JP2004214273A - 片面積層配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パターン形成精度に優れた片面積層配線基板を高い歩留まりで製造することができる片面積層配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】まず、2枚のコア基板12の両第2主面14を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下の離型シート83を介して、両コア基板12同士を貼り合わせる。次に、貼り合わされた両コア基板12の第1主面13上にのみビルドアップ層18を形成する。そして、貼り合わされた両コア基板12を離型シート83の箇所で剥離して2分割する。
【選択図】 図7
【解決手段】まず、2枚のコア基板12の両第2主面14を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下の離型シート83を介して、両コア基板12同士を貼り合わせる。次に、貼り合わされた両コア基板12の第1主面13上にのみビルドアップ層18を形成する。そして、貼り合わされた両コア基板12を離型シート83の箇所で剥離して2分割する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、片面にのみビルドアップ層を有する片面積層配線基板の製造方法に係り、特にはいったんコア基板同士を貼り合わせた状態でビルドアップ層を形成した後にこれらを剥離して2分割する片面積層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器、電子機器等の小型化に伴い、これらの機器に搭載される配線基板等にも小型化や高密度化が要求されている。かかる市場の要求に応えるべく、配線基板の多層化技術が検討されている。多層化の方法としては、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をコア基板の両方の主面に積層形成する方法(いわゆるビルドアップ法)が採用されることが多い。また最近では、ビルドアップ層を片方の主面にのみ備える片面積層配線基板も提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような片面積層配線基板は、例えば以下の工程を経て製造される。
【0003】
あらかじめ導体層がパターニングされているコア基板を2枚用意する。これら2枚のコア基板を積層配置するとともに、それらのビルドアップ層非形成面同士の間にプリプレグ及び離型シートを介在させておく。かかる離型シートとしては、例えば一対の離型性フィルム間にクッション性のある熱可塑性樹脂を介在させたクッションシート(厚さ300μm以上)が使用される。この状態で加熱プレスを行い、2枚のコア基板を貼り合わせる。ここで、貼り合わされた2枚のコア基板におけるビルドアップ層形成面に樹脂絶縁層及び導体層を交互に積層することでビルドアップ層を形成する。そして、貼り合わされた2枚のコア基板をクッションシートの箇所で剥離して2分割し、それぞれ配線基板とする。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−36237号公報(図6等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の製造方法の場合、貼り合わせた2枚のコア基板のビルドアップ層形成面の平坦度が低くなりやすく、さらにはビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層の表面の平坦度も低くなりやすい。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層の導体層をパターニングしようとしても、樹脂絶縁層表面に形成されたレジスト形成用樹脂層上にガラスマスクを密着させることができない。それゆえ、現像後にレジスト残り(いわゆるテンティング)が発生する。このため、高い精度で導体層をパターニングすることが困難となるばかりでなく、歩留まりの悪化も来たしやすい。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パターン形成精度に優れた片面積層配線基板を高い歩留まりで製造することができる片面積層配線基板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
そこで、上記課題を解決すべく本願発明者らが鋭意研究を行ったところ、以下のような知見を得た。即ち、従来用いられていたクッションシート(離型シート)の場合、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程において加熱プレスを経ると、熱可塑性樹脂の変形に起因してクッションシートの厚さばらつきが増大する。具体的には、シート中央部がシート外周部に比べて薄肉になってしまう。このため、クッションシートの同一面内における高低差の拡大(具体的には中央部における凹部の発生)につながる、という知見である。ここで、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程での加熱プレスにおいてコア基板は、150℃〜200℃程度の温度下、つまりコア基板を構成する樹脂材料のTg点(ガラス転移点)付近の温度下に置かれる。よって、このときコア基板は剛性を失ってゴム状となり、常温のときに比べて変形しやすい状態となる。そのため、クッションシートの同一面内における高低差が大きくなると、その影響がそのままコア基板に波及してコア基板の中央部にも凹部ができ、結果としてビルドアップ層形成面の平坦度を低下させてしまう。
【0008】
そこで、本願発明者らは、加熱プレス後における離型シートの厚さばらつきに着目し、これを現状よりも低減すれば上記課題を解決しうるとの予測のもとにさらに鋭意研究を行い、最終的に下記の課題解決手段を想到するに至ったのである。
【0009】
即ち、上記課題を解決するための手段としては、第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記第2主面を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下の離型シートを介して、前記コア基板同士を貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記コア基板の前記第1主面上にのみビルドアップ層を形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程とを含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法がある。
【0010】
従って、この製造方法によると、厚さばらつきが10μm以下の離型シートを用いているため、シート同一面内における高低差も従来品に比べて極めて小さい。ゆえに、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスを経たとしても、コア基板に凹凸が生じにくく、ビルドアップ層形成面の平坦度、ひいてはビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層の表面の平坦度の低下を防ぐことができる。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層の導体層をパターニングする際に、樹脂絶縁層上のレジスト形成用樹脂層にガラスマスクを密着させることが可能となり、現像後のレジスト残りを回避することができる。このため、高い精度で導体層をパターニングすることができるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0011】
以下、上記片面積層配線基板の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
前記製造方法では、樹脂基板をコア基板として使用する。例えば、金属基板やセラミックス基板などは、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスに起因して剛性を失う、といったことが起こりにくいからである。即ち、金属やセラミックスは、樹脂のように比較的低温で軟化する性質を有しないからである。
【0013】
コア基板の構成材料である樹脂としては熱硬化性樹脂が好適である。その理由は、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂とは異なり加熱によってゴム状にならないからである。熱硬化性樹脂の具体例を挙げると、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂、けい素樹脂等がある。これらの中でも、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)などが好適である。例えば、エポキシ樹脂としては、いわゆるBP(ビスフェノール)型、PN(フェノールノボラック)型、CN(クレゾールノボラック)型のものを用いることがよい。特には、BP(ビスフェノール)型を主体とするものがよく、BPA(ビスフェノールA)型やBPF(ビスフェノールF)型が最もよい。
【0014】
前記コア基板は通常のものよりも高い剛性(高い曲げ弾性率)を有していることが望ましい。具体的には、少なくとも常温域(ここでは20℃以上30℃以下とする。)において15GPa以上の曲げ弾性率を有していることがよく、さらには150℃以上200℃以下の温度域において10GPa以上の曲げ弾性率を有していることがよい。曲げ弾性率(特に高温域での曲げ弾性率)が高いと、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスを経たとしても、コア基板に変形が起こりにくくなる。このため、離型シートにおける厚さばらつきの影響がビルドアップ層形成面にまで波及しにくくなり、ビルドアップ層形成面の平坦度が維持されやすくなるからである。
【0015】
ここで前記コア基板は、熱硬化性樹脂に加えて、無機材料からなる基材(マトリクス材)と、無機フィラーとを含んで構成されることがよい。無機材料からなるマトリクス材とは、絶縁性の無機繊維材料を二次元的にまたは三次元的に集積させた基材を指し、その具体例としてはガラス布基材などがある。無機フィラーとしては、シリカやアルミナ等のような絶縁性のセラミックスからなるフィラーや、ガラス等からなるフィラーなどがある。そして、上記コア基板のより好適な具体例としては、ガラス布基材と、熱硬化性樹脂と、セラミックフィラーとを含んで構成されるものを挙げることができる。このようなコア基板であれば、150℃以上200℃以下の温度域全般において10GPa以上という高い曲げ弾性率を実現しうるからである。
【0016】
なお、コア基板における第1主面及び第2主面のうちの少なくとも一方には、必要に応じて所定パターンの導体層があらかじめ形成されていてもよい。また、前記コア基板には第1主面及び第2主面を連通させるスルーホール導体があらかじめ形成されていてもよい。
【0017】
次に、上述したようなコア基板を2枚用意するとともに、それらの前記第2主面を対向配置し、離型シートを介して前記コア基板同士を貼り合わせる工程を行う。なお、貼り合わされる2枚のコア基板は同じもの(同じ材料を用いて構成されたもの)であることがよい。例えば、コア基板の熱膨張係数差が大きい場合には、ビルドアップ層の形成時に反りの原因となる応力が発生するおそれがある。これに対し、同じ材料を用いて構成されたコア基板同士であれば基本的に熱膨張係数もほぼ等しいため、貼り合わせた状態で加熱したとしてもそれほど大きな応力は発生しないからである。
【0018】
前記2枚のコア基板同士を貼り合わせる場合、対向配置されたコア基板のビルドアップ層非形成面(第2主面)間には少なくとも離型シートが介在される。ここで離型シートとは、離型性のよい表面を有するシート状物を指す。離型シートは1枚のみ使用してもよいほか、同じものを複数枚重ねて使用してもよい。
【0019】
2枚のコア基板同士を貼り合わせる際、離型シートとコア基板のビルドアップ層非形成面(第2主面)との間にさらに樹脂層が配置される(言い換えると、離型シートは一対の樹脂層によって挟まれる)ことがよい。かかる樹脂層は、離型シートとビルドアップ層非形成面(第2主面)とを一時的に接合する役割を果たすとともに、配線基板となった段階で樹脂絶縁層として機能する。その具体例を挙げると、無機または有機繊維材料製のシート材に熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグや、特にシート材を含まず熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤などがある。平坦度の低下防止という観点からすると、シート材を含んで構成されるプリプレグを選択することが好ましい。
【0020】
コア基板同士を貼り合わせる工程で使用する離型シートは、コア基板同士を貼り合わせる工程を経た状態での厚さばらつきが10μm以下である、という条件を満たしている必要がある。なお、上記条件を満たしていれば、離型シートの材料、構造、厚さ等は特に限定されず、任意に選択することが許容される。
【0021】
ただし、前記離型シートの平均厚さは、厚さ300μmを超える従来品よりも薄肉であることがよく、具体的には100μm以下であることがよい。例えば、コア基板よりも投影面積の小さい離型シートを用いた場合において、離型シートの厚さが300μmを超えるものであると、離型シートがある領域とない領域との境界に凹凸が発生する可能性がある。これに対して、厚さが100μm以下の離型シートであれば、離型シートがある領域とない領域との境界に凹凸が発生しにくくなるため、平坦度の低下を確実に回避することができる。しかも、離型シートが薄肉になれば材料コストも安くなるので、片面積層配線基板の製造コストの低減を図ることができる。なお、離型シートの平均厚さは50μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0022】
前記離型シートは、樹脂を含んで構成されるシートであることが好ましい。一般的に樹脂は比較的安価な材料であり、樹脂を全く含まず他の材料(例えばセラミックスなど)を用いて構成されるシートに比べて、材料コストの低減を図りやすいからである。
【0023】
また、前記離型シートは樹脂単体からなるシートであることがよい。樹脂単体からなるシートは、樹脂と他の材料とからなるシート(例えば金属板やセラミックス板の表面を樹脂で覆ったシートなど)に比べて、簡単にかつ安価に製造可能だからである。しかも、100μm以下の薄さにすることも容易だからである。そのような離型シートの好適な具体例を挙げると、フッ素樹脂単体からなるシートなどがある。フッ素樹脂はそれ自体が好適な離型性を有することに加え、耐熱性なども備えているからである。フッ素樹脂以外に好適なものとしては、例えばPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)などがある。
【0024】
また、前記離型シートはクッション性を有しないものであることが望ましい。その理由は、従来品のようにクッション性を有していると厚さばらつきの発生につながるからである。
【0025】
そして、2枚のコア基板と離型シート(あるいは2枚のコア基板と離型シートと樹脂層)からなる積層体を加熱下でプレスし、これによって各層を接着して一体化させる。
【0026】
次に、貼り合わされた両コア基板のビルドアップ層形成面(第1主面)上にのみビルドアップ層を形成する工程を行う。ここでビルドアップ層とは、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるものを意味する。形成されるビルドアップ層の厚さ及び層数は極力同じに設定することがよい。その理由は、上記設定によれば前記積層体の表裏面にて同程度の応力が発生するため、表裏面で応力がバランスするからである。
【0027】
前記ビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層としては熱硬化性樹脂が好適であり、その具体例を挙げると、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)などがある。
【0028】
一方、前記ビルドアップ層を構成する導体層は、例えば、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などといった導電性金属材料からなる。かかる導体層は、例えば、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされる。
【0029】
フォトリソグラフィ技術を利用したサブトラクティブ法の一例を挙げると、まず、樹脂絶縁層上に形成された導体層上に感光性樹脂層を形成する。そして、この感光性樹脂層上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行った後に現像処理を行い、エッチングレジストを形成する。次いで、レジスト非形成部分に存在する導体層をエッチングにて除去し、所定パターンの導体層とする。
【0030】
フォトリソグラフィ技術を利用したアディティブ法の一例を挙げると、まず、樹脂絶縁層上に形成された感光性樹脂層上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行った後に現像処理を行い、めっきレジストを形成する。次いで、レジスト非形成部分に無電解めっきを析出させ、所定パターンの導体層を形成する。なお、無電解めっきの代わりにスパッタやCVD等を行って導体層を形成してもよい。
【0031】
そして、貼り合わされた前記両コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程を行い、隠れていたビルドアップ層非形成面(第2主面)を露出させる。この後、必要に応じてビルドアップ層非形成面(第2主面)に接続端子等を設ければ、最終的に2つの片面積層配線基板を得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態の片面積層配線基板11及びその製造方法を図1〜図12に基づき詳細に説明する。
【0033】
図1〜図11は片面積層配線基板11の製造手順を説明するための部分概略断面図であり、図12は実施例及び比較例に関する片面積層配線基板11の評価試験の結果を示した表である。
【0034】
図11に示されるように、本実施形態の片面積層配線基板11はその中心部に樹脂製のコア基板12を備えている。コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)側には、図示しない半導体集積回路チップが搭載可能となっている。一方、コア基板12のビルドアップ層非形成面14(第2主面)側には、図示しないマザーボードが接続可能となっている。
【0035】
コア基板12のビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14には、厚さ約20μmの銅からなる導体層21,22がそれぞれ所定パターンで形成されている。また、コア基板12における複数箇所には、コア基板12のビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14を連通させるようにしてスルーホール導体15が形成されている。かかるスルーホール導体15は、コア基板12のビルドアップ層形成面13側の導体層21と、ビルドアップ層非形成面14側の導体層22とを接続導通している。なお、スルーホール導体15内にできる空洞部には、導電性を有する閉塞体16が充填されている。
【0036】
図11に示されるように、コア基板12のビルドアップ層形成面13側にはビルドアップ層18が形成されている。前記ビルドアップ層18は、樹脂絶縁層31,51,71と導体層41,61とを交互に積層した構造を有している。
【0037】
第1層めの樹脂絶縁層31はコア基板12のビルドアップ層形成面13の表面上に形成されている。前記第1層めの樹脂絶縁層31は、その厚さが約30μmに設定されていて、無機フィラー入りのエポキシ樹脂からなる。第1層めの導体層41は銅からなり、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に所定のパターンで形成されている。第2層めの樹脂絶縁層51は、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に形成されている。前記第2層めの樹脂絶縁層51は、その厚さが約30μmに設定されていて、無機フィラー入りのエポキシ樹脂からなる。第2層めの導体層61は銅からなり、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に所定のパターンで形成されている。第3層めの樹脂絶縁層71は、感光性エポキシ樹脂を用いて第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に形成されている。かかる第3層めの樹脂絶縁層71は、第2層めの導体層61を保護するいわゆるソルダーレジストとしての役割を果たしている。
【0038】
第1層めの樹脂絶縁層31には、無電解銅めっきによってブラインドビアホール導体32が形成されている。かかるブラインドビアホール導体32は、コア基板12のビルドアップ層形成面13に直接パターン形成された導体層21と、第1層めの導体層41とを接続導通している。また、第2層めの樹脂絶縁層51には、無電解銅めっきによってブラインドビアホール導体52が形成されている。かかるブラインドビアホール導体52は、第1層めの導体層41と、第2層めの導体層61とを接続導通している。
【0039】
ソルダーレジストとして機能する第3層めの樹脂絶縁層71には、複数の開口部72が設けられている。これらの開口部72は、第3層めの導体層61の一部(即ちパッド部)を露出させている。前記パッド部の表面上にはニッケル−金めっきが施されている。このようなパッド部上には、さらに突起電極であるはんだバンプ73が設けられている。はんだバンプ73の頂点は、第3層めの樹脂絶縁層71の表面よりも突出している。これらのはんだバンプ73には、上記半導体集積回路チップ側のバンプが接合されるようになっている。
【0040】
一方、図11に示されるように、コア基板12のビルドアップ層非形成面14側にはビルドアップ層18は形成されておらず、その代わりに導体層22を保護するソルダーレジストである樹脂絶縁層33が形成されている。樹脂絶縁層33における複数の箇所には、スルーホール導体15の位置に対応して開口部34が形成されている。そして、これらの開口部34には、マザーボード側との接続のための端子ピン35がはんだ層36を介して接合されている。
【0041】
次に、この片面積層配線基板11を製造する方法について順に説明する。
【0042】
まず、コア基板12を下記の要領で作製する。
【0043】
絶縁基材85の両面に銅箔86を貼着してなる図1のような銅張積層板81(厚さ0.8mm、410mm角)を出発材料として用いた。そして、この銅張積層板81にYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工を行うことにより、表裏を貫通する貫通孔82を形成する(図2参照)。次に、前記貫通孔82の内面に無電解銅めっきを施してスルーホール導体15を形成する(図3参照)。ここでスルーホール導体15の空隙を閉塞体16で閉塞した後、前記銅張積層板81の表面のほぼ全体(銅箔86の表面及び閉塞体16の端面)に電解銅めっきを施す(図4参照)。次に、ビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14の銅箔86のエッチングによって導体層21,22をパターニングする(図5参照)。
【0044】
なお、本実施形態ではいわゆる多数個取りの手法を採用しているため、1枚のパネル内にはコア基板12に相当するピースが複数個連結した状態で存在している。説明の便宜上、コア基板12が複数個連結した状態のものについても「コア基板12」と呼ぶことにする。
【0045】
上記のようなコア基板12を2枚用意し、それらのビルドアップ層非形成面14を対向配置する。このとき、対向配置されたコア基板12のビルドアップ層非形成面14間に離型シート83を介在させるとともに、離型シート83とビルドアップ層非形成面14との間にプリプレグ84を配置する(図6参照)。本実施形態では、離型シート83として、ポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン、登録商標)単体からなる厚さ100μm以下のシートを用いている。また、ガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた、厚さ約120μmのプリプレグ84を用いている。
【0046】
そして、2枚のコア基板12と、1枚の離型シート83と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体を、図示しないラミネート装置の熱板間にセットする。そして、前記積層体の厚さ方向に所定の圧力を付加して加熱下でプレスする。その結果、プリプレグ84から滲出する樹脂の接着作用によって、各層が一体化する(図7参照)。
【0047】
次に、ビルドアップ層18を下記の要領で形成する。
【0048】
まず、コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第1層めの樹脂絶縁層31とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第1層めの樹脂絶縁層31における所定箇所に盲孔を穿孔する。そして、盲孔内に無電解銅めっきを施すことにより、ブラインドビアホール導体32を形成する。なお、本実施形態ではいわゆるフィルドビアを形成している。
【0049】
また、従来公知の手法によって、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に第1層めの導体層41をパターン形成する。具体的には、第1層めの樹脂絶縁層31の表面全体に所定厚みの無電解銅めっきを施す。次に、前記無電解銅めっき層を覆う感光性樹脂からなるドライフィルムを貼着するとともに、そのドライフィルム上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行う。続いて現像処理を行って不要部分を溶解除去し、所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、前記めっきレジストを溶解除去し、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。その結果、所定パターンの第1層めの導体層41を得ることができる。
【0050】
次に、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第2層めの樹脂絶縁層51とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第2層めの樹脂絶縁層51における所定箇所に盲孔を穿孔する。そして、盲孔内に無電解銅めっきを施すことにより、ブラインドビアホール導体52を形成する。また、上述した従来公知の手法によって、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に第2層めの導体層61をパターン形成する。
【0051】
次に、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第3層めの樹脂絶縁層71とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第3層めの樹脂絶縁層71における所定箇所、即ちパッド部に対応した箇所に開口部72を形成する。そして、開口部72から露出するパッド部の表面上に無電解ニッケルめっき及び無電解金めっきを順次施した後、さらにはんだ印刷等によってはんだバンプ73を形成する。以上の結果、図8に示すような状態の積層体、つまりビルドアップ層形成面13にそれぞれビルドアップ層18を有する積層体が得られる。
【0052】
次に、前記積層体を離型シート83の箇所(具体的には、プリプレグ84に由来する樹脂絶縁層33と離型シート83との界面)で剥離して2分割する。その結果、内層に隠れていたビルドアップ層非形成面14(第2主面)側の樹脂絶縁層33を露出させる(図9参照)。この後、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、樹脂絶縁層33における所定箇所に開口部34を形成する(図10参照)。そして、前記積層体を45mm角のピースに切り離し、開口部34に端子ピン35をはんだ付けすれば、図11の片面積層配線基板11が完成する。さらに片面積層配線基板11のはんだバンプ73と、半導体集積回路チップ側のバンプとを接合すれば、所望のオーガニックパッケージを得ることができる。
【0053】
続いて、本実施形態の片面積層配線基板11に関する評価試験を下記のごとく行った。
【0054】
まず、テフロン単体からなる厚さ100μm以下の離型シート83を3つ用意し、これらを用いて上記の要領にてコア基板12同士を貼り合わせる工程を行った。その結果、2枚のコア基板12と、1枚の離型シート83と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体(即ち実施例1,2,3のサンプル)をそれぞれ作製した。そして、前記積層体のビルドアップ層形成面13上に、上記の要領にてビルドアップ層18をそれぞれ形成した。
【0055】
なお、実施例1〜3については、フォトリソグラフィによって導体層41,61をパターニングする際に、めっきレジスト形成用のドライフィルム上にガラスマスクを密着することが可能であった。
【0056】
これに対して、従来用いられている厚さ300μm以上のクッションシート(マテリアル社製 商品名「パコタンプラス」)を3つ用意し、これらを離型シート83として用いて上記の要領にてコア基板12同士を貼り合わせる工程を行った。その結果、2枚のコア基板12と、1枚のクッションシート(離型シート83)と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体(即ち比較例1,2,3のサンプル)をそれぞれ作製した。そして、前記積層体のビルドアップ層形成面13上に、上記の要領にてビルドアップ層18をそれぞれ形成した。かかるクッションシートは、一対の離型性フィルム間にクッション性のある熱可塑性樹脂を介在させた構造を有するものである。
【0057】
なお、比較例1〜3については、フォトリソグラフィによって導体層41,61をパターニングする際に、めっきレジスト形成用のドライフィルム上にガラスマスクを密着することができなかった。それゆえ、ガラスマスクとドライフィルムとの間に部分的に隙間ができ、結果として現像後にレジスト残りが発生した。
【0058】
そして、これら6つの積層体(即ち実施例1〜3,比較例1〜3)について、導体層41,61の観察を行った結果、比較例1〜3では導体層41,61のパターン幅等のばらつきが大きかった。これに対して、実施例1〜3では導体層41,61のパターン幅等にばらつきは特に認められず、パターン形成精度が高いことがわかった。
【0059】
そこで、これら6つの積層体を切断し、その切断面に現れた離型シート83の複数箇所にて厚さを測定した。そして、この測定結果から厚さの平均値(μm)、標準偏差であるσ値(μm)、厚さの最大値と最小値との差(μm)をそれぞれ求めた。その結果を図12の表に示す。
【0060】
それによると、比較例1,2,3に比べて実施例1,2,3のほうが、明らかにσ値、最大値と最小値との差が小さく、コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)の平坦度も相対的に高くなっていた。
【0061】
上述したように、本実施形態の片面積層配線基板11の製造方法によれば、加熱プレスを経たとしてもコア基板12に凹凸が生じにくくなる。よって、ビルドアップ層形成面13の平坦度、ひいてはビルドアップ層18を構成する樹脂絶縁層31,51の表面の平坦度の低下を防ぐことができる。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層18の導体層41,61をパターニングする際に、樹脂絶縁層31,51上のドライフィルムにガラスマスクを密着させることが可能となり、レジスト残りを回避することができる。このため、高い精度で導体層41,61をパターニングすることができるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0063】
・ビルドアップ層18を構成する樹脂絶縁層及び導体層の層数は、任意に増減することが可能である。
【0064】
・離型シート83とプリプレグ84とがあらかじめ積層一体化されているものを用いて、2枚のコア基板12を貼り合わせる工程を行うようにしてもよい。また、各コア基板12のビルドアップ層非形成面14側にプリプレグ84を貼り付けて樹脂絶縁層33をあらかじめ形成しておき、この状態で離型シート83を介してコア基板12同士を貼り合わせる工程を行うようにしてもよい。
【0065】
・開口部34の形成及びその部分への端子ピン35(外部接続端子)の取り付けは、実施形態のように前記積層体をピースに切り離す工程の後に行われてもよいほか、同工程の前に行われてもよい。なお、外部接続端子はピン状のものに限定されず、例えばバンプであってもよい。
【0066】
・実施形態では、フォトリソグラフィ技術を利用したセミアディティブ法により、ビルドアップ層18を構成する導体層41,61を形成していた。しかし、かかる導体層41,61は、セミアディティブ法以外の従来公知の手法(例えばサブトラクティブ法やフルアディティブ法など)により形成されても勿論よい。また、導体層41,61はフォトリソグラフィ技術を用いることなく形成されてもよい。
【0067】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0068】
(1)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、常温域(20℃以上30℃以下)において曲げ弾性率が15GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0069】
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、150℃以上200℃以下の温度域において曲げ弾性率が10GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0070】
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、150℃以上200℃以下の温度域全般において曲げ弾性率が10GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0071】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記離型シートはクッション性を有しないものであることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0072】
(5)第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記第2主面を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下かつ平均厚さが100μm以下の樹脂単体からなる離型シート及びその離型シートを挟む一対のプリプレグを介して、前記コア基板同士を加熱プレスによって貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記コア基板の前記第1主面上にのみ、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程と、を含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0073】
(6)第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記両第2主面を対向配置し、樹脂単体からなる離型シート及びその離型シートを挟む一対のプリプレグを介して、前記両コア基板同士を加熱プレスによって貼り合わせる工程と、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの平均値は50μm以下であり、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの標準偏差の値は2.0μm以下であり、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの最大値と最小値との差は10.0μm以下であることと、貼り合わされた前記両コア基板の前記第1主面上にのみ、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程と、を含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図2】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図3】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図4】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図5】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図6】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図7】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図8】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図9】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図10】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図11】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図12】実施例及び比較例の片面積層配線基板に関する評価試験の結果を示した表。
【符号の説明】
11…片面積層配線基板
12…コア基板
13…第1主面であるビルドアップ層形成面
14…第2主面であるビルドアップ層非形成面
18…ビルドアップ層
83…離型シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、片面にのみビルドアップ層を有する片面積層配線基板の製造方法に係り、特にはいったんコア基板同士を貼り合わせた状態でビルドアップ層を形成した後にこれらを剥離して2分割する片面積層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器、電子機器等の小型化に伴い、これらの機器に搭載される配線基板等にも小型化や高密度化が要求されている。かかる市場の要求に応えるべく、配線基板の多層化技術が検討されている。多層化の方法としては、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をコア基板の両方の主面に積層形成する方法(いわゆるビルドアップ法)が採用されることが多い。また最近では、ビルドアップ層を片方の主面にのみ備える片面積層配線基板も提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような片面積層配線基板は、例えば以下の工程を経て製造される。
【0003】
あらかじめ導体層がパターニングされているコア基板を2枚用意する。これら2枚のコア基板を積層配置するとともに、それらのビルドアップ層非形成面同士の間にプリプレグ及び離型シートを介在させておく。かかる離型シートとしては、例えば一対の離型性フィルム間にクッション性のある熱可塑性樹脂を介在させたクッションシート(厚さ300μm以上)が使用される。この状態で加熱プレスを行い、2枚のコア基板を貼り合わせる。ここで、貼り合わされた2枚のコア基板におけるビルドアップ層形成面に樹脂絶縁層及び導体層を交互に積層することでビルドアップ層を形成する。そして、貼り合わされた2枚のコア基板をクッションシートの箇所で剥離して2分割し、それぞれ配線基板とする。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−36237号公報(図6等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の製造方法の場合、貼り合わせた2枚のコア基板のビルドアップ層形成面の平坦度が低くなりやすく、さらにはビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層の表面の平坦度も低くなりやすい。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層の導体層をパターニングしようとしても、樹脂絶縁層表面に形成されたレジスト形成用樹脂層上にガラスマスクを密着させることができない。それゆえ、現像後にレジスト残り(いわゆるテンティング)が発生する。このため、高い精度で導体層をパターニングすることが困難となるばかりでなく、歩留まりの悪化も来たしやすい。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パターン形成精度に優れた片面積層配線基板を高い歩留まりで製造することができる片面積層配線基板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
そこで、上記課題を解決すべく本願発明者らが鋭意研究を行ったところ、以下のような知見を得た。即ち、従来用いられていたクッションシート(離型シート)の場合、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程において加熱プレスを経ると、熱可塑性樹脂の変形に起因してクッションシートの厚さばらつきが増大する。具体的には、シート中央部がシート外周部に比べて薄肉になってしまう。このため、クッションシートの同一面内における高低差の拡大(具体的には中央部における凹部の発生)につながる、という知見である。ここで、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程での加熱プレスにおいてコア基板は、150℃〜200℃程度の温度下、つまりコア基板を構成する樹脂材料のTg点(ガラス転移点)付近の温度下に置かれる。よって、このときコア基板は剛性を失ってゴム状となり、常温のときに比べて変形しやすい状態となる。そのため、クッションシートの同一面内における高低差が大きくなると、その影響がそのままコア基板に波及してコア基板の中央部にも凹部ができ、結果としてビルドアップ層形成面の平坦度を低下させてしまう。
【0008】
そこで、本願発明者らは、加熱プレス後における離型シートの厚さばらつきに着目し、これを現状よりも低減すれば上記課題を解決しうるとの予測のもとにさらに鋭意研究を行い、最終的に下記の課題解決手段を想到するに至ったのである。
【0009】
即ち、上記課題を解決するための手段としては、第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記第2主面を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下の離型シートを介して、前記コア基板同士を貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記コア基板の前記第1主面上にのみビルドアップ層を形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程とを含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法がある。
【0010】
従って、この製造方法によると、厚さばらつきが10μm以下の離型シートを用いているため、シート同一面内における高低差も従来品に比べて極めて小さい。ゆえに、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスを経たとしても、コア基板に凹凸が生じにくく、ビルドアップ層形成面の平坦度、ひいてはビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層の表面の平坦度の低下を防ぐことができる。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層の導体層をパターニングする際に、樹脂絶縁層上のレジスト形成用樹脂層にガラスマスクを密着させることが可能となり、現像後のレジスト残りを回避することができる。このため、高い精度で導体層をパターニングすることができるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0011】
以下、上記片面積層配線基板の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
前記製造方法では、樹脂基板をコア基板として使用する。例えば、金属基板やセラミックス基板などは、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスに起因して剛性を失う、といったことが起こりにくいからである。即ち、金属やセラミックスは、樹脂のように比較的低温で軟化する性質を有しないからである。
【0013】
コア基板の構成材料である樹脂としては熱硬化性樹脂が好適である。その理由は、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂とは異なり加熱によってゴム状にならないからである。熱硬化性樹脂の具体例を挙げると、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂、けい素樹脂等がある。これらの中でも、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)などが好適である。例えば、エポキシ樹脂としては、いわゆるBP(ビスフェノール)型、PN(フェノールノボラック)型、CN(クレゾールノボラック)型のものを用いることがよい。特には、BP(ビスフェノール)型を主体とするものがよく、BPA(ビスフェノールA)型やBPF(ビスフェノールF)型が最もよい。
【0014】
前記コア基板は通常のものよりも高い剛性(高い曲げ弾性率)を有していることが望ましい。具体的には、少なくとも常温域(ここでは20℃以上30℃以下とする。)において15GPa以上の曲げ弾性率を有していることがよく、さらには150℃以上200℃以下の温度域において10GPa以上の曲げ弾性率を有していることがよい。曲げ弾性率(特に高温域での曲げ弾性率)が高いと、2枚のコア基板同士を貼り合わせる工程における加熱プレスを経たとしても、コア基板に変形が起こりにくくなる。このため、離型シートにおける厚さばらつきの影響がビルドアップ層形成面にまで波及しにくくなり、ビルドアップ層形成面の平坦度が維持されやすくなるからである。
【0015】
ここで前記コア基板は、熱硬化性樹脂に加えて、無機材料からなる基材(マトリクス材)と、無機フィラーとを含んで構成されることがよい。無機材料からなるマトリクス材とは、絶縁性の無機繊維材料を二次元的にまたは三次元的に集積させた基材を指し、その具体例としてはガラス布基材などがある。無機フィラーとしては、シリカやアルミナ等のような絶縁性のセラミックスからなるフィラーや、ガラス等からなるフィラーなどがある。そして、上記コア基板のより好適な具体例としては、ガラス布基材と、熱硬化性樹脂と、セラミックフィラーとを含んで構成されるものを挙げることができる。このようなコア基板であれば、150℃以上200℃以下の温度域全般において10GPa以上という高い曲げ弾性率を実現しうるからである。
【0016】
なお、コア基板における第1主面及び第2主面のうちの少なくとも一方には、必要に応じて所定パターンの導体層があらかじめ形成されていてもよい。また、前記コア基板には第1主面及び第2主面を連通させるスルーホール導体があらかじめ形成されていてもよい。
【0017】
次に、上述したようなコア基板を2枚用意するとともに、それらの前記第2主面を対向配置し、離型シートを介して前記コア基板同士を貼り合わせる工程を行う。なお、貼り合わされる2枚のコア基板は同じもの(同じ材料を用いて構成されたもの)であることがよい。例えば、コア基板の熱膨張係数差が大きい場合には、ビルドアップ層の形成時に反りの原因となる応力が発生するおそれがある。これに対し、同じ材料を用いて構成されたコア基板同士であれば基本的に熱膨張係数もほぼ等しいため、貼り合わせた状態で加熱したとしてもそれほど大きな応力は発生しないからである。
【0018】
前記2枚のコア基板同士を貼り合わせる場合、対向配置されたコア基板のビルドアップ層非形成面(第2主面)間には少なくとも離型シートが介在される。ここで離型シートとは、離型性のよい表面を有するシート状物を指す。離型シートは1枚のみ使用してもよいほか、同じものを複数枚重ねて使用してもよい。
【0019】
2枚のコア基板同士を貼り合わせる際、離型シートとコア基板のビルドアップ層非形成面(第2主面)との間にさらに樹脂層が配置される(言い換えると、離型シートは一対の樹脂層によって挟まれる)ことがよい。かかる樹脂層は、離型シートとビルドアップ層非形成面(第2主面)とを一時的に接合する役割を果たすとともに、配線基板となった段階で樹脂絶縁層として機能する。その具体例を挙げると、無機または有機繊維材料製のシート材に熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグや、特にシート材を含まず熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤などがある。平坦度の低下防止という観点からすると、シート材を含んで構成されるプリプレグを選択することが好ましい。
【0020】
コア基板同士を貼り合わせる工程で使用する離型シートは、コア基板同士を貼り合わせる工程を経た状態での厚さばらつきが10μm以下である、という条件を満たしている必要がある。なお、上記条件を満たしていれば、離型シートの材料、構造、厚さ等は特に限定されず、任意に選択することが許容される。
【0021】
ただし、前記離型シートの平均厚さは、厚さ300μmを超える従来品よりも薄肉であることがよく、具体的には100μm以下であることがよい。例えば、コア基板よりも投影面積の小さい離型シートを用いた場合において、離型シートの厚さが300μmを超えるものであると、離型シートがある領域とない領域との境界に凹凸が発生する可能性がある。これに対して、厚さが100μm以下の離型シートであれば、離型シートがある領域とない領域との境界に凹凸が発生しにくくなるため、平坦度の低下を確実に回避することができる。しかも、離型シートが薄肉になれば材料コストも安くなるので、片面積層配線基板の製造コストの低減を図ることができる。なお、離型シートの平均厚さは50μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0022】
前記離型シートは、樹脂を含んで構成されるシートであることが好ましい。一般的に樹脂は比較的安価な材料であり、樹脂を全く含まず他の材料(例えばセラミックスなど)を用いて構成されるシートに比べて、材料コストの低減を図りやすいからである。
【0023】
また、前記離型シートは樹脂単体からなるシートであることがよい。樹脂単体からなるシートは、樹脂と他の材料とからなるシート(例えば金属板やセラミックス板の表面を樹脂で覆ったシートなど)に比べて、簡単にかつ安価に製造可能だからである。しかも、100μm以下の薄さにすることも容易だからである。そのような離型シートの好適な具体例を挙げると、フッ素樹脂単体からなるシートなどがある。フッ素樹脂はそれ自体が好適な離型性を有することに加え、耐熱性なども備えているからである。フッ素樹脂以外に好適なものとしては、例えばPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)などがある。
【0024】
また、前記離型シートはクッション性を有しないものであることが望ましい。その理由は、従来品のようにクッション性を有していると厚さばらつきの発生につながるからである。
【0025】
そして、2枚のコア基板と離型シート(あるいは2枚のコア基板と離型シートと樹脂層)からなる積層体を加熱下でプレスし、これによって各層を接着して一体化させる。
【0026】
次に、貼り合わされた両コア基板のビルドアップ層形成面(第1主面)上にのみビルドアップ層を形成する工程を行う。ここでビルドアップ層とは、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるものを意味する。形成されるビルドアップ層の厚さ及び層数は極力同じに設定することがよい。その理由は、上記設定によれば前記積層体の表裏面にて同程度の応力が発生するため、表裏面で応力がバランスするからである。
【0027】
前記ビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層としては熱硬化性樹脂が好適であり、その具体例を挙げると、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)などがある。
【0028】
一方、前記ビルドアップ層を構成する導体層は、例えば、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などといった導電性金属材料からなる。かかる導体層は、例えば、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされる。
【0029】
フォトリソグラフィ技術を利用したサブトラクティブ法の一例を挙げると、まず、樹脂絶縁層上に形成された導体層上に感光性樹脂層を形成する。そして、この感光性樹脂層上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行った後に現像処理を行い、エッチングレジストを形成する。次いで、レジスト非形成部分に存在する導体層をエッチングにて除去し、所定パターンの導体層とする。
【0030】
フォトリソグラフィ技術を利用したアディティブ法の一例を挙げると、まず、樹脂絶縁層上に形成された感光性樹脂層上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行った後に現像処理を行い、めっきレジストを形成する。次いで、レジスト非形成部分に無電解めっきを析出させ、所定パターンの導体層を形成する。なお、無電解めっきの代わりにスパッタやCVD等を行って導体層を形成してもよい。
【0031】
そして、貼り合わされた前記両コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程を行い、隠れていたビルドアップ層非形成面(第2主面)を露出させる。この後、必要に応じてビルドアップ層非形成面(第2主面)に接続端子等を設ければ、最終的に2つの片面積層配線基板を得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態の片面積層配線基板11及びその製造方法を図1〜図12に基づき詳細に説明する。
【0033】
図1〜図11は片面積層配線基板11の製造手順を説明するための部分概略断面図であり、図12は実施例及び比較例に関する片面積層配線基板11の評価試験の結果を示した表である。
【0034】
図11に示されるように、本実施形態の片面積層配線基板11はその中心部に樹脂製のコア基板12を備えている。コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)側には、図示しない半導体集積回路チップが搭載可能となっている。一方、コア基板12のビルドアップ層非形成面14(第2主面)側には、図示しないマザーボードが接続可能となっている。
【0035】
コア基板12のビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14には、厚さ約20μmの銅からなる導体層21,22がそれぞれ所定パターンで形成されている。また、コア基板12における複数箇所には、コア基板12のビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14を連通させるようにしてスルーホール導体15が形成されている。かかるスルーホール導体15は、コア基板12のビルドアップ層形成面13側の導体層21と、ビルドアップ層非形成面14側の導体層22とを接続導通している。なお、スルーホール導体15内にできる空洞部には、導電性を有する閉塞体16が充填されている。
【0036】
図11に示されるように、コア基板12のビルドアップ層形成面13側にはビルドアップ層18が形成されている。前記ビルドアップ層18は、樹脂絶縁層31,51,71と導体層41,61とを交互に積層した構造を有している。
【0037】
第1層めの樹脂絶縁層31はコア基板12のビルドアップ層形成面13の表面上に形成されている。前記第1層めの樹脂絶縁層31は、その厚さが約30μmに設定されていて、無機フィラー入りのエポキシ樹脂からなる。第1層めの導体層41は銅からなり、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に所定のパターンで形成されている。第2層めの樹脂絶縁層51は、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に形成されている。前記第2層めの樹脂絶縁層51は、その厚さが約30μmに設定されていて、無機フィラー入りのエポキシ樹脂からなる。第2層めの導体層61は銅からなり、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に所定のパターンで形成されている。第3層めの樹脂絶縁層71は、感光性エポキシ樹脂を用いて第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に形成されている。かかる第3層めの樹脂絶縁層71は、第2層めの導体層61を保護するいわゆるソルダーレジストとしての役割を果たしている。
【0038】
第1層めの樹脂絶縁層31には、無電解銅めっきによってブラインドビアホール導体32が形成されている。かかるブラインドビアホール導体32は、コア基板12のビルドアップ層形成面13に直接パターン形成された導体層21と、第1層めの導体層41とを接続導通している。また、第2層めの樹脂絶縁層51には、無電解銅めっきによってブラインドビアホール導体52が形成されている。かかるブラインドビアホール導体52は、第1層めの導体層41と、第2層めの導体層61とを接続導通している。
【0039】
ソルダーレジストとして機能する第3層めの樹脂絶縁層71には、複数の開口部72が設けられている。これらの開口部72は、第3層めの導体層61の一部(即ちパッド部)を露出させている。前記パッド部の表面上にはニッケル−金めっきが施されている。このようなパッド部上には、さらに突起電極であるはんだバンプ73が設けられている。はんだバンプ73の頂点は、第3層めの樹脂絶縁層71の表面よりも突出している。これらのはんだバンプ73には、上記半導体集積回路チップ側のバンプが接合されるようになっている。
【0040】
一方、図11に示されるように、コア基板12のビルドアップ層非形成面14側にはビルドアップ層18は形成されておらず、その代わりに導体層22を保護するソルダーレジストである樹脂絶縁層33が形成されている。樹脂絶縁層33における複数の箇所には、スルーホール導体15の位置に対応して開口部34が形成されている。そして、これらの開口部34には、マザーボード側との接続のための端子ピン35がはんだ層36を介して接合されている。
【0041】
次に、この片面積層配線基板11を製造する方法について順に説明する。
【0042】
まず、コア基板12を下記の要領で作製する。
【0043】
絶縁基材85の両面に銅箔86を貼着してなる図1のような銅張積層板81(厚さ0.8mm、410mm角)を出発材料として用いた。そして、この銅張積層板81にYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工を行うことにより、表裏を貫通する貫通孔82を形成する(図2参照)。次に、前記貫通孔82の内面に無電解銅めっきを施してスルーホール導体15を形成する(図3参照)。ここでスルーホール導体15の空隙を閉塞体16で閉塞した後、前記銅張積層板81の表面のほぼ全体(銅箔86の表面及び閉塞体16の端面)に電解銅めっきを施す(図4参照)。次に、ビルドアップ層形成面13及びビルドアップ層非形成面14の銅箔86のエッチングによって導体層21,22をパターニングする(図5参照)。
【0044】
なお、本実施形態ではいわゆる多数個取りの手法を採用しているため、1枚のパネル内にはコア基板12に相当するピースが複数個連結した状態で存在している。説明の便宜上、コア基板12が複数個連結した状態のものについても「コア基板12」と呼ぶことにする。
【0045】
上記のようなコア基板12を2枚用意し、それらのビルドアップ層非形成面14を対向配置する。このとき、対向配置されたコア基板12のビルドアップ層非形成面14間に離型シート83を介在させるとともに、離型シート83とビルドアップ層非形成面14との間にプリプレグ84を配置する(図6参照)。本実施形態では、離型シート83として、ポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン、登録商標)単体からなる厚さ100μm以下のシートを用いている。また、ガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた、厚さ約120μmのプリプレグ84を用いている。
【0046】
そして、2枚のコア基板12と、1枚の離型シート83と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体を、図示しないラミネート装置の熱板間にセットする。そして、前記積層体の厚さ方向に所定の圧力を付加して加熱下でプレスする。その結果、プリプレグ84から滲出する樹脂の接着作用によって、各層が一体化する(図7参照)。
【0047】
次に、ビルドアップ層18を下記の要領で形成する。
【0048】
まず、コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第1層めの樹脂絶縁層31とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第1層めの樹脂絶縁層31における所定箇所に盲孔を穿孔する。そして、盲孔内に無電解銅めっきを施すことにより、ブラインドビアホール導体32を形成する。なお、本実施形態ではいわゆるフィルドビアを形成している。
【0049】
また、従来公知の手法によって、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上に第1層めの導体層41をパターン形成する。具体的には、第1層めの樹脂絶縁層31の表面全体に所定厚みの無電解銅めっきを施す。次に、前記無電解銅めっき層を覆う感光性樹脂からなるドライフィルムを貼着するとともに、そのドライフィルム上にガラスマスクを密着させ、この状態で露光処理を行う。続いて現像処理を行って不要部分を溶解除去し、所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、前記めっきレジストを溶解除去し、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。その結果、所定パターンの第1層めの導体層41を得ることができる。
【0050】
次に、第1層めの樹脂絶縁層31の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第2層めの樹脂絶縁層51とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第2層めの樹脂絶縁層51における所定箇所に盲孔を穿孔する。そして、盲孔内に無電解銅めっきを施すことにより、ブラインドビアホール導体52を形成する。また、上述した従来公知の手法によって、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上に第2層めの導体層61をパターン形成する。
【0051】
次に、第2層めの樹脂絶縁層51の表面上にエポキシ樹脂を塗布した後、180℃〜200℃程度の温度に所定時間加熱してキュアする。これによりエポキシ樹脂を硬化させ、第3層めの樹脂絶縁層71とする。次に、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、第3層めの樹脂絶縁層71における所定箇所、即ちパッド部に対応した箇所に開口部72を形成する。そして、開口部72から露出するパッド部の表面上に無電解ニッケルめっき及び無電解金めっきを順次施した後、さらにはんだ印刷等によってはんだバンプ73を形成する。以上の結果、図8に示すような状態の積層体、つまりビルドアップ層形成面13にそれぞれビルドアップ層18を有する積層体が得られる。
【0052】
次に、前記積層体を離型シート83の箇所(具体的には、プリプレグ84に由来する樹脂絶縁層33と離型シート83との界面)で剥離して2分割する。その結果、内層に隠れていたビルドアップ層非形成面14(第2主面)側の樹脂絶縁層33を露出させる(図9参照)。この後、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー孔あけ加工を実施することにより、樹脂絶縁層33における所定箇所に開口部34を形成する(図10参照)。そして、前記積層体を45mm角のピースに切り離し、開口部34に端子ピン35をはんだ付けすれば、図11の片面積層配線基板11が完成する。さらに片面積層配線基板11のはんだバンプ73と、半導体集積回路チップ側のバンプとを接合すれば、所望のオーガニックパッケージを得ることができる。
【0053】
続いて、本実施形態の片面積層配線基板11に関する評価試験を下記のごとく行った。
【0054】
まず、テフロン単体からなる厚さ100μm以下の離型シート83を3つ用意し、これらを用いて上記の要領にてコア基板12同士を貼り合わせる工程を行った。その結果、2枚のコア基板12と、1枚の離型シート83と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体(即ち実施例1,2,3のサンプル)をそれぞれ作製した。そして、前記積層体のビルドアップ層形成面13上に、上記の要領にてビルドアップ層18をそれぞれ形成した。
【0055】
なお、実施例1〜3については、フォトリソグラフィによって導体層41,61をパターニングする際に、めっきレジスト形成用のドライフィルム上にガラスマスクを密着することが可能であった。
【0056】
これに対して、従来用いられている厚さ300μm以上のクッションシート(マテリアル社製 商品名「パコタンプラス」)を3つ用意し、これらを離型シート83として用いて上記の要領にてコア基板12同士を貼り合わせる工程を行った。その結果、2枚のコア基板12と、1枚のクッションシート(離型シート83)と、2枚のプリプレグ84とからなる積層体(即ち比較例1,2,3のサンプル)をそれぞれ作製した。そして、前記積層体のビルドアップ層形成面13上に、上記の要領にてビルドアップ層18をそれぞれ形成した。かかるクッションシートは、一対の離型性フィルム間にクッション性のある熱可塑性樹脂を介在させた構造を有するものである。
【0057】
なお、比較例1〜3については、フォトリソグラフィによって導体層41,61をパターニングする際に、めっきレジスト形成用のドライフィルム上にガラスマスクを密着することができなかった。それゆえ、ガラスマスクとドライフィルムとの間に部分的に隙間ができ、結果として現像後にレジスト残りが発生した。
【0058】
そして、これら6つの積層体(即ち実施例1〜3,比較例1〜3)について、導体層41,61の観察を行った結果、比較例1〜3では導体層41,61のパターン幅等のばらつきが大きかった。これに対して、実施例1〜3では導体層41,61のパターン幅等にばらつきは特に認められず、パターン形成精度が高いことがわかった。
【0059】
そこで、これら6つの積層体を切断し、その切断面に現れた離型シート83の複数箇所にて厚さを測定した。そして、この測定結果から厚さの平均値(μm)、標準偏差であるσ値(μm)、厚さの最大値と最小値との差(μm)をそれぞれ求めた。その結果を図12の表に示す。
【0060】
それによると、比較例1,2,3に比べて実施例1,2,3のほうが、明らかにσ値、最大値と最小値との差が小さく、コア基板12のビルドアップ層形成面13(第1主面)の平坦度も相対的に高くなっていた。
【0061】
上述したように、本実施形態の片面積層配線基板11の製造方法によれば、加熱プレスを経たとしてもコア基板12に凹凸が生じにくくなる。よって、ビルドアップ層形成面13の平坦度、ひいてはビルドアップ層18を構成する樹脂絶縁層31,51の表面の平坦度の低下を防ぐことができる。従って、フォトリソグラフィ技術によってビルドアップ層18の導体層41,61をパターニングする際に、樹脂絶縁層31,51上のドライフィルムにガラスマスクを密着させることが可能となり、レジスト残りを回避することができる。このため、高い精度で導体層41,61をパターニングすることができるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0063】
・ビルドアップ層18を構成する樹脂絶縁層及び導体層の層数は、任意に増減することが可能である。
【0064】
・離型シート83とプリプレグ84とがあらかじめ積層一体化されているものを用いて、2枚のコア基板12を貼り合わせる工程を行うようにしてもよい。また、各コア基板12のビルドアップ層非形成面14側にプリプレグ84を貼り付けて樹脂絶縁層33をあらかじめ形成しておき、この状態で離型シート83を介してコア基板12同士を貼り合わせる工程を行うようにしてもよい。
【0065】
・開口部34の形成及びその部分への端子ピン35(外部接続端子)の取り付けは、実施形態のように前記積層体をピースに切り離す工程の後に行われてもよいほか、同工程の前に行われてもよい。なお、外部接続端子はピン状のものに限定されず、例えばバンプであってもよい。
【0066】
・実施形態では、フォトリソグラフィ技術を利用したセミアディティブ法により、ビルドアップ層18を構成する導体層41,61を形成していた。しかし、かかる導体層41,61は、セミアディティブ法以外の従来公知の手法(例えばサブトラクティブ法やフルアディティブ法など)により形成されても勿論よい。また、導体層41,61はフォトリソグラフィ技術を用いることなく形成されてもよい。
【0067】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0068】
(1)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、常温域(20℃以上30℃以下)において曲げ弾性率が15GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0069】
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、150℃以上200℃以下の温度域において曲げ弾性率が10GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0070】
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コア基板は、150℃以上200℃以下の温度域全般において曲げ弾性率が10GPa以上である樹脂製のコア基板であることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0071】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記離型シートはクッション性を有しないものであることを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0072】
(5)第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記第2主面を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下かつ平均厚さが100μm以下の樹脂単体からなる離型シート及びその離型シートを挟む一対のプリプレグを介して、前記コア基板同士を加熱プレスによって貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記コア基板の前記第1主面上にのみ、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程と、を含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【0073】
(6)第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記両第2主面を対向配置し、樹脂単体からなる離型シート及びその離型シートを挟む一対のプリプレグを介して、前記両コア基板同士を加熱プレスによって貼り合わせる工程と、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの平均値は50μm以下であり、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの標準偏差の値は2.0μm以下であり、前記加熱プレス後の時点での前記離型シートの厚さの最大値と最小値との差は10.0μm以下であることと、貼り合わされた前記両コア基板の前記第1主面上にのみ、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する工程と、貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程と、を含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図2】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図3】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図4】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図5】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図6】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図7】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図8】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図9】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図10】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図11】片面積層配線基板の製造手順を説明するための部分概略断面図。
【図12】実施例及び比較例の片面積層配線基板に関する評価試験の結果を示した表。
【符号の説明】
11…片面積層配線基板
12…コア基板
13…第1主面であるビルドアップ層形成面
14…第2主面であるビルドアップ層非形成面
18…ビルドアップ層
83…離型シート
Claims (5)
- 第1主面及び第2主面を有するコア基板を2枚用いるとともに、それらコア基板の前記第2主面を対向配置し、厚さばらつきが10μm以下の離型シートを介して、前記コア基板同士を貼り合わせる工程と、
貼り合わされた前記コア基板の前記第1主面上にのみビルドアップ層を形成する工程と、
貼り合わされた前記コア基板を前記離型シートの箇所で剥離して2分割する工程と
を含むことを特徴とする片面積層配線基板の製造方法。 - 前記離型シートの平均厚さは100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の片面積層配線基板の製造方法。
- 前記離型シートは樹脂を含んで構成されるシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の片面積層配線基板の製造方法。
- 前記離型シートは樹脂単体からなるシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の片面積層配線基板の製造方法。
- 前記離型シートはフッ素樹脂単体からなるシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の片面積層配線基板の製造方法。
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-
2002
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