常時噛合っている。
【0026】
操作軸Cには、カム当接ピン50とシフトフォーク51とコイルばね52が装着してある。カム当接ピン50は操作軸Cの中心線に直交する貫通孔に圧入固定され、その両端は突出している。シフトフォーク51は上記カム当接ピン50に隣接して、操作軸Cに対して周方向軸方向共に摺動可能に嵌装してある。シフトフォーク51のボス部51bの、上記カム当接ピン50側の端面にカム51cが形成してある。カム当接ピン50は操作軸Cの両側から突出しており、カム51cもボス部51bの両側に半周づつ形成してあるので、それぞれのピン突出部とカム面とが当接する。コイルばね52は上記シフトフォーク51のボス部51bをカム当接ピン50の方へ押している。
【0027】
操作軸Cの右端部は、操作軸支持部材36の中心孔から外方へ突出し、その先には操作レバー13が取付けボルト53によって固定されている。操作レバー13をつまんで回動させると、操作軸が連動して回動する。仕切り壁6の、操作軸Cに近い位置に、カム当接ピン50の突出部を当接させるためのストッパーボルト54が立設してあり、操作軸Cが回動した時、カム当接ピン50の一方の突出部、または他方の突出部の何れかが当接して、回動が止まる。このストッパーボルト54とカム当接ピン50による操作軸Cの回動制限によって、回動の範囲は約130度となっている。図2に操作レバー13の回動終端位置、すなわち低速回転時の位置(実線)と高速回転時の位置(一点鎖線)が示してある。
【0028】
変速装置10の構成は上述のようになっている。次にこの変速装置10の作用について述べる。初めは、大形魚に適した高トルクの巻き込み力を得るための低速回転状態にあるとする。この時には、操作レバー13は、図2に示されているように、低速回転側に倒されている。この時、変速装置10の低速駆動ギヤ40やフォーク51は、図4に示した低速回転状態の位置にある。この状態では、操作軸Cにおいて、カム当接ピン50の一方の突出部はストッパボルト54に当接しており、カム当接ピン50の突出部はカム51cの山に乗り上げ、シフトフォーク51を最も右側の位置へ押している。コイルばね52はシフトフォークのボス部51bと円板部材37との間で押し縮められている。
【0029】
入力軸の低速駆動ギヤ40の環状溝40aにはシフトフォーク51の二叉部51aが嵌っているので、同低速駆動ギヤ40は、シフトフォーク51と同じく、最も右側の位置にあり、出力軸Bの低速従動ギヤ45に噛合っている。入力軸Aの回転は、低速駆動ギヤ40、および低速従動ギヤ45を経て、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45の歯数比に応じて、低速回転が出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、高トルク低速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0030】
この状態から、小形魚を高速回転で短時間に巻き込むための高速回転状態に切り換えようとする場合には、操作レバー13を、図2に示されている高速回転側に倒す。この時、操作軸Cは操作レバー13と共に回動し、カム当接ピン50の突出部も回動する。カム51cを介してカム当接ピン50の突出部に当接しているシフトフォーク51は、カム当接ピン50の突出部の動きに連れて、コイルばね52に押されて左方へ移動する。
【0031】
低速駆動ギヤ40の環状溝40aには上記シフトフォーク51の二叉部51aが係合しているので、シフトフォーク51の左方移動に伴って、低速駆動ギヤ40も左方移動する。この時、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45との噛合いが外れるとともに、低速駆動ギヤ40に固定されている係合用ピン43が高速駆動ギヤ41の貫通孔41aに係合する。この係合によって、入力軸Aに対して相対回転可能の高速駆動ギヤ41が、相対回転不可能の低速駆動ギヤ40を介して入力軸Aに固定される。入力軸Aの回転は、低速駆動ギヤ40、高速駆動ギヤ41、および高速従動ギヤ46を経て、高速駆動ギヤ41と高速従動ギヤ46の歯数比に応じた高速回転が出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、低トルク高速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0032】
上記低速駆動ギヤ40の移動時に、係合用ピン43の正面に高速駆動ギヤ41の貫通孔41aがあれば当然係合用ピン43は直ちに貫通孔41aに挿通され、低速駆動ギヤ40およびシフトフォーク51は最も左端位置に達して止まるが、一般には、操作軸Cのカム当接ピン50が回動の終端のストッパボルト54に当接して止まっても、低速駆動ギヤ40の係合用ピン43は貫通孔の無い部分に当接し、低速駆動ギヤ40は中間位置で止まるので、シフトフォーク51も中間位置で止まる。この場合は、ハンドルを回せば、係合用ピン43は貫通孔41aの正面に達するので、係合用ピン43は貫通孔41aに挿入され、低速駆動ギヤ40およびシフトフォーク51は最も左端位置に達して止まることができる。
【0033】
高速回転状態から低速回転状態へ切り替える場合は、上記とは逆の手順であり、操作レバー13を、図2に示されている低速回転側に倒す。この時、操作軸Cは操作レバー13と共に回動し、カム当接ピン50の突出部がコイルばねの弾発力に抗してカム51cを押し、シフトフォークを右方へ移動させ、低速駆動ギヤ40を右方へ移動させ、低速従動ギヤ45と噛合わせ、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45との歯数比に応じた低速回転が、入力軸Aから出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、高トルク低速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0034】
本実施形態の両軸受リールは、入力軸とは別の場所に操作軸を設け、操作レバーをハンドルとは別の場所に設けてあるので、変速操作がし易い。すなわち、変速操作のために、巻き上げ操作を一時中止する必要が無く、巻き上げ操作中でも変速操作を行うことができる。また、操作軸を入力軸とは別の場所に設けてあるので、入力軸を中空にする必要がないので、入力軸の強度低下の問題も解消されている。
【0035】
上記実施形態では、入力軸に軸方向摺動可能ギヤと軸に対して相対回転可能なギヤとを設け、出力軸に2個の固定ギヤを設けた例を示したが、構成を逆にして、入力軸に2個の固定ギヤを設け、出力軸に軸方向摺動可能ギヤと軸に対して相対回転可能なギヤとを設け、出力軸の軸方向摺動可能ギヤをシフトフォークで操作するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る両軸受型リールを後方から見た図
【図2】同リールを右方から見た図
【図3】同リールの断面図である。
【図4】上記リールの変速装置の低速回転状態における断面図である。
【図5】上記リールの変速装置の高速回転状態における断面図である。
【図6】上記変速装置のシフトフォークおよび歯車部を右方から見た図である。
【符号の説明】
A…入力軸、B…出力軸、C…操作軸、1…釣り竿、2…本体枠、3…スプール、4…駆動手段、5…ドラッグ機構、6…仕切り壁、7…右サイドカバー、8…副サイドカバー、9…ハンドル、10…変速装置 、11…一方向クラッチ、12…歯車群、13…操作レバー、14…回転軸、15…左サイドカバー、16…ボルト、17…雄ネジ部材、18…ボルト、20…ハンドルアーム、21…ハンドルシャフト、22…ハンドルノブ、23…筒状部、24…握り部、25…ネジ、26…雌ネジ部材、31…ボールベアリング、32…ボールベアリング、33…ボールベアリング、34…ボールベアリング、35…凹部、36…操作軸支持部材、37…貫通孔を有する円板部材、40…低速駆動ギヤ、40a…環状溝、41…高速駆動ギヤ、41a…貫通孔、42…キー、43…係合用ピン、45…低速従動ギヤ、46…高速従動ギヤ、47…キー、50…カム当接ピン、51…シフトフォーク、51a…二叉部、51b…ボス部、51c…カム、52…コイルばね、53…取付けボルト、54…ストッパーボルト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トローリング漁に適した両軸受型リールの変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トローリング漁に用いる両軸受型リールにおいては、大形魚を巻き取る場合は高トルク低速回転とし、小形魚を巻き取る場合は低トルク高速回転とするよう、伝達される回転速度を手動操作によって可変にする変速装置が組込まれている。
【0003】
従来の両軸受型リールでは、スプールの中心部を貫通し右方の変速装置部に突出するスプールの回転軸と、外側の端部にハンドルを備えた中空管状の入力軸が、互いに平行に回転可能に支持されている。入力軸の内側の端部には、軸方向のスリットが設けられている。その外周部に、半径が互いに異なる低速駆動ギヤと高速駆動ギヤとが、軸に対して相対回転可能に支持されている。上記低速駆動ギヤと高速駆動ギヤのボス部には、内面から外方へ向かう半径方向の係合切欠きが形成してある。回転軸には、上記の2種の駆動ギヤにそれぞれ噛合う状態で、低速従動ギヤと高速従動ギヤとが、軸に対して固定されている。
【0004】
入力軸の中空部には棒状の操作軸が軸方向に移動可能に嵌装され、その内端部には、上記スリットから管外へ突出し、上記操作軸の軸方向移動に応じて、上記2個の駆動ギヤの係合用切欠きに選択的に係合する係合片が取付けてある。操作軸の外端部は入力軸の端部に取り付けられているハンドルの回転中心を貫通して外部へ突出し、その端部に変速操作用つまみが設けてある。変速操作を行う場合には、上記つまみを持ち、手動で操作軸を押し込みまたは引き出して、内部の係合片を軸方向に移動させ、低速駆動ギヤと高速駆動ギヤとのいずれかの係合切欠きに選択的に係合させる。これによって係合した方の駆動ギヤは入力軸に対する回転が阻止され、固定ギヤとして機能し、噛合っている固定従動ギヤとの歯数比に応じた回転の伝達が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また別の例として、係合部の機構はほぼ上記の例と同様であるが、操作軸を回動可能にし、操作軸の外端部に操作軸回動操作用つまみを設け、操作軸の押し込み動作は上記の例と同様に手で押し込むが、操作軸の引き出しの場合は、操作軸を回動させて、内部のコイルばねの弾発力で操作軸の引き出しが行われるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−14456号公報(第4−5頁、図2、図3)
【特許文献2】
特開平10−117648号公報(第3−4頁、図2、図5)。
【0007】
いずれの例にも共通していることは、入力軸の中心空間に同軸的に操作軸を配置し、操作軸を軸方向に移動させることによって、操作軸内端部に取付けてある係合片の位置を変更して、目的とするギヤに選択的に係合させるようになっており、操作軸の移動は、操作軸外端部のつまみを介して行うようになっている。そのつまみの位置は、ハンドル回転中心を貫通しハンドル外面に突出した操作軸の外端部に設けられている。
【0008】
【解決しようとする課題】
従来の両軸受リールでは、つまみがハンドルの回転中心の外面に設けられているので、魚巻き上げ操作中に回転速度の変更をしようとする場合には、巻き上げを中止し、つまみ操作の邪魔にならない位置へハンドルを回してから、つまみを操作する必要があった。すなわち、つまみは、はなはだ操作しにくい位置に設けてあった。
【0009】
また、入力軸を中空にしなければならず、さらに内端部には係合片を挿通させるためのスリットを設ける必要があるので、強大な力が加わる入力軸の強度が弱くなるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、入力軸の中空部に操作軸を配置することを止め、入力軸とは別の場所に変速操作のための軸を設け、操作部もハンドルとは別の場所に設けて、変速操作をし易くし、かつ入力軸の強度低下の問題も解消しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、釣り竿に装着される本体枠の内側において回転可能に装着されて釣り糸を巻き取るスプールに、ハンドルからの回転力を伝達すると共に、低速回転と高速回転の切り換えを可能にする両軸受型リールの変速装置において、外端部に上記ハンドルを有し回転可能に支持された入力軸と、上記スプールに回転を伝えるよう回転可能に支持された出力軸と、外端部に操作部を有し回動可能に支持された操作軸の3本の平行な軸を備え、上記入力軸と出力軸のうち、何れか一方を第1軸とし、他方を第2軸と呼ぶことにすると、第1軸には直径の異なる2枚のギヤが固定され、第2軸には上記第1軸のギヤに噛合い可能の2枚のギヤが装着され、上記第2軸の一方のギヤは、軸に対して相対回転可能、軸方向移動不可能であり、対応する第1軸のギヤと常時噛合い状態で装着され、上記第2軸の他方のギヤは、軸に対して相対回不転可能、軸方向移動可能であり、軸方向移動によって、第1軸の対応するギヤとの噛合いと、上記第2軸の相対回転可能ギヤとの係合のいずれか一方が選択的に可能となるよう装着され、上記操作軸には、操作軸の回動に応じてカム機構により軸方向の移動が可能で、かつ上記第2軸の軸方向移動可能ギヤの係合部に係合し、同ギヤを軸方向に移動させる係合部材が装着され、外部からの操作軸の回動によって上記係合部材を介して第2軸の軸方向移動可能ギヤを移動させ、低速回転と高速回転の2種類のギヤ比による選択的な回転力伝達を行うことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は上記のように構成されているので、入力軸とは別の場所に変速操作のための軸を設け、操作部をハンドルとは別の場所に設けてあるので、変速操作がし易く、かつ入力軸の強度低下の問題も解消される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る両軸受型リールを後方から見た図、図2は同リールを右方から見た図である。両軸受型リールは、釣り竿1に装着されるかご状の本体枠2と、この本体枠2の内側に回転自在に装着されて釣り糸を巻き取るスプール3と、この本体枠2の一方の側面に取り付けられスプール3を回転させる駆動手段4と、この本体枠2の他方の側面に取り付けられスプール3に巻かれた釣糸に一定のテンションが作用した時スプール3に釣り糸繰り出し方向の回転を許容するドラッグ機構5とを備えている。
【0014】
図3は同リールの横断面図である。図3の中央部および左側部分は図2の中心部の断面を示しているが、図3の右側の歯車装置部分は図2のX−X断面を、図3の右側のハンドル部分は図2のY−Y断面を示している。図において、駆動手段4は、本体枠2やスプール3などの中央部とを仕切る仕切り壁6の右側の部分であり、ハンドル9、変速装置10、および一方向クラッチ11からなっている。このうちの変速装置10は、仕切り壁6の右側、右サイドカバー7、および副サイドカバー8に囲まれた部分に設けられた歯車群12などからなる部分と、外部に設けられた操作レバー13とから構成される。変速装置10には、3本の軸がある。それは、ハンドル9が連なる入力軸A、歯車群12を介して入力軸Aの回転が伝達される出力軸B、および変速切り換え操作を行うための、上記操作レバー13に連なる操作軸Cである。
【0015】
上記出力軸Bに接続されているスプールの回転軸14はスプール3の中心空洞部を貫通し、左サイドカバー15内に収容されているドラッグ機構5に連結され、ドラッグ機構5はスプール3に接続されている。ドラッグ機構5の構造は図示していないが、回転軸14に連なる内側円錐面と、スプール3に連なる外側円錐面と、上記両円錐面の間で押圧挟持されている複数個のローラからなっている。
【0016】
上記両軸受型リールは、駆動手段4のハンドル9で入力軸Aを回し、その回転が歯車群12を介して出力軸Bを回し、出力軸Bに接続されている回転軸14に伝達され、通常の釣り糸巻き取り時には、回転軸14の回転はドラッグ機構5を介してスプール3に伝達される。上記リールにおいて、一方向クラッチ11は出力軸Bの釣り糸巻取り方向の回転は許容するが、逆方向の回転を阻止するよう働く。
【0017】
ドラッグ機構5は、釣り糸に作用する張力が設定値以下の時は、前記両円錐面の間で押圧されているローラは摩擦力によって転動も摺動もできないので、前記両円錐面は同じ方向に回転し、回転軸14の巻取り方向の回転はスプール3に伝達され、スプールは釣り糸を巻き取る。
【0018】
釣り糸に作用する張力が設定値以上となった時は、釣り糸からスプールに加わる釣り糸繰り出し方向のトルクが両円錐面とローラとの間の摩擦力に打ち勝ち、前記両円錐面の間でローラの転動と摩擦を伴う摺動が生じ、スプール3は、釣り糸に引っ張られて、回転軸14が伝達する回転方向とは逆方向に、抵抗のかかった状態で回転を始める。したがって、釣り糸は抵抗がかかった状態で繰り出される。これは、大型魚による釣り糸の張力によって釣り糸が切れることを防ぐためのドラッグ機構の機能である。上記両軸受型リールのドラッグ機構の詳細については本件出願人が過去に出願した発明に関する特開2002−125541号等に掲載されているので説明を省略する。
【0019】
図3において、ハンドル9は大きく分けると、基端部が入力軸Aに接続されているハンドルアーム20、同ハンドルアームの先端部に上記入力軸Aに平行に突出固定されているハンドルシャフト21、および同ハンドルシャフト21の外周に回転可能に支持されているほぼT字型のハンドルノブ22からなっている。ハンドルノブ22はハンドルシャフト21の外周で回転する筒状部23と、同筒状部23の先端部に直交して取り付けられた棒状の握り部24とからなっている。入力軸Aの端部には、ボルト16を介して取りつけられた雄ネジ部材17があり、ハンドルアーム20の基端部には4本のネジ25で固定された雌ネジ部材26がある。その雌ネジ部材26が、入力軸Aの端部の雄ネジ部材17に螺合してハンドルアーム20を入力軸Aに固定し、ハンドルアーム20の回転を入力軸Aに伝える。
【0020】
図4および図5は変速装置10の断面図である。図4は低速回転状態、図5は高速回転状態を示している。図4において、変速装置10の主要部は仕切り壁6、右サイドカバー7、および副サイドカバー8に囲まれた室に収容されている。上記変速装置10とハンドル9等を含む駆動手段4は、ボルト18によって、本体枠2の右端に取付けられている。
【0021】
ハンドルアーム20に連なる入力軸Aは、仕切り壁6と副サイドカバー8とによって、ボールベアリング31、32を介して回転可能に支持されている。出力軸Bは、スプール3(図3)と副サイドカバー8とによって、ボールベアリング33、34を介して、回転可能に支持されている。操作レバー13に連なる操作軸Cの左端は、仕切り壁6に設けられた凹部35に回動可能に支持され、右端は副サイドカバー8に嵌装された支持部材36によって、貫通孔を有する円板部材37を介して、回動可能に支持されている。
【0022】
入力軸Aには低速駆動ギヤ40と、同低速駆動ギヤ40より直径の大きい高速駆動ギヤ41が嵌装してある。低速駆動ギヤ40はキー42を介して緩やかに嵌装してあり、入力軸Aに対して相対回転不可能であるが、軸方向摺動は可能である。歯車の歯に近い部分に、一対の係合用ピン43が軸方向に圧入固定してあり、左方へ突出している。これは高速駆動ギヤ41に係合させるためのものである。このギヤのボス部には、その周囲を取り巻く環状溝40aが設けてある。これは、操作軸Cに装着されたシフトフォーク51の二叉部51aが係合される溝である。図6はシフトフォーク51および歯車部を右方から見た図である。図6には各軸A、B、Cの中心位置、シフトフォーク51の形状、および各ギヤの噛合い状態が示してある。
【0023】
図4において、入力軸Aの上記低速駆動ギヤ40の左側に高速駆動ギヤ41が、入力軸Aに対して相対回転可能に嵌装してある。ただし、軸方向には移動できないようになっている。このギヤには、上記低速駆動ギヤ40の係合用ピン43に対応する半径位置に一対の貫通孔41aが設けてある。これは上記の軸方向移動可能な低速駆動ギヤ40が移動し接近した時、その係合用ピン43が挿入される孔である。
【0024】
出力軸Bには、低速従動ギヤ45と、同低速従動ギヤ45より直径の小さい高速従動ギヤ46が設けてある。低速従動ギヤ45はキー47を介して嵌装されているので、軸に対して相対回転不可能である。又軸方向にも移動できないようになっている。上記の軸方向移動可能な低速駆動ギヤ40が、対応する位置にある時だけ、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45とは噛合う。
【0025】
出力軸Bの上記低速従動ギヤ45の左側に、高速従動ギヤ46が設けてある。この高速従動ギヤ46は出力軸Bと一体に製作されたものであり、上記高速駆動ギヤ41と常時噛合っている。
【0026】
操作軸Cには、カム当接ピン50とシフトフォーク51とコイルばね52が装着してある。カム当接ピン50は操作軸Cの中心線に直交する貫通孔に圧入固定され、その両端は突出している。シフトフォーク51は上記カム当接ピン50に隣接して、操作軸Cに対して周方向軸方向共に摺動可能に嵌装してある。シフトフォーク51のボス部51bの、上記カム当接ピン50側の端面にカム51cが形成してある。カム当接ピン50は操作軸Cの両側から突出しており、カム51cもボス部51bの両側に半周づつ形成してあるので、それぞれのピン突出部とカム面とが当接する。コイルばね52は上記シフトフォーク51のボス部51bをカム当接ピン50の方へ押している。
【0027】
操作軸Cの右端部は、操作軸支持部材36の中心孔から外方へ突出し、その先には操作レバー13が取付けボルト53によって固定されている。操作レバー13をつまんで回動させると、操作軸が連動して回動する。仕切り壁6の、操作軸Cに近い位置に、カム当接ピン50の突出部を当接させるためのストッパーボルト54が立設してあり、操作軸Cが回動した時、カム当接ピン50の一方の突出部、または他方の突出部の何れかが当接して、回動が止まる。このストッパーボルト54とカム当接ピン50による操作軸Cの回動制限によって、回動の範囲は約130度となっている。図2に操作レバー13の回動終端位置、すなわち低速回転時の位置(実線)と高速回転時の位置(一点鎖線)が示してある。
【0028】
変速装置10の構成は上述のようになっている。次にこの変速装置10の作用について述べる。初めは、大形魚に適した高トルクの巻き込み力を得るための低速回転状態にあるとする。この時には、操作レバー13は、図2に示されているように、低速回転側に倒されている。この時、変速装置10の低速駆動ギヤ40やフォーク51は、図4に示した低速回転状態の位置にある。この状態では、操作軸Cにおいて、カム当接ピン50の一方の突出部はストッパボルト54に当接しており、カム当接ピン50の突出部はカム51cの山に乗り上げ、シフトフォーク51を最も右側の位置へ押している。コイルばね52はシフトフォークのボス部51bと円板部材37との間で押し縮められている。
【0029】
入力軸の低速駆動ギヤ40の環状溝40aにはシフトフォーク51の二叉部51aが嵌っているので、同低速駆動ギヤ40は、シフトフォーク51と同じく、最も右側の位置にあり、出力軸Bの低速従動ギヤ45に噛合っている。入力軸Aの回転は、低速駆動ギヤ40、および低速従動ギヤ45を経て、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45の歯数比に応じて、低速回転が出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、高トルク低速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0030】
この状態から、小形魚を高速回転で短時間に巻き込むための高速回転状態に切り換えようとする場合には、操作レバー13を、図2に示されている高速回転側に倒す。この時、操作軸Cは操作レバー13と共に回動し、カム当接ピン50の突出部も回動する。カム51cを介してカム当接ピン50の突出部に当接しているシフトフォーク51は、カム当接ピン50の突出部の動きに連れて、コイルばね52に押されて左方へ移動する。
【0031】
低速駆動ギヤ40の環状溝40aには上記シフトフォーク51の二叉部51aが係合しているので、シフトフォーク51の左方移動に伴って、低速駆動ギヤ40も左方移動する。この時、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45との噛合いが外れるとともに、低速駆動ギヤ40に固定されている係合用ピン43が高速駆動ギヤ41の貫通孔41aに係合する。この係合によって、入力軸Aに対して相対回転可能の高速駆動ギヤ41が、相対回転不可能の低速駆動ギヤ40を介して入力軸Aに固定される。入力軸Aの回転は、低速駆動ギヤ40、高速駆動ギヤ41、および高速従動ギヤ46を経て、高速駆動ギヤ41と高速従動ギヤ46の歯数比に応じた高速回転が出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、低トルク高速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0032】
上記低速駆動ギヤ40の移動時に、係合用ピン43の正面に高速駆動ギヤ41の貫通孔41aがあれば当然係合用ピン43は直ちに貫通孔41aに挿通され、低速駆動ギヤ40およびシフトフォーク51は最も左端位置に達して止まるが、一般には、操作軸Cのカム当接ピン50が回動の終端のストッパボルト54に当接して止まっても、低速駆動ギヤ40の係合用ピン43は貫通孔の無い部分に当接し、低速駆動ギヤ40は中間位置で止まるので、シフトフォーク51も中間位置で止まる。この場合は、ハンドルを回せば、係合用ピン43は貫通孔41aの正面に達するので、係合用ピン43は貫通孔41aに挿入され、低速駆動ギヤ40およびシフトフォーク51は最も左端位置に達して止まることができる。
【0033】
高速回転状態から低速回転状態へ切り替える場合は、上記とは逆の手順であり、操作レバー13を、図2に示されている低速回転側に倒す。この時、操作軸Cは操作レバー13と共に回動し、カム当接ピン50の突出部がコイルばねの弾発力に抗してカム51cを押し、シフトフォークを右方へ移動させ、低速駆動ギヤ40を右方へ移動させ、低速従動ギヤ45と噛合わせ、低速駆動ギヤ40と低速従動ギヤ45との歯数比に応じた低速回転が、入力軸Aから出力軸Bに伝達される。出力軸Bの回転は、高トルク低速回転として回転軸14を経てスプール3へ伝達される。
【0034】
本実施形態の両軸受リールは、入力軸とは別の場所に操作軸を設け、操作レバーをハンドルとは別の場所に設けてあるので、変速操作がし易い。すなわち、変速操作のために、巻き上げ操作を一時中止する必要が無く、巻き上げ操作中でも変速操作を行うことができる。また、操作軸を入力軸とは別の場所に設けてあるので、入力軸を中空にする必要がないので、入力軸の強度低下の問題も解消されている。
【0035】
上記実施形態では、入力軸に軸方向摺動可能ギヤと軸に対して相対回転可能なギヤとを設け、出力軸に2個の固定ギヤを設けた例を示したが、構成を逆にして、入力軸に2個の固定ギヤを設け、出力軸に軸方向摺動可能ギヤと軸に対して相対回転可能なギヤとを設け、出力軸の軸方向摺動可能ギヤをシフトフォークで操作するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る両軸受型リールを後方から見た図
【図2】同リールを右方から見た図
【図3】同リールの断面図である。
【図4】上記リールの変速装置の低速回転状態における断面図である。
【図5】上記リールの変速装置の高速回転状態における断面図である。
【図6】上記変速装置のシフトフォークおよび歯車部を右方から見た図である。
【符号の説明】
A…入力軸、B…出力軸、C…操作軸、1…釣り竿、2…本体枠、3…スプール、4…駆動手段、5…ドラッグ機構、6…仕切り壁、7…右サイドカバー、8…副サイドカバー、9…ハンドル、10…変速装置 、11…一方向クラッチ、12…歯車群、13…操作レバー、14…回転軸、15…左サイドカバー、16…ボルト、17…雄ネジ部材、18…ボルト、20…ハンドルアーム、21…ハンドルシャフト、22…ハンドルノブ、23…筒状部、24…握り部、25…ネジ、26…雌ネジ部材、31…ボールベアリング、32…ボールベアリング、33…ボールベアリング、34…ボールベアリング、35…凹部、36…操作軸支持部材、37…貫通孔を有する円板部材、40…低速駆動ギヤ、40a…環状溝、41…高速駆動ギヤ、41a…貫通孔、42…キー、43…係合用ピン、45…低速従動ギヤ、46…高速従動ギヤ、47…キー、50…カム当接ピン、51…シフトフォーク、51a…二叉部、51b…ボス部、51c…カム、52…コイルばね、53…取付けボルト、54…ストッパーボルト。
Claims (1)
- 釣り竿に装着される本体枠の内側において回転可能に装着されて釣り糸を巻き取るスプールに、ハンドルからの回転力を伝達すると共に、低速回転と高速回転の切り換えを可能にする両軸受型リールの変速装置において、
外端部に上記ハンドルを有し回転可能に支持された入力軸と、上記スプールに回転を伝えるよう回転可能に支持された出力軸と、外端部に操作部を有し回動可能に支持された操作軸の3本の平行な軸を備え、
上記入力軸と出力軸のうち、何れか一方を第1軸とし、他方を第2軸と呼ぶことにすると、
第1軸には直径の異なる2枚のギヤが固定され、
第2軸には上記第1軸のギヤに噛合い可能の2枚のギヤが装着され、
上記第2軸の一方のギヤは、軸に対して相対回転可能、軸方向移動不可能であり、対応する第1軸のギヤと常時噛合い状態で装着され、
上記第2軸の他方のギヤは、軸に対して相対回不転可能、軸方向移動可能であり、軸方向移動によって、第1軸の対応するギヤとの噛合いと、上記第2軸の相対回転可能ギヤとの係合のいずれか一方が選択的に可能となるよう装着され、
上記操作軸には、操作軸の回動に応じてカム機構により軸方向の移動が可能で、かつ上記第2軸の軸方向移動可能ギヤの係合部に係合し、同ギヤを軸方向に移動させる係合部材が装着され、
外部からの操作軸の回動によって上記係合部材を介して第2軸の軸方向移動可能ギヤを移動させ、低速回転と高速回転の2種類のギヤ比による選択的な回転力伝達を行うことを特徴とする両軸受型リールの変速装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
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CN107294277A (zh) * | 2017-07-21 | 2017-10-24 | 杭州星冠机械科技有限公司 | 一种拉丝机主传动机构 |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002300214A patent/JP2004129624A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN107294277B (zh) * | 2017-07-21 | 2024-03-26 | 杭州星冠机械科技有限公司 | 一种拉丝机主传动机构 |
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