JP2004129558A - 細胞培養用容器、スクレーパーおよび細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養用容器、スクレーパーおよび細胞培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】足場依存性動物細胞の継代培養操作を閉鎖系で行うことができるようにする。
【解決手段】開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した本体部と、上記本体部の開口部を覆う蓋と、上記本体部の内部に配置されるとともに、所定形状に形成されかつ磁力を帯び、上記本体部の内部に位置した状態で、他の磁性体によって上記本体部の外部からの操作で移動自在なスクレーパーとを有する。さらに、上記本体部の内部に位置し、上記本体部の内部に注入される培養対象の細胞を含まない培養液を、上記培養対象の細胞を含む培養液と混合せずに隔離する仕切り部材とを有する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養用容器、スクレーパーおよび細胞培養方法に関し、さらに詳細には、足場依存性動物細胞の培養に用いて好適な細胞培養用容器、スクレーパーおよび細胞培養方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において「足場依存性動物細胞」とは、動物由来の細胞であって、固体の表面に付着し伸展状態とならなければ増殖し難い細胞であり、「足場依存性動物細胞」としては、例えば、ヒトの通常2倍体線維芽細胞などが知られている。
【0003】
また、本明細書においては、「足場依存性動物細胞が付着し伸展状態となって増殖可能な固体の表面」を、適宜に「培養面」と称することとする。
【0004】
【従来の技術】
近年、足場依存性動物細胞を培養して増殖させる技術は、バイオテクノロジーの領域において広く普及しており、インターフェロンやエリスロポエチンなどのバイオ医薬品の生産などからも明らかなように、その工業的な意義の大きい技術である。
【0005】
このため、様々の細胞培養技術が開発されているが、その基本的な細胞培養技術としては、古くから知られている細胞培養技術がそのまま継承されているものである。
【0006】
例えば、細胞培養技術が発達した1960年代から、所謂、細胞密度効果が知られており、培養動物細胞は一般的に、細胞と細胞の間隙が少ない密度で培養した方が増殖しやすいという性質を有している。つまり、培養動物細胞は、互いの細胞間隙が広く空いていると増殖しにくくなり、栄養補給や酸素供給が十分な状態であっても死滅することがある。
【0007】
また、増殖培養の対象である細胞を、別の異なる細胞を含む生物学的活性化法により刺激して増殖を容易にする場合においても、細胞密度効果により、両者の細胞それぞれの細胞密度が高い方が、相手方の細胞への刺激効果が高くなり、容易に増殖させることができる。
【0008】
そして、上記した細胞密度効果の影響が大きい細胞が多い足場依存性動物細胞を大量に培養する場合には、まず、細胞数の少ない培養初期には、小さな培養面を有する小さな培養用容器で細胞密度を下げないようにして初期培養を行う。
【0009】
その後、小さな培養用容器の小さな培養面における増殖限界点に細胞が到達する頃に、従前の小さな培養面に比べて大きな培養面を有する培養用容器に細胞を植え継ぐ継代培養操作を行い、細胞の増殖性を維持するようになされている。
【0010】
こうした従来の足場依存性動物細胞の培養に用いられる培養用容器としては、培養用ディッシュの他に、例えば、各種サイズの培養用フラスコが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−233671号公報(図1(a)(b))
この培養容器である培養用フラスコにおいては、内部に足場依存性動物細胞と培養液とを注入した本体部にキャップをして密封し、本体部の略矩形形状の培養面に足場依存性動物細胞が付着し伸展状態となって培養が行われる。
【0012】
そして、培養面における増殖限界点に足場依存性動物細胞が到達する頃には、培養用フラスコの外部空間を無菌的に維持するクリーンベンチやクリーンルームを用い、培養用フラスコのキャップを外して、本体部の内部にトリプシン液などを注入する。これにより、培養用フラスコの培養面に付着している足場依存性動物細胞を、付着し足場となっている培養面から剥して培養液中に浮遊させ、従前の培養面より大きな培養面を有するより大きなサイズの培養用フラスコに移して継代培養の操作が行われる。
【0013】
こうした従来の足場依存性動物細胞の継代培養の操作は、開放系の継代培養操作であって、継代培養の操作中は、通常の外部空間に漂う雑菌による汚染を避けるために、培養用容器外において無菌操作を行わなければならないという問題点があった。
【0014】
また、従来の足場依存性動物細胞の継代培養操作に際しては、無菌操作が欠かせないため、培養用容器である培養用フラスコの外部空間を無菌的に維持するのに、無菌空間を確保する大型のクリーンベンチやクリーンルームの設備を整えなければならないという問題点があった。
【0015】
そして、こうしたクリーンベンチやクリーンルームなどの無菌空間において、継代培養を無菌操作によって行うには、操作に使用する全ての器具類を無菌的に維持した状態で、無菌操作に習熟した作業者が継代培養を行わなければならず、継代培養操作が非常に煩雑であるという問題点があった。
【0016】
なお、足場依存性動物細胞とは異なる足場非依存性の浮遊性細胞の場合には、閉鎖系のまま継代培養操作が可能な方法が提案されている。
【0017】
具体的には、内部が無菌的な2本のプラスチック製チューブを、無菌的な状態のまま切断、再接合できるチューブコネクターを用いる。このチューブとチューブコネクターとによって連結された2つのプラスチックバッグのうちの一方のプラスチックバッグの内部に、培養液に懸濁培養が可能な足場非依存性の浮遊性細胞を収容するとともに、他方のプラスチックバッグには培養液のみを収容する。そして、チューブを介して、足場非依存性の浮遊性細胞を収容したプラスチックバッグの内部に培養液を無菌的に注入することにより、容易に培養液量を拡大できる。
【0018】
つまり、足場非依存性の浮遊性細胞を収容したプラスチックバッグを開封することなく、プラスチックバッグの外部からの操作のみの閉鎖系で、足場非依存性の浮遊性細胞は継代培養操作を行うことが可能となっていた。
【0019】
しかしながら、足場依存性動物細胞の場合には、付着している足場依存性動物細胞を培養面から剥すためのトリプシン液などを、培養用容器を開封して注入する必要があるので、上記したような足場非依存性の浮遊性細胞では可能な閉鎖系の継代培養操作の手法を使用することができなかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、足場依存性動物細胞の継代培養操作を閉鎖系で行うことができるようにした細胞培養用容器、スクレーパーおよび細胞培養方法を提供しようとするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した本体部と、上記本体部の開口部を覆う蓋とを有するようにしたものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、所定形状に形成されかつ磁力を帯び、細胞培養用容器の内部に位置した状態で、他の磁性体によって上記細胞培養用容器の外部からの操作で移動自在であるようにしたものである。
【0023】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した本体部と、上記本体部の開口部を覆う蓋と、上記本体部の内部に配置されるとともに、所定形状に形成されかつ磁力を帯び、上記本体部の内部に位置した状態で、他の磁性体によって上記本体部の外部からの操作で移動自在なスクレーパーとを有するようにしたものである。
【0024】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記本体部の内部に位置し、上記本体部の内部に注入される培養対象の細胞を含まない培養液を、上記培養対象の細胞を含む培養液と混合せずに隔離する仕切り部材とを有するようにしたものである。
【0025】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、上記仕切り部材は、上記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面を形成するものである。
【0026】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記仕切り部材は、上記本体部の内部に位置するトレイにより形成されたものである。
【0027】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の上記開口部に蓋を締めた密栓状態において、上記複数の培養面のうちの最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行うようにしたものである。
【0028】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の上記開口部に蓋を締めた密栓状態において、仕切り部材の一方の側に形成された上記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面に、培養液と足場依存性動物細胞とを注入し、上記仕切り部材の他方の側には培養液を注入して、上記最小の面積を有する微小な培養面を使用して初期培養を行い、上記仕切り部材の他方の側の培養液の一部を、上記仕切り部材の一方の側に追加して培地交換を行い、上記培地交換の後に行う継代培養操作後は、上記仕切り部材の他方の側の培養液の残余分を追加して、上記最小の面積を有する微小な培養面に比べて大きな面積の培養面を使用して足場依存性動物細胞を培養し、上記複数の培養面のうちの上記最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行うようにしたものである。
【0029】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、開口部を有し内部が中空であり、上記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の上記開口部に蓋を締めた密栓状態において、仕切り部材の一方の側に形成された上記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面に、培養液と足場依存性動物細胞とを注入し、上記仕切り部材の他方の側には培養液を注入して、上記最小の面積を有する微小な培養面を使用して初期培養を行い、上記仕切り部材の他方の側の培養液の一部を、上記仕切り部材の一方の側に追加して培地交換を行い、上記培地交換の後に行う継代培養操作のときには、上記本体部の内部に配置されるとともに所定形状に形成されかつ磁力を帯びたスクレーパーを上記本体部の内部に位置させた状態で、他の磁性体によって上記本体部の外部からの操作で移動させて、上記スクレーパーにより上記最小の面積を有する微小な培養面に付着した足場依存性動物細胞を、上記最小の面積を有する微小な培養面から剥がし、上記継代培養操作後は、上記仕切り部材の他方の側の培養液の残余分を追加して、上記最小の面積を有する微小な培養面に比べて大きな面積の培養面を使用して足場依存性動物細胞を培養し、上記複数の培養面のうちの上記最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行うようにしたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による細胞培養用容器および細胞培養方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0031】
図1には本発明による細胞培養用容器の実施の形態の一例を示す正面図(図3のB矢視図)が示されており、図2には図1に示す細胞培養用容器の上面図(図3のA矢視図)が示されており、図3には図1に示す細胞培養用容器の概略構成斜視説明図が示されている。
【0032】
この細胞培養用容器10は、単一の開口部12bを有し、内部12aが中空の多面体である本体部12と、本体部12の開口部12bを覆う蓋14とを有して構成されている。
【0033】
本体部12ならびに蓋14は、例えば、プラスチックにより形成されており、本体部12は透明である。
【0034】
そして、本体部12は、略矩形形状の底面部12cと、底面部12cの外縁辺から立設されたいずれも略矩形形状の3つの側面部、即ち、第1の側面部12d、第2の側面部12eならびに第3の側面部12fと、第1の側面部12d、第2の側面部12eならびに第3の側面部12fの端部に位置し底面12cと対向する略多角形形状の上面部12gと、底面部12cの第2の側面部12eが形成された外縁辺と対向する外縁辺から延設された略多角形形状の斜面部12hと、上面部12g、斜面部12h、第1の側面部12dならびに第2の側面部12eを連結し、開口部12bが先端に位置する突部12iが突設形成された先端部12jとを有して構成されている。
【0035】
これら底面部12c、第1の側面部12d、第2の側面部12e、第3の側面部12f、上面部12g、斜面部12hならびに先端部12jの外面は、それぞれ所定の平坦度が維持された平面により構成されている。
【0036】
このため、本体部12の底面部12c、第1の側面部12d、第2の側面部12eあるいは第3の側面部12fのいずれかが、XYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして、細胞培養用容器10を静置することができる。
【0037】
より詳細には、細胞培養用容器10を静置した際に、本体部12の底面部12cの延長方向がXY平面に一致する場合には、第1の側面部12d、第2の側面部12eならびに第3の側面部12fの延長方向はZ軸方向に一致するようになり、また、本体部12の第1の側面部12dの延長方向がXY平面に一致する場合には、底面部12cならびに第2の側面部12eの延長方向はZ軸方向に一致し、第3の側面部12fの延長方向はXY平面に一致するようになり、また、本体部12の第2の側面部12eの延長方向がXY平面に一致する場合には、底面部12c、第1の側面部12dならびに第3の側面部12fの延長方向はZ軸方向に一致するようになり、また、本体部12の第3の側面部12fの延長方向がXY平面に一致する場合には、底面部12cならびに第2の側面部12eの延長方向はZ軸方向に一致し、第1の側面部12dの延長方向はXY平面に一致するようになる。
【0038】
なお、図3に示す状態は、第1の側面部12dがXYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして、細胞培養用容器10が静置され、底面部12cならびに第2の側面部12eの延長方向はZ軸方向に一致し、第3の側面部12fの延長方向はXY平面に一致している状態を示すものである。
【0039】
また、本体部12の内部12a側に位置する底面部12cの略長方形形状の内面12cc、第1の側面部12dの略長方形形状の内面12dd、第2の側面部12eの略長方形形状の内面12ee、第3の側面部12fの略長方形形状の内面12ff、上面部12gの略六角形形状の内面12gg、斜面部12hの略四角形形状の内面12hhならびに先端部12jの内面12jjはいずれも、所定の平坦度が維持された平面であり、表面が平滑に形成されている。
【0040】
そして、第1の側面12dの内面12ddの第2の側面12eの近傍には、略板状体の仕切り部材16が配設されている。この仕切り部材16は、第1の側面12dの内面12ddから立設される基部16aと、基部16aから延設された傾斜部16bとを有して構成されている。
【0041】
より詳細には、仕切り部材16の基部16aは、第1の側面12dの内面12ddの幅W1(図3参照)に略一致する長さで延長されており、基部16aの面16cが第2の側面12eの内面12eeと対向し、面16cの背面側の面16dが開口部12bに対向している。そして、傾斜部16bは第2の側面12eに向かって傾斜している。
【0042】
なお、仕切り部材16と第2の側面12eとの間隔、即ち、第1の側面12dの内面12ddの延長方向に沿った仕切り部材16の基部16aの面16cと第2の側面12eの内面12eeとの間隔W2(図2参照)は、仕切り部材16の基部16aの面16dから第1の側面12dの内面12ddの延長方向に沿った端部までの長さL(図2参照)に比べて短くなるようにして寸法設定されている。
【0043】
また、本体部12の先端部12jに突設形成された突部12iは、略円筒状体であって、先端に略円形形状の開口部12bが位置し、外周側にはねじ山12kが形成されている。
【0044】
そして、蓋14の内周側14aには、本体部12の突部12iのねじ山12kとねじ結合可能なねじ溝14bが形成されている。また、略円形形状の先端面14cには、ガス交換用のフィルター14dが配設されている。このフィルター14dは、外気とのガス交換は可能であるが雑菌は通さないようして形成されている。
【0045】
従って、蓋14によって本体部12の開口部12bを覆い、蓋14を締めることにより密栓した際には、蓋14のフィルター14dによって本体部12の内部12aと細胞培養用容器10の外部との通気が確保されてガス交換が可能であるが、その一方、細胞培養用容器10の外部から本体部12の内部12aへの雑菌などの流入は防止される。
【0046】
ここで、図4(a)には、スクレーパーを示す概略構成斜視図が示されている。このスクレーパー20は、略三角柱状体であり、例えば、プラスチックにより形成されている。スクレーパー20は、軸線方向に沿って凹面状に湾曲した3つの側面20a,20b,20cと、内部に配設され軸線方向に沿って延長された磁性体22とを有している。こうしたスクレーパー20には、鋭利な直線状の3つの角部20dが形成されることになる。
【0047】
なお、スクレーパー20は、本体部12の開口部12bから入れて本体部12の内部12aに配置することができ、後述する微小な培養面10aに位置することができる大きさに寸法設定されている。
【0048】
そして、スクレーパー20は、磁性体22と磁力により互いに引き合う磁性体32を有する作業用部材30(図7参照)を用いることにより、作業用部材30が移動する方向に従って移動自在となされているものである。
【0049】
以上の構成において、上記した細胞培養用容器10を用いて、足場依存性動物細胞を培養する際の操作について、(I)初期培養、(II)培地交換、(III)継代培養の順に説明することとする。
【0050】
(I)初期培養
まず、足場依存性動物細胞の培養を開始する際には、培養に使用するピペットなどの各種器具と同様に、細胞培養用容器10、即ち、本体部12ならびに蓋14とスクレーパー20とを滅菌する。
【0051】
そして、足場依存性動物細胞100の培養を開始するときは、後述する培地交換操作や継代培養操作のときとは異なり、クリーンベンチやクリーンルームなどを用いた無菌空間において開放系で作業を行う。つまり、使用する各種器具と培養用容器自体と培養用容器の外部空間とのいずれも、無菌的に維持した状態で作業を行う。
【0052】
こうしたクリーンベンチやクリーンルームなどを用いた無菌空間において、滅菌された細胞培養用容器10の本体部12の内部12aに、培養対象の細胞である足場依存性動物細胞100と、足場依存性動物細胞100の種類に応じた所定の培養液200とを注入する。さらに、細胞培養用容器10の本体部12の内部12aにスクレーパー20を配置する。
【0053】
それから、蓋14によって本体部12の開口部12bを覆い、蓋14を締めて密栓する。こうして足場依存性動物細胞100の培養の開始に際して、蓋14を締めた細胞培養用容器10の内部、即ち、本体部12の内部12aの無菌性を保持する。そして、COインキュベーターなどを用いて所定の条件で培養を行うことになる。
【0054】
より詳細には、足場依存性動物細胞100の培養を開始する際には、図5(a)に示すように、細胞培養用容器10は、第1の側面部12dがXYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして静置する。この際、細胞培養用容器10の本体部12の底面部12c、第2の側面部12eならびに仕切り部材16の基部16aの延長方向はZ軸方向に一致し、第1の側面部12dならびに第3の側面部12fの延長方向はXY平面に一致している。
【0055】
次に、第1の側面部12dがXY平面に位置するようにして静置された細胞培養用容器10において、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間に、足場依存性動物細胞100と培養液200を注入し、さらに、スクレーパー20を配置する(図5(a)参照)。一方、仕切り部材16の基部16aの面16d側には、培養液200のみを注入する。
【0056】
なお、以下の説明においては「足場依存性動物細胞100を含む培養液200」を、適宜に「細胞含有の培養液200a」と称し、「足場依存性動物細胞100を含まない培養液200」を、適宜に「新鮮な培養液200b」と称することとする。
【0057】
つまり、上記した初期培養のときに、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間に注入された培養液200は、細胞含有の培養液200a(図5(a)においてグレーで示した培養液参照)であり、仕切り部材16の基部16aの面16d側に注入された培養液は、新鮮な培養液200b(図5(a)において白抜きで示した培養液参照)である。このように、仕切り部材16は、本体部12の内部12aに注入される新鮮な培養液200bを、細胞含有の培養液200aと混合せずに隔離するものである。
【0058】
また、上記したようにして足場依存性動物細胞100の培養を開始する際の細胞含有の培養液200aの総量は、培養液200a中の足場依存性動物細胞100の総数に応じて、初期培養が高密度下に行われ細胞密度効果により増殖効率を高く維持できるようにして予め設定されている。一方、新鮮な培養液200bの総量は、後述する培地交換操作のときの使用量と継代培養操作のときの使用量との総和になるようにして予め設定されている。
【0059】
こうした初期培養の際には、仕切り部材16の基部16aの面16c側と面16d側のいずれにも培養液200が注入されているが、仕切り部材16の基部16aの面16c側にのみ足場依存性動物細胞100が注入されているので、足場依存性動物細胞100が付着し伸展状態となって増殖可能な固体の表面たる培養面は、図5(a)ならびに図6(a)に示す培養面10aである。
【0060】
この培養面10aは、仕切り部材16によって基部16aの面16c側に形成された微小な培養面である。より詳細には、培養面10aは、本体部12の第1の側面12dの内面12ddの一部の略矩形形状の領域(第1の側面12dの内面12ddの幅W1と、仕切り部材16の基部16aの面16cと第2の側面12eの内面12eeとの間隔W2との積に略一致する面積を有する領域である。)と、細胞含有の培養液200a中に位置する底面部12cの内面12ccの一部、第2の側面部12eの内面12eeの一部、上面部12gの内面12ggの一部ならびに仕切り部材16の基部16aの面16cの一部により構成されている。
【0061】
(II)培地交換
上記した(I)初期培養において説明したように、細胞培養用容器10の培養面10aを使用して初期培養を所定の時間継続した後には、培地交換の操作を行う。
【0062】
この培地交換の操作の際には、培地交換の操作を行う作業者が、蓋14が締められて密栓され静置されている細胞培養用容器10を把持して、所定の方向に静かに傾けることにより、新鮮な培養液200bを細胞含有の培養液200aに追加する。この際、細胞含有の培養液200aが、追加される新鮮な培養液200bと1:1の割合で混ざるようにして、所定量の新鮮な培養液200bを細胞含有の培養液200aに追加することにより、通常の培養法でいうところの半交換が行われる。
【0063】
その後、細胞培養用容器10を、初期培養の際と同様に、第1の側面部12dがXYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして静置する(図5(b)参照)。そして、COインキュベーターなどを用いて所定の条件で培養を行う。
【0064】
ここで、上記した半交換での培地交換によって、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間の培養液200、即ち、細胞含有の培養液200aの総量は、培地交換の前の細胞含有の培養液200aの総量のおよそ2倍になっている。つまり、細胞含有の培養液200aの液面の第1の側面12dの内面12ddからの高さH2(図6(b)参照)は、足場依存性動物細胞100の培養を開始したときの細胞含有の培養液200aの液面の高さH1(図6(a)参照)のおよそ2倍となる。
【0065】
なお、上記した培地交換の操作の際には、仕切り部材16の基部16aの面16d側の新鮮な培養液200bの一部のみを、仕切り部材16の基部16aの面16c側に移動させる。このため、培地交換操作により、仕切り部材16の基部16aの面16c側に位置する細胞含有の培養液200aや足場依存性動物細胞100ならびにスクレーパー20が、仕切り部材16の基部16aの面16d側などに移動することはない。また、仕切り部材16の基部16aの面16d側には、培地交換の前に比べて細胞含有の培養液200aに追加した量だけ減少した新鮮な培養液200bが残っている(図6(b)参照)。
【0066】
(III)継代培養
上記した(I)初期培養ならびに(II)培地交換に続いて、足場依存性動物細胞100の初期培養の培養面10aにおける増殖限界点に足場依存性動物細胞100が到達する頃に、細胞を植え継ぐ継代培養の操作を行う。
【0067】
この継代培養操作の際には、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間に注入された細胞含有の培養液200a中の足場依存性動物細胞100は、培養面10aに付着し伸展状態となっている(図7に示す足場依存性動物細胞100a参照)。
【0068】
このため、継代培養操作の際には、まず、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間に入れておいたスクレーパー20によって、培養面10aに付着している足場依存性動物細胞100aを、付着し足場となっている培養面10aから剥して、細胞含有の培養液200a中に浮遊させる(図7に示す足場依存性動物細胞100b参照)。
【0069】
より詳細には、継代培養の操作を行う作業者が、作業用部材30を細胞培養用容器10の本体部12の第1の側面部12dの外面からスクレーパー20と対向するように位置させて、所定の方向、例えば、第1の側面12dの内面12ddの延長方向に沿って往復する方向(図7に示す矢印D方向)に移動する。そうすると、この作業用部材30の磁性体32とスクレーパー20の磁性体22とが磁力により互いに引き合い、作業用部材30が移動する方向に従って、細胞培養用容器10の本体部12の内部12aにおいてスクレーパー20が移動する(図7に示す矢印E参照)。
【0070】
こうして細胞培養用容器10の蓋14を開けることなく、蓋14を締めて密栓した状態において、細胞培養用容器10の外部からの操作のみで移動するスクレーパー20の角部20dによって、培養面10aに付着している足場依存性動物細胞100aが剥がすことができ、浮遊する足場依存性動物細胞100bとすることができる。
【0071】
次に、継代培養の操作を行う作業者が、蓋14の締まった状態の細胞培養用容器10を把持して傾けて、初期培養(図5(a)参照)や培地交換操作後の培養(図5(b)参照)とは異なり、底面部12cがXYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして細胞培養用容器10を静置する(図5(c)参照)。この際、細胞培養用容器10の本体部12の第1の側面部12d、第2の側面部12eならびに第3の側面部12fの延長方向はZ軸方向に一致し、本体部12の底面部12cならびに上面部12gの延長方向はXY平面に一致している。
【0072】
その結果、仕切り部材16の基部16aの面16c側に位置する足場依存性動物細胞100bが浮遊する細胞含有の培養液200aと、仕切り部材16の基部16aの面16d側に位置する新鮮な培養液200bとは共に、本体12の底面部12cの内面12cc上に移動する(図5(c)参照)。この際、細胞含有の培養液200a中に浮遊している培養面10aにおいて増殖限界点に到達した足場依存性動物細胞100も、細胞含有の培養液200aと共に本体12の底面部12cの内面12cc上に移動する。
【0073】
従って、使用する培養面を培養面10aから足場依存性動物細胞100を剥がして植え継ぐ継代培養操作のときには、培地交換操作の後に仕切り部材16の基部16aの面16d側に残っていた新鮮な培養液200b(図5(b)参照)を追加して、培養液量を拡大できる。そして、本体12の底面部12cの内面12cc上に位置する足場依存性動物細胞100を含む細胞含有の培養液200a(図5(c)参照)の総量は、足場依存性動物細胞100の培養を開始する際(図5(a)参照)の細胞含有の培養液200aと新鮮な培養液200bとの総和に略一致する。
【0074】
なお、仕切り部材16の基部16aの面16c側に位置していたスクレーパー20も、本体12の底面部12cの内面12cc上に位置するようになる。
【0075】
そして、足場依存性動物細胞100、培養液200ならびにスクレーパー20が、細胞培養用容器10の本体12の底面部12cの内面12cc上に位置する状態で、COインキュベーターなどを用いて所定の条件で培養を行う。
【0076】
この継代培養操作後の培養の際には、本体12の底面部12cの内面12cc上にのみ培養液200と足場依存性動物細胞100とが位置しているので、足場依存性動物細胞100が付着し伸展状態となって増殖可能な固体の表面たる培養面は、図5(c)に示す培養面10bである。
【0077】
この培養面10bは、仕切り部材16の基部16aの面16c側に形成された微小な培養面10aに比べて大きな面積の培養面である。より詳細には、培養面10bは、本体部12の底面部12cの内面12ccの全領域と、培養液200a中に位置する第1の側面12dの内面12ddの一部と、第2の側面部12eの内面12eeの一部と、第3の側面部12fの内面12ffの一部と、斜面部12hの内面12hhの一部により構成されている。
【0078】
そして、足場依存性動物細胞100の継代培養操作後の培養面10bにおける増殖限界点に足場依存性動物細胞100が到達する頃には、細胞を植え継ぐ2回目の継代培養の操作を行うか、あるいは、培養されて増殖した足場依存性動物細胞100の回収を行う。
【0079】
なお、この2回目の継代培養操作、あるいは、増殖した細胞の回収操作は、上記した足場依存性動物細胞100の培養を開始するときと同様に、クリーンベンチやクリーンルームなどを用いた無菌空間において開放系で作業を行う。つまり、上記した1回目の継代培養操作のときとは異なり、使用する各種器具と培養用容器自体と培養用容器の外部空間とをいずれも、無菌的に維持した状態で作業を行う。
【0080】
具体的には、まず、作業者が、細胞培養用容器10の蓋14を締めて密栓した状態において、作業用部材30を細胞培養用容器10の本体部12の底面部12cの外面からスクレーパー20と対向するように位置させて所定の方向に移動させ、細胞培養用容器10の外部からの操作のみでスクレーパー20を移動させて、培養面10cに付着している足場依存性動物細胞100aが剥がして、浮遊する足場依存性動物細胞100bとする。
【0081】
それから、クリーンベンチやクリーンルームなどを用いた無菌空間において、作業者により細胞培養用容器10の蓋14を開けて、ピペットなどにより、足場依存性動物細胞100bが浮遊する細胞含有の培養液200aを回収して、細胞培養用容器10の外部に取り出す。
【0082】
上記したようにして、本発明による細胞培養用容器10によれば、本体部12の内部12aに面積が順次大きくなる複数の培養面たる培養面10aならびに培養面10bが存在するので、培養面10aならびに培養面10bのうち仕切り部材16によって形成された最小の面積を有する微小な培養面10aの次は培養面10bという順序で使用する培養面を変えることにより、足場依存性動物細胞100の継代培養操作を細胞培養用容器10の蓋14を締めた密栓状態で外気に直接開放せずに閉鎖系で行うことができる。
【0083】
つまり、本発明による細胞培養用容器10によれば、予め無菌性を保持している密閉容器内(即ち、本体部12の内部12a)で、継代培養操作を行うことができるので、継代培養操作を雑菌が漂う通常の空間で行うことが可能となり、雑菌による汚染を避けるために培養用容器外において無菌操作を行う必要がなくなる。
【0084】
換言すれば、本発明による細胞培養用容器10における継代培養操作においては、雑菌が漂う通常の空間で作業者は操作することができ、しかも、作業者はスクレーパー20を用いたり、蓋14の締まった状態の細胞培養用容器10を把持して傾けるという単純な操作をするだけでよく、無菌空間を確保する大型のクリーンベンチやクリーンルームの設備は必要なくなる。
【0085】
このように、本発明による細胞培養用容器10によれば、継代培養操作を簡単に行うことができ、従来の継代培養操作の大幅な簡便化が実現されるので、無菌操作に習熟した作業者でなくとも継代培養操作を行うことができるようになる。さらに、本発明による細胞培養用容器10によれば、継代培養操作のみならず培地交換の操作も、細胞培養用容器10の蓋14を締めた密栓状態で外気に直接開放せずに閉鎖系で行うことができるので、全体として細胞培養工程が単純にして、培養の自動化を図ることも可能となる。
【0086】
そして、本発明による細胞培養用容器10によれば、本体部12の内部12aに仕切り部材16を配設するようにしたため、複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面10aが形成される。そして、この小さな培養面10aを初期培養の際に培養面として用いることにより、まだ培養初期で細胞数の少ないに足場依存性動物細胞100の細胞密度を下げず初期培養を行うことができ、初期培養が高密度下に行われるため細胞密度効果で増殖効率を高くできる。
【0087】
また、本発明による細胞培養用容器10によれば、良好な初期培養に続いて培地交換を行い、そして、使用する培養面を培養面10aから培養面10bに変えて次第に培養面の面積を大きくすることもできるので、一層良好な培養結果を得ることができる。
【0088】
そして、本発明による細胞培養用容器10においては、スクレーパー20を用いて、付着している足場依存性動物細胞100aを剥がして浮遊させるようにしたので(図7参照)、本体部12の内面に沿って移動するスクレーパー20の鋭利な直線状の角部20dと凹面状に湾曲した3つの側面20a,20b,20cとによって、付着している足場依存性動物細胞100aをすりつぶすことなく、細胞に与える物理的障害を最小に培養面から剥離でき、一層良好な培養結果を得ることができる。
【0089】
また、スクレーパー20を用いた場合には、細胞培養用容器10の外部からの操作のみで、付着している足場依存性動物細胞100aを剥がして浮遊させることができるので、従来のスクレーパーのように、小さな本体部12の開口部12bから内部12aにスクレーパーを差し込んで細胞を掻きとる必要がなく、非常に簡単な操作ですみ、異物が混入する恐れもない。
【0090】
なお、本発明による細胞培養用容器10を構成するのに、例えば、従来より市販されている各種サイズの培養用フラスコを用いることも可能なので、細胞培養用容器10を安価に製造することができる。
【0091】
ここで、本発明による細胞培養用容器10を用いて細胞の培養を行った実験結果を説明する。
【0092】
具体的には、ヒトのウィルムス腫瘍細胞を刺激物質(即ち、細胞増殖を促進する物質)として用いることにより、ヒト末梢血単核球からナチュラルキラー細胞を誘導する。
【0093】
まず、ヒトウィルムス腫瘍細胞株HFWT(理化学研究所の細胞開発銀行に細胞番号RCB0665として保存されている。)に、予め50グレイ(Gy)のX線を照射しておく。
【0094】
そして、本発明による細胞培養用容器10を第1の側面部12dがXY平面に位置するようにして静置させ(図5(a)に示す状態参照)、仕切り部材16の基部16aの面16cと本体部12の第2の側面部12eの内面12eeとの間に、
ヒト末梢血単核球1×10個(ヒトナチュラルキラー細胞前駆細胞を含んでいる。)と、
X線照射済みHFWT細胞2×10個と、
インターロイキン−2(500/mlで全部で1000IU)と、
10%血清を含むリンパ球細胞培養用培地2mlと
を注入する。一方、細胞培養用容器10の仕切り部材16の基部16aの面16d側には、
インターロイキン−2(500/mlで全部で9000IU)と、
10%血清を含む細胞培養用培地18mlと
を注入する。つまり、仕切り部材16の基部16aの面16c側の10%血清を含むリンパ球細胞培養用培地2mlが、細胞含有の培養液200aであり、細胞培養用容器10の仕切り部材16の基部16aの面16d側の10%血清を含む細胞培養用培地18mlが新鮮な培養液200bであり、本発明による細胞培養用容器10の初期培養の培養面は培養面10aである。なお、スクレーパー20は用いていない。
【0095】
ここで、この培養に用いた細胞培養用容器10は、本体12の底面部12cの内面12ccの面積がおよそ75cmで、第1の側面12dの内面12ddの幅W1(図3参照)をおよそ3cmとし、仕切り部材16の基部16aの面16cと第2の側面12eの内面12eeとの間隔W2(図2参照)をおよそ1cmとした。従って、細胞培養用容器10の培養面10aの面積はおよそ3cmであり、培養面10bの面積はおよそ72cmである。
【0096】
また、本発明による細胞培養用容器10の他に、従来より市販されている培養面積75cmの培養用フラスコ(ファルコン製)を用いた培養も行う。この際、従来の培養用フラスコも本発明による細胞培養用容器10と同様に、側面がXY平面に位置するようにして静置させる(図5(a)に示す状態参照)。そして、この従来の培養用フラスコには、
ヒト末梢血単核球1×10個(ヒトナチュラルキラー細胞前駆細胞を含んでいる。)と、
X線照射済みHFWT細胞2×10個と、
インターロイキン−2(500/mlで全部で10000IU)と、
10%血清を含むリンパ球細胞培養用培地2mlと、
10%血清を含む細胞培養用培地18mlと
を注入する。つまり、この従来の培養用フラスコの内容物は、上記した本発明による細胞培養用容器10の仕切り部材16の基部16aの面16c側に注入されたものと、仕切り部材16の基部16aの面16d側に注入されたものとが混じり合った物に対応する。
【0097】
こうした従来の培養用フラスコの初期培養の培養面は、本発明による細胞培養用容器10の本体部12の第1の側面12dの内面12dd全面に対応する大きさを有し、本発明による細胞培養用容器10の初期培養の培養面(即ち、培養面10aのみ)に比べて広くなる。その結果、従来の培養用フラスコの初期培養の際には、本発明による細胞培養用容器10の初期培養に比べて、培養の対象細胞であるヒト末梢血単核球の細胞密度は低下する。
【0098】
上記したような本発明による細胞培養用容器10と従来の培養用フラスコとのそれぞれを用いて初期培養を開始し、48時間が経過した後、本発明による細胞培養用容器10については、作業者が蓋14が締められて密栓され静置されている細胞培養用容器10を把持して、所定の方向に静かに傾けることにより、新鮮な培養液200bを細胞含有の培養液200aに追加して、半交換での培地交換を行った(図5(b)ならびに図6(b)に示す状態参照)。一方、従来の培養用フラスコについては培地交換操作ならびに継代培養操作は行わずに培養を継続した。
【0099】
さらに、初期培養の開始から96時間が経過した後、本発明による細胞培養用容器10については、継代培養操作を行って培養面を培養面10aから培養面10bに変更した(図5(c)に示す状態参照)。一方、従来の培養用フラスコについても、本発明による細胞培養用容器10と同様に、72cmの培養面がXY平面に位置するようにして静置させる。
【0100】
そして、本発明による細胞培養用容器10と従来の培養用フラスコとのいずれも、初期培養の開始から7日間培養した。
【0101】
ここで、ヒト活性化ナチュラルキラー細胞は、従来の常識では浮遊性細胞とされてきたものである。しかし、上記したようにしてヒト末梢血単核球からナチュラルキラー細胞を誘導するときに、殺傷標的となる刺激用細胞(即ち、ヒトのウィルムス腫瘍細胞)を用いて活性化すると、実際には、ヒト活性化ナチュラルキラー細胞は付着性細胞に変化し、足場依存性に増殖することが確認された。
【0102】
即ち、ヒト活性化ナチュラルキラー細胞を従来のように、浮遊状態で増殖させようとすると、細胞同士が相互に付着して塊を形成しつつ増殖するが、その増殖が遅いのに対して、上記したようにして培養面に付着しているリンパ球細胞の方は格段に早く増殖し、しかも細胞密度効果が強く現れる結果となった。
【0103】
なお、付着性細胞に変化して足場依存性に増殖するヒト活性化ナチュラルキラー細胞は付着性が弱いので、こうしたヒト活性化ナチュラルキラー細胞を継代培養操作の際に培養面から剥がすには、スクレーパー20を用いずに、蓋14の締まった状態の細胞培養用容器10と従来の培養用フラスコとをそれぞれ作業者が把持して容器全体を揺り動かすだけでよい。
【0104】
図8には、本発明による細胞培養用容器10ならびに従来の培養用フラスコそれぞれを用いて、初期培養の開始から7日間培養した後に計測されたナチュラルキラー細胞の総数を示す表が示されている。
【0105】
なお、ナチュラルキラー細胞数を確認するために、市販されている抗CD56−モノクローナル抗体と抗CD16−モノクローナル抗体とを用いて、定法により、7日間培養した細胞全体を免疫染色した。これにより、ナチュラルキラー細胞(CD56陽性かつCD16陽性の細胞)の割合を、フローサイトメトリー法を用いて調べることができ、ナチュラルキラー細胞の割合に、容器内全体の細胞数を積算して、ナチュラルキラー細胞数を算出した。
【0106】
図8から明かなように、本発明による細胞培養用容器10を使用した場合には、従来の培養用フラスコを使用した場合に比べて、平均7倍のナチュラルキラー細胞を誘導することができた。
【0107】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(8)に説明するように変形することができる。
【0108】
(1)上記した実施の形態においては、ヒトのウィルムス腫瘍細胞を刺激物質として用いることにより、ヒト末梢血単核球からナチュラルキラー細胞を誘導すのに細胞培養用容器10を用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、本発明による細胞培養用容器10を各種の足場依存性動物細胞、例えば、ヒト線維芽細胞WI−38やサル腎臓細胞Veroなどの培養に用いてもよい。
【0109】
あるいは、本発明による細胞培養用容器10を、閉鎖系での継代培養操作が可能な培養用容器として、足場非依存性の浮遊性細胞(例えば、ヒト白血病細胞K562)の培養に用いてもよい。
【0110】
こうした各種細胞の培養に細胞培養用容器10を用いる場合には、培養対象である細胞の種類に応じて培養液や刺激物質を選択して使用すればよい。
【0111】
(2)上記した実施の形態においては、細胞培養用容器10の本体部12ならびに蓋14をプラスチックにより形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、培養対象である足場依存性動物細胞が付着可能な培養面を備えるようにして、各種材料により細胞培養用容器10を構成するようにすればよい。
【0112】
また、細胞培養用容器10の各種寸法を任意に設定してよく、培養面10aならびに培養面10bなどの培養面の大きさも任意に変更可能なものである。所定の足場依存性動物細胞の増殖を促進するのに、細胞培養用容器10の本体部12の内部12aに所定の処理やコーティングを施すようにしてもよい。
【0113】
また、本発明による細胞培養用容器10の本体部12は透明なので、内部で培養している足場依存性動物細胞の顕微鏡観察などが容易であるが、培養対象である足場依存性動物細胞の種類などに応じて、細胞培養用容器10の本体部12を透明にしなくてもよい。
【0114】
そして、本発明による細胞培養用容器10の形状は、図1乃至図3に示すようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、培養対象である足場依存性動物細胞を容器外に回収する際に回収し易いようにしたり、複数の細胞培養用容器10を積み重ねることができるようにしたり、顕微鏡観察し易くするなど適宜変更するようにしてもよい。また、培養面10a,10bなどの培養面の形状も矩形形状には限定されず、円形形状や台形形状となるように構成してもよいし、培養面は平滑な表面には限定されず凹凸や起伏があってもよい。
【0115】
(3)上記した実施の形態においては、細胞培養用容器10の内部に配設された仕切り部材16によって、仕切り部材16の基部16aの面16c側と面16d側とは遮断されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、仕切り部材16の全部あるいは一部を、ガスや液体は透過可能であって細胞は透過できない膜によって形成するようにしてもよい。こうすると、細胞培養用容器10を傾けることなしに、こうした膜によって形成された仕切り部材を介して培地交換をすることができる。
【0116】
また、図9(a)(b)に示すように、仕切り部材16を本体部12と一体的に成形するようにしてもよい。
【0117】
また、培養対象である足場依存性動物細胞の種類や継代培養操作の回数などに応じて、仕切り部材16を配設しないようにしてもよい。
【0118】
(4)上記した実施の形態においては、蓋14は、細胞培養用容器10の単一の開口部12bを覆うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、本体部12に複数の開口部が形成された場合には、各開口部に蓋をするようにすればよい。また、複数の蓋を用いる場合には、それぞれ異なる色彩の蓋を用いるようにすると、作業ミスを軽減することができる。また、蓋14はねじ溝14bによってねじ結合するようにしたが、その他形状により開口部を覆うようにしてもよい。
【0119】
さらに、蓋14にはガス交換用のフィルター14dが配設されるようにしたが、培養対象である足場依存性動物細胞の種類や培養条件などに応じては、フィルター14dを配設せずに、蓋を締めた状態において、本体部12の内部12aと細胞培養用容器10の外部との通気がなくガス交換できないようにしてもよい。
【0120】
(5)上記した実施の形態においては、スクレーパー20は磁性体22を有し、磁力によって細胞培養用容器10の外部からの操作のみで移動可能となされていたが、これに限られるものではないことは勿論であり、磁力以外の動力でスクレーパー20が移動可能なように構成してもよい。
【0121】
また、スクレーパー20は略三角柱状体としたが、培養面に付着している足場依存性動物細胞にショックを与えることなく浮遊する足場依存性動物細胞とすることができる範囲内で形状を変更したり、あるいは、プラスチック以外の材料で形成するようにしてもよい。また、スクレーパー20全体を磁性体によって形成するようにしてもよい。また、スクレーパーの形状は、細胞培養用容器10の培養面の表面形状に応じて設計すると、付着している足場依存性動物細胞を効率よく剥離することができる。
【0122】
また、培養対象である足場依存性動物細胞の種類に応じては、スクレーパー20を用いなくてもよい。
【0123】
具体的には、温度操作することによって培養面に付着している足場依存性動物細胞の付着能力を低減化できる場合には、スクレーパー20によって掻き出すことなしに温度操作するだけでよい。また、上記した付着性細胞に変化して足場依存性に増殖するヒト活性化ナチュラルキラー細胞のように、付着性の弱い足場依存性動物細胞の場合には、スクレーパー20を用いずに容器全体を揺り動かすだけでよい。勿論、ヒトの通常2倍体線維芽細胞のように付着性の強い足場依存性動物細胞の場合には、温度操作や揺り動かすだけでは培養面から容易に剥離することができないので、スクレーパー20を用いるのが有効である。
【0124】
(6)上記した実施の形態においては、培養面10aの次は培養面10bという順序で使用する培養面を変えることにより、1回だけ継代培養操作を行うようになされていたが、これに限られるものではないことは勿論であり、培養対象である細胞の種類に応じては、図10(a)(b)(c)に示すようにして継代培養操作を2回行うようにしてもよい。
【0125】
より詳細には、上記した(I)初期培養に続いて、足場依存性動物細胞100の初期培養の培養面10aにおける増殖限界点に足場依存性動物細胞100が到達する頃に、1回目の継代培養の操作を行う。
【0126】
まず、この1回目の継代培養の操作の際には、初期培養によって培養面10aに付着している足場依存性動物細胞100aを、スクレーパー20によって付着し足場となっている培養面10aから剥して、細胞含有の培養液200a中に浮遊させる(図10(a)参照)。
【0127】
そして、継代培養の操作を行う作業者が、蓋14の締まった状態の細胞培養用容器10を把持して傾けて、仕切り部材16の基部16aの面16c側の足場依存性動物細胞100bが浮遊する細胞含有の培養液200aを、仕切り部材16の基部16aの面16d側に移動させて、新鮮な培養液200bと混ぜる。この際、仕切り部材16の基部16aの面16c側には、培養液200を残留させる必要はない。また、仕切り部材16の基部16aの面16c側に位置していたスクレーパー20も、仕切り部材16の基部16aの面16d側に移動させる(図10(b)参照)。
【0128】
こうして、培養面10aにおいて増殖限界点に到達した足場依存性動物細胞100を、細胞含有の培養液200aと共に仕切り部材16の基部16aの面16d側に移動させて、培養する培養液200の総量と培養面の面積とを増加させる。
【0129】
つまり、上記した1回目の継代培養操作後の培養面は、図10(b)に示す培養面10cとなる。この培養面10cは、仕切り部材16の基部16aの面16d側に形成され、培養面10aに比べて大きな面積の培養面である。より詳細には、培養面10cは、本体部12の第1の側面12dの内面12ddの一部の略矩形形状の領域(第1の側面12dの内面12ddの幅W1(図3参照)と、仕切り部材16の基部16aの面16dから第1の側面12dの内面12ddの延長方向に沿った端部までの長さL(図2参照)との積に略一致する面積を有する領域である。)と、細胞含有の培養液200a中に位置する底面部12cの内面12ccの一部、斜面部12hの内面12hhの一部、上面部12gの内面12ggの一部ならびに仕切り部材16の基部16aの面16dの一部により構成されている。
【0130】
次に、足場依存性動物細胞100の1回目の継代培養操作後の培養面10cにおける増殖限界点に足場依存性動物細胞100が到達する頃に、細胞を植え継ぐ2回目の継代培養の操作を行う。
【0131】
この2回目の継代培養操作の際には、仕切り部材16の基部16aの面16d側に位置する足場依存性動物細胞100は、培養面10cに付着し伸展状態となっているので、スクレーパー20によって、付着し足場となっている培養面10cから剥して細胞含有の培養液200a中に浮遊させる。そして、細胞培養用容器10を、蓋14の締まった状態の細胞培養用容器10を把持して傾けて、底面部12cがXYZ直交座標系におけるXY平面に位置するようにして静置させる(図10(c)参照)。
【0132】
これにより、使用する培養面を、仕切り部材16の基部16aの面16d側に形成された培養面10cに比べて大きな面積の培養面である培養面10bに変更する。このようにして、培養面10a、培養面10c、培養面10bの順で、順次大きくなる複数の培養面それぞれを使用するようにしてもよい。
【0133】
また、培養面10aの次には、培養面10aと培養面10cとを培養面として使用し、その後、培養面10bを使用するようにしてもよい。
【0134】
(7)上記した実施の形態においては、継代培養の操作のときに、仕切り部材16の基部16aの面16d側の新鮮な培養液200b(図5(b)参照)が追加されるようになされていたが、これに限られるものではないことは勿論であり、培養対象である細胞の種類や培地の種類や培養条件などに応じては、継代培養操作のときに新鮮な培養液が追加されないようにしてもよい。また、閉鎖系を維持した状態であれば、継代培養操作のときに、本発明による細胞培養用容器内へ新たに新鮮な培養液を注入するように構成してもよい。
【0135】
例えば、図11乃至図14には、本発明による細胞培養用容器10の他の実施の形態である細胞培養用容器40,50,60,70が示されている。
【0136】
より詳細には、図11に示す細胞培養用容器40は、上記した細胞培養用容器10の3つの側面部(即ち、第1の側面部12d、第2の側面部12eならびに第3の側面部12f)に代わって5つの側面部を有するようにし、斜面部12hを大きくするとともに底面部12cを小さくして、仕切り部材16の大きさと配設位置とを変更したものである。
【0137】
この細胞培養用容器40によれば、仕切り部材16によって、培養対象の細胞を含まない培養液が、培養対象の細胞を含む培養液と混合せずに隔離されているので、この培養細胞を含まない培養液を、継代培養操作のときに培養対象の細胞を含む培養液に追加しながら、面積が順次大きくなる培養面40a(図11(a)参照)、培養面40b(図11(b)参照)、培養面40c(図11(c)参照)、培養面40d(図11(d)参照)を、最小の面積を有する培養面40aから順次使用して、3回の継代培養操作を行うことができる。
【0138】
こうした細胞培養容器40によれば、細胞継代可能な回数を増やすことができる。また、細胞培養容器40は、静置されている状態で、現在何回目の継代培養操作が行われたのかが明らかなので、作業ミスを低減し効率よく作業することができる。なお、細胞培養容器40を収容して静置するために収容ラックを用いてもよい。
【0139】
また、細胞培養用容器40のように3つ以上の培養面が形成されている場合には、培養面が順次大きくなるようにして使用する培養面を変えればよいので、培養面40aの次に培養面40dを使用してもよいことは勿論である。
【0140】
また、図12に示す細胞培養用容器50は、上記した細胞培養用容器10の斜面部12hをなくして底面部12cを拡大し、本体部の内部に仕切り部材16に代わって、互いに異なる大きさの2つのトレイを底面部12cに積層するようにして配設したものである。
【0141】
この細胞培養用容器50においては、小さなトレイによって形成される最小の面積を有する培養面50aを使用する初期培養のときに、大きなトレイと本体部の底面部とに培養対象の細胞を含まない培養液を注入しておく(図12(a−1)(a−2)参照)。
【0142】
そして、初期培養の後に、小さなトレイ内の培養液を大きなトレイ内の培養対象の細胞を含まない培養液に混ぜて1回目の継代培養操作を行い、使用する培養面を培養面50aから大きなトレイによって形成される培養面50bに拡大する(図12(b−1)(b−2)参照)。その後、大きなトレイ内の培養液を底面部の培養対象の細胞を含まない培養液に混ぜて2回目の継代培養操作を行い、使用する培養面を培養面50bから底面部によって形成される培養面50cに拡大する(図12(c−1)(c−2)参照)。
【0143】
また、図13に示す細胞培養用容器60は、図11に示す細胞培養用容器40の仕切り部材がないものである。この細胞培養用容器60においては、継代培養操作のときに新鮮な培養液を追加せずに、面積が順次大きくなる培養面60a(図13(a)参照)、培養面60b(図13(b)参照)、培養面60c(図13(c)参照)、培養面60d(図13(d)参照)、培養面60e(図13(e)参照)を、最小の面積を有する培養面60aから順次使用して、4回の継代培養操作を行うことができる。
【0144】
また、図14に示す細胞培養用容器70は、図12に示す細胞培養用容器50に比べてトレイが1つ多く配設されたものである。この細胞培養用容器70においては、継代培養操作のときに新鮮な培養液を追加せずに、面積が順次大きくなる培養面70a(図14(a−1)(a−2)参照)、培養面70b(図14(b−1)(b−2)参照)、培養面70c(図14(c−1)(c−2)参照)、培養面70d(図14(d−1)(d−2)参照)を、最小の面積を有する培養面70aから順次使用して、3回の継代培養操作を行うことができる。
【0145】
つまり、細胞培養用容器60(図13参照)ならびに細胞培養用容器70(図14参照)の場合には、培養対象の細胞を含まない培養液が、培養対象の細胞を含む培養液と混合せずに隔離されることがないので、初期培養とその後の複数の継代培養操作後とでは、培養液の総量は一定のまま変化せず、培養面の面積だけが順次大きくなる。
【0146】
(8)上記した実施の形態ならびに上記(1)乃至(7)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【0147】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、足場依存性動物細胞の継代培養操作を閉鎖系で行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の一例を示す正面図(図3のB矢視図)である。
【図2】図1に示す細胞培養用容器の上面図(図3のA矢視図)である。
【図3】図1に示す細胞培養用容器の概略構成斜視説明図である。
【図4】(a)は、スクレーパーを示す概略構成斜視図が示されており、(b)は、(a)のC−C線断面図である。
【図5】(a)は、初期培養のときの本発明による細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、培地交換操作後の本発明による細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(c)は、継代培養操作後の本発明による細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図である。
【図6】(a)は、初期培養のときの本発明による細胞培養用容器の要部を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、培地交換操作後の本発明による細胞培養用容器の要部を示す概略構成斜視説明図である。
【図7】継代培養操作を示す概念説明図である。
【図8】本発明による細胞培養用容器ならびに従来の培養用フラスコそれぞれを用いて、初期培養の開始から7日間培養した後に計測されたナチュラルキラー細胞の総数を示す表である。
【図9】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a)は、初期培養のときの細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図である。
【図10】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a)は、初期培養のときの細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(c)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図である。
【図11】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a)は、初期培養のときの細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(c)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(d)は、3回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図である。
【図12】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a−1)は、初期培養のときの細胞培養用容器の正面図であり、(a−2)は、初期培養のときの細胞培養用容器の上面図であり、(b−1)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の正面図であり、(b−2)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の上面図であり、(c−1)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の正面図であり、(c−2)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の上面図である。
【図13】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a)は、初期培養のときの細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(b)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(c)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(d)は、3回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図であり、(e)は、4回目の継代培養操作後の細胞培養用容器を示す概略構成斜視説明図である。
【図14】本発明による細胞培養用容器の実施の形態の他の例を示す概略構成斜視説明図であり、(a−1)は、初期培養のときの細胞培養用容器の正面図であり、(a−2)は、初期培養のときの細胞培養用容器の上面図であり、(b−1)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の正面図であり、(b−2)は、1回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の上面図であり、(c−1)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の正面図であり、(c−2)は、2回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の上面図であり、(d−1)は、3回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の正面図であり、(d−2)は、3回目の継代培養操作後の細胞培養用容器の上面図である。
【符号の説明】
10,40,50,60,70   細胞培養用容器
10a,10b,10c  培養面
12   本体部
12a  内部
12b  開口部
12c  底面部
12d  第1の側面部
12e  第2の側面部
12f  第3の側面部
12g  上面部
12h  斜面部
12i  突部
12j  先端部
12k  ねじ山
12cc,12dd,12ee,12ff,12gg,12hh,12jj内面
14   蓋
14a  内周側
14b  ねじ溝
14c  先端面
14d  フィルター
16   仕切り部材
16a  基部
16b  傾斜部
16c,16d  面
20   スクレーパー
20a,20b,20c  側面
20d  角部
22   磁性体
30   作業用部材
32   磁性体
100   足場依存性動物細胞
100a  付着している足場依存性動物細胞
100b  浮遊している足場依存性動物細胞
200   培養液
200a  細胞含有の培養液
200b  新鮮な培養液

Claims (9)

  1. 開口部を有し内部が中空であり、前記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した本体部と、
    前記本体部の開口部を覆う蓋と
    を有する細胞培養用容器。
  2. 所定形状に形成されかつ磁力を帯び、細胞培養用容器の内部に位置した状態で、他の磁性体によって前記細胞培養用容器の外部からの操作で移動自在である
    スクレーパー。
  3. 開口部を有し内部が中空であり、前記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した本体部と、
    前記本体部の開口部を覆う蓋と、
    前記本体部の内部に配置されるとともに、所定形状に形成されかつ磁力を帯び、前記本体部の内部に位置した状態で、他の磁性体によって前記本体部の外部からの操作で移動自在なスクレーパーと
    を有する細胞培養用容器。
  4. 請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の細胞培養用容器において、さらに、
    前記本体部の内部に位置し、前記本体部の内部に注入される培養対象の細胞を含まない培養液を、前記培養対象の細胞を含む培養液と混合せずに隔離する仕切り部材と
    を有する細胞培養用容器。
  5. 請求項4に記載の細胞培養用容器において、
    前記仕切り部材は、前記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面を形成する
    ものである細胞培養用容器。
  6. 請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の細胞培養用容器において、
    前記仕切り部材は、前記本体部の内部に位置するトレイにより形成された
    ものである細胞培養用容器。
  7. 開口部を有し内部が中空であり、前記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の前記開口部に蓋を締めた密栓状態において、前記複数の培養面のうちの最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行う
    細胞培養方法。
  8. 開口部を有し内部が中空であり、前記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の前記開口部に蓋を締めた密栓状態において、仕切り部材の一方の側に形成された前記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面に、培養液と足場依存性動物細胞とを注入し、前記仕切り部材の他方の側には培養液を注入して、前記最小の面積を有する微小な培養面を使用して初期培養を行い、
    前記仕切り部材の他方の側の培養液の一部を、前記仕切り部材の一方の側に追加して培地交換を行い、
    前記培地交換の後に行う継代培養操作後は、前記仕切り部材の他方の側の培養液の残余分を追加して、前記最小の面積を有する微小な培養面に比べて大きな面積の培養面を使用して足場依存性動物細胞を培養し、
    前記複数の培養面のうちの前記最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行う
    細胞培養方法。
  9. 開口部を有し内部が中空であり、前記中空の内部に面積が順次大きくなる複数の培養面を形成した細胞培養用容器の本体部の前記開口部に蓋を締めた密栓状態において、仕切り部材の一方の側に形成された前記複数の培養面のうち最小の面積を有する微小な培養面に、培養液と足場依存性動物細胞とを注入し、前記仕切り部材の他方の側には培養液を注入して、前記最小の面積を有する微小な培養面を使用して初期培養を行い、
    前記仕切り部材の他方の側の培養液の一部を、前記仕切り部材の一方の側に追加して培地交換を行い、
    前記培地交換の後に行う継代培養操作のときには、前記本体部の内部に配置されるとともに所定形状に形成されかつ磁力を帯びたスクレーパーを前記本体部の内部に位置させた状態で、他の磁性体によって前記本体部の外部からの操作で移動させて、前記スクレーパーにより前記最小の面積を有する微小な培養面に付着した足場依存性動物細胞を、前記最小の面積を有する微小な培養面から剥がし、
    前記継代培養操作後は、前記仕切り部材の他方の側の培養液の残余分を追加して、前記最小の面積を有する微小な培養面に比べて大きな面積の培養面を使用して足場依存性動物細胞を培養し、
    前記複数の培養面のうちの前記最小の面積の培養面から順次に大きな面積の培養面を使用して、足場依存性動物細胞の継代培養を行う
    細胞培養方法。
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