JP2004127902A - 筒形ヒューズ及びその組立方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を低減させて構成を簡素化すると共に組立作業効率を向上させることができる筒形ヒューズを提供する。
【解決手段】キャップ電極14を塑性変形させる(かしめる)ことにより絶縁筒12に固定するようにした。このため、例えばキャップ電極14と絶縁筒12との固定を複数のピンにより行うようにした場合と異なり、部品点数が低減すると共に筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、両キャップ電極14,14毎に複数のピンを打ち込む作業が不要となり、組立作業効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】キャップ電極14を塑性変形させる(かしめる)ことにより絶縁筒12に固定するようにした。このため、例えばキャップ電極14と絶縁筒12との固定を複数のピンにより行うようにした場合と異なり、部品点数が低減すると共に筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、両キャップ電極14,14毎に複数のピンを打ち込む作業が不要となり、組立作業効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒形ヒューズ及びその組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の筒形ヒューズとしては例えば次のような構成が知られている。即ち、この筒形ヒューズは両端が開口した絶縁筒、当該絶縁筒内に収容された可溶体(ヒューズエレメント)、同じく消弧剤、及び当該絶縁筒の両端にそれぞれ嵌挿された刃形端子を備えている。この刃形端子は銅又は銅合金等の熱伝導が良好な金属の丸棒の両側を削ることにより一体形成されており、絶縁筒に嵌挿される円板部と端子部とを備えている。
【0003】
円板部の内端面には複数の条溝が互いに平行をなすように形成されている。前記可溶体の両端はそれぞれ両刃形端子の条溝に嵌入され、この嵌入部に半田が流し込まれることにより可溶体は刃形端子に接合されている。そして、両円板部の外周にそれぞれ接着剤を塗布した状態で刃形端子及び可溶体は絶縁筒内に挿入されると共に、当該絶縁筒の外側から複数の固定栓(ピン)が打ち込まれることにより、刃形端子は絶縁筒に対して固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ヒューズ筒の両端開口をそれぞれ2分割された端板により閉塞し、一対の端板間に板ヒューズを介在させるようにした可溶器(ヒューズ)もある。この可溶器を組み立てる際には、まず2分割された一対の端板のうち一方の端板をヒューズ筒の両端にそれぞれ固定し、一方の端板間に板ヒューズを点溶着する。次に、ヒューズ筒の一端に2分割された端板のうち他方の端板を固定し、ヒューズ筒の他端側の半開口部から消弧砂を充填する。この後、ヒューズ筒の他端側に残りの他方の端板を固定してヒューズ筒の他端側の半開口部を閉塞する。これで、可溶器の組立作業が完了となる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭43−12169号公報
【特許文献2】
特公昭48−27143号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に記載の筒形ヒューズにおいては、刃形端子と絶縁筒との固定を複数のピンにより行うピン止め構造が採用されていた。このため、部品点数が増大して構成が複雑になるという問題があった。また、両刃形電極毎に複数のピンの打ち込み作業が必要となり、組立作業効率低減の一因となっていた。
【0007】
一方、特許文献2に記載の可溶器においては端板を2分割し、この2つの分割体をそれぞれヒューズ筒の両端にネジ止め固定する必要があった。このため、部品点数が増大すると共に構成が複雑になり、ひいては可溶器の組立作業効率の低下を招いていた。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数を低減させて構成を簡素化すると共に組立作業効率を向上させることができる筒形ヒューズ及びその組立方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、絶縁筒の両端部にそれぞれ電極を固定するようにした筒形ヒューズにおいて、電極を塑性変形させることにより絶縁筒に固定するようにしたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の筒形ヒューズにおいて、前記電極には端子を設けると共に当該端子の近傍にはヒューズエレメントを挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させたヒューズエレメントの端部を前記端子又は電極に対して通電可能に固定するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の筒形ヒューズにおいて、前記絶縁筒内に収容されたヒューズエレメントの両端部にはそれぞれ端子が固定されており、前記端子を内側において開放する二重壁構造として当該端子によりヒューズエレメントの端部を挟着するようにし、前記電極の外端面には端子を挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させた前記端子を電極に対して通電可能に固定するようにしたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、ヒューズエレメントの一端が予め固定された一方の電極を絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、この後、他方の電極を絶縁筒の他端に他方の電極を塑性変形させることにより固定すると共に他方の電極に対してヒューズエレメントの他端を固定する工程とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された一対の端子のうち一方の端子を前記一方の電極の外端面に形成された挿通孔に内側から挿通して当該一方の端子を前記一方の電極に固定する工程と、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、他方の電極の外端面に形成された挿通孔にヒューズエレメントの他端側に固定された他方の端子を挿通し他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の電極を絶縁筒の他端に固定する工程と、他方の電極に前記他方の端子を固定する工程とを備えたことを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、電極を塑性変形させることにより当該電極は絶縁筒に固定される。このため、電極を絶縁筒に固定するための部品が不要となり、当該部品の組み付け作業も不要となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、ヒューズエレメントは電極の挿通孔に内側から挿通される。そして、電極の外側に突出したヒューズエレメントの端部は電極又は端子に通電可能に固定される。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、端子にはヒューズエレメントの端部が挟着される。ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された端子は電極の挿通孔に内側から挿通され、電極の外端面から突出した状態で前記電極に対して通電可能に固定される。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、筒形ヒューズの組立作業時には、まず、ヒューズエレメントの一端が予め固定された一方の電極を塑性変形させることにより当該一方の電極が絶縁筒の一端に固定される。次に、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤が絶縁筒の他端側から充填される。この後、他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の電極が絶縁筒の他端に固定されると共に他方の電極に対してヒューズエレメントの他端が固定される。このため、電極を絶縁筒に固定するための部品が不要となり、当該部品の組み付け作業も不要となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、筒形ヒューズの組立作業時には、まず、一方の電極を塑性変形させることにより当該一方の電極が絶縁筒の一端に固定される。次に、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された一対の端子のうち一方の端子が前記一方の電極の外端面に形成された挿通孔に内側から挿通され、当該一方の端子が前記一方の電極に固定される。そして、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤が絶縁筒の他端側から充填される。次に、他方の電極の外端面に形成された挿通孔にヒューズエレメントの他端側に固定された他方の端子が挿通され、他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の端子が絶縁筒の他端に固定される。この後、他方の電極に前記他方の端子が固定される。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を例えば低圧幹線電路を保護するために使用される筒形ヒューズに具体化した一実施形態を図1〜図3(a),(b)に従って説明する。
【0020】
図1に示すように、筒形ヒューズ11は、絶縁性を有する合成樹脂材料により両端開口の円筒状に形成された絶縁筒12、同絶縁筒12内の中心付近に配設されたヒューズエレメント13、及び絶縁筒12の両端部にそれぞれ被冠された一対の有底円筒状のキャップ電極14, 14を備えている。絶縁筒12内には石英砂を主成分とする消弧砂15が充填されている。
【0021】
(絶縁筒)
絶縁筒12は強化材(基材)に低圧成形用樹脂を含浸させた強化プラスチックスにより両端が開口した円筒状に形成されている。本実施形態では、強化材としては例えばガラスロービング(ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたもの)が使用されており、低圧成形用樹脂としては例えばエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂と消弧材とを混合した樹脂が使用されている。絶縁筒12の両端側の外周面にはそれぞれ円環状の係合溝12aが形成されている。
【0022】
(ヒューズエレメント)
ヒューズエレメント13は例えば図3(a)に示す銀プレートタイプのヒューズエレメント13a又は図3(b)に示すプレート基板タイプのヒューズエレメント13bが使用される。いずれのヒューズエレメントを使用するかは筒形ヒューズ11の使用目的に応じて決定される。尚、図2ではヒューズエレメント13aを使用する場合を示す。
【0023】
図3(a)に示すように、銀プレートタイプのヒューズエレメント13aは銀により板状に形成されており、ヒューズエレメント本体16及び当該ヒューズエレメント本体16の両端部にそれぞれ形成された幅狭部17を備えている。両幅狭部17,17はそれぞれヒューズエレメント本体16よりも若干幅狭とされている。
【0024】
ヒューズエレメント本体16と両幅狭部17,17との境界付近において、ヒューズエレメント13aの両長側縁にはそれぞれ平面視円弧状の段部18,18が形成されている。また、ヒューズエレメント本体16の両長側縁における中央部には、それぞれ切欠19が形成されている。さらに、ヒューズエレメント本体16にはほぼ全面に亘って複数の透孔20が千鳥状に配置形成されている。
【0025】
図3(b)に示すように、プレート基板タイプのヒューズエレメント13bは亜鉛合金等のヒューズ用金属により板状に形成されており、ヒューズエレメント本体21及び当該ヒューズエレメント本体21の両端部にそれぞれ形成された幅狭部22を備えている。両幅狭部22,22はそれぞれヒューズエレメント本体21よりも若干幅狭とされている。ヒューズエレメント本体21の両端部と両幅狭部22,22との境界付近において、ヒューズエレメント13bの両長側縁にはそれぞれ平面視円弧状の段部23,23が形成されている。
【0026】
(キャップ電極)
図1及び図2に示すように、キャップ電極14は銅等の導電性を有する金属材料により有底円筒状に形成されている。図2に示すように、キャップ電極14の開口部端縁には複数のスリット14aが当該キャップ電極14の中心軸周方向において所定間隔毎に形成されている。これにより、キャップ電極14を絶縁筒12に装着する際においてキャップ電極14の開口端縁が自身の有する弾性力に抗して拡開可能となり、当該キャップ電極14の絶縁筒12への円滑な取付けが可能となる。また、キャップ電極14の底壁中央付近にはヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの両端部(幅狭部17及び幅狭部22)を挿通可能とした挿通孔14bが形成されている。
【0027】
さらに、キャップ電極14の底面(外端面)には端子24が溶着されることにより固定されている。この端子24は銅等の導電性を有する金属材料により断面L字状に形成されており、キャップ電極14底面に固定される固定部24a及び当該固定部24aに対して直角をなす端子部24bを備えている。端子部24bには外部回路接続用の連結孔24cが形成されている。端子24の肉厚や幅などは外部回路(図示略)への通電容量に基づいて決定される。
【0028】
キャップ電極14の挿通孔14bにはヒューズエレメント13aの幅狭部17又はヒューズエレメント13bの幅狭部22が内側から挿通されている。この幅狭部17又は幅狭部22におけるキャップ電極14底面(図1における左側側面又は右側側面)からの突出端部は固定部24aとは反対側(図1における上側)に折り曲げられ、その周囲(四辺)において半田により溶着されている。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bはキャップ電極14に対して導通可能に固定されている。
【0029】
(動作)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズ11の動作を説明する。
例えば回路短絡事故時、ヒューズエレメント13(ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13b)に規定値を越える電流が流れると、当該ヒューズエレメント13が溶断し、これにより過電流保護が行われる。
【0030】
尚、銀プレートタイプのヒューズエレメント13aを使用した場合には、当該ヒューズエレメント13aの溶断時におけるダメージが分散する。これは、ヒューズエレメント13aにおける各透孔20の内径は全て同じになっており、このため、ヒューズエレメント13aの全体にかかる電圧は透孔20の数と同数に均等に分圧されるからである(オームの法則)。
【0031】
また、切欠19によりヒューズエレメント13a中央部の断面積は他の部分の断面積よりもさらに小さくなっている。このため、ヒューズエレメント13aに事故電流が流れたとき、当該ヒューズエレメント13a中央部への熱集中が著しくなる。この結果、切欠19を形成しないようにした場合と異なり、ヒューズエレメント13aの速断性が確保される。
【0032】
(組立方法)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズの組立方法について説明する。本実施形態において、筒形ヒューズ11の組立作業は次の第1〜第5工程からなる。以下、各工程について順番に説明する。
【0033】
(第1工程)
まず、筒形ヒューズ11の組立作業における第1工程について説明する。この第1工程では、一方のキャップ電極14にヒューズエレメント13の一端を固定する。
【0034】
即ち、一方のキャップ電極14の挿通孔14bにヒューズエレメント13aの一方の幅狭部17又はヒューズエレメント13bの一方の幅狭部22を内側から挿通する。このとき、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの外側への移動は、一方の段部18又は段部23が一方のキャップ電極14の内底面に係合することにより規制される。この状態で、一方の幅狭部17又は幅狭部22をキャップ電極14底面からの突出基端部を支点として端子24の固定部24aと反対側(図1及び図2における上側)に折り曲げる。
【0035】
そして、幅狭部17又は幅狭部22の一方の面を一方のキャップ電極14の底面に密接させた状態で、幅狭部17又は幅狭部22の周囲(四辺)を半田により溶着する。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの一端は一方のキャップ電極14に対して通電可能に固定される。このとき、一方のキャップ電極14の挿通孔14bと一方の幅狭部17又は幅狭部22との間に形成される隙間は、半田により閉塞される。
【0036】
(第2工程)
次に、第2工程について説明する。この第2工程では、前記第1工程において予めヒューズエレメント13の一端が固定された一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に取り付ける。
【0037】
即ち、絶縁筒12の一端開口部を介してヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bを絶縁筒12内に挿通すると共に、一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に被冠させる。そして、一方のキャップ電極14の内底面に一方の段部18又は一方の段部23及び絶縁筒12の一端面が当接するように保持する。
【0038】
このとき、一方のキャップ電極14の開口端縁は絶縁筒12の一方の係合溝12aに対応しており、この状態で一方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へかしめ治具( 図示略) によりかしめる。換言すれば、一方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へ塑性変形させる。内側へ変形した一方のキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することにより、一方のキャップ電極14の内方及び外方への移動(絶縁筒12の中心軸に沿う方向への移動)が規制され、一方のキャップ電極14は絶縁筒12の一端に固定される。
【0039】
(第3工程)
次に、第3工程について説明する。この第3工程では、位置決め治具( 図示略) を使用してヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bを絶縁筒12内の中央付近に保持する。そして、この状態で絶縁筒12の他方の開口部を介して消弧砂15を絶縁筒12に充填する。
【0040】
(第4工程)
次に、第4工程について説明する。この第4工程では、絶縁筒12の他端に他方のキャップ電極14を取り付ける。
【0041】
即ち、他方のキャップ電極14の挿通孔14bに他方の幅狭部17又は幅狭部22を内側から挿通する。そして、他方のキャップ電極14の内底面に他方の段部18又は段部23及び絶縁筒12の他端面が当接するように保持する。このとき、他方のキャップ電極14の開口端縁は絶縁筒12の他方の係合溝12aに対応しており、この状態で他方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へかしめ治具( 図示略) によりかしめる。換言すれば、他方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へ塑性変形させる。
【0042】
内側へ変形した他方のキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することにより、他方のキャップ電極14の内方及び外方への移動(絶縁筒12の中心軸に沿う方向への移動)が規制され、他方のキャップ電極14は絶縁筒12の他端に固定される。また、他方の幅狭部17又は幅狭部22は他方のキャップ電極14の底面(外端面)から突出した状態に保持されている。
【0043】
(第5工程)
次に、第5工程について説明する。この第5工程では、他方の幅狭部17又は幅狭部22を他方のキャップ電極14底面からの突出基端部を支点として端子24の固定部24aとは反対側(図1及び図2における上側)に折り曲げる。そして、他方の幅狭部17又は幅狭部22の一方の面を他方のキャップ電極14の底面(外端面)に密接させた状態で、他方の幅狭部17又は幅狭部22の周囲(四辺)を半田により溶着する。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの他端は他方のキャップ電極14に対して通電可能に固定される。このとき、他方のキャップ電極14の挿通孔14bと他方の幅狭部17又は幅狭部22との間に形成される隙間は、半田により閉塞される。
【0044】
以上で、筒形ヒューズ11の組立作業が完了となる。
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0045】
(1)キャップ電極14を塑性変形させる(かしめる)ことにより絶縁筒12に固定するようにした。このため、例えばキャップ電極14と絶縁筒12との固定を複数のピンにより行うようにした場合と異なり、部品点数が低減すると共に筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、両キャップ電極14,14毎に複数のピンを打ち込む作業が不要となり、組立作業効率を向上させることができる。
【0046】
(2)キャップ電極14と端子24とを別部材とした。そして、キャップ電極14の底面(外端面)に対して、端子24を固定するようにした。このため、端子24を例えば金属柱の削り出しにより形成するようにした場合と異なり、製造コストを低減させることができる。
【0047】
(3)筒形ヒューズ11の組立作業において、まずヒューズエレメント13の一端が予め固定された一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に固定するようにした。そして、ヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15を絶縁筒12の他端側から充填するようにした。この後、絶縁筒12の他端に他方のキャップ電極14を固定すると共に他方のキャップ電極14に対してヒューズエレメント13の他端を固定するようにした。
【0048】
このため、例えばキャップ電極14に消弧砂充填用の小孔などを設ける必要がない。ひいては、消弧砂15の充填作業終了後、この消弧砂充填用の小孔を閉塞する作業も不要となる。このため、筒形ヒューズ11の組立作業効率を、より向上させることができる。また、消弧砂15を絶縁筒12の他端側(非キャップ電極14装着側)の開口部を利用して充填するようにしたことにより、消弧砂充填用の小孔から消弧砂15を充填する場合に比べて、消弧砂15の充填作業効率を向上させることができる。ひいては、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0049】
(4)両キャップ電極14,14により絶縁筒12の両端開口部をそれぞれ覆うようにした。このため、例えばキャップ電極14を絶縁筒12の両端開口部内に挿入固定するようにした場合と異なり、絶縁筒12の内周面とキャップ電極14の外周面との隙間から当該絶縁筒12内への異物の進入を防止できる。また、電極(端子)の絶縁筒12に対する位置決めが容易になる。
【0050】
(5)キャップ電極14には端子24を設けると共に当該端子24の近傍にはヒューズエレメント13を挿通可能とした挿通孔14bを形成し、当該挿通孔14bを内側から通して突出させたヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の底面(外端面)に対して通電可能に固定(半田付け)するようにした。即ち、ヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の底面側で固定するようにした。このため、ヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の内面側で固定するようにした場合と異なり、半田付け作業が簡単である。ひいては、筒形ヒューズ11の組立効率を向上させることができる。
【0051】
(6)絶縁筒12の両端外面にはそれぞれ係合溝12aを形成し、キャップ電極14をかしめたとき、内側に塑性変形したキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することによりキャップ電極14は絶縁筒12の端部に固定されるようにした。このため、係合溝12aを形成しないようにした場合と異なり、キャップ電極14を簡単に塑性変形させると共に、キャップ電極14をより確実に絶縁筒12の端部に固定することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、キャップ電極14及び端子24の構成の点で前記第1実施形態と主に異なる。従って、前記第1実施形態と同一の部材構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図4(a)に示すように、ヒューズエレメント13(ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13b)の両端にはそれぞれ端子部材31,31が固定されている。端子部材31は銅等の導電性を有する金属材料からなる1枚の板材が折り曲げられることにより形成されており、当該端子部材31はその内側(絶縁筒12への装着側)において開放された二重壁構造をなしている。
【0054】
即ち、図4(a)及び図5に示すように、端子部材31は互いに対向する一対の挟持壁31a,31a、及び両挟持壁31a,31aに対してそれぞれ直角をなす当接壁31b,31bを備えている。両挟持壁31a,31aはそれらの一端側において相互に連結されており、同じく他端側には両当接壁31b,31bがそれぞれ連結されている。両挟持壁31a,31aにはそれぞれ外部回路接続用の連結孔31cが形成されている。
【0055】
両挟持壁31a,31aによりヒューズエレメント13の端部が挟着されることにより、端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定されている。ヒューズエレメント13の両端部にはそれぞれ外部回路接続用の連結孔hが形成されており、この連結孔hが両連結孔31c,31cにそれぞれ合致するように端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定されている。
【0056】
有底円筒状のキャップ電極32の底壁中央には端子部材31(厳密には、ヒューズエレメント13の端部を挟持した両挟持壁31a,31a)を挿通可能とした挿通孔32aが形成されており、この挿通孔32aには両挟持壁31a,31aが内側から挿通されている。両当接壁31b,31bの外面はそれぞれキャップ電極32の内面(内底面)に接触しており、これにより端子部材31及びヒューズエレメント13の挿通孔32aからの外方向への抜け止めが図られる。
【0057】
両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面(外端面)からの突出部分における両側部間は半田により溶着されている(図4(b)に示す半田付け部S1参照)。また、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面からの突出部分における基端部、換言すれば挿通孔32aとの境界部分における周囲(四辺)とキャップ電極32とは半田により溶着されている(図4(a)に示す半田付け部S2参照)。これにより、端子部材31及びヒューズエレメント13はキャップ電極32に対して導通可能に固定されている。
【0058】
図4(a)に示すように、筒形ヒューズ11の外周面を覆うように感熱紙33が巻かれており、当該感熱紙33は接着剤等により筒形ヒューズ11の外周面に貼り付けられている。この感熱紙33には製品の形式、定格使用及び製造者等が表示されており、製品表示ラベル及び製造者ラベルとしても機能する。感熱紙33は例えば回路短絡事故に起因してヒューズエレメント13が溶断したとき、及び何らかの原因で筒形ヒューズ11の表面が高温となったときに変色する。保全者は感熱紙33の感熱痕跡の有無を確認することにより筒形ヒューズ11の劣化予知が可能となる。点検時、感熱紙33が変色していた場合には筒形ヒューズ11は新品に交換される。感熱紙33は筒形ヒューズ11の劣化を表示する劣化表示手段を構成する。
【0059】
尚、本実施形態において、端子部材31の両挟持壁31a,31aはヒューズエレメント13の端部を挟持する挟持部を構成し、同じく両当接壁31b,31bはキャップ電極32の内底面に当接する当接部を構成する。
【0060】
(組立方法)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズの組立方法について説明する。
(第1工程)
まず、筒形ヒューズ11の組立作業における第1工程について説明する。この第1工程では、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ端子部材31を固定する。即ち、端子部材31の両挟持壁31a,31a間にヒューズエレメント13の幅狭部17を挟入する。このとき、ヒューズエレメント13の連結孔hと端子部材31の両連結孔31c,31cとをそれぞれ合致させる。この状態で、かしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)により両挟持壁31a,31aをそれらの外側から挟み込み、両挟持壁31a,31aを互いに近接する方向にかしめる(塑性変形させる)。両挟持壁31a,31aによりヒューズエレメント13の端部を挟着することにより、端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定される。尚、端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業は後述する第2工程と第3工程との間に行うようにしてもよい。
【0061】
(第2工程)
第2工程では、絶縁筒12の一端に一方のキャップ電極32を被冠し、この状態でかしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)を使用して当該一方のキャップ電極32を塑性変形させることにより絶縁筒12の他端に固定する。具体的には、一方のキャップ電極32の外周面の一部又は全部を絶縁筒12側にかしめる。
【0062】
(第3工程)
次に、第3工程では、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ固定された両端子部材31,31のうち一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32の挿通孔32aに内側から挿通し、当該一方の端子部材31を一方のキャップ電極32に固定する。
【0063】
具体的には、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面(外端面)からの突出部分における両側部間、即ち図4(b)にクロスハッチングで示す半田付け部S1の領域を半田により溶着する。また、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面からの突出部分における基端部の周囲(四辺)とキャップ電極32との間、即ち図4(a)にクロスハッチングで示す半田付け部S2の領域を半田により溶着する。これにより、端子部材31及びヒューズエレメント13はキャップ電極32に対して導通可能に固定される。
【0064】
(第4工程)
次に、第4工程では、位置決め治具( 図示略) を使用してヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15(消弧材)を絶縁筒12の他端側(他端開口部)から充填する。
【0065】
(第5工程)
次に、第5工程では、他方のキャップ電極32の挿通孔32aにヒューズエレメント13の他端側に固定された端子部材31を挿通し、かしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)を使用して当該他方のキャップ電極32を塑性変形させることにより絶縁筒12の他端に固定する。
【0066】
(第6工程)
次に、第6工程では、ヒューズエレメント13の他端側に固定された端子部材31を他方のキャップ電極32に前記第3工程と同様にして固定する。
【0067】
以上で、筒形ヒューズ11の組立作業が完了となる。
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(5)番目の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)筒形ヒューズ11の組立作業において、まず絶縁筒12の一端に一方のキャップ電極32を塑性変形させることにより固定するようにした。そして、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ固定された一対の端子部材31のうち一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32の外端面に形成された挿通孔32aに内側から挿通して当該一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32に固定するようにした。この後、ヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15を絶縁筒12の他端側から充填するようにした。このため、例えばキャップ電極14に消弧砂充填用の小孔を設け、この小孔から消弧砂15を充填するようにした場合と異なり、消弧砂15を絶縁筒12内へ均等に入れることができる。
【0069】
(2)また、キャップ電極32を絶縁筒12に対してネジやピンにより固定するようにした場合に比べて、部品点数を低減させ、ひいては筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、絶縁筒12の開口端縁に例えばキャップ電極32の固定用のネジ孔やピン孔を形成する必要もないので、絶縁筒12の構成、ひいては筒形ヒューズ11の構成をいっそう簡単にすることができる。
【0070】
(3)筒形ヒューズ11の外周全体に感熱紙33を巻くようにした。このため、感熱紙33の変色(感熱痕跡)の有無を確認することにより筒形ヒューズ11の劣化予知が可能となる。
【0071】
(4)また、感熱紙33には製品の形式、定格使用及び製造者等を表示するようにした。感熱紙33が製品表示ラベル及び製造者ラベルを兼用することにより、両ラベルを別途筒形ヒューズ11に貼り付ける必要がない。このため、筒形ヒューズ11の部品点数の低減に寄与する。
【0072】
(5)ヒューズエレメント13の両端部をそれぞれ端子部材31の両挟持壁31a,31aにより挟着するようにした。このため、端子部材31のヒューズエレメント13に対するかしめ作業を例えば自動かしめ装置(図示略)により行うようにすれば端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業を自動化することができる。従って、端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業効率、ひいては筒形ヒューズ11の組立作業効率をいっそう向上させることができる。
【0073】
(6)端子部材31には一対の当接壁31b,31bを設け、筒形ヒューズ11の組立状態において両当接壁31b,31bの外面とキャップ電極32の内底面とが当接可能となるように構成した。このため、端子部材31の絶縁筒12からの抜け止めが図られる。また、第3工程において、両端に端子部材31が固定されたヒューズエレメント13の一端をキャップ電極32の挿通孔32aに挿通する際の位置決めを容易に行うことが出来る。キャップ電極32の当接壁31bがキャップ電極32の内底面に当接する位置までヒューズエレメント13を挿入するだけである。
【0074】
(7)一枚の板材を折り曲げることにより端子部材31を形成するようにした。このため、端子部材31を例えば複数の部材から構成するようにした場合と異なり、部品点数を低減させることができる。また、端子部材31の構造を簡単にすることができる。さらに、例えば金属塊を削り出すことにより端子部材31及びキャップ電極32を一体形成するようにした場合と異なり、端子部材31及びキャップ電極32の製造をそれぞれ簡単にすることができる。また、端子部材31及びキャップ電極32の製造コストをそれぞれ低減させることができる。一般に、削り出し加工は折曲加工に比べて加工コストが高くなるからである。
【0075】
(別例)
尚、前記両実施形態は以下のような別例に変更して実施してもよい。
・第1実施形態では、幅狭部17,22の突出端部を固定部24aとは反対側に折り曲げて、当該突出端部の周囲を半田により溶着するようにしたが、当該突出端部を折り曲げることなく、そのまま周囲(四辺)を端子部24bに半田により溶着するようにしてもよい。このようにしても、ヒューズエレメント13をキャップ電極14に対して導通可能に固定する事ができる。また、幅狭部17,22のキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げる作業が不要となり、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0076】
・第1実施形態では、キャップ電極14の開口部端縁に複数のスリット14aを設け、キャップ電極14を絶縁筒12に装着する際にはキャップ電極14の開端縁を自身の有する弾性力に抗して拡開させるようにしたが、スリット14aを省略するようにしてもよい。この場合、第2実施形態と同様に、かしめ工具又は自動かしめ装置を使用してキャップ電極14を絶縁筒12の端部に固定するようにしてもよい。このようにしても、キャップ電極14を絶縁筒12の端部に固定することができる。また、スリット14aを省略したことにより、キャップ電極14の構成を簡単にすることができる。
【0077】
・第2実施形態では、ヒューズエレメント13の両端部にそれぞれ連結孔hを予め形成し、この連結孔hと端子部材31に予め形成された両連結孔31c,31cとがそれぞれ合致するようにヒューズエレメント13を端子部材31の両挟持壁31a,31a間に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、両挟持壁31a,31a間にヒューズエレメント13の両端部をそれぞれ固定した後に、各連結孔31c,31c,hを加工するようにしてもよい。この場合、例えばボール盤により各各連結孔31c,31c,hを一括して形成する。このようにすれば、連結孔hと両連結孔31c,31cとをそれぞれ合致させる位置決め作業を省略することができる。従って、手間のかかる位置決め作業が省略されることにより、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0078】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32の開口部周縁の全周に亘ってかしめるようにしたが、当該開口部周縁の複数箇所においてスポット的又は部分的にかしめるようにしてもよい。このようにしても、キャップ電極14,32の絶縁筒12に対する固定構造を例えばピン止め構造とした場合と異なり、部品点数を低減させると共に、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0079】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32をかしめることにより当該キャップ電極14,32を絶縁筒12の両端部に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、キャップ電極14,32の開口端縁の全周に亘って又は一部において複数の係合突部(図示略)を形成し、この係合突部を絶縁筒12の係合溝12aに係合させることにより、キャップ電極14,32を絶縁筒12の端部に固定する。この係合状態はキャップ電極14,32自身の有する弾性力により保持される。このようにすれば、本実施形態におけるかしめ作業も不要となり、筒形ヒューズ11の組立作業効率をいっそう簡単にすることができる。尚、第2実施形態においては、絶縁筒12の両端側の外周面にはそれぞれ円環状の係合溝12aを形成する。
【0080】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32をかしめることにより当該キャップ電極14,32を絶縁筒12の両端部に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、キャップ電極14,32の開口端縁に鉤状の食込み部を形成し、この食込み部を絶縁筒12の外面に食い込ませる。このようにすれば、第1実施形態においては、絶縁筒12の係合溝12aが不要になり、絶縁筒12の構成をより簡単にすることができる。第2実施形態においては、キャップ電極32,32を絶縁筒12の両端部に、いっそう確実に固定することができる。
【0081】
・第1実施形態では、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げた状態で当該突出端部をキャップ電極14底面に固定(即ち、半田により溶着)するようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げず、図1に二点鎖線で示すように、まっすぐ外方に延びた状態で端子24に固定(例えば、半田により溶着)するようにしてもよい。このようにすれば、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部の折曲作業を省略することができる。従って、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0082】
・第1実施形態では、キャップ電極14の底面に端子24を半田付けにより固定するようにした。そして、外部回路への所定の通電容量が確保できる程度に端子24の大きさ(幅,長さ等)を決定するようにしたが、次にようにしてもよい。例えば、キャップ電極14(特に、底壁など)の肉厚を所定の通電容量が確保できる程度に厚くして、端子24を省略するようにしてもよい。この場合、筒形ヒューズ11の取付け側の構造を当該筒形ヒューズ11が取付け可能となるように変更する。このようにすれば、キャップ電極14の底面に端子24を溶接する必要がない。従って、筒形ヒューズ11の部品点数を低減させると共に、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0083】
・第1実施形態において、挿通孔14bをヒューズエレメント13のヒューズエレメント本体16をも通過可能とする。このようにすれば、一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端にかしめ固定した後に、ヒューズエレメント13を絶縁筒12内に挿通し、取り付けることができる。この後、絶縁筒12内に消弧砂15を充填し、他方のキャップ電極14を絶縁筒12の他端に取り付ける。
【0084】
・第1及び第2実施形態では、絶縁筒12を両端が開口した円筒状に形成したが、例えば四角筒状、多角筒状(五角筒状,六角筒状,それ以上)、楕円筒状に形成するようにしてもよい。このようにしても、本実施形態における(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0085】
・第1及び第2実施形態では、絶縁筒12を絶縁性を有する合成樹脂材料により形成したが、碍子等の絶縁材料により形成するようにしてもよい。
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0086】
(イ)電極の開口端部を絶縁筒側へ塑性変形させることにより電極を絶縁筒の端部に固定するようにした請求項1又は請求項2に記載の筒形ヒューズ。
(ロ)絶縁筒の両端外面には係合溝を形成し、電極を塑性変形させたとき、この電極の一部が前記係合溝に係合することにより電極は絶縁筒の端部に固定されるようにした請求項1、請求項2及び前記(イ)項のうちいずれか一項に記載の筒形ヒューズ。
【0087】
(ハ)前記電極の底壁にヒューズエレメントの端部を挿通可能とした挿通孔を設け、当該挿通孔を通して内側から突出させたヒューズエレメントの突出部位を折り曲げて電極の底面に通電可能に固定するようにした請求項1に記載の筒形ヒューズ。
【0088】
(ニ)前記端子は一枚の板材が折り曲げられることにより形成されている請求項3に記載の筒形ヒューズ。
(ホ)前記絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程の前又は後に、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ端子を固定する工程を設けるようにした請求項5に記載の筒形ヒューズの組立方法。
【0089】
(ヘ)前記端子はその内側において開放する二重壁構造とし、当該端子にヒューズエレメントの端部を挟着するようにした前記(ホ)項に記載の筒形ヒューズの組立方法。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、部品点数を低減させて構成を簡素化すると共に組立作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における筒形ヒューズの正断面図。
【図2】第1実施形態における筒形ヒューズの分解斜視図。
【図3】(a)は、銀プレートタイプのヒューズエレメント、
(b)は、プレート基板タイプのヒューズエレメント。
【図4】(a)は、第2実施形態における筒形ヒューズの正断面図。
(b)は、第2実施形態における筒形ヒューズの要部正面図。
【図5】第2実施形態における筒形ヒューズの分解斜視図。
【符号の説明】
11…筒形ヒューズ、12…絶縁筒、13…ヒューズエレメント、
13a…銀プレートタイプのヒューズエレメント、
13b…プレート基板タイプのヒューズエレメント、
14,32…電極を構成するキャップ電極、14b,32a…挿通孔、
15…消弧剤を構成する消弧砂、24…電極を構成する端子、
31…端子を構成する端子部材、31a…二重壁構造を構成する挟持壁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒形ヒューズ及びその組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の筒形ヒューズとしては例えば次のような構成が知られている。即ち、この筒形ヒューズは両端が開口した絶縁筒、当該絶縁筒内に収容された可溶体(ヒューズエレメント)、同じく消弧剤、及び当該絶縁筒の両端にそれぞれ嵌挿された刃形端子を備えている。この刃形端子は銅又は銅合金等の熱伝導が良好な金属の丸棒の両側を削ることにより一体形成されており、絶縁筒に嵌挿される円板部と端子部とを備えている。
【0003】
円板部の内端面には複数の条溝が互いに平行をなすように形成されている。前記可溶体の両端はそれぞれ両刃形端子の条溝に嵌入され、この嵌入部に半田が流し込まれることにより可溶体は刃形端子に接合されている。そして、両円板部の外周にそれぞれ接着剤を塗布した状態で刃形端子及び可溶体は絶縁筒内に挿入されると共に、当該絶縁筒の外側から複数の固定栓(ピン)が打ち込まれることにより、刃形端子は絶縁筒に対して固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ヒューズ筒の両端開口をそれぞれ2分割された端板により閉塞し、一対の端板間に板ヒューズを介在させるようにした可溶器(ヒューズ)もある。この可溶器を組み立てる際には、まず2分割された一対の端板のうち一方の端板をヒューズ筒の両端にそれぞれ固定し、一方の端板間に板ヒューズを点溶着する。次に、ヒューズ筒の一端に2分割された端板のうち他方の端板を固定し、ヒューズ筒の他端側の半開口部から消弧砂を充填する。この後、ヒューズ筒の他端側に残りの他方の端板を固定してヒューズ筒の他端側の半開口部を閉塞する。これで、可溶器の組立作業が完了となる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭43−12169号公報
【特許文献2】
特公昭48−27143号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に記載の筒形ヒューズにおいては、刃形端子と絶縁筒との固定を複数のピンにより行うピン止め構造が採用されていた。このため、部品点数が増大して構成が複雑になるという問題があった。また、両刃形電極毎に複数のピンの打ち込み作業が必要となり、組立作業効率低減の一因となっていた。
【0007】
一方、特許文献2に記載の可溶器においては端板を2分割し、この2つの分割体をそれぞれヒューズ筒の両端にネジ止め固定する必要があった。このため、部品点数が増大すると共に構成が複雑になり、ひいては可溶器の組立作業効率の低下を招いていた。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数を低減させて構成を簡素化すると共に組立作業効率を向上させることができる筒形ヒューズ及びその組立方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、絶縁筒の両端部にそれぞれ電極を固定するようにした筒形ヒューズにおいて、電極を塑性変形させることにより絶縁筒に固定するようにしたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の筒形ヒューズにおいて、前記電極には端子を設けると共に当該端子の近傍にはヒューズエレメントを挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させたヒューズエレメントの端部を前記端子又は電極に対して通電可能に固定するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の筒形ヒューズにおいて、前記絶縁筒内に収容されたヒューズエレメントの両端部にはそれぞれ端子が固定されており、前記端子を内側において開放する二重壁構造として当該端子によりヒューズエレメントの端部を挟着するようにし、前記電極の外端面には端子を挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させた前記端子を電極に対して通電可能に固定するようにしたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、ヒューズエレメントの一端が予め固定された一方の電極を絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、この後、他方の電極を絶縁筒の他端に他方の電極を塑性変形させることにより固定すると共に他方の電極に対してヒューズエレメントの他端を固定する工程とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された一対の端子のうち一方の端子を前記一方の電極の外端面に形成された挿通孔に内側から挿通して当該一方の端子を前記一方の電極に固定する工程と、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、他方の電極の外端面に形成された挿通孔にヒューズエレメントの他端側に固定された他方の端子を挿通し他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の電極を絶縁筒の他端に固定する工程と、他方の電極に前記他方の端子を固定する工程とを備えたことを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、電極を塑性変形させることにより当該電極は絶縁筒に固定される。このため、電極を絶縁筒に固定するための部品が不要となり、当該部品の組み付け作業も不要となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、ヒューズエレメントは電極の挿通孔に内側から挿通される。そして、電極の外側に突出したヒューズエレメントの端部は電極又は端子に通電可能に固定される。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、端子にはヒューズエレメントの端部が挟着される。ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された端子は電極の挿通孔に内側から挿通され、電極の外端面から突出した状態で前記電極に対して通電可能に固定される。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、筒形ヒューズの組立作業時には、まず、ヒューズエレメントの一端が予め固定された一方の電極を塑性変形させることにより当該一方の電極が絶縁筒の一端に固定される。次に、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤が絶縁筒の他端側から充填される。この後、他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の電極が絶縁筒の他端に固定されると共に他方の電極に対してヒューズエレメントの他端が固定される。このため、電極を絶縁筒に固定するための部品が不要となり、当該部品の組み付け作業も不要となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、筒形ヒューズの組立作業時には、まず、一方の電極を塑性変形させることにより当該一方の電極が絶縁筒の一端に固定される。次に、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された一対の端子のうち一方の端子が前記一方の電極の外端面に形成された挿通孔に内側から挿通され、当該一方の端子が前記一方の電極に固定される。そして、ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤が絶縁筒の他端側から充填される。次に、他方の電極の外端面に形成された挿通孔にヒューズエレメントの他端側に固定された他方の端子が挿通され、他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の端子が絶縁筒の他端に固定される。この後、他方の電極に前記他方の端子が固定される。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を例えば低圧幹線電路を保護するために使用される筒形ヒューズに具体化した一実施形態を図1〜図3(a),(b)に従って説明する。
【0020】
図1に示すように、筒形ヒューズ11は、絶縁性を有する合成樹脂材料により両端開口の円筒状に形成された絶縁筒12、同絶縁筒12内の中心付近に配設されたヒューズエレメント13、及び絶縁筒12の両端部にそれぞれ被冠された一対の有底円筒状のキャップ電極14, 14を備えている。絶縁筒12内には石英砂を主成分とする消弧砂15が充填されている。
【0021】
(絶縁筒)
絶縁筒12は強化材(基材)に低圧成形用樹脂を含浸させた強化プラスチックスにより両端が開口した円筒状に形成されている。本実施形態では、強化材としては例えばガラスロービング(ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたもの)が使用されており、低圧成形用樹脂としては例えばエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂と消弧材とを混合した樹脂が使用されている。絶縁筒12の両端側の外周面にはそれぞれ円環状の係合溝12aが形成されている。
【0022】
(ヒューズエレメント)
ヒューズエレメント13は例えば図3(a)に示す銀プレートタイプのヒューズエレメント13a又は図3(b)に示すプレート基板タイプのヒューズエレメント13bが使用される。いずれのヒューズエレメントを使用するかは筒形ヒューズ11の使用目的に応じて決定される。尚、図2ではヒューズエレメント13aを使用する場合を示す。
【0023】
図3(a)に示すように、銀プレートタイプのヒューズエレメント13aは銀により板状に形成されており、ヒューズエレメント本体16及び当該ヒューズエレメント本体16の両端部にそれぞれ形成された幅狭部17を備えている。両幅狭部17,17はそれぞれヒューズエレメント本体16よりも若干幅狭とされている。
【0024】
ヒューズエレメント本体16と両幅狭部17,17との境界付近において、ヒューズエレメント13aの両長側縁にはそれぞれ平面視円弧状の段部18,18が形成されている。また、ヒューズエレメント本体16の両長側縁における中央部には、それぞれ切欠19が形成されている。さらに、ヒューズエレメント本体16にはほぼ全面に亘って複数の透孔20が千鳥状に配置形成されている。
【0025】
図3(b)に示すように、プレート基板タイプのヒューズエレメント13bは亜鉛合金等のヒューズ用金属により板状に形成されており、ヒューズエレメント本体21及び当該ヒューズエレメント本体21の両端部にそれぞれ形成された幅狭部22を備えている。両幅狭部22,22はそれぞれヒューズエレメント本体21よりも若干幅狭とされている。ヒューズエレメント本体21の両端部と両幅狭部22,22との境界付近において、ヒューズエレメント13bの両長側縁にはそれぞれ平面視円弧状の段部23,23が形成されている。
【0026】
(キャップ電極)
図1及び図2に示すように、キャップ電極14は銅等の導電性を有する金属材料により有底円筒状に形成されている。図2に示すように、キャップ電極14の開口部端縁には複数のスリット14aが当該キャップ電極14の中心軸周方向において所定間隔毎に形成されている。これにより、キャップ電極14を絶縁筒12に装着する際においてキャップ電極14の開口端縁が自身の有する弾性力に抗して拡開可能となり、当該キャップ電極14の絶縁筒12への円滑な取付けが可能となる。また、キャップ電極14の底壁中央付近にはヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの両端部(幅狭部17及び幅狭部22)を挿通可能とした挿通孔14bが形成されている。
【0027】
さらに、キャップ電極14の底面(外端面)には端子24が溶着されることにより固定されている。この端子24は銅等の導電性を有する金属材料により断面L字状に形成されており、キャップ電極14底面に固定される固定部24a及び当該固定部24aに対して直角をなす端子部24bを備えている。端子部24bには外部回路接続用の連結孔24cが形成されている。端子24の肉厚や幅などは外部回路(図示略)への通電容量に基づいて決定される。
【0028】
キャップ電極14の挿通孔14bにはヒューズエレメント13aの幅狭部17又はヒューズエレメント13bの幅狭部22が内側から挿通されている。この幅狭部17又は幅狭部22におけるキャップ電極14底面(図1における左側側面又は右側側面)からの突出端部は固定部24aとは反対側(図1における上側)に折り曲げられ、その周囲(四辺)において半田により溶着されている。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bはキャップ電極14に対して導通可能に固定されている。
【0029】
(動作)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズ11の動作を説明する。
例えば回路短絡事故時、ヒューズエレメント13(ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13b)に規定値を越える電流が流れると、当該ヒューズエレメント13が溶断し、これにより過電流保護が行われる。
【0030】
尚、銀プレートタイプのヒューズエレメント13aを使用した場合には、当該ヒューズエレメント13aの溶断時におけるダメージが分散する。これは、ヒューズエレメント13aにおける各透孔20の内径は全て同じになっており、このため、ヒューズエレメント13aの全体にかかる電圧は透孔20の数と同数に均等に分圧されるからである(オームの法則)。
【0031】
また、切欠19によりヒューズエレメント13a中央部の断面積は他の部分の断面積よりもさらに小さくなっている。このため、ヒューズエレメント13aに事故電流が流れたとき、当該ヒューズエレメント13a中央部への熱集中が著しくなる。この結果、切欠19を形成しないようにした場合と異なり、ヒューズエレメント13aの速断性が確保される。
【0032】
(組立方法)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズの組立方法について説明する。本実施形態において、筒形ヒューズ11の組立作業は次の第1〜第5工程からなる。以下、各工程について順番に説明する。
【0033】
(第1工程)
まず、筒形ヒューズ11の組立作業における第1工程について説明する。この第1工程では、一方のキャップ電極14にヒューズエレメント13の一端を固定する。
【0034】
即ち、一方のキャップ電極14の挿通孔14bにヒューズエレメント13aの一方の幅狭部17又はヒューズエレメント13bの一方の幅狭部22を内側から挿通する。このとき、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの外側への移動は、一方の段部18又は段部23が一方のキャップ電極14の内底面に係合することにより規制される。この状態で、一方の幅狭部17又は幅狭部22をキャップ電極14底面からの突出基端部を支点として端子24の固定部24aと反対側(図1及び図2における上側)に折り曲げる。
【0035】
そして、幅狭部17又は幅狭部22の一方の面を一方のキャップ電極14の底面に密接させた状態で、幅狭部17又は幅狭部22の周囲(四辺)を半田により溶着する。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの一端は一方のキャップ電極14に対して通電可能に固定される。このとき、一方のキャップ電極14の挿通孔14bと一方の幅狭部17又は幅狭部22との間に形成される隙間は、半田により閉塞される。
【0036】
(第2工程)
次に、第2工程について説明する。この第2工程では、前記第1工程において予めヒューズエレメント13の一端が固定された一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に取り付ける。
【0037】
即ち、絶縁筒12の一端開口部を介してヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bを絶縁筒12内に挿通すると共に、一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に被冠させる。そして、一方のキャップ電極14の内底面に一方の段部18又は一方の段部23及び絶縁筒12の一端面が当接するように保持する。
【0038】
このとき、一方のキャップ電極14の開口端縁は絶縁筒12の一方の係合溝12aに対応しており、この状態で一方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へかしめ治具( 図示略) によりかしめる。換言すれば、一方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へ塑性変形させる。内側へ変形した一方のキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することにより、一方のキャップ電極14の内方及び外方への移動(絶縁筒12の中心軸に沿う方向への移動)が規制され、一方のキャップ電極14は絶縁筒12の一端に固定される。
【0039】
(第3工程)
次に、第3工程について説明する。この第3工程では、位置決め治具( 図示略) を使用してヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bを絶縁筒12内の中央付近に保持する。そして、この状態で絶縁筒12の他方の開口部を介して消弧砂15を絶縁筒12に充填する。
【0040】
(第4工程)
次に、第4工程について説明する。この第4工程では、絶縁筒12の他端に他方のキャップ電極14を取り付ける。
【0041】
即ち、他方のキャップ電極14の挿通孔14bに他方の幅狭部17又は幅狭部22を内側から挿通する。そして、他方のキャップ電極14の内底面に他方の段部18又は段部23及び絶縁筒12の他端面が当接するように保持する。このとき、他方のキャップ電極14の開口端縁は絶縁筒12の他方の係合溝12aに対応しており、この状態で他方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へかしめ治具( 図示略) によりかしめる。換言すれば、他方のキャップ電極14の開口端縁を絶縁筒12側へ塑性変形させる。
【0042】
内側へ変形した他方のキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することにより、他方のキャップ電極14の内方及び外方への移動(絶縁筒12の中心軸に沿う方向への移動)が規制され、他方のキャップ電極14は絶縁筒12の他端に固定される。また、他方の幅狭部17又は幅狭部22は他方のキャップ電極14の底面(外端面)から突出した状態に保持されている。
【0043】
(第5工程)
次に、第5工程について説明する。この第5工程では、他方の幅狭部17又は幅狭部22を他方のキャップ電極14底面からの突出基端部を支点として端子24の固定部24aとは反対側(図1及び図2における上側)に折り曲げる。そして、他方の幅狭部17又は幅狭部22の一方の面を他方のキャップ電極14の底面(外端面)に密接させた状態で、他方の幅狭部17又は幅狭部22の周囲(四辺)を半田により溶着する。これにより、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bの他端は他方のキャップ電極14に対して通電可能に固定される。このとき、他方のキャップ電極14の挿通孔14bと他方の幅狭部17又は幅狭部22との間に形成される隙間は、半田により閉塞される。
【0044】
以上で、筒形ヒューズ11の組立作業が完了となる。
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0045】
(1)キャップ電極14を塑性変形させる(かしめる)ことにより絶縁筒12に固定するようにした。このため、例えばキャップ電極14と絶縁筒12との固定を複数のピンにより行うようにした場合と異なり、部品点数が低減すると共に筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、両キャップ電極14,14毎に複数のピンを打ち込む作業が不要となり、組立作業効率を向上させることができる。
【0046】
(2)キャップ電極14と端子24とを別部材とした。そして、キャップ電極14の底面(外端面)に対して、端子24を固定するようにした。このため、端子24を例えば金属柱の削り出しにより形成するようにした場合と異なり、製造コストを低減させることができる。
【0047】
(3)筒形ヒューズ11の組立作業において、まずヒューズエレメント13の一端が予め固定された一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端に固定するようにした。そして、ヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15を絶縁筒12の他端側から充填するようにした。この後、絶縁筒12の他端に他方のキャップ電極14を固定すると共に他方のキャップ電極14に対してヒューズエレメント13の他端を固定するようにした。
【0048】
このため、例えばキャップ電極14に消弧砂充填用の小孔などを設ける必要がない。ひいては、消弧砂15の充填作業終了後、この消弧砂充填用の小孔を閉塞する作業も不要となる。このため、筒形ヒューズ11の組立作業効率を、より向上させることができる。また、消弧砂15を絶縁筒12の他端側(非キャップ電極14装着側)の開口部を利用して充填するようにしたことにより、消弧砂充填用の小孔から消弧砂15を充填する場合に比べて、消弧砂15の充填作業効率を向上させることができる。ひいては、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0049】
(4)両キャップ電極14,14により絶縁筒12の両端開口部をそれぞれ覆うようにした。このため、例えばキャップ電極14を絶縁筒12の両端開口部内に挿入固定するようにした場合と異なり、絶縁筒12の内周面とキャップ電極14の外周面との隙間から当該絶縁筒12内への異物の進入を防止できる。また、電極(端子)の絶縁筒12に対する位置決めが容易になる。
【0050】
(5)キャップ電極14には端子24を設けると共に当該端子24の近傍にはヒューズエレメント13を挿通可能とした挿通孔14bを形成し、当該挿通孔14bを内側から通して突出させたヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の底面(外端面)に対して通電可能に固定(半田付け)するようにした。即ち、ヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の底面側で固定するようにした。このため、ヒューズエレメント13の端部をキャップ電極14の内面側で固定するようにした場合と異なり、半田付け作業が簡単である。ひいては、筒形ヒューズ11の組立効率を向上させることができる。
【0051】
(6)絶縁筒12の両端外面にはそれぞれ係合溝12aを形成し、キャップ電極14をかしめたとき、内側に塑性変形したキャップ電極14の開口端縁が係合溝12aに係合することによりキャップ電極14は絶縁筒12の端部に固定されるようにした。このため、係合溝12aを形成しないようにした場合と異なり、キャップ電極14を簡単に塑性変形させると共に、キャップ電極14をより確実に絶縁筒12の端部に固定することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、キャップ電極14及び端子24の構成の点で前記第1実施形態と主に異なる。従って、前記第1実施形態と同一の部材構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図4(a)に示すように、ヒューズエレメント13(ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13b)の両端にはそれぞれ端子部材31,31が固定されている。端子部材31は銅等の導電性を有する金属材料からなる1枚の板材が折り曲げられることにより形成されており、当該端子部材31はその内側(絶縁筒12への装着側)において開放された二重壁構造をなしている。
【0054】
即ち、図4(a)及び図5に示すように、端子部材31は互いに対向する一対の挟持壁31a,31a、及び両挟持壁31a,31aに対してそれぞれ直角をなす当接壁31b,31bを備えている。両挟持壁31a,31aはそれらの一端側において相互に連結されており、同じく他端側には両当接壁31b,31bがそれぞれ連結されている。両挟持壁31a,31aにはそれぞれ外部回路接続用の連結孔31cが形成されている。
【0055】
両挟持壁31a,31aによりヒューズエレメント13の端部が挟着されることにより、端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定されている。ヒューズエレメント13の両端部にはそれぞれ外部回路接続用の連結孔hが形成されており、この連結孔hが両連結孔31c,31cにそれぞれ合致するように端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定されている。
【0056】
有底円筒状のキャップ電極32の底壁中央には端子部材31(厳密には、ヒューズエレメント13の端部を挟持した両挟持壁31a,31a)を挿通可能とした挿通孔32aが形成されており、この挿通孔32aには両挟持壁31a,31aが内側から挿通されている。両当接壁31b,31bの外面はそれぞれキャップ電極32の内面(内底面)に接触しており、これにより端子部材31及びヒューズエレメント13の挿通孔32aからの外方向への抜け止めが図られる。
【0057】
両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面(外端面)からの突出部分における両側部間は半田により溶着されている(図4(b)に示す半田付け部S1参照)。また、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面からの突出部分における基端部、換言すれば挿通孔32aとの境界部分における周囲(四辺)とキャップ電極32とは半田により溶着されている(図4(a)に示す半田付け部S2参照)。これにより、端子部材31及びヒューズエレメント13はキャップ電極32に対して導通可能に固定されている。
【0058】
図4(a)に示すように、筒形ヒューズ11の外周面を覆うように感熱紙33が巻かれており、当該感熱紙33は接着剤等により筒形ヒューズ11の外周面に貼り付けられている。この感熱紙33には製品の形式、定格使用及び製造者等が表示されており、製品表示ラベル及び製造者ラベルとしても機能する。感熱紙33は例えば回路短絡事故に起因してヒューズエレメント13が溶断したとき、及び何らかの原因で筒形ヒューズ11の表面が高温となったときに変色する。保全者は感熱紙33の感熱痕跡の有無を確認することにより筒形ヒューズ11の劣化予知が可能となる。点検時、感熱紙33が変色していた場合には筒形ヒューズ11は新品に交換される。感熱紙33は筒形ヒューズ11の劣化を表示する劣化表示手段を構成する。
【0059】
尚、本実施形態において、端子部材31の両挟持壁31a,31aはヒューズエレメント13の端部を挟持する挟持部を構成し、同じく両当接壁31b,31bはキャップ電極32の内底面に当接する当接部を構成する。
【0060】
(組立方法)
次に、前述のように構成した筒形ヒューズの組立方法について説明する。
(第1工程)
まず、筒形ヒューズ11の組立作業における第1工程について説明する。この第1工程では、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ端子部材31を固定する。即ち、端子部材31の両挟持壁31a,31a間にヒューズエレメント13の幅狭部17を挟入する。このとき、ヒューズエレメント13の連結孔hと端子部材31の両連結孔31c,31cとをそれぞれ合致させる。この状態で、かしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)により両挟持壁31a,31aをそれらの外側から挟み込み、両挟持壁31a,31aを互いに近接する方向にかしめる(塑性変形させる)。両挟持壁31a,31aによりヒューズエレメント13の端部を挟着することにより、端子部材31はヒューズエレメント13の端部に固定される。尚、端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業は後述する第2工程と第3工程との間に行うようにしてもよい。
【0061】
(第2工程)
第2工程では、絶縁筒12の一端に一方のキャップ電極32を被冠し、この状態でかしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)を使用して当該一方のキャップ電極32を塑性変形させることにより絶縁筒12の他端に固定する。具体的には、一方のキャップ電極32の外周面の一部又は全部を絶縁筒12側にかしめる。
【0062】
(第3工程)
次に、第3工程では、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ固定された両端子部材31,31のうち一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32の挿通孔32aに内側から挿通し、当該一方の端子部材31を一方のキャップ電極32に固定する。
【0063】
具体的には、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面(外端面)からの突出部分における両側部間、即ち図4(b)にクロスハッチングで示す半田付け部S1の領域を半田により溶着する。また、両挟持壁31a,31aにおいて、キャップ電極32の底面からの突出部分における基端部の周囲(四辺)とキャップ電極32との間、即ち図4(a)にクロスハッチングで示す半田付け部S2の領域を半田により溶着する。これにより、端子部材31及びヒューズエレメント13はキャップ電極32に対して導通可能に固定される。
【0064】
(第4工程)
次に、第4工程では、位置決め治具( 図示略) を使用してヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15(消弧材)を絶縁筒12の他端側(他端開口部)から充填する。
【0065】
(第5工程)
次に、第5工程では、他方のキャップ電極32の挿通孔32aにヒューズエレメント13の他端側に固定された端子部材31を挿通し、かしめ工具(図示略)又は自動かしめ装置(図示略)を使用して当該他方のキャップ電極32を塑性変形させることにより絶縁筒12の他端に固定する。
【0066】
(第6工程)
次に、第6工程では、ヒューズエレメント13の他端側に固定された端子部材31を他方のキャップ電極32に前記第3工程と同様にして固定する。
【0067】
以上で、筒形ヒューズ11の組立作業が完了となる。
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(5)番目の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)筒形ヒューズ11の組立作業において、まず絶縁筒12の一端に一方のキャップ電極32を塑性変形させることにより固定するようにした。そして、ヒューズエレメント13の両端にそれぞれ固定された一対の端子部材31のうち一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32の外端面に形成された挿通孔32aに内側から挿通して当該一方の端子部材31を前記一方のキャップ電極32に固定するようにした。この後、ヒューズエレメント13を絶縁筒12の中心部に保持しながら消弧砂15を絶縁筒12の他端側から充填するようにした。このため、例えばキャップ電極14に消弧砂充填用の小孔を設け、この小孔から消弧砂15を充填するようにした場合と異なり、消弧砂15を絶縁筒12内へ均等に入れることができる。
【0069】
(2)また、キャップ電極32を絶縁筒12に対してネジやピンにより固定するようにした場合に比べて、部品点数を低減させ、ひいては筒形ヒューズ11の構成を簡単にすることができる。また、絶縁筒12の開口端縁に例えばキャップ電極32の固定用のネジ孔やピン孔を形成する必要もないので、絶縁筒12の構成、ひいては筒形ヒューズ11の構成をいっそう簡単にすることができる。
【0070】
(3)筒形ヒューズ11の外周全体に感熱紙33を巻くようにした。このため、感熱紙33の変色(感熱痕跡)の有無を確認することにより筒形ヒューズ11の劣化予知が可能となる。
【0071】
(4)また、感熱紙33には製品の形式、定格使用及び製造者等を表示するようにした。感熱紙33が製品表示ラベル及び製造者ラベルを兼用することにより、両ラベルを別途筒形ヒューズ11に貼り付ける必要がない。このため、筒形ヒューズ11の部品点数の低減に寄与する。
【0072】
(5)ヒューズエレメント13の両端部をそれぞれ端子部材31の両挟持壁31a,31aにより挟着するようにした。このため、端子部材31のヒューズエレメント13に対するかしめ作業を例えば自動かしめ装置(図示略)により行うようにすれば端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業を自動化することができる。従って、端子部材31のヒューズエレメント13への固定作業効率、ひいては筒形ヒューズ11の組立作業効率をいっそう向上させることができる。
【0073】
(6)端子部材31には一対の当接壁31b,31bを設け、筒形ヒューズ11の組立状態において両当接壁31b,31bの外面とキャップ電極32の内底面とが当接可能となるように構成した。このため、端子部材31の絶縁筒12からの抜け止めが図られる。また、第3工程において、両端に端子部材31が固定されたヒューズエレメント13の一端をキャップ電極32の挿通孔32aに挿通する際の位置決めを容易に行うことが出来る。キャップ電極32の当接壁31bがキャップ電極32の内底面に当接する位置までヒューズエレメント13を挿入するだけである。
【0074】
(7)一枚の板材を折り曲げることにより端子部材31を形成するようにした。このため、端子部材31を例えば複数の部材から構成するようにした場合と異なり、部品点数を低減させることができる。また、端子部材31の構造を簡単にすることができる。さらに、例えば金属塊を削り出すことにより端子部材31及びキャップ電極32を一体形成するようにした場合と異なり、端子部材31及びキャップ電極32の製造をそれぞれ簡単にすることができる。また、端子部材31及びキャップ電極32の製造コストをそれぞれ低減させることができる。一般に、削り出し加工は折曲加工に比べて加工コストが高くなるからである。
【0075】
(別例)
尚、前記両実施形態は以下のような別例に変更して実施してもよい。
・第1実施形態では、幅狭部17,22の突出端部を固定部24aとは反対側に折り曲げて、当該突出端部の周囲を半田により溶着するようにしたが、当該突出端部を折り曲げることなく、そのまま周囲(四辺)を端子部24bに半田により溶着するようにしてもよい。このようにしても、ヒューズエレメント13をキャップ電極14に対して導通可能に固定する事ができる。また、幅狭部17,22のキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げる作業が不要となり、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0076】
・第1実施形態では、キャップ電極14の開口部端縁に複数のスリット14aを設け、キャップ電極14を絶縁筒12に装着する際にはキャップ電極14の開端縁を自身の有する弾性力に抗して拡開させるようにしたが、スリット14aを省略するようにしてもよい。この場合、第2実施形態と同様に、かしめ工具又は自動かしめ装置を使用してキャップ電極14を絶縁筒12の端部に固定するようにしてもよい。このようにしても、キャップ電極14を絶縁筒12の端部に固定することができる。また、スリット14aを省略したことにより、キャップ電極14の構成を簡単にすることができる。
【0077】
・第2実施形態では、ヒューズエレメント13の両端部にそれぞれ連結孔hを予め形成し、この連結孔hと端子部材31に予め形成された両連結孔31c,31cとがそれぞれ合致するようにヒューズエレメント13を端子部材31の両挟持壁31a,31a間に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、両挟持壁31a,31a間にヒューズエレメント13の両端部をそれぞれ固定した後に、各連結孔31c,31c,hを加工するようにしてもよい。この場合、例えばボール盤により各各連結孔31c,31c,hを一括して形成する。このようにすれば、連結孔hと両連結孔31c,31cとをそれぞれ合致させる位置決め作業を省略することができる。従って、手間のかかる位置決め作業が省略されることにより、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0078】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32の開口部周縁の全周に亘ってかしめるようにしたが、当該開口部周縁の複数箇所においてスポット的又は部分的にかしめるようにしてもよい。このようにしても、キャップ電極14,32の絶縁筒12に対する固定構造を例えばピン止め構造とした場合と異なり、部品点数を低減させると共に、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0079】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32をかしめることにより当該キャップ電極14,32を絶縁筒12の両端部に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、キャップ電極14,32の開口端縁の全周に亘って又は一部において複数の係合突部(図示略)を形成し、この係合突部を絶縁筒12の係合溝12aに係合させることにより、キャップ電極14,32を絶縁筒12の端部に固定する。この係合状態はキャップ電極14,32自身の有する弾性力により保持される。このようにすれば、本実施形態におけるかしめ作業も不要となり、筒形ヒューズ11の組立作業効率をいっそう簡単にすることができる。尚、第2実施形態においては、絶縁筒12の両端側の外周面にはそれぞれ円環状の係合溝12aを形成する。
【0080】
・第1及び第2実施形態では、キャップ電極14,32をかしめることにより当該キャップ電極14,32を絶縁筒12の両端部に固定するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、キャップ電極14,32の開口端縁に鉤状の食込み部を形成し、この食込み部を絶縁筒12の外面に食い込ませる。このようにすれば、第1実施形態においては、絶縁筒12の係合溝12aが不要になり、絶縁筒12の構成をより簡単にすることができる。第2実施形態においては、キャップ電極32,32を絶縁筒12の両端部に、いっそう確実に固定することができる。
【0081】
・第1実施形態では、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げた状態で当該突出端部をキャップ電極14底面に固定(即ち、半田により溶着)するようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部を折り曲げず、図1に二点鎖線で示すように、まっすぐ外方に延びた状態で端子24に固定(例えば、半田により溶着)するようにしてもよい。このようにすれば、ヒューズエレメント13a又はヒューズエレメント13bのキャップ電極14底面からの突出端部の折曲作業を省略することができる。従って、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0082】
・第1実施形態では、キャップ電極14の底面に端子24を半田付けにより固定するようにした。そして、外部回路への所定の通電容量が確保できる程度に端子24の大きさ(幅,長さ等)を決定するようにしたが、次にようにしてもよい。例えば、キャップ電極14(特に、底壁など)の肉厚を所定の通電容量が確保できる程度に厚くして、端子24を省略するようにしてもよい。この場合、筒形ヒューズ11の取付け側の構造を当該筒形ヒューズ11が取付け可能となるように変更する。このようにすれば、キャップ電極14の底面に端子24を溶接する必要がない。従って、筒形ヒューズ11の部品点数を低減させると共に、筒形ヒューズ11の組立作業効率を向上させることができる。
【0083】
・第1実施形態において、挿通孔14bをヒューズエレメント13のヒューズエレメント本体16をも通過可能とする。このようにすれば、一方のキャップ電極14を絶縁筒12の一端にかしめ固定した後に、ヒューズエレメント13を絶縁筒12内に挿通し、取り付けることができる。この後、絶縁筒12内に消弧砂15を充填し、他方のキャップ電極14を絶縁筒12の他端に取り付ける。
【0084】
・第1及び第2実施形態では、絶縁筒12を両端が開口した円筒状に形成したが、例えば四角筒状、多角筒状(五角筒状,六角筒状,それ以上)、楕円筒状に形成するようにしてもよい。このようにしても、本実施形態における(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0085】
・第1及び第2実施形態では、絶縁筒12を絶縁性を有する合成樹脂材料により形成したが、碍子等の絶縁材料により形成するようにしてもよい。
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0086】
(イ)電極の開口端部を絶縁筒側へ塑性変形させることにより電極を絶縁筒の端部に固定するようにした請求項1又は請求項2に記載の筒形ヒューズ。
(ロ)絶縁筒の両端外面には係合溝を形成し、電極を塑性変形させたとき、この電極の一部が前記係合溝に係合することにより電極は絶縁筒の端部に固定されるようにした請求項1、請求項2及び前記(イ)項のうちいずれか一項に記載の筒形ヒューズ。
【0087】
(ハ)前記電極の底壁にヒューズエレメントの端部を挿通可能とした挿通孔を設け、当該挿通孔を通して内側から突出させたヒューズエレメントの突出部位を折り曲げて電極の底面に通電可能に固定するようにした請求項1に記載の筒形ヒューズ。
【0088】
(ニ)前記端子は一枚の板材が折り曲げられることにより形成されている請求項3に記載の筒形ヒューズ。
(ホ)前記絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程の前又は後に、ヒューズエレメントの両端にそれぞれ端子を固定する工程を設けるようにした請求項5に記載の筒形ヒューズの組立方法。
【0089】
(ヘ)前記端子はその内側において開放する二重壁構造とし、当該端子にヒューズエレメントの端部を挟着するようにした前記(ホ)項に記載の筒形ヒューズの組立方法。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、部品点数を低減させて構成を簡素化すると共に組立作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における筒形ヒューズの正断面図。
【図2】第1実施形態における筒形ヒューズの分解斜視図。
【図3】(a)は、銀プレートタイプのヒューズエレメント、
(b)は、プレート基板タイプのヒューズエレメント。
【図4】(a)は、第2実施形態における筒形ヒューズの正断面図。
(b)は、第2実施形態における筒形ヒューズの要部正面図。
【図5】第2実施形態における筒形ヒューズの分解斜視図。
【符号の説明】
11…筒形ヒューズ、12…絶縁筒、13…ヒューズエレメント、
13a…銀プレートタイプのヒューズエレメント、
13b…プレート基板タイプのヒューズエレメント、
14,32…電極を構成するキャップ電極、14b,32a…挿通孔、
15…消弧剤を構成する消弧砂、24…電極を構成する端子、
31…端子を構成する端子部材、31a…二重壁構造を構成する挟持壁。
Claims (5)
- 絶縁筒の両端部にそれぞれ電極を固定するようにした筒形ヒューズにおいて、電極を塑性変形させることにより絶縁筒に固定するようにした筒形ヒューズ。
- 前記電極には端子を設けると共に当該端子の近傍にはヒューズエレメントを挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させたヒューズエレメントの端部を前記端子又は電極に対して通電可能に固定するようにした請求項1に記載の筒形ヒューズ。
- 前記絶縁筒内に収容されたヒューズエレメントの両端部にはそれぞれ端子が固定されており、
前記端子を内側において開放する二重壁構造として当該端子によりヒューズエレメントの端部を挟着するようにし、
前記電極の外端面には端子を挿通可能とした挿通孔を形成し、当該挿通孔を内側から通して突出させた前記端子を電極に対して通電可能に固定するようにした請求項1に記載の筒形ヒューズ。 - 両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、
ヒューズエレメントの一端が予め固定された一方の電極を絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、
ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、
この後、他方の電極を絶縁筒の他端に他方の電極を塑性変形させることにより固定すると共に他方の電極に対してヒューズエレメントの他端を固定する工程とを備えた筒形ヒューズの組立方法。 - 両端部がそれぞれ開口した絶縁筒と、当該絶縁筒に収容されたヒューズエレメントと、前記絶縁筒の両端部にそれぞれ固定された一対の電極とを備えた筒形ヒューズの組立方法において、
絶縁筒の一端に一方の電極を塑性変形させることにより固定する工程と、
ヒューズエレメントの両端にそれぞれ固定された一対の端子のうち一方の端子を前記一方の電極の外端面に形成された挿通孔に内側から挿通して当該一方の端子を前記一方の電極に固定する工程と、
ヒューズエレメントを絶縁筒の中心部に保持しながら消弧剤を絶縁筒の他端側から充填する工程と、
他方の電極の外端面に形成された挿通孔にヒューズエレメントの他端側に固定された他方の端子を挿通し他方の電極を塑性変形させることにより当該他方の電極を絶縁筒の他端に固定する工程と、
他方の電極に前記他方の端子を固定する工程とを備えた筒形ヒューズの組立方法。
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