JP2004128046A - 真空処理槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体の吸排気処理を高速に行うことができ、しかもその際に被処理物(基板)の浮遊が生ずることのない真空処理装置を提供する。
【解決手段】真空処理槽1の壁部1aに、この壁部を貫通するガス導入用の吸気口3を設ける。吸気口3の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される板状の被処理物Wと平行に伸びる凹部6を形成する。凹部内にガス噴出用のノズル7をはめ込み、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分に、凹部6の底とノズル7との間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝9を形成する。溝9と前記吸気口3とが連通しており、前記ノズル7には、前記溝9と真空処理槽1の室内側とを貫通するノズル孔10が複数個設ける。複数個のノズル孔10は、前記被処理物Wを上下から挟むように設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】真空処理槽1の壁部1aに、この壁部を貫通するガス導入用の吸気口3を設ける。吸気口3の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される板状の被処理物Wと平行に伸びる凹部6を形成する。凹部内にガス噴出用のノズル7をはめ込み、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分に、凹部6の底とノズル7との間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝9を形成する。溝9と前記吸気口3とが連通しており、前記ノズル7には、前記溝9と真空処理槽1の室内側とを貫通するノズル孔10が複数個設ける。複数個のノズル孔10は、前記被処理物Wを上下から挟むように設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、液晶などの電子部品の製造に使用される真空処理槽に関するものであって、特に、処理槽内部に対する給気系統と排気系統の構成に改良を施した真空処理槽にかかる。
【0002】
【従来の技術】
半導体、液晶などの電子部品の製造に真空を利用した技術が多く使われている。例えば、アッシング装置などのプラズマを利用した装置では、図7に示すように、プラズマにより活性化されたガスを均一に被処理物(以下、基板Wと呼ぶ)に届けるために、真空処理槽1の底面に排気口21を設け、この排気口21における真空処理槽の外側に配管22を取り付け、これを真空ポンプ23に接続させ、この配管22の途中にメインバルブ20を設けて、このメインバルブ20を開閉させて、真空処理槽1内部からの排気を制御していた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−181117号公報
【特許文献2】
特開2001−187972号公報
【特許文献3】
特開平11−126753号公報
【0004】
しかし、このような排気系統を有する従来技術においては、次のような問題点があった。
まず、第1の問題として、真空処理槽を大気圧から真空に排気する場合、処理台に載った基板の表側と裏側で圧力差を生じ、基板が浮遊して位置ずれを起こし、正確な加工ができなくなったり、あるいは衝撃で基板を破損したりという問題が発生した。
【0005】
これに対して、搬送時に使用されるピックアップピンで処理台から持ち上げた状態のままで排気を行うことも回避策としてとられることがあるが、急激な排気を真空処理槽の底面から行うと、基板の表裏での圧力差に起因して基板が上下に大きく揺れ、基板のピックアップピンとの接触部分に傷が発生したり、また、ガラス基板などの場合は、基板が破損したりすることもあった。
【0006】
第2の問題として、プラズマ加工を行うと、化学的にパーティクル(異物)が反応生成される場合がある。急激な真空排気を真空処理槽の底面に設けられた排気口30から行うと、真空処理槽内にあるパーティクルを巻き上げ、基板上に載せてしまうことが問題を引き起こす。プラズマを利用した装置では、微小加工を行うため異物が基板上に存在すると、たとえばドライエッチングやアッシングにおいては、異物がマスクとなり、異物の部分が加工されなくなってしまうなどの問題を生じる。
【0007】
これらを解決するために、図7のように、配管22の途中にコンダクタンスの小さいバイパス回路を付加し、これにスロー排気用のバルブ19を設けて、大気圧から数百Paまでの減圧はゆっくりと行う技術が知られている。しかし、このスロー排気用のバルブ19を使用した場合はゆっくりと排気するため、装置の生産性が落ち、経済的な方法とはいえない。また、前述の第2の問題は加工プロセスの改良により低減されるべく広く研究がなされているため、装置の経済性を向上させるためには第1の問題を生産性を損ねない形で解決することが望まれる。
【0008】
一方、エッチングやアッシング処理の終了後、真空処理槽内の基板を排出させるため、処理槽を大気圧まで復帰させる必要があり、そのため、真空処理槽には、その内部に窒素ガスなどを送り込んで大気圧に復帰させるための給気系統が設けられている。
【0009】
すなわち、従来の真空処理槽では、その内部を大気圧に復帰するために、処理槽の側面により窒素ガス等の導入を行っていた。しかし、このように処理槽の側面に吸気口を設けた従来技術では、基板の上下面に圧力差が生じ、基板の跳ねを起こすことで位置ずれが発生するため、ガスの圧力と流量を制御する必要がある。また、他の方法としては、焼結金属やセラミック材料でできた通常のフィルタをガス出口に取り付けガスを拡散する方法があるが、流量低下や材料自体が高価である。
【0010】
このように従来技術では、処理槽の側面よりガスを直接導入しているため、そのガスにより(ガス流量または圧力差によりズレが発生する)プッシャ上の基板が跳ね位置ずれを起こし、搬送できない状態になる。また、これはガス圧力、流量を小さくすることで位置ずれを防止できるが、大気圧への復帰までに時間がかかるという問題があった。
【0011】
また、焼結金属やセラミックス材料等でできた筒状フィルタをガスの出口に取り付けることも検討されたが、ガスを噴出する口径が小さくなるため大気圧への復帰まで時間がかかる欠点があった。更に、この種のフィルタは処理槽の中での突起物となるためプロセス時、エッチングガスやアッシングガス等のガス流量を変え、処理物に影響を与えることが考えられた。また、フィルタの材料によっては汚染物質の原因となることがあるため、処理槽に取り入れることは好ましくないこともあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、第1の目的は、基板に対してエッチングやアッシングなどの処理を施すにあたって、処理槽内部を大気圧から真空に排気する場合に、内部に収納した基板を気流によって浮遊させることなく、高速に排気することのできる排気系統を有する真空処理装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、基板に対する前記の処理が終了した後に、処理槽内部を真空から大気圧に復帰させる場合に、内部に収納したが基板を気流によって浮遊させることなく、高速に処理槽内に気体を導入することもできる給気系統を有する真空処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、給気系統として、真空処理槽の壁部に、その壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される被処理物の位置に合わせて凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、排気系統として、真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備えた真空処理槽において、前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、給気系統と排気系統とを備えた真空処理槽において、
給気系統として、真空処理槽の壁部に、この壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される板状の被処理物と平行に伸びる凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられ、
排気系統として、真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備え、
前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記のような構成を有する請求項1及び請求項3の発明によれば、給気系統として、吸気口の室内側に複数のノズル孔を有するノズルを設けて、排気口からのガスをこのノズルに衝突させた後各ノズルから室内に導入することにより、圧力や流量が高いままの状態でガスを分散させて導入させることが可能となる。その結果、処理槽内部の被処理部である基板の位置ずれを防止し、かつガス圧力流量を高いままの状態で導入することで大気圧復帰までの時間が少なくできる。また、ガスを分散させることで基板の上下(表裏面)の圧力差が解消されるため、プロセス時において、エッチングガスやアッシングガス等のガスを流れを変化させることがない。
【0018】
また、請求項2および請求項3の発明においては、真空処理槽内部の被処理物の横方向にバルブを設けることで、急激に排気を行っても基板の上側と下側に圧力差が生じること極めて低減する。そして、大気圧からの排気の場合、このバルブを使用して急速に排気し、その後のプラズマ処理は従来技術と同様に真空処理槽の底面に接続したメインバルブからの排気へと切り替えることで、高度の真空度を確保することも可能である。特に、従来真空処理槽の側壁にバルブを設置すると、プラズマ処理する際、バルブによって発生する突起やくぼみが、高周波の電界集中等発生させ、異常放電などになり加工が不安定になってしまうため、設置不可能とされてきた。しかし、本発明ではバルブを真空処理槽の中に突出させて開閉させることとし、バルブを閉じた際に真空処理槽内面がフラットにできるため、電界集中などが発生しなくなる利点がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に従って具体的に説明する。本実施の形態の真空処理槽は、処理槽内部に被処理物である基板を収納した状態で真空引きを行うための排気系統と、被処理物に対してアッシングやエッチングなどの処理を行った後、処理槽内部に窒素ガスなどを導入して大気圧に復帰させるための給気系統とを有するものである。以下、この構成を、給気系統及び排気系統の順で説明する。
【0020】
[1.給気系統]…図1〜図4
図1において、符号1は真空処理槽であって、その内部には基板Wを載置するための処理台2が設けられている。この真空処理槽1の一方の壁部1aには、処理台2の位置に合わせて、吸気口3が設けられている。吸気口3は、その拡大図である図3に示すように、真空処理槽1の壁部1aを貫通しており、その室外側の開口部には、ガスを導入用の配管(図示せず)を接続するための接続金具4がボルト5によって固定されている。吸気口3の室内側の開口部には、基板Wと平行に伸びる凹部6が形成され、この凹部6内に細長い板状のノズル7がボルト8によって固定されている。すなわち、前記吸気口3に対して、平面T字型となるように凹部6が形成され、その内部にノズル7がはめ込まれている。
【0021】
この凹部6の底の部分、すなわち吸気口3の室内側開口部に対向する部分には、凹部6の底とノズル7との間に隙間ができるように凹部6の長さ方向に平行に伸びる溝9が形成されており、この溝9と吸気口3とが連通している。また、凹部6内に固定されているノズル7には、この溝9と真空処理槽1の室内側とを貫通するノズル孔10が一定の間隔で複数個設けられている。すなわち、図2に示すように、この複数個のノズル孔10は、1〜2mmの直径であって、図3及び図4に示すように、処理槽内壁面と直角になるように設けられている。また、処理台2上に載置された基板Wを上下から挟むように(上下のノズル孔10の中央が基板Wの中央に位置するように)2個1組で設けられ、この2個1組のノズル孔10が基板Wの幅方向に一定の間隔で複数組、すなわち図2に示すように、本実施形態では8組設けられている。なお、このノズル孔10の位置は、図4の水平断面図のように、前記吸気口3の位置とずらして設けられ、吸気口3からのガスが直接ノズル孔10に流入しない位置に設定されている。
【0022】
このような構成を有する本実施形態の真空処理槽1において、処理槽内を真空から大気圧へ復帰させるために処理槽内部にガスを導入する場合には、プラズマ処理が終了した基板Wを図示しないピンアップ用のピンによって処理台25上から持ち上げた状態で、図示しない配管から接続金具4を介して処理槽壁部1aの吸気口3にガスを供給する。吸気口3に供給されたガスは、その室外側の開口部に設けられた凹部6内のノズル7内面に衝突し、ノズル7と処理槽壁部1aとの間の溝9に沿って、吸気口3から左右方向に分配され、さらにノズル7を貫通している8組のノズル孔10を通って真空処理槽1内部に導入される。
【0023】
その結果、処理槽内部に導入された窒素ガスなどのガスは、吸気口3の出口から1カ所に集中して処理槽内部に噴出することがなく、適当な間隔を保って設けられた8組のノズル孔10から処理槽内部に均等に導入される。しかも、本実施形態においては、各組のノズル孔10が処理台2上の基板Wを上下から挟むように2個1組設けられているため、基板Wの上下に均等にガスが導入され、ガスの導入圧力によって基板Wが上下に揺れ動くような不都合が解消される。
【0024】
以上の通り、本実施の形態によれば、真空処理槽1の側面からガスを導入したとき、基板Wの上での圧力差がなくなり、基板Wが跳ねなくなる。これにより基板Wの位置ずれを防止でき、安定した精度で安価な製品の製作ができる。
【0025】
[2.排気系統]…図5〜図6、図8
次に、真空処理槽内部に基板を収納した後、処理槽内部を真空引きするための排気系統について、説明する。
【0026】
すなわち、本実施形態において、図8の配管図に示すように、真空処理槽1の底部には、従来技術と同様にメインバルブ20に接続された主排気口21が設けられている。この場合、真空処理槽1の処理台2を挟んで真空処理槽1の底部の左右から一対の配管22を引き出し、これをメインバルブ20に接続している。このメインバルブ20は配管22を介して、真空ポンプ23に接続されている。
【0027】
一方、真空処理槽1の一方の壁部1aには、高速粗引きバルブ24が設けられている。この高速粗引きバルブ24は、真空処理槽1からの排気の初期時において使用されるものであり、処理槽内部が一定の真空度に達するまではこの高速粗引きバルブ24から真空ポンプ23によって排気を行い、その後は、メインバルブ20を介して排気を行うように設定されている。
【0028】
前記高速粗引きバルブ24の具体的構成は、図5〜図6に示す通りである。
すなわち、図5に示すように、真空処理槽1の壁部1aに、これを貫通するように排気口30が設けられている。この排気口30の室外側には、取付板31を介して軸受32が固定され、この軸受32の中心部に、排気口30を貫通する操作ロッド33がスライド自在に支持されている。操作ロッド33の室内側の先端には、排気口30を封鎖する蓋板34が固定されている。また、排気口30の内周には、蓋板34の封鎖時において、蓋板34表面と真空処理槽1の内壁面とが面位置となるような位置に、蓋板34裏面に当接するフランジ35が設けられている。なお、蓋板34裏面におけるフランジ35との接触部分には、O−リングなどの気密材36が設けられている。
【0029】
一方、軸受32の室内側にはシリンダ37が設けられ、そのシリンダロッド38の先端が、前記操作ロッド33の室内側端部に連結されている。また、前記排気口30の室内側は、図6に示すように、排気口30の室内側よりも下方に伸びる長円形の形状を備えており、この排気口30の室外側全体が長方形の前記取付板31によって密封されている。排気口30の室外側を封鎖している取付板31における前記シリンダ37の下方には、比較的大口径の排気管39が接続されている。この排気管39は、前記図8の配管図に示すように、真空ポンプ23に接続されている。
【0030】
このような構成を有する本実施形態の真空処理槽1において、処理槽内部を真空引きする場合には、前記の給気系統の場合と同様に、処理台2上の基板Wをピンアップして持ち上げた状態において、シリンダ37を駆動することによりシリンダロッド38介して操作ロッド33を室内側に移動させ、その先端に設けられた蓋板34を処理槽の室内側に突出させ、排気口30の室内側を開口させる。その状態で真空ポンプ23を駆動すると、処理槽内部のガスは、蓋板34と処理槽壁部1aとの隙間に形成された排気路を通って排気口30の室外側に吸引され、フランジ35と操作ロッド33との間から長円形をした排気口30の室外側の開口部へ流入し、さらに取付板31に設けられている大口径の排気管39に排出される。
【0031】
この場合、排気口30が基板Wの側方にしかも基板Wとほぼ同じ高さに設けられているため、大口径の排気口30から急速に排気を行っても、処理槽内部から排気されるガスは基板Wの上下をほぼ均等に流れるため、基板Wが上下に揺動するような不都合がない。特に、本実施形態では、排気口30に蓋板34を設けることにより、排出されるガスは蓋板34の周囲から排気口30に流れることになるので、大口径の排気口30の中央部一点に気流が集中することがなく、基板Wに加わる風圧も少なくなる。
【0032】
このようにして大口径の排気口30を有する高速粗引きバルブ24から処理槽内部の気体の大部分を排気した後は、シリンダ37を反対方向に駆動させることにより、操作ロッド33を室外側に移動させその先端に固定された蓋板34を、その背面がフランジ35に当接するまで、処理槽の壁部1a側に引き込む。その結果、この蓋板34とフランジ35とにより排気口30が閉鎖されるため、高速粗引きバルブ24からの排気が停止する。
【0033】
これと同時に、(あるいはこの高速粗引きバルブ24の停止に先立って)メインバルブ20を開放し、主排気口21からメインバルブ20を介して真空ポンプ23により排気を開始する。その後、真空処理槽1内部が所定の真空度に達した後は、このメインバルブ20を閉じて、真空ポンプ23の運転を停止し、真空引き作業を完了する。
【0034】
このように本実施形態によれば、高速粗引きバルブ24から処理槽1内部の気体を高速に排気することができ、しかもこの場合において基板Wを揺動させるような不都合も生じない。その結果、従来のように、メインバルブ20による主排気口21からの排気のみによって処理槽内部全体を排気する場合に比較して、真空引き作業にかかる時間が格段に短縮され、それに伴い基板Wに対する加工時間も短縮される。
【0035】
しかも、本実施形態によれば、真空引きが完了した状態においては、大口径の排気口30の室内側は蓋板34によって封鎖されしかも、その蓋板34の表面が処理槽1の内壁面と面位置に設けられているので、処理槽内部には突出部分が存在しない。その結果、エッチングやアッシング処理時において処理槽内部に高電圧が印加された場合であっても、突出部分から不要な放電が発生する不都合もない。
【0036】
[3.他の実施の形態]
本発明は、前記のような実施の形態に限定されるものではなく、真空処理槽に給気系あるいは排気系のいずれかの構成のみを採用することも可能である。
また、給気系の構成において、ノズル7を設置する位置は、基板Wの中央基準とし、上下方向に、左右方向に多数の孔を開けることも可能であり、ノズル孔10の直径も基板Wの中心側から外側に向けて大きさを変えることも可能である。ノズル7に設けるノズル孔10の向きを処理槽の壁面に対して斜めなどにすることもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明においては、真空処理槽を大気圧から真空に排気する場合、基板Wが浮遊し位置ずれを起こし正確な加工ができなくなる問題、あるいは衝撃で基板Wを破損する問題や、基板Wが上下に大きく揺れ、基板Wのピックアップピンとの接触部分に傷が発生する問題を装置の生産性を落とさず経済的に行えるようになった。将来、加工プロセスの改良により反応生成物の発生が低減された場合より多くの装置にて利用可能となり、生産性が高くなる。また、加工時間が短縮されるため、電気使用量も少なくなり環境にもよくなる。
【0038】
プッシュアップされた基板Wが圧力差がで浮遊する。そこで、基板Wの上下からそれぞれ吸引することにより圧力差がなくなり基板Wが動かないので太い配管22で急速に排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前記実施の形態における給気系統部分の縦断面図。
【図2】前記実施の形態における給気系統部分の横断面図。
【図3】図2における吸気口部分の拡大縦断面図。
【図4】図2における吸気口部分の拡大水平断面図。
【図5】前記実施の形態における排気系統部分の水平断面図。
【図6】前記実施の形態における排気系統部分の縦断面図。
【図7】本発明の真空処理槽の一実施の形態を示す配管図。
【図8】従来の真空処理槽の配管図。
【符号の説明】
W…基板
1…真空処理槽
1a…真空処理槽の壁部
2…処理台
3…吸気口
4…接続金具
5…ボルト
6…凹部
7…ノズル
8…ボルト
9…溝
10…ノズル孔
20…メインバルブ
21…主排気口
22…配管
23…真空ポンプ
24…高速粗引きバルブ
30…排気口
31…取付板
32…軸受
33…操作ロッド
34…蓋板
35…フランジ
36…気密材
37…シリンダ
38…シリンダロッド
39…排気管
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、液晶などの電子部品の製造に使用される真空処理槽に関するものであって、特に、処理槽内部に対する給気系統と排気系統の構成に改良を施した真空処理槽にかかる。
【0002】
【従来の技術】
半導体、液晶などの電子部品の製造に真空を利用した技術が多く使われている。例えば、アッシング装置などのプラズマを利用した装置では、図7に示すように、プラズマにより活性化されたガスを均一に被処理物(以下、基板Wと呼ぶ)に届けるために、真空処理槽1の底面に排気口21を設け、この排気口21における真空処理槽の外側に配管22を取り付け、これを真空ポンプ23に接続させ、この配管22の途中にメインバルブ20を設けて、このメインバルブ20を開閉させて、真空処理槽1内部からの排気を制御していた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−181117号公報
【特許文献2】
特開2001−187972号公報
【特許文献3】
特開平11−126753号公報
【0004】
しかし、このような排気系統を有する従来技術においては、次のような問題点があった。
まず、第1の問題として、真空処理槽を大気圧から真空に排気する場合、処理台に載った基板の表側と裏側で圧力差を生じ、基板が浮遊して位置ずれを起こし、正確な加工ができなくなったり、あるいは衝撃で基板を破損したりという問題が発生した。
【0005】
これに対して、搬送時に使用されるピックアップピンで処理台から持ち上げた状態のままで排気を行うことも回避策としてとられることがあるが、急激な排気を真空処理槽の底面から行うと、基板の表裏での圧力差に起因して基板が上下に大きく揺れ、基板のピックアップピンとの接触部分に傷が発生したり、また、ガラス基板などの場合は、基板が破損したりすることもあった。
【0006】
第2の問題として、プラズマ加工を行うと、化学的にパーティクル(異物)が反応生成される場合がある。急激な真空排気を真空処理槽の底面に設けられた排気口30から行うと、真空処理槽内にあるパーティクルを巻き上げ、基板上に載せてしまうことが問題を引き起こす。プラズマを利用した装置では、微小加工を行うため異物が基板上に存在すると、たとえばドライエッチングやアッシングにおいては、異物がマスクとなり、異物の部分が加工されなくなってしまうなどの問題を生じる。
【0007】
これらを解決するために、図7のように、配管22の途中にコンダクタンスの小さいバイパス回路を付加し、これにスロー排気用のバルブ19を設けて、大気圧から数百Paまでの減圧はゆっくりと行う技術が知られている。しかし、このスロー排気用のバルブ19を使用した場合はゆっくりと排気するため、装置の生産性が落ち、経済的な方法とはいえない。また、前述の第2の問題は加工プロセスの改良により低減されるべく広く研究がなされているため、装置の経済性を向上させるためには第1の問題を生産性を損ねない形で解決することが望まれる。
【0008】
一方、エッチングやアッシング処理の終了後、真空処理槽内の基板を排出させるため、処理槽を大気圧まで復帰させる必要があり、そのため、真空処理槽には、その内部に窒素ガスなどを送り込んで大気圧に復帰させるための給気系統が設けられている。
【0009】
すなわち、従来の真空処理槽では、その内部を大気圧に復帰するために、処理槽の側面により窒素ガス等の導入を行っていた。しかし、このように処理槽の側面に吸気口を設けた従来技術では、基板の上下面に圧力差が生じ、基板の跳ねを起こすことで位置ずれが発生するため、ガスの圧力と流量を制御する必要がある。また、他の方法としては、焼結金属やセラミック材料でできた通常のフィルタをガス出口に取り付けガスを拡散する方法があるが、流量低下や材料自体が高価である。
【0010】
このように従来技術では、処理槽の側面よりガスを直接導入しているため、そのガスにより(ガス流量または圧力差によりズレが発生する)プッシャ上の基板が跳ね位置ずれを起こし、搬送できない状態になる。また、これはガス圧力、流量を小さくすることで位置ずれを防止できるが、大気圧への復帰までに時間がかかるという問題があった。
【0011】
また、焼結金属やセラミックス材料等でできた筒状フィルタをガスの出口に取り付けることも検討されたが、ガスを噴出する口径が小さくなるため大気圧への復帰まで時間がかかる欠点があった。更に、この種のフィルタは処理槽の中での突起物となるためプロセス時、エッチングガスやアッシングガス等のガス流量を変え、処理物に影響を与えることが考えられた。また、フィルタの材料によっては汚染物質の原因となることがあるため、処理槽に取り入れることは好ましくないこともあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、第1の目的は、基板に対してエッチングやアッシングなどの処理を施すにあたって、処理槽内部を大気圧から真空に排気する場合に、内部に収納した基板を気流によって浮遊させることなく、高速に排気することのできる排気系統を有する真空処理装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、基板に対する前記の処理が終了した後に、処理槽内部を真空から大気圧に復帰させる場合に、内部に収納したが基板を気流によって浮遊させることなく、高速に処理槽内に気体を導入することもできる給気系統を有する真空処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、給気系統として、真空処理槽の壁部に、その壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される被処理物の位置に合わせて凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、排気系統として、真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備えた真空処理槽において、前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、給気系統と排気系統とを備えた真空処理槽において、
給気系統として、真空処理槽の壁部に、この壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される板状の被処理物と平行に伸びる凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられ、
排気系統として、真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備え、
前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記のような構成を有する請求項1及び請求項3の発明によれば、給気系統として、吸気口の室内側に複数のノズル孔を有するノズルを設けて、排気口からのガスをこのノズルに衝突させた後各ノズルから室内に導入することにより、圧力や流量が高いままの状態でガスを分散させて導入させることが可能となる。その結果、処理槽内部の被処理部である基板の位置ずれを防止し、かつガス圧力流量を高いままの状態で導入することで大気圧復帰までの時間が少なくできる。また、ガスを分散させることで基板の上下(表裏面)の圧力差が解消されるため、プロセス時において、エッチングガスやアッシングガス等のガスを流れを変化させることがない。
【0018】
また、請求項2および請求項3の発明においては、真空処理槽内部の被処理物の横方向にバルブを設けることで、急激に排気を行っても基板の上側と下側に圧力差が生じること極めて低減する。そして、大気圧からの排気の場合、このバルブを使用して急速に排気し、その後のプラズマ処理は従来技術と同様に真空処理槽の底面に接続したメインバルブからの排気へと切り替えることで、高度の真空度を確保することも可能である。特に、従来真空処理槽の側壁にバルブを設置すると、プラズマ処理する際、バルブによって発生する突起やくぼみが、高周波の電界集中等発生させ、異常放電などになり加工が不安定になってしまうため、設置不可能とされてきた。しかし、本発明ではバルブを真空処理槽の中に突出させて開閉させることとし、バルブを閉じた際に真空処理槽内面がフラットにできるため、電界集中などが発生しなくなる利点がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に従って具体的に説明する。本実施の形態の真空処理槽は、処理槽内部に被処理物である基板を収納した状態で真空引きを行うための排気系統と、被処理物に対してアッシングやエッチングなどの処理を行った後、処理槽内部に窒素ガスなどを導入して大気圧に復帰させるための給気系統とを有するものである。以下、この構成を、給気系統及び排気系統の順で説明する。
【0020】
[1.給気系統]…図1〜図4
図1において、符号1は真空処理槽であって、その内部には基板Wを載置するための処理台2が設けられている。この真空処理槽1の一方の壁部1aには、処理台2の位置に合わせて、吸気口3が設けられている。吸気口3は、その拡大図である図3に示すように、真空処理槽1の壁部1aを貫通しており、その室外側の開口部には、ガスを導入用の配管(図示せず)を接続するための接続金具4がボルト5によって固定されている。吸気口3の室内側の開口部には、基板Wと平行に伸びる凹部6が形成され、この凹部6内に細長い板状のノズル7がボルト8によって固定されている。すなわち、前記吸気口3に対して、平面T字型となるように凹部6が形成され、その内部にノズル7がはめ込まれている。
【0021】
この凹部6の底の部分、すなわち吸気口3の室内側開口部に対向する部分には、凹部6の底とノズル7との間に隙間ができるように凹部6の長さ方向に平行に伸びる溝9が形成されており、この溝9と吸気口3とが連通している。また、凹部6内に固定されているノズル7には、この溝9と真空処理槽1の室内側とを貫通するノズル孔10が一定の間隔で複数個設けられている。すなわち、図2に示すように、この複数個のノズル孔10は、1〜2mmの直径であって、図3及び図4に示すように、処理槽内壁面と直角になるように設けられている。また、処理台2上に載置された基板Wを上下から挟むように(上下のノズル孔10の中央が基板Wの中央に位置するように)2個1組で設けられ、この2個1組のノズル孔10が基板Wの幅方向に一定の間隔で複数組、すなわち図2に示すように、本実施形態では8組設けられている。なお、このノズル孔10の位置は、図4の水平断面図のように、前記吸気口3の位置とずらして設けられ、吸気口3からのガスが直接ノズル孔10に流入しない位置に設定されている。
【0022】
このような構成を有する本実施形態の真空処理槽1において、処理槽内を真空から大気圧へ復帰させるために処理槽内部にガスを導入する場合には、プラズマ処理が終了した基板Wを図示しないピンアップ用のピンによって処理台25上から持ち上げた状態で、図示しない配管から接続金具4を介して処理槽壁部1aの吸気口3にガスを供給する。吸気口3に供給されたガスは、その室外側の開口部に設けられた凹部6内のノズル7内面に衝突し、ノズル7と処理槽壁部1aとの間の溝9に沿って、吸気口3から左右方向に分配され、さらにノズル7を貫通している8組のノズル孔10を通って真空処理槽1内部に導入される。
【0023】
その結果、処理槽内部に導入された窒素ガスなどのガスは、吸気口3の出口から1カ所に集中して処理槽内部に噴出することがなく、適当な間隔を保って設けられた8組のノズル孔10から処理槽内部に均等に導入される。しかも、本実施形態においては、各組のノズル孔10が処理台2上の基板Wを上下から挟むように2個1組設けられているため、基板Wの上下に均等にガスが導入され、ガスの導入圧力によって基板Wが上下に揺れ動くような不都合が解消される。
【0024】
以上の通り、本実施の形態によれば、真空処理槽1の側面からガスを導入したとき、基板Wの上での圧力差がなくなり、基板Wが跳ねなくなる。これにより基板Wの位置ずれを防止でき、安定した精度で安価な製品の製作ができる。
【0025】
[2.排気系統]…図5〜図6、図8
次に、真空処理槽内部に基板を収納した後、処理槽内部を真空引きするための排気系統について、説明する。
【0026】
すなわち、本実施形態において、図8の配管図に示すように、真空処理槽1の底部には、従来技術と同様にメインバルブ20に接続された主排気口21が設けられている。この場合、真空処理槽1の処理台2を挟んで真空処理槽1の底部の左右から一対の配管22を引き出し、これをメインバルブ20に接続している。このメインバルブ20は配管22を介して、真空ポンプ23に接続されている。
【0027】
一方、真空処理槽1の一方の壁部1aには、高速粗引きバルブ24が設けられている。この高速粗引きバルブ24は、真空処理槽1からの排気の初期時において使用されるものであり、処理槽内部が一定の真空度に達するまではこの高速粗引きバルブ24から真空ポンプ23によって排気を行い、その後は、メインバルブ20を介して排気を行うように設定されている。
【0028】
前記高速粗引きバルブ24の具体的構成は、図5〜図6に示す通りである。
すなわち、図5に示すように、真空処理槽1の壁部1aに、これを貫通するように排気口30が設けられている。この排気口30の室外側には、取付板31を介して軸受32が固定され、この軸受32の中心部に、排気口30を貫通する操作ロッド33がスライド自在に支持されている。操作ロッド33の室内側の先端には、排気口30を封鎖する蓋板34が固定されている。また、排気口30の内周には、蓋板34の封鎖時において、蓋板34表面と真空処理槽1の内壁面とが面位置となるような位置に、蓋板34裏面に当接するフランジ35が設けられている。なお、蓋板34裏面におけるフランジ35との接触部分には、O−リングなどの気密材36が設けられている。
【0029】
一方、軸受32の室内側にはシリンダ37が設けられ、そのシリンダロッド38の先端が、前記操作ロッド33の室内側端部に連結されている。また、前記排気口30の室内側は、図6に示すように、排気口30の室内側よりも下方に伸びる長円形の形状を備えており、この排気口30の室外側全体が長方形の前記取付板31によって密封されている。排気口30の室外側を封鎖している取付板31における前記シリンダ37の下方には、比較的大口径の排気管39が接続されている。この排気管39は、前記図8の配管図に示すように、真空ポンプ23に接続されている。
【0030】
このような構成を有する本実施形態の真空処理槽1において、処理槽内部を真空引きする場合には、前記の給気系統の場合と同様に、処理台2上の基板Wをピンアップして持ち上げた状態において、シリンダ37を駆動することによりシリンダロッド38介して操作ロッド33を室内側に移動させ、その先端に設けられた蓋板34を処理槽の室内側に突出させ、排気口30の室内側を開口させる。その状態で真空ポンプ23を駆動すると、処理槽内部のガスは、蓋板34と処理槽壁部1aとの隙間に形成された排気路を通って排気口30の室外側に吸引され、フランジ35と操作ロッド33との間から長円形をした排気口30の室外側の開口部へ流入し、さらに取付板31に設けられている大口径の排気管39に排出される。
【0031】
この場合、排気口30が基板Wの側方にしかも基板Wとほぼ同じ高さに設けられているため、大口径の排気口30から急速に排気を行っても、処理槽内部から排気されるガスは基板Wの上下をほぼ均等に流れるため、基板Wが上下に揺動するような不都合がない。特に、本実施形態では、排気口30に蓋板34を設けることにより、排出されるガスは蓋板34の周囲から排気口30に流れることになるので、大口径の排気口30の中央部一点に気流が集中することがなく、基板Wに加わる風圧も少なくなる。
【0032】
このようにして大口径の排気口30を有する高速粗引きバルブ24から処理槽内部の気体の大部分を排気した後は、シリンダ37を反対方向に駆動させることにより、操作ロッド33を室外側に移動させその先端に固定された蓋板34を、その背面がフランジ35に当接するまで、処理槽の壁部1a側に引き込む。その結果、この蓋板34とフランジ35とにより排気口30が閉鎖されるため、高速粗引きバルブ24からの排気が停止する。
【0033】
これと同時に、(あるいはこの高速粗引きバルブ24の停止に先立って)メインバルブ20を開放し、主排気口21からメインバルブ20を介して真空ポンプ23により排気を開始する。その後、真空処理槽1内部が所定の真空度に達した後は、このメインバルブ20を閉じて、真空ポンプ23の運転を停止し、真空引き作業を完了する。
【0034】
このように本実施形態によれば、高速粗引きバルブ24から処理槽1内部の気体を高速に排気することができ、しかもこの場合において基板Wを揺動させるような不都合も生じない。その結果、従来のように、メインバルブ20による主排気口21からの排気のみによって処理槽内部全体を排気する場合に比較して、真空引き作業にかかる時間が格段に短縮され、それに伴い基板Wに対する加工時間も短縮される。
【0035】
しかも、本実施形態によれば、真空引きが完了した状態においては、大口径の排気口30の室内側は蓋板34によって封鎖されしかも、その蓋板34の表面が処理槽1の内壁面と面位置に設けられているので、処理槽内部には突出部分が存在しない。その結果、エッチングやアッシング処理時において処理槽内部に高電圧が印加された場合であっても、突出部分から不要な放電が発生する不都合もない。
【0036】
[3.他の実施の形態]
本発明は、前記のような実施の形態に限定されるものではなく、真空処理槽に給気系あるいは排気系のいずれかの構成のみを採用することも可能である。
また、給気系の構成において、ノズル7を設置する位置は、基板Wの中央基準とし、上下方向に、左右方向に多数の孔を開けることも可能であり、ノズル孔10の直径も基板Wの中心側から外側に向けて大きさを変えることも可能である。ノズル7に設けるノズル孔10の向きを処理槽の壁面に対して斜めなどにすることもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明においては、真空処理槽を大気圧から真空に排気する場合、基板Wが浮遊し位置ずれを起こし正確な加工ができなくなる問題、あるいは衝撃で基板Wを破損する問題や、基板Wが上下に大きく揺れ、基板Wのピックアップピンとの接触部分に傷が発生する問題を装置の生産性を落とさず経済的に行えるようになった。将来、加工プロセスの改良により反応生成物の発生が低減された場合より多くの装置にて利用可能となり、生産性が高くなる。また、加工時間が短縮されるため、電気使用量も少なくなり環境にもよくなる。
【0038】
プッシュアップされた基板Wが圧力差がで浮遊する。そこで、基板Wの上下からそれぞれ吸引することにより圧力差がなくなり基板Wが動かないので太い配管22で急速に排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前記実施の形態における給気系統部分の縦断面図。
【図2】前記実施の形態における給気系統部分の横断面図。
【図3】図2における吸気口部分の拡大縦断面図。
【図4】図2における吸気口部分の拡大水平断面図。
【図5】前記実施の形態における排気系統部分の水平断面図。
【図6】前記実施の形態における排気系統部分の縦断面図。
【図7】本発明の真空処理槽の一実施の形態を示す配管図。
【図8】従来の真空処理槽の配管図。
【符号の説明】
W…基板
1…真空処理槽
1a…真空処理槽の壁部
2…処理台
3…吸気口
4…接続金具
5…ボルト
6…凹部
7…ノズル
8…ボルト
9…溝
10…ノズル孔
20…メインバルブ
21…主排気口
22…配管
23…真空ポンプ
24…高速粗引きバルブ
30…排気口
31…取付板
32…軸受
33…操作ロッド
34…蓋板
35…フランジ
36…気密材
37…シリンダ
38…シリンダロッド
39…排気管
Claims (3)
- 真空処理槽の壁部に、その壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、
前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される被処理物の位置に合わせて凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、
前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、
前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられていることを特徴とする真空処理槽。 - 真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備えた真空処理槽において、
前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、
この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする真空処理槽。 - 給気系統と排気系統とを備えた真空処理槽において、
給気系統として、真空処理槽の壁部に、この壁部を貫通するガス導入用の吸気口が設けられ、前記吸気口の室内側の開口部には、真空処理槽内部に収納される板状の被処理物と平行に伸びる凹部が形成され、この凹部内にガス噴出用のノズルがはめ込まれ、前記凹部における前記吸気口の室内側開口部に対向する部分には、凹部の底とノズルとの間に隙間ができるように凹部の長さ方向に平行に伸びる溝が形成され、この溝と前記吸気口とが連通しており、前記ノズルには、前記溝と真空処理槽の室内側とを貫通するノズル孔が複数個設けられ、この複数個のノズル孔は前記被処理物を上下から挟むように設けられ、
排気系統として、真空処理槽からの排気の初期時において使用される高速粗引きバルブと、真空処理槽内部からの排気を行うためのメインバルブとを備え、
前記高速粗引きバルブとして、真空処理槽の壁部に、その内部に収納される被処理物の位置に合わせて、真空処理槽の壁部を貫通する排気口が設けられ、この排気口の室内側には、閉鎖時において真空処理槽の内壁面と面位置になるような蓋板が開閉自在に設けられ、前記蓋板の開放時において、蓋板と前記排気口との間に形成される排気路が前記被処理物を上下から挟むように形成されていることを特徴とする真空処理槽。
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Cited By (2)
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KR101034505B1 (ko) | 2008-11-27 | 2011-05-17 | 세메스 주식회사 | 가스 공급 장치 및 이를 구비하는 기판 처리 장치 |
CN103311152A (zh) * | 2012-03-08 | 2013-09-18 | 东京毅力科创株式会社 | 处理室内零件的冷却方法 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002287134A patent/JP2004128046A/ja active Pending
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