JP2004129440A - 1軸駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動子の自重による駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせないリニアモータを使用した1軸駆動装置を提供する。
【解決手段】N極とS極とが交互に配列されてなる棒状磁石である固定子14と、固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、固定子に沿って移動が可能な環状部材である移動子16と、を有するリニアモータ12を使用した1軸駆動装置10。バランスウェイト30が移動子16と釣り合うように配される。
【選択図】 図1
【解決手段】N極とS極とが交互に配列されてなる棒状磁石である固定子14と、固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、固定子に沿って移動が可能な環状部材である移動子16と、を有するリニアモータ12を使用した1軸駆動装置10。バランスウェイト30が移動子16と釣り合うように配される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータを使用した1軸駆動装置(直動装置とも称呼される)に係り、特に、リニアモータの移動子の自重による駆動推力が変動を受ける状態での使用にあたって、この駆動推力の変動を抑制しやすい1軸駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
1軸駆動装置に使用できるリニアモータとしては、従来より各種の構成のものが知られている。このうちでも、棒状磁石である固定子と、固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、固定子に沿って直線移動が可能な環状部材である移動子とを有するリニアモータは、コギングが少ない、速度ムラが少ない、等の特徴を持っており、市場に出回りつつある(たとえば、GMC HILLSTONE社製、商品名:シャフトモーター。)。
【0003】
また、このようなリニアモータの改良技術として、安定的に精度良く作動できるとする構成のものが提案されている(特許文献1、特許文献2等。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−331834号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−150973号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1軸駆動装置に上記従来のリニアモータを適用し、移動子の自重による駆動推力が変動を受ける状態で使用した場合、この駆動推力の変動を抑制しにくいという問題が指摘されている。
【0007】
図4〜図6はこの現象を説明する概念図である。図4において、リニアモータ1の断面が略示されている。N極とS極とが交互に直線状に配列されてなる棒状磁石である固定子2に、コイル部材を有する環状部材である移動子4が嵌装されている。そして、固定子2の磁束と移動子4のコイル部材に流される電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、移動子4は固定子2に沿って直線移動する。なお、移動子4のコイル部材には図示しない駆動回路より電流が供給される。
【0008】
この場合、固定子2と移動子4との間に摩擦が存在するとすれば通電による駆動をしない状態で図5、図6に示されるようになる。図5は、リニアモータ1が水平に配された状態を示し、図6はリニアモータ1が水平に対してΘの傾斜角度をもって配された状態を示す。なお、固定子2と移動子4との間の摩擦係数はμとする。
【0009】
図5において、移動子4に通電しない状態では固定子2と移動子4との相対運動はない。また、移動子4を右又は左に動かすには、移動子の自重Mによる摩擦力に打ち勝つべく、駆動力F=μMを要する。
【0010】
一方、図6においては、移動子4の自重による分力M・Sin Θが固定子2に沿った直線移動方向にかかる。また、移動子4の自重による分力M・Cos Θが固定子2に沿った直線移動方向に対し垂直にかかる。
【0011】
この状態で、移動子4の自重による分力及び摩擦力に打ち勝って移動子4を左方に動かすには、同図(a)に示されるように、駆動力F=M・Sin Θ+μM・Cos Θを要する。一方、移動子4を右方に動かすには、同図(b)に示されるように、駆動力F=−M・Sin Θ+μM・Cos Θを要する。このように、従来のこの種のリニアモータは、移動子4の自重により駆動推力が変動を受ける。
【0012】
また、図6のような状態でΘが大きいと、移動子4が自重により右方に移動(落下)する。これを抑制し、移動子4を現状位置に維持させるためには、移動子4に通電し、左方向きの駆動力を与えて釣り合わせる必要がある。ところが、移動子4に通電した状態を維持すると、移動子4に発熱を生じ、この発熱により装置全体の寸法誤差を引き起こすという問題をも生じる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リニアモータの移動子の自重による駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせないリニアモータを使用した1軸駆動装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、N極とS極とが交互に配列されてなる棒状磁石である固定子と、前記固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、前記固定子に沿って移動が可能な環状部材である移動子と、を有するリニアモータを使用した1軸駆動装置であって、バランスウェイトが前記移動子と釣り合うように配されていることを特徴とする1軸駆動装置を提供する。
【0015】
ここで、「バランスウェイト」とは、「研削加工等において回転体の不釣合いを取り除くために付加するおもり。門型工作機械のクロスレールや中ぐり盤の主軸頭の自重と釣り合わせるのに用いるおもり。」(以上、切削・研削・研磨用語辞典、砥粒加工学会編、1995年、工業調査会出版)と説明されているが、本明細書においては、上記のうち、後者の意味で使用する。
【0016】
本発明によれば、移動子の自重又は移動子に他の構成部材が取り付けられている場合にはこれらと略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重等によるによる影響はなく、駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【0017】
本発明において、前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量と略同一であることが好ましい。移動子に他の構成部材を取り付けずに使用した場合、このように移動子の自重と略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重による駆動推力が変動を受けず、また、寸法精度誤差を生じさせない。
【0018】
また、本発明において、前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量に対し上下20%の範囲内であることが好ましい。移動子に他の構成部材を取り付ずに使用した場合、又は、移動子に他の構成部材を取り付けて使用した場合、バランスウェイトの重量がこのような範囲内であれば、移動子の自重等による駆動推力の変動は許容範囲となることが多く、また、寸法精度誤差も生じにくい。
【0019】
また、本発明において、前記バランスウェイトは、リニアモータの一端部又は両端部の近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材を介して巻き掛け運動伝達部材により前記移動子と連結されていることが好ましい。このように、バランスウェイトが、巻き掛け運動伝達支持部材を介して巻き掛け運動伝達部材により移動子と連結されていれば、容易に釣り合いがとれるからである。
【0020】
なお、「巻き掛け運動伝達部材」とは、機構学での巻き掛け伝達における機械要素で、一般的には、ベルト、チェーン、ワイヤ等が該当する。また、「巻き掛け運動伝達支持部材」とは、同じく巻き掛け伝達における機械要素で、一般的には、プーリ、ベルト車、スプロケット等が該当する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る1軸駆動装置の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る1軸駆動装置10の全体構成図であり、斜視図で表示されている。図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、リニアモータ12の要部拡大断面図である。
【0022】
1軸駆動装置10は、固定子14及び移動子16を主体としてなるリニアモータ12と、各部材を固定するベース板18と(図1では図示を略す)、固定子14の両端部をベース板18に固定する固定金具20、20と、移動子16に給電を行うケーブルベア22と、移動子16の1軸方向位置を検出するエンコーダ24及びエンコーダスケール26と、固定子14の両端部近傍に設けられ、移動子16のエンドリミットを検知するリミットセンサ28、28と、移動子16の自重等との釣り合いをとるバランスウェイト30と、固定子14の両端部近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材であるプーリ34、34と、ベース板18に固定されプーリ34を回動自在に軸支するプーリ軸36、36と、プーリ34を介して移動子16とバランスウェイト30とを連結する巻き掛け運動伝達部材であるワイヤ32と、より構成される。
【0023】
次に、図3等によりリニアモータ12の詳細について説明する。リニアモータ12は、いわゆるシャフト型のリニアモータである。リニアモータ12は、前述のように界磁用のマグネットが形成されている直線棒状のシャフト部材である固定子14と、コイル部材を主要部として有する環状部材である移動子16がこれに嵌装されることにより構成されている。
【0024】
固定子14は、機械加工が可能で、着磁可能な材料、たとえば、Fe−Cr−Co系金属よりなり、断面が円形に形成されている。また、固定子14は、その長手方向に沿って等ピッチの、好ましくは略矩形の磁束分布となるように着磁されている。これにより、固定子14には、その長手方向に沿ってN極とS極とが同じ磁極幅Pで交互に並んだ駆動用着磁部が形成されており、これが界磁マグネットとなっている。この磁極幅Pは、たとえば30mmとすることができる。
【0025】
移動子16のコイル部材40は、U相、V相、W相の3つのコイルを1組とするコイル群の2組(第1組のコイル群及び第2組のコイル群)よりなる。第1組のコイル群は、コイルU1、V1、W1からなり、この順に固定子14の長手方向に配置されている。第2組のコイル群は、コイルU2、V2、W2からなり、この順に固定子14の長手方向に配置されている。これらのコイルは、いずれも磁極幅Pの1/3の幅に形成されている。
【0026】
移動子16のコイル部材40を構成するこれら各コイルは、その外周面を接着剤によってコーティングするようにして固着され一体化されている。そして、コイル部材40は、中空直方体状の移動子フレーム42の中空部分に内蔵されており、かつ、移動子フレーム42の内周面に一体化して支持されている。
【0027】
移動子16の移動子フレーム42の左右両端部分には、固定子14に嵌装され、固定子14に摺動可能な軸受け部44、44が設けられている。この軸受け部44、44の作用により、移動子16は固定子14に沿って滑らかに移動できる。
【0028】
そして、固定子14の磁束と移動子16のコイル部材40に流される電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、移動子16は固定子14に沿って直線移動する。なお、移動子16のコイル部材40には図示しない駆動回路よりケーブルベア22を介して電流が供給される。
【0029】
図1、図2に示されるバランスウェイト30としては、移動子16と釣り合うような重量のものを選択することが好ましい。すなわち、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用する場合には、移動子16と当該構成部材との重量を加算したものと略同様の重量のバランスウェイト30とするのが好ましい。また、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用しない場合、又は、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用するが、当該構成部材の重量が僅かな場合等には、移動子16と略同様の重量のバランスウェイト30とするのが好ましい。
【0030】
更に、移動子16に取り付ける他の構成部材によって、バランスウェイト30の重量を増減できるような構成を採用することもできる。
【0031】
移動子16とバランスウェイト30との連結は、図1、図2に示されるように、ワイヤ32により無端環状に構成し、このワイヤ32をプーリ34、34に巻き掛けて支持すればよい。
【0032】
その他、1軸駆動装置10の他の構成(ベース板18、固定金具20、ケーブルベア22、エンコーダ24、エンコーダスケール26、リミットセンサ28)については、いずれも公知のものであることより、その説明は省略する。
【0033】
次に、1軸駆動装置10の作用について説明する。1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に配された状態(図5)において、移動子16に通電しない状態では、固定子14と移動子16との相対運動はない。また、1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に対して所定傾斜角度をもって配された状態(図6)であっても、バランスウェイト30の釣り合いの効果により、固定子14と移動子16との相対運動はない。したがって、移動子16に通電しておく必要はなく、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【0034】
1軸駆動装置10(リニアモータ1)の移動子16に通電し駆動した場合、1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に対して所定傾斜角度をもって配された状態(図6)であっても、バランスウェイト30の釣り合いの効果により、固定子14と移動子16とはバランスがとれている。したがって、移動子の自重等による影響はなく、駆動推力が変動を受けることはない。
【0035】
上記の構成の1軸駆動装置10の用途としては、たとえば、表面粗さ測定装置、輪郭形状測定装置、真円度測定装置、三次元座標測定装置等の駆動部への使用が挙げられる。このような用途に使用した場合、リニアモータ12の特徴とする、メンテナンスが不用である、磨耗部分がない、低振動駆動が可能である、速度範囲を大きくとれる、高剛性である、構造が簡単である、バックラッシュがない、等の有利な効果が得られる。
【0036】
以上、本発明に係る1軸駆動装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。たとえば、実施形態の例では、バランスウェイト30が、リニアモータ12の両端部の近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34、34)を介して巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)により移動子16と連結される構成が採用されているが、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)がリニアモータ12一端部の近傍に設けられる構成も採用できる。
【0037】
たとえば、1軸駆動装置10を使用して鉛直方向の動作をさせる場合には、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)をリニアモータ12の上端部の近傍に設け、これに巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)を巻き掛けて、移動子16とバランスウェイト30との釣り合いを取る構成が採用できる。
【0038】
また、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)と巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)との組み合わせ以外の構成でも、バランスウェイト30が移動子16と釣り合うように配されている構成であれば、各種構成が採用できる。
【0039】
たとえば、1軸駆動装置10を使用して鉛直方向の動作をさせる場合に、マノメータ(連通管)を介してバランスウェイト30と移動子16との釣り合いを取る構成である。この場合、たとえば、両端のマノメータ内の水銀のヘッド(上端)を塞ぐ上下移動可能な蓋材を設け、この両端の蓋材でバランスウェイト30と移動子16のそれぞれの自重を受ければよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、移動子の自重又は移動子に他の構成部材が取り付けられている場合にはこれらと略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重等によるによる影響はなく、駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1軸駆動装置の全体構成図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】リニアモータの要部拡大断面図
【図4】リニアモータの概要を示す断面図
【図5】従来のリニアモータにおける問題点を説明する概念図
【図6】従来のリニアモータにおける問題点を説明する概念図
【符号の説明】
10…1軸駆動装置、12…リニアモータ、14…固定子、16…移動子、18…ベース板、20…固定金具、22…ケーブルベア、24…エンコーダ、26…エンコーダスケール、28…リミットセンサ、30…バランスウェイト、32…ワイヤ、34…プーリ、36…プーリ軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータを使用した1軸駆動装置(直動装置とも称呼される)に係り、特に、リニアモータの移動子の自重による駆動推力が変動を受ける状態での使用にあたって、この駆動推力の変動を抑制しやすい1軸駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
1軸駆動装置に使用できるリニアモータとしては、従来より各種の構成のものが知られている。このうちでも、棒状磁石である固定子と、固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、固定子に沿って直線移動が可能な環状部材である移動子とを有するリニアモータは、コギングが少ない、速度ムラが少ない、等の特徴を持っており、市場に出回りつつある(たとえば、GMC HILLSTONE社製、商品名:シャフトモーター。)。
【0003】
また、このようなリニアモータの改良技術として、安定的に精度良く作動できるとする構成のものが提案されている(特許文献1、特許文献2等。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−331834号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−150973号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1軸駆動装置に上記従来のリニアモータを適用し、移動子の自重による駆動推力が変動を受ける状態で使用した場合、この駆動推力の変動を抑制しにくいという問題が指摘されている。
【0007】
図4〜図6はこの現象を説明する概念図である。図4において、リニアモータ1の断面が略示されている。N極とS極とが交互に直線状に配列されてなる棒状磁石である固定子2に、コイル部材を有する環状部材である移動子4が嵌装されている。そして、固定子2の磁束と移動子4のコイル部材に流される電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、移動子4は固定子2に沿って直線移動する。なお、移動子4のコイル部材には図示しない駆動回路より電流が供給される。
【0008】
この場合、固定子2と移動子4との間に摩擦が存在するとすれば通電による駆動をしない状態で図5、図6に示されるようになる。図5は、リニアモータ1が水平に配された状態を示し、図6はリニアモータ1が水平に対してΘの傾斜角度をもって配された状態を示す。なお、固定子2と移動子4との間の摩擦係数はμとする。
【0009】
図5において、移動子4に通電しない状態では固定子2と移動子4との相対運動はない。また、移動子4を右又は左に動かすには、移動子の自重Mによる摩擦力に打ち勝つべく、駆動力F=μMを要する。
【0010】
一方、図6においては、移動子4の自重による分力M・Sin Θが固定子2に沿った直線移動方向にかかる。また、移動子4の自重による分力M・Cos Θが固定子2に沿った直線移動方向に対し垂直にかかる。
【0011】
この状態で、移動子4の自重による分力及び摩擦力に打ち勝って移動子4を左方に動かすには、同図(a)に示されるように、駆動力F=M・Sin Θ+μM・Cos Θを要する。一方、移動子4を右方に動かすには、同図(b)に示されるように、駆動力F=−M・Sin Θ+μM・Cos Θを要する。このように、従来のこの種のリニアモータは、移動子4の自重により駆動推力が変動を受ける。
【0012】
また、図6のような状態でΘが大きいと、移動子4が自重により右方に移動(落下)する。これを抑制し、移動子4を現状位置に維持させるためには、移動子4に通電し、左方向きの駆動力を与えて釣り合わせる必要がある。ところが、移動子4に通電した状態を維持すると、移動子4に発熱を生じ、この発熱により装置全体の寸法誤差を引き起こすという問題をも生じる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リニアモータの移動子の自重による駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせないリニアモータを使用した1軸駆動装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、N極とS極とが交互に配列されてなる棒状磁石である固定子と、前記固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、前記固定子に沿って移動が可能な環状部材である移動子と、を有するリニアモータを使用した1軸駆動装置であって、バランスウェイトが前記移動子と釣り合うように配されていることを特徴とする1軸駆動装置を提供する。
【0015】
ここで、「バランスウェイト」とは、「研削加工等において回転体の不釣合いを取り除くために付加するおもり。門型工作機械のクロスレールや中ぐり盤の主軸頭の自重と釣り合わせるのに用いるおもり。」(以上、切削・研削・研磨用語辞典、砥粒加工学会編、1995年、工業調査会出版)と説明されているが、本明細書においては、上記のうち、後者の意味で使用する。
【0016】
本発明によれば、移動子の自重又は移動子に他の構成部材が取り付けられている場合にはこれらと略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重等によるによる影響はなく、駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【0017】
本発明において、前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量と略同一であることが好ましい。移動子に他の構成部材を取り付けずに使用した場合、このように移動子の自重と略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重による駆動推力が変動を受けず、また、寸法精度誤差を生じさせない。
【0018】
また、本発明において、前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量に対し上下20%の範囲内であることが好ましい。移動子に他の構成部材を取り付ずに使用した場合、又は、移動子に他の構成部材を取り付けて使用した場合、バランスウェイトの重量がこのような範囲内であれば、移動子の自重等による駆動推力の変動は許容範囲となることが多く、また、寸法精度誤差も生じにくい。
【0019】
また、本発明において、前記バランスウェイトは、リニアモータの一端部又は両端部の近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材を介して巻き掛け運動伝達部材により前記移動子と連結されていることが好ましい。このように、バランスウェイトが、巻き掛け運動伝達支持部材を介して巻き掛け運動伝達部材により移動子と連結されていれば、容易に釣り合いがとれるからである。
【0020】
なお、「巻き掛け運動伝達部材」とは、機構学での巻き掛け伝達における機械要素で、一般的には、ベルト、チェーン、ワイヤ等が該当する。また、「巻き掛け運動伝達支持部材」とは、同じく巻き掛け伝達における機械要素で、一般的には、プーリ、ベルト車、スプロケット等が該当する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る1軸駆動装置の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る1軸駆動装置10の全体構成図であり、斜視図で表示されている。図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、リニアモータ12の要部拡大断面図である。
【0022】
1軸駆動装置10は、固定子14及び移動子16を主体としてなるリニアモータ12と、各部材を固定するベース板18と(図1では図示を略す)、固定子14の両端部をベース板18に固定する固定金具20、20と、移動子16に給電を行うケーブルベア22と、移動子16の1軸方向位置を検出するエンコーダ24及びエンコーダスケール26と、固定子14の両端部近傍に設けられ、移動子16のエンドリミットを検知するリミットセンサ28、28と、移動子16の自重等との釣り合いをとるバランスウェイト30と、固定子14の両端部近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材であるプーリ34、34と、ベース板18に固定されプーリ34を回動自在に軸支するプーリ軸36、36と、プーリ34を介して移動子16とバランスウェイト30とを連結する巻き掛け運動伝達部材であるワイヤ32と、より構成される。
【0023】
次に、図3等によりリニアモータ12の詳細について説明する。リニアモータ12は、いわゆるシャフト型のリニアモータである。リニアモータ12は、前述のように界磁用のマグネットが形成されている直線棒状のシャフト部材である固定子14と、コイル部材を主要部として有する環状部材である移動子16がこれに嵌装されることにより構成されている。
【0024】
固定子14は、機械加工が可能で、着磁可能な材料、たとえば、Fe−Cr−Co系金属よりなり、断面が円形に形成されている。また、固定子14は、その長手方向に沿って等ピッチの、好ましくは略矩形の磁束分布となるように着磁されている。これにより、固定子14には、その長手方向に沿ってN極とS極とが同じ磁極幅Pで交互に並んだ駆動用着磁部が形成されており、これが界磁マグネットとなっている。この磁極幅Pは、たとえば30mmとすることができる。
【0025】
移動子16のコイル部材40は、U相、V相、W相の3つのコイルを1組とするコイル群の2組(第1組のコイル群及び第2組のコイル群)よりなる。第1組のコイル群は、コイルU1、V1、W1からなり、この順に固定子14の長手方向に配置されている。第2組のコイル群は、コイルU2、V2、W2からなり、この順に固定子14の長手方向に配置されている。これらのコイルは、いずれも磁極幅Pの1/3の幅に形成されている。
【0026】
移動子16のコイル部材40を構成するこれら各コイルは、その外周面を接着剤によってコーティングするようにして固着され一体化されている。そして、コイル部材40は、中空直方体状の移動子フレーム42の中空部分に内蔵されており、かつ、移動子フレーム42の内周面に一体化して支持されている。
【0027】
移動子16の移動子フレーム42の左右両端部分には、固定子14に嵌装され、固定子14に摺動可能な軸受け部44、44が設けられている。この軸受け部44、44の作用により、移動子16は固定子14に沿って滑らかに移動できる。
【0028】
そして、固定子14の磁束と移動子16のコイル部材40に流される電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、移動子16は固定子14に沿って直線移動する。なお、移動子16のコイル部材40には図示しない駆動回路よりケーブルベア22を介して電流が供給される。
【0029】
図1、図2に示されるバランスウェイト30としては、移動子16と釣り合うような重量のものを選択することが好ましい。すなわち、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用する場合には、移動子16と当該構成部材との重量を加算したものと略同様の重量のバランスウェイト30とするのが好ましい。また、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用しない場合、又は、移動子16に他の構成部材を取り付けて使用するが、当該構成部材の重量が僅かな場合等には、移動子16と略同様の重量のバランスウェイト30とするのが好ましい。
【0030】
更に、移動子16に取り付ける他の構成部材によって、バランスウェイト30の重量を増減できるような構成を採用することもできる。
【0031】
移動子16とバランスウェイト30との連結は、図1、図2に示されるように、ワイヤ32により無端環状に構成し、このワイヤ32をプーリ34、34に巻き掛けて支持すればよい。
【0032】
その他、1軸駆動装置10の他の構成(ベース板18、固定金具20、ケーブルベア22、エンコーダ24、エンコーダスケール26、リミットセンサ28)については、いずれも公知のものであることより、その説明は省略する。
【0033】
次に、1軸駆動装置10の作用について説明する。1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に配された状態(図5)において、移動子16に通電しない状態では、固定子14と移動子16との相対運動はない。また、1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に対して所定傾斜角度をもって配された状態(図6)であっても、バランスウェイト30の釣り合いの効果により、固定子14と移動子16との相対運動はない。したがって、移動子16に通電しておく必要はなく、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【0034】
1軸駆動装置10(リニアモータ1)の移動子16に通電し駆動した場合、1軸駆動装置10(リニアモータ1)が水平に対して所定傾斜角度をもって配された状態(図6)であっても、バランスウェイト30の釣り合いの効果により、固定子14と移動子16とはバランスがとれている。したがって、移動子の自重等による影響はなく、駆動推力が変動を受けることはない。
【0035】
上記の構成の1軸駆動装置10の用途としては、たとえば、表面粗さ測定装置、輪郭形状測定装置、真円度測定装置、三次元座標測定装置等の駆動部への使用が挙げられる。このような用途に使用した場合、リニアモータ12の特徴とする、メンテナンスが不用である、磨耗部分がない、低振動駆動が可能である、速度範囲を大きくとれる、高剛性である、構造が簡単である、バックラッシュがない、等の有利な効果が得られる。
【0036】
以上、本発明に係る1軸駆動装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。たとえば、実施形態の例では、バランスウェイト30が、リニアモータ12の両端部の近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34、34)を介して巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)により移動子16と連結される構成が採用されているが、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)がリニアモータ12一端部の近傍に設けられる構成も採用できる。
【0037】
たとえば、1軸駆動装置10を使用して鉛直方向の動作をさせる場合には、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)をリニアモータ12の上端部の近傍に設け、これに巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)を巻き掛けて、移動子16とバランスウェイト30との釣り合いを取る構成が採用できる。
【0038】
また、巻き掛け運動伝達支持部材(プーリ34)と巻き掛け運動伝達部材(ワイヤ32)との組み合わせ以外の構成でも、バランスウェイト30が移動子16と釣り合うように配されている構成であれば、各種構成が採用できる。
【0039】
たとえば、1軸駆動装置10を使用して鉛直方向の動作をさせる場合に、マノメータ(連通管)を介してバランスウェイト30と移動子16との釣り合いを取る構成である。この場合、たとえば、両端のマノメータ内の水銀のヘッド(上端)を塞ぐ上下移動可能な蓋材を設け、この両端の蓋材でバランスウェイト30と移動子16のそれぞれの自重を受ければよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、移動子の自重又は移動子に他の構成部材が取り付けられている場合にはこれらと略同一重量のバランスウェイトにより釣り合いがとれる。したがって、移動子の自重等によるによる影響はなく、駆動推力が変動を受けず、また、発熱等による寸法精度誤差を生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1軸駆動装置の全体構成図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】リニアモータの要部拡大断面図
【図4】リニアモータの概要を示す断面図
【図5】従来のリニアモータにおける問題点を説明する概念図
【図6】従来のリニアモータにおける問題点を説明する概念図
【符号の説明】
10…1軸駆動装置、12…リニアモータ、14…固定子、16…移動子、18…ベース板、20…固定金具、22…ケーブルベア、24…エンコーダ、26…エンコーダスケール、28…リミットセンサ、30…バランスウェイト、32…ワイヤ、34…プーリ、36…プーリ軸
Claims (4)
- N極とS極とが交互に配列されてなる棒状磁石である固定子と、
前記固定子に嵌装されるとともに、コイル部材を有し、前記固定子に沿って移動が可能な環状部材である移動子と、を有するリニアモータを使用した1軸駆動装置であって、
バランスウェイトが前記移動子と釣り合うように配されていることを特徴とする1軸駆動装置。 - 前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量と略同一である請求項1に記載の1軸駆動装置。
- 前記バランスウェイトの重量が前記移動子の重量に対し上下20%の範囲内である請求項1に記載の1軸駆動装置。
- 前記バランスウェイトは、リニアモータの一端部又は両端部の近傍に設けられる巻き掛け運動伝達支持部材を介して巻き掛け運動伝達部材により前記移動子と連結されている請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の1軸駆動装置。
Priority Applications (3)
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JP2002292632A JP2004129440A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 1軸駆動装置 |
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JP (1) | JP2004129440A (ja) |
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2002
- 2002-10-04 JP JP2002292632A patent/JP2004129440A/ja active Pending
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