JP2004333531A - 光路開閉装置及びこれを備えた電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化、薄型化及び設計の自由度の向上等を図る。
【解決手段】光透過孔13aが形成されたベース部9を有する筐体7と、遮蔽部18aと取付部19aとを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体17と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネ26と、ベース部に固定された一対の電極16、16と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材33とを設けた。
【選択図】 図4
【解決手段】光透過孔13aが形成されたベース部9を有する筐体7と、遮蔽部18aと取付部19aとを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体17と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネ26と、ベース部に固定された一対の電極16、16と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材33とを設けた。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光路開閉装置及びこれを備えた電子機器についての技術分野に関する。詳しくは、ワイヤー状の形状記憶合金部材を筐体のベース部の外周縁に沿って配置して、小型化、薄型化及び設計の自由度の向上等を図る技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学系の光路を有する光路開閉装置を備えた電子機器としては、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等がある。このような電子機器にあっては、光学系の光路の開閉を行うために手動方式のレンズバリア部材を有しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−237658号公報(第3頁乃至第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような手動方式のレンズバリア部材を有する従来の電子機器においては、レンズバリア部材の手動動作用のレバーが必要となり、光路開閉装置の小型化及び薄型化が困難である。
【0005】
また、光学系の光路を開閉する動作は自動化することが望まれている。
【0006】
一方、光学系の光路を開閉する動作を自動化した光路開閉装置として、本出願人による特願2002―291115があり、この光路開閉装置にあっては、ワイヤー状の形状記憶合金部材を用いて光路の開閉を行っているが、形状記憶合金部材の長さが短いために形状記憶合金部材に通電したときの収縮量が小さく、駆動体の動作範囲が小さいことから、設計の自由度が低いと共に動作の信頼性に欠ける面がある。
【0007】
そこで、本発明光路開閉装置及びこれを備えた電子機器は、上記した問題点を克服し、小型化、薄型化及び設計の自由度の向上等を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明光路開閉装置及び電子機器は、上記した課題を解決するために、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを設け、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたものである。
【0009】
従って、本発明光路開閉装置及び電子機器にあっては、形状記憶合金部材の長さが長くなると共に形状記憶合金部材の内側に他の各部の配置が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明電子機器を携帯電話に適用し、本発明光路開閉装置を携帯電話に設けられた光路開閉装置に適用したものである。
【0011】
電子機器(携帯電話)1は、例えば、第1のケース体2と第2のケース体3がヒンジ部4を介して折畳自在とされている(図1及び図2参照)。第1のケース体2には表示部2a及びスピーカー部2bが設けられ、第2のケース体3には操作キー3a、3a、・・・及びマイク部3bが設けられている。
【0012】
第1のケース体2の内部にはカメラ部5が設けられている。カメラ部5は第1のケース体2の表面に取り付けられたカバーガラス6の内側に設けられている。
【0013】
カメラ部5は筐体7とこれに支持又は取り付けられた所要の各部とを備え、筐体7はレンズ鏡筒部8とベース部9とから成る(図3及び図4参照)。
【0014】
レンズ鏡筒部8は略円筒状に形成され、内部に撮像レンズ10が配置されている。
【0015】
ベース部9には所要の各部が支持又は取り付けられ、ベース部9と所要の各部とによって光路開閉装置11が構成されている。
【0016】
ベース部9はレンズ鏡筒部8の軸方向における一端面に取り付けられ、略矩形の板状に形成された基部12と、該基部12に対してレンズ鏡筒部8の反対側に1段高く形成された支持面部13と、該支持面部13に対してレンズ鏡筒部8の反対側に1段高く形成された第1の規制突部14及び第2の規制突部15とから成る。
【0017】
基部12の4隅のうちの3隅には、それぞれ取付孔12a、12a、12aが形成されている。基部12の残りの1隅には、支持面部13と同じ側に突出された電極固定部12bが設けられている。電極固定部12bには上下に離隔して一対の電極16、16が固定される。
【0018】
支持面部13は基部12の一部を除く部分からレンズ鏡筒部8の反対側に突出され、支持面部13には光学系の光路となる光透過孔13aが形成されている。
光透過孔13aはレンズ鏡筒部8側にも開口され、光透過孔13aに対応した位置に上記撮像レンズ10が配置されている。支持面部13にはピン取付孔13b、13b、13bと軸取付孔13cと支持孔13dとがそれぞれ形成されている。
【0019】
第1の規制突部14と第2の規制突部15は、それぞれ支持面部13の光透過孔13aを挟んだ略反対側の位置に設けられ、光透過孔13a側の側縁がそれぞれストッパー縁14a、15aとして形成されている。
【0020】
ベース部9の支持面部13には支持孔13dを介して駆動体17が回動自在に支持される。駆動体17は所定の形状を為す板状に形成された主面部18と、該主面部18から側方へ突出された突部19と、主面部18から突出され折り曲げて形成されたバネ支持片部20とが一体に形成されて成る。
【0021】
主面部18にはND(Neutral Density)フィルター18aが形成されている。NDフィルター18aは、ベース部9に形成された光学系の光路となる上記光透過孔13aを遮蔽する遮蔽部としての役割を果たし、光透過孔13aを遮蔽することにより、光量を減少させる機能を有する。NDフィルター18aはベース部9の光透過孔13aより大きく形成されている。
【0022】
主面部18にはカム孔21が形成され、該カム孔21には円弧状に形成された案内縁21aと第1の突縁21bと第2の突縁21cと第3の突縁21dとが順に形成されている。
【0023】
主面部18と突部19との境界部には挿通孔18bが形成されている。突部19の先端部には挿入取付孔19aが形成されている。挿入取付孔19aは後述する形状記憶合金部材を取り付けるための取付部としての役割を果たす。
【0024】
ベース部9の基部12にはカバー22が取り付けられる。カバー22は、所定の形状を為す板状に形成された閉塞部23と、該閉塞部23から直角に折り曲げられて形成されたバネ支持突部24とを有している。
【0025】
閉塞部23の外端部にはそれぞれピン挿通孔23a、23a、23aが形成されている。閉塞部23の下端部には挿入孔23b、23cが左右に離隔して形成されている。
【0026】
バネ支持突部24には側方に開口された支持スリット24aが形成されている。
【0027】
ベース部9の軸取付孔13cにはバネ支持軸25が取り付けられ、該バネ支持軸25に付勢バネ26が支持される。付勢バネ26は、例えば、捩じりコイルバネであり、コイル部26aがバネ支持軸25に支持される。
【0028】
カバー22は、ピン挿通孔23a、23a、23aをそれぞれ挿通された取付ピン27、27、27が、ベース部9のピン取付孔13b、13b、13bに挿入されて取り付けられることにより、ベース部9に取り付けられる。
【0029】
駆動体17は、カバー22の挿入孔23b及び駆動体17のピン挿通孔18bを順に挿通された支持ピン28が、ベース部9の支持孔13dに挿入されて取り付けられることにより、支持ピン28を中心として支持面部13上において回動自在に支持される。
【0030】
上記のようにカバー22がベース部9に取り付けられると共に駆動体17がベース部9に回動自在に支持された状態において、付勢バネ26の一端部26bが駆動体17のバネ支持片部20に支持され他端部26cがカバー22のバネ支持突部24の支持スリット24aに挿入されて支持される。従って、駆動体17は付勢バネ26の付勢力によってベース部9の光透過孔13aを開放する開放位置へ向けて付勢される(図4に示すR1方向)。
【0031】
カバー22の挿入孔23cには支持軸29が挿入され、該支持軸29に回転カム30が回転自在に支持される。回転カム30は一方に稍長い形状に形成され、回転中心を基準として対称な形状及び大きさに形成されている。回転カム30は駆動体17のカム孔21内において回転可能とされ、回転中心を挟んで長手方向における反対側にそれぞれ2つずつの突部が設けられている。回転カム30の各側の2つの突部の間の部分が、それぞれ第1の係合凹部30a、第2の係合凹部30bとして形成されている。
【0032】
ベース部9には支持プーリー31、31、31が回転可能に支持される。支持プーリー31は、図5及び図6に示すように、同軸上に軸方向に離隔して径の異なる第1の支持溝31aと第2の支持溝31bとを有し、第1の支持溝31aが第2の支持溝31bより径が大きくされている。支持プーリー31の中心部には軸挿入孔31cが形成されている。
【0033】
支持プーリー31、31、31は、軸挿入孔31c、31c、31cにそれぞれ挿入された回転支持軸32、32、32がベース部9の取付孔12a、12a、12aに取り付けられることにより、回転支持軸32、32、32を介してベース部9に回転可能とされる。
【0034】
ベース部9の電極固定部12bに固定された一方の電極16には形状記憶合金部材33の一端部が取り付けられ、形状記憶合金部材33の中間部が駆動体17の挿入取付孔19aに挿入され折り返されて取り付けられ、形状記憶合金部材33の他端部が電極固定部12bに固定された他方の電極16に取り付けられる(図4参照)。
【0035】
形状記憶合金部材33は、例えば、Ti(チタン)、Ni(ニッケル)及びCu(銅)から成る3元合金部材、又は、Ni、Tiの2元合金部材である。形状記憶合金部材33は一方の電極16から挿入取付孔19aまでの区間が第1の区間33aとされ、他方の電極16から挿入取付孔19aまでの区間が第2の区間33bとされる。第1の区間33aは支持プーリー31、31、31の第1の支持溝31a、31a、31aに巻回されて支持され、第2の区間33bは支持プーリー31、31、31の第2の支持溝31b、31b、31bに巻回されて支持される。従って、形状記憶合金部材33はベース部9の外周縁に沿って配置される。
【0036】
形状記憶合金部材33には電極16、16を介して図示しない駆動電源から通電が行われる。
【0037】
以下に、光路開閉装置11の動作について説明する(図7乃至図10参照)。
【0038】
先ず、形状記憶合金部材33に通電が行われていない状態について説明する(図7参照)。
【0039】
通電が行われていない状態においては、形状記憶合金部材33は収縮されておらず、付勢バネ26の付勢力によって駆動体17がベース部9の第2の規制突部15のストッパー縁15aに押し付けられ、該ストッパー縁15aによって図7に示すR1方向への回動が規制されている。従って、駆動体17は開放位置にあり、ベース部9に形成された光透過孔13aが開放されている。このとき回転カム30はカム孔21の案内縁21aに沿うように位置されている。
【0040】
形状記憶合金部材33に通電が行われると、形状記憶合金部材33は収縮され、付勢バネ26の付勢力に抗して駆動体17が図7に示すR2方向へ回動される。駆動体17がR2方向へ回動されると、該駆動体17がベース部9の第1の規制突部14のストッパー縁14aに押し付けられ、該ストッパー縁14aによってR2方向への回動が規制される(図8参照)。従って、駆動体17は閉塞位置(第1の閉塞位置)に至り、光透過孔13aが駆動体17のNDフィルター18aによって閉塞される。駆動体17が第1の閉塞位置に至った状態においては、回転カム30の第2の係合凹部30bがカム孔21の第3の突縁21dに係合される。
【0041】
駆動体17が第1の閉塞位置に至ると、形状記憶合金部材33への通電が解除される。形状記憶合金部材33への通電の解除により形状記憶合金部材33は伸張され、駆動体17が付勢バネ26の付勢力によって開放位置へ向けて図8に示すR1方向へ回動される。駆動体17がR1方向へ回動されると、回転カム30の第1の係合凹部30aがカム孔21の第1の突縁21bに係合され、駆動体17のR1方向への回動が規制され、駆動体17は第2の閉塞位置に至る(図9参照)。このときベース部9の光透過孔13aは依然としてNDフィルター18aによって閉塞されており、光学系の光路は閉塞されている。
【0042】
このように駆動体17が一旦閉塞位置(第1の閉塞位置)に至った後に通電が解除されても、光透過孔13aはNDフィルター18aによって閉塞されており、光透過孔13aの閉塞状態を保持するための通電を継続する必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0043】
駆動体17が第2の閉塞位置に至った状態において、再び形状記憶合金部材33に通電が行われると、形状記憶合金部材33が収縮されて付勢バネ26の付勢力に抗して駆動体17が図9に示すR2方向へ回動される。駆動体17がR2方向へ回動されると、該駆動体17がベース部9の第1の規制突部14のストッパー縁14aに押し付けられ、該ストッパー縁14aによってR2方向への回動が規制される(図10参照)。従って、駆動体17は再び第1の閉塞位置に至る。駆動体17が再び第1の閉塞位置に至った状態においては、回転カム30の外周面にカム孔21の第2の突縁21cと第3の突縁21dが接触される。このとき回転カム30の第1の係合凹部30a及び第2の係合凹部30bはカム孔21の何れの突縁21b、21c、21dとも係合されていない。
【0044】
続いて、形状記憶合金部材33への通電が解除されて形状記憶合金部材33が伸張され、駆動体17が付勢バネ26の付勢力によってR1方向へ回動され再び開放位置に至る(図7参照)。駆動体17が第1の閉塞位置から開放位置に至る途中においては、カム孔21の第1の突縁21bによって回転カム30が押圧され、回転カム30が回転される。従って、回転カム30は駆動体17が開放位置から閉塞位置へ向けて回動される前の初期状態に対して180°回転され、再び、カム孔21の案内縁21aに沿うように位置される。
【0045】
以上に記載した通り、光路開閉装置11にあっては、形状記憶合金部材33がベース部9の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材33の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材33に通電したときの収縮量を大きくすることができ、駆動体17の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0046】
また、形状記憶合金部材33をベース部9の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材33の内側に光路開閉装置11の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材33との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材33を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、光路開閉装置11の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0047】
さらに、形状記憶合金部材33はベース部9に固定された電極16、16に固定されているため、駆動体17の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0048】
さらにまた、形状記憶合金部材33がベース部9に対して回転可能な支持プーリー31、31、31に支持されるため、形状記憶合金部材33の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
また、光路開閉装置11にあっては、軸方向に離隔して支持プーリー31、31、31に同軸上に形成された第1の支持溝31a、31a、31aと第2の支持溝31b、31b、31bにそれぞれ形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33bが支持されるため、ベース部9の外周縁に沿ってそれぞれ配置された第1の区間33aと第2の区間33bとが接触せず、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0050】
加えて、支持プーリー31、31、31の第1の支持溝31a、31a、31aと第2の支持溝31b、31b、31bの径が異なるため、ベース部9の外周縁に沿ってそれぞれ配置された第1の区間33aと第2の区間33bとの接触が確実に回避され、駆動体17の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0051】
図11は、温度補正用形状記憶合金部材を設けた光路開閉装置11Aを示すものである。
【0052】
温度補正用形状記憶合金部材34は上記形状記憶合金部材33と同様にワイヤー状に形成され、例えば、Ti、Ni及びCuから成る3元合金部材、又は、Ni、Tiの2元合金部材であり、通電されて収縮される。温度補正用形状記憶合金部材34は、例えば、ベース部9の外周縁に沿って配置され、形状記憶合金部材33の外側に位置されている。温度補正用形状記憶合金部材34は両端部がそれぞれベース部9に固定された電極35、35に固定され、中間部が駆動体17の挿入取付孔19aに挿入され折り返されて取り付けられ、一方の電極35から挿入取付孔19aまでの区間が第1の区間34aとされ、他方の電極35から挿入取付孔19aまでの区間が第2の区間34bとされている。このとき形状記憶合金部材33と温度補正用形状記憶合金部材34のそれぞれ折り返された部分が互いに接触しないようにされている。
【0053】
光路開閉装置11Aには図示しない温度センサーが設けられている。
【0054】
温度補正用形状記憶合金部材34は通電されて所定の温度にされたときに収縮される。例えば、外部環境の変化等に基づく温度上昇があったときには、形状記憶合金部材33に通電が行われない状態においても形状記憶合金部材33が収縮されて駆動体17の意図しない回動動作が行われるおそれがあるが、光路開閉装置11Aにあっては、温度上昇があったときには温度センサーによって所定の温度となったことが検出され、電極35、35を介して温度補正用形状記憶合金部材34に通電が行われる。
【0055】
従って、温度補正用形状記憶合金部材34の収縮と形状記憶合金部材33の収縮による互いの引張力が均衡され、駆動体17の意図しない回動動作が防止される。
【0056】
このように、温度補正用形状記憶合金部材34を設けることにより、駆動体17の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
尚、上記には、形状記憶合金部材33及び温度補正用形状記憶合金部材34を支持する手段として支持プーリー31、31、31を用いた例を示したが、例えば、支持プーリー31、31、31に代えて図12に示すような支持部材36、36、36を用いて形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34の少なくとも一方を摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0058】
支持部材36は、形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34を支持する支持部36aと、ベース部9の取付孔12aに挿入されて取り付けられる被取付突部36bとが一体に形成されて成り、支持部36aには形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33b又は温度補正用形状記憶合金部材34の第1の区間34aと第2の区間34bをそれぞれ支持するための第1の支持凹部36cと第2の支持凹部36dが形成されている。
【0059】
支持部材36、36、36を用いることにより、部品点数の削減を図ることができると共にベース部9に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0060】
また、図13に示すように、ベース部9に対する高さ位置の異なる第1の支持凹部36e、第2の支持凹部36fを有する支持部材36Aを用いて形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34の少なくとも一方を摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0061】
支持部材36Aを用いた場合には、支持部材36の第1の支持凹部36cと第2の支持凹部36dとの間の間隔に比して、第1の支持凹部36eと第2の支持凹部36fとの間の間隔を大きくすることができ、形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33b又は温度補正用形状記憶合金部材34の第1の区間34aと第2の区間34bとの接触を確実に回避することができる。
【0062】
尚、上記には、本発明電子機器を携帯電話に適用した例を示したが、本発明電子機器の適用範囲は携帯電話に限られることはなく、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、ネットワーク端末やワークステーション、PDA(Pasonal Digital Assistance)等の光学系の光路を有する各種の電子機器に適用することができる。
【0063】
上記した実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0064】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明光路開閉装置は、光学系の光路を開閉する光路開閉装置であって、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0065】
従って、形状記憶合金部材がベース部の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材に通電したときの伸縮量を大きくすることができ、駆動体の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0066】
また、形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材の内側に光路開閉装置の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、光路開閉装置の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0067】
さらに、形状記憶合金部材がベース部に固定された電極に固定されているため、駆動体の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0068】
請求項2に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持し周方向に延びる第2の支持溝とを形成し、第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したので、形状記憶合金部材の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
また、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間とが接触せず、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0070】
請求項3に記載した発明にあっては、上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したので、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間との接触が確実に回避され、駆動体の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
請求項4に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持する第1の支持凹部と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持する第2の支持凹部を形成したので、部品点数の削減を図ることができると共に形状記憶合金部材を支持する手段のベース部に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0072】
請求項5に記載した発明にあっては、形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したので、温度上昇時の駆動体の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
本発明電子機器は、光学系の光路を開閉する光路開閉装置を備えた電子機器であって、上記光路開閉装置は、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0074】
従って、形状記憶合金部材がベース部の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材に通電したときの伸縮量を大きくすることができ、駆動体の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0075】
また、形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材の内側に光路開閉装置の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、電子機器の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0076】
さらに、形状記憶合金部材がベース部に固定された電極に固定されているため、駆動体の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0077】
請求項7に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持し周方向に延びる第2の支持溝とを形成し、第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したので、形状記憶合金部材の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0078】
また、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間とが接触せず、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0079】
請求項8に記載した発明にあっては、上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したので、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間との接触が確実に回避され、駆動体の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0080】
請求項9に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持する第1の支持凹部と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持する第2の支持凹部を形成したので、部品点数の削減を図ることができると共に形状記憶合金部材を支持する手段のベース部に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0081】
請求項10に記載した発明にあっては、形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したので、温度上昇時の駆動体の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図13と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、本発明を適用した携帯電話を開いた状態で示す斜視図である。
【図2】携帯電話を閉じた状態で示す斜視図である。
【図3】光路開閉装置の分解斜視図である。
【図4】光路開閉装置の拡大斜視図である。
【図5】支持プーリーと回転支持軸を示す拡大斜視図である。
【図6】支持プーリーの拡大断面図である。
【図7】図8乃至図10と共に光路開閉装置の動作を示すものであり、本図は駆動体が開放位置にある状態を示す拡大正面図である。
【図8】図7に引き続き、駆動体が第1の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図9】図8に引き続き、駆動体が第2の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図10】図9に引き続き、駆動体が再び第1の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図11】温度補正用形状記憶合金部材が設けられた光路開閉装置を示す拡大斜視図である。
【図12】形状記憶合金部材が支持部材に支持された状態を示す拡大断面図である。
【図13】形状記憶合金部材が別の支持部材に支持された状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1…電子機器、7…筐体、9…ベース部、11…光路開閉装置、13a…光透過孔、16…電極、17…駆動体、18a…NDフィルター(遮蔽部)、19a…挿入取付孔(取付部)、26…付勢バネ、31…支持プーリー、31a…第1の支持溝、31b…第2の支持溝、32…回転支持軸、33…形状記憶合金部材、33a…第1の区間、33b…第2の区間、11A…光路開閉装置、34…温度補正用形状記憶合金部材、34a…第1の区間、34b…第2の区間、35…電極、36…支持部材、36c…第1の支持凹部、36d…第2の支持凹部、36A…支持部材、36e…第1の支持凹部、36f…第2の支持凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は光路開閉装置及びこれを備えた電子機器についての技術分野に関する。詳しくは、ワイヤー状の形状記憶合金部材を筐体のベース部の外周縁に沿って配置して、小型化、薄型化及び設計の自由度の向上等を図る技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学系の光路を有する光路開閉装置を備えた電子機器としては、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等がある。このような電子機器にあっては、光学系の光路の開閉を行うために手動方式のレンズバリア部材を有しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−237658号公報(第3頁乃至第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような手動方式のレンズバリア部材を有する従来の電子機器においては、レンズバリア部材の手動動作用のレバーが必要となり、光路開閉装置の小型化及び薄型化が困難である。
【0005】
また、光学系の光路を開閉する動作は自動化することが望まれている。
【0006】
一方、光学系の光路を開閉する動作を自動化した光路開閉装置として、本出願人による特願2002―291115があり、この光路開閉装置にあっては、ワイヤー状の形状記憶合金部材を用いて光路の開閉を行っているが、形状記憶合金部材の長さが短いために形状記憶合金部材に通電したときの収縮量が小さく、駆動体の動作範囲が小さいことから、設計の自由度が低いと共に動作の信頼性に欠ける面がある。
【0007】
そこで、本発明光路開閉装置及びこれを備えた電子機器は、上記した問題点を克服し、小型化、薄型化及び設計の自由度の向上等を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明光路開閉装置及び電子機器は、上記した課題を解決するために、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを設け、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたものである。
【0009】
従って、本発明光路開閉装置及び電子機器にあっては、形状記憶合金部材の長さが長くなると共に形状記憶合金部材の内側に他の各部の配置が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明電子機器を携帯電話に適用し、本発明光路開閉装置を携帯電話に設けられた光路開閉装置に適用したものである。
【0011】
電子機器(携帯電話)1は、例えば、第1のケース体2と第2のケース体3がヒンジ部4を介して折畳自在とされている(図1及び図2参照)。第1のケース体2には表示部2a及びスピーカー部2bが設けられ、第2のケース体3には操作キー3a、3a、・・・及びマイク部3bが設けられている。
【0012】
第1のケース体2の内部にはカメラ部5が設けられている。カメラ部5は第1のケース体2の表面に取り付けられたカバーガラス6の内側に設けられている。
【0013】
カメラ部5は筐体7とこれに支持又は取り付けられた所要の各部とを備え、筐体7はレンズ鏡筒部8とベース部9とから成る(図3及び図4参照)。
【0014】
レンズ鏡筒部8は略円筒状に形成され、内部に撮像レンズ10が配置されている。
【0015】
ベース部9には所要の各部が支持又は取り付けられ、ベース部9と所要の各部とによって光路開閉装置11が構成されている。
【0016】
ベース部9はレンズ鏡筒部8の軸方向における一端面に取り付けられ、略矩形の板状に形成された基部12と、該基部12に対してレンズ鏡筒部8の反対側に1段高く形成された支持面部13と、該支持面部13に対してレンズ鏡筒部8の反対側に1段高く形成された第1の規制突部14及び第2の規制突部15とから成る。
【0017】
基部12の4隅のうちの3隅には、それぞれ取付孔12a、12a、12aが形成されている。基部12の残りの1隅には、支持面部13と同じ側に突出された電極固定部12bが設けられている。電極固定部12bには上下に離隔して一対の電極16、16が固定される。
【0018】
支持面部13は基部12の一部を除く部分からレンズ鏡筒部8の反対側に突出され、支持面部13には光学系の光路となる光透過孔13aが形成されている。
光透過孔13aはレンズ鏡筒部8側にも開口され、光透過孔13aに対応した位置に上記撮像レンズ10が配置されている。支持面部13にはピン取付孔13b、13b、13bと軸取付孔13cと支持孔13dとがそれぞれ形成されている。
【0019】
第1の規制突部14と第2の規制突部15は、それぞれ支持面部13の光透過孔13aを挟んだ略反対側の位置に設けられ、光透過孔13a側の側縁がそれぞれストッパー縁14a、15aとして形成されている。
【0020】
ベース部9の支持面部13には支持孔13dを介して駆動体17が回動自在に支持される。駆動体17は所定の形状を為す板状に形成された主面部18と、該主面部18から側方へ突出された突部19と、主面部18から突出され折り曲げて形成されたバネ支持片部20とが一体に形成されて成る。
【0021】
主面部18にはND(Neutral Density)フィルター18aが形成されている。NDフィルター18aは、ベース部9に形成された光学系の光路となる上記光透過孔13aを遮蔽する遮蔽部としての役割を果たし、光透過孔13aを遮蔽することにより、光量を減少させる機能を有する。NDフィルター18aはベース部9の光透過孔13aより大きく形成されている。
【0022】
主面部18にはカム孔21が形成され、該カム孔21には円弧状に形成された案内縁21aと第1の突縁21bと第2の突縁21cと第3の突縁21dとが順に形成されている。
【0023】
主面部18と突部19との境界部には挿通孔18bが形成されている。突部19の先端部には挿入取付孔19aが形成されている。挿入取付孔19aは後述する形状記憶合金部材を取り付けるための取付部としての役割を果たす。
【0024】
ベース部9の基部12にはカバー22が取り付けられる。カバー22は、所定の形状を為す板状に形成された閉塞部23と、該閉塞部23から直角に折り曲げられて形成されたバネ支持突部24とを有している。
【0025】
閉塞部23の外端部にはそれぞれピン挿通孔23a、23a、23aが形成されている。閉塞部23の下端部には挿入孔23b、23cが左右に離隔して形成されている。
【0026】
バネ支持突部24には側方に開口された支持スリット24aが形成されている。
【0027】
ベース部9の軸取付孔13cにはバネ支持軸25が取り付けられ、該バネ支持軸25に付勢バネ26が支持される。付勢バネ26は、例えば、捩じりコイルバネであり、コイル部26aがバネ支持軸25に支持される。
【0028】
カバー22は、ピン挿通孔23a、23a、23aをそれぞれ挿通された取付ピン27、27、27が、ベース部9のピン取付孔13b、13b、13bに挿入されて取り付けられることにより、ベース部9に取り付けられる。
【0029】
駆動体17は、カバー22の挿入孔23b及び駆動体17のピン挿通孔18bを順に挿通された支持ピン28が、ベース部9の支持孔13dに挿入されて取り付けられることにより、支持ピン28を中心として支持面部13上において回動自在に支持される。
【0030】
上記のようにカバー22がベース部9に取り付けられると共に駆動体17がベース部9に回動自在に支持された状態において、付勢バネ26の一端部26bが駆動体17のバネ支持片部20に支持され他端部26cがカバー22のバネ支持突部24の支持スリット24aに挿入されて支持される。従って、駆動体17は付勢バネ26の付勢力によってベース部9の光透過孔13aを開放する開放位置へ向けて付勢される(図4に示すR1方向)。
【0031】
カバー22の挿入孔23cには支持軸29が挿入され、該支持軸29に回転カム30が回転自在に支持される。回転カム30は一方に稍長い形状に形成され、回転中心を基準として対称な形状及び大きさに形成されている。回転カム30は駆動体17のカム孔21内において回転可能とされ、回転中心を挟んで長手方向における反対側にそれぞれ2つずつの突部が設けられている。回転カム30の各側の2つの突部の間の部分が、それぞれ第1の係合凹部30a、第2の係合凹部30bとして形成されている。
【0032】
ベース部9には支持プーリー31、31、31が回転可能に支持される。支持プーリー31は、図5及び図6に示すように、同軸上に軸方向に離隔して径の異なる第1の支持溝31aと第2の支持溝31bとを有し、第1の支持溝31aが第2の支持溝31bより径が大きくされている。支持プーリー31の中心部には軸挿入孔31cが形成されている。
【0033】
支持プーリー31、31、31は、軸挿入孔31c、31c、31cにそれぞれ挿入された回転支持軸32、32、32がベース部9の取付孔12a、12a、12aに取り付けられることにより、回転支持軸32、32、32を介してベース部9に回転可能とされる。
【0034】
ベース部9の電極固定部12bに固定された一方の電極16には形状記憶合金部材33の一端部が取り付けられ、形状記憶合金部材33の中間部が駆動体17の挿入取付孔19aに挿入され折り返されて取り付けられ、形状記憶合金部材33の他端部が電極固定部12bに固定された他方の電極16に取り付けられる(図4参照)。
【0035】
形状記憶合金部材33は、例えば、Ti(チタン)、Ni(ニッケル)及びCu(銅)から成る3元合金部材、又は、Ni、Tiの2元合金部材である。形状記憶合金部材33は一方の電極16から挿入取付孔19aまでの区間が第1の区間33aとされ、他方の電極16から挿入取付孔19aまでの区間が第2の区間33bとされる。第1の区間33aは支持プーリー31、31、31の第1の支持溝31a、31a、31aに巻回されて支持され、第2の区間33bは支持プーリー31、31、31の第2の支持溝31b、31b、31bに巻回されて支持される。従って、形状記憶合金部材33はベース部9の外周縁に沿って配置される。
【0036】
形状記憶合金部材33には電極16、16を介して図示しない駆動電源から通電が行われる。
【0037】
以下に、光路開閉装置11の動作について説明する(図7乃至図10参照)。
【0038】
先ず、形状記憶合金部材33に通電が行われていない状態について説明する(図7参照)。
【0039】
通電が行われていない状態においては、形状記憶合金部材33は収縮されておらず、付勢バネ26の付勢力によって駆動体17がベース部9の第2の規制突部15のストッパー縁15aに押し付けられ、該ストッパー縁15aによって図7に示すR1方向への回動が規制されている。従って、駆動体17は開放位置にあり、ベース部9に形成された光透過孔13aが開放されている。このとき回転カム30はカム孔21の案内縁21aに沿うように位置されている。
【0040】
形状記憶合金部材33に通電が行われると、形状記憶合金部材33は収縮され、付勢バネ26の付勢力に抗して駆動体17が図7に示すR2方向へ回動される。駆動体17がR2方向へ回動されると、該駆動体17がベース部9の第1の規制突部14のストッパー縁14aに押し付けられ、該ストッパー縁14aによってR2方向への回動が規制される(図8参照)。従って、駆動体17は閉塞位置(第1の閉塞位置)に至り、光透過孔13aが駆動体17のNDフィルター18aによって閉塞される。駆動体17が第1の閉塞位置に至った状態においては、回転カム30の第2の係合凹部30bがカム孔21の第3の突縁21dに係合される。
【0041】
駆動体17が第1の閉塞位置に至ると、形状記憶合金部材33への通電が解除される。形状記憶合金部材33への通電の解除により形状記憶合金部材33は伸張され、駆動体17が付勢バネ26の付勢力によって開放位置へ向けて図8に示すR1方向へ回動される。駆動体17がR1方向へ回動されると、回転カム30の第1の係合凹部30aがカム孔21の第1の突縁21bに係合され、駆動体17のR1方向への回動が規制され、駆動体17は第2の閉塞位置に至る(図9参照)。このときベース部9の光透過孔13aは依然としてNDフィルター18aによって閉塞されており、光学系の光路は閉塞されている。
【0042】
このように駆動体17が一旦閉塞位置(第1の閉塞位置)に至った後に通電が解除されても、光透過孔13aはNDフィルター18aによって閉塞されており、光透過孔13aの閉塞状態を保持するための通電を継続する必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0043】
駆動体17が第2の閉塞位置に至った状態において、再び形状記憶合金部材33に通電が行われると、形状記憶合金部材33が収縮されて付勢バネ26の付勢力に抗して駆動体17が図9に示すR2方向へ回動される。駆動体17がR2方向へ回動されると、該駆動体17がベース部9の第1の規制突部14のストッパー縁14aに押し付けられ、該ストッパー縁14aによってR2方向への回動が規制される(図10参照)。従って、駆動体17は再び第1の閉塞位置に至る。駆動体17が再び第1の閉塞位置に至った状態においては、回転カム30の外周面にカム孔21の第2の突縁21cと第3の突縁21dが接触される。このとき回転カム30の第1の係合凹部30a及び第2の係合凹部30bはカム孔21の何れの突縁21b、21c、21dとも係合されていない。
【0044】
続いて、形状記憶合金部材33への通電が解除されて形状記憶合金部材33が伸張され、駆動体17が付勢バネ26の付勢力によってR1方向へ回動され再び開放位置に至る(図7参照)。駆動体17が第1の閉塞位置から開放位置に至る途中においては、カム孔21の第1の突縁21bによって回転カム30が押圧され、回転カム30が回転される。従って、回転カム30は駆動体17が開放位置から閉塞位置へ向けて回動される前の初期状態に対して180°回転され、再び、カム孔21の案内縁21aに沿うように位置される。
【0045】
以上に記載した通り、光路開閉装置11にあっては、形状記憶合金部材33がベース部9の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材33の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材33に通電したときの収縮量を大きくすることができ、駆動体17の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0046】
また、形状記憶合金部材33をベース部9の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材33の内側に光路開閉装置11の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材33との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材33を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、光路開閉装置11の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0047】
さらに、形状記憶合金部材33はベース部9に固定された電極16、16に固定されているため、駆動体17の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0048】
さらにまた、形状記憶合金部材33がベース部9に対して回転可能な支持プーリー31、31、31に支持されるため、形状記憶合金部材33の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
また、光路開閉装置11にあっては、軸方向に離隔して支持プーリー31、31、31に同軸上に形成された第1の支持溝31a、31a、31aと第2の支持溝31b、31b、31bにそれぞれ形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33bが支持されるため、ベース部9の外周縁に沿ってそれぞれ配置された第1の区間33aと第2の区間33bとが接触せず、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0050】
加えて、支持プーリー31、31、31の第1の支持溝31a、31a、31aと第2の支持溝31b、31b、31bの径が異なるため、ベース部9の外周縁に沿ってそれぞれ配置された第1の区間33aと第2の区間33bとの接触が確実に回避され、駆動体17の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0051】
図11は、温度補正用形状記憶合金部材を設けた光路開閉装置11Aを示すものである。
【0052】
温度補正用形状記憶合金部材34は上記形状記憶合金部材33と同様にワイヤー状に形成され、例えば、Ti、Ni及びCuから成る3元合金部材、又は、Ni、Tiの2元合金部材であり、通電されて収縮される。温度補正用形状記憶合金部材34は、例えば、ベース部9の外周縁に沿って配置され、形状記憶合金部材33の外側に位置されている。温度補正用形状記憶合金部材34は両端部がそれぞれベース部9に固定された電極35、35に固定され、中間部が駆動体17の挿入取付孔19aに挿入され折り返されて取り付けられ、一方の電極35から挿入取付孔19aまでの区間が第1の区間34aとされ、他方の電極35から挿入取付孔19aまでの区間が第2の区間34bとされている。このとき形状記憶合金部材33と温度補正用形状記憶合金部材34のそれぞれ折り返された部分が互いに接触しないようにされている。
【0053】
光路開閉装置11Aには図示しない温度センサーが設けられている。
【0054】
温度補正用形状記憶合金部材34は通電されて所定の温度にされたときに収縮される。例えば、外部環境の変化等に基づく温度上昇があったときには、形状記憶合金部材33に通電が行われない状態においても形状記憶合金部材33が収縮されて駆動体17の意図しない回動動作が行われるおそれがあるが、光路開閉装置11Aにあっては、温度上昇があったときには温度センサーによって所定の温度となったことが検出され、電極35、35を介して温度補正用形状記憶合金部材34に通電が行われる。
【0055】
従って、温度補正用形状記憶合金部材34の収縮と形状記憶合金部材33の収縮による互いの引張力が均衡され、駆動体17の意図しない回動動作が防止される。
【0056】
このように、温度補正用形状記憶合金部材34を設けることにより、駆動体17の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体17の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
尚、上記には、形状記憶合金部材33及び温度補正用形状記憶合金部材34を支持する手段として支持プーリー31、31、31を用いた例を示したが、例えば、支持プーリー31、31、31に代えて図12に示すような支持部材36、36、36を用いて形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34の少なくとも一方を摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0058】
支持部材36は、形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34を支持する支持部36aと、ベース部9の取付孔12aに挿入されて取り付けられる被取付突部36bとが一体に形成されて成り、支持部36aには形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33b又は温度補正用形状記憶合金部材34の第1の区間34aと第2の区間34bをそれぞれ支持するための第1の支持凹部36cと第2の支持凹部36dが形成されている。
【0059】
支持部材36、36、36を用いることにより、部品点数の削減を図ることができると共にベース部9に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0060】
また、図13に示すように、ベース部9に対する高さ位置の異なる第1の支持凹部36e、第2の支持凹部36fを有する支持部材36Aを用いて形状記憶合金部材33又は温度補正用形状記憶合金部材34の少なくとも一方を摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0061】
支持部材36Aを用いた場合には、支持部材36の第1の支持凹部36cと第2の支持凹部36dとの間の間隔に比して、第1の支持凹部36eと第2の支持凹部36fとの間の間隔を大きくすることができ、形状記憶合金部材33の第1の区間33aと第2の区間33b又は温度補正用形状記憶合金部材34の第1の区間34aと第2の区間34bとの接触を確実に回避することができる。
【0062】
尚、上記には、本発明電子機器を携帯電話に適用した例を示したが、本発明電子機器の適用範囲は携帯電話に限られることはなく、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、ネットワーク端末やワークステーション、PDA(Pasonal Digital Assistance)等の光学系の光路を有する各種の電子機器に適用することができる。
【0063】
上記した実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0064】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明光路開閉装置は、光学系の光路を開閉する光路開閉装置であって、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0065】
従って、形状記憶合金部材がベース部の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材に通電したときの伸縮量を大きくすることができ、駆動体の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0066】
また、形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材の内側に光路開閉装置の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、光路開閉装置の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0067】
さらに、形状記憶合金部材がベース部に固定された電極に固定されているため、駆動体の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0068】
請求項2に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持し周方向に延びる第2の支持溝とを形成し、第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したので、形状記憶合金部材の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
また、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間とが接触せず、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0070】
請求項3に記載した発明にあっては、上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したので、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間との接触が確実に回避され、駆動体の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
請求項4に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持する第1の支持凹部と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持する第2の支持凹部を形成したので、部品点数の削減を図ることができると共に形状記憶合金部材を支持する手段のベース部に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0072】
請求項5に記載した発明にあっては、形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したので、温度上昇時の駆動体の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
本発明電子機器は、光学系の光路を開閉する光路開閉装置を備えた電子機器であって、上記光路開閉装置は、光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、ベース部に固定された一対の電極と、ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0074】
従って、形状記憶合金部材がベース部の外周縁に沿って配置されているため、形状記憶合金部材の長さを長くすることが可能であり、形状記憶合金部材に通電したときの伸縮量を大きくすることができ、駆動体の動作範囲が大きくなり、設計の自由度の向上及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0075】
また、形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置することにより、形状記憶合金部材の内側に光路開閉装置の各機構を配置することができ、この各機構と形状記憶合金部材との干渉が回避されると共に形状記憶合金部材を配置するためのスペースの有効活用が図られることにより、電子機器の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0076】
さらに、形状記憶合金部材がベース部に固定された電極に固定されているため、駆動体の開閉動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0077】
請求項7に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持し周方向に延びる第2の支持溝とを形成し、第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したので、形状記憶合金部材の伸縮に対する抵抗が小さく、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0078】
また、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間とが接触せず、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0079】
請求項8に記載した発明にあっては、上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したので、形状記憶合金部材の第1の区間と第2の区間との接触が確実に回避され、駆動体の一層の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0080】
請求項9に記載した発明にあっては、上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持する第1の支持凹部と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持する第2の支持凹部を形成したので、部品点数の削減を図ることができると共に形状記憶合金部材を支持する手段のベース部に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0081】
請求項10に記載した発明にあっては、形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したので、温度上昇時の駆動体の意図しない回動動作を回避することができ、駆動体の動作の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図13と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、本発明を適用した携帯電話を開いた状態で示す斜視図である。
【図2】携帯電話を閉じた状態で示す斜視図である。
【図3】光路開閉装置の分解斜視図である。
【図4】光路開閉装置の拡大斜視図である。
【図5】支持プーリーと回転支持軸を示す拡大斜視図である。
【図6】支持プーリーの拡大断面図である。
【図7】図8乃至図10と共に光路開閉装置の動作を示すものであり、本図は駆動体が開放位置にある状態を示す拡大正面図である。
【図8】図7に引き続き、駆動体が第1の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図9】図8に引き続き、駆動体が第2の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図10】図9に引き続き、駆動体が再び第1の閉塞位置に回動された状態を示す拡大正面図である。
【図11】温度補正用形状記憶合金部材が設けられた光路開閉装置を示す拡大斜視図である。
【図12】形状記憶合金部材が支持部材に支持された状態を示す拡大断面図である。
【図13】形状記憶合金部材が別の支持部材に支持された状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1…電子機器、7…筐体、9…ベース部、11…光路開閉装置、13a…光透過孔、16…電極、17…駆動体、18a…NDフィルター(遮蔽部)、19a…挿入取付孔(取付部)、26…付勢バネ、31…支持プーリー、31a…第1の支持溝、31b…第2の支持溝、32…回転支持軸、33…形状記憶合金部材、33a…第1の区間、33b…第2の区間、11A…光路開閉装置、34…温度補正用形状記憶合金部材、34a…第1の区間、34b…第2の区間、35…電極、36…支持部材、36c…第1の支持凹部、36d…第2の支持凹部、36A…支持部材、36e…第1の支持凹部、36f…第2の支持凹部
Claims (10)
- 光学系の光路を開閉する光路開閉装置であって、
光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、
遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、
該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、
ベース部に固定された一対の電極と、
ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、
該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする光路開閉装置。 - 上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、
上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、
該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持し周方向に延びる第2の支持溝とを形成し、
第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したことを特徴とする請求項1に記載の光路開閉装置。 - 上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したことを特徴とする請求項2に記載の光路開閉装置。
- 上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、
上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分である第1の区間を支持する第1の支持凹部と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分である第2の区間を支持する第2の支持凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の光路開閉装置。 - 形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、
該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したことを特徴とする請求項1に記載の光路開閉装置。 - 光学系の光路を開閉する光路開閉装置を備えた電子機器であって、
上記光路開閉装置は、
光学系の光路となる光透過孔が形成されたベース部を有する筐体と、
遮蔽部と取付部とを有すると共に筐体のベース部に移動自在に支持され光透過孔を遮蔽部によって閉塞する閉塞位置と光透過孔を開放する開放位置との間で移動される駆動体と、
該駆動体を上記開放位置又は閉塞位置へ向けて付勢する付勢バネと、
ベース部に固定された一対の電極と、
ベース部の外周縁に沿って配置されると共に両端部がそれぞれ上記一対の各電極に固定され中間部が駆動体の取付部に取り付けられたワイヤー状の形状記憶合金部材とを備え、
該形状記憶合金部材に上記一対の電極を介して通電することにより付勢バネの付勢力に抗して駆動体を閉塞位置又は開放位置に移動させるようにしたことを特徴とする電子機器。 - 上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、
上記ベース部に形状記憶合金部材を支持する支持プーリーを回転自在に支持し、
該支持プーリーに、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分を支持し周方向に延びる第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分を支持し周方向に延びる第2の支持溝を形成し、
第1の支持溝と第2の支持溝を支持プーリーの軸方向に離隔して同軸上に形成したことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。 - 上記支持プーリーの第1の支持溝と第2の支持溝の径を異なる大きさに形成したことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
- 上記形状記憶合金部材を駆動体の取付部で折り返した状態で配置し、
上記ベース部に形状記憶合金部材を摺動自在に支持する支持部材を取り付け、該支持部材に、形状記憶合金部材の一方の電極と取付部との間の部分を支持する第1の支持溝と、形状記憶合金部材の他方の電極と取付部との間の部分を支持する第2の支持溝を形成したことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。 - 形状記憶合金部材が所定の温度まで上昇したときに、該温度上昇により駆動体が移動される方向と反対方向への力を駆動体に付与する温度補正用のワイヤー状の形状記憶合金部材を設け、
該温度補正用の形状記憶合金部材をベース部の外周縁に沿って配置したことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003124951A JP2004333531A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 光路開閉装置及びこれを備えた電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003124951A JP2004333531A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 光路開閉装置及びこれを備えた電子機器 |
Publications (1)
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ID=33502353
Family Applications (1)
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JP2003124951A Pending JP2004333531A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 光路開閉装置及びこれを備えた電子機器 |
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JP (1) | JP2004333531A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100964542B1 (ko) | 2009-01-30 | 2010-06-21 | 주식회사 하이소닉 | 카메라 렌즈 도어 개폐장치 |
US8410583B2 (en) | 2007-09-04 | 2013-04-02 | Nds Limited | Security chip |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003124951A patent/JP2004333531A/ja active Pending
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US8410583B2 (en) | 2007-09-04 | 2013-04-02 | Nds Limited | Security chip |
KR100964542B1 (ko) | 2009-01-30 | 2010-06-21 | 주식회사 하이소닉 | 카메라 렌즈 도어 개폐장치 |
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