JP2004126796A - コイン識別センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】定電流駆動回路12dから供給される一定電流により励磁コイル3を駆動して、コイン材質識別信号の温度変動を励磁コイル3の巻線抵抗値DCRに基づく変動分が除かれた状態とし、センサコアSCの透磁率μの温度変動に基づく変動に対応したものとするとともに、センサコアSCの透磁率μの温度特性や、定電流駆動回路12dから励磁コイル3への印加電圧の温度特性などを予め測定して、コイン識別センサの環境温度を推定し、その推定温度をCPU14内に設けられた温度補正手段によりコイン材質識別信号を容易かつ高精度に補正するようにしたもの。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアに巻回された励磁コイルに通電することにより発生する磁束に対するコインの及ぼす変化を検出コイルにより検出することによってコイン識別出力を得るように構成されたコイン識別センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ATM、自動販売機、自動券売機などには、投入されたコインの種別を判別するためのコイン識別装置が用いられている。このコイン識別装置は、例えば図11に示されているような巻線型の磁気センサを備えており、その磁気センサを構成しているセンサコアSC1,SC2が、検出すべきコインCの表裏に対向するように配置されている。上記2つのセンサコアSC1,SC2には、それぞれ励磁コイル3,検出コイル4が巻回されている。そして、上記励磁コイル3,3に通電したときに発生する磁束が前記コインCに対して磁気的に作用することによって当該コインCに渦電流が生じ、その渦電流に基づく磁束の変化をコイン識別信号として前記検出コイル4により検出する構成になされている。
【0003】
一方、上記磁気センサには、図示は省略するが、上述したコイン識別信号からコインの種別を識別するコイン識別手段が付設されている。そのコイン識別手段には、前記2つのセンサコアSC1,SC2の間をコインCが通過したときに検出コイル4から得られる各コイン毎の基準出力値が予め格納されている。より具体的には、上記2つのセンサコアSC1,SC2の間にコインCが存在していない場合のセンサ待機時において前記検出コイル4から出力される待機出力信号のレベル値と、コインCが通過したときにおける上記検出コイル4からの検出出力信号の最大レベル値との差が、各コインCの種別毎に予め求められて上記コイン識別手段に基準出力値としてそれぞれ格納されている。そして、それらの各基準出力値が、コイン識別信号と比較されることによってコイン種別の識別が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような一般に広く用いられているコイン識別センサに用いられている励磁コイル3は、例えば図12に示されているような定電圧回路から供給される一定電圧で駆動されている。その結果、コイン識別センサを使用している環境温度が変化した場合において、以下のような誤動作を招来するおそれがある。
【0005】
まず、図13に示されているように、上記巻線型磁気センサに設けられたセンサコアSCの透磁率μは、センサコアSCに用いる磁性材の特性により、温度Tの変化に対応して種々の特性となる。例えば、温度Tの変化に対して増加傾向を示すもの(例1)、減少傾向を示すもの(例2)、増加の後減少するもの(例3)等、様々である。即ち、巻線型磁気センサの使用環境温度が変化した場合には、センサ感度が温度とともに変動するので、待機出力信号のレベル値と、検出出力信号のレベル値との差により被検出体の検出信号を求めたとしても、このレベル差も環境温度とともに変動してしまい、被検出体の検出を誤認識するおそれがある。
【0006】
また、センサのインピーダンスをみると、上記のような透磁率μの温度変動に加えて、励磁コイル3の巻線抵抗値DCRも図14において実線に示すように環境温度Tの変化に従って変動する。つまり、巻線型磁気センサのセンサインピーダンスZは、上述した透磁率μの温度変動と、巻線抵抗値DCRの温度変動とが混在したものとなっており、後述するように、駆動周波数における駆動コイルのインピーダンスの主成分が巻線抵抗値DCRであるような低周波領域では、巻線抵抗値DCRの直線的変化の方が透磁率μの温度変動による駆動コイルのインピーダンス変化より大きいので、センサインピーダンスZは温度上昇とともに高くなる。駆動周波数が高くなると、センサインピーダンスに占めるインダクタンス成分が大きくなり、センサインピーダンスZの温度変動は、図13に示すようなセンサコアSCに用いる磁性材の特性に近いものとなる。駆動周波数が上記低周波領域と高周波領域との中間の周波数領域の場合は、巻線抵抗値DCRによる変動と透磁率μの変動とが加算されることになるので、駆動周波数に応じて複雑な特性となる。
【0007】
また、コインは、温度変化とともにその導電率が変化し、その導電率の変化はコインに発生するうず電流を変化させるから、この原因によっても検出出力が変化することになる。
【0008】
従って、従来のように励磁コイル3を定電圧駆動していると、温度上昇とともにセンサインピーダンスZが高くなるような低周波駆動をしている場合や、図13における例1のような透磁率特性のセンサコアSCを用いた磁気センサを高周波駆動している場合には、温度上昇に従って励磁コイル3の駆動電流Iが低下していくこととなり、その結果、図15のように、温度Tの上昇に伴ってセンサ出力、すなわちコイン識別信号が減少することとなって、コインの認識動作に支障を来すおそれがある。
【0009】
このように、従来のコイン識別センサから得られるコイン識別信号の温度変動には、センサコアSCの透磁率μの温度変動に基づく変動分と、励磁コイル3の巻線抵抗値DCRに基づく変動分と、更にコインの導電率に基づく変化分とがあり、その合算された変動量は大きく、複雑な状態となっている。即ち、従来の構成では、個々のコイン識別センサ毎に温度特性にバラツキを生じることとなって、コインの識別精度を高めることができないという問題があった。
【0010】
このような問題を解決するために、回路部又はセンサ部にサーミスタなどの温度検出素子を取り付けて環境温度を測定し、その測定温度に対応してコイン識別信号を温度補正する技術も提案されてはいるが、必要なセンサ部分の温度を正確に測定することは難しいことから補正に誤差を生じやすく、しかも高価な装置になってしまう。
【0011】
そこで本発明は、簡易な構成によって、容易かつ高精度なコイン識別を行うことができるようにしたコイン識別センサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にかかるコイン識別センサでは、識別すべきコインに対面されるセンサコアと、このセンサコアの一部に巻回された励磁用コイル及び検出用コイルとを備え、上記励磁コイルに対して常時一定の電流を供給して駆動する定電流駆動回路が設けられている。
【0013】
この場合、前記励磁用及び検出用コイルは、励磁用コイルが検出用コイルを兼ねているような共通のコイルを兼用して用いてもよいし、別個の励磁コイル及び検出コイルを用いてもよい。
【0014】
上記構成を有するコイン識別センサにおいては、励磁コイルを一定電流により駆動するようにしているので、検出コイルからは、励磁コイルの巻線のインピーダンス温度変動分を除外して得ることができることになるので、環境温度の変動に対して誤差の小さいコイン識別センサを容易に得ることができる。
【0015】
このため、センサコアにコインが対面していないセンサ待機時において、検出コイルから出力される待機出力信号のレベル値に基づいて、温度変動によるセンサコアの透磁率変動に基づいた検出コイルよりの検出信号の変動分を補正する温度補正手段を設けることができる。
【0016】
また、定電流駆動回路から励磁コイルに印加されている駆動電圧の上記励磁コイルにおけるレベル値を検出することにより、励磁コイルのその時点での温度を推定し、その推定温度値に基づいて上記検出コイルより検出された検出信号を補正し、コイン識別信号とする温度補正手段を設けることができる。
【0017】
この励磁コイルにおける温度の推定ができるようにするために、温度検出用の低周波信号を前記励磁コイルに印加し、上記低周波信号の出力値に基づいて上記励磁コイルの温度を推定する。この場合、上記低周波信号は、直流信号がコイルのインダクタンス成分を除くために好ましいが、低周波信号であってもコイルのインダクタンス成分の割合を小さくできるので、充分用いることができる。このように低周波信号を励磁コイルに印加するようにすれば、温度による変動をほぼ直線的に変化する励磁コイルの巻線抵抗値DCR成分として扱うことができ、励磁コイルの温度を高精度で推定することができる。
【0018】
励磁コイルの温度を推定することができれば、これはセンサそのものを構成する部材の温度であるから、その励磁コイルの推定温度値に基づいてコイン識別信号を補正する温度補正手段を設けた場合、その補正結果は非常に信頼性の高い出力値とすることができる。
【0019】
従って、このような構成を有するコイン識別センサにおいては、センサコアSCの透磁率μの温度特性や、定電流駆動回路から励磁コイルへの印加電圧の温度特性などを予め測定しておくことによってコイン識別センサの環境温度が直ちに推定できることとなり、その推定温度を温度補正手段に用いることによってコイン識別信号を容易かつ高精度に温度補正することができるものとなる。
【0020】
なお、本発明におけるセンサコアとして、センサコアの透磁率が温度上昇変化に対してほぼ単調増加な変化をする材質により構成するようにし、上記透磁率の変化が、コインの温度変動に伴う導電率変動に基づく検出コイルよりの検出信号の変動分を補正するように設定しておけば、上記透磁率の変化が、コインの温度変動に伴う導電率変動に対して相殺する関係とすることができ、コイン識別信号を容易に温度補正した出力とすることができる。
【0021】
また、前記定電流駆動回路を、コイン識別センサの近傍、即ち、センサコアの近傍に配置するようにしておけば、長い配線を使用する必要がなく、発振の防止やSN比の向上等、回路動作の安定性を確保することができる。
【0022】
また、センサコアを複数の異なる周波数で駆動するような場合、定電流駆動回路を、一つの発振器の出力を分周して形成されてなる複数の異なる周波数で駆動が可能であるように構成しておけば、位相がそろった周波数を簡単に形成することができ、ビートが発生して出力に揺らぎが生ずるような問題を防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
まず、コイン識別センサの全体は、図3に示されているように、磁気センサ部11に対して、励磁コイル3の駆動及び検出コイル4の検出を行う励磁/検出回路12が接続されており、その励磁/検出回路12によって得られたコイン識別信号が、A/D変換器13を通してCPU14に送られ、このCPU14において最終的な検出信号が得られる。一方、上記磁気センサ部11には、励磁コイル3の温度を検出するため励磁コイル3の駆動電圧を検出する駆動電圧検出回路15が接続されており、駆動電圧検出回路15から、A/D変換器16を通して出力される信号によって、励磁コイル3の温度を検出し、その温度に基づいて上記コイン識別信号の温度補正が行われるようになっている。
【0025】
このようなコイン識別装置に用いられている上記励磁/検出回路12は、例えば図4に示されているような構成になされている。まず、水晶発振器12aからの出力を分周器12bで適宜に分周して得られたクロック信号が、ローパスフィルター(LPF)12cを通して定電流回路12dに送られる。この定電流回路12dは、例えば図2に示されているような構成を有しており、励磁コイル3に対して常時一定の駆動電流が供給されようになっている。一方、検出コイル4の出力側には、プリアンプ12eが接続されているとともに、そのプリアンプ12eからの出力が、帯域フィルター12f、検波器12g及びローパスフィルター(LPF)12hを通して、コイン識別信号Vo になされている。
【0026】
ここで、本発明にかかる定電流回路として、図2に示されているような励磁コイル3を定電流駆動する回路を考えてみる。
【0027】
この定電流駆動回路では、入力電圧Vin と、純抵抗RLの端部電圧が常時同じになるようにフィードバックがかけられた状態となっており、いわゆる入力端子の仮想短絡状態が形成されている。従って、抵抗RLに流れる電流は、(入力電圧Vin )/(電流設定抵抗RL)となる。ここで、上記入力電圧Vin として周波数fの正弦波を用いることとすれば、励磁コイル3と抵抗RLに流れる電流を正弦波状にすることができる。そして、励磁コイル3におけるDCRやLが変動しても、オペアンプの出力が飽和しない範囲では、上述した関係は保たれることとなる。従って、励磁コイル3のインピーダンスが変動しても、常に一定の電流値で駆動することができる。例えば、入力電圧Vin に対して1Vp−pの正弦波を印加した場合には、10Ωに設定した抵抗RLに100mAp−pの正弦波状の電流が流れる。
【0028】
図2に示す定電流回路12dでは、励磁コイル3側からみたインピーダンスが高く、励磁コイル3と駆動回路との間に長い配線を使用すると回路が不安定になり易いことから、発振したり、S/N比が劣化する場合がある。そこで、上述した図4中において破線部分で囲んだ部位における定電流回路12dや、検出コイル4のプリアンプ12eなどをセンサ内に組み込んで、センサ部の近傍に配置することとすれば、駆動回路側の安定化とSN比の向上が図られるとともに、センサシステムとしての安定性確保とSN比の向上が達成されることとなる。
【0029】
なお、ここでは、発振器12aとローパスフィルター(LPF)12cとを用いて低周波数の正弦波を得るようにしており、励磁コイル3に対して、温度検出用と被検出体を検出するための検出信号とを兼用した低周波信号を用いた例を示している。なお、図4において、一点鎖線から図示左方側の部分を一体型とせず、外部側に配置することによって外部供給を行うようにしても良いし、二点鎖線から左側部分を外部配置としてもよい。
【0030】
また、駆動周波数の異なるセンサを隣接して配置する場合などにおいては、異なるセンサ相互の位相ズレが存在していると、ビートが発生して出力に揺らぎを生じる場合がある。このような場合には、共通の発振器12aを用い、それぞれのセンサを共通の発振器12aにより駆動する構成にしておけば、互いに位相が揃った周波数を分周器で容易に作成することができるという利点が得られる。
【0031】
このような構成の実施形態にかかるコイン識別センサにおいては、励磁コイル3が定電流駆動回路12dから供給される一定電流により駆動されていることから、コイン識別センサから得られるコイン識別信号の温度変動は、励磁コイル3の巻線のインピーダンス変動分が除かれた状態となっており、センサコアSCの透磁率μの温度変動とコインの透磁率の温度変動に基づく変動に対応したものとなっている。従って、センサコアSCにコインが対面していないセンサ待機時に、検出コイル4から出力される待機出力信号のレベル値を検出することにより、温度変動によるセンサコアSCに基づいた検出コイル4よりの検出信号の変動分を補正することができ、環境温度の変動に対して誤差の小さいコイン識別センサを容易に得ることができる。
【0032】
このため、例えばセンサコアSCの透磁率μの温度特性を予め求めておき、また、上述した駆動電圧検出回路15における定電流駆動回路12dから励磁コイル3への印加電圧の温度特性などを予め測定しておけば、コイン識別センサの環境温度が直ちに推定できることとなり、その推定温度を、前記CPU14内に設けられた後述するような温度補正手段に用いることによって、コイン識別信号が容易かつ高精度に補正することができる。
【0033】
このような温度補正手段によるコイン識別信号の温度補正は、センサコアSCの透磁率μが温度に対して単調に変化する場合に特に良好な結果が得られるが、常温の範囲で単調な特性を示すセンサコアは、容易に入手することができる。
【0034】
ここで、上述した駆動電圧検出回路15は、例えば図5に示されている実施形態におけるような構成とすることができる。すなわち、図5にかかる駆動電圧検出回路15は、前述したセンサコアSCの対向コア部1,1(図1参照)どうしの間にコインCが存在していないセンサ待機時に、温度検出用の低周波信号を励磁コイル3の両端部の電圧値として差動増幅器21で観察するようにしたものであって、その差動増幅器21からの出力を、検波回路22及びローパスフィルター(LPF)23を通すことにより励磁コイル3の駆動電圧V0Zを得るようにしたものである。
【0035】
図1に示されたセンサコアSCを有するコイン識別センサにおいて、駆動周波数が低くその駆動周波数におけるインダクタンスが小さい場合には、コイルのインピーダンスは巻線抵抗値DCRが支配的となり、インピーダンスの寄与率はcosθの二乗で決まることとなり、コア形状、巻数、周波数によって異なるが、ほとんどが巻線抵抗値DCRの成分となる。従って、センサの駆動周波数は低い周波数を用いることが、容易に巻線抵抗値DCRの変動を求めるためには好ましい。
【0036】
上記励磁コイル3の駆動電圧と温度との関係は、予め測定されたデータにより関係付けられており、上述したコイン識別センサ(図3参照)のCPU14内にテーブル又は数式として格納されている。そして、上述した駆動電圧検出回路15によって、センサコアSCの対向コア部1,1(図1参照)どうしの間にコインCが存在していないセンサ待機時における励磁コイル3の両端部の電圧の実効値が求められ、この電圧の実効値から上記CPU14に設けられた適宜の温度補正手段において比較されることによって、現時点における励磁コイル3の温度が推定され、その励磁コイル3の推定温度値に基づいてコイン識別信号の補正が、次のようにして行われるようになっている。
【0037】
例えば、CPU14内では、図6に示されているように、温度補正のフローが実行されるようになっている。この例では、被検出体の通過がなされていない待機時に温度を求めるようにしてある。温度補正動作がスタートすると、まず、現時点での最新データの読み込みが行われ(ステップ1)、次いで、コインCの通過がなされていないことが確認された後(ステップ2のNo)、上述した励磁コイル3の駆動電圧と温度との関係に基づいて励磁コイル3の温度推定が実行される(ステップ3)。これにより得られた励磁コイル3の推定温度は、CPU14内の適宜のメモリM内に書き込まれて定期的に更新される。そして、実際にコインCの投入が行われてコイン識別装置をコインCが通過した場合には(ステップ2のYes)、上記メモリMから呼び出された温度推定値が用いられて、コイン識別信号の補正処理(ステップ4)が実行される。
【0038】
なお、上記の例においては、励磁コイル3の温度推定を実行し、その温度推定値を用いてコイン識別信号の補正処理を行うようにしたが、待機時における励磁コイル3の駆動電圧の検出結果を用いて、これに対応する補正処理をそのまま実行するようにしてもよい。この場合、上記の温度推定を実行はしていないが、その温度推定値を用いる場合と同様の補正処理となるから、実質的には同じ補正処理ということができる。
【0039】
ところで、コイルのインダクタンスは周波数に比例して大きくなることから、励磁コイルに印加する周波数を高くした場合に励磁コイルのインピーダンスに占めるコイルのインダクタンスLの割合が高くなるので、高い周波数を温度検出用として用いることは好ましくない。
【0040】
具体的には、次の表1のコイルのような、駆動周波数が100kHzでインダクタンスが小さく巻線抵抗値DCRの大きいコイルにおいても巻線抵抗値DCRのインピーダンスへの寄与率は極めて低くなる。
【0041】
【表1】
【0042】
このような場合は、コア透磁率の温度特性を利用した温度計とすることができるが、用いるコア材は、その温度特性が必ずしも温度計として好ましいものとは限らないので、この場合には、以下のように構成するのがよい。
【0043】
例えば図7に示されているDCR検出回路では、駆動側に直流のバイアス電源VDC31を印加しておくことによって、励磁コイル3の両端における直流電位を、プリアンプ32及びローパスフィルタ(LPF)33を通してDCRを求めるようにしている。ここで、直流のバイアス電源VDC31は、低周波数における最も低い周波数の例とみなすことができる。このようにバイアス電源VDC31によって僅かな直流分をコイルに加えても、センサ出力であるコイン識別信号(=dφ/dt)は、コアが飽和しない範囲内であれば影響を受けることはない。
【0044】
このような図7に示されているDCR検出回路を、実際に5つのコイン識別センサに用いて、励磁コイル3の駆動電圧V0Zの温度変動を測定してみたところ、図8に示されているように、各コイン識別センサ毎のバラツキが小さく、温度に対して直線性のよい特性が得られることが判明した。従って、同一の補正データを全てのセンサに用いることができる。
【0045】
一方、上記と同様に5つのコイン識別センサを用いて、その待機時における出力信号のレベル値の温度変動を測定してみたところ、図9に示されているようになった。この場合は、コア透磁率の温度特性を利用した温度計とすることができる。この結果によれば、各コイン識別センサ毎のバラツキが比較的大きくなっているが、一定の傾向がみられるので、各コイン識別センサ毎に補正曲線を持たせておくことで温度補正をすることができる。
【0046】
また、複数のコイン識別センサを各々異なる周波数で駆動する場合には、例えば図10に示されているような駆動回路が用いられる。この場合は、コインの形状を検出するのに、例えば1MHzの高周波信号を用い、コインの厚み識別には、例えば100KHzの低周波信号を用い、更に、材質識別には、例えば4KHzの低周波信号を用いた例である。そのうちで最も周波数の低いセンサー励磁コイルを使って温度検出する。これは低周波数程インピーダンスのしめる直線抵抗分が大きいので精度良く温度検出が可能になるからである。このようにすれば、それぞれの目的に応じた周波数信号を用いて、被検出体の検出及び温度検出をすることができる。上述したように位相が異なる複数の周波数を同時に用いた場合には、位相差の状況などで出力振幅が揺らぐことがあるが、このような駆動回路を用いれば、位相の揃った駆動信号を得ることができ、出力の揺らぎが解消される。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0048】
例えば、本発明は、上述した実施形態にかかる構造のコイン識別センサに限定されることはなく、励磁コイルの磁束の磁気的作用によってコインに発生した渦電流に基づくインピーダンス変化を検出コイルにより検出するようにしたものであれば、多種多様なコイン識別センサに対しても同様に適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明にかかるコイン識別センサは、励磁コイルに対して常時一定の電流を供給して駆動する定電流駆動回路を設け、その定電流駆動回路から供給される一定電流により励磁コイルを駆動したことによって、コイン識別センサから得られるコイン識別信号の温度変動を励磁コイルの巻線のインピーダンス温度変動分を除外した状態としているから、センサコアSCの透磁率μの温度変動に基づく変動に対応して検出することができ、環境温度の変動に対して誤差の小さいコイン識別センサを容易に得ることができる。さらに、定電流駆動することで、励磁コイルと環境温度に従ってインピーダンス変化を用いた温度計により精度良くセンサ温度を測定することができる。
【0050】
また、本発明にかかるコイン識別センサは、センサコアの対向コア部どうしの間にコインが存在していないセンサ待機時における定電流駆動回路から励磁コイルに印加されている駆動電圧のレベル値から、励磁コイルの現時点での温度を推定することができ、その励磁コイルの推定温度値に基づいて前記コイン識別信号を補正する温度補正手段、又は、センサコアの対向コア部どうしの間にコインが存在していないセンサ待機時に検出コイルから出力される待機出力信号のレベル値から、コイン識別信号を補正する温度補正手段を設けておき、センサコアSCの透磁率μの温度特性や、定電流駆動回路から励磁コイルへの印加電圧の温度特性などを予め測定しておくことによってコイン識別信号を容易かつ高精度に温度補正するようにしていることから、より一層高精度にコインの識別を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるコイン識別センサに設けられた磁気センサ部分の構造を表した側面説明図である。
【図2】定電流回路の一例を表した線図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるコイン識別装置全体の概略構成を表した線図である。
【図4】図3に示されたコイン識別装置に用いられている励磁検出回路の一例を表した線図である。
【図5】図4に表されたコイン識別装置に用いられている駆動電流検出回路の一例を表した線図である。
【図6】コイン材質識別信号の補正手順の一例を表した線図である。
【図7】DCR検出回路の一例を表した線図である。
【図8】図7に示されているDCR検出回路を用いて励磁コイルの駆動電圧の温度変動を測定した結果を表した線図である。
【図9】図7に示されているDCR検出回路を用いて待機出力信号の温度変動を測定した結果を表した線図である。
【図10】複数のコイン識別センサを各々異なる周波数で駆動する場合の駆動回路例を表した線図である。
【図11】一般のコイン識別センサに用いられている磁気センサ部を拡大して表した側面説明図である。
【図12】図11に表したコイン識別センサの磁気センサ部を使用する場合の位置関係を表した斜視説明図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態におけるコイン識別センサの概略構造を表した側面説明図である。
【図14】図13に示されたコイン識別センサによる検出区間の調整状態を表した線図である。
【図15】センサインピーダンスの温度変動を模式的に表した線図である。
【符号の説明】
SC センサコア
C コイン
1 対向コア部
2 基体コア部
3 励磁コイル
4 検出コイル
11 磁気センサ部
12 励磁検出回路
14 CPU(温度補正手段)
Claims (8)
- 識別すべきコインに対面されるセンサコアと、このセンサコアの一部に巻回された励磁用コイル及び検出用コイルと、を備え、
上記励磁コイルに通電することにより発生する磁束の上記コインに対応した変化を前記検出コイルにより検出してコイン識別信号を得るように構成されたコイン識別センサにおいて、
上記励磁コイルに対して常時一定の電流を供給して駆動する定電流駆動回路が設けられていることを特徴とするコイン識別センサ。 - 前記励磁用コイル及び検出用コイルは、共通のコイルを兼用して用いるか、別個に設けられた励磁コイル及び検出コイルを用いることを特徴とする請求項1記載のコイン識別センサ。
- 前記センサコアにコインが対面していないセンサ待機時に前記検出コイルから出力される待機出力信号のレベル値に基づいて、温度変動による前記センサコアの透磁率変動に基づいた前記検出コイルからの検出信号の変動分を補正する温度補正手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコイン識別センサ。
- 前記定電流駆動回路から前記励磁コイルに印加されている駆動電圧の前記励磁コイルにおけるレベル値を検出することにより、上記励磁コイルのその時点での温度を推定し、その推定温度値に基づいて前記検出コイルより検出された検出信号を補正し、前記コイン識別信号とする温度補正手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコイン識別センサ。
- 前記温度補正手段は、前記定電流駆動回路から前記励磁コイルに印加されている温度検出用低周波信号の駆動電圧のレベル値と、前記励磁コイルの推定温度値との関係を予め求めておき、その関係に基づいて前記推定温度値が定められたことを特徴とする請求項4記載のコイン識別センサ。
- 前記センサコアは、当該センサコアの透磁率が温度上昇変化に対してほぼ単調増加な変化を呈する材質により構成され、上記透磁率のほぼ単調増加な変化は、コインの温度変動に伴う導電率変動に基づく前記検出コイルよりの検出信号の変動分を補正するように設定されていることを特徴とする請求項1記載のコイン識別センサ。
- 前記定電流駆動回路は、前記センサコアの近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載のコイン識別センサ。
- 前記定電流駆動回路は、一つの発振器の出力を分周して形成されてなる複数の異なる周波数でセンサコアを駆動可能に構成されていることを特徴とする請求項7記載のコイン識別センサ。
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