JP2004127726A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004127726A
JP2004127726A JP2002290550A JP2002290550A JP2004127726A JP 2004127726 A JP2004127726 A JP 2004127726A JP 2002290550 A JP2002290550 A JP 2002290550A JP 2002290550 A JP2002290550 A JP 2002290550A JP 2004127726 A JP2004127726 A JP 2004127726A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emitting layer
light emitting
layer
organic
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002290550A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4303935B2 (ja
Inventor
Tomoyuki Tachikawa
立川 智之
Norito Ito
伊藤 範人
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2002290550A priority Critical patent/JP4303935B2/ja
Publication of JP2004127726A publication Critical patent/JP2004127726A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4303935B2 publication Critical patent/JP4303935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/30Devices specially adapted for multicolour light emission
    • H10K59/35Devices specially adapted for multicolour light emission comprising red-green-blue [RGB] subpixels
    • H10K59/353Devices specially adapted for multicolour light emission comprising red-green-blue [RGB] subpixels characterised by the geometrical arrangement of the RGB subpixels
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/20Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning
    • H10K71/231Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning by etching of existing layers
    • H10K71/233Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning by etching of existing layers by photolithographic etching

Abstract

【課題】従来のフォトリソグラフィー法におけるパターンの精度が優れている点を維持しつつも、フォトレジストを使用してエッチング液によりエッチングする際に生じ得る種々の懸念を極力解消し得る、新たな有機EL素子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基板1上に電極等を介し、バッファー層2A、有機蛍光体層3A等の発光層4Aを積層する発光層積層工程、発光層4Aをマスク5Aを介しドライエッチングしてパターン状の発光層4A’を得るドライエッチング工程とにより、課題を解決することができた。発光層4A’上に保護層を形成し、さらに、各工程を繰り返してもよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光層のパターン化を、従来法のフォトリソグラフィーによるのではなく、マスクを介したドライエッチングによって行なう、有機EL素子の新たな製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、比較的低電圧で駆動でき、自己発光型であること、および応答の速いことから、画像の視認性に優れ、また、動画の表示に適しており、据え置き型のディスプレイとしてのみならず、携帯用等の可搬のディスプレイとしても、用途が広まりつつある。
【0003】
一般的な有機EL素子は、ITO等の透明電極を形成したガラス基板上に、正孔バッファー層および有機蛍光体層を順次形成した上に、金属電極を形成し、さらに保護層で被覆したものであり、パターン状の表示を行なわせるために、両電極をパターン化するのに加え、有機蛍光体層をパターン化するか、もしくは正孔バッファー層および有機蛍光体層の両方をパターン化する等の、発光層のパターン化を行なうことにより製造している。
【0004】
バッファー層および有機蛍光体層のパターン化の方法としては、種々の方法が考えられるものの、精度の点で好ましい方法として、それらの層を一面に形成した上に、フォトレジストを用いてレジストパターンを形成し、レジストパターンを利用して、エッチング液を用いてエッチングするフォトリソグラフィー法がある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−170673号公報(請求項7、実施例1)
【0006】
しかしながら、上記のフォトリソグラフィー法によると、得られる有機EL素子の有機蛍光体層等のパターンの精度が優れたものが得られるものの、有機蛍光体層等に対して、フォトレジスト液の塗布、プリベーク、露光、現像の各工程を行なう必要があるため、フォトレジスト液の塗布時には、液中の溶剤やモノマー等が有機蛍光体層等に与える化学的な影響が懸念され、このほか、プリベークによる熱的な影響、露光時の露光光の影響、および現像条件が与える影響等が懸念される。例えば、現像がアルカリ現像液による場合には、アルカリの影響が懸念される。また、このようにして形成されたレジストを利用してエッチング液によりエッチングを行なう際には、レジストで被覆された部分の周囲から、発光層に対してエッチング液が浸透し得るから、発光層中の有機蛍光体の機能低下、とりわけ発光層を構成する各発光層要素(微細区域)の有効部分が設計値よりも縮小することがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、従来のフォトリソグラフィー法におけるパターンの精度が優れている点を維持しつつも、フォトレジストを使用してエッチング液によりエッチングする際に生じ得る種々の懸念を極力解消し得る、新たな有機EL素子の製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
発明者等の検討により、所定の開孔部を有するパターンマスクを用いたドライエッチングを行なうことにより、従来のフォトリソグラフィー法を用いたのと同等のパターンの精度が得られ、しかも、フォトレジストを使用してエッチングする際に生じ得る種々の懸念が解消された有機EL素子の製造方法を提供することが可能であることが判明し、本発明に到達することができた。
【0009】
第1の発明は、一対の電極間に、一方の電極から注入された電子と他方の電極から注入された正孔が再結合することにより発光し得る有機蛍光体を含む層からなる発光層が少なくとも積層された積層構造を有する有機EL素子を製造するに際して、前記のいずれかの電極上に前記発光層を一面に積層する発光層積層工程、および、積層後の前記発光層を所定の開孔部を有するマスクを介してドライエッチングして、前記発光層の前記マスクの非開孔部に相当する部分を残留させると共に、それ以外の部分を除去するドライエッチング工程とを、順次行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を、前記ドライエッチング工程における前記マスクの前記開孔部の位置を各回毎に異ならせて、二回以上行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を、前記有機蛍光体の発光色が光の三原色の各々になるよう、各回毎に前記有機蛍光体として発光色の異なるものを用いて、三回行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0012】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を二回以上行なう際に、各回の間で、前回のドライエッチングにより残留させた前記発光層を保護層で被覆する工程をさらに行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0013】
第5の発明は、第1〜第4いずれかの発明において、前記発光層が、前記有機蛍光体を含む層、並びに、正孔輸送層または/および電子輸送層からなることを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、いずれも本発明の有機EL素子の製造方法の各過程を示す図である。
【0015】
本発明の有機EL素子の製造方法は、基本的には図1に示すように、電極(図示せず。)等が図中の上面に設けられた基板1の上面の全面に、バッファー層2Aおよび有機蛍光体層3Aを順に積層して、両層からなる発光層4Aが積層された状態のものを得た後(図1(a))、所定の形状の非開孔部(図中の符号5Aで示すマスクの黒色部分である。)を有するマスク5Aを介してドライエッチングすることにより(図1(b))、発光層4Aのうち、マスク5Aの非開孔部に相当する部分4A’を残留させると共に、そのほかの部分、即ち、マスク5Aの開孔部に相当する部分を除去して、所定の形状の発光層4A’を形成する(図1(c))ものである。必要に応じて、発光層4A’を被覆する保護層6Aを積層することができる(図1(d))。
【0016】
このようにして、基板1上に、マスク5Aの非開孔部の形状に基づく形状の発光層4A’が積層される。基板1上に予め第1の電極を形成しておき、発光層4A’の積層後にも、さらにその上に、第2の電極を先の第1の電極と向かい合わせて形成し、第1の電極および第2の電極の間に電位をかけることにより、発光層4A’を発光させることができる。従って、マスク5Aの非開孔部の形状を適宜なパターン状としておくことにより、適宜なパターン状の発光層4A’を形成して、パターン状に発光させることが可能になる。あるいは、マスク5Aとして、非開孔部の形状が、円形や四角形、もしくはストライプ等の多数の微細区域が密に配列した形状のものを用いることにより、そのような形状の多数の微細区域が密に配列した形状の発光層4A’を形成し、そのうちの任意の微細区域を選択して、電位をかけることにより、文字や数字、もしくは画像等を表示させることもできる。
【0017】
図1を引用した上記の説明においては、最初に基板1上に全面に積層した発光層4Aから出発して、マスク5Aを用いて、マスク5Aの非開孔部の形状に基づく形状の発光層4A’を形成しているので、発光層4A’のどの部分も、発光色は同じであるが、以降に述べるように、発光層中の発光に関与する材料を変え、従って、発光色の異なる複数種の発光層を並べて形成して、各々を発光させることにより、一度に複数の発光色を得るようにすることもできる。
【0018】
図2は、図1を引用した上記の説明により得られたもの(例えば、図1(d)に示すもの。)に、別の発光層をさらに形成する過程を示し、図1(d)で示したような、保護層6Aで覆われた状態の発光層4A’が積層された基板1上の全面に、図1を引用して説明したときのバッファー層2Aおよび有機蛍光体層3Aとは別に、バッファー層2Bおよび有機蛍光体層3Bを順に積層して、両層からなる発光層4Bが積層された状態のものを得る(図2(a))。発光層4Bは、既に形成されている発光層4A’上(保護層6Aを伴なう場合には、保護層6A上)も含めた全面に積層する。次に、先のマスク5Aとは異なる位置に非開孔部を有するマスク5Bを介してドライエッチングすることにより(図2(b))、発光層4Bのうち、マスク5Bの非開孔部に相当する部分4B’を残留させると共に、そのほかの部分、即ち、マスク5Bの開孔部に相当する部分を除去して、所定の形状の発光層4B’を形成する(図2(c))。やはり、必要に応じ、発光層4B’を被覆する保護層6Bを積層することができる(図2(d))。
【0019】
図2を引用した上記の説明においては、2種類の発光層4Aおよび4Bを用いて、マスク5Aの形状に基づく発光層4A’、および、マスク5Bの形状に基づく発光層4B’を形成しているので、発光層4Aおよび4Bを形成するための有機蛍光体として、発光色の異なるものどうしを選択して使用すれば、パターン状の発光層4A’および4B’を異なる色に発光させることができ、例えば、各々の発光色を赤色と青色として、それら二色の発光を交互に行なわせたり、あるいは、それら二色の発光を同時に行なわせて混色させることもできる。
【0020】
一般的に、有機EL素子で、フルカラー表示を行なわせるには、光の三原色である赤色、緑色、および青色の三色の発光色を要する。このように、三色の発光を行なえるようにするには、図2を引用した上記の説明で得られたものに、得られた発光層4A’および4B’の発光色が、例えば、赤色と青色であれば、これらとは異なる、例えば、緑色の発光色の有機蛍光体を含む発光層4Cをさらに積層する(図3(a))。発光層4Cは、既に形成されている発光層4A’上および4B’上(保護層6Aおよび6Bを伴なう場合には、保護層6A上および6B上)も含めた全面に積層する。次に、先のマスク5Aおよび5Bとは異なる位置に非開孔部を有するマスク5Cを介してドライエッチングすることにより(図3(b))、発光層4Cのうち、マスク5Cの非開孔部に相当する部分4C’を残留させると共に、そのほかの部分、即ち、マスク5Cの開孔部に相当する部分を除去して、所定の形状の発光層4C’を形成する(図3(c))。発光層4A’上および4B’上に伴なっている保護層6Aおよび6Cが不要であるときは、発光層4C’の形成後、これらを除去することができる(図3(d))。
【0021】
上記のように、赤色発光用、青色発光用、および緑色発光用の各有機蛍光体を用いて、各発光層4A’、4B’、および4C’を構成し、また、先に述べたように、マスク5A、5B、および5Cとして、いずれも、非開孔部の形状が、円形や四角形、もしくはストライプ等の多数の微細区域が密に配列した形状のものを用いて、各発光層4A’、4B’、および4C’を所定の形状になるよう形成することにより、各発光層の任意の微細区域を選択して、電位をかければ、文字や数字、もしくは画像等を、所望の色で表示させる、いわゆるフルカラー表示が可能になる。
【0022】
従って、発光層の積層工程およびマスクを介したドライエッチング工程を、二回以上繰り返すことにより、二種類以上の発光層を形成することができ、このことを利用して、発光色の異なる複数種類の発光層を形成することができる。なお、発光層の積層工程およびマスクを介したドライエッチング工程を二回以上繰り返すのに替えて、他の発光層形成工程を併用することもできる。他の発光層形成工程としては、蒸着等の気相形成法によるものや、インクジェットもしくは印刷によるものを挙げることができ、あるいは、一面に形成した発光層上に、フォトレジストを用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを利用して、エッチング液によりエッチングするフォトリソグラフィー法も挙げることができる。
【0023】
本発明の有機EL素子の製造方法において、各層を構成するために使用する素材、各工程の加工条件、加工に使用する資材等は次の通りである。
【0024】
有機EL素子は、基本的には、一対の電極間に、有機蛍光体を含む層からなる発光層が少なくとも積層された積層構造を有するものであるが、実際には、一方の電極は基板1により支持されていることが多い。また、他方の電極上には、保護層を積層するか、もしくは別の基板を積層することもある。
【0025】
基板1は、板状、もしくはフィルム状の素材で構成され、具体的な素材としては、ガラス、もしくは石英等の無機材料、または、樹脂板、もしくは樹脂フィルム等を挙げることができる。なお、「基板」の用語は、フィルム状の物も含む意味で使うので、基材と言い換えてもよい。基板が樹脂フィルムであれば、丸めたり曲げたりすることが可能な、フレキシブルな有機EL素子を得ることもできる。
【0026】
基板1を構成し得る樹脂板もしくは樹脂フィルムの樹脂としては、特に限定されないが、耐溶剤性、耐熱性の比較的高いものであることが好ましい。また、用途にもよるが、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を有する素材であることが好ましい。具体的な樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、もしくは非晶質ポリオレフィン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、また上記した樹脂の出発原料であるモノマーを2種類以上用いて共重合させて得られる共重合体であっても良い。
【0027】
有機EL素子を作動させて得られる表示が観察者に見えるためには、観察側となる基板を透明性を有するものとすることが好ましく、有機EL素子の両側に基板1を配置する場合には、一方もしくは両方を、透明性を有するものとすることが好ましい。
【0028】
基板1として、樹脂板もしくは樹脂フィルムを用いるときは、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を付与する意味で、バリア性層が積層されていてもよく、バリア性層として、酸化ケイ素、もしくは酸化アルミニウム、または窒化ケイ素等の薄膜を積層することが好ましい。
【0029】
基板1には、通常、電極(形成する順から第1電極と呼ばれ、通常は、陽極である。)が設けられる。代表的には、陽極としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金、もしくはポリアニリン等を素材として構成されたものが例示される。なお、対極である陰極としては、マグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、もしくは金属カルシウムを素材として構成されたものが例示される。陽極または/および陰極は、これらの素材を用いて、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法等により一面に層を形成することにより、もしくは一面に形成された層を、感光性レジストを用いて、パターンエッチングすることにより、所定の形状の電極パターンとすることができる。
【0030】
発光層の発光を直接もたらす有機蛍光体としては、例えば、色素系、金属錯体系、もしくは高分子系のものを用いることができる。
【0031】
色素系のものとしては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、もしくはピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
【0032】
金属錯体系のものとしては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、もしくはキノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
【0033】
高分子系のものとしては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、もしくはポリビニルカルバゾール誘導体、または前記の色素系のもの、もしくは金属錯体系のものを高分子化したもの等を挙げることができる。
【0034】
上記した有機蛍光体には、発光効率の向上、もしくは発光波長を変化させる目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
【0035】
上記の有機蛍光体は、素材の性質に合わせて、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法によるか、もしくは溶剤に溶解して得られる溶液を適宜な塗布方法もしくは印刷方法により、有機蛍光体層とすることができる。特に、高分子系のものは、塗布方法もしくは印刷方法で有機蛍光体層を形成するのに適している。
【0036】
発光層は、上記の有機蛍光体層単独でも構成し得るが、バッファー層を伴なってもよく、即ち、発光層はバッファー層と有機蛍光体層とでも構成し得る。
【0037】
本発明でいうバッファー層とは、有機蛍光体層に電荷の注入が容易に行われるように、陽極と発光層との間または陰極と発光層との間に設けられる、有機物、特に有機導電体などを含む層であるが、例えば、発光層への正孔注入効率を高めて、電極などの凹凸を平坦化する機能を有する導電性高分子であり得る。
【0038】
本発明に用いられるバッファー層を形成する材料としては、具体的にはポリアルキルチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、トリフェニルアミン等の正孔輸送性物質の重合体、無機酸化物のゾルゲル膜、トリフルオロメタン等の有機物の重合膜、ルイス酸を含む有機化合物膜等を挙げることができ、正孔注入バッファー層形成用組成物として市販されている、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI 4083、水溶液として市販。)等を用いることもできる。これらの素材は、溶剤に溶解もしくは分散させて塗料化して、適宜な塗布方法もしくは印刷方法により、バッファー層とすることができる。また、一般に使用されているバッファー材料、正孔注入材料、正孔輸送材料を使用して、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法によってバッファー層とすることもできる。
【0039】
本発明においては、発光層のうち有機蛍光体層は、円形や四角形、もしくはストライプ等の多数の微細区域が密に配列した形状のものとされていることが好ましいが、バッファー層も、その導電性が高い場合、素子のダイオード特性を保ち、クロストークを防ぐためにパターニングされていることが好ましい。
【0040】
なお、バッファー層が二回以上形成される場合、各回で形成されるバッファー層、図2および図3を引用して説明した例であれば、バッファー層2A、2B、および2Cは、各回毎に同じ材料を用いて形成されてもよいし、または、各回毎に異なる材料を用いて形成されてもよい。
【0041】
基板1上に、有機蛍光体層、またはバッファー層および有機蛍光体層が発光層として積層された上に、所定の開孔部を有するマスクを重ねて密着させ、そのマスクを介してドライエッチングを行なう。
【0042】
ドライエッチングの際に使用するマスクは、金属板、例えば、ステンレス鋼板、アルミニウム板、もしくは銅板等を素材としたものか、または樹脂板を素材としたもので、素材に合せた方法、例えば、機械的切削もしくはエッチングにより、所定の形状の開孔部を設けたパターンマスクである。使用する素材の金属板もしくは樹脂板の厚みとしては、開孔部の大きさにもよるが、30μm〜300μm程度であることが好ましい。
【0043】
マスクの開孔部の形状、および大きさは、最終的に得られる有機EL素子の画素を構成する微細区域の形状、および大きさに相当するものである。マスクの開孔部の形状は、得たい微細区域の形状によるが、円形や四角形等の、もしくはストライプ等の幾何学的形状である。また、開孔部の大きさは、有機EL素子の画面サイズ、および必要な解像度にもよるが、円形の直径、四角形の一辺、もしくはストライプの幅が30μm〜300μm程度であることが好ましい。
【0044】
図4〜図6は、本発明の有機EL素子の製造方法において用い得るマスク5の平面形状を例示した図であり、ハッチ部はいずれも遮蔽部分を示す。
【0045】
マスク6は、図4(a)に示すように、個々の遮蔽部分が図中、太線で長方形状に囲んで示す縦長形状61を有し、この縦長形状61が、適宜な間隔で、通常は等間隔で(=等ピッチで)配列したストライプ状のものであり得る。当然ながら、上下の部分では、各縦長形状61どうしはつながっている。このような形状のマスク6は、例えば、一枚の金属シートをエッチング加工して、ストライプ間に貫通孔を形成したものであっても、もしくは、マスク6の全体を電鋳によって形成したものであってもよい。
【0046】
マスク6は、図4(b)に示すように、枠62に多数のワイヤー63がビス64等により、等間隔で張られて固定されたものでもよい。
【0047】
マスク6は、図5(a)に示すように、個々の遮蔽部分が図中、太線で正方形状に囲んで示す正方形状61’を有し、各正方形状61’が、縦方向には、幅の狭い連結部分で連結し、横方向には間隔をあけて配列したものであってもよい。正方形状61’の部分は、図5(b)に示すように、円形状61”であってもよく、この円形状61”の場合も、各円形状61”が、縦方向には、幅の狭い連結部分で連結し、横方向には間隔をあけて配列したものであってもよい。
【0048】
図6(a)、(b)は、それぞれ、個々の縦長形状が横方向に配列した、縦ストライプのマスク61と、個々の横長形状が縦方向に配列した、横ストライプのマスク62とを示す。これら、縦ストライプおよび横ストライプの二種類のマスクは、いずれかを一回目、他方を二回目のドライエッチングに使用することにより、一方のマスクのみでは行なえない、あたかも格子状のマスクを使用するのと同様な効果を挙げることができる。
【0049】
マスク6を介してドライエッチングを行なうには、チャンバー内にアライメント機構を備えたドライエッチング装置内に、最表面にパターン化されるべき発光層が施された基板と、テンションをかけて張ったマスクとをセットする。セットの際には、基板とマスクとの間隔を数十μm離した状態で、各々に予め付されている基板のアライメントマークと、マスクのアライメントマークとを合せた後、Zステージを調製する等により、基板とマスクとを密着させ、固定する。密着する際には、マスクが鉄製等であれば、基板背面側から磁石を作用させて、マスクを基板上に固定することができる。
【0050】
また、上記のドライエッチングとしては、反応性イオンエッチングであることが好ましい。反応性イオンエッチングを用いることにより、有機膜が化学的に反応を受け、分子量の小さい化合物となることにより、気化・蒸発して基板上から除去することができ、エッチング精度の高い、短時間の加工が可能となるからである。また、上記のドライエッチングに際して、酸素単体または酸素を含むガスを用いることが好ましい。酸素単体または酸素を含むガスを用いることで有機膜の酸化反応による分解除去が可能であり、基板上から不要な有機物を除去することができ、エッチング精度の高い、短時間の加工が可能である。また、この条件では、基板1上に通常設けられているITO等の透明電極をエッチングすることがないので、電極特性を損なうことなく、電極表面を浄化することができる点においても効果的である。
【0051】
本発明のおいては、マスクを介してドライエッチングを行なうので、マスクの開孔部の形状、大きさに応じたエッチングが可能であり、マスク自体は、エッチング等の手法により精度よく製作することが可能であるから、得られる有機EL素子としては、従来のエッチング液を使用してエッチングするフォトリソグラフィー法によって得られるものと同様な精度を有するものを得ることができる。
【0052】
さらに、上記のドライエッチングとしては、大気圧プラズマによることが好ましい。大気圧プラズマによると、通常真空装置が必要であるドライエッチングを大気圧下で行なえ、処理時間の短縮、およびコストの低減が可能である。この場合、エッチングはプラズマ化した大気中の酸素によって有機物が酸化分解することを利用することとなるが、ガスの置換および循環によって反応雰囲気のガス組成を任意に調整してもよい。
【0053】
本発明の有機EL素子層の製造方法においては、上記のようにして、発光層積層工程およびドライエッチング工程とを行なうことにより、発光層がパターン化されるので、これらの工程を繰り返すことにより、二種類以上の発光層を形成することが可能であり、各回において使用する有機蛍光体を異ならせるようにすることにより、複数の発光色を発光することが可能な有機EL素子を得ることができる。特に、発光層積層工程およびドライエッチング工程とを三回繰り返して行ない、ただし、各回において使用する有機蛍光体を、その都度変更して、光の三原色の各々を発光するよう選択して、赤色発光用、緑色発光用、および青色発光用の各発光層を形成することにより、フルカラー表示が可能な有機EL素子を得ることができる。
【0054】
ところで、発光層積層工程およびドライエッチング工程とを繰り返す際に、前回形成されたパターン状の発光層上も含めて、次の発光層を全面に形成するので、後から発光層を形成する際に、発光層形成用組成物を用いるときは、組成物中の溶剤が、先に形成されたパターン状の発光層に影響を与えることがあるので、パターン状の発光層を形成する毎に、パターン状の発光層に応じた保護層を形成してから、次の発光層を全面に形成すると、先に形成されたパターン状の発光層への影響を解消でき、好ましい。保護層は、図1(d)中の符号6A、並びに図2(d)中の符号6Aおよび6Bで例示するように、パターン状の発光層の各々の上面のみならず、側面のすべてを被覆するものであることが好ましい。
【0055】
保護層6Aもしくは6Bは、上記のように、既に形成されたパターン状の発光層の各々を被覆する必要上、感光性樹脂を素材として用いて構成することが好ましく、感光性樹脂としては、種々のものを使用できるが、市販のフォトレジストを使用することが手軽である。
【0056】
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストである、例えば、光分解可溶型のキノンジアジド系感光性樹脂等を主成分とするもの、または、ネガ型フォトレジストである、例えば、光分解架橋型のアジド系感光性樹脂、光分解不溶型のジアゾ系感光性樹脂、光二量化型のシンナメート系感光性樹脂、光重合型の不飽和ポリエステル系感光性樹脂、光重合型のアクリレート樹脂、もしくはカチオン重合系樹脂等を成分とするものが挙げられる。これらの感光性樹脂に加えて、光重合開始剤、および増感色素等を必要に応じて配合した感光性樹脂組成物を、フォトレジストとして使用することができる。
【0057】
使用するフォトレジストは、ポジ型であってもネガ型であっても、特に限定されるものではないが、有機蛍光体層もしくはバッファー層等の発光層を構成する各層を形成するための組成物中の溶媒に不溶であるものが好ましく、ノボラック樹脂系、もしくはゴム+ビスアジド系等のフォトレジストを挙げることができる。
【0058】
また、フォトレジストをパターン状の発光層上に塗布する際に、フォトレジストを溶解もしくは希釈する溶剤としては、パターン状の発光層を侵食しないものであることが好ましい。一例として、発光層がバッファー層および有機蛍光体層から構成され、バッファー層形成用組成物が水系の溶媒に溶解し、発光層形成用組成物が芳香族系等の無極性有機溶媒に溶解する場合であれば、フォトレジストを溶解もしくは希釈する溶剤としては、アセトン、もしくはメチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルをはじめとするセロソルブ類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートをはじめとするセロソルブアセテート類、メタノール、エタノールをはじめとするアルコール類、酢酸エステル類、シクロヘキサン、デカリン等を例示することができる。
【0059】
パターン状の発光層が形成された基板1上にフォトレジストを塗布した後、必要に応じて加熱乾燥させた後、パターン状の発光層に応じたパターンのマスクを用いてフォトレジストを露光(通常は紫外線露光)し、露光後に現像して、パターン状の発光層を被覆する保護層を形成する。パターン状の発光層を側面も含めて被覆するには、使用するフォトレジストがポジ型であれば、パターン状の発光層の各パターンよりも若干大きい遮光性パターンを有するマスクを用いればよく、また、使用するフォトレジストがネガ型であれば、パターン状の発光層の各パターンよりも若干大きい透光性パターンを有するマスクを用いればよい。
【0060】
フォトレジストの現像液も、形成されているパターン状の発光層を侵食しないものであることが好ましく、具体的には、一般的に使用されている有機アルカリ系現像液を使用できるが、そのほかに、無機アルカリ、またはレジストの現像が可能な水溶液を使用することができる。レジストの現像を行った後は水で洗浄することが好ましい。
【0061】
なお、図3(c)および図3(d)で示すように、上記のようにして形成した保護層は、複数種類の発光層のすべてを形成した後は、発光層に通電して発光させる意味で支障となり得るので、フォトレジスト剥離液を用いて、保護層を剥離することが望ましい。保護層の剥離のために用いる剥離液も、形成されているパターン状の発光層を侵食しないものであることが好ましい。ポジ型フォトレジストを用いた場合は、露光を行った後に、フォトレジストの現像液を適用すればよい。さらに、強アルカリ水溶液、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒、もしくはそれらの混合物、または市販のフォトレジスト剥離液を用いてもよい。フォトレジスト剥離後は、2−プロパノール等でリンスし、さらに水でリンスしてもよい。
【0062】
以上の説明においては、発光層を、基板1側から、バッファー層および有機蛍光体層が積層されたものであることを念頭に置いたが、発光層は、種々の層の積層構造であり得る。
【0063】
例えば、発光層は、正孔輸送材料からなる正孔輸送層を陽極側に伴ない、および/または、電子輸送材料からなる電子輸送層を陰極側に伴なった積層構造であり得る。
【0064】
有機蛍光体層が、正孔輸送層の性質を兼ね備えている場合、発光層は、有機蛍光体層兼正孔輸送層の陰極側に電子輸送層が積層された積層構造であり得る。あるいは、有機蛍光体層が電子輸送層の性質を兼ね備えて居る場合には、発光層は、電子輸送層兼有機蛍光体層の陽極側に正孔輸送層が積層された積層構造であり得る。
【0065】
また、発光層は、正孔輸送材料と有機蛍光体の両方を少なくとも混合して形成された正孔輸送材料/有機蛍光体の混合層と電子輸送層との積層構造であってもよく、もしくは、正孔輸送層と、有機蛍光体と電子輸送材料との両方を少なくとも混合して形成された有機蛍光体/電子輸送材料の混合層との積層構造であり得る。さらに、発光層は、正孔輸送材料、有機蛍光体、および電子輸送材料の三者が少なくとも混合された混合層からなっていてもよい。
【0066】
発光層が種々の層の積層構造である場合、バッファー層を構成する素材、および有機蛍光体層を構成する素材以外に、次のような素材を使用して各層を構成する。
【0067】
電子輸送材料としては、アントラキノジメタン、フルオレニリデンメタン、テトラシアノエチレン、フルオレノン、ジフェノキノンオキサジアゾール、アントロン、チオピランジオキシド、ジフェノキノン、ベンゾキノン、マロノニトリル、ニジトロベンゼン、ニトロアントラキノン、無水マレイン酸、もしくはペリレンテトラカルボン酸、または、これらの誘導体を用いることができる。
【0068】
正孔輸送性材料としては、バッファー層を構成する素材として前記したものに加え、ポリフィリン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、スチルベン、もしくはブタジエン、または、これらの誘導体を用いることができる。
【0069】
発光層が設けられた上には、基板1側の電極(第1電極)に対する電極(第2電極、通常は陰極である。)を設ける。陰極を構成する素材、および形成方法については、先に述べた通りである。
【0070】
第2電極を設けた上には、通常、封止層(保護層とも言う。ただし、パターン状の発光層上に、製造の途中で設け、後に除去する保護層とは異なり、恒久的なものである。)が適用される。
【0071】
封止層は、無機質の薄膜、もしくは有機質(樹脂である。)の塗膜のいずれによっても形成でき、それらで、第2電極が設けられた上を被覆する。また、これらの封止層を形成するのに加え、基板1の素材として挙げたガラス、もしくは石英等の無機材料、または、樹脂板、もしくは樹脂フィルムで、最表面を被覆してもよい。
【0072】
【実施例】
(実施例1)
透明ガラス板を基板とし、表面に酸化インジウム錫(ITO)薄膜のパターンからなる透明電極が積層されたITO基板(厚み1.1mm、縦横;約15cmの正方形)を準備し、透明電極側に、市販のバッファー層形成用水溶液(ポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI 4083)を用いて、スピンコーティングを行ない、温度;150℃で5分間加熱して、厚みが800Åのバッファー層を形成した。
【0073】
形成されたバッファー層上に、下記の組成からなる赤色発光用の有機蛍光体層形成用組成物を用い、やはり、スピンコーティングにより、厚みが800Åの赤色発光用の有機蛍光体層を形成し、バッファー層および赤色発光用の有機蛍光体層からなる発光層を形成した。
【0074】
(赤色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール                   70部
・オキサジアゾール                      30部
・ジシアノメチレンピラン誘導体                 1部
・モノクロロベンゼン                   4900部
なお、以降も含めて、部数は質量基準である。
【0075】
こうしてITO基板上に形成された発光層上に、縦;40μm、横;200μm、横方向のピッチ;300μmのストライプ状の開孔部を有するマスクを密着させ、ドライエッチング装置中で、チャンバー内圧;150mTorr、酸素流量;25sccm、電力;300Wの条件で、ドライエッチングを行ない、マスクの開孔部から露出している発光層を除去し、マスクの非開孔部に残留した第1の発光層パターンを得た。
【0076】
(実施例2)
実施例1により発光層パターン(第1の発光層パターン)が得られた上に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、品名;OFPR−800)をスピンコーティングにより塗布し、厚みが1μmの塗膜を形成した後、露光用マスクを重ねた上から紫外線露光を行ない、現像液(東京応化工業(株)製、品名;NMD)を用いて現像し、第1発光層パターンの各部分の上および側面を、ポジ型フォトレジストで被覆して保護層を形成すると共に、その他の部分のポジ型フォトレジストを除去した。
【0077】
保護層が形成された第1の発光層上を含む全面に、実施例1におけるのと同様の条件でバッファー層を形成し、続いて、下記の組成からなる緑色発光用の有機蛍光体層形成用組成物を用い、やはり、スピンコーティングにより、厚みが800Åの緑色発光用の有機蛍光体層を形成し、バッファー層および緑色発光用の有機蛍光体層からなる発光層(第2の発光層)を形成した。
【0078】
(緑色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール                   70部
・オキサジアゾール                      30部
・クマリン6                          1部
・モノクロロベンゼン                   4900部
【0079】
こうして形成された第2の発光層上に、実施例1で用いたのと同様なマスクを、第1の発光層パターンを形成するときとは位置をずらして密着させ、実施例1におけるのと同じ条件で、ドライエッチングを行ない、マスクの開孔部から露出している発光層を除去し、マスクの非開孔部に残留した第2の発光層パターンを得た。
【0080】
(実施例3)
実施例2により、第1および第2の発光層パターンが形成された上に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、品名;OFPR−800)をスピンコーティングにより塗布し、厚みが1μmの塗膜を形成した後、露光用マスクを重ねた上から紫外線露光を行ない、現像液(東京応化工業(株)製、品名;NMD)を用いて現像し、第2発光層パターンの各部分の上および側面を、ポジ型フォトレジストで被覆して保護層を形成すると共に、その他の部分のポジ型フォトレジストを除去した。
【0081】
保護層が形成された第1および第2の発光層パターン上を含む前面に、実施例1におけるのと同様の条件でバッファー層を形成し、続いて、下記の組成からなる青色発光用の有機蛍光体層形成用組成物を用い、やはり、スピンコーティングにより、厚みが800Åの青色発光用の有機蛍光体層を形成し、バッファー層および青色発光用の有機蛍光体層からなる発光層(第3の発光層)を形成した。
【0082】
(青色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール                   70部
・オキサジアゾール                      30部
・ペリレン                           1部
・モノクロロベンゼン                   4900部
【0083】
こうして形成された第3の発光層上に、実施例1で用いたのと同様なマスクを、第1および第2の発光層パターンを形成するときとは位置をずらして密着させ、実施例1におけるのと同じ条件で、ドライエッチングを行ない、マスクの開孔部から露出している発光層を除去し、マスクの非開孔部に残留した第3の発光層パターンを得た。
【0084】
実施例2、および実施例3の各実施例で得られたものについては、酢酸エチルを用いて、発光層パターン上の保護層を除去し、実施例1で得られたものについては、保護層の除去工程を省き、その後、実施例1〜実施例3で得られたいずれのものも、温度;100℃で1時間乾燥させた。乾燥後、発光層パターン上に、厚みが500ÅのCa層からなる第2電極層、および厚みが2500ÅのAg層からなる金属保護層を、いずれも蒸着法により形成し、有機EL素子とした。
【0085】
各実施例で得られた有機EL素子のITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、10Vの直流電圧を印加したところ、実施例1の有機EL素子の第1の発光層パターンからは赤色の発光が得られ、第2の有機EL素子からは、第1の発光層パターンの発光に加えて、第2の発光層パターンからの緑色の発光が得られ、第3の有機EL素子からは、第1および第2の発光パターンの発光に加えて、第3の発光層パターンからの青色の発光がそれぞれ得られた。また、各発光層を構成する発光層要素の発光部分の幅は、設計値にくらべてほとんど変化がなく、発光部分の面積は、設計値の90%〜100%であることが確かめられた。
【0086】
(比較例)
各色発光用の有機蛍光体層形成用組成物としては、実施例1〜実施例3で用いたのと同じものを用い、各色発光用の有機蛍光体層のパターン化は、一面に形成された有機蛍光体層を、フォトレジストを用いてレジストパターンを形成し、その後、エッチング液を用いてエッチングするフォトリソグラフィー法によって行った場合には、得られた有機EL素子は、実施例1〜実施例3におけるのと同様、赤色、緑色、および青色の発光が得られたものの、各発光層を構成するストライプ状の発光層要素の発光部分の幅が、形成されている発光層要素の幅にくらべて狭くなっており、発光部分の面積は、設計値の70%〜80%に縮小していた。
【0087】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、従来のフォトリソグラフィー法によることに代え、所定の開孔部を有するマスクを介してドライエッチングするため、エッチング液によりエッチングする際におけるように、エッチング時に、発光層中の有機蛍光体の機能低下が生じることがない有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0088】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、発光層積層工程およびドライエッチング工程を、マスクの開孔部の位置を変えて二回以上行なうことにより、多色の表示に必要な二種以上の発光層を形成することが可能な有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0089】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加え、フルカラー表示のための光の三原色の各々を発光し得る三種の発光層を形成することが可能な有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0090】
第4の発明によれば、第2または第3いずれかの発明の効果に加え、発光層積層工程およびドライエッチング工程を二回以上行なう際の、各回の間で、形成された発光層を保護層で被覆する工程をさらに行なうので、後から発光層を全面に形成する際に、先に形成された発光層への影響を与えることが解消可能な有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0091】
第5の発明によれば、第1〜第4いずれかの発明の効果に加え、前記発光層が、前記有機蛍光体を含む層、並びに、正孔輸送層または/および電子輸送層からなる場合にも適用可能な有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の製造方法の各過程を示す図である。
【図2】二種の発光層を形成する製造方法の各過程を示す図である。
【図3】三種の発光層を形成する製造方法の各過程を示す図である。
【図4】ドライエッチング用のストライプ状のマスクの平面図である。
【図5】個々の部分が正方形状もしくは円形状のマスクの平面図である。
【図6】縦ストライプおよび横ストライプのマスクの平面図である。
【符号の説明】
1  基板
2  バッファー層
3  有機蛍光体層
4  発光層
5  マスク
6  保護層

Claims (5)

  1. 一対の電極間に、一方の電極から注入された電子と他方の電極から注入された正孔が再結合することにより発光し得る有機蛍光体を含む層からなる発光層が少なくとも積層された積層構造を有する有機EL素子を製造するに際して、前記のいずれかの電極上に前記発光層を一面に積層する発光層積層工程、および、積層後の前記発光層を所定の開孔部を有するマスクを介してドライエッチングして、前記発光層の前記マスクの非開孔部に相当する部分を残留させると共に、それ以外の部分を除去するドライエッチング工程とを、順次行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を、前記ドライエッチング工程における前記マスクの前記開孔部の位置を各回毎に異ならせて、二回以上行なうことを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を、前記有機蛍光体の発光色が光の三原色の各々になるよう、各回毎に前記有機蛍光体として発光色の異なるものを用いて、三回行なうことを特徴とする請求項2記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記発光層積層工程および前記ドライエッチング工程を二回以上行なう際に、各回の間で、前回のドライエッチングにより残留させた前記発光層を保護層で被覆する工程をさらに行なうことを特徴とする請求項2または請求項3記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記発光層が、前記有機蛍光体を含む層、並びに、正孔輸送層または/および電子輸送層からなることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか記載の有機EL素子の製造方法。
JP2002290550A 2002-10-03 2002-10-03 有機el素子の製造方法 Expired - Fee Related JP4303935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002290550A JP4303935B2 (ja) 2002-10-03 2002-10-03 有機el素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002290550A JP4303935B2 (ja) 2002-10-03 2002-10-03 有機el素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004127726A true JP2004127726A (ja) 2004-04-22
JP4303935B2 JP4303935B2 (ja) 2009-07-29

Family

ID=32282365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002290550A Expired - Fee Related JP4303935B2 (ja) 2002-10-03 2002-10-03 有機el素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4303935B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006040741A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Dainippon Printing Co Ltd エレクトロルミネッセント素子、及びその製造方法
JP2006318876A (ja) * 2004-06-29 2006-11-24 Dainippon Printing Co Ltd エレクトロルミネッセント素子の製造方法及びエレクトロルミネッセント素子
WO2007029523A1 (ja) * 2005-09-05 2007-03-15 Pioneer Corporation 被エッチング材の製造方法
JP2010518586A (ja) * 2007-02-13 2010-05-27 フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. 磁気マスクデバイスを使用する基板プラズマ処理
JP2013538426A (ja) * 2010-08-24 2013-10-10 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 有機エレクトロルミネセント素子
WO2020004086A1 (ja) * 2018-06-25 2020-01-02 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 有機el素子および有機el素子の製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006318876A (ja) * 2004-06-29 2006-11-24 Dainippon Printing Co Ltd エレクトロルミネッセント素子の製造方法及びエレクトロルミネッセント素子
JP4485277B2 (ja) * 2004-07-28 2010-06-16 大日本印刷株式会社 エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP2006040741A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Dainippon Printing Co Ltd エレクトロルミネッセント素子、及びその製造方法
JP4700692B2 (ja) * 2005-09-05 2011-06-15 パイオニア株式会社 被エッチング材の製造方法
JPWO2007029523A1 (ja) * 2005-09-05 2009-03-19 パイオニア株式会社 被エッチング材の製造方法
WO2007029523A1 (ja) * 2005-09-05 2007-03-15 Pioneer Corporation 被エッチング材の製造方法
US8114685B2 (en) 2005-09-05 2012-02-14 Pioneer Corporation Method of manufacturing material to be etched
JP2010518586A (ja) * 2007-02-13 2010-05-27 フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. 磁気マスクデバイスを使用する基板プラズマ処理
JP2013538426A (ja) * 2010-08-24 2013-10-10 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 有機エレクトロルミネセント素子
KR101798212B1 (ko) 2010-08-24 2017-11-15 코닌클리케 필립스 엔.브이. 유기 전계발광 소자
WO2020004086A1 (ja) * 2018-06-25 2020-01-02 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 有機el素子および有機el素子の製造方法
JPWO2020004086A1 (ja) * 2018-06-25 2021-06-24 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 有機el素子および有機el素子の製造方法
US20210265432A1 (en) * 2018-06-25 2021-08-26 Sony Semiconductor Solutions Corporation Organic el device and method for manufacturing organic el devices
US11678550B2 (en) * 2018-06-25 2023-06-13 Sony Semiconductor Solutions Corporation Organic EL device and method for manufacturing organic EL devices
JP7394758B2 (ja) 2018-06-25 2023-12-08 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 有機el素子および有機el素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4303935B2 (ja) 2009-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100962601B1 (ko) 전자발광 소자의 제조 방법
US7914976B2 (en) Production method for electroluminescent element
JP4816365B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP3839276B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
US8070545B2 (en) Method for fabricating electroluminescent element
JP4578026B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
US7736921B2 (en) Method for manufacturing electroluminescent element
JP4303935B2 (ja) 有機el素子の製造方法
JP4440524B2 (ja) 有機el素子の製造方法
JP3781647B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP4589245B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP4531324B2 (ja) 有機el素子の製造方法
JP3813069B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP2004006231A (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP4044362B2 (ja) 有機el素子の製造方法
JP3762255B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP2004014203A (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP4401359B2 (ja) エレクトロルミネッセント素子の製造方法
JP2005032735A (ja) エレクトロルミネッセント素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080603

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090402

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees