JP2004128480A - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コア基板の表面上方のみにビルドアップ層を有して反りにくく且つ無機繊維を含む裏面絶縁層に所定の内径の開口部を精度良く形成できる配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】予め無機繊維を含む接着性の樹脂からなる裏面絶縁層11′の所定の位置に貫通孔15aを形成する穿孔工程と、表面4および裏面5を有するコア基板2の裏面5に上記裏面絶縁層11を接着し且つその厚み方向に沿ってプレスして、上記貫通孔15aであった位置に上記無機繊維を含まない樹脂部11bを周縁付近に有する開口部15を形成するプレス工程と、を含む、配線基板の製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】予め無機繊維を含む接着性の樹脂からなる裏面絶縁層11′の所定の位置に貫通孔15aを形成する穿孔工程と、表面4および裏面5を有するコア基板2の裏面5に上記裏面絶縁層11を接着し且つその厚み方向に沿ってプレスして、上記貫通孔15aであった位置に上記無機繊維を含まない樹脂部11bを周縁付近に有する開口部15を形成するプレス工程と、を含む、配線基板の製造方法。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を有する配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低コスト化の要請に応じるため、図7(A)に示すように、コア基板31の片面(表面)32上方にのみ複数の絶縁層35,39,41および複数の配線層34,37,40を積層したビルドアップ層BUなどを形成した配線基板30が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記コア基板31は、厚み約800μmの絶縁板であり、その表面32上方に厚み約30μmの絶縁層35,39,41と厚み約15μmの配線層34,37,40とを交互に積層している。
また、図7(A)に示すように、配線層34,37,40間を導通するため、ビア導体36,38が絶縁層35,39に形成されている。更に、最上層の配線層40上の所定の位置には、絶縁層(ソルダーレジスト層)41を貫通し且つ第1主面43よりも高く突出するハンダバンプ42が複数形成され、第1主面43上に実装する図示しないICチップなどの電子部品の端子と個別に接続される。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−290031号公報 (図1など)
【0004】
以上のような配線基板30おいては、コア基板31の表面32側に絶縁層35,39,41と配線層34,37,40とからなるビルドアップ層BUなどを形成しているのに対し、コア基板31の裏面33側には何も形成されていない。
このため、コア基板31と絶縁層35,39,41との熱膨張率の差により、図7(A)中の一点鎖線で示すように、配線基板30全体が、当該配線基板30の厚み方向と垂直方向の長さ330mmに対し、厚み方向に約4〜5mm変形した反りを生じることがある。かかる反りにより、例えば配線層34,37,40、ビア導体36,38、およびハンダバンプ42相互間の接続が不十分になるため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
また、ハンダバンプ42にICチップなどの電子部品を接続する際に、上記反りにより当該接続が不十分になる、という問題もあった。
【0005】
以上の問題点を解決するため、図7(B)に示すような配線基板50も検討されている。即ち、配線基板50は、厚み約800μmの絶縁板であるコア基板51と、その表面52上方に厚み約30μmの絶縁層60,66,72と厚み約15μmの配線層58,64,70とを交互に積層したビルドアップ層BUなどと、コア基板51の裏面53に形成した厚み約15μmの配線層59および厚みが約40μmの裏面絶縁層(ソルダーレジスト層)61と、を備えている。
コア基板51には、その表面52と裏面53との間を貫通する複数のスルーホール54が形成され、それらの内壁に沿ってスルーホール導体56および充填樹脂57が形成されている。各スルーホール導体56は、上端と下端で配線層58,59と接続している。
【0006】
図7(B)に示すように、上記配線層58,64,70間を導通するため、ビア導体62,68が絶縁層60,66に形成されている。最上層の配線層72上の所定の位置には、絶縁層(ソルダーレジスト層)72を貫通し且つ第1主面74よりも高く突出するハンダバンプ76が複数形成され、第1主面74上に実装する図示しないICチップなどの電子部品の端子と個別に接続される。
一方、図7(B)に示すように、コア基板51の裏面53に形成した配線層59から延び且つ絶縁層61の開口部65から第2主面63側に露出する配線67は、図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子として用いられる。以上の配線基板50では、コア基板51を挟んでビルドアップ層BUなどと厚めの絶縁層(ソルダーレジスト層)61とが配置されている。このため、コア基板51と絶縁層60,66,72との熱膨張率の差による反りは、図7(B)中の一点鎖線で示すように、第2主面63寄りのある程度の変形に抑制される。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、図7(B)に示す反りによっても、配線層58,64,70、ビア導体62,68、ハンダバンプ76、スルーホール導体56、および、配線層59の相互間の接続が不十分になり得るため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
また、ハンダバンプ76にICチップなどの電子部品を接続する際に、上記反りにより当該接続が不十分になる、という問題もあった。
上記配線基板50の反りを解消するため、例えばコア基板51の裏面53にガラス繊維入りの樹脂からなる裏面絶縁層を形成することが検討されている。しかしながら、かかる裏面絶縁層に前記開口部65をレーザ加工により形成すると、当該レーザのパワー不足により開口部65の周縁に溶断されたガラス繊維の残滓が発生し、開口部65の底面に露出する配線67と図示しない接続端子との接続操作が行い難くなったり、外観を損ねる、という問題があった。
本発明は、以上において説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板の表面上方のみにビルドアップ層を有して反りにくく且つ無機繊維を含む裏面絶縁層に所定の内径の開口部を精度良く形成できる配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コア基板の裏面に形成する裏面絶縁層を前記反りを抑制し且つ無機繊維を含むものとし、この裏面絶縁層に形成する開口部に無機繊維が露出しないようにする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板の製造方法(請求項1)は、無機繊維を含む接着性の樹脂からなる裏面絶縁層の所定の位置に貫通孔を形成する穿孔工程と、表面および裏面を有するコア基板の裏面に上記裏面絶縁層を接着し且つその厚み方向に沿ってプレスして、上記貫通孔であった位置に周縁付近に上記無機繊維を含まない樹脂部を有する開口部を形成するプレス工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0009】
これによれば、予め裏面絶縁層に穿孔された貫通孔は、上記プレス工程においてかかる裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部がその周縁付近に形成されるため、かかる貫通孔から形成される開口部の内周面には上記無機繊維が露出しなくなる。この結果、かかる開口部の底面に位置する裏面配線層に対し、マザーボードの接続端子、あるいは導体ピンや導体ボールをハンダ付けなどによって容易に接続することができる。しかも、裏面絶縁層は、その平面方向に沿った熱膨張率が高いため、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を形成しても、配線基板全体が反り変形する事態を防止または抑制することができる。更に、上記貫通孔をレジンフロー(ガラス繊維などを含まず)で縮径することにより、一対のコア基板を積層およびプレスする際に生じる中空スペースを少なくできるため、ビルドアップ層やその表面を平坦に保つことができる。加えて、配線基板の裏面側における外観を損ねることもなくなる。従って、信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【0010】
尚、裏面絶縁層には、無機繊維を含む半硬化性樹脂シートを硬化させたものが用いられる。尚また、無機繊維には、ガラス繊維の不織布などが含まれる。
また、上記レジンフロー(樹脂流れ)は、JIS:C6521,5・5項におけるRF値が5%以下(但し、0を含まず)であることが望ましい。これにより、後述する開口部の周縁付近を樹脂部で形成することが確実となる。
更に、上記穿孔工程における上記所定の位置は、接続端子(マザーボードなどの他の基板と接続するための端子)に対応する位置である、上記配線基板の製造方法としても良い。
【0011】
また、本発明は、前記穿孔工程は、前記裏面絶縁層の所定の位置にパンチング、ドリル、またはレーザ加工の何れかを施すものである、配線基板の製造方法を含むことも可能である。これによる場合、予め裏面絶縁層の所定の位置に形成すべき開口部よりも若干大きな内径を有する貫通孔を確実に穿孔できる。
【0012】
更に、本発明には、前記プレス工程は、一対の前記コア基板を、前記貫通孔を有する裏面絶縁層を離型シートを介して向かい合わせて積層し、これらを厚み方向に沿ってプレスするものである、配線基板の製造方法(請求項2)も含まれる。これによれば、一対のコア基板の裏面に裏面絶縁層を個別に密着して形成し且つその熱膨張率によって隣接するコア基板が反る事態を防止できる。しかも、前記プレス時において、貫通孔であった位置に各裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部を周縁付近に有する開口部を確実に形成することが可能となる。
【0013】
また、本発明には、前記プレス工程の後に、前記コア基板の表面上方に複数の絶縁層と複数の配線層とを含むビルドアップ層を形成するビルドアップ工程を行う、配線基板の製造方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、プレス工程で一対のコア基板を離型シートを介して対向させた状態のまま、かかる一対のコア基板のそれぞれの表面上方に上記ビルドアップ層を個別且つ平坦にして確実に形成することができる。従って、かかるとビルドアップ層と前記裏面絶縁層とのバランスにより、平坦で信頼性のある配線基板を確実に提供することができる。
加えて、本発明には、前記コア基板は、セラミックからなる、配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。これによれば、コア基板にセラミックを用いることで、コア基板自体が反りにくい材質であるため、前記各部が一層反りにくくなり、且つ接続性に優れた配線基板を確実に提供することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、ガラス−エポキシ樹脂からなり厚みが約800μmのコア基板2の断面を示し、その表面4と裏面5とには、厚みが約18μmの銅箔4a,5aが全面に貼り付けてある。かかるコア基板2における所定の位置に対し、その厚み方向に沿ってドリルの挿入またはレーザ(炭酸ガスレーザなど)の照射を行う。その結果、図1(B)に示すように、コア基板2において、その表面4と裏面5との間を貫通する直径約200μmのスルーホール3が複数穿孔される。
【0015】
次に、各スルーホール3の内壁に予めPdなどを含むメッキ触媒を付着させた後、図1(C)に示すように、コア基板2の全面に対し無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施す。
その結果、図1(C)に示すように、各スルーホール3の内壁に沿ってスルーホール導体6が形成され、コア基板2の表面4と裏面5には、前記銅箔4a,5aを含む銅メッキ膜4b,5bが形成される。尚、図1(C)では、かかる銅メッキ膜4b,5bの厚みは、前記銅箔4a,5aと便宜上同じ厚みとして図示した。
【0016】
次いで、図1(D)に示すように、各スルーホール導体6の内側に、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなる充填樹脂7を形成した後、かかる充填樹脂7を蓋メッキするため、コア基板2の表面4および裏面5の全面に図示しない銅メッキ層を形成する。この状態で、かかる銅メッキ層の上に所定のパターンを有する図示しないエッチングレジストを形成した後、かかるレジストの隙間から露出する上記銅メッキ層4b,5bなどをエッチングして除去する公知のサブトラクティブ法を施す。その結果、図1(D)に示すように、コア基板2の表面4および裏面5には、上記レジストのパターンに倣った所定パターンの表面配線層8と裏面配線層9とが個別に形成される。
【0017】
次に、図2(A)に示すように、ガラス繊維などの無機繊維を含む接着性の樹脂(プリプレグ)からなる単独の裏面絶縁層11′における所定の位置に、炭酸ガスレーザを照射する。その結果、図2(A)に示すように、裏面絶縁層11′に貫通孔15aが穿孔される(穿孔工程)。上記レーザ加工は、炭酸ガスレーザを複数回に分けて照射することで、貫通孔15aを形成しても良い。また、上記レーザに替え、パンチングまたはドリルなどを用いても良い。
尚、裏面絶縁層11は、ガラス繊維を含み且つ接着性を有するエポキシ樹脂などの半硬化性樹脂シートであって硬化処理されたもので、(1)ヤング率が4Gpa以上、(2)平面方向に沿った熱膨張率(RT〜Tg)が20ppm以上、(3)伸び率が4%以下(但し、0は含まず)、(4)硬化収縮が1000ppm以上、という特性を有する。
次いで、図2(B)に示すように、スルーホール導体6、表面配線層8、および裏面配線層9を有するコア基板2の裏面5に、上記貫通孔15aを設けた裏面絶縁層11′を接着して裏面絶縁層11とする。図2(B)に示すように、かかる裏面絶縁層11における貫通孔15aの底面に裏面配線層9が露出する。
【0018】
更に、図3(A)に示すように、裏面配線層11に複数の貫通孔15aを有する一対のコア基板2,2を、両者の裏面絶縁層11を対向させ、クッション性を有する離型シート27を介して積層する。そして、図3(A)中の矢印で示すように、上記一対のコア基板2,2、一対の裏面絶縁層11,11、および離型シート27を厚み方向に沿ってホットプレスにより加圧しつつ加熱する(プレス工程)。かかるプレス工程は、例えば200℃に100分間加熱し、約2.94×106N/m2に加圧して行われる。
【0019】
ここで、プレス工程後における裏面配線層11の変化を図3(B)により説明する。前記穿孔工程で裏面配線層11に穿孔された複数の貫通孔15aは、プレス工程で裏面配線層11がプレスされると、その周縁付近においてかかる裏面配線層11のガラス繊維を含む組織11aの樹脂が流動化(レジンフロー)する。かかる樹脂の流動化(レジンフロー)は、JIS:C6521,5・5項におけるRF値が5%以下(本実施形態のRF値は、4%)であることが望ましい。
そして、図3(B)に示すように、貫通孔15aであった位置に周縁付近が樹脂部11bで包囲された開口部15が形成される。かかる開口部15の内周面は、上記樹脂部11bからなるため、ガラス繊維が露出したり、突出したりせず、平滑な内周面となっている。上記樹脂部11bは、ガラス繊維を含んでいない。
尚、開口部15の内径は、貫通孔15aの内径よりも5%以上縮径している。
【0020】
次いで、図4に示すように、一対のコア基板2の外側に露出する表面4および表面配線層8の上方に、それぞれビルドアップ層BUを形成する。
かかるビルドアップ工程は、図4に示すように、ビルドアップ層BUを形成する絶縁層10,16、配線層14,20、ビア導体12,18、およびソルダーレジスト層(絶縁層)22を、公知のビルトアップ技術(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術)により形成する。最上層の配線層20の適所には、ソルダーレジスト層(絶縁層)22を貫通するハンダバンプ(IC接続端子)26を第1主面24よりも高く突出させて形成する。
以上の各工程は、製品単位である複数のコア基板2を有する多数個取り用の一対の基板(パネル)の状態で行っても良い。
【0021】
更に、ビルドアップ層BUが形成された一対のコア基板2,2を、離型シート27を除去することにより分離する。
その結果、裏面絶縁層11の開口部15の底面には、裏面配線層9から延びた配線17が露出する。そして、開口部15の底面に露出する上記配線17には、その表面にNiメッキおよびAuメッキが施され、追って図示しないマザーボード(他の基板)の端子と接続するための接続端子として活用される。
【0022】
これにより、図5に示すように、コア基板2の表面4上方に平坦なビルドアップ層BUなどを有し且つ裏面絶縁層11に所定の内径(約0.5〜1mm)を有する開口部15を精度良く形成した配線基板1を得ることができる。
尚、以上のような製造工程は、複数のコア基板2(製品単位)を平面方向に併有する多数個取りの基板(パネル)を用いて行っても良い。また、裏面絶縁層11の前記各特性を保つため、平面視における開口部15全体の面積率を15%以下にすることが好ましい。更に、開口部15の底面に露出する配線17には、銅合金などからなるピンやボールをハンダなどの低融点合金により接続しても良い。
【0023】
図6は、本発明によって製造される異なる形態の配線基板1aの断面を示す。配線基板1aは、図6に示すように、多層基板のコア基板2と、コア基板2の表面4と裏面5との間を貫通する複数のスルーホール導体6と、コア基板2の表面4や裏面5に形成した表面配線層8および裏面配線層9と、を備えている。
また、図6に示すように、コア基板2の表面4上方には、前記ビルドアップ工程により、複数の絶縁層10,16,22と複数の配線層14,20とを、交互に積層したビルドアップ層BUが形成される。加えて、表面配線層8、ビルドアップ配線層14,20間を導通するフィルドビア導体12,18や、最上層の上記配線層20にはハンダバンプ26も形成されている。
【0024】
更に、コア基板2の裏面5の上方(図面下側)には、前記特性(1)〜(4)を併有する裏面絶縁層11が形成されると共に、かかる裏面絶縁層11の所定の位置には、予め前記炭酸ガスレーザLを用いて開口された貫通孔15aを、前記同様にプレスして形成される複数の開口部15が形成され(前記図3(A),(B)参照)、それらの底部には前記同様の配線17が位置している。
コア基板2は、エポキシ系樹脂にガラス繊維などを含有させた厚みが約400μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の絶縁層2aと、同じ素材からなり厚みが約200μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の絶縁層2b,2cと、これらの間に位置する銅メッキからなる厚み約15μmの配線層25,27とからなる。
【0025】
図6に示すように、多層基板のコア基板2の表面4と裏面5との間を貫通する直径約200μmで複数のスルーホール3が複数貫通し、各スルーホール3の内壁に沿って厚み数10μmで銅メッキ製のスルーホール導体6が形成される。
各スルーホール導体6の内側には、シリカフィラなどの無機フィラを含む充填樹脂7が形成される。また、各スルーホール導体6は、その中間で配線層25,27と接続されている。
【0026】
以上のような配線基板1aは、予め別途に形成した多層構造のコア基板2,2に前記穿孔工程、プレス工程、およびビルドアップ工程を施すことにより確実に製造される。また、かかる配線基板1aは、裏面絶縁層11によりビルドアップ層BU側が凹形となる反りが防げると共に、コア基板2中の配線層25,27も、スルーホール導体6を介して表・裏面配線層8,9やビルドアップ配線層14,20と確実に導通する。このため、多くの配線層を高密度で有し且つ互いに安定した導通を得ることが可能となる。しかも、上記配線層8,9,14,20が平坦に形成され、コア基板2の裏面5下方の裏面絶縁層11には、内周面が平滑な開口部15が形成されるため、平坦性と接続容易性とを有すると共に、かかる開口部15の外観も良好となる。
【0027】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
前記裏面絶縁層の素材は、前記(1)〜(4)の特性を有するもの以外でも良く、前記形態のものに限るものではない。
前記穿孔工程は、前記裏面絶縁層に対してパンチングまたはドリルを施すことにより、貫通孔15aを穿孔しても良い。
また、前記プレス工程は、1つのコア基板2または1枚のパネルの裏面5に形成した裏面絶縁層11に対して行っても良い。
更に、前記コア基板2などの材質は、前記ガラス繊維または炭素繊維を含むものであれば、エポキシ系樹脂の他、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などを用いても良い。あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にガラス繊維などを含有させた複合材料などを用いることも可能である。
【0028】
あるいは、前記コア基板2や多層基板のコア基板2における絶縁層2a〜2cなどの材質をセラミックとしても良い。かかるセラミックには、アルミナ、珪酸、ガラスセラミック、窒化アルミニウムなどが含まれ、更には約1000℃以下の比較的低温で焼成が可能な低温焼成基板を用いることもできる。
かかるセラミックからなるコア基板2は、以下のようにして形成される。
未焼成のアルミナなどからなるセラミックグリーンシートにレーザ加工または金型加工などにて、スルーホール3を形成する。次に、かかるスルーホール3にWなどの金属粉末を含む導電性ペーストを印刷して充填する。尚、この導電性ペーストは、追ってセラミックグリーンシートの焼成時に同時に燒結されて、前記スルーホール導体6となる。次いで、上記セラミックグリーンシート表面上の所定位置にも、導電性ペーストを所定パターンで印刷する。尚、この表面に印刷された導電性ペーストは、追ってセラミックグリーンシートの焼成時に同時に燒結されて、前記配線層25,27、表面配線層8、裏面配線層9などとなる。
更に、導電性ペーストが印刷された単層または複数の未焼成セラミックセラミックグリーンシート2a,2b,2cをラミネートし熱圧着することで一体化し、未焼成のコア基板2とする。そして、かかる未焼成のコア基板2を約1300℃にて焼成することで、焼成後のセラミックからなる単層または多層基板のコア基板2が得られる。尚、セラミックからなるコア基板2の場合、スルーホール3の内側には、前記充填樹脂7は形成せず、省略される。加えて、かかるコア基板2の表面4上には、樹脂フィルムからなる絶縁層10などがラミネートされると共に、前述したビルドアップ工程によりビルドアップ層BUが形成される。
【0029】
尚、上記導電性ペーストは、Mo、Cu、Ag、Au、Ag−Pt、Ag−Pdなどの素材としても良い。
前記スルーホール導体6、表面配線層8、配線層14,20などの材質は、前記Cu(銅)の他、Ag、Ni、Ni−Au系などにしても良く、あるいは金属のメッキ層を用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法により形成しても良い。
【0030】
また、前記ビルドアップ層の絶縁層10,16などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性などを有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることもできる。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。尚また、絶縁層に混入するガラス繊維またはガラスフィラの組成は、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものとしても良い。
更に、ビア導体は、前記フィルドビア導体12などでなく、内部が完全に導体で埋まってない逆円錐形状のコンフォーマルビア導体とすることもできる。あるいは、各ビア導体の軸心をずらしつつ積み重ねるスタッガードの形態でも良いし、途中で平面方向に延びる配線層が介在する形態としても良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明の配線基板の製造方法(請求項1)によれば、予め裏面絶縁層に穿孔された貫通孔は、プレス工程において裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部が周縁付近に位置する開口部となり、当該開口部の内周面には上記無機繊維が露出しなくなる。このため、かかる開口部の底面に位置する裏面配線層に対し、マザーボードの接続端子などを容易に接続することができる。しかも、裏面絶縁層は、その平面方向に沿った熱膨張率が高いため、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を形成しても、配線基板全体が反り上がる事態を防止または抑制できる。加えて、配線基板の裏面側における外観を損ねることもなくなる。
【0032】
また、請求項2の配線基板の製造方法によれば、一対のコア基板の裏面に裏面絶縁層を個別に形成し且つその熱膨張率によって隣接するコア基板が反る事態を防止できる。
更に、請求項3の配線基板の製造方法によれば、プレス工程で一対のコア基板を離型剤を介して対向させたまま、かかる一対の項基板のそれぞれの表面上方に上記ビルドアップ層を個別且つ平坦にして確実に形成することができる。
加えて、請求項4の製造方法によれば、コア基板にセラミックを用いることでコア基板自体が反りにくい材質となるため、前記ビルドアップ層などが一層反りにくくなり、且つ接続性に優れた配線基板を確実に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は本発明の製造方法における各工程を示す概略図。
【図2】(A)は裏面絶縁層に施す穿孔工程を示す概略図、(B)は図1(D)に続く工程を示す概略図。
【図3】(A)は図2(B)に続くプレス工程を示す概略図、(B)はかかるプレス工程後の開口部付近を示す概略底面図。
【図4】図3(A)に続くビルドアップ工程を
示す概略図。
【図5】本発明により得られた配線基板の断面を示す概略図。
【図6】本発明により得られる異なる形態の配線基板の断面を示す概略図。
【図7】(A),(B)は従来の配線基板における主要部を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a………配線基板、 2………………コア基板、
4………………表面、 5………………裏面、
10,16……絶縁層、 11,11′…裏面絶縁層、
11b…………樹脂部、 14,20……配線層、
15……………開口部、 15a…………貫通孔
27……………離型シート、 BU……………ビルドアップ層
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を有する配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低コスト化の要請に応じるため、図7(A)に示すように、コア基板31の片面(表面)32上方にのみ複数の絶縁層35,39,41および複数の配線層34,37,40を積層したビルドアップ層BUなどを形成した配線基板30が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記コア基板31は、厚み約800μmの絶縁板であり、その表面32上方に厚み約30μmの絶縁層35,39,41と厚み約15μmの配線層34,37,40とを交互に積層している。
また、図7(A)に示すように、配線層34,37,40間を導通するため、ビア導体36,38が絶縁層35,39に形成されている。更に、最上層の配線層40上の所定の位置には、絶縁層(ソルダーレジスト層)41を貫通し且つ第1主面43よりも高く突出するハンダバンプ42が複数形成され、第1主面43上に実装する図示しないICチップなどの電子部品の端子と個別に接続される。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−290031号公報 (図1など)
【0004】
以上のような配線基板30おいては、コア基板31の表面32側に絶縁層35,39,41と配線層34,37,40とからなるビルドアップ層BUなどを形成しているのに対し、コア基板31の裏面33側には何も形成されていない。
このため、コア基板31と絶縁層35,39,41との熱膨張率の差により、図7(A)中の一点鎖線で示すように、配線基板30全体が、当該配線基板30の厚み方向と垂直方向の長さ330mmに対し、厚み方向に約4〜5mm変形した反りを生じることがある。かかる反りにより、例えば配線層34,37,40、ビア導体36,38、およびハンダバンプ42相互間の接続が不十分になるため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
また、ハンダバンプ42にICチップなどの電子部品を接続する際に、上記反りにより当該接続が不十分になる、という問題もあった。
【0005】
以上の問題点を解決するため、図7(B)に示すような配線基板50も検討されている。即ち、配線基板50は、厚み約800μmの絶縁板であるコア基板51と、その表面52上方に厚み約30μmの絶縁層60,66,72と厚み約15μmの配線層58,64,70とを交互に積層したビルドアップ層BUなどと、コア基板51の裏面53に形成した厚み約15μmの配線層59および厚みが約40μmの裏面絶縁層(ソルダーレジスト層)61と、を備えている。
コア基板51には、その表面52と裏面53との間を貫通する複数のスルーホール54が形成され、それらの内壁に沿ってスルーホール導体56および充填樹脂57が形成されている。各スルーホール導体56は、上端と下端で配線層58,59と接続している。
【0006】
図7(B)に示すように、上記配線層58,64,70間を導通するため、ビア導体62,68が絶縁層60,66に形成されている。最上層の配線層72上の所定の位置には、絶縁層(ソルダーレジスト層)72を貫通し且つ第1主面74よりも高く突出するハンダバンプ76が複数形成され、第1主面74上に実装する図示しないICチップなどの電子部品の端子と個別に接続される。
一方、図7(B)に示すように、コア基板51の裏面53に形成した配線層59から延び且つ絶縁層61の開口部65から第2主面63側に露出する配線67は、図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子として用いられる。以上の配線基板50では、コア基板51を挟んでビルドアップ層BUなどと厚めの絶縁層(ソルダーレジスト層)61とが配置されている。このため、コア基板51と絶縁層60,66,72との熱膨張率の差による反りは、図7(B)中の一点鎖線で示すように、第2主面63寄りのある程度の変形に抑制される。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、図7(B)に示す反りによっても、配線層58,64,70、ビア導体62,68、ハンダバンプ76、スルーホール導体56、および、配線層59の相互間の接続が不十分になり得るため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
また、ハンダバンプ76にICチップなどの電子部品を接続する際に、上記反りにより当該接続が不十分になる、という問題もあった。
上記配線基板50の反りを解消するため、例えばコア基板51の裏面53にガラス繊維入りの樹脂からなる裏面絶縁層を形成することが検討されている。しかしながら、かかる裏面絶縁層に前記開口部65をレーザ加工により形成すると、当該レーザのパワー不足により開口部65の周縁に溶断されたガラス繊維の残滓が発生し、開口部65の底面に露出する配線67と図示しない接続端子との接続操作が行い難くなったり、外観を損ねる、という問題があった。
本発明は、以上において説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板の表面上方のみにビルドアップ層を有して反りにくく且つ無機繊維を含む裏面絶縁層に所定の内径の開口部を精度良く形成できる配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コア基板の裏面に形成する裏面絶縁層を前記反りを抑制し且つ無機繊維を含むものとし、この裏面絶縁層に形成する開口部に無機繊維が露出しないようにする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板の製造方法(請求項1)は、無機繊維を含む接着性の樹脂からなる裏面絶縁層の所定の位置に貫通孔を形成する穿孔工程と、表面および裏面を有するコア基板の裏面に上記裏面絶縁層を接着し且つその厚み方向に沿ってプレスして、上記貫通孔であった位置に周縁付近に上記無機繊維を含まない樹脂部を有する開口部を形成するプレス工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0009】
これによれば、予め裏面絶縁層に穿孔された貫通孔は、上記プレス工程においてかかる裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部がその周縁付近に形成されるため、かかる貫通孔から形成される開口部の内周面には上記無機繊維が露出しなくなる。この結果、かかる開口部の底面に位置する裏面配線層に対し、マザーボードの接続端子、あるいは導体ピンや導体ボールをハンダ付けなどによって容易に接続することができる。しかも、裏面絶縁層は、その平面方向に沿った熱膨張率が高いため、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を形成しても、配線基板全体が反り変形する事態を防止または抑制することができる。更に、上記貫通孔をレジンフロー(ガラス繊維などを含まず)で縮径することにより、一対のコア基板を積層およびプレスする際に生じる中空スペースを少なくできるため、ビルドアップ層やその表面を平坦に保つことができる。加えて、配線基板の裏面側における外観を損ねることもなくなる。従って、信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【0010】
尚、裏面絶縁層には、無機繊維を含む半硬化性樹脂シートを硬化させたものが用いられる。尚また、無機繊維には、ガラス繊維の不織布などが含まれる。
また、上記レジンフロー(樹脂流れ)は、JIS:C6521,5・5項におけるRF値が5%以下(但し、0を含まず)であることが望ましい。これにより、後述する開口部の周縁付近を樹脂部で形成することが確実となる。
更に、上記穿孔工程における上記所定の位置は、接続端子(マザーボードなどの他の基板と接続するための端子)に対応する位置である、上記配線基板の製造方法としても良い。
【0011】
また、本発明は、前記穿孔工程は、前記裏面絶縁層の所定の位置にパンチング、ドリル、またはレーザ加工の何れかを施すものである、配線基板の製造方法を含むことも可能である。これによる場合、予め裏面絶縁層の所定の位置に形成すべき開口部よりも若干大きな内径を有する貫通孔を確実に穿孔できる。
【0012】
更に、本発明には、前記プレス工程は、一対の前記コア基板を、前記貫通孔を有する裏面絶縁層を離型シートを介して向かい合わせて積層し、これらを厚み方向に沿ってプレスするものである、配線基板の製造方法(請求項2)も含まれる。これによれば、一対のコア基板の裏面に裏面絶縁層を個別に密着して形成し且つその熱膨張率によって隣接するコア基板が反る事態を防止できる。しかも、前記プレス時において、貫通孔であった位置に各裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部を周縁付近に有する開口部を確実に形成することが可能となる。
【0013】
また、本発明には、前記プレス工程の後に、前記コア基板の表面上方に複数の絶縁層と複数の配線層とを含むビルドアップ層を形成するビルドアップ工程を行う、配線基板の製造方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、プレス工程で一対のコア基板を離型シートを介して対向させた状態のまま、かかる一対のコア基板のそれぞれの表面上方に上記ビルドアップ層を個別且つ平坦にして確実に形成することができる。従って、かかるとビルドアップ層と前記裏面絶縁層とのバランスにより、平坦で信頼性のある配線基板を確実に提供することができる。
加えて、本発明には、前記コア基板は、セラミックからなる、配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。これによれば、コア基板にセラミックを用いることで、コア基板自体が反りにくい材質であるため、前記各部が一層反りにくくなり、且つ接続性に優れた配線基板を確実に提供することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、ガラス−エポキシ樹脂からなり厚みが約800μmのコア基板2の断面を示し、その表面4と裏面5とには、厚みが約18μmの銅箔4a,5aが全面に貼り付けてある。かかるコア基板2における所定の位置に対し、その厚み方向に沿ってドリルの挿入またはレーザ(炭酸ガスレーザなど)の照射を行う。その結果、図1(B)に示すように、コア基板2において、その表面4と裏面5との間を貫通する直径約200μmのスルーホール3が複数穿孔される。
【0015】
次に、各スルーホール3の内壁に予めPdなどを含むメッキ触媒を付着させた後、図1(C)に示すように、コア基板2の全面に対し無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施す。
その結果、図1(C)に示すように、各スルーホール3の内壁に沿ってスルーホール導体6が形成され、コア基板2の表面4と裏面5には、前記銅箔4a,5aを含む銅メッキ膜4b,5bが形成される。尚、図1(C)では、かかる銅メッキ膜4b,5bの厚みは、前記銅箔4a,5aと便宜上同じ厚みとして図示した。
【0016】
次いで、図1(D)に示すように、各スルーホール導体6の内側に、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなる充填樹脂7を形成した後、かかる充填樹脂7を蓋メッキするため、コア基板2の表面4および裏面5の全面に図示しない銅メッキ層を形成する。この状態で、かかる銅メッキ層の上に所定のパターンを有する図示しないエッチングレジストを形成した後、かかるレジストの隙間から露出する上記銅メッキ層4b,5bなどをエッチングして除去する公知のサブトラクティブ法を施す。その結果、図1(D)に示すように、コア基板2の表面4および裏面5には、上記レジストのパターンに倣った所定パターンの表面配線層8と裏面配線層9とが個別に形成される。
【0017】
次に、図2(A)に示すように、ガラス繊維などの無機繊維を含む接着性の樹脂(プリプレグ)からなる単独の裏面絶縁層11′における所定の位置に、炭酸ガスレーザを照射する。その結果、図2(A)に示すように、裏面絶縁層11′に貫通孔15aが穿孔される(穿孔工程)。上記レーザ加工は、炭酸ガスレーザを複数回に分けて照射することで、貫通孔15aを形成しても良い。また、上記レーザに替え、パンチングまたはドリルなどを用いても良い。
尚、裏面絶縁層11は、ガラス繊維を含み且つ接着性を有するエポキシ樹脂などの半硬化性樹脂シートであって硬化処理されたもので、(1)ヤング率が4Gpa以上、(2)平面方向に沿った熱膨張率(RT〜Tg)が20ppm以上、(3)伸び率が4%以下(但し、0は含まず)、(4)硬化収縮が1000ppm以上、という特性を有する。
次いで、図2(B)に示すように、スルーホール導体6、表面配線層8、および裏面配線層9を有するコア基板2の裏面5に、上記貫通孔15aを設けた裏面絶縁層11′を接着して裏面絶縁層11とする。図2(B)に示すように、かかる裏面絶縁層11における貫通孔15aの底面に裏面配線層9が露出する。
【0018】
更に、図3(A)に示すように、裏面配線層11に複数の貫通孔15aを有する一対のコア基板2,2を、両者の裏面絶縁層11を対向させ、クッション性を有する離型シート27を介して積層する。そして、図3(A)中の矢印で示すように、上記一対のコア基板2,2、一対の裏面絶縁層11,11、および離型シート27を厚み方向に沿ってホットプレスにより加圧しつつ加熱する(プレス工程)。かかるプレス工程は、例えば200℃に100分間加熱し、約2.94×106N/m2に加圧して行われる。
【0019】
ここで、プレス工程後における裏面配線層11の変化を図3(B)により説明する。前記穿孔工程で裏面配線層11に穿孔された複数の貫通孔15aは、プレス工程で裏面配線層11がプレスされると、その周縁付近においてかかる裏面配線層11のガラス繊維を含む組織11aの樹脂が流動化(レジンフロー)する。かかる樹脂の流動化(レジンフロー)は、JIS:C6521,5・5項におけるRF値が5%以下(本実施形態のRF値は、4%)であることが望ましい。
そして、図3(B)に示すように、貫通孔15aであった位置に周縁付近が樹脂部11bで包囲された開口部15が形成される。かかる開口部15の内周面は、上記樹脂部11bからなるため、ガラス繊維が露出したり、突出したりせず、平滑な内周面となっている。上記樹脂部11bは、ガラス繊維を含んでいない。
尚、開口部15の内径は、貫通孔15aの内径よりも5%以上縮径している。
【0020】
次いで、図4に示すように、一対のコア基板2の外側に露出する表面4および表面配線層8の上方に、それぞれビルドアップ層BUを形成する。
かかるビルドアップ工程は、図4に示すように、ビルドアップ層BUを形成する絶縁層10,16、配線層14,20、ビア導体12,18、およびソルダーレジスト層(絶縁層)22を、公知のビルトアップ技術(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術)により形成する。最上層の配線層20の適所には、ソルダーレジスト層(絶縁層)22を貫通するハンダバンプ(IC接続端子)26を第1主面24よりも高く突出させて形成する。
以上の各工程は、製品単位である複数のコア基板2を有する多数個取り用の一対の基板(パネル)の状態で行っても良い。
【0021】
更に、ビルドアップ層BUが形成された一対のコア基板2,2を、離型シート27を除去することにより分離する。
その結果、裏面絶縁層11の開口部15の底面には、裏面配線層9から延びた配線17が露出する。そして、開口部15の底面に露出する上記配線17には、その表面にNiメッキおよびAuメッキが施され、追って図示しないマザーボード(他の基板)の端子と接続するための接続端子として活用される。
【0022】
これにより、図5に示すように、コア基板2の表面4上方に平坦なビルドアップ層BUなどを有し且つ裏面絶縁層11に所定の内径(約0.5〜1mm)を有する開口部15を精度良く形成した配線基板1を得ることができる。
尚、以上のような製造工程は、複数のコア基板2(製品単位)を平面方向に併有する多数個取りの基板(パネル)を用いて行っても良い。また、裏面絶縁層11の前記各特性を保つため、平面視における開口部15全体の面積率を15%以下にすることが好ましい。更に、開口部15の底面に露出する配線17には、銅合金などからなるピンやボールをハンダなどの低融点合金により接続しても良い。
【0023】
図6は、本発明によって製造される異なる形態の配線基板1aの断面を示す。配線基板1aは、図6に示すように、多層基板のコア基板2と、コア基板2の表面4と裏面5との間を貫通する複数のスルーホール導体6と、コア基板2の表面4や裏面5に形成した表面配線層8および裏面配線層9と、を備えている。
また、図6に示すように、コア基板2の表面4上方には、前記ビルドアップ工程により、複数の絶縁層10,16,22と複数の配線層14,20とを、交互に積層したビルドアップ層BUが形成される。加えて、表面配線層8、ビルドアップ配線層14,20間を導通するフィルドビア導体12,18や、最上層の上記配線層20にはハンダバンプ26も形成されている。
【0024】
更に、コア基板2の裏面5の上方(図面下側)には、前記特性(1)〜(4)を併有する裏面絶縁層11が形成されると共に、かかる裏面絶縁層11の所定の位置には、予め前記炭酸ガスレーザLを用いて開口された貫通孔15aを、前記同様にプレスして形成される複数の開口部15が形成され(前記図3(A),(B)参照)、それらの底部には前記同様の配線17が位置している。
コア基板2は、エポキシ系樹脂にガラス繊維などを含有させた厚みが約400μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の絶縁層2aと、同じ素材からなり厚みが約200μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の絶縁層2b,2cと、これらの間に位置する銅メッキからなる厚み約15μmの配線層25,27とからなる。
【0025】
図6に示すように、多層基板のコア基板2の表面4と裏面5との間を貫通する直径約200μmで複数のスルーホール3が複数貫通し、各スルーホール3の内壁に沿って厚み数10μmで銅メッキ製のスルーホール導体6が形成される。
各スルーホール導体6の内側には、シリカフィラなどの無機フィラを含む充填樹脂7が形成される。また、各スルーホール導体6は、その中間で配線層25,27と接続されている。
【0026】
以上のような配線基板1aは、予め別途に形成した多層構造のコア基板2,2に前記穿孔工程、プレス工程、およびビルドアップ工程を施すことにより確実に製造される。また、かかる配線基板1aは、裏面絶縁層11によりビルドアップ層BU側が凹形となる反りが防げると共に、コア基板2中の配線層25,27も、スルーホール導体6を介して表・裏面配線層8,9やビルドアップ配線層14,20と確実に導通する。このため、多くの配線層を高密度で有し且つ互いに安定した導通を得ることが可能となる。しかも、上記配線層8,9,14,20が平坦に形成され、コア基板2の裏面5下方の裏面絶縁層11には、内周面が平滑な開口部15が形成されるため、平坦性と接続容易性とを有すると共に、かかる開口部15の外観も良好となる。
【0027】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
前記裏面絶縁層の素材は、前記(1)〜(4)の特性を有するもの以外でも良く、前記形態のものに限るものではない。
前記穿孔工程は、前記裏面絶縁層に対してパンチングまたはドリルを施すことにより、貫通孔15aを穿孔しても良い。
また、前記プレス工程は、1つのコア基板2または1枚のパネルの裏面5に形成した裏面絶縁層11に対して行っても良い。
更に、前記コア基板2などの材質は、前記ガラス繊維または炭素繊維を含むものであれば、エポキシ系樹脂の他、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などを用いても良い。あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にガラス繊維などを含有させた複合材料などを用いることも可能である。
【0028】
あるいは、前記コア基板2や多層基板のコア基板2における絶縁層2a〜2cなどの材質をセラミックとしても良い。かかるセラミックには、アルミナ、珪酸、ガラスセラミック、窒化アルミニウムなどが含まれ、更には約1000℃以下の比較的低温で焼成が可能な低温焼成基板を用いることもできる。
かかるセラミックからなるコア基板2は、以下のようにして形成される。
未焼成のアルミナなどからなるセラミックグリーンシートにレーザ加工または金型加工などにて、スルーホール3を形成する。次に、かかるスルーホール3にWなどの金属粉末を含む導電性ペーストを印刷して充填する。尚、この導電性ペーストは、追ってセラミックグリーンシートの焼成時に同時に燒結されて、前記スルーホール導体6となる。次いで、上記セラミックグリーンシート表面上の所定位置にも、導電性ペーストを所定パターンで印刷する。尚、この表面に印刷された導電性ペーストは、追ってセラミックグリーンシートの焼成時に同時に燒結されて、前記配線層25,27、表面配線層8、裏面配線層9などとなる。
更に、導電性ペーストが印刷された単層または複数の未焼成セラミックセラミックグリーンシート2a,2b,2cをラミネートし熱圧着することで一体化し、未焼成のコア基板2とする。そして、かかる未焼成のコア基板2を約1300℃にて焼成することで、焼成後のセラミックからなる単層または多層基板のコア基板2が得られる。尚、セラミックからなるコア基板2の場合、スルーホール3の内側には、前記充填樹脂7は形成せず、省略される。加えて、かかるコア基板2の表面4上には、樹脂フィルムからなる絶縁層10などがラミネートされると共に、前述したビルドアップ工程によりビルドアップ層BUが形成される。
【0029】
尚、上記導電性ペーストは、Mo、Cu、Ag、Au、Ag−Pt、Ag−Pdなどの素材としても良い。
前記スルーホール導体6、表面配線層8、配線層14,20などの材質は、前記Cu(銅)の他、Ag、Ni、Ni−Au系などにしても良く、あるいは金属のメッキ層を用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法により形成しても良い。
【0030】
また、前記ビルドアップ層の絶縁層10,16などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性などを有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることもできる。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。尚また、絶縁層に混入するガラス繊維またはガラスフィラの組成は、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものとしても良い。
更に、ビア導体は、前記フィルドビア導体12などでなく、内部が完全に導体で埋まってない逆円錐形状のコンフォーマルビア導体とすることもできる。あるいは、各ビア導体の軸心をずらしつつ積み重ねるスタッガードの形態でも良いし、途中で平面方向に延びる配線層が介在する形態としても良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明の配線基板の製造方法(請求項1)によれば、予め裏面絶縁層に穿孔された貫通孔は、プレス工程において裏面絶縁層の樹脂が流動するレジンフローにより樹脂のみからなる樹脂部が周縁付近に位置する開口部となり、当該開口部の内周面には上記無機繊維が露出しなくなる。このため、かかる開口部の底面に位置する裏面配線層に対し、マザーボードの接続端子などを容易に接続することができる。しかも、裏面絶縁層は、その平面方向に沿った熱膨張率が高いため、コア基板の表面上方にのみビルドアップ層を形成しても、配線基板全体が反り上がる事態を防止または抑制できる。加えて、配線基板の裏面側における外観を損ねることもなくなる。
【0032】
また、請求項2の配線基板の製造方法によれば、一対のコア基板の裏面に裏面絶縁層を個別に形成し且つその熱膨張率によって隣接するコア基板が反る事態を防止できる。
更に、請求項3の配線基板の製造方法によれば、プレス工程で一対のコア基板を離型剤を介して対向させたまま、かかる一対の項基板のそれぞれの表面上方に上記ビルドアップ層を個別且つ平坦にして確実に形成することができる。
加えて、請求項4の製造方法によれば、コア基板にセラミックを用いることでコア基板自体が反りにくい材質となるため、前記ビルドアップ層などが一層反りにくくなり、且つ接続性に優れた配線基板を確実に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は本発明の製造方法における各工程を示す概略図。
【図2】(A)は裏面絶縁層に施す穿孔工程を示す概略図、(B)は図1(D)に続く工程を示す概略図。
【図3】(A)は図2(B)に続くプレス工程を示す概略図、(B)はかかるプレス工程後の開口部付近を示す概略底面図。
【図4】図3(A)に続くビルドアップ工程を
示す概略図。
【図5】本発明により得られた配線基板の断面を示す概略図。
【図6】本発明により得られる異なる形態の配線基板の断面を示す概略図。
【図7】(A),(B)は従来の配線基板における主要部を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a………配線基板、 2………………コア基板、
4………………表面、 5………………裏面、
10,16……絶縁層、 11,11′…裏面絶縁層、
11b…………樹脂部、 14,20……配線層、
15……………開口部、 15a…………貫通孔
27……………離型シート、 BU……………ビルドアップ層
Claims (4)
- 無機繊維を含む接着性の樹脂からなる裏面絶縁層の所定の位置に貫通孔を形成する穿孔工程と、
表面および裏面を有するコア基板の裏面に上記裏面絶縁層を接着し且つその厚み方向に沿ってプレスして、上記貫通孔であった位置に周縁付近に上記無機繊維を含まない樹脂部を有する開口部を形成するプレス工程と、を含む、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記プレス工程は、一対の前記コア基板を、前記貫通孔を有する裏面絶縁層を離型シートを介して向かい合わせて積層し、これらを厚み方向に沿ってプレスするものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。 - 前記プレス工程の後に、前記コア基板の表面上方に複数の絶縁層と複数の配線層とを含むビルドアップ層を形成するビルドアップ工程を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。 - 前記コア基板は、セラミックからなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003203481A JP2004128480A (ja) | 2002-07-31 | 2003-07-30 | 配線基板の製造方法 |
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