JP2004128493A - ニッケル−シリコン系化合物の形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置 - Google Patents

ニッケル−シリコン系化合物の形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体製造プロセスの温度でも組成が安定しており、電気的特性が向上された良質なニッケルシリサイドを形成できるニッケル−シリコン系化合物の形成方法を提供する。
【解決手段】Si(1 0 0)基板2上にNi膜1を形成した後、Ni膜1およびSi基板2を約0℃から約300℃まで急速に一気に加熱する。続けて、Ni膜1が形成されたSi基板2の温度を約10秒間かけて約50℃上昇させた後、約30秒間温度を保持する段階的な加熱工程を、10回繰り返す。Ni膜1およびSi基板2の温度を約800℃まで上昇させた後、Ni膜1およびSi基板2の温度を、約300℃〜約800℃までの段階的かつ階段状の加熱工程に掛かった時間と略同じ時間、約800℃に保持する。この後、Ni膜1およびSi基板2を約800℃から約0℃まで急速に、かつ、一気に冷却する。
【選択図】   図1

Description

 本発明は、半導体装置の電気的特性の向上を図り得る技術に係り、特にトランジスタの電気的性質の向上を図り得るニッケル−シリコン系化合物の形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置に関する。
 近年、トランジスタをはじめとする各種半導体素子の微細化や高集積化により、LSIをはじめとする各種半導体装置は大きく発展してきた。この要因の一つとして、例えばトランジスタの微細化に伴ってトランジスタのオン抵抗が減少して、小さなトランジスタで大量の電流を流すことができるようになったことが挙げられる。ところが、トランジスタのオン抵抗が減少するのに伴ってトランジスタの主要部であるソース、ドレイン、およびゲートなどの寄生抵抗も無視し得なくなった。そして、例えばソース、ドレイン、およびゲートでの寄生抵抗を下げるために、金属とシリコンの化合物であるシリサイドあるいはサリサイドと呼ばれる化合物が使用され始めた。例えばシリサイドの材料としては、一般にはチタン(Ti)やタングステン(W)、あるいはコバルト(Co)などが用いられている。
 しかしながら、トランジスタのゲートサイズが50nm以下になろうとする昨今、より低抵抗なシリサイドの材料としてニッケル(Ni)が注目を集めている。例えばニッケルモノシリサイド(NiSi)は、Ti、W、あるいはCoなどのシリサイドに比べてコンタクト抵抗や比抵抗がより小さい。このため、NiSiは将来のトランジスタの主要部を形成するシリサイドやサリサイドの材料として期待されている。
 一般的な半導体装置の製造プロセスによれば、500℃以上の高温に耐え得るNiSi膜を成膜することが理想的である。ところが、通常は、Ni膜をSi膜上に成膜後、350℃付近まで一気に昇温してNiSi膜を形成する。これは、500℃付近まで一気に昇温してNiSi膜を形成しようとすると、NiSiが凝集を起こしたり、NiSi2に組成変化して比抵抗が高くなったりするためである。このような問題を回避するため、350℃付近の低温でしかNiSi膜を形成することができなかった。このため、NiSi膜を形成した後、高温の熱処理を行うことができず、LSIをはじめとする各種半導体装置への実用化が阻まれていた。
 本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、半導体装置の製造プロセスにおいて課せられる温度でも組成が安定しているとともに、電気的特性が向上されている良質なニッケルシリサイドを形成できるニッケル−シリコン系化合物の形成方法を提供することにある。それとともに、良質なニッケルシリサイドを用いて半導体素子を形成して、半導体装置の電気的特性の向上を図り得る半導体装置の製造方法、および電気的特性が向上された半導体装置を提供することにある。
 前記課題を解決するために、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法は、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方の上にニッケルを設ける工程と、前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに段階的に加熱する工程と、を含むことを特徴とするものである。
 このニッケル−シリコン系化合物の形成方法においては、シリコン単体またはシリコンを含む化合物の上にニッケルを設けた後、ニッケルをシリコン単体またはシリコンを含む化合物とともに段階的に加熱する。この方法によって形成されたニッケル−シリコン系化合物(ニッケルシリサイド)、例えばニッケルモノシリサイド(NiSi)は、500℃以上に加熱されても凝集やNiSi2への組成変化が殆ど無い。また、この方法により形成されたNiSiは、そのシート抵抗値が例えば50nm以下の寸法で形成される微細なトランジスタにも十分適用できる程低い。さらに、この方法により形成されたNiSiは、その表面が約50nm以下のオーダーで形成される微細なトランジスタにも十分適用できる程、表面が略均一かつ滑らかであり、荒れがない。
 また、前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方を備える半導体素子にニッケル−シリコン系化合物を設けることを特徴とするものである。
 この半導体装置の製造方法においては、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方を備える半導体素子に、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりニッケル−シリコン系化合物(ニッケルシリサイド)を設ける。すなわち、抵抗が低く良質なニッケルシリサイドを用いて半導体素子を形成して、その電気的特性の向上を図ることができる。ひいては、この半導体素子を備える半導体装置の電気的特性の向上を図ることができる。
 また、前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成されたニッケル−シリコン系化合物が、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方により形成されている箇所に設けられた半導体素子を具備することを特徴とするものである。
 この半導体装置においては、半導体装置が具備する半導体素子のうち、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方により形成されている箇所に、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成されたニッケル−シリコン系化合物が設けられている。すなわち、抵抗が低く良質なニッケルシリサイドを用いて半導体素子が形成されている。したがって、半導体素子は、その電気的特性が向上されている。ひいては、この半導体素子を具備する半導体装置は、その電気的特性が向上されている。
 本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によれば、形成されたニッケル−シリコン系化合物(ニッケルシリサイド:NiSi)は、その組成が約500℃を超えても安定している。また、この方法により形成されるNiSiは、そのシート抵抗値が約50nm以下の寸法で形成される微細なトランジスタにも十分適用できる程低く、かつ、その表面が均一で滑らかである。したがって、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によれば、半導体装置の製造プロセスにおいて課せられる温度でも組成が安定しているとともに、電気的特性が向上されている良質なニッケルシリサイドを形成できる。
 また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成された、抵抗が低く良質なニッケルシリサイドを用いて半導体素子を形成して、その電気的特性の向上を図ることができる。したがって、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、良質なニッケルシリサイドを用いて半導体素子を形成して、半導体装置の電気的特性の向上を図ることができる。
 また、本発明に係る半導体装置によれば、半導体装置が具備する半導体素子は、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成された抵抗が低く良質なニッケルシリサイドを用いて形成されており、その電気的特性が向上されている。したがって、本発明に係る半導体装置は、その電気的特性が向上されている。
 以下、本発明の詳細を図面を参照しつつ説明する。
 (第1の実施の形態)
 先ず、本発明に係る第1実施形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の温度変化をグラフで示す図である。図2は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフで示す図である。図3は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜を示す断面図である。図4は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜の表面状態を表す電子顕微鏡の写真である。
 本実施形態では、シリコン(Si)基板上に、ニッケル−シリコン系化合物としてのニッケルモノシリサイド(NiSi)膜を形成する場合について説明する。
 先ず、図3に示すように、ニッケル(Ni)の膜1をp型シリコン基板2の上に堆積させる。本実施形態では、面指数が(1 0 0)のSi基板(シリコンウェーハ)2を用いる。以下、このSi(1 0 0)基板2を単にSi基板2と称することとする。Si基板2は、Ni膜1が堆積されるのに先立って、予め薄めた弗酸(HF)によって清浄される。Ni膜1は、スパッタリング法によって、その膜厚が約30nmとなるまでSi基板2上に堆積される。
 次に、Ni膜1が形成されたSi基板2に対してシリサイド化処理を施す。このシリサイド化処理は、具体的には、Ni膜1をSi単体またはSiを含む化合物とともに段階的に加熱することに特徴を有するものである。この段階的な加熱方法を、特にマルチステップアニーリング技術、あるいは多段階アニール法と称することとする。
 Ni膜1が形成されたSi基板2に対して、多段階アニール法を施す。この多段階アニール法は、図示しない急速加熱処理装置(RTAシステム:Rapid Thermal Anneal System)を用いて実施する。具体的には、本実施形態の多段階アニール法は、その温度変化が図1のグラフに沿うように実行される。
 先ず、Ni膜1が形成されたSi基板2を加熱して、Ni膜1およびSi基板2の温度を、温度T0から温度T1まで昇温する。この後、Ni膜1およびSi基板2を段階的に階段状に加熱する。すなわち、温度T0から温度T1まで昇温されたNi膜1およびSi基板2の温度を、時間S1かけて微小温度ΔT上昇させるとともに、その温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返す。これにより、Ni膜1およびSi基板2を、温度T0から温度T2まで段階的に加熱する。
 具体的には、先ず、Ni膜1およびSi基板2の温度を約0℃から約300℃まで急速に、かつ、一気に昇温する。続けて、約300℃まで昇温されたNi膜1およびSi基板2の温度を、約10秒間かけてさらに約50℃上昇させる。すなわち、Ni膜1およびSi基板2を、約10秒間で約300℃から約350℃まで加熱する。この後、Ni膜1およびSi基板2の温度を約30秒間、約350℃で保持する。以後、Ni膜1およびSi基板2の温度を約10秒間かけて約50℃上昇させた後、約30秒間温度を保持する工程をさらに9回繰り返す。これにより、Ni膜1およびSi基板2の温度を、約300℃から約800℃まで段階的に階段状に上昇させる。すなわち、1ステップ約40秒間の周期からなる加熱および保温を10回繰り返すことにより、Ni膜1およびSi基板2の温度を約300℃から約800℃まで段階的に階段状に上昇させる。この周期をランプアップ(ramp-up)周期と称することとする。本実施形態では、合計約400秒かけて、Ni膜1およびSi基板2の温度を約300℃から約800℃まで段階的に階段状に上昇させる。
 Ni膜1およびSi基板2は、それらの温度が約800℃となるまで加熱された後、その加熱工程に掛かった時間と略同じ時間、それらの温度を約800℃に保持される。この後、Ni膜およびSi基板を冷却して、Ni膜1およびSi基板2の温度を約800℃から約0℃まで急速に、かつ、一気に降温する。本実施形態の多段階アニール法の1回の所用時間は、図1に示すように、約800秒である。以上説明した工程により、Si(1 0 0)基板2上にニッケルモノシリサイド膜(NiSi膜)3を形成する。
 本発明者らが行った実験によれば、本実施形態の多段階アニール法により形成されたNiSi膜3は、凝集やNiSi2への組成変化が殆ど無かった。また、本実施形態のNiSi膜3はそのシート抵抗値を、図2に示すように、約800℃まで最大でも約10Ω/平方という低い値に保つことができた。これは、約50nm以下のゲートを有する微細なトランジスタにも十分適用できる良好な値である。さらに、図4(a)に示すように、本実施形態のNiSi膜3は、約800℃までその表面を略均一で滑らかな、荒れの無い良好な状態に保つことができた。つまり、NiSi膜3は、約800℃までその表面を清浄された良好な状態、いわゆる鏡面状態に保つことができた。これも、約50nm以下のゲートを有する微細なトランジスタにも十分適用できる良好な状態である。約800℃という温度は、一般的なLSIの配線工程などのプロセス温度よりも十分に高い。
 したがって、本実施形態のNiSi膜3は、例えばMOSトランジスタなどの各種半導体素子、ひいては各種半導体素子を備えたLSIなどの各種半導体装置への応用性が極めて高い。すなわち、本実施形態のNiSi膜3は、その実用性が極めて高い。ただし、図4(b)に示すように、約900℃ではNiSi膜3はその表面に凝集などが生じ、略均一で滑らかな鏡面状態に保つことができなかった。本発明者らが行った実験によれば、本実施形態の多段階アニール法により約800℃まで加熱されて形成されたNiSi膜3は、その後の熱処理においても約800℃まで良質な状態を保つことができることが分かった。すなわち、本実施形態の多段階アニール法により形成されたNiSi膜3は、その後の熱処理においても、形成される際に到達した最高温度まで良質な状態を保つことができることが分かった。
 また、本発明者らが行ったX線回折(XRD:X-ray diffraction)法を用いた調査によれば、成膜環境を適正な状態に設定することにより、ニッケルシリサイド(NiSix)膜3の殆どすべてをニッケルモノシリサイド(NiSi)膜3として形成できることが分かった。さらに、本実施形態の多段階アニール法により形成されるNiSix膜3の化学量論比は、段階的な加熱工程における昇温速度および温度保持時間に強く依存することが分かった。すなわち、本実施形態の多段階アニール法によれば、昇温速度および温度保持時間を適宜、適正な値に調節することにより、NiSi膜3を含めて、所望の膜質からなるNiSix膜3を形成できる。
 以上説明したように、この第1実施形態によれば、一般的な半導体装置の製造プロセスにおいて課せられる、約500℃を超える高温においても組成が安定しているとともに、電気的特性が向上できる良質なNiSi膜3をSi基板2上に形成できる。これにより、例えば約50nm以下のサイズからなるゲートを有する微細なトランジスタをはじめとする、次世代の各種半導体素子の形成材料として、実用性が極めて高いNiSi膜3を形成できる。ひいては、微細な半導体素子を備えるとともに、さらなる微細化、高集積化、そして高性能化が施されたLSIをはじめとする、次世代の半導体装置に十分利用可能な実用性が極めて高いNiSi膜3を形成できる。
 (第2の実施の形態)
 次に、本発明に係る第2実施形態を図5〜図8を参照しつつ説明する。図5は、実施形態に係るNiSi膜の下地となるSi基板上のSiGeを表す電子顕微鏡の写真である。図6は、本実施形態に係るNiSi膜の下地となるSi基板上のSiGeを示す断面図である。図7は、本実施形態に係るNiSi膜および半導体装置のトランジスタ付近の構造を示す断面図である。図8は、本実施形態に係るSiGe上に形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフで示す図である。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
 本実施形態では、Si基板上に形成されたシリコンゲルマニウム(SiGe)の膜の上にNiSi膜を形成する場合について説明する。具体的には、Siを含む化合物(SiGe)を用いてSi基板の表面上に持ち上げられて形成されたトランジスタのソースおよびドレイン上に、NiSi膜を形成する場合について説明する。以下、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置を、半導体装置の製造方法の工程順に沿ってまとめて説明する。
 先ず、図5および図6に示すように、Si基板11上にシリコンゲルマニウム(SiGe)の膜12を形成する。Si基板11は、第1実施形態と同じSi(1 0 0)基板11を用いる。このSi基板11の表面上には、所定のパターンからなる絶縁膜層(絶縁分離領域パターン)13が予め酸化されて形成されているものとする。SiGe膜12は、Si基板11上において選択的にエピタキシャル成長されて形成される。以下、詳しく説明する。
 SiGe膜12は、具体的には、Si26およびGeH4をガスソースとするUHV−CVD法によってSi基板11上に堆積され、エピタキシャル成長される。このUHV−CVD法は、図示しないUHV−CVDシステムを用いて実行される。このUHV−CVDシステムの到達圧力は、10-10 Torrである。また、エピタキシャル成長を行う間の圧力は、5×10-5 Torr未満である。UHV−CVDシステムの成長反応器(growth chamber)は、エピタキシャル成長を行う間、液体窒素によって冷却される。SiGe膜12のエピタキシャル成長は、約800℃での熱清浄の後、約630℃で実行される。SiGe膜12の上のゲルマニウム(Ge)の組成は、ガスソースであるSi26およびGeH4の流量を変化させることにより制御できる。
 図5に、Si基板11上において選択的にエピタキシャル成長されたSiGe膜(SiGe層)12の断面の電子顕微鏡の像を示す。エピタキシャル成長されたSiGe膜12の膜厚は、約60nmであった。また、絶縁膜層(絶縁分離領域パターン)としてのTEOS膜13の最上部には、SiGe膜12の痕跡はなかった。すなわち、TEOS膜13の上では、SiGe膜12はエピタキシャル成長されなかった。
 次に、図7に示すように、SiGe膜12の上にNiSi膜14を形成する。NiSi膜14は、Si基板11上において選択的にエピタキシャル成長されたSiGe膜12の上にNi膜15を設けた後、このNi膜15をシリサイド化することにより形成される。図7は、図6のSi基板11付近をより詳しく示した図である。以下、詳しく説明する。
 前述した工程により、絶縁分離領域パターン13を有するp型のSi(1 0 0)基板11、すなわちp型SOIウェーハ11の上には、膜厚が約60nmのSiGe膜12が形成されている。このp型SOI基板11には、酸化膜16およびシリコンを含むソース・ドレイン領域(N+領域)17が形成されている。それとともに、このp型SOI基板11の上には、シリコンを含むゲート18、絶縁材からなるゲート側壁19、および同じく絶縁材からなるゲート底壁20などが設けられている。
 前述したように、SiGe膜12は、p型SOI基板11上において、TEOS膜(絶縁分離領域パターン)13をはじめとする絶縁体が形成されていない領域に形成されている。具体的には、SiGe膜12は、p型SOI基板11の表層部に形成されているソース・ドレイン領域(N+領域)17に連続して、その表面上に持ち上げられて形成されている。すなわち、SiGe膜12は、ソース・ドレイン領域17とともに、いわゆるエレベイテッド・ソース・ドレイン構造を構成している。
 p型SOI基板11は、そのソース・ドレイン領域17上にSiGe膜12がエピタキシャル成長された後、直ちに薄めた弗化水素酸(HF)により清浄される。続けて、p型SOI基板11は、スパッタリング装置の反応器(チャンバー)内に導入される。この反応器内において、p型SOI基板11の表面上に持ち上げられて形成されたSiGe膜12の表面上に、スパッタリング法によってNi膜15はその膜厚が約30nmとなるまで堆積される。
 次に、Ni膜15が形成されたp型SOI基板11を、急速加熱処理装置(RTAシステム)の反応器内に導入する。この反応器の内部は、窒素ガスで満たされる。そして、p型SOI基板11に対して、窒素雰囲気下においてアニール処理を施す。具体的には、第1実施形態と同様の多段階アニール法(マルチステップアニーリング法)を用いて、p型SOI基板11に対して窒素雰囲気下において熱処理を施す。ただし、本実施形態においては、p型SOI基板11に対する段階的な加熱を、約400℃〜約700℃の範囲で行う。以上説明した工程により、SiGe膜12上のNi膜15をシリサイド化する。これにより、p型SOI基板11上にNiSi膜14を形成する。より詳しくは、p型SOI基板11の上方において、p型SOI基板11の表面上に持ち上げられて形成されたSiGe膜12、およびゲート18のそれぞれの表面(上面)上に、NiSi膜14を選択的に形成する。これにより、半導体素子としてのMOSトランジスタ21を形成する。
 以後、所定の工程を経て、図7に示す所望の半導体装置22を得る。すなわち、いわゆるエレベイテッド・ソース・ドレイン構造を構成するSiGe膜12およびゲート18のそれぞれの表面(上面)上にのみ、NiSi膜14が形成されたMOSトランジスタ21を具備する半導体装置22を得る。
 本発明者らが行った実験によれば、本実施形態の多段階アニール法によりSiGe膜12上に形成されたNiSi膜14は、そのシート抵抗値のアニール温度依存性が図8のグラフのような傾向を示した。特に、アニール温度を700℃未満に設定した場合、本実施形態のNiSi膜14はそのシート抵抗値を、最大でも約2Ω/平方という極めて低い値に保つことができた。
 以上説明したように、この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、半導体装置の製造プロセスにおいて課せられる高温下においても組成が安定しており、かつ、電気的特性が大幅に向上されている、NiSi膜14およびSiGe膜12の複合構造からなる膜をSi基板11上に形成できる。具体的には、例えばMOSトランジスタとしてのSOI−MOSFET21内のソース・ドレイン構造を、ソース・ドレイン領域17の表面上にSiGe膜12を用いて形成されたエレベイテッド・ソース・ドレイン構造に、さらに電気的特性が良質なNiSi膜14を加えた構造に形成することができる。この結果、SOI−MOSFET21、ひいてはこのSOI−MOSFET21を具備する半導体装置22の電気的特性を向上できる。
 このように、本実施形態のニッケル−シリコン系化合物の形成方法によれば、Si単体11のみならず、SiGeをはじめとするシリコンを含む化合物12の上にも抵抗が低く良質なニッケルシリサイド14を形成することができる。また、本実施形態のニッケル−シリコン系化合物の形成方法を適用した本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、抵抗が低く良質なニッケルシリサイド14を用いて半導体素子21を形成して、その電気的特性の向上を図ることができる。ひいては、この半導体素子21を備える半導体装置22の電気的特性の向上を図ることができる。したがって、本実施形態のニッケル−シリコン系化合物の形成方法を適用して製造された本実施形態の半導体装置22は、その電気的特性が向上されている。
 (第3の実施の形態)
 次に、本発明に係る第3実施形態を図9〜図15を参照しつつ説明する。図9は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の概念をグラフにして示す図である。図10〜図12は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法に含まれる各アニーリング方法およびそれらの結果を個別にグラフにして示す図である。図13は、図10〜図12に示すニッケル−シリコン系化合物の形成方法の各アニーリング方法およびそれらの結果をまとめてグラフにして示す図である。図14は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の温度変化をグラフにして示す図である。図15は、本実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフで示す図である。
 本実施形態では、より短時間で済むステップアニーリング法について説明する。第1および第2の各実施形態において説明したマルチステップアニーリング法によれば、900℃弱の高温においても低抵抗のニッケルシリサイドを作ることが可能である。ただし、1プロセスに必要な時間が10分程度であり、デバイスが受ける熱量が多くなるおそれがある。本発明者らは、そのようなサーマルバジェットのおそれを低減するために、より短い時間で、高温でも低抵抗のニッケルシリサイドを作製可能なステップアニーリング法を開発した。以下、この短時間のステップアニーリング法について詳しく説明する。
 第1および第2の各実施形態において説明したマルチステップアニーリング法において、各ステップには次に述べる2つの主な効果もしくは役割があると考えられる。1つは、複数回のステップで温度を小幅に上昇させるので、1回のステップで温度を大幅に上昇させる加熱方法に比べて、サンプル内部の温度差を小さく抑えることができるという効果である。もう1つは、物質の相変化が生じる温度範囲における、所定の温度上昇率でのアニーリングである。ただし、この相変化は常に生じるとは限らない。したがって、この所定の温度上昇率でのアニーリングは、物質の相変化が生じる場合に有効である。そのような相変化としては、例えばNi+SiからNi2SiやNiSi、あるいはNiSi2などへの相変化などが考えられる。そして、本発明者らが行った研究によれば、この2つ目の効果がある場合には、アニーリングステップの回数を、例えば多数回から1回ないしは2回程度に減らすことができることが分かった。
 図9に示すように、例えば1つ目の相変化が約300℃〜約600℃までの温度範囲で生じるとする。この場合、約300℃〜約600℃までの温度範囲で行われるアニーリングステップの回数を、例えば多数回から1回に減らすことができる。同様に、別の相変化が約600℃〜約700℃までの温度範囲で生じるとする。この場合、約600℃〜約700℃までの温度範囲で行われるアニーリングステップ数を、例えば2回から1回に減らすことができる。この結果、プロセス全体のアニーリングステップの回数を、多数回から3回に減らすことができる。
 このように、ニッケルが、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに相変化する温度範囲では、この温度範囲ごとに段階的な加熱を1つの段階にまとめて行うことができる。すなわち、ニッケルが、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに相変化する温度範囲では、時間S1かけて温度を微小温度ΔT上昇させるとともにその温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返す加熱工程を、相変化する温度範囲ごとに1つの段階にまとめて行うことができる。この結果、実際にマルチステップアニーリング法を用いてニッケルシリサイドを作製する前に、実験などにより相変化に必要な最短の時間がどのくらいか分かれば、シリサイド化に掛かる時間を短くすることができる。すなわち、ニッケルシリサイドの作製に掛かる時間全体のうち、正味のプロセス時間(Row Process Time:RPT)を短縮することができる。
 なお、図9に示す相変化は、あくまで約300℃〜約600℃および約600℃〜約700℃で相変化が起こると仮定した仮想的なものである、したがって、実際の相変化は、必ずしも図9に示すように起こるとは限らない。以下、本発明者らが行った実験について、具体例を挙げて説明する。
 先ず、実験を始めるに際して、図示しないニッケル膜を約20nm堆積させたバルクSiをRTA装置に入れて、様々な温度でのNi−Si層の抵抗変化を観察した。これは、Ni−Si層に抵抗変化が生じる温度で相変化が起こると考えられているためである。そして、どの温度でNi−Si層に抵抗変化があるかを確認するためにそのような実験を行った。したがって、相変化がある場合には、その相変化(抵抗値の変化)が確実に起こるように、各観察温度においてアニーリング時間を約5分間ずつ維持する設定とした。この際、1秒当たりの温度上昇率を約200℃、約100℃、および約50℃の3種類に設定して実験を行った。仮に、Ni−Si層に抵抗変化が生じる温度で相変化が起こる場合、ニッケルと、シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とからなる化合物に対する段階的な加熱を、化合物の抵抗値が変化する温度範囲ごとに1つの段階にまとめて行うことができる。すなわち、Ni−Si層に抵抗変化が生じる温度で相変化が起こる場合、ニッケルと、シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とからなる化合物に対して、時間S1かけて温度を微小温度ΔT上昇させるとともにその温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返す加熱工程を、化合物の抵抗値が変化する温度範囲ごとに1つの段階にまとめて行うことができる。
 先ず、図10(a)示すように、加熱を1回だけ行う1ステップアニーリング(シングルステップアニーリング)を行った。この場合、図10(b)に示すグラフによれば、Ni−Si層に特別な抵抗の変化は観察され無かった。また、温度上昇率が約200℃/sの場合と約100℃/sの場合とでは、Ni−Si層の抵抗変化に特別な差は観察され無かった。このため、以降の実験では、温度上昇率を約50℃/sに設定した。
 次に、図11(a)示すように、低温側と高温側の2種類の温度TL,THで加熱を2回行う2ステップアニーリング(ダブルステップアニーリング)を行い、Ni−Si層に抵抗変化が観察されるか否かを実験した。
 この2ステップアニーリング法では、例えば低温側の温度TLを約300℃に設定する場合、次に述べるようにサンプル(Ni−Si層)の温度を変化させる。先ず、Ni−Si層の温度を、約50℃/sの温度上昇率で例えば約20℃から約300℃まで上昇させる。続けて、Ni−Si層の温度を約300℃のまま約5分間維持する。次に、Ni−Si層の温度を、同じく約50℃/sの温度上昇率で約300℃から所望の高温側の温度THまで上昇させる。続けて、Ni−Si層の温度を、THのまま約5分間維持する。その後、Ni−Si層の温度を、約50℃/sの温度下降率でTHから約20℃まで下げる。
 図11(b)に、そのような温度プロファイルにより2ステップアニーリング法を行った実験結果を示す。図11(b)に示すグラフによれば、TLを約300℃に、またTHを約700℃に設定した場合、Ni−Si層に抵抗の変化が観察された。同様に、TLを約400℃に、またTHを約600℃に設定した場合にも、Ni−Si層に抵抗の変化が観察された。これらの実験結果に基づいて、Ni−Si層に2ステップアニーリング法を施してNi−Si層の温度を約300℃および約700℃の各温度で略一定に維持するステップ(dwell time)を行った後、さらにNi−Si層の温度を約700℃より高い温度TMAXまで上昇させて維持する3ステップアニーリング(トリプルステップアニーリング)を行うこととした。同様に、Ni−Si層に2ステップアニーリング法を施してNi−Si層の温度を約400℃および約600℃の各温度で略一定に維持するステップを行った後、さらにNi−Si層の温度を約600℃より高い温度TMAXまで上昇させて維持する3ステップアニーリングを行うこととした。
 図12(a)に、3ステップアニーリングの概念をグラフにして示す。本発明者らは、dwell timeを例えば約5分、約30秒、あるいは約10秒など、適宜、適正な値に設定しつつ3ステップアニーリングの実験を行った。この結果、TLおよびTHをそれぞれ約300℃および約700℃に設定した場合には、Ni−Si層に特に低い抵抗は観察されなかった。これに対して、TLおよびTHをそれぞれ約400℃および約600℃に設定した場合には、Ni−Si層には約700℃まで低い抵抗が観察された。また、dwell timeを約10秒に設定した場合にも、Ni−Si層に低い抵抗が観察されたので、dwell timeは約10秒に設定した。このような温度プロファイルにより3ステップアニーリング法を行った実験結果を、図12(b)に示す。
 図13に、以上説明した3種類のステップアニーリング法による実験結果を、整理してまとめて示す。図13に示すように、例えばサンプルを約500℃程度の比較的低い温度までアニーリングする場合には、サンプルの温度を1つのステップで約500℃まで上げて約10秒間維持した後、下げる、1ステップアニーリング法を行う。また、例えばサンプルを約600℃程度までアニーリングする場合には、サンプルの温度を約400℃まで上げて約10秒間維持し、続けて約600℃まで上げて約10秒間維持した後、一気に下げる、2ステップアニーリング法を行う。さらに、例えばサンプルを約700℃程度までアニーリングする場合には、サンプルの温度を約400℃まで上げて約10秒間維持し、続けて約600℃まで上げて約10秒間維持し、さらに続けて約700℃まで上げて約10秒間維持した後、一気に下げる、3ステップアニーリング法を行う。このように、サンプルのアニーリング温度に応じて3種類のステップアニーリング法を使い分けることにより、例えば約700℃の高い温度まで低い抵抗を保持できるニッケルシリサイドを、十分短い時間で作製できる。
 図13に示すような温度プロファイルからなる3種類のステップアニーリング法では、アニーリング温度を約500℃以下、約600℃付近、そして約700℃以上の3つの温度範囲に大別することができる。そして、約400℃および約600℃の2つの温度が特別なアニーリング温度となる。したがって、このようなアニーリング方法を、以下の説明においてSTA(Specific Temperature Annealing)と称することとする。
 また、本実施形態においても約700℃以上の高温で低い抵抗を保持できるニッケルのシリサイド化を可能にするため、約700℃以上でのアニーリングについては第1および第2実施形態と同様のステップアニーリング法を用いる設定とした。すなわち、約700℃以上では、サンプルの温度を約10秒間のアニーリング時間で約50℃上げるとともに、そのサンプルの温度を約10秒間保持する加熱工程を繰り返すアニーリング方法を用いる。具体的には、サンプルに約700℃からのステップアニーリングを行う場合、先ずサンプルの温度を約10秒間で約700℃から約750℃まで上げてアニーリングを行う。続けて、そのサンプルの温度を約750℃のまま約10秒間保持してアニーリングを行う。次に、サンプルの温度を約10秒間で約750℃から約800℃まで上げてアニーリングを行う。続けて、そのサンプルの温度を約800℃のまま約10秒間保持してアニーリングを行う。そして、このような約700℃から約800℃までのマルチステップアニーリングを行った後、約1秒間当たり約50℃の温度下降率で、サンプルの温度を約800℃から約20℃まで一気に下げる。これにより、STAおよびマルチステップアニーリングからなる、本実験のアニーリング工程を終了とする。
 このように、本実験では、約700℃まではSTAによりニッケルをシリサイド化するとともに、約700℃以上ではマルチステップアニーリング法によりニッケルをシリサイド化する。これにより、約700℃以上の高温においても、低い抵抗を有するニッケルシリサイドの作製を可能にする。
 図14に、以上説明した本実験のアニーリング工程の温度プロファイルをグラフにして示す。前述した第1実施形態のマルチステップアニーリング工程では、Si基板上に設けられたNi膜を約0℃から約900℃まで加熱した後、約0℃まで冷却するまで、図1のグラフに示すように約14分以上掛かっている。これに対して、STAおよびマルチステップアニーリングからなる本実験のアニーリング工程では、バルクSi上に設けられたNi膜を約20℃から約900℃まで加熱した後、約20℃まで冷却するまで、図14のグラフに示すように約2分20秒しか掛かっておらず極めて短い。このように、本実験のアニーリング工程は、第1実施形態のマルチステップアニーリング工程に比べて、アニーリング工程に掛かる時間を約1/6に短縮することができる。すなわち、STAおよびマルチステップアニーリングからなる本実験のアニーリング工程は、単純なマルチステップアニーリング工程に比べて約6倍早い。
 図15に、以上説明したSTAおよびマルチステップアニーリングからなる複合アニーリング法を用いて、実際にNi層およびNi層にシリサイド化を行った結果をグラフにして示す。この図15に示すグラフから明らかなように、本実施形態の複合アニーリング法によれば、第1実施形態のマルチステップアニーリング法を用いた場合と同程度の低いシート抵抗値を、約850℃まで得ることができることが分かる。すなわち、本実施形態の複合アニーリング法は、より短い時間でニッケルのシリサイド化が可能な新しいアニーリング方法であることが確認された。なお、図15中約900℃付近の2つのデータ・サンプリング点には、ニッケルシリサイドのシート抵抗値を低く抑えることができなかったことを明らかにするために、エラーバー(error bar)を付して示してある。
 以上説明したように、この第3実施形態によれば、第1および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、STAおよびマルチステップアニーリングからなる本実施形態の複合アニーリング法によれば、第1および第2の各実施形態のマルチステップアニーリング法を用いた場合に比べて、約10Ω/平方程度の低いシート抵抗値を約900℃程度の高温まで保持できるニッケルシリサイドを、極めて短時間で得ることができる。
 なお、本発明に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置は、前述した第1〜第3の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの工程などの一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
 例えば、マルチステップアニール法、STA、およびの開始温度や、その昇温工程および温度保持工程に掛かる時間、周期、ならびにSTAおよびマルチステップアニーリングからなる複合アニーリング法において、ステップ数、あるいはその後の保温工程や冷却工程に掛かる時間などは、前述した第1〜第3の各実施形態において用いた値には限られない。それらの設定値は、所望の膜質を有するNiSi膜を作製できるように、適宜、適正な値に設定して構わない。これにより、所望の膜質を有するNiSi膜を形成することができる。
 また、NiSi膜の下地は、Si基板やSiGe膜には限られない。Siを含んでいる物質であればよい。さらに、形成されるNiSi膜の膜厚や、その下地となるシリコン単体あるいはシリコンを含む化合物からなる膜の厚さなどは、所望する半導体素子や半導体装置の電気的性能、あるいは成膜条件などに応じて、適宜、適正な大きさに設定可能である。
第1実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の温度変化をグラフにして示す図。 第1実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフにして示す図。 第1実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜を示す断面図。 第1実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法によりSi基板上に形成されたNiSi膜の表面状態を表す電子顕微鏡の写真。 第2実施形態に係るNiSi膜の下地となるSi基板上のSiGeを表す電子顕微鏡の写真。 第2実施形態に係るNiSi膜の下地となるSi基板上のSiGeを示す断面図。 第2実施形態に係るNiSi膜および半導体装置のトランジスタ付近の構造を示す断面図。 第2実施形態に係るSiGe上に形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の概念をグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法に含まれる一つのアニーリング方法およびその結果をグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法に含まれる他のアニーリング方法およびその結果をグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法に含まれるさらに他のアニーリング方法およびその結果をグラフにして示す図。 図10〜図12に示すニッケル−シリコン系化合物の形成方法の各アニーリング方法およびその結果をまとめてグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法の温度変化をグラフにして示す図。 第3実施形態に係るニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成されたNiSi膜のシート抵抗値の温度依存性をグラフで示す図。
符号の説明
1,15…Ni膜、2,11…p型Si(1 0 0)基板(Si単体、Siを含む化合物)、3,14…NiSi膜(NiSix膜、ニッケルシリサイド、ニッケル−シリコン系化合物)、12…SiGe膜(エレベイテッド・ソース・ドレイン、Siを含む化合物)、13…TEOS膜(絶縁分離領域パターン、絶縁膜層)、17…ソース・ドレイン領域(N+領域、Si単体およびSiを含む化合物の少なくとも一方により形成されている箇所)、18…ゲート(Si単体およびSiを含む化合物の少なくとも一方により形成されている箇所)、21…MOSトランジスタ(半導体素子)、22…半導体装置

Claims (19)

  1.  シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方の上にニッケルを設ける工程と、
     前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに段階的に加熱する工程と、
     を含むことを特徴とするニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  2.  前記ニッケルが、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに相変化する温度範囲では、この温度範囲ごとに前記段階的な加熱を1つの段階にまとめて行うことを特徴とする請求項1に記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  3.  前記ニッケルと、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とからなる化合物の抵抗値が変化する温度範囲では、この温度範囲ごとに前記段階的な加熱を1つの段階にまとめて行うことを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  4.  前記段階的な加熱工程は、前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに温度T0から温度T1まで加熱した後、時間S1かけて温度を微小温度ΔT上昇させるとともに、その温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返すことにより、前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに前記温度T0から前記温度T2まで段階的に加熱することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  5.  前記段階的な加熱工程において、前記時間S1は前記時間S2よりも短いことを特徴とする請求項4に記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  6.  前記段階的な加熱工程において、前記微小温度ΔTは前記温度T1と前記温度T0との温度差よりも小さいことを特徴とする請求項4または5に記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  7.  前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに前記温度T2まで段階的に加熱した後、前記温度T2を前記段階的な加熱工程に掛かる時間と略同じ時間保持することを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  8.  前記ニッケルを、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに前記温度T2まで段階的に加熱し、前記温度T2を前記段階的な加熱工程に掛かる時間と略同じ時間保持した後、前記温度T0まで冷却することを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  9.  前記段階的な加熱工程において、前記温度T1は450℃未満であるとともに、前記温度T2は450℃以上かつ900℃未満であることを特徴とする請求項4〜8のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  10.  前記ニッケルが、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とともに相変化する温度範囲では、時間S1かけて温度を微小温度ΔT上昇させるとともにその温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返す加熱工程を、前記相変化の種類ごとに1つの段階にまとめて行うことを特徴とする請求項4〜9のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  11.  前記ニッケルと、前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方とからなる化合物の抵抗値が変化する温度範囲では、時間S1かけて温度を微小温度ΔT上昇させるとともにその温度を時間S2間保持する工程を複数回繰り返す加熱工程を、前記温度範囲ごとに1つの段階にまとめて行うことを特徴とする請求項4〜10のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  12.  前記シリコンを含む化合物は、シリコンゲルマニウムであることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  13.  前記シリコン単体および前記シリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方の上に、ニッケルモノシリサイドを形成することを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法。
  14.  請求項1〜13のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法により、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方を備える半導体素子にニッケル−シリコン系化合物を設けることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15.  前記半導体素子をトランジスタとするとともに、このトランジスタのソース、ドレイン、およびゲートのうちの少なくとも一箇所に前記ニッケル−シリコン系化合物を設けることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  16.  前記ニッケル−シリコン系化合物としてニッケルモノシリサイドを設けることを特徴とする請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
  17.  請求項1〜11のうちのいずれかに記載のニッケル−シリコン系化合物の形成方法により形成されたニッケル−シリコン系化合物が、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方により形成されている箇所に設けられた半導体素子を具備することを特徴とする半導体装置。
  18.  前記半導体素子はトランジスタであるとともに、シリコン単体およびシリコンを含む化合物のうちの少なくとも一方により形成されている前記箇所は、前記トランジスタのソース、ドレイン、およびゲートのうちの少なくとも一箇所であることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
  19.  前記ニッケル−シリコン系化合物としてニッケルモノシリサイドが設けられていることを特徴とする請求項17または18に記載の半導体装置。
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