JP2004228521A - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コア基板の表面にのみビルドアップ層を有し且つ反りを生じないか、あるいは反りにくい配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックからなり表面4および裏面を有するコア基板2と、かかるコア基板2における表面4と裏面9との間を貫通するスルーホール導体10と、上記コア基板2の表面4および裏面9に形成され且つ上記スルーホール導体10と導通するコア配線層14,15と、上記コア基板2の表面4上方に形成され且つ上記スルーホール導体10と導通するビルドアップ配線層24,28と、上記コア基板2とビルドアップ配線層24との間およびビルドアップ配線層24,28の間に形成されたビルドアップ絶縁層16,22と、上記コア基板2の裏面9上(図面下側)に直接または上記裏面9側のコア配線層15を介して形成され且つ無機繊維を含有する裏面側絶縁層17と、を含む、配線基板1。
【選択図】 図1
【解決手段】セラミックからなり表面4および裏面を有するコア基板2と、かかるコア基板2における表面4と裏面9との間を貫通するスルーホール導体10と、上記コア基板2の表面4および裏面9に形成され且つ上記スルーホール導体10と導通するコア配線層14,15と、上記コア基板2の表面4上方に形成され且つ上記スルーホール導体10と導通するビルドアップ配線層24,28と、上記コア基板2とビルドアップ配線層24との間およびビルドアップ配線層24,28の間に形成されたビルドアップ絶縁層16,22と、上記コア基板2の裏面9上(図面下側)に直接または上記裏面9側のコア配線層15を介して形成され且つ無機繊維を含有する裏面側絶縁層17と、を含む、配線基板1。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板の表面(片面)にのみビルドアップ層を有する配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低コスト化の要請に応じるため、図6に示すように、コア基板41の片面(表面)45上方にのみ複数のビルドアップ絶縁層48,51,54および複数のビルドアップ配線層47,50,53を交互に形成した配線基板40が提案されている。これらのうち、ビルドアップ絶縁層48,51およびビルドアップ配線層50,53は、ビルドアップ層BUを形成する。上記コア基板41は、複数のセラミック層42〜44からなり全体の厚み約800μmの絶縁性の多層基板であり、その表面45の上方に厚み約30μmのビルドアップ絶縁層48,51,54および厚み約15μmのビルドアップ配線層47,50,53を交互に積層している。
【0003】
また、図6に示すように、ビルドアップ配線層47,50,53間を導通するため、フィルドビア導体49,52がビルドアップ絶縁層48,51に形成されている。更に、最上層のビルドアップ配線層53上の所定の位置には、ビルドアップ絶縁層54を貫通して第1主面55よりも高く突出するハンダバンプ56が複数形成され、第1主面55上に実装する図示しないICチップの接続端子と個別に接続される。
以上のような配線基板40おいては、コア基板41の表面45側にビルドアップ絶縁層48,51,54とビルドアップ配線層47,50,53とからなるビルドアップ層BUなどを形成しているのに対し、コア基板41の裏面46側には何も形成されていない。
【0004】
このため、コア基板41とビルドアップ絶縁層48,51,54との熱膨張率の差により、図6(A)中の一点鎖線で示すように、配線基板40全体が、当該配線基板40の厚み方向と垂直方向の長さ330mmに対し、厚み方向に約4〜5mm変形した反りを生じることがある。かかる反りにより、例えばビルドアップ配線層47,50,53、ビア導体49,52、およびハンダバンプ56相互間の接続が不十分になるため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板の表面にのみビルドアップ層を有し且つ反りを生じないか、あるいは反りにくい配線基板およびその製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コア基板の表面側のビルドアップ層の熱膨張(熱変形)とバランスする絶縁層を当該コア基板の裏面側に形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板(請求項1)は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板における表面と裏面との間を貫通するスルーホール導体と、上記コア基板の表面および裏面に形成され且つ上記スルーホール導体と導通するコア配線層と、上記コア基板の表面上方に形成され且つ上記スルーホール導体と導通する複数のビルドアップ配線層と、上記コア基板とビルドアップ配線層との間およびビルドアップ配線層同士の間に形成された複数のビルドアップ絶縁層と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して形成され且つ無機繊維を含有する裏面側絶縁層と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制される。このため、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるので、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板とすることができる。従って、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通を確実に取ることが可能となる。
尚、上記コア基板には、複数のセラミック層とこれらの間に位置する内部配線層とからなる多層基板の他、単一のセラミック層の形態などが含まれると共に、それらの裏面側に開口する凹部を有し且つかかる凹部に電子部品を実装可能とした形態も含まれる。また、前記セラミックには、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、ガラスセラミック、ムライト、あるいは約1000℃以下の比較的低温で焼成可能な低温焼成セラミックが含まれる。本発明において、ビルドアップ層とは、コア基板の表面上方に交互に形成された複数の絶縁層および複数の配線層を指称する。かかる絶縁層は、樹脂からなる。
【0008】
尚、裏面側絶縁層は、コア基板の熱膨張率と同じか、または同様の樹脂か、あるいは同様の無機繊維を含有した素材を用いることが望ましい。これにより、コア基板と共にビルドアップ層のビルドアップ絶縁層による熱収縮を一層確実に抑制し、配線基板全体の反りを防止することができる。
付言すれば、前記無機繊維は、ガラス繊維または炭素繊維からなる、配線基板を本発明に含めることも可能である。これによる場合、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張率を十分に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層確実に防止することが可能となる。これらの無機繊維は、裏面側絶縁層において、40〜60wt%の割合で配合されると、後述する低い熱膨張率を実現できる。
尚また、上記ガラス繊維には、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものが含まれる。
【0009】
また、本発明には、前記コア基板および裏面側絶縁層における配線基板の厚み方向と直交する方向の熱膨張率が、30ppm/℃以下である、配線基板(請求項2)も含まれる。これによれば、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張を確実に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層防止することが可能となる。
尚、上記熱膨張率が30ppm/℃を越えると、裏面側絶縁層の熱膨張を十分に抑制できず、ビルドアップ絶縁層の熱収縮による反りを防ぎきれなくなるため、かかる範囲を除外したものである。望ましい熱膨張率は25ppm/℃以下、より望ましい熱膨張率は15ppm/℃、またはこれ未満である(但し、これらは何れも0ppm/℃を含まず)。
【0010】
付言すれば、前記コア基板の厚みが400〜1000μm、前記ビルドアップ絶縁層の厚みが15〜50μm、および前記裏面側絶縁層の厚みが20〜150μmである、配線基板を本発明に含めることも可能である。
これによる場合、裏面側絶縁層の前記無機繊維の含有量や熱膨張率と相まって、これらの熱膨張を十分に抑制できると共に、ビルドアップ絶縁層の熱収縮とのバランスも一層容易に取れるため、配線基板全体の反りをなくか、極く僅かに抑制することが可能となる。
【0011】
一方、本発明における配線基板の製造方法(請求項3)は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板において、かかる表面および裏面にコア配線層を形成する工程と、上記コア基板の表面と裏面との間を貫通し且つ上記コア配線層と導通するスルーホール導体を形成する工程と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して無機繊維を含有する裏面側絶縁層を形成する工程と、上記コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層および上記スルーホール導体と導通するビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0012】
これによれば、コア基板の裏面に形成する裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制される。このため、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるので、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板を確実に製造することができる。従って、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通が確実に取れる配線基板を提供することができる。
尚、前記無機繊維は、ガラス繊維または炭素繊維からなる、配線基板の製造方法を本発明に含めることも可能である。これによる場合、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張率を十分に抑制できるため、全体の反りを一層確実に防止できる配線基板を製造することが可能となる。
【0013】
付言すれば、本発明における配線基板の製造方法は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板において、かかる表面および裏面にコア配線層を形成することおよび上記コア基板の表面と裏面との間を貫通し且つ上記コア配線層と導通するスルーホール導体を形成することを同時に行う工程と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して無機繊維を含有する裏面側絶縁層を形成する工程と、上記コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層および上記スルーホール導体と導通するビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程と、を含む、ものとすることも可能である。
【0014】
また、本発明には、前記コア基板の表面上方に前記ビルドアップ絶縁層および前記スルーホール導体と導通する前記ビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程は、少なくとも前記コア配線層および上記スルーホール導体を形成した一対のコア基板を、それぞれの裏面に予め形成した裏面側絶縁層または同時に形成する裏面側絶縁層を対向させ且つかかる裏面側絶縁層の間に離型シートを介在させて固定すると共に、上記一対のコア基板それぞれの表面上方に上記複数のビルドアップ絶縁層と複数のビルドアップ配線層とを交互にそれぞれ形成するものである、配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。
【0015】
これによれば、少なくともコア配線層およびスルーホール導体を有する一対のコア基板を、両者の裏面に予め形成または同時に形成する裏面側絶縁層の間に離型シートを挟持した状態で、各コア基板の表面上方に複数のビルドアップ絶縁層および複数のビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する。このため、かかるビルドアップ絶縁層とビルドアップ配線層とからなるビルドアップ層を平坦にして形成できる。しかも、離型シートを除去し且つビルドアップ層および裏面側絶縁層を有する個別のコア基板に分離しても、無機繊維を含む裏面側絶縁層により、厚み方向に変形する反りを一層容易に防ぐことが可能となる。
尚、前記裏面側絶縁層は、一対のコア基板を離型シートを介在して固定する際に、各コア基板の裏面に同時に形成しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の配線基板1における主要部を示す断面図である。
配線基板1は、図1に示すように、表面4および裏面9を有するセラミック製のコア基板2と、かかるコア基板2の表面4と裏面9との間を貫通する複数のスルーホール導体10と、コア基板2の表面4および裏面9に形成したコア配線層14,15と、を備えている。
また、図1に示すように、コア基板2の表面4上方には、複数のビルドアップ絶縁層16,22および絶縁層(ソルダーレジスト層)30と複数のビルドアップ配線層24,28とを、交互に積層したビルドアップ層BUなどが形成され、コア基板2の裏面9上(図面下側)には裏面側絶縁層17が形成されている。
【0017】
上記コア基板2は、例えばアルミナ(セラミック)を主成分とし厚みが300μmで熱膨張率が30ppm/℃以下(本実施形態では26ppm/℃)のセラミック層3,5,7を積層した絶縁性の多層基板であり、平面視でほぼ正方形を呈する。セラミック層3,5,7の間には、Ag、Au、Cu、Mo、またはWなど(本実施形態ではW)の焼成体からなり且つ所定パターンの内部配線層12,13が形成されている。
かかるコア基板2の表面4と裏面9との間には、直径約200μmのスルーホール11が複数貫通し、各スルーホール11に沿ってAgなどの焼成体からなるスルーホール導体10が形成されている。かかるスルーホール導体10は、その中間で上記内部配線層12,13と個別に接続されている。また、図1に示すように、コア基板2の表面4および裏面9には、厚み約15μmのWの焼成体からなる所定パターンのコア配線層14,15が形成され、これらは各スルーホール導体10の上端または下端とそれぞれ個別に接続されている。
【0018】
更に、図1に示すように、コア基板2の表面4上方には、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなり、厚み約30μmのビルドアップ絶縁層16,22と、厚み約20μmの絶縁層(ソルダーレジスト層)30と、ビルドアップ絶縁層16,22間、および絶縁層30とビルドアップ絶縁層22との間に形成した銅メッキからなる厚み約15μmのビルドアップ配線層24,28が位置する。コア配線層14、ビルドアップ配線層24,28間を導通するため、ビルドアップ絶縁層16,22には、銅メッキ製のフィルドビア導体20,26が形成される。尚、ビルドアップ絶縁層16,22およびビルドアップ配線層24,28は、ビルドアップ層BUを形成している。また、ビルドアップ絶縁層16,22や絶縁層30の熱膨張率は、因みに約40〜70ppm/℃である。
【0019】
最上層の配線層28上の所定の位置には、最上層の絶縁層30を貫通し且つ第1主面32よりも高く突出する複数のハンダバンプ34が形成される。かかるバンプ34は、例えばSn−Ag系などの低融点合金からなり、図1に示すように、第1主面32上に実装するICチップ(半導体素子)36の底面37に設けた複数の接続端子38と個別に接続される。尚、かかる接続端子38と各バンプ34とは、図示しないアンダーフィル材により埋設され且つ保護される。
【0020】
また、図1に示すように、コア基板2の裏面9上(図面下側)で且つコア配線層15上には、例えばエポキシ系樹脂にガラス繊維または炭素繊維(本実施形態ではガラス繊維)を含有させた厚みが20〜150μm(本実施形態では40μm)で且つ熱膨張率が30ppm/℃以下(本実施形態では26ppm/℃)の裏面側絶縁層17が形成されている。かかる絶縁層17の所定の位置には、その表面である第2主面19側に開口する複数の開口部18が形成され、その底部にはコア配線層15から延びて第2主面19側に露出する配線21が位置している。
かかる配線21は、その表面にNiおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1を搭載する図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子となる。尚、この配線21の表面にハンダを介して銅系または鉄系合金からなる導体ピンを接続しても良い。
【0021】
以上のような配線基板1では、コア基板2は熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3,5,7からなり、且つ裏面側絶縁層17は無機繊維を含有しているので、それらの熱膨張率が30ppm/℃以下に抑制される。このため、コア基板2を挟んで、コア基板2の表面4上方に交互に積層したビルドアップ絶縁層16,22を含むビルドアップ層BUの熱収縮と裏面側絶縁層17の熱収縮とのバランスが保ち易くなる。この結果、かかる配線基板1によれば、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能となる。
従って、配線基板1では、コア配線層14,15、ビルドアップ配線層24,28、ビア導体20,26、およびスルーホール導体10の相互間における導通を、確実且つ安定して取ることが可能となる。尚、裏面側絶縁層17は、前記無機繊維を含む接着性の樹脂としても良い。また、前記ガラス繊維には、線径7〜9μmのガラス糸の多数本を格子状に編み込んだ布状物や、比較的長さの短いガラス糸を不規則に積層して含有するガラス不織布を用いても良い。
【0022】
ここで、以上のような配線基板1の製造方法を図2〜図4により説明する。尚、以下においてグリーンシートの付合は、前記セラミック層と共通とする。
図2(A)は、アルミナを主成分とし厚みが約300μmのグリーンシート3,5,7の断面を示す。これらのグリーンシート3,5,7における所定の位置に対し、その厚み方向に沿ってドリルの挿入またはパンチング加工を行う。その結果、図2(B)に示すように、グリーンシート3,5,7を厚み方向に貫通する直径約200μmのスルーホール11が複数穿孔される。
次に、各スルーホール11内に、スクリーン印刷により図示しないスキージを用いてAg、Au、Cu、Mo、またはWなど(本実施形態ではW)の金属粉末を含むメタライズインクを充填した後、グリーンシート3,5,7の表面4,6,8およびグリーンシート7の裏面9に対して、上記同様のメタライズインクをスクリーン印刷により形成する。
【0023】
その結果、図2(C)に示すように、各スルーホール11内に沿ってスルーホール導体10が形成される。同時に、図2(C)に示すように、グリーンシート3,5,7の表面4,6,8およびグリーンシート7の裏面9に所定パターンの内部配線層12,13やコア配線層14,15が個別に形成される。尚、図2(C)に示したスルーホール導体10の形成工程および内部配線層12,13やコア配線層14,15の形成工程を同時に行わず、別個の工程で行っても良い。
次いで、図2(D)に示すように、上記グリーンシート3,5,7をプレスしつつ積層した後、図示しない焼成炉で約1500℃に数10分間焼成することにより、アルミナ製のセラミック層3,5,7、内部配線層12,13、コア配線層14,15、およびスルーホール導体10を備えたコア基板2を形成する。
更に、図3(A)に示すように、一対のコア基板2の裏面9上(図面下側または上側)に、エポキシ系樹脂にガラス繊維を含有させた厚みが40μmで且つ熱膨張率が30ppm/℃以下の裏面側絶縁層17を個別に形成する。尚、かかる裏面側絶縁層17の表面は、前記第2主面19となる。
この際、セラミック層7と絶縁層17との密着性を得るため、コア基板2の裏面9に予めカップラー剤を塗布しておく。
【0024】
図3(A)に示すように、スルーホール導体10、内部配線層12,13、コア配線層14,15、および裏面側絶縁層17を有する一対のコア基板2,2を、それぞれの裏面側絶縁層17で対向させると共に、これらの間に離型シート23を挿入した状態で、図3(A)中の矢印で示すように、一対のコア基板2,2を互いに接近させる。尚、離型シート23には、例えば2枚のポリエチレンフイルムの間に熱可塑性樹脂を介在させた樹脂モディファイドポリエチレン3層構造フィルム(商品名:パコタンプラス)のようなシートが用いられる。
そして、図3(B)に示すように、一対のコア基板2,2を、それぞれの裏面側絶縁層17が離型シート23を挟んで隣接した状態で拘束(固定)する。尚、一対のコア基板2,2を離型シート23を挟んで積層し固定する際に、同時に裏面側絶縁層17,17をそれぞれの裏面9に形成しても良い。
【0025】
次いで、図4(A)に示すように、一対のコア基板2におけるそれぞれのコア配線層14を含む表面4に、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなり厚みが約30μmのビルドアップ絶縁層16を形成する。この際、セラミック層3とビルドアップ絶縁層16との密着性を得るため、コア基板2の表面4に予めカップラー剤を塗布しておく。
次に、一対のコア基板2における各ビルドアップ絶縁層16の所定の位置に対しレーザを照射して、図示しない円錐形状のビアホールを形成すると共に、その底面にコア配線層14を露出させる。かかるビアホールを含むそれぞれのビルドアップ絶縁層16の上に、図示しない銅メッキ層を形成した後、所定のパターンを有する図示しないエッチングレジストを形成する。当該レジストの隙間から露出する銅メッキ層をエッチングして除去する公知のサブトラクティブ法を施す。
その結果、図4(B)に示すように、一対のコア基板2におけるそれぞれのビルドアップ絶縁層16中にフィルドビア導体20が、且つそれぞれのビルドアップ絶縁層16の上に所定パターンのビルドアップ配線層24が形成される。
【0026】
これ以降は、ビルドアップ配線層24やビルドアップ絶縁層16と共に前記ビルドアップ層BUを形成する前記ビルドアップ絶縁層22、絶縁層30、ビルドアップ配線層28、およびビア導体26を、公知のビルトアップ技術(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術)により形成する。最後に前記ハンダバンプ(IC接続端子)34を第1主面32側に形成する。
また、ビルドアップ層BUを有する一対のコア基板2,2を離型シート23から離して分離し、露出した裏面側絶縁層17にフォトリソグラフィ技術により前記開口部18を形成した後、その底部に露出する前記配線21にNiおよびAuメッキすることにより、前記図1に示した配線基板1を得ることができる。
尚、以上のような図2(A)〜図4(B)に示した製造工程は、複数のコア基板2(製品単位)を平面方向に併有する多数個取りの基板(パネル)にて行っても良い。
【0027】
図5は、配線基板1の応用形態の配線基板1aにおける主要部の断面を示す。
配線基板1aは、図5に示すように、前記同様のセラミック層3a,5,7を含むコア基板2と、かかるコア基板2の表面4と裏面9との間を貫通する複数のスルーホール導体10と、コア基板2の表面4および裏面9に形成した前記同様のコア配線層14,15と、を備えている。また、コア基板2は、その裏面9の中央に開口する凹部29を有する。かかるコア基板2は、ガラスおよびアルミナを主成分とし厚みが約400μmで熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3aと、同じ素材からなり厚みが約300μmで同じ熱膨張率のセラミック層5,7とを積層した絶縁性の多層基板である。
【0028】
また、図5に示すように、凹部29を除いたコア基板2の表面4と裏面9との間には、Agの焼成体からなるスルーホール導体10が貫通する。セラミック層3aの表面4および裏面6とセラミック層7の表面8および裏面9とには、Agの焼成体からなるコア配線層14,15およびAgの焼成体からなる内部配線層12,13が個別に形成され、これらはスルーホール導体10の上端、下端、または中間とそれぞれ個別に接続されている。
図5に示すように、比較的厚肉のセラミック層3aの中央部で且つ凹部29の真上には、短いスルーホール25と、これに沿って形成されたスルーホール導体27が位置する。各スルーホール導体27の下端には、凹部29の底面(天井面)に露出する電子部品接続配線31が形成されている。
【0029】
かかる配線31には、Sn−Cu系などの低融点合金からなる図示しないハンダを介して、チップコンデンサ(電子部品)35の上端から突出する電極33が接続され、これにより当該コンデンサ35を凹部29内に実装している。
尚、チップコンデンサ35は、その両側面の上端に突出する複数の電極33を図5の前後方向に沿って有し、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電層および内部電極になるNi層を交互に積層したセラミックスコンデンサであって、3.2mm×1.6mm×0.7mmのサイズを有する。また、凹部29内におけるチップコンデンサ35の周囲を図示しない埋込樹脂により内蔵しても良い。
【0030】
図5に示すように、コア基板2の表面4の上方には、複数のビルドアップ絶縁層16,22および絶縁層(ソルダーレジスト層)30と銅メッキからなる複数のビルドアップ配線層24,28とを、交互に積層したビルドアップ層BUが形成される。上記コア配線層14、ビルドアップ配線層24,28間を導通するため、上記絶縁層16,22に銅メッキからなるフィルドビア導体20,26が形成される。また、最上層の上記配線層28における所定の位置には、上記絶縁層(ソルダーレジスト層)30を貫通し且つ第1主面32よりも高く突出する複数のハンダバンプ34が形成される。かかるバンプ34は、第1主面32上に実装するICチップ(半導体素子)36と前記同様に接続される。
因みに、ビルドアップ絶縁層16,22や絶縁層30の熱膨張率は、約65ppm/℃である。尚、ビルドアップ絶縁層16,22およびビルドアップ配線層24,28は、ビルドアップ層BUを形成する。
【0031】
図5に示すように、コア基板2の裏面9上(図面下側)で且つ凹部29を除いた位置には、エポキシ系樹脂にガラス繊維などを含有させた厚みが約40μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の裏面側絶縁層17が形成されている。かかる絶縁層17の所定の位置には、その表面である第2主面19側に開口する複数の開口部18が形成され、その底部にはコア配線層15から延びて第2主面19側に露出する配線21が位置する。かかる配線21は、その表面にNiおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1aを搭載する図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子となる。尚、配線21にハンダを介して銅系または鉄系合金からなる図示しない導体ピンを接続しても良い。
【0032】
以上のような配線基板1aによれば、熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3a,5,7からなるコア基板2および無機繊維を含む同様の熱膨張率の裏面側絶縁層17により、ビルドアップ層BU側に凹み変形する反りが防ぐことができる。また、コア基板2の内部配線層12,13はスルーホール導体10を介して、一方チップコンデンサ35はスルーホール導体27を介して、コア配線層14,15やビルドアップ配線層24,28と確実に導通できる。このため、多くの配線層や電子部品35を高密度で有し且つ互いに安定した導通を得ることが可能となる。
【0033】
尚、上記コア基板2は、次のようにして形成される。前記図2(A)〜(D)で示したように、比較的厚肉のセラミック層3aとなるグリーンシート3aの中央部にスルーホール25およびスルーホール導体27を、周辺部にスルーホール11およびスルーホール導体10を予め形成する。また、比較的薄肉のセラミック層5,7となるグリーンシート5,7の中央部をパンチングして凹部29の一部を形成し、その周辺部にスルーホール11およびスルーホール導体10を予め形成する。更に、これらのグリーンシート3a,5,7の表面4,8、裏面6,9に前記同様の内部配線層12,13やコア配線層14,15を個別に形成した後、かかるをグリーンシート3a,5,7を前記同様に積層して焼成する。
これ以降は、図3(A)〜4(B)に示した工程と同様の工程を経ることにより、図5に示すような配線基板1aを得ることができる。尚、スルーホール導体10と内部配線層12,13やコア配線層14,15とを同じ工程で同時に形成しても良い。
【0034】
本発明は、以上に説明した各形態に限定されるものではない。
前記コア基板2のセラミック層3,3a,5,7には、前記アルミナの他、シリカ、窒化アルミニウム、ガラスセラミック、ムライト、あるいは約1000℃以下の比較的低温で焼成可能な低温焼成セラミックを用いても良い。あるいは、前記コア基板2を単一のセラミック板から形成しても良い。
また、前記スルーホール導体10,27、内部配線層12,13、およびコア配線層14,15は、前記Wなど焼成金属の他、Cu、Ni、Ni−Au系などを用いても良く、前記ビルドアップ配線層24などは、銅などの金属メッキを用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法により形成しても良い。
【0035】
更に、前記ビルドアップ絶縁層16,22などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性等を有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることもできる。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。また、絶縁層に混入するガラス布またはガラスフィラの組成は、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものとしても良い。
【0036】
また、ビア導体は、前記フィルドビア導体20,26などでなく、内側が完全に導体で埋まってないほぼ円錐形のコンフォーマルビア導体とすることもできる。あるいは、各ビア導体の軸心をずらしつつ積み重ねるスタッガードの形態でも良いし、途中で平面方向に延びる配線層が介在する形態としても良い。
更に、前記凹部29に実装する電子部品は、1つのみでも良い。あるいは、多数の配線基板(製品単位)1aなどを含む多数個処理用治具における製品単位1個内に、複数の凹部29を形成し且つ各凹部29内に所要数の電子部品を実装しても良い。更に、複数のチップ状電子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、これを前記凹部29内に実装または内蔵することもできる。
【0037】
また、チップ状電子部品には、前記チップコンデンサ35などの他、チップ状のインダクタ、抵抗、フィルタなどの受動部品や、トランジスタ、半導体素子、FET、ローノイズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれると共に、互いに異種の電子部品同士を配線基板1aの同じ凹部29に併せて実装することも可能である。
更に、凹部29に埋込樹脂を充填して電子部品35を内蔵する形態では、当該凹部29の内壁や底面に、シラン系、チタン系、またはアルミニウム系のカップリング剤を予め塗布しておくことで、上記埋込樹脂との密着性を高められる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の配線基板(請求項1)によれば、裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制されるため、セラミックからなるコア基板を挟んで、その表面上方に交互に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなる。従って、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板とすることができ、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通を確実に取ることが可能となる。
また、請求項2の配線基板によれば、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張を確実に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層防止可能となる。
【0039】
一方、本発明の配線基板の製造方法(請求項3)によれば、セラミックからなるコア基板の裏面に形成する裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているため、その熱膨張率が抑制される。この結果、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるため、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板を確実に製造することができる。
【0040】
また、請求項4の配線基板の製造方法によれば、裏面側絶縁層を有する一対のコア基板を、両者の裏面側絶縁層の間に離型シートを挟持した状態で、各コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層およびビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する。この結果、かかるビルドアップ絶縁層とビルドアップ配線層とからなるビルドアップ層を平坦に形成できる。しかも、離型シートを除去し且つビルドアップ層などを有する個別のコア基板に分離しても、無機繊維を含む裏面側絶縁層により、厚み方向の反りを一層容易に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の1形態における主要部を示す断面図。
【図2】(A)〜(D)は本発明の配線基板の製造方法における主な工程を示す概略図。
【図3】(A),(B)は図2(D)に続く主な製造工程を示す概略図。
【図4】(A),(B)は図3(B)に続く主な製造工程を示す概略図。
【図5】図1の配線基板の応用形態である配線基板の主要部を示す断面図。
【図6】従来の配線基板における主要部を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a……配線基板
2……………コア基板
4……………表面
9……………裏面
10…………スルーホール導体
14,15…コア配線層
17…………裏面側絶縁層
16,22…ビルドアップ絶縁層
24,28…ビルドアップ配線層
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板の表面(片面)にのみビルドアップ層を有する配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低コスト化の要請に応じるため、図6に示すように、コア基板41の片面(表面)45上方にのみ複数のビルドアップ絶縁層48,51,54および複数のビルドアップ配線層47,50,53を交互に形成した配線基板40が提案されている。これらのうち、ビルドアップ絶縁層48,51およびビルドアップ配線層50,53は、ビルドアップ層BUを形成する。上記コア基板41は、複数のセラミック層42〜44からなり全体の厚み約800μmの絶縁性の多層基板であり、その表面45の上方に厚み約30μmのビルドアップ絶縁層48,51,54および厚み約15μmのビルドアップ配線層47,50,53を交互に積層している。
【0003】
また、図6に示すように、ビルドアップ配線層47,50,53間を導通するため、フィルドビア導体49,52がビルドアップ絶縁層48,51に形成されている。更に、最上層のビルドアップ配線層53上の所定の位置には、ビルドアップ絶縁層54を貫通して第1主面55よりも高く突出するハンダバンプ56が複数形成され、第1主面55上に実装する図示しないICチップの接続端子と個別に接続される。
以上のような配線基板40おいては、コア基板41の表面45側にビルドアップ絶縁層48,51,54とビルドアップ配線層47,50,53とからなるビルドアップ層BUなどを形成しているのに対し、コア基板41の裏面46側には何も形成されていない。
【0004】
このため、コア基板41とビルドアップ絶縁層48,51,54との熱膨張率の差により、図6(A)中の一点鎖線で示すように、配線基板40全体が、当該配線基板40の厚み方向と垂直方向の長さ330mmに対し、厚み方向に約4〜5mm変形した反りを生じることがある。かかる反りにより、例えばビルドアップ配線層47,50,53、ビア導体49,52、およびハンダバンプ56相互間の接続が不十分になるため、これらの間において導通が取れなくなる、という問題があった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板の表面にのみビルドアップ層を有し且つ反りを生じないか、あるいは反りにくい配線基板およびその製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コア基板の表面側のビルドアップ層の熱膨張(熱変形)とバランスする絶縁層を当該コア基板の裏面側に形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板(請求項1)は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板における表面と裏面との間を貫通するスルーホール導体と、上記コア基板の表面および裏面に形成され且つ上記スルーホール導体と導通するコア配線層と、上記コア基板の表面上方に形成され且つ上記スルーホール導体と導通する複数のビルドアップ配線層と、上記コア基板とビルドアップ配線層との間およびビルドアップ配線層同士の間に形成された複数のビルドアップ絶縁層と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して形成され且つ無機繊維を含有する裏面側絶縁層と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制される。このため、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるので、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板とすることができる。従って、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通を確実に取ることが可能となる。
尚、上記コア基板には、複数のセラミック層とこれらの間に位置する内部配線層とからなる多層基板の他、単一のセラミック層の形態などが含まれると共に、それらの裏面側に開口する凹部を有し且つかかる凹部に電子部品を実装可能とした形態も含まれる。また、前記セラミックには、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、ガラスセラミック、ムライト、あるいは約1000℃以下の比較的低温で焼成可能な低温焼成セラミックが含まれる。本発明において、ビルドアップ層とは、コア基板の表面上方に交互に形成された複数の絶縁層および複数の配線層を指称する。かかる絶縁層は、樹脂からなる。
【0008】
尚、裏面側絶縁層は、コア基板の熱膨張率と同じか、または同様の樹脂か、あるいは同様の無機繊維を含有した素材を用いることが望ましい。これにより、コア基板と共にビルドアップ層のビルドアップ絶縁層による熱収縮を一層確実に抑制し、配線基板全体の反りを防止することができる。
付言すれば、前記無機繊維は、ガラス繊維または炭素繊維からなる、配線基板を本発明に含めることも可能である。これによる場合、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張率を十分に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層確実に防止することが可能となる。これらの無機繊維は、裏面側絶縁層において、40〜60wt%の割合で配合されると、後述する低い熱膨張率を実現できる。
尚また、上記ガラス繊維には、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものが含まれる。
【0009】
また、本発明には、前記コア基板および裏面側絶縁層における配線基板の厚み方向と直交する方向の熱膨張率が、30ppm/℃以下である、配線基板(請求項2)も含まれる。これによれば、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張を確実に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層防止することが可能となる。
尚、上記熱膨張率が30ppm/℃を越えると、裏面側絶縁層の熱膨張を十分に抑制できず、ビルドアップ絶縁層の熱収縮による反りを防ぎきれなくなるため、かかる範囲を除外したものである。望ましい熱膨張率は25ppm/℃以下、より望ましい熱膨張率は15ppm/℃、またはこれ未満である(但し、これらは何れも0ppm/℃を含まず)。
【0010】
付言すれば、前記コア基板の厚みが400〜1000μm、前記ビルドアップ絶縁層の厚みが15〜50μm、および前記裏面側絶縁層の厚みが20〜150μmである、配線基板を本発明に含めることも可能である。
これによる場合、裏面側絶縁層の前記無機繊維の含有量や熱膨張率と相まって、これらの熱膨張を十分に抑制できると共に、ビルドアップ絶縁層の熱収縮とのバランスも一層容易に取れるため、配線基板全体の反りをなくか、極く僅かに抑制することが可能となる。
【0011】
一方、本発明における配線基板の製造方法(請求項3)は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板において、かかる表面および裏面にコア配線層を形成する工程と、上記コア基板の表面と裏面との間を貫通し且つ上記コア配線層と導通するスルーホール導体を形成する工程と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して無機繊維を含有する裏面側絶縁層を形成する工程と、上記コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層および上記スルーホール導体と導通するビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0012】
これによれば、コア基板の裏面に形成する裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制される。このため、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるので、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板を確実に製造することができる。従って、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通が確実に取れる配線基板を提供することができる。
尚、前記無機繊維は、ガラス繊維または炭素繊維からなる、配線基板の製造方法を本発明に含めることも可能である。これによる場合、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張率を十分に抑制できるため、全体の反りを一層確実に防止できる配線基板を製造することが可能となる。
【0013】
付言すれば、本発明における配線基板の製造方法は、セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板において、かかる表面および裏面にコア配線層を形成することおよび上記コア基板の表面と裏面との間を貫通し且つ上記コア配線層と導通するスルーホール導体を形成することを同時に行う工程と、上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して無機繊維を含有する裏面側絶縁層を形成する工程と、上記コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層および上記スルーホール導体と導通するビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程と、を含む、ものとすることも可能である。
【0014】
また、本発明には、前記コア基板の表面上方に前記ビルドアップ絶縁層および前記スルーホール導体と導通する前記ビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程は、少なくとも前記コア配線層および上記スルーホール導体を形成した一対のコア基板を、それぞれの裏面に予め形成した裏面側絶縁層または同時に形成する裏面側絶縁層を対向させ且つかかる裏面側絶縁層の間に離型シートを介在させて固定すると共に、上記一対のコア基板それぞれの表面上方に上記複数のビルドアップ絶縁層と複数のビルドアップ配線層とを交互にそれぞれ形成するものである、配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。
【0015】
これによれば、少なくともコア配線層およびスルーホール導体を有する一対のコア基板を、両者の裏面に予め形成または同時に形成する裏面側絶縁層の間に離型シートを挟持した状態で、各コア基板の表面上方に複数のビルドアップ絶縁層および複数のビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する。このため、かかるビルドアップ絶縁層とビルドアップ配線層とからなるビルドアップ層を平坦にして形成できる。しかも、離型シートを除去し且つビルドアップ層および裏面側絶縁層を有する個別のコア基板に分離しても、無機繊維を含む裏面側絶縁層により、厚み方向に変形する反りを一層容易に防ぐことが可能となる。
尚、前記裏面側絶縁層は、一対のコア基板を離型シートを介在して固定する際に、各コア基板の裏面に同時に形成しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の配線基板1における主要部を示す断面図である。
配線基板1は、図1に示すように、表面4および裏面9を有するセラミック製のコア基板2と、かかるコア基板2の表面4と裏面9との間を貫通する複数のスルーホール導体10と、コア基板2の表面4および裏面9に形成したコア配線層14,15と、を備えている。
また、図1に示すように、コア基板2の表面4上方には、複数のビルドアップ絶縁層16,22および絶縁層(ソルダーレジスト層)30と複数のビルドアップ配線層24,28とを、交互に積層したビルドアップ層BUなどが形成され、コア基板2の裏面9上(図面下側)には裏面側絶縁層17が形成されている。
【0017】
上記コア基板2は、例えばアルミナ(セラミック)を主成分とし厚みが300μmで熱膨張率が30ppm/℃以下(本実施形態では26ppm/℃)のセラミック層3,5,7を積層した絶縁性の多層基板であり、平面視でほぼ正方形を呈する。セラミック層3,5,7の間には、Ag、Au、Cu、Mo、またはWなど(本実施形態ではW)の焼成体からなり且つ所定パターンの内部配線層12,13が形成されている。
かかるコア基板2の表面4と裏面9との間には、直径約200μmのスルーホール11が複数貫通し、各スルーホール11に沿ってAgなどの焼成体からなるスルーホール導体10が形成されている。かかるスルーホール導体10は、その中間で上記内部配線層12,13と個別に接続されている。また、図1に示すように、コア基板2の表面4および裏面9には、厚み約15μmのWの焼成体からなる所定パターンのコア配線層14,15が形成され、これらは各スルーホール導体10の上端または下端とそれぞれ個別に接続されている。
【0018】
更に、図1に示すように、コア基板2の表面4上方には、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなり、厚み約30μmのビルドアップ絶縁層16,22と、厚み約20μmの絶縁層(ソルダーレジスト層)30と、ビルドアップ絶縁層16,22間、および絶縁層30とビルドアップ絶縁層22との間に形成した銅メッキからなる厚み約15μmのビルドアップ配線層24,28が位置する。コア配線層14、ビルドアップ配線層24,28間を導通するため、ビルドアップ絶縁層16,22には、銅メッキ製のフィルドビア導体20,26が形成される。尚、ビルドアップ絶縁層16,22およびビルドアップ配線層24,28は、ビルドアップ層BUを形成している。また、ビルドアップ絶縁層16,22や絶縁層30の熱膨張率は、因みに約40〜70ppm/℃である。
【0019】
最上層の配線層28上の所定の位置には、最上層の絶縁層30を貫通し且つ第1主面32よりも高く突出する複数のハンダバンプ34が形成される。かかるバンプ34は、例えばSn−Ag系などの低融点合金からなり、図1に示すように、第1主面32上に実装するICチップ(半導体素子)36の底面37に設けた複数の接続端子38と個別に接続される。尚、かかる接続端子38と各バンプ34とは、図示しないアンダーフィル材により埋設され且つ保護される。
【0020】
また、図1に示すように、コア基板2の裏面9上(図面下側)で且つコア配線層15上には、例えばエポキシ系樹脂にガラス繊維または炭素繊維(本実施形態ではガラス繊維)を含有させた厚みが20〜150μm(本実施形態では40μm)で且つ熱膨張率が30ppm/℃以下(本実施形態では26ppm/℃)の裏面側絶縁層17が形成されている。かかる絶縁層17の所定の位置には、その表面である第2主面19側に開口する複数の開口部18が形成され、その底部にはコア配線層15から延びて第2主面19側に露出する配線21が位置している。
かかる配線21は、その表面にNiおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1を搭載する図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子となる。尚、この配線21の表面にハンダを介して銅系または鉄系合金からなる導体ピンを接続しても良い。
【0021】
以上のような配線基板1では、コア基板2は熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3,5,7からなり、且つ裏面側絶縁層17は無機繊維を含有しているので、それらの熱膨張率が30ppm/℃以下に抑制される。このため、コア基板2を挟んで、コア基板2の表面4上方に交互に積層したビルドアップ絶縁層16,22を含むビルドアップ層BUの熱収縮と裏面側絶縁層17の熱収縮とのバランスが保ち易くなる。この結果、かかる配線基板1によれば、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能となる。
従って、配線基板1では、コア配線層14,15、ビルドアップ配線層24,28、ビア導体20,26、およびスルーホール導体10の相互間における導通を、確実且つ安定して取ることが可能となる。尚、裏面側絶縁層17は、前記無機繊維を含む接着性の樹脂としても良い。また、前記ガラス繊維には、線径7〜9μmのガラス糸の多数本を格子状に編み込んだ布状物や、比較的長さの短いガラス糸を不規則に積層して含有するガラス不織布を用いても良い。
【0022】
ここで、以上のような配線基板1の製造方法を図2〜図4により説明する。尚、以下においてグリーンシートの付合は、前記セラミック層と共通とする。
図2(A)は、アルミナを主成分とし厚みが約300μmのグリーンシート3,5,7の断面を示す。これらのグリーンシート3,5,7における所定の位置に対し、その厚み方向に沿ってドリルの挿入またはパンチング加工を行う。その結果、図2(B)に示すように、グリーンシート3,5,7を厚み方向に貫通する直径約200μmのスルーホール11が複数穿孔される。
次に、各スルーホール11内に、スクリーン印刷により図示しないスキージを用いてAg、Au、Cu、Mo、またはWなど(本実施形態ではW)の金属粉末を含むメタライズインクを充填した後、グリーンシート3,5,7の表面4,6,8およびグリーンシート7の裏面9に対して、上記同様のメタライズインクをスクリーン印刷により形成する。
【0023】
その結果、図2(C)に示すように、各スルーホール11内に沿ってスルーホール導体10が形成される。同時に、図2(C)に示すように、グリーンシート3,5,7の表面4,6,8およびグリーンシート7の裏面9に所定パターンの内部配線層12,13やコア配線層14,15が個別に形成される。尚、図2(C)に示したスルーホール導体10の形成工程および内部配線層12,13やコア配線層14,15の形成工程を同時に行わず、別個の工程で行っても良い。
次いで、図2(D)に示すように、上記グリーンシート3,5,7をプレスしつつ積層した後、図示しない焼成炉で約1500℃に数10分間焼成することにより、アルミナ製のセラミック層3,5,7、内部配線層12,13、コア配線層14,15、およびスルーホール導体10を備えたコア基板2を形成する。
更に、図3(A)に示すように、一対のコア基板2の裏面9上(図面下側または上側)に、エポキシ系樹脂にガラス繊維を含有させた厚みが40μmで且つ熱膨張率が30ppm/℃以下の裏面側絶縁層17を個別に形成する。尚、かかる裏面側絶縁層17の表面は、前記第2主面19となる。
この際、セラミック層7と絶縁層17との密着性を得るため、コア基板2の裏面9に予めカップラー剤を塗布しておく。
【0024】
図3(A)に示すように、スルーホール導体10、内部配線層12,13、コア配線層14,15、および裏面側絶縁層17を有する一対のコア基板2,2を、それぞれの裏面側絶縁層17で対向させると共に、これらの間に離型シート23を挿入した状態で、図3(A)中の矢印で示すように、一対のコア基板2,2を互いに接近させる。尚、離型シート23には、例えば2枚のポリエチレンフイルムの間に熱可塑性樹脂を介在させた樹脂モディファイドポリエチレン3層構造フィルム(商品名:パコタンプラス)のようなシートが用いられる。
そして、図3(B)に示すように、一対のコア基板2,2を、それぞれの裏面側絶縁層17が離型シート23を挟んで隣接した状態で拘束(固定)する。尚、一対のコア基板2,2を離型シート23を挟んで積層し固定する際に、同時に裏面側絶縁層17,17をそれぞれの裏面9に形成しても良い。
【0025】
次いで、図4(A)に示すように、一対のコア基板2におけるそれぞれのコア配線層14を含む表面4に、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ樹脂からなり厚みが約30μmのビルドアップ絶縁層16を形成する。この際、セラミック層3とビルドアップ絶縁層16との密着性を得るため、コア基板2の表面4に予めカップラー剤を塗布しておく。
次に、一対のコア基板2における各ビルドアップ絶縁層16の所定の位置に対しレーザを照射して、図示しない円錐形状のビアホールを形成すると共に、その底面にコア配線層14を露出させる。かかるビアホールを含むそれぞれのビルドアップ絶縁層16の上に、図示しない銅メッキ層を形成した後、所定のパターンを有する図示しないエッチングレジストを形成する。当該レジストの隙間から露出する銅メッキ層をエッチングして除去する公知のサブトラクティブ法を施す。
その結果、図4(B)に示すように、一対のコア基板2におけるそれぞれのビルドアップ絶縁層16中にフィルドビア導体20が、且つそれぞれのビルドアップ絶縁層16の上に所定パターンのビルドアップ配線層24が形成される。
【0026】
これ以降は、ビルドアップ配線層24やビルドアップ絶縁層16と共に前記ビルドアップ層BUを形成する前記ビルドアップ絶縁層22、絶縁層30、ビルドアップ配線層28、およびビア導体26を、公知のビルトアップ技術(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術)により形成する。最後に前記ハンダバンプ(IC接続端子)34を第1主面32側に形成する。
また、ビルドアップ層BUを有する一対のコア基板2,2を離型シート23から離して分離し、露出した裏面側絶縁層17にフォトリソグラフィ技術により前記開口部18を形成した後、その底部に露出する前記配線21にNiおよびAuメッキすることにより、前記図1に示した配線基板1を得ることができる。
尚、以上のような図2(A)〜図4(B)に示した製造工程は、複数のコア基板2(製品単位)を平面方向に併有する多数個取りの基板(パネル)にて行っても良い。
【0027】
図5は、配線基板1の応用形態の配線基板1aにおける主要部の断面を示す。
配線基板1aは、図5に示すように、前記同様のセラミック層3a,5,7を含むコア基板2と、かかるコア基板2の表面4と裏面9との間を貫通する複数のスルーホール導体10と、コア基板2の表面4および裏面9に形成した前記同様のコア配線層14,15と、を備えている。また、コア基板2は、その裏面9の中央に開口する凹部29を有する。かかるコア基板2は、ガラスおよびアルミナを主成分とし厚みが約400μmで熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3aと、同じ素材からなり厚みが約300μmで同じ熱膨張率のセラミック層5,7とを積層した絶縁性の多層基板である。
【0028】
また、図5に示すように、凹部29を除いたコア基板2の表面4と裏面9との間には、Agの焼成体からなるスルーホール導体10が貫通する。セラミック層3aの表面4および裏面6とセラミック層7の表面8および裏面9とには、Agの焼成体からなるコア配線層14,15およびAgの焼成体からなる内部配線層12,13が個別に形成され、これらはスルーホール導体10の上端、下端、または中間とそれぞれ個別に接続されている。
図5に示すように、比較的厚肉のセラミック層3aの中央部で且つ凹部29の真上には、短いスルーホール25と、これに沿って形成されたスルーホール導体27が位置する。各スルーホール導体27の下端には、凹部29の底面(天井面)に露出する電子部品接続配線31が形成されている。
【0029】
かかる配線31には、Sn−Cu系などの低融点合金からなる図示しないハンダを介して、チップコンデンサ(電子部品)35の上端から突出する電極33が接続され、これにより当該コンデンサ35を凹部29内に実装している。
尚、チップコンデンサ35は、その両側面の上端に突出する複数の電極33を図5の前後方向に沿って有し、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電層および内部電極になるNi層を交互に積層したセラミックスコンデンサであって、3.2mm×1.6mm×0.7mmのサイズを有する。また、凹部29内におけるチップコンデンサ35の周囲を図示しない埋込樹脂により内蔵しても良い。
【0030】
図5に示すように、コア基板2の表面4の上方には、複数のビルドアップ絶縁層16,22および絶縁層(ソルダーレジスト層)30と銅メッキからなる複数のビルドアップ配線層24,28とを、交互に積層したビルドアップ層BUが形成される。上記コア配線層14、ビルドアップ配線層24,28間を導通するため、上記絶縁層16,22に銅メッキからなるフィルドビア導体20,26が形成される。また、最上層の上記配線層28における所定の位置には、上記絶縁層(ソルダーレジスト層)30を貫通し且つ第1主面32よりも高く突出する複数のハンダバンプ34が形成される。かかるバンプ34は、第1主面32上に実装するICチップ(半導体素子)36と前記同様に接続される。
因みに、ビルドアップ絶縁層16,22や絶縁層30の熱膨張率は、約65ppm/℃である。尚、ビルドアップ絶縁層16,22およびビルドアップ配線層24,28は、ビルドアップ層BUを形成する。
【0031】
図5に示すように、コア基板2の裏面9上(図面下側)で且つ凹部29を除いた位置には、エポキシ系樹脂にガラス繊維などを含有させた厚みが約40μmで熱膨張率が30ppm/℃以下の裏面側絶縁層17が形成されている。かかる絶縁層17の所定の位置には、その表面である第2主面19側に開口する複数の開口部18が形成され、その底部にはコア配線層15から延びて第2主面19側に露出する配線21が位置する。かかる配線21は、その表面にNiおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1aを搭載する図示しないマザーボードなどのプリント基板との接続端子となる。尚、配線21にハンダを介して銅系または鉄系合金からなる図示しない導体ピンを接続しても良い。
【0032】
以上のような配線基板1aによれば、熱膨張率が30ppm/℃以下のセラミック層3a,5,7からなるコア基板2および無機繊維を含む同様の熱膨張率の裏面側絶縁層17により、ビルドアップ層BU側に凹み変形する反りが防ぐことができる。また、コア基板2の内部配線層12,13はスルーホール導体10を介して、一方チップコンデンサ35はスルーホール導体27を介して、コア配線層14,15やビルドアップ配線層24,28と確実に導通できる。このため、多くの配線層や電子部品35を高密度で有し且つ互いに安定した導通を得ることが可能となる。
【0033】
尚、上記コア基板2は、次のようにして形成される。前記図2(A)〜(D)で示したように、比較的厚肉のセラミック層3aとなるグリーンシート3aの中央部にスルーホール25およびスルーホール導体27を、周辺部にスルーホール11およびスルーホール導体10を予め形成する。また、比較的薄肉のセラミック層5,7となるグリーンシート5,7の中央部をパンチングして凹部29の一部を形成し、その周辺部にスルーホール11およびスルーホール導体10を予め形成する。更に、これらのグリーンシート3a,5,7の表面4,8、裏面6,9に前記同様の内部配線層12,13やコア配線層14,15を個別に形成した後、かかるをグリーンシート3a,5,7を前記同様に積層して焼成する。
これ以降は、図3(A)〜4(B)に示した工程と同様の工程を経ることにより、図5に示すような配線基板1aを得ることができる。尚、スルーホール導体10と内部配線層12,13やコア配線層14,15とを同じ工程で同時に形成しても良い。
【0034】
本発明は、以上に説明した各形態に限定されるものではない。
前記コア基板2のセラミック層3,3a,5,7には、前記アルミナの他、シリカ、窒化アルミニウム、ガラスセラミック、ムライト、あるいは約1000℃以下の比較的低温で焼成可能な低温焼成セラミックを用いても良い。あるいは、前記コア基板2を単一のセラミック板から形成しても良い。
また、前記スルーホール導体10,27、内部配線層12,13、およびコア配線層14,15は、前記Wなど焼成金属の他、Cu、Ni、Ni−Au系などを用いても良く、前記ビルドアップ配線層24などは、銅などの金属メッキを用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法により形成しても良い。
【0035】
更に、前記ビルドアップ絶縁層16,22などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性等を有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることもできる。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。また、絶縁層に混入するガラス布またはガラスフィラの組成は、Eガラス、Dガラス、Qガラス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以上を併用したものとしても良い。
【0036】
また、ビア導体は、前記フィルドビア導体20,26などでなく、内側が完全に導体で埋まってないほぼ円錐形のコンフォーマルビア導体とすることもできる。あるいは、各ビア導体の軸心をずらしつつ積み重ねるスタッガードの形態でも良いし、途中で平面方向に延びる配線層が介在する形態としても良い。
更に、前記凹部29に実装する電子部品は、1つのみでも良い。あるいは、多数の配線基板(製品単位)1aなどを含む多数個処理用治具における製品単位1個内に、複数の凹部29を形成し且つ各凹部29内に所要数の電子部品を実装しても良い。更に、複数のチップ状電子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、これを前記凹部29内に実装または内蔵することもできる。
【0037】
また、チップ状電子部品には、前記チップコンデンサ35などの他、チップ状のインダクタ、抵抗、フィルタなどの受動部品や、トランジスタ、半導体素子、FET、ローノイズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれると共に、互いに異種の電子部品同士を配線基板1aの同じ凹部29に併せて実装することも可能である。
更に、凹部29に埋込樹脂を充填して電子部品35を内蔵する形態では、当該凹部29の内壁や底面に、シラン系、チタン系、またはアルミニウム系のカップリング剤を予め塗布しておくことで、上記埋込樹脂との密着性を高められる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の配線基板(請求項1)によれば、裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているので、その熱膨張率が抑制されるため、セラミックからなるコア基板を挟んで、その表面上方に交互に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなる。従って、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板とすることができ、コア配線層、ビルドアップ配線層、およびスルーホール導体の相互間における導通を確実に取ることが可能となる。
また、請求項2の配線基板によれば、裏面側絶縁層とコア基板との熱膨張を確実に抑制できるため、配線基板全体の反りを一層防止可能となる。
【0039】
一方、本発明の配線基板の製造方法(請求項3)によれば、セラミックからなるコア基板の裏面に形成する裏面側絶縁層は、無機繊維を含有しているため、その熱膨張率が抑制される。この結果、コア基板を挟んで、その表面上方に積層した複数のビルドアップ絶縁層を含むビルドアップ層の熱収縮と裏面側絶縁層の熱収縮とのバランスが保ち易くなるため、厚み方向に反りを生じないか、極く僅かな反りに抑制可能とした配線基板を確実に製造することができる。
【0040】
また、請求項4の配線基板の製造方法によれば、裏面側絶縁層を有する一対のコア基板を、両者の裏面側絶縁層の間に離型シートを挟持した状態で、各コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層およびビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する。この結果、かかるビルドアップ絶縁層とビルドアップ配線層とからなるビルドアップ層を平坦に形成できる。しかも、離型シートを除去し且つビルドアップ層などを有する個別のコア基板に分離しても、無機繊維を含む裏面側絶縁層により、厚み方向の反りを一層容易に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の1形態における主要部を示す断面図。
【図2】(A)〜(D)は本発明の配線基板の製造方法における主な工程を示す概略図。
【図3】(A),(B)は図2(D)に続く主な製造工程を示す概略図。
【図4】(A),(B)は図3(B)に続く主な製造工程を示す概略図。
【図5】図1の配線基板の応用形態である配線基板の主要部を示す断面図。
【図6】従来の配線基板における主要部を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a……配線基板
2……………コア基板
4……………表面
9……………裏面
10…………スルーホール導体
14,15…コア配線層
17…………裏面側絶縁層
16,22…ビルドアップ絶縁層
24,28…ビルドアップ配線層
Claims (4)
- セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板と、
上記コア基板における表面と裏面との間を貫通するスルーホール導体と、
上記コア基板の表面および裏面に形成され且つ上記スルーホール導体と導通するコア配線層と、
上記コア基板の表面上方に形成され且つ上記スルーホール導体と導通する複数のビルドアップ配線層と、
上記コア基板とビルドアップ配線層との間およびビルドアップ配線層同士の間に形成された複数のビルドアップ絶縁層と、
上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して形成され且つ無機繊維を含有する裏面側絶縁層と、を含む、ことを特徴とする配線基板。 - 前記コア基板および裏面側絶縁層における配線基板の厚み方向と直交する方向の熱膨張率が、30ppm/℃以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 - セラミックからなり表面および裏面を有するコア基板において、かかる表面および裏面にコア配線層を形成する工程と、
上記コア基板の表面と裏面との間を貫通し且つ上記コア配線層と導通するスルーホール導体を形成する工程と、
上記コア基板の裏面上に直接または上記裏面側のコア配線層を介して無機繊維を含有する裏面側絶縁層を形成する工程と、
上記コア基板の表面上方にビルドアップ絶縁層および上記スルーホール導体と導通するビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記コア基板の表面上方に前記ビルドアップ絶縁層および前記スルーホール導体と導通する前記ビルドアップ配線層を交互にそれぞれ複数形成する工程は、
少なくとも前記コア配線層および上記スルーホール導体を形成した一対のコア基板を、それぞれの裏面に予め形成した裏面側絶縁層または同時に形成する裏面側絶縁層を対向させ且つかかる裏面側絶縁層の間に離型シートを介在させて固定すると共に、
上記一対のコア基板それぞれの表面上方に上記複数のビルドアップ絶縁層と複数のビルドアップ配線層とを交互にそれぞれ形成するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の配線基板の製造方法。
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