JP2004126279A - 光路開閉装置および光路開閉装置を有する電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化および薄型化が図れ、手動ではなく短時間通電するだけで光路系の光路を開閉することができる光路レンズ開閉装置を提供すること。
【解決手段】回転駆動体45は、光路の全閉用の第1回転位置P1ではベース40の開口部41を閉じる閉鎖部140と、光路の全開用の第2回転位置P2ではベースの開口部を開く開放部47を有する。通電することで付勢部材48の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる1本の形状記憶合金部材50と、回転駆動体が第2回転位置に位置され形状記憶合金部材への通電を停止した状態で回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材による回転駆動体の回転動作を阻止し、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材により第2回転位置から第1回転位置に復帰させるロック機構部54を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】回転駆動体45は、光路の全閉用の第1回転位置P1ではベース40の開口部41を閉じる閉鎖部140と、光路の全開用の第2回転位置P2ではベースの開口部を開く開放部47を有する。通電することで付勢部材48の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる1本の形状記憶合金部材50と、回転駆動体が第2回転位置に位置され形状記憶合金部材への通電を停止した状態で回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材による回転駆動体の回転動作を阻止し、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材により第2回転位置から第1回転位置に復帰させるロック機構部54を備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばデジタルスチルカメラのような光学系の光路を有する電子機器に装着される光路開閉装置および光路開閉装置を有する電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学系の光路を有する電子機器としては、たとえばスチルカメラがある。このスチルカメラは、光学系の光路の開閉を行うために手動方式のレンズバリア部材を有している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−237658号公報(第3頁乃至第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の手動方式のレンズバリアを有するスチルカメラには、レンズバリアの手動動作用のレバーが必要になり、この種の手動レンズバリアを有する開閉装置は、小型化および薄型化が難しい。しかも、このような光学系の光路を開閉する開閉装置の動作は自動化することが望まれている。
そこで本発明は上記課題を解消し、小型化および薄型化が図れ、手動ではなく短時間通電するだけで光学系の光路を開閉することができる光路レンズ開閉装置および光路レンズ開閉装置を有する電子機器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置であり、前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置である。
【0006】
請求項1では、ベースは光学系の光路を通すための開口部を有している。
回転駆動体は、ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられている。この回転駆動体は、閉鎖部と開放部を有している。回転駆動体の閉鎖部は、光路の全閉のための第1回転位置ではベースの開口部を閉じる。回転駆動体の開放部は、光路の全開のための第2回転位置ではベースの開口部を開くようになっている。
付勢部材は、回転駆動体を付勢力により第1回転位置に強制的に位置させる。一本の形状記憶合金部材は、回転駆動体とベースとの間に取り付けられて通電することで、付勢部材の付勢力に打ち勝って第1駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる。
ロック機構部は、回転駆動体が第2回転位置に位置されて形状記憶合金部材の通電を停止した状態で、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力による回転駆動体の回転動作を阻止する。そしてロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰させる。
【0007】
これにより、1本の形状記憶合金部材に対して通電を停止した状態では、回転駆動体は第2回転位置に位置されている。ロック機構部は、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるようにして開口部を全開し、付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体は付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰される。従って、回転駆動体の閉鎖部は第1回転位置に位置されて、この閉鎖部は光学系の光路を全閉することができる。
【0008】
このように1本の形状記憶合金部材に対する通電を停止した状態で回転駆動体の開放部とベースの開口部が合うので、形状記憶合金部材への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
そして、光学系の光路を閉じる場合には、再び形状記憶合金部材に通電すれば、付勢部材の付勢力により回転駆動体が第2回転位置から第1回転位置に回転するので、回転駆動体の閉鎖部が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体は付勢部材の付勢力により回転駆動体を第1回転位置に位置させるのである。
【0009】
このことから、1本の形状記憶合金部材に対して1度短時間通電すれば、1本の形状記憶合金部材は、付勢部材の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材に短時間通電することにより、回転駆動体は第2回転位置から第1回転位置に移動して付勢部材の付勢力を用いて回転駆動体を第1回転位置に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である。
【0011】
請求項2では、ベースは電気絶縁材料により作られている。ベースの開口部はベースの中心部に円形状に形成されている。回転駆動体は平板状の部材であり、回転駆動体の開放部はベースの開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体が平板状の部材でありベースも平板状であることから、光路開閉装置の薄型化を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光路開閉装置において、前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている。
【0013】
請求項3では、付勢部材はねじりコイルばねであり、付勢部材の一端部が回転駆動体に取り付けられ付勢部材の他端部はベースに取り付けられている。付勢部材の中心部はベースに固定されている。付勢部材がねじりコイルばねであるので、ベースが平板状でありしかも回転駆動体も平板状の部材であることから、光路開閉装置の薄型化および小型化を図ることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している。
【0015】
請求項4では、ロック機構部はカム溝と回転カムを有している。カム溝は回転駆動体に形成されている。回転カムは、ベースに対し回転可能に取り付けられている。この回転カムは、カム溝にかみ合うことで回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作を阻止する。そして回転カムは、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である。
【0017】
請求項5では、1本の形状記憶合金部材の中間部が、回転駆動体の端部に固定されている。形状記憶合金部材の第1端部がベース側の通電用電極に固定されており、かつ形状記憶合金部材の第2端部がベース側の固定部に固定されている。形状記憶合金部材の中間部と第1端部の間の第1区間部分には、ベース側の通電用電極と形状記憶合金部材の中間部から通電されるが、形状記憶合金部材の中間部と第2端部の間の第2区間部分は、通電されない非通電部分である。
これにより、回転駆動体が第1回転位置に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材の第1区間部分には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、回転駆動体を中立状態でベースに対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体の端部の位置は中立状態にあるので、回転駆動体が第1回転位置から移動することが無い。従って光学系の光路の全閉状態は、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体の端部の位置を維持することができ、この第2区間部分はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0018】
請求項6の発明は、光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置を有する電子機器であり、前記光路レンズ開閉装置は、前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置を有する電子機器である。
【0019】
請求項6では、ベースは光学系の光路を通すための開口部を有している。
回転駆動体は、ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられている。この回転駆動体は、閉鎖部と開放部を有している。回転駆動体の閉鎖部は、光路の全閉のための第1回転位置ではベースの開口部を閉じる。回転駆動体の開放部は、光路の全開のための第2回転位置ではベースの開口部を開くようになっている。
付勢部材は、回転駆動体を付勢力により第1回転位置に強制的に位置させる。一本の形状記憶合金部材は、回転駆動体とベースとの間に取り付けられて通電することで、付勢部材の付勢力に打ち勝って第1駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる。
ロック機構部は、回転駆動体が第2回転位置に位置されて形状記憶合金部材の通電を停止した状態で、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力による回転駆動体の回転動作を阻止する。そしてロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰させるためのものである。
【0020】
これにより、1本の形状記憶合金部材に対して通電を停止した状態では、回転駆動体は第2回転位置に位置されている。ロック機構部は、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるようにして開口部を全開し、付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体は付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰される。従って、回転駆動体の閉鎖部は第1回転位置に位置されて、この閉鎖部は光学系の光路を全閉することができる。
【0021】
このように1本の形状記憶合金部材に対する通電を停止した状態で回転駆動体の開放部とベースの開口部が合うので、形状記憶合金部材への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
そして、光学系の光路を閉じる場合には、再び形状記憶合金部材に通電すれば、付勢部材の付勢力により回転駆動体が第2回転位置から第1回転位置に回転するので、回転駆動体の閉鎖部が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体は付勢部材の付勢力により回転駆動体を第1回転位置に位置させるのである。
【0022】
このことから、1本の形状記憶合金部材に対して1度短時間通電すれば1本の形状記憶合金部材は、付勢部材の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材に短時間通電することにより、回転駆動体は第2回転位置から第1回転位置に移動して付勢部材の付勢力を用いて回転駆動体を第1回転位置に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である。
【0024】
請求項7では、ベースは電気絶縁材料により作られている。ベースの開口部はベースの中心部に円形状に形成されている。回転駆動体は平板状の部材であり、回転駆動体の開放部はベースの開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体が平板状の部材でありベースも平板状であることから、光路開閉装置の薄型化を図ることができる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項7に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている。
【0026】
請求項8では、付勢部材はねじりコイルばねであり、付勢部材の一端部が回転駆動体に取り付けられ付勢部材の他端部はベースに取り付けられている。付勢部材の中心部はベースに固定されている。付勢部材がねじりコイルばねであるので、ベースが平板状でありしかも回転駆動体も平板状の部材であることから、光路開閉装置の薄型化および小型化を図ることができる。
【0027】
請求項9の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している。
【0028】
請求項9では、ロック機構部はカム溝と回転カムを有している。カム溝は回転駆動体に形成されている。回転カムは、ベースに対し回転可能に取り付けられている。この回転カムは、カム溝にかみ合うことで回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作を阻止する。そして回転カムは、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除することができる。
【0029】
請求項10の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である。
【0030】
請求項10では、1本の形状記憶合金部材の中間部が、回転駆動体の端部に固定されている。形状記憶合金部材の第1端部がベース側の通電用電極に固定されており、かつ形状記憶合金部材の第2端部がベース側の固定部に固定されている。
形状記憶合金部材の中間部と第1端部の間の第1区間部分には、ベース側の通電用電極と形状記憶合金部材の中間部から通電されるが、形状記憶合金部材の中間部と第2端部の間の第2区間部分は、通電されない非通電部分である。
これにより、回転駆動体が第1回転位置に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材の第1区間部分には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、回転駆動体を中立状態でベースに対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体の端部の位置は中立状態にあるので、回転駆動体が第1回転位置から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体の端部の位置を維持することができ、この第2区間部分はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0032】
図1と図2は、本発明の光路開閉装置を有する電子機器の好ましい実施の形態を示している。
図1と図2の電子機器は、いわゆるデジタルスチルカメラであり、このデジタルスチルカメラ10は、概略的には筐体12、マイクロホン16、フラッシュ発光部18、シャッターボタン20、モード切り換えのためのモードスイッチ22、スピーカ24、表示部26、レンズ搭載部28、光路開閉装置30等を有している。
光路開閉装置30は、レンズ搭載部28の中に搭載されている。
【0033】
図3と図4および図5は、図1に示すデジタルスチルカメラ10に搭載されている光路開閉装置の好ましい実施の形態を示している。
図3は、光学系の光路を全閉している全閉状態を示しており、図4は、光学系の光路を全開している全開状態を示しており、図5は光学系の光路を全閉している全閉状態を示している。従って図3と図5の光路開閉装置30は同じ全閉状態を示している。
この光路開閉装置30は、シャッター切り換え装置あるいはレンズバリアー装置等とも呼んでいる。
図6は、光路開閉装置30の動作手順を示している。図6(A)は光学系の光路を全閉している全閉状態S1を示しており、図6(B)は第1中間位置S2を示していて、図6(C)は光学系の光路を全開している全開状態S3を示し、そして図6(D)は第2中間位置S4を示している。
【0034】
まず図3乃至図5を参照しながら、光路開閉装置30の構成について説明する。
特に図5を参照すると、光路開閉装置30は、概略的にはベース40、回転駆動体45、付勢部材48、1本の形状記憶合金部材50、そしてロック機構部54を有している。
図3に示すベース40について説明する。ベース40は、図7と図8に示すようなほぼ薄板状でかつ平板状の円盤形状を有している。このベース40は好ましくは電気絶縁材料、たとえばプラスチックやセラミックス等により作られている。ベース40をプラスチックで形成する場合には、たとえばポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等を採用することができる。
図7と図8に示すように円盤状のベース40は、取り付け部分41A,41B,41Cを有している。ベース40の中心部分には、円形状の開口部41が形成されている。この円形状の開口部41は通し穴になっている。
【0035】
図9は、図1のデジタルスチルカメラ10のレンズ搭載部28付近の構造例を示している。
光路開閉装置30は、たとえば好ましくはレンズカバー43に対して光学系の光路CLに沿って配列されている。光路開閉装置30のベース40の後ろ側には、比較的小さいサイズのレンズ44が配置されている。ベース40の開口部41は、このレンズ44の光路CLに対応する位置にある。
図7に戻ると、ベース40は、その他に取り付け用の穴40Aと穴40Iと、取り付け用のボス40B乃至40Hが形成されている。
【0036】
次に、図5の回転駆動体45について説明する。
回転駆動体45は、図10にその形状を示している。回転駆動体45は、アームとも呼ばれておりたとえばステンレス鋼により作られている。回転駆動体45は、端部45A、カム溝46および開放部47と、2つの穴60,61を有している。
穴60は、図3に示すようにピン63を用いて、ベース40の図7に示す穴40Aに対して回転可能に差し込まれて取り付けられている。従って穴60の中心が図3に示すように回転駆動体45の回転中心RLである。
図10の穴61は、図5に示すように後で説明する1本の形状記憶合金部材50の中間部を固定した場合にねじを取り付けて固定する部分である。この穴61は端部45Aに設けられており、端部45Aは、図5に示す1本の形状記憶合金部材50の中間部を取り付ける場合にほぼU字型に図3に示すように折り曲げるようになっている。図10の回転駆動体45は、その他に取り付け部64を有している。
【0037】
図10に示す回転駆動体45の開放部47は、ほぼ長い楕円形状の穴である。この開放部47は、回転中心RLを中心とする円弧状に形成されている。開放部47は、図3と図4に示すようにベース40の開口部41と一致することにより、図9に示す光学系の光路CLを開くようになっている。
図10に示すカム溝46は、円弧状の案内部65、突部66、突部67、突部68を有している。
このカム溝46は、回転中心RLを中心として端部45Aに対しほぼ反対方向に位置している。開放部47は、カム溝46よりも半径方向内側に位置している。
【0038】
次に、図3に示す付勢部材48について説明する。
付勢部材48は、図11により詳しい形状を示している。付勢部材48は、トーションばねあるいはねじりコイルばねであるが、この形状に限定されるものではなく、板ばねのようなものであっても勿論構わない。しかしこのようなねじりコイルばねを付勢部材48として用いることにより、付勢部材の小型化および薄型化を板状のばねに比べて図ることができる。
【0039】
付勢部材48は、一端部70と他端部71および中心部72を有している。一端部70は、図5に示すように、回転駆動体45の取り付け部64に対して取り付けられている。付勢部材48の他端部71は、後で説明するターミナル部材80の取り付け部81Aに対して取り付けられている。付勢部材48の中心部72は、ベース40のボス40Dに対して取り付けられている。この付勢部材48は、回転駆動体45を、図5と図3に示す第1回転位置P1に付勢して位置決めさせる付勢力を発揮するものである。この付勢部材48は金属製であってもプラスチック製であって勿論構わない。
【0040】
次に、図3と図5に示すターミナル部材80,81,82について説明する。ターミナル部材80は、図12に示しており、ターミナル部材81は図13に示しており、ターミナル部材82は図14に示している。各ターミナル部材80乃至82は、たとえばステンレス鋼により作られている。特にターミナル部材80,81は、導電性を有する金属で作られているが、ターミナル部材82は、導電性を有しない金属以外のプラスチックやセラミックスで作っても勿論構わない。
【0041】
まずターミナル部材80について図12と図5を参照して説明する。
ターミナル部材80は、配線85に対してカシメることで電気的にかつ機械的に接続されている。ターミナル部材80は、図7に示すベース40のボス40E,40Fによりベース40に対して固定されている。
図12と図5に示すように、ターミナル部材80は、配線85を取り付ける取り付け部87を有している。ターミナル部材80はその他に上述したように付勢部材48の他端部71を固定する取り付け部81Aを有している。ターミナル部材80は図5に示すボス40E,40Fを挿入するための穴88,89を有している。ターミナル部材80は通電端子を兼用する押圧部90を有している。この押圧部90は、図5に示すように回転駆動体45のロック機構部54の付近の円弧状の部分91を、図5で見て紙面垂直方向下側に向けてベース40に対して押し付けるための部分である。これによって、回転駆動体45のロック機構部54の付近がベース40から浮き上がらないように段発的に押し付けている。
【0042】
次に、図5に示すターミナル部材81について、図13を参照しながら説明する。
ターミナル部材81は、配線93を固定する取り付け部96と、別の取り付け部275を有している。取り付け部96は、配線93をカシメることにより電気的かつ機械的に接続している。取り付け部275は、1本の形状記憶合金部材50の第1端部101をカシメることとねじを取り付けることで固定している。図5に示すボス40B,40Cは、図13のターミナル部材81の穴97,98にそれぞれはめ込まれており、このボス40B,40Cはターミナル部材81をベース40に固定している。
【0043】
次に、図5に示すターミナル部材82について説明する。図14に示す1本の形状記憶合金部材50の第2端部102は、ターミナル部材82の取り付け部103をカシメることとねじを取り付けることで固定されている。図14に示すターミナル部材82の穴104,105には、図5に示すベース40のボス40G,40Hがはめ込まれることにより、ターミナル部材82がベース40に対して固定されている。
このようにして、各ターミナル部材80乃至82は、ベース40の各ボスの頭部を潰すことにより、ベース40に対して確実に固定できるようになっている。各ボスの頭部を潰すのは機械的なカシメを行ったりあるいは熱により潰すような方式を採用することができる。
【0044】
次に、図3と図5に示す1本の形状記憶合金部材50について、図15を参照しながら説明する。
図3乃至図5および図15に示す1本の形状記憶合金部材50は、中間部110、第1端部101、第2端部102を有している。中間部110は、図5に示すように回転駆動体45の端部45Aに対してねじ留めおよびカシメにより固定されている。
形状記憶合金部材50の第1端部101は、ターミナル部材81の取り付け部275によりねじ留めおよびカシメにより固定されている。形状記憶合金部材50の第2端部102は、ターミナル部材82の取り付け部103によりカシメおよびねじ留めにより固定されている。
【0045】
この1本の形状記憶合金部材50は、通電することにより引っ張り力を発揮するものである。1本の形状記憶合金部材50は、通電されることで超弾性を呈して、引っ張りコイルばねとして機能を発揮するものである。1本の形状記憶合金部材50は、たとえばTi(チタン)、Ni(ニッケル)及びCu(銅)からなる合金部材である。しかし、これに限らず形状記憶合金部材50はNi,Tiの2元合金でもよい。
図15に示す形状記憶合金部材50は、たとえば線径が0.038mmと非常に小さく複数の巻数を有しているコイルばね状のものである。
【0046】
図5には、この1本の形状記憶合金部材50の通電経路が図示されている。
1本の形状記憶合金部材50の中間部110と第1端部101の区間は第1区間部分121と呼んでおり、中間部110と第2端部102の区間は第2区間部分122と呼んでいる。この第1区間部分121は、駆動制御部200からの通電により通電する部分であるが、第2区間部分122は、全く通電しない非通電部分である。
通電部分である第1区間部分121に対する通電は、次のような矢印で示す経路で行う。駆動制御部200は、配線93、ベース側の通電用の電極であるターミナル部材81の取り付け部275を経て、第1区間部分121の第1端部101が電気的に接続されている。第1区間部分121の中間部110は、回転駆動体45の端部45Aと回転駆動体45を経てターミナル部材80の押圧部90とターミナル部材80の取り付け部87を経て、配線85を介して駆動制御部200に電気的に接続されている。
駆動制御部200が通電電流を上述したような経路で図5に示すような矢印方向に通電することにより、一本の形状記憶合金部材50の第1区間部分121が引っ張り動作を発揮する。これに対して、第2区間部分122は常に通電されないので、通常のばねの機能を有する。
【0047】
これにより、回転駆動体45が図3に示す第1回転位置P1に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材50の第1区間部分121には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分121と第2区間部分122は、回転駆動体45を中立状態でベース40に対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材50が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体45の端部45Aの位置は中立状態にあるので、回転駆動体45が第1回転位置P1から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体45の端部45Aの位置を維持することができ、第2区間部分122はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0048】
次に、図5に示すロック機構部54について説明する。
ロック機構部54は、上述したように図12に示すカム溝46と、図5と図16に示す回転カム130を有している。図16の回転カム130は、中央部に穴131を有している。この穴131には図5に示すベース40の穴40Iに対してピン132を差し込むことにより、回転カム130は回転可能にベース40に対して固定される。
この回転カム130は、中心軸Cを中心として180度対象形状を有している。従って1組の突出部133,133ともう1組の突出部135,135を有している。この回転カム130の各突出部133,135は、カム溝46の図10に示す突部66,67,68および案内部65に対して係合することにより、後で説明するようなロック機構部54の機能を発揮する。この回転カム130はラッチとも呼んでいる。
【0049】
次に、上述した光路開閉装置30の動作について、図6を中心に参照して説明する。
図6(A)乃至図6(D)は、光路開閉装置30により光学系の光路を開閉するための動作手順を示している。
図6(A)はベース40の開口部41を全閉状態S1を示しており、図6(B)は第1中間位置S2を示している。図6(C)は、ベース40の開口部41と回転駆動体45の開放部47が合った状態の全開状態S3を示している。図6(D)は、第2中間位置S4を示している。
図6(A)の全閉状態S1において、回転駆動体45が位置している状態を第1回転位置P1と呼び、この回転駆動体45が第1回転位置P1に位置している状態では、回転駆動体45の閉鎖部140がベース40の開口部41を完全に閉鎖した状態である。
これに対して図6(C)の全開状態S3における回転駆動体45の位置は第2回転位置P2と呼んでいる。この第2回転位置P2では、回転駆動体45の閉鎖部140は、ベース40の開口部41からはずれた位置にあり、回転駆動体45の開放部47がベース40の開口部41に合っていて、開口部41は全部開いた状態になっている。
【0050】
(1)全閉状態S1
この全閉状態S1では、図6(A)に示すように、回転駆動体45が第1回転位置P1に位置決めされている。すなわち回転駆動体45は、付勢部材48により時計回りCWに沿って付勢されている。この状態では回転駆動体45の閉鎖部140がベース40の開口部41を完全に閉鎖している。そして回転駆動体45の端部45Aは、中心線Eに沿ったターミナル部材81とターミナル部材82の中間位置、すなわちターミナル部材81とターミナル部材82からそれぞれ90度の中間位置に位置されている。従って、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122のそれぞれの長さは同じである。そして図6(A)の状態では、第1区間部分121と第2区間部分122共に通電されていない状態である。
ロック機構部54の回転カム130は、カム溝46の案内部65に沿って位置している。
このようにして、図6(A)の全閉状態S1においては、図9に示す光学系の光路CLを完全に閉じた状態にある。この状態では図1に示すデジタルスチルカメラ10を使わないときのポジションである。
【0051】
(2)第1中間位置S2
図6(B)に示す第1中間位置S2は、形状記憶合金部材50の第1区間部分121に対して図5の駆動制御部200から短時間通電することにより実現する。つまり第1区間部分121が引っ張り力を発揮することにより、回転駆動体45は、反時計回りCCWに沿って回転中心RLを中心としてほぼ45度回転する。これにより回転カム130の一対の突出部133,135の間に、カム溝46の突起68がはまり込んだ状態になる。これによって、回転駆動体45の反時計方向CCWへの回転を停止させる。この場合に、回転駆動体45は、第1区間部分121の引っ張り力により、付勢部材48および第2区間部分122の引っ張り力に打ち勝って、回転駆動体45をほぼ45度くらい反時計方向CCWに沿って回転させることができる。
このようにして回転駆動体45が回転しきったところで、回転駆動体45のカム溝46の突起68と回転カム130の突出部133,135の間がかみ合って、ロック機構部54の回転カム130が回転駆動体45の反時計方向CCW方向に関する回転動作を阻止する。
【0052】
(3)全開状態S3
次に、図6(C)に示すように全開状態S3に移る。この場合には、図6(B)において第1区間部分121に通電していた状態を停止している。このように通電停止するのは省電力化のためである。これによって、図6(C)に示すように第1区間部分121の引っ張り力が解除されることにより、回転駆動体45は付勢部材48および第2区間部分122の力によりわずかな角度だけ時計方向CWに沿って回転する。しかしながら、回転カム130のもう一対の反対側の突出部133,135の間とカム溝46の突部66がかみ合うことから、回転駆動体45のこれ以上の時計方向CWに沿った回転を停止させる。このような全開状態S3では、ベース40の開口部41と回転駆動体45の開放部47は依然として一致しているので光学系の光路CLは完全に開放状態になる。
【0053】
(4)第2中間位置S4
次に、図6(D)に示すように第2中間位置S4に移る。この場合には、図4(C)の全開状態S3において再び形状記憶合金部材50の第1区間部分121に対して短時間通電を行う。これによって図6(D)に示すように第1区間部分121は再び引っ張り力を発揮するので、回転駆動体45は再び図6(D)に示すように反時計方向CCWに対して付勢部材48および第2区間部分122の力に打ち勝って回転する。しかしながら回転カム130の一方の突出部133と反対側に位置する突出部135が、それぞれカム溝の突部67,68にそれぞれ突き当たる。
これによって、回転駆動体45はこれ以上反時計方向CCWに沿っては回転しないように、回転カム130が回転駆動体45の反時計方向の回転動作を阻止することができる。そしてこの第1区間部分121に対する通電を停止すると、再び図6(A)の全閉状態S1に戻る。すなわち、第1区間部分121の引っ張り力が解除されるので、付勢部材48の付勢力と第2区間部分122の力により図6(A)に示すように回転駆動体45の端部45Aがベース40の中心線Eの線上に戻る。この場合には、図6(D)の回転カム130は、図6(D)に示す反時計方向CCW1に沿ってほぼ90度回転して、カム溝の案内部65に沿って案内されることになる。
【0054】
1本の形状記憶合金部材50に対して通電を停止した状態では、回転駆動体45は第2回転位置P2に位置されている。ロック機構部54は、回転駆動体45の開放部47をベース40の開口部41に合わせた状態になるようにして、付勢部材48の付勢力により回転駆動体45の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部54は、再び形状記憶合金部材50に通電されたときには回転駆動体45の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体45は付勢部材48の付勢力により第2回転位置P2から第1回転位置P1に回転復帰される。従って、回転駆動体45の閉鎖部140は第1回転位置P1に位置されて、この閉鎖部140は光学系の光路を全閉することができる。
1本の形状記憶合金部材50に対する通電を停止した状態で回転駆動体45の開放部47とベース40の開口部41が合うので、形状記憶合金部材50への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材50に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
【0055】
そして、光学系の光路を閉じる場合には、形状記憶合金部材50に通電すれば、付勢部材48の付勢力により回転駆動体45が第2回転位置P2から第1回転位置P1に回転するので、回転駆動体45の閉鎖部140が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材50の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体45は付勢部材48の付勢力により第1回転位置P1に位置させるのである。
【0056】
このことから、1本の形状記憶合金部材50に対して1度通電すれば1本の形状記憶合金部材50は、付勢部材48の付勢力に打ち勝って回転駆動体45を第1回転位置P1から第2回転位置P2に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材50に通電することにより、回転駆動体45は第2回転位置P2から第1回転位置P1に移動して付勢部材48の付勢力を用いて回転駆動体45を第1回転位置P1に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材50に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材50を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置30の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0057】
ベース40は電気絶縁材料により作られている。ベース40の開口部41はベース40の中心部に円形状に形成されている。回転駆動体45は平板状の部材であり、回転駆動体45の開放部47はベース40の開口部41の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体45が平板状の部材でありベース40も平板状であることから、光路開閉装置30の薄型化を図ることができる。
【0058】
付勢部材48はねじりコイルばねであり、付勢部材48の一端部が回転駆動体45に取り付けられ付勢部材48の他端部はベース40に取り付けられている。付勢部材48の中心部はベース40に固定されている。付勢部材48がねじりコイルばねであるので、ベース40が平板状でありしかも回転駆動体45も平板状の部材であることから、光路開閉装置30の薄型化および小型化を図ることができる。
【0059】
ロック機構部54はカム溝46と回転カム130を有しているが、カム溝46は回転駆動体45に形成されている。回転カム130は、ベース40に対し回転可能に取り付けられている。この回転カム130は、カム溝46にかみ合うことで回転駆動体45の開放部47をベース40の開口部41に合わせた状態になるように付勢部材48の付勢力により回転駆動体45の回転動作を阻止する。そして回転カム130は、再び形状記憶合金部材50に通電された時には回転駆動体45の回転動作の阻止を解除することができる。
【0060】
回転駆動体45が第1回転位置P1に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材50の第1区間部分121には通電されていない状態では、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、回転駆動体45を中立状態でベース40に対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材50が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体45の端部45Aの位置は中立状態にあるので、回転駆動体45が第1回転位置P1から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体45の端部45Aの位置を維持することができるいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0061】
ところで、回転駆動体45は、たとえば目立つ色、一例として黄色や赤などに着色しておけば、光学系の光路を閉鎖している状態か開放している状態かを人間が目視で簡単に認識できる効果がある。このように回転駆動体45に対して着色しておく理由としては、このような電子機器は小型化やインターネット等のネットワークの普及に伴い、犯罪に利用されてしまうケースが予想される。しかしこのように回転駆動体45に対して着色しておけば、人間の目で見て光学系の光路が開放されている状態なのか閉じている状態なのかを回転駆動体45の位置により判りやすくすることができ、犯罪の防止効果を持たせることができる。つまり何も撮っていない状態では回転駆動体の黄色が良く見えることになり、撮影している状態であれば直接レンズが見えるようになるのである。
【0062】
本発明の実施の形態の光路開閉装置は、部品点数が少なく動作の高信頼性化が図れる。1本の形状記憶合金部材50を使用しているだけであり、図6(A)の全閉状態S1から第1中間位置S2に移る場合に1度形状記憶合金部材の第1区間部分121に通電を行い、その後は通電を行わないようにして省電力化を図っている。そして図6(C)の全開状態S3から第2中間位置S4に移る場合にやはり第1区間部分121に対してもう1度通電するだけで、回転駆動体45は全閉状態S1に戻すことができる。このように形状記憶合金部材50は必要な時だけ通電すれば良くその他の全閉状態S1と全開状態S3を維持するためには通電が不要である。このために光路開閉装置30における大幅な省電力化を測ることができる。
【0063】
ところで本発明の光路開閉装置は、デジタルスチルカメラのような電子機器に限らず、他の種類の電子機器たとえばカメラ機能付き携帯電話、ビデオカメラ、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等、いずれにしてもレンズを含む光路系を備える全ての電子機器に対して適用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型化および薄型化が図れ、手動ではなく短時間通電するだけで光路系の光路を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光路開閉装置を有する電子機器の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の後ろから見た斜視図。
【図3】光路開閉装置の好ましい実施の形態を示し、光学系の光路が全閉状態を示す図。
【図4】光路開閉装置の好ましい実施の形態を示し、光学系の光路が全開状態を示す図。
【図5】光路開閉装置の全閉状態および形状記憶合金部材の第1区間部分に通電する通電経路を示す図。
【図6】光路開閉装置の動作例を示す図。
【図7】光路開閉装置のベースを示す斜視図。
【図8】光路開閉装置のベースを示す図。
【図9】光学系の光路および光路開閉装置等を示す図。
【図10】光路開閉装置の回転駆動体の形状を示す図。
【図11】光路開閉装置の付勢部材の形状例を示す図。
【図12】光路開閉装置のターミナル部材を示す図。
【図13】光路開閉装置の別のターミナル部材を示す図。
【図14】光路開閉装置のさらに別のターミナル部材を示す図。
【図15】形状記憶合金部材を示す図。
【図16】回転カムを示す図。
【符号の説明】
10・・・デジタルスチルカメラ(電子機器の一例)、30・・・光路開閉装置、40・・・ベース、41・・・ベースの開口部、45・・・回転駆動体、46・・・カム溝、47・・・回転駆動体の開放部、50・・・1本の形状記憶合金部材、54・・・ロック機構部、121・・・形状記憶合金部材の第1区間部分、122・・・形状記憶合金部材の第2区間部分、130・・・回転カム、140・・・回転駆動体の閉鎖部、P1・・・第1回転位置、P2・・・第2回転位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばデジタルスチルカメラのような光学系の光路を有する電子機器に装着される光路開閉装置および光路開閉装置を有する電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学系の光路を有する電子機器としては、たとえばスチルカメラがある。このスチルカメラは、光学系の光路の開閉を行うために手動方式のレンズバリア部材を有している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−237658号公報(第3頁乃至第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の手動方式のレンズバリアを有するスチルカメラには、レンズバリアの手動動作用のレバーが必要になり、この種の手動レンズバリアを有する開閉装置は、小型化および薄型化が難しい。しかも、このような光学系の光路を開閉する開閉装置の動作は自動化することが望まれている。
そこで本発明は上記課題を解消し、小型化および薄型化が図れ、手動ではなく短時間通電するだけで光学系の光路を開閉することができる光路レンズ開閉装置および光路レンズ開閉装置を有する電子機器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置であり、前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置である。
【0006】
請求項1では、ベースは光学系の光路を通すための開口部を有している。
回転駆動体は、ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられている。この回転駆動体は、閉鎖部と開放部を有している。回転駆動体の閉鎖部は、光路の全閉のための第1回転位置ではベースの開口部を閉じる。回転駆動体の開放部は、光路の全開のための第2回転位置ではベースの開口部を開くようになっている。
付勢部材は、回転駆動体を付勢力により第1回転位置に強制的に位置させる。一本の形状記憶合金部材は、回転駆動体とベースとの間に取り付けられて通電することで、付勢部材の付勢力に打ち勝って第1駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる。
ロック機構部は、回転駆動体が第2回転位置に位置されて形状記憶合金部材の通電を停止した状態で、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力による回転駆動体の回転動作を阻止する。そしてロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰させる。
【0007】
これにより、1本の形状記憶合金部材に対して通電を停止した状態では、回転駆動体は第2回転位置に位置されている。ロック機構部は、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるようにして開口部を全開し、付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体は付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰される。従って、回転駆動体の閉鎖部は第1回転位置に位置されて、この閉鎖部は光学系の光路を全閉することができる。
【0008】
このように1本の形状記憶合金部材に対する通電を停止した状態で回転駆動体の開放部とベースの開口部が合うので、形状記憶合金部材への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
そして、光学系の光路を閉じる場合には、再び形状記憶合金部材に通電すれば、付勢部材の付勢力により回転駆動体が第2回転位置から第1回転位置に回転するので、回転駆動体の閉鎖部が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体は付勢部材の付勢力により回転駆動体を第1回転位置に位置させるのである。
【0009】
このことから、1本の形状記憶合金部材に対して1度短時間通電すれば、1本の形状記憶合金部材は、付勢部材の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材に短時間通電することにより、回転駆動体は第2回転位置から第1回転位置に移動して付勢部材の付勢力を用いて回転駆動体を第1回転位置に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である。
【0011】
請求項2では、ベースは電気絶縁材料により作られている。ベースの開口部はベースの中心部に円形状に形成されている。回転駆動体は平板状の部材であり、回転駆動体の開放部はベースの開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体が平板状の部材でありベースも平板状であることから、光路開閉装置の薄型化を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光路開閉装置において、前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている。
【0013】
請求項3では、付勢部材はねじりコイルばねであり、付勢部材の一端部が回転駆動体に取り付けられ付勢部材の他端部はベースに取り付けられている。付勢部材の中心部はベースに固定されている。付勢部材がねじりコイルばねであるので、ベースが平板状でありしかも回転駆動体も平板状の部材であることから、光路開閉装置の薄型化および小型化を図ることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している。
【0015】
請求項4では、ロック機構部はカム溝と回転カムを有している。カム溝は回転駆動体に形成されている。回転カムは、ベースに対し回転可能に取り付けられている。この回転カムは、カム溝にかみ合うことで回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作を阻止する。そして回転カムは、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1に記載の光路開閉装置において、1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である。
【0017】
請求項5では、1本の形状記憶合金部材の中間部が、回転駆動体の端部に固定されている。形状記憶合金部材の第1端部がベース側の通電用電極に固定されており、かつ形状記憶合金部材の第2端部がベース側の固定部に固定されている。形状記憶合金部材の中間部と第1端部の間の第1区間部分には、ベース側の通電用電極と形状記憶合金部材の中間部から通電されるが、形状記憶合金部材の中間部と第2端部の間の第2区間部分は、通電されない非通電部分である。
これにより、回転駆動体が第1回転位置に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材の第1区間部分には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、回転駆動体を中立状態でベースに対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体の端部の位置は中立状態にあるので、回転駆動体が第1回転位置から移動することが無い。従って光学系の光路の全閉状態は、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体の端部の位置を維持することができ、この第2区間部分はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0018】
請求項6の発明は、光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置を有する電子機器であり、前記光路レンズ開閉装置は、前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置を有する電子機器である。
【0019】
請求項6では、ベースは光学系の光路を通すための開口部を有している。
回転駆動体は、ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられている。この回転駆動体は、閉鎖部と開放部を有している。回転駆動体の閉鎖部は、光路の全閉のための第1回転位置ではベースの開口部を閉じる。回転駆動体の開放部は、光路の全開のための第2回転位置ではベースの開口部を開くようになっている。
付勢部材は、回転駆動体を付勢力により第1回転位置に強制的に位置させる。一本の形状記憶合金部材は、回転駆動体とベースとの間に取り付けられて通電することで、付勢部材の付勢力に打ち勝って第1駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転させる。
ロック機構部は、回転駆動体が第2回転位置に位置されて形状記憶合金部材の通電を停止した状態で、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力による回転駆動体の回転動作を阻止する。そしてロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除して回転駆動体を付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰させるためのものである。
【0020】
これにより、1本の形状記憶合金部材に対して通電を停止した状態では、回転駆動体は第2回転位置に位置されている。ロック機構部は、回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるようにして開口部を全開し、付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部は、再び形状記憶合金部材に通電されたときには回転駆動体の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体は付勢部材の付勢力により第2回転位置から第1回転位置に回転復帰される。従って、回転駆動体の閉鎖部は第1回転位置に位置されて、この閉鎖部は光学系の光路を全閉することができる。
【0021】
このように1本の形状記憶合金部材に対する通電を停止した状態で回転駆動体の開放部とベースの開口部が合うので、形状記憶合金部材への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
そして、光学系の光路を閉じる場合には、再び形状記憶合金部材に通電すれば、付勢部材の付勢力により回転駆動体が第2回転位置から第1回転位置に回転するので、回転駆動体の閉鎖部が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体は付勢部材の付勢力により回転駆動体を第1回転位置に位置させるのである。
【0022】
このことから、1本の形状記憶合金部材に対して1度短時間通電すれば1本の形状記憶合金部材は、付勢部材の付勢力に打ち勝って回転駆動体を第1回転位置から第2回転位置に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材に短時間通電することにより、回転駆動体は第2回転位置から第1回転位置に移動して付勢部材の付勢力を用いて回転駆動体を第1回転位置に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である。
【0024】
請求項7では、ベースは電気絶縁材料により作られている。ベースの開口部はベースの中心部に円形状に形成されている。回転駆動体は平板状の部材であり、回転駆動体の開放部はベースの開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体が平板状の部材でありベースも平板状であることから、光路開閉装置の薄型化を図ることができる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項7に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている。
【0026】
請求項8では、付勢部材はねじりコイルばねであり、付勢部材の一端部が回転駆動体に取り付けられ付勢部材の他端部はベースに取り付けられている。付勢部材の中心部はベースに固定されている。付勢部材がねじりコイルばねであるので、ベースが平板状でありしかも回転駆動体も平板状の部材であることから、光路開閉装置の薄型化および小型化を図ることができる。
【0027】
請求項9の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している。
【0028】
請求項9では、ロック機構部はカム溝と回転カムを有している。カム溝は回転駆動体に形成されている。回転カムは、ベースに対し回転可能に取り付けられている。この回転カムは、カム溝にかみ合うことで回転駆動体の開放部をベースの開口部に合わせた状態になるように付勢部材の付勢力により回転駆動体の回転動作を阻止する。そして回転カムは、再び形状記憶合金部材に通電された時には回転駆動体の回転動作の阻止を解除することができる。
【0029】
請求項10の発明は、請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器において、1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である。
【0030】
請求項10では、1本の形状記憶合金部材の中間部が、回転駆動体の端部に固定されている。形状記憶合金部材の第1端部がベース側の通電用電極に固定されており、かつ形状記憶合金部材の第2端部がベース側の固定部に固定されている。
形状記憶合金部材の中間部と第1端部の間の第1区間部分には、ベース側の通電用電極と形状記憶合金部材の中間部から通電されるが、形状記憶合金部材の中間部と第2端部の間の第2区間部分は、通電されない非通電部分である。
これにより、回転駆動体が第1回転位置に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材の第1区間部分には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、回転駆動体を中立状態でベースに対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体の端部の位置は中立状態にあるので、回転駆動体が第1回転位置から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材の第1区間部分と第2区間部分は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体の端部の位置を維持することができ、この第2区間部分はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0032】
図1と図2は、本発明の光路開閉装置を有する電子機器の好ましい実施の形態を示している。
図1と図2の電子機器は、いわゆるデジタルスチルカメラであり、このデジタルスチルカメラ10は、概略的には筐体12、マイクロホン16、フラッシュ発光部18、シャッターボタン20、モード切り換えのためのモードスイッチ22、スピーカ24、表示部26、レンズ搭載部28、光路開閉装置30等を有している。
光路開閉装置30は、レンズ搭載部28の中に搭載されている。
【0033】
図3と図4および図5は、図1に示すデジタルスチルカメラ10に搭載されている光路開閉装置の好ましい実施の形態を示している。
図3は、光学系の光路を全閉している全閉状態を示しており、図4は、光学系の光路を全開している全開状態を示しており、図5は光学系の光路を全閉している全閉状態を示している。従って図3と図5の光路開閉装置30は同じ全閉状態を示している。
この光路開閉装置30は、シャッター切り換え装置あるいはレンズバリアー装置等とも呼んでいる。
図6は、光路開閉装置30の動作手順を示している。図6(A)は光学系の光路を全閉している全閉状態S1を示しており、図6(B)は第1中間位置S2を示していて、図6(C)は光学系の光路を全開している全開状態S3を示し、そして図6(D)は第2中間位置S4を示している。
【0034】
まず図3乃至図5を参照しながら、光路開閉装置30の構成について説明する。
特に図5を参照すると、光路開閉装置30は、概略的にはベース40、回転駆動体45、付勢部材48、1本の形状記憶合金部材50、そしてロック機構部54を有している。
図3に示すベース40について説明する。ベース40は、図7と図8に示すようなほぼ薄板状でかつ平板状の円盤形状を有している。このベース40は好ましくは電気絶縁材料、たとえばプラスチックやセラミックス等により作られている。ベース40をプラスチックで形成する場合には、たとえばポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等を採用することができる。
図7と図8に示すように円盤状のベース40は、取り付け部分41A,41B,41Cを有している。ベース40の中心部分には、円形状の開口部41が形成されている。この円形状の開口部41は通し穴になっている。
【0035】
図9は、図1のデジタルスチルカメラ10のレンズ搭載部28付近の構造例を示している。
光路開閉装置30は、たとえば好ましくはレンズカバー43に対して光学系の光路CLに沿って配列されている。光路開閉装置30のベース40の後ろ側には、比較的小さいサイズのレンズ44が配置されている。ベース40の開口部41は、このレンズ44の光路CLに対応する位置にある。
図7に戻ると、ベース40は、その他に取り付け用の穴40Aと穴40Iと、取り付け用のボス40B乃至40Hが形成されている。
【0036】
次に、図5の回転駆動体45について説明する。
回転駆動体45は、図10にその形状を示している。回転駆動体45は、アームとも呼ばれておりたとえばステンレス鋼により作られている。回転駆動体45は、端部45A、カム溝46および開放部47と、2つの穴60,61を有している。
穴60は、図3に示すようにピン63を用いて、ベース40の図7に示す穴40Aに対して回転可能に差し込まれて取り付けられている。従って穴60の中心が図3に示すように回転駆動体45の回転中心RLである。
図10の穴61は、図5に示すように後で説明する1本の形状記憶合金部材50の中間部を固定した場合にねじを取り付けて固定する部分である。この穴61は端部45Aに設けられており、端部45Aは、図5に示す1本の形状記憶合金部材50の中間部を取り付ける場合にほぼU字型に図3に示すように折り曲げるようになっている。図10の回転駆動体45は、その他に取り付け部64を有している。
【0037】
図10に示す回転駆動体45の開放部47は、ほぼ長い楕円形状の穴である。この開放部47は、回転中心RLを中心とする円弧状に形成されている。開放部47は、図3と図4に示すようにベース40の開口部41と一致することにより、図9に示す光学系の光路CLを開くようになっている。
図10に示すカム溝46は、円弧状の案内部65、突部66、突部67、突部68を有している。
このカム溝46は、回転中心RLを中心として端部45Aに対しほぼ反対方向に位置している。開放部47は、カム溝46よりも半径方向内側に位置している。
【0038】
次に、図3に示す付勢部材48について説明する。
付勢部材48は、図11により詳しい形状を示している。付勢部材48は、トーションばねあるいはねじりコイルばねであるが、この形状に限定されるものではなく、板ばねのようなものであっても勿論構わない。しかしこのようなねじりコイルばねを付勢部材48として用いることにより、付勢部材の小型化および薄型化を板状のばねに比べて図ることができる。
【0039】
付勢部材48は、一端部70と他端部71および中心部72を有している。一端部70は、図5に示すように、回転駆動体45の取り付け部64に対して取り付けられている。付勢部材48の他端部71は、後で説明するターミナル部材80の取り付け部81Aに対して取り付けられている。付勢部材48の中心部72は、ベース40のボス40Dに対して取り付けられている。この付勢部材48は、回転駆動体45を、図5と図3に示す第1回転位置P1に付勢して位置決めさせる付勢力を発揮するものである。この付勢部材48は金属製であってもプラスチック製であって勿論構わない。
【0040】
次に、図3と図5に示すターミナル部材80,81,82について説明する。ターミナル部材80は、図12に示しており、ターミナル部材81は図13に示しており、ターミナル部材82は図14に示している。各ターミナル部材80乃至82は、たとえばステンレス鋼により作られている。特にターミナル部材80,81は、導電性を有する金属で作られているが、ターミナル部材82は、導電性を有しない金属以外のプラスチックやセラミックスで作っても勿論構わない。
【0041】
まずターミナル部材80について図12と図5を参照して説明する。
ターミナル部材80は、配線85に対してカシメることで電気的にかつ機械的に接続されている。ターミナル部材80は、図7に示すベース40のボス40E,40Fによりベース40に対して固定されている。
図12と図5に示すように、ターミナル部材80は、配線85を取り付ける取り付け部87を有している。ターミナル部材80はその他に上述したように付勢部材48の他端部71を固定する取り付け部81Aを有している。ターミナル部材80は図5に示すボス40E,40Fを挿入するための穴88,89を有している。ターミナル部材80は通電端子を兼用する押圧部90を有している。この押圧部90は、図5に示すように回転駆動体45のロック機構部54の付近の円弧状の部分91を、図5で見て紙面垂直方向下側に向けてベース40に対して押し付けるための部分である。これによって、回転駆動体45のロック機構部54の付近がベース40から浮き上がらないように段発的に押し付けている。
【0042】
次に、図5に示すターミナル部材81について、図13を参照しながら説明する。
ターミナル部材81は、配線93を固定する取り付け部96と、別の取り付け部275を有している。取り付け部96は、配線93をカシメることにより電気的かつ機械的に接続している。取り付け部275は、1本の形状記憶合金部材50の第1端部101をカシメることとねじを取り付けることで固定している。図5に示すボス40B,40Cは、図13のターミナル部材81の穴97,98にそれぞれはめ込まれており、このボス40B,40Cはターミナル部材81をベース40に固定している。
【0043】
次に、図5に示すターミナル部材82について説明する。図14に示す1本の形状記憶合金部材50の第2端部102は、ターミナル部材82の取り付け部103をカシメることとねじを取り付けることで固定されている。図14に示すターミナル部材82の穴104,105には、図5に示すベース40のボス40G,40Hがはめ込まれることにより、ターミナル部材82がベース40に対して固定されている。
このようにして、各ターミナル部材80乃至82は、ベース40の各ボスの頭部を潰すことにより、ベース40に対して確実に固定できるようになっている。各ボスの頭部を潰すのは機械的なカシメを行ったりあるいは熱により潰すような方式を採用することができる。
【0044】
次に、図3と図5に示す1本の形状記憶合金部材50について、図15を参照しながら説明する。
図3乃至図5および図15に示す1本の形状記憶合金部材50は、中間部110、第1端部101、第2端部102を有している。中間部110は、図5に示すように回転駆動体45の端部45Aに対してねじ留めおよびカシメにより固定されている。
形状記憶合金部材50の第1端部101は、ターミナル部材81の取り付け部275によりねじ留めおよびカシメにより固定されている。形状記憶合金部材50の第2端部102は、ターミナル部材82の取り付け部103によりカシメおよびねじ留めにより固定されている。
【0045】
この1本の形状記憶合金部材50は、通電することにより引っ張り力を発揮するものである。1本の形状記憶合金部材50は、通電されることで超弾性を呈して、引っ張りコイルばねとして機能を発揮するものである。1本の形状記憶合金部材50は、たとえばTi(チタン)、Ni(ニッケル)及びCu(銅)からなる合金部材である。しかし、これに限らず形状記憶合金部材50はNi,Tiの2元合金でもよい。
図15に示す形状記憶合金部材50は、たとえば線径が0.038mmと非常に小さく複数の巻数を有しているコイルばね状のものである。
【0046】
図5には、この1本の形状記憶合金部材50の通電経路が図示されている。
1本の形状記憶合金部材50の中間部110と第1端部101の区間は第1区間部分121と呼んでおり、中間部110と第2端部102の区間は第2区間部分122と呼んでいる。この第1区間部分121は、駆動制御部200からの通電により通電する部分であるが、第2区間部分122は、全く通電しない非通電部分である。
通電部分である第1区間部分121に対する通電は、次のような矢印で示す経路で行う。駆動制御部200は、配線93、ベース側の通電用の電極であるターミナル部材81の取り付け部275を経て、第1区間部分121の第1端部101が電気的に接続されている。第1区間部分121の中間部110は、回転駆動体45の端部45Aと回転駆動体45を経てターミナル部材80の押圧部90とターミナル部材80の取り付け部87を経て、配線85を介して駆動制御部200に電気的に接続されている。
駆動制御部200が通電電流を上述したような経路で図5に示すような矢印方向に通電することにより、一本の形状記憶合金部材50の第1区間部分121が引っ張り動作を発揮する。これに対して、第2区間部分122は常に通電されないので、通常のばねの機能を有する。
【0047】
これにより、回転駆動体45が図3に示す第1回転位置P1に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材50の第1区間部分121には通電されていない状態では、形状記憶合金部材の第1区間部分121と第2区間部分122は、回転駆動体45を中立状態でベース40に対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材50が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体45の端部45Aの位置は中立状態にあるので、回転駆動体45が第1回転位置P1から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体45の端部45Aの位置を維持することができ、第2区間部分122はいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0048】
次に、図5に示すロック機構部54について説明する。
ロック機構部54は、上述したように図12に示すカム溝46と、図5と図16に示す回転カム130を有している。図16の回転カム130は、中央部に穴131を有している。この穴131には図5に示すベース40の穴40Iに対してピン132を差し込むことにより、回転カム130は回転可能にベース40に対して固定される。
この回転カム130は、中心軸Cを中心として180度対象形状を有している。従って1組の突出部133,133ともう1組の突出部135,135を有している。この回転カム130の各突出部133,135は、カム溝46の図10に示す突部66,67,68および案内部65に対して係合することにより、後で説明するようなロック機構部54の機能を発揮する。この回転カム130はラッチとも呼んでいる。
【0049】
次に、上述した光路開閉装置30の動作について、図6を中心に参照して説明する。
図6(A)乃至図6(D)は、光路開閉装置30により光学系の光路を開閉するための動作手順を示している。
図6(A)はベース40の開口部41を全閉状態S1を示しており、図6(B)は第1中間位置S2を示している。図6(C)は、ベース40の開口部41と回転駆動体45の開放部47が合った状態の全開状態S3を示している。図6(D)は、第2中間位置S4を示している。
図6(A)の全閉状態S1において、回転駆動体45が位置している状態を第1回転位置P1と呼び、この回転駆動体45が第1回転位置P1に位置している状態では、回転駆動体45の閉鎖部140がベース40の開口部41を完全に閉鎖した状態である。
これに対して図6(C)の全開状態S3における回転駆動体45の位置は第2回転位置P2と呼んでいる。この第2回転位置P2では、回転駆動体45の閉鎖部140は、ベース40の開口部41からはずれた位置にあり、回転駆動体45の開放部47がベース40の開口部41に合っていて、開口部41は全部開いた状態になっている。
【0050】
(1)全閉状態S1
この全閉状態S1では、図6(A)に示すように、回転駆動体45が第1回転位置P1に位置決めされている。すなわち回転駆動体45は、付勢部材48により時計回りCWに沿って付勢されている。この状態では回転駆動体45の閉鎖部140がベース40の開口部41を完全に閉鎖している。そして回転駆動体45の端部45Aは、中心線Eに沿ったターミナル部材81とターミナル部材82の中間位置、すなわちターミナル部材81とターミナル部材82からそれぞれ90度の中間位置に位置されている。従って、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122のそれぞれの長さは同じである。そして図6(A)の状態では、第1区間部分121と第2区間部分122共に通電されていない状態である。
ロック機構部54の回転カム130は、カム溝46の案内部65に沿って位置している。
このようにして、図6(A)の全閉状態S1においては、図9に示す光学系の光路CLを完全に閉じた状態にある。この状態では図1に示すデジタルスチルカメラ10を使わないときのポジションである。
【0051】
(2)第1中間位置S2
図6(B)に示す第1中間位置S2は、形状記憶合金部材50の第1区間部分121に対して図5の駆動制御部200から短時間通電することにより実現する。つまり第1区間部分121が引っ張り力を発揮することにより、回転駆動体45は、反時計回りCCWに沿って回転中心RLを中心としてほぼ45度回転する。これにより回転カム130の一対の突出部133,135の間に、カム溝46の突起68がはまり込んだ状態になる。これによって、回転駆動体45の反時計方向CCWへの回転を停止させる。この場合に、回転駆動体45は、第1区間部分121の引っ張り力により、付勢部材48および第2区間部分122の引っ張り力に打ち勝って、回転駆動体45をほぼ45度くらい反時計方向CCWに沿って回転させることができる。
このようにして回転駆動体45が回転しきったところで、回転駆動体45のカム溝46の突起68と回転カム130の突出部133,135の間がかみ合って、ロック機構部54の回転カム130が回転駆動体45の反時計方向CCW方向に関する回転動作を阻止する。
【0052】
(3)全開状態S3
次に、図6(C)に示すように全開状態S3に移る。この場合には、図6(B)において第1区間部分121に通電していた状態を停止している。このように通電停止するのは省電力化のためである。これによって、図6(C)に示すように第1区間部分121の引っ張り力が解除されることにより、回転駆動体45は付勢部材48および第2区間部分122の力によりわずかな角度だけ時計方向CWに沿って回転する。しかしながら、回転カム130のもう一対の反対側の突出部133,135の間とカム溝46の突部66がかみ合うことから、回転駆動体45のこれ以上の時計方向CWに沿った回転を停止させる。このような全開状態S3では、ベース40の開口部41と回転駆動体45の開放部47は依然として一致しているので光学系の光路CLは完全に開放状態になる。
【0053】
(4)第2中間位置S4
次に、図6(D)に示すように第2中間位置S4に移る。この場合には、図4(C)の全開状態S3において再び形状記憶合金部材50の第1区間部分121に対して短時間通電を行う。これによって図6(D)に示すように第1区間部分121は再び引っ張り力を発揮するので、回転駆動体45は再び図6(D)に示すように反時計方向CCWに対して付勢部材48および第2区間部分122の力に打ち勝って回転する。しかしながら回転カム130の一方の突出部133と反対側に位置する突出部135が、それぞれカム溝の突部67,68にそれぞれ突き当たる。
これによって、回転駆動体45はこれ以上反時計方向CCWに沿っては回転しないように、回転カム130が回転駆動体45の反時計方向の回転動作を阻止することができる。そしてこの第1区間部分121に対する通電を停止すると、再び図6(A)の全閉状態S1に戻る。すなわち、第1区間部分121の引っ張り力が解除されるので、付勢部材48の付勢力と第2区間部分122の力により図6(A)に示すように回転駆動体45の端部45Aがベース40の中心線Eの線上に戻る。この場合には、図6(D)の回転カム130は、図6(D)に示す反時計方向CCW1に沿ってほぼ90度回転して、カム溝の案内部65に沿って案内されることになる。
【0054】
1本の形状記憶合金部材50に対して通電を停止した状態では、回転駆動体45は第2回転位置P2に位置されている。ロック機構部54は、回転駆動体45の開放部47をベース40の開口部41に合わせた状態になるようにして、付勢部材48の付勢力により回転駆動体45の回転動作が阻止される。
そして、ロック機構部54は、再び形状記憶合金部材50に通電されたときには回転駆動体45の回転動作の阻止を解除する。これによって回転駆動体45は付勢部材48の付勢力により第2回転位置P2から第1回転位置P1に回転復帰される。従って、回転駆動体45の閉鎖部140は第1回転位置P1に位置されて、この閉鎖部140は光学系の光路を全閉することができる。
1本の形状記憶合金部材50に対する通電を停止した状態で回転駆動体45の開放部47とベース40の開口部41が合うので、形状記憶合金部材50への通電が無い状態で光学系の光路を全開することができる。つまり形状記憶合金部材50に対して通電せずに通電電力の消費を無くした状態で光学系の光路を全開することができる。
【0055】
そして、光学系の光路を閉じる場合には、形状記憶合金部材50に通電すれば、付勢部材48の付勢力により回転駆動体45が第2回転位置P2から第1回転位置P1に回転するので、回転駆動体45の閉鎖部140が光路を全閉する。この光学系の光路の全閉状態は、形状記憶合金部材50の通電を停止した状態でも維持することができる。すなわち回転駆動体45は付勢部材48の付勢力により第1回転位置P1に位置させるのである。
【0056】
このことから、1本の形状記憶合金部材50に対して1度通電すれば1本の形状記憶合金部材50は、付勢部材48の付勢力に打ち勝って回転駆動体45を第1回転位置P1から第2回転位置P2に回転して光学系の光路を全開することができる。そしてもう1度1本の形状記憶合金部材50に通電することにより、回転駆動体45は第2回転位置P2から第1回転位置P1に移動して付勢部材48の付勢力を用いて回転駆動体45を第1回転位置P1に位置決めして光学系の光路を全閉した状態を維持する。1本の形状記憶合金部材50に対する通電時間が非常に短いので、省電力化が図れる。そして1本の形状記憶合金部材50を通電動作型のアクチュエータとして用いるだけであるので、構造が非常に簡単になり、光路開閉装置30の部品点数も少なく小型化および薄型化が図れる。
【0057】
ベース40は電気絶縁材料により作られている。ベース40の開口部41はベース40の中心部に円形状に形成されている。回転駆動体45は平板状の部材であり、回転駆動体45の開放部47はベース40の開口部41の開口面積よりも大きい開口面積を有している。回転駆動体45が平板状の部材でありベース40も平板状であることから、光路開閉装置30の薄型化を図ることができる。
【0058】
付勢部材48はねじりコイルばねであり、付勢部材48の一端部が回転駆動体45に取り付けられ付勢部材48の他端部はベース40に取り付けられている。付勢部材48の中心部はベース40に固定されている。付勢部材48がねじりコイルばねであるので、ベース40が平板状でありしかも回転駆動体45も平板状の部材であることから、光路開閉装置30の薄型化および小型化を図ることができる。
【0059】
ロック機構部54はカム溝46と回転カム130を有しているが、カム溝46は回転駆動体45に形成されている。回転カム130は、ベース40に対し回転可能に取り付けられている。この回転カム130は、カム溝46にかみ合うことで回転駆動体45の開放部47をベース40の開口部41に合わせた状態になるように付勢部材48の付勢力により回転駆動体45の回転動作を阻止する。そして回転カム130は、再び形状記憶合金部材50に通電された時には回転駆動体45の回転動作の阻止を解除することができる。
【0060】
回転駆動体45が第1回転位置P1に位置していて、光学系の光路が全閉状態の場合において、形状記憶合金部材50の第1区間部分121には通電されていない状態では、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、回転駆動体45を中立状態でベース40に対して保持することができる。このことから周囲温度がかなり上昇してしまい、たとえば形状記憶合金部材50が55℃で変態を起こしたとしても、回転駆動体45の端部45Aの位置は中立状態にあるので、回転駆動体45が第1回転位置P1から移動することが無い。従って光学系の光路が全閉状態を、周囲温度の上昇にも関わらず確実に維持することができる。
このようにして、形状記憶合金部材50の第1区間部分121と第2区間部分122は、通電しない場合には、周囲温度の変化にも関わらず回転駆動体45の端部45Aの位置を維持することができるいわゆる温度補償部の役割を果たしている。
【0061】
ところで、回転駆動体45は、たとえば目立つ色、一例として黄色や赤などに着色しておけば、光学系の光路を閉鎖している状態か開放している状態かを人間が目視で簡単に認識できる効果がある。このように回転駆動体45に対して着色しておく理由としては、このような電子機器は小型化やインターネット等のネットワークの普及に伴い、犯罪に利用されてしまうケースが予想される。しかしこのように回転駆動体45に対して着色しておけば、人間の目で見て光学系の光路が開放されている状態なのか閉じている状態なのかを回転駆動体45の位置により判りやすくすることができ、犯罪の防止効果を持たせることができる。つまり何も撮っていない状態では回転駆動体の黄色が良く見えることになり、撮影している状態であれば直接レンズが見えるようになるのである。
【0062】
本発明の実施の形態の光路開閉装置は、部品点数が少なく動作の高信頼性化が図れる。1本の形状記憶合金部材50を使用しているだけであり、図6(A)の全閉状態S1から第1中間位置S2に移る場合に1度形状記憶合金部材の第1区間部分121に通電を行い、その後は通電を行わないようにして省電力化を図っている。そして図6(C)の全開状態S3から第2中間位置S4に移る場合にやはり第1区間部分121に対してもう1度通電するだけで、回転駆動体45は全閉状態S1に戻すことができる。このように形状記憶合金部材50は必要な時だけ通電すれば良くその他の全閉状態S1と全開状態S3を維持するためには通電が不要である。このために光路開閉装置30における大幅な省電力化を測ることができる。
【0063】
ところで本発明の光路開閉装置は、デジタルスチルカメラのような電子機器に限らず、他の種類の電子機器たとえばカメラ機能付き携帯電話、ビデオカメラ、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等、いずれにしてもレンズを含む光路系を備える全ての電子機器に対して適用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型化および薄型化が図れ、手動ではなく短時間通電するだけで光路系の光路を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光路開閉装置を有する電子機器の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の後ろから見た斜視図。
【図3】光路開閉装置の好ましい実施の形態を示し、光学系の光路が全閉状態を示す図。
【図4】光路開閉装置の好ましい実施の形態を示し、光学系の光路が全開状態を示す図。
【図5】光路開閉装置の全閉状態および形状記憶合金部材の第1区間部分に通電する通電経路を示す図。
【図6】光路開閉装置の動作例を示す図。
【図7】光路開閉装置のベースを示す斜視図。
【図8】光路開閉装置のベースを示す図。
【図9】光学系の光路および光路開閉装置等を示す図。
【図10】光路開閉装置の回転駆動体の形状を示す図。
【図11】光路開閉装置の付勢部材の形状例を示す図。
【図12】光路開閉装置のターミナル部材を示す図。
【図13】光路開閉装置の別のターミナル部材を示す図。
【図14】光路開閉装置のさらに別のターミナル部材を示す図。
【図15】形状記憶合金部材を示す図。
【図16】回転カムを示す図。
【符号の説明】
10・・・デジタルスチルカメラ(電子機器の一例)、30・・・光路開閉装置、40・・・ベース、41・・・ベースの開口部、45・・・回転駆動体、46・・・カム溝、47・・・回転駆動体の開放部、50・・・1本の形状記憶合金部材、54・・・ロック機構部、121・・・形状記憶合金部材の第1区間部分、122・・・形状記憶合金部材の第2区間部分、130・・・回転カム、140・・・回転駆動体の閉鎖部、P1・・・第1回転位置、P2・・・第2回転位置
Claims (10)
- 光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置であり、
前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、
前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、
前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、
前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、
前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置。 - 前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である請求項1に記載の光路開閉装置。
- 前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている請求項2に記載の光路開閉装置。
- 前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している請求項1に記載の光路開閉装置。
- 1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、
前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である請求項1に記載の光路開閉装置。 - 光学系の光路を開閉するための光路レンズ開閉装置を有する電子機器であり、
前記光路レンズ開閉装置は、
前記光学系の光路を通すための開口部を有するベースと、
前記ベースに対して回転軸を用いて回転可能に取り付けられる回転駆動体であって、前記光路の全閉のための第1回転位置では前記ベースの前記開口部を閉じるための閉鎖部と、前記光路の全開のための第2回転位置では前記ベースの前記開口部を開くための開放部と、を有する前記回転駆動体と、
前記回転駆動体を付勢力により前記第1回転位置に強制的に位置させる付勢部材と、
前記回転駆動体と前記ベースとの間に取り付けられて通電することで、前記付勢部材の前記付勢力に打ち勝って前記回転駆動体を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させるための1本の形状記憶合金部材と、
前記回転駆動体が前記第2回転位置に位置されて前記形状記憶合金部材への通電を停止した状態で、前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除して前記回転駆動体を前記付勢部材の前記付勢力により前記第2回転位置から前記第1回転位置に回転復帰させるためのロック機構部と、を備えることを特徴とする光路レンズ開閉装置を有する電子機器。 - 前記ベースは平板状であり電気絶縁材料で作られており、前記ベースの前記開口部は、前記ベースの中心部に円形状に形成されており、前記回転駆動体は平板状の部材であり、前記回転駆動体の前記開放部は、前記開口部の開口面積よりも大きい開口面積を有する穴である請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器。
- 前記付勢部材はねじりコイルばねであり、前記付勢部材の一端部は前記回転駆動体に取り付けられ、前記付勢部材の他端部は前記ベース側に取り付けられ、前記付勢部材の中心部は前記ベース部材に固定されている請求項7に記載の光路開閉装置を有する電子機器。
- 前記ロック機構部は、前記回転駆動体に形成されているカム溝と、前記ベースに対して回転可能に取り付けられて前記カム溝にかみ合うことで前記回転駆動体の開放部を前記ベースの前記開口部に合わせた状態になるように前記付勢部材の前記付勢力による前記回転駆動体の回転動作を阻止し、そして再び前記形状記憶合金部材に通電された時には前記回転駆動体の回転動作の阻止を解除する回転カムとを有している請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器。
- 1本の前記形状記憶合金部材の中間部が、前記回転駆動体の端部に固定されており、前記形状記憶合金部材の第1端部が前記ベース側の通電用電極に固定され、前記形状記憶合金部材の第2端部が前記ベース側の固定部に固定されており、
前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第1端部の間の第1区間部分には、前記ベース側の前記通電用電極と前記形状記憶合金部材の前記中間部から通電され、前記形状記憶合金部材の前記中間部と前記第2端部の間の第2区間部分は、非通電部分である請求項6に記載の光路開閉装置を有する電子機器。
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