JP2004123777A - 耐食性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイナスイオン発生剤の使用量を減少させて汎用塗料にも応用可能にすること目的とした、耐食性塗料組成物を提供する。
【解決手段】マイナスイオン発生剤と水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含有する耐食性塗料組成物。該マイナスイオン発生剤はバストネス石、モナズ石および中国複雑鉱、さらにジルコン石から選択される。マイナスイオン発生剤の含有量は塗料組成物の不揮発成分中0.1〜60重量%含まれる。塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は40〜200である。
【選択図】 なし
【解決手段】マイナスイオン発生剤と水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含有する耐食性塗料組成物。該マイナスイオン発生剤はバストネス石、モナズ石および中国複雑鉱、さらにジルコン石から選択される。マイナスイオン発生剤の含有量は塗料組成物の不揮発成分中0.1〜60重量%含まれる。塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は40〜200である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の防錆性を改善するための耐食性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に金属表面の錆を防止するために塗料が塗布されている。高い防錆性が長期間持続するようにクロムあるいは鉛などを含む防錆顔料が塗料組成物中に配合され、使用されてきた。しかし、最近になって、これらの防錆顔料に含まれているクロムや鉛は、人体に有毒であると認識されるようになってきた。人体に悪影響を与えずに高い防錆性を維持することができる、いわゆる低公害型の防錆顔料の研究が進められており、リン酸亜鉛などが利用されている。
【0003】
一方、近年、滝などの水しぶきがあるところには、マイナスイオンが多く存在していて、爽やかな感じがすると共に、生体細胞を賦活し、生体に対して好影響を与えるといわれて注目されている。そのようなマイナスイオンを発生し易い固体状紛体として、電気石(いわゆるトルマリン)などが利用され、種々の用途に応用されてきている。その中で、マイナスイオン発生剤を配合した塗料も提案されている。
【0004】
例えば、特開2000−198965号公報(特許文献1)および特開2002−80315号公報(特許文献2)には、特定のマイナスイオン発生剤を塗料中に配合する防汚塗料が開示されている。いずれの発明もマイナスイオンがフジツボや藻類などの海中生物の付着を抑える働きがあることに着目したもので、その働きを発揮するためにマイナスイオン発生剤の配合量が塗料固形分中に5重量%以上と多く配合する必要があり、塗膜性能の維持が難しい。また、マイナスイオン発生剤は現状ではまだ高価なものであり、多量に配合することは安価な汎用塗料への応用は難しい。特開2002−80315号公報(特許文献2)には、防錆性能についても言及されているが、やはり塗料の固形分重量に対して、8〜15重量%の配合が必要であり、特殊な用途である船底防汚塗料にのみ用いることができるものである。
【0005】
特許第3306790号明細書(特許文献3)には、特定のマイナスイオン発生剤およびそれを配合した塗料の開示されている。この特許はマイナスイオンの発生機能のみに着目したもので、塗料の塗膜性能についての言及は無い。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198965号公報
【特許文献2】
特開2002−80315号公報
【特許文献3】
特許第3306790号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、マイナスイオン発生剤の使用量を減少させて汎用塗料にも応用可能にすること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、マイナスイオンの発生量と基材樹脂の種類との関係、更にはそれらと防錆性能との関係を検討し、塗料中の塗膜形成性樹脂中に水酸基がある場合にマイナスイオンの発生が多くなると共に、防錆性能が向上することを見出すに至った。即ち、本発明は、マイナスイオン発生剤と水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含有する耐食性塗料組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、上記マイナスイオン発生剤が、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種と、電気石と、そして必要に応じてジルコン石とを含有する耐食性塗料組成物を提供する。
【0010】
さらに、上記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40〜200であるのが好ましい。
【0011】
また、上記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂が塗料組成物の不揮発成分中15.0〜99.9重量%で含まれるのが好ましい。
【0012】
なお、上記塗料組成物において、マイナスイオン発生剤と塗膜形成性樹脂に加えて顔料が含まれていてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含む。本発明の耐食性塗料組成物は、必要に応じて、体質顔料、着色顔料などの塗料組成物に通常用いられる顔料、そして通常用いられる添加剤を含んでもよい。
【0014】
マイナスイオン発生剤は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種と、電気石と、そして必要に応じてジルコン石とを含有する。マイナスイオン発生剤の各成分の含有量は、含有成分としてジルコン石を含まない場合は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種40〜60重量%、および電気石60〜40重量%であり、含有成分としてジルコン石を含む場合は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種70〜94重量%、電気石3〜27重量%およびジルコン石3〜27重量%である。このようなマイナスイオン発生剤はマイナスイオンを発生させる能力を有する。マイナスイオンは殺菌力を有し、それによって防錆性などを改善することができる耐食性塗料組成物が得られると考えられる。
【0015】
マイナスイオンを発生させる方法として、一般的に、水の解離・噴霧帯電・滝効果等のレナード効果、コロナ放電効果、紫外線によるイオン生成、および放射性物質からの放射線により発生させる方法がある。
【0016】
本発明で使用するマイナスイオン発生剤に含まれ得るバストネス石およびモナズ石は、放射性のある鉱物である。これらは、基本的にセリウム、ランタンのリン酸塩鉱物であるが、その他に各種希元素、さらにウラン・トリウムなどの放射性元素も含んでいる。バストネス石およびモナズ石は、その放射性により、マイナスイオンを発生させる能力を有する。また、中国複雑鉱は、バストネス石とモナズ石の混合物であって、主として中国内蒙古白雲鉱山において産出される鉱物である。
【0017】
電気石は、ホウ素を含むシクロケイ酸塩鉱石であり、一般にトルマリンとも言われる。化学組成は、一般に(Na,Ca)(Mg,Fe,Mn,Li,Al)3Al6Si6O18(BO3)3(OH,F)4と表わされる。電気石は10種類の鉱物からなるグループ名であり、そのうち代表的なものは、鉄電気石、苦土電気石、リチア電気石、リディコート電気石および灰電気石の5種類である。本発明においては鉄電気石を使用するのが好ましい。
【0018】
電気石は結晶内に自発分極といわれる電気分極を有し、そのため電気石の結晶の両端にプラス極とマイナス極が自発的に生じる。マイナス極に蓄えられた電子は、水に接触すると瞬間的に放電され、接触した水分子はH+とOH−とに分解される。プラスイオンのH+は、トルマリン鉱石のマイナス極に引付けられ、そこから放出される電子と結合し、水素ガスとなって放出される。一方、マイナスイオンのOH−は、周囲の水分子と結合し、ヒドロキシルイオンH3O2といわれる界面活性効果を持ったイオンに変化する。その結果マイナスイオンが発生すると考えられる。
【0019】
必要に応じて含有されるジルコン石は、ジルコニウムのケイ酸化合物である。化学式ZrSiO4、分子量183.3071であって、結晶系は正方晶系に属する。塗料組成物にジルコン石を含有させることにより、防錆性能がさらに向上すると考えられる。
【0020】
本発明の塗料組成物は、マイナスイオン発生剤を、塗料組成物の不揮発成分中0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%で含む。さらに本発明においては、マイナスイオン発生剤の含有量がさらに少ない場合、例えば塗料組成物の不揮発成分中0.1〜10重量%、とりわけ0.1〜8重量%であっても、耐食性の十分な向上がみられる。塗料組成物中に含まれるマイナスイオン発生剤が0.1重量%より小さいとマイナスイオンの発生量が少なすぎ、耐食性の向上が見られない。一方、塗料組成物中に含まれるマイナスイオン発生剤が60重量%を超えると、塗料組成物が高価となり汎用塗料への展開が困難である。
【0021】
本発明において使用することができるマイナスイオン発生剤として、例えば株式会社ナスカ社製造の「ランドフレッシュ」または「マリンフレッシュ」が挙げられる。
【0022】
水酸基を有する塗膜形成性樹脂は、合成樹脂または天然樹脂であって、その主鎖および/または側鎖に遊離の水酸基を有する樹脂をいう。水酸基を有する樹脂の樹脂骨格として、例えばアルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケトン樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはセルロースアセテートブチレートなどの樹脂骨格が挙げられる。これらの樹脂が水酸基を十分な量で有している場合はそのまま用い、水酸基を有していない場合は必要量の水酸基を導入して用いることができる。水酸基の導入方法は公知である。例えば、ビニル樹脂の場合は、水酸基を有するモノマーを用いて合成すればよい。また、活性水素を有する樹脂にオキシラン基を有する化合物を反応させてもよい。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、また2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂として、2種以上の樹脂を混合して用いる場合は、それらの樹脂全てが水酸基を有する樹脂である必要はなく、使用する樹脂のうち1種以上が水酸基を有する樹脂であればよい。上記例示した樹脂の中で、基本的に水酸基を有さないものは、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケトン樹脂またはセルロースアセテートブチレートが挙げられるが、前述のように水酸基を導入して用いても、あるいは水酸基を有さない状態のまま、別の水酸基を有する樹脂と組み合わせて用いてもよい。本発明の塗料組成物の塗膜硬化形式は、アミノ樹脂架橋系、イソシアネート架橋系、金属ドライヤーを使用する酸化重合架橋系、ニトロセルロース等と高分子樹脂とを併用するラッカー系など何れでもよく、使用する樹脂および架橋形式の制約は無い。
【0023】
本発明の使用に好ましい塗膜形成性樹脂として、アルキド樹脂、アクリル樹脂、オイルフリーアルキド樹脂もしくはポリエステルまたはこれら混合物、特にアルキド樹脂またはアクリル樹脂とメラミン樹脂との混合物が挙げられる。
【0024】
本発明において、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40〜200であるのが好ましい。換算水酸基価が40より小さいと、耐食性の十分な向上が認められないからである。また、換算水酸基価が200を超えると、塗膜性能、例えば耐水性、耐薬品性が悪くなる。ここで「塗膜形成性樹脂の換算水酸基価」とは、塗膜形成性樹脂として1種類の樹脂を単独で用いる場合は用いる樹脂固形分1gに対する水酸基価であり、2種以上の樹脂を混合して用いる場合は混合樹脂固形分1gに対する水酸基価の換算値である。水酸基価とは、樹脂1gに含まれる遊離の水酸基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいい、mgKOH/gで表される。
【0025】
塗料組成物中に含まれる樹脂は、塗料組成物の不揮発成分中、好ましくは15.0〜99.9重量%、より好ましくは20.0〜99.9重量%で含まれる。塗料組成物の不揮発成分中の樹脂が15.0重量%より小さいと塗膜性能が悪化し、非常に脆い塗膜となる。また99.9重量%を超えると、耐食性が悪くなる。
【0026】
本発明の塗料組成物には通常用いられる顔料を含有させてもよい。使用し得る顔料の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。またガラスバルーンなどの増量剤を含有させてもよい。顔料および/または増量剤を使用する場合は、塗料組成物の不揮発成分中、80重量%以下で含有させることができる。本発明の塗料組成物に顔料および/または増量剤が含有される場合、塗料組成物の不揮発成分中、マイナスイオン発生剤0.1〜60重量%、塗膜形成樹脂15〜99.8%、顔料および/または増量剤0.1〜80重量%で含まれる。
【0027】
本発明の塗料組成物は、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、防錆剤、乾燥剤、分散剤、泡消剤及び紫外線吸収剤などの、塗料分野で通常用いられる添加剤を含むことができる。
【0028】
本発明の塗料組成物は、溶剤系、無溶剤系、水性系(水溶性、エマルションもしくはディスパージョン)または粉体系など、何れの形態であってもよい。本発明の塗料組成物を溶剤系とする場合は、塗料組成物は、上に述べた塗膜形成性樹脂、マイナスイオン発生剤、必要に応じて顔料および/または増量剤そして通常用いられる添加剤を、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物中に、溶解・分散させることによって調製される。本発明で使用できる有機溶媒は、使用する塗膜形成性樹脂の種類に依存して選択されるが、例えば、炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明の塗料組成物を無溶剤系とする場合は、使用する塗膜形成性樹脂にマイナスイオン発生剤などを加えて調製することができる。本発明の塗料組成物を水性系とする場合は、水または水と上記の有機溶剤との混合物中に、上に述べた塗膜形成性樹脂、マイナスイオン発生剤、必要に応じて顔料および/または増量剤そして通常用いられる添加剤を、溶解および/または乳化、懸濁化もしくは分散化して調製することができる。本発明の塗料組成物を粉体系とする場合は、必然的に使用する顔料の量が多くなる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含むことを特徴とする。本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とが含まれることにより、樹脂中に含まれる遊離の水酸基がマイナスイオンを発生させるメカニズムに作用を及ぼし、マイナスイオン発生剤によるマイナスイオンの発生を促進させると考えられる。その結果、マイナスイオン発生剤の含有量が低減された耐食性塗料組成物を提供することが可能となる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例により一層具体的に説明する。尚、「部」および「%」は特に断りのない限り全て重量基準であるものとする。また「固形分水酸基価」とは、不揮発成分である樹脂固形分1gに対する水酸基価である。
【0032】
製造例1
ベッコゾールEZ−3801−60(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:125、不揮発成分60%)75部、スーパーベッカミンL−109−60(大日本インキ化学工業(株)製のメラミン樹脂、不揮発成分60%)25部、キシレン:15部、n−ブチルアルコール:5部をガラス容器に採り、ディスパーで10分間混合し、混合用クリヤー塗料Aを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は94、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0033】
製造例2
ベッコゾールODE−198−50(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:40、不揮発成分50%)75部、スーパーベッカミンL−109−60:25部、キシレン:15部、n−ブチルアルコール5部を製造例1と同操作で混合し、混合用クリヤー塗料Bを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は29、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0034】
製造例3
ベッコゾールEZ−3029−60(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:60、不揮発成分60%)80部、スーパーベッカミンL−109−60:20部、キシレン:15部、nーブタノール:5部を製造例1と同操作で混合し、混合用クリヤー塗料Cを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は48、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0035】
製造例4
ベッコゾールEZ−3801−60:75部、スーパーベッカミンL−109−60:25部、タイペークPF−699(石原産業(株)製の酸化チタン):60部、キシレン:20部、nーブタノール:10部を、250mlのガラス瓶に採り、ガラスビーズ:150部を加え、ペイントシェーカーで2時間分散した後に200メッシュの金網で濾過し、混合用白エナメル塗料Dを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は94、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は50であった。
【0036】
製造例5
アクリディック54−172−60(大日本インキ化学工業(株)製のアクリル樹脂、固形分水酸基価:53、不揮発成分60%):80部、スーパーベッカミンL−167−65(大日本インキ化学工業(株)製のメラミン樹脂、不揮発成分65%):20部、キシレン:20部、n−ブチルアルコール:10部を、製造例1と同様の操作で混合し、混合用クリヤー塗料Eを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は42、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0037】
製造例6
アクリディック54−172−60:80部、スーパーベッカミンL−167−65:20部、タイペークPF−699:60部、キシレン:25部、n−ブチルアルコール15部を、製造例4と同様の操作で分散後、濾過し、混合用白エナメル塗料Fを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は42、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は50であった。
【0038】
実施例1
製造例1で得た混合用クリヤー塗料A:97.0部を200mlのビーカーに採り、回転数1000〜1500RPMのディスパーで撹拌しながら、ランドフレッシュ(株式会社ナスカ製のマイナスイオン発生剤):3.0部を添加し10分間撹拌混合し、塗料組成物を得た。
【0039】
実施例2
製造例3で得た混合用クリヤー塗料C:95.0部、ランドフレッシュ:5.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0040】
実施例3
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:99.8部、ランドフレッシュ:0.2部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0041】
実施例4
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:95.0部、ランドフレッシュ:5.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0042】
実施例5
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:90.0部、ランドフレッシュ:10.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0043】
実施例6
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:50.0部、ランドフレッシュ:50.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0044】
実施例7
製造例5で得た混合用クリヤー塗料E:97.0部、マリンフレッシュ(株式会社ナスカ製のマイナスイオン発生剤):3.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0045】
実施例8
製造例6で得た混合用白エナメル塗料F:98.0部、マリンフレッシュ:2.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0046】
比較例1〜6
製造例1〜6で得た混合用塗料A〜Fをそれぞれ、マイナスイオン発生剤を含有させずに、比較例1〜6として用いた。
【0047】
比較例7
製造例1で得た混合用クリヤー塗料Aの代わりに製造例2で得た混合用クリヤー塗料Bを用いる以外は実施例1と同様に調製し、塗料組成物を得た。
【0048】
試験塗膜パネル作成方法
実施例1〜8および比較例1〜7で得られた塗料組成物を、キシレン/n−ブチルアルコール=7/3の割合で混合した希釈溶剤で希釈して、フォードカップno.4で18〜20秒に粘度を調整した。キシレンで脱脂後乾燥させた電気亜鉛めっき鋼板(JIS G 3141 SPCC−SBのリン酸塩処理(ボンデ3100番処理))(70×150×0.8mm)にスプレー塗装し、10分間放置後、乾燥機で焼き付けして試験パネルを作成した。焼付条件は、実施例1〜6及び比較例1〜4、比較例7は120℃で、実施例7〜8、比較例5〜6は150℃の温度でそれぞれ20分間であった。得られた塗膜の膜厚は25〜30μmであった。
【0049】
耐食性の試験方法
作成された試験パネルの塗面にカッターナイフでクロスカットを入れた後、塩水噴霧試験器に120時間入れた。120時間後に試験パネルを取り出し、水洗し、2時間室内で乾燥させた。その後クロスカットの一辺の上に、幅24mmのセロテープ(登録商標)を張り、指で押さえて塗面に付着させた後に、テープを剥離した。
【0050】
耐食性の判定
テープに付着して剥離した塗面の剥離幅を、メジャーで測定し、片幅を0.5mm単位で比較した。
【0051】
表1〜表3に示されるように、マイナスイオン発生剤を含有させ、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40以上である塗料組成物(実施例1〜8)は、マイナスイオン発生剤を含有させない塗料(比較例1〜6)と比較して、いずれも耐食性の優れたものであった。また、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40未満の塗料組成物は、マイナスイオン発生剤を3重量%含有させても耐食性の向上は認められなかった(比較例7)。
【0052】
【表1】
【表2】
【表3】
【0053】
本発明の塗料は、マイナスイオンを発生するため、本塗料を塗装した被塗物からマイナスイオンが放出される。そのため、耐食性に加えて、防臭、抗菌、防虫、空気清浄、人体への好影響などの効果が期待できる。これらの効果を目的とした塗料組成物として使用することはもちろん可能であり、これらの使用も本発明の意図するところの範囲内である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の防錆性を改善するための耐食性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に金属表面の錆を防止するために塗料が塗布されている。高い防錆性が長期間持続するようにクロムあるいは鉛などを含む防錆顔料が塗料組成物中に配合され、使用されてきた。しかし、最近になって、これらの防錆顔料に含まれているクロムや鉛は、人体に有毒であると認識されるようになってきた。人体に悪影響を与えずに高い防錆性を維持することができる、いわゆる低公害型の防錆顔料の研究が進められており、リン酸亜鉛などが利用されている。
【0003】
一方、近年、滝などの水しぶきがあるところには、マイナスイオンが多く存在していて、爽やかな感じがすると共に、生体細胞を賦活し、生体に対して好影響を与えるといわれて注目されている。そのようなマイナスイオンを発生し易い固体状紛体として、電気石(いわゆるトルマリン)などが利用され、種々の用途に応用されてきている。その中で、マイナスイオン発生剤を配合した塗料も提案されている。
【0004】
例えば、特開2000−198965号公報(特許文献1)および特開2002−80315号公報(特許文献2)には、特定のマイナスイオン発生剤を塗料中に配合する防汚塗料が開示されている。いずれの発明もマイナスイオンがフジツボや藻類などの海中生物の付着を抑える働きがあることに着目したもので、その働きを発揮するためにマイナスイオン発生剤の配合量が塗料固形分中に5重量%以上と多く配合する必要があり、塗膜性能の維持が難しい。また、マイナスイオン発生剤は現状ではまだ高価なものであり、多量に配合することは安価な汎用塗料への応用は難しい。特開2002−80315号公報(特許文献2)には、防錆性能についても言及されているが、やはり塗料の固形分重量に対して、8〜15重量%の配合が必要であり、特殊な用途である船底防汚塗料にのみ用いることができるものである。
【0005】
特許第3306790号明細書(特許文献3)には、特定のマイナスイオン発生剤およびそれを配合した塗料の開示されている。この特許はマイナスイオンの発生機能のみに着目したもので、塗料の塗膜性能についての言及は無い。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198965号公報
【特許文献2】
特開2002−80315号公報
【特許文献3】
特許第3306790号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、マイナスイオン発生剤の使用量を減少させて汎用塗料にも応用可能にすること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、マイナスイオンの発生量と基材樹脂の種類との関係、更にはそれらと防錆性能との関係を検討し、塗料中の塗膜形成性樹脂中に水酸基がある場合にマイナスイオンの発生が多くなると共に、防錆性能が向上することを見出すに至った。即ち、本発明は、マイナスイオン発生剤と水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含有する耐食性塗料組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、上記マイナスイオン発生剤が、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種と、電気石と、そして必要に応じてジルコン石とを含有する耐食性塗料組成物を提供する。
【0010】
さらに、上記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40〜200であるのが好ましい。
【0011】
また、上記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂が塗料組成物の不揮発成分中15.0〜99.9重量%で含まれるのが好ましい。
【0012】
なお、上記塗料組成物において、マイナスイオン発生剤と塗膜形成性樹脂に加えて顔料が含まれていてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含む。本発明の耐食性塗料組成物は、必要に応じて、体質顔料、着色顔料などの塗料組成物に通常用いられる顔料、そして通常用いられる添加剤を含んでもよい。
【0014】
マイナスイオン発生剤は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種と、電気石と、そして必要に応じてジルコン石とを含有する。マイナスイオン発生剤の各成分の含有量は、含有成分としてジルコン石を含まない場合は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種40〜60重量%、および電気石60〜40重量%であり、含有成分としてジルコン石を含む場合は、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種70〜94重量%、電気石3〜27重量%およびジルコン石3〜27重量%である。このようなマイナスイオン発生剤はマイナスイオンを発生させる能力を有する。マイナスイオンは殺菌力を有し、それによって防錆性などを改善することができる耐食性塗料組成物が得られると考えられる。
【0015】
マイナスイオンを発生させる方法として、一般的に、水の解離・噴霧帯電・滝効果等のレナード効果、コロナ放電効果、紫外線によるイオン生成、および放射性物質からの放射線により発生させる方法がある。
【0016】
本発明で使用するマイナスイオン発生剤に含まれ得るバストネス石およびモナズ石は、放射性のある鉱物である。これらは、基本的にセリウム、ランタンのリン酸塩鉱物であるが、その他に各種希元素、さらにウラン・トリウムなどの放射性元素も含んでいる。バストネス石およびモナズ石は、その放射性により、マイナスイオンを発生させる能力を有する。また、中国複雑鉱は、バストネス石とモナズ石の混合物であって、主として中国内蒙古白雲鉱山において産出される鉱物である。
【0017】
電気石は、ホウ素を含むシクロケイ酸塩鉱石であり、一般にトルマリンとも言われる。化学組成は、一般に(Na,Ca)(Mg,Fe,Mn,Li,Al)3Al6Si6O18(BO3)3(OH,F)4と表わされる。電気石は10種類の鉱物からなるグループ名であり、そのうち代表的なものは、鉄電気石、苦土電気石、リチア電気石、リディコート電気石および灰電気石の5種類である。本発明においては鉄電気石を使用するのが好ましい。
【0018】
電気石は結晶内に自発分極といわれる電気分極を有し、そのため電気石の結晶の両端にプラス極とマイナス極が自発的に生じる。マイナス極に蓄えられた電子は、水に接触すると瞬間的に放電され、接触した水分子はH+とOH−とに分解される。プラスイオンのH+は、トルマリン鉱石のマイナス極に引付けられ、そこから放出される電子と結合し、水素ガスとなって放出される。一方、マイナスイオンのOH−は、周囲の水分子と結合し、ヒドロキシルイオンH3O2といわれる界面活性効果を持ったイオンに変化する。その結果マイナスイオンが発生すると考えられる。
【0019】
必要に応じて含有されるジルコン石は、ジルコニウムのケイ酸化合物である。化学式ZrSiO4、分子量183.3071であって、結晶系は正方晶系に属する。塗料組成物にジルコン石を含有させることにより、防錆性能がさらに向上すると考えられる。
【0020】
本発明の塗料組成物は、マイナスイオン発生剤を、塗料組成物の不揮発成分中0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%で含む。さらに本発明においては、マイナスイオン発生剤の含有量がさらに少ない場合、例えば塗料組成物の不揮発成分中0.1〜10重量%、とりわけ0.1〜8重量%であっても、耐食性の十分な向上がみられる。塗料組成物中に含まれるマイナスイオン発生剤が0.1重量%より小さいとマイナスイオンの発生量が少なすぎ、耐食性の向上が見られない。一方、塗料組成物中に含まれるマイナスイオン発生剤が60重量%を超えると、塗料組成物が高価となり汎用塗料への展開が困難である。
【0021】
本発明において使用することができるマイナスイオン発生剤として、例えば株式会社ナスカ社製造の「ランドフレッシュ」または「マリンフレッシュ」が挙げられる。
【0022】
水酸基を有する塗膜形成性樹脂は、合成樹脂または天然樹脂であって、その主鎖および/または側鎖に遊離の水酸基を有する樹脂をいう。水酸基を有する樹脂の樹脂骨格として、例えばアルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケトン樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはセルロースアセテートブチレートなどの樹脂骨格が挙げられる。これらの樹脂が水酸基を十分な量で有している場合はそのまま用い、水酸基を有していない場合は必要量の水酸基を導入して用いることができる。水酸基の導入方法は公知である。例えば、ビニル樹脂の場合は、水酸基を有するモノマーを用いて合成すればよい。また、活性水素を有する樹脂にオキシラン基を有する化合物を反応させてもよい。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、また2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂として、2種以上の樹脂を混合して用いる場合は、それらの樹脂全てが水酸基を有する樹脂である必要はなく、使用する樹脂のうち1種以上が水酸基を有する樹脂であればよい。上記例示した樹脂の中で、基本的に水酸基を有さないものは、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケトン樹脂またはセルロースアセテートブチレートが挙げられるが、前述のように水酸基を導入して用いても、あるいは水酸基を有さない状態のまま、別の水酸基を有する樹脂と組み合わせて用いてもよい。本発明の塗料組成物の塗膜硬化形式は、アミノ樹脂架橋系、イソシアネート架橋系、金属ドライヤーを使用する酸化重合架橋系、ニトロセルロース等と高分子樹脂とを併用するラッカー系など何れでもよく、使用する樹脂および架橋形式の制約は無い。
【0023】
本発明の使用に好ましい塗膜形成性樹脂として、アルキド樹脂、アクリル樹脂、オイルフリーアルキド樹脂もしくはポリエステルまたはこれら混合物、特にアルキド樹脂またはアクリル樹脂とメラミン樹脂との混合物が挙げられる。
【0024】
本発明において、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40〜200であるのが好ましい。換算水酸基価が40より小さいと、耐食性の十分な向上が認められないからである。また、換算水酸基価が200を超えると、塗膜性能、例えば耐水性、耐薬品性が悪くなる。ここで「塗膜形成性樹脂の換算水酸基価」とは、塗膜形成性樹脂として1種類の樹脂を単独で用いる場合は用いる樹脂固形分1gに対する水酸基価であり、2種以上の樹脂を混合して用いる場合は混合樹脂固形分1gに対する水酸基価の換算値である。水酸基価とは、樹脂1gに含まれる遊離の水酸基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいい、mgKOH/gで表される。
【0025】
塗料組成物中に含まれる樹脂は、塗料組成物の不揮発成分中、好ましくは15.0〜99.9重量%、より好ましくは20.0〜99.9重量%で含まれる。塗料組成物の不揮発成分中の樹脂が15.0重量%より小さいと塗膜性能が悪化し、非常に脆い塗膜となる。また99.9重量%を超えると、耐食性が悪くなる。
【0026】
本発明の塗料組成物には通常用いられる顔料を含有させてもよい。使用し得る顔料の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。またガラスバルーンなどの増量剤を含有させてもよい。顔料および/または増量剤を使用する場合は、塗料組成物の不揮発成分中、80重量%以下で含有させることができる。本発明の塗料組成物に顔料および/または増量剤が含有される場合、塗料組成物の不揮発成分中、マイナスイオン発生剤0.1〜60重量%、塗膜形成樹脂15〜99.8%、顔料および/または増量剤0.1〜80重量%で含まれる。
【0027】
本発明の塗料組成物は、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、防錆剤、乾燥剤、分散剤、泡消剤及び紫外線吸収剤などの、塗料分野で通常用いられる添加剤を含むことができる。
【0028】
本発明の塗料組成物は、溶剤系、無溶剤系、水性系(水溶性、エマルションもしくはディスパージョン)または粉体系など、何れの形態であってもよい。本発明の塗料組成物を溶剤系とする場合は、塗料組成物は、上に述べた塗膜形成性樹脂、マイナスイオン発生剤、必要に応じて顔料および/または増量剤そして通常用いられる添加剤を、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物中に、溶解・分散させることによって調製される。本発明で使用できる有機溶媒は、使用する塗膜形成性樹脂の種類に依存して選択されるが、例えば、炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明の塗料組成物を無溶剤系とする場合は、使用する塗膜形成性樹脂にマイナスイオン発生剤などを加えて調製することができる。本発明の塗料組成物を水性系とする場合は、水または水と上記の有機溶剤との混合物中に、上に述べた塗膜形成性樹脂、マイナスイオン発生剤、必要に応じて顔料および/または増量剤そして通常用いられる添加剤を、溶解および/または乳化、懸濁化もしくは分散化して調製することができる。本発明の塗料組成物を粉体系とする場合は、必然的に使用する顔料の量が多くなる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含むことを特徴とする。本発明の耐食性塗料組成物は、マイナスイオン発生剤と、水酸基を有する塗膜形成性樹脂とが含まれることにより、樹脂中に含まれる遊離の水酸基がマイナスイオンを発生させるメカニズムに作用を及ぼし、マイナスイオン発生剤によるマイナスイオンの発生を促進させると考えられる。その結果、マイナスイオン発生剤の含有量が低減された耐食性塗料組成物を提供することが可能となる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例により一層具体的に説明する。尚、「部」および「%」は特に断りのない限り全て重量基準であるものとする。また「固形分水酸基価」とは、不揮発成分である樹脂固形分1gに対する水酸基価である。
【0032】
製造例1
ベッコゾールEZ−3801−60(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:125、不揮発成分60%)75部、スーパーベッカミンL−109−60(大日本インキ化学工業(株)製のメラミン樹脂、不揮発成分60%)25部、キシレン:15部、n−ブチルアルコール:5部をガラス容器に採り、ディスパーで10分間混合し、混合用クリヤー塗料Aを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は94、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0033】
製造例2
ベッコゾールODE−198−50(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:40、不揮発成分50%)75部、スーパーベッカミンL−109−60:25部、キシレン:15部、n−ブチルアルコール5部を製造例1と同操作で混合し、混合用クリヤー塗料Bを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は29、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0034】
製造例3
ベッコゾールEZ−3029−60(大日本インキ化学工業(株)製の短油アルキド樹脂、固形分水酸基価:60、不揮発成分60%)80部、スーパーベッカミンL−109−60:20部、キシレン:15部、nーブタノール:5部を製造例1と同操作で混合し、混合用クリヤー塗料Cを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は48、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0035】
製造例4
ベッコゾールEZ−3801−60:75部、スーパーベッカミンL−109−60:25部、タイペークPF−699(石原産業(株)製の酸化チタン):60部、キシレン:20部、nーブタノール:10部を、250mlのガラス瓶に採り、ガラスビーズ:150部を加え、ペイントシェーカーで2時間分散した後に200メッシュの金網で濾過し、混合用白エナメル塗料Dを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は94、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は50であった。
【0036】
製造例5
アクリディック54−172−60(大日本インキ化学工業(株)製のアクリル樹脂、固形分水酸基価:53、不揮発成分60%):80部、スーパーベッカミンL−167−65(大日本インキ化学工業(株)製のメラミン樹脂、不揮発成分65%):20部、キシレン:20部、n−ブチルアルコール:10部を、製造例1と同様の操作で混合し、混合用クリヤー塗料Eを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は42、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は100であった。
【0037】
製造例6
アクリディック54−172−60:80部、スーパーベッカミンL−167−65:20部、タイペークPF−699:60部、キシレン:25部、n−ブチルアルコール15部を、製造例4と同様の操作で分散後、濾過し、混合用白エナメル塗料Fを得た。混合用塗料中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価は42、混合用塗料の不揮発成分中の樹脂の重量%は50であった。
【0038】
実施例1
製造例1で得た混合用クリヤー塗料A:97.0部を200mlのビーカーに採り、回転数1000〜1500RPMのディスパーで撹拌しながら、ランドフレッシュ(株式会社ナスカ製のマイナスイオン発生剤):3.0部を添加し10分間撹拌混合し、塗料組成物を得た。
【0039】
実施例2
製造例3で得た混合用クリヤー塗料C:95.0部、ランドフレッシュ:5.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0040】
実施例3
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:99.8部、ランドフレッシュ:0.2部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0041】
実施例4
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:95.0部、ランドフレッシュ:5.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0042】
実施例5
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:90.0部、ランドフレッシュ:10.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0043】
実施例6
製造例4で得た混合用白エナメル塗料D:50.0部、ランドフレッシュ:50.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0044】
実施例7
製造例5で得た混合用クリヤー塗料E:97.0部、マリンフレッシュ(株式会社ナスカ製のマイナスイオン発生剤):3.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0045】
実施例8
製造例6で得た混合用白エナメル塗料F:98.0部、マリンフレッシュ:2.0部を実施例1と同様の操作を行い、塗料組成物を得た。
【0046】
比較例1〜6
製造例1〜6で得た混合用塗料A〜Fをそれぞれ、マイナスイオン発生剤を含有させずに、比較例1〜6として用いた。
【0047】
比較例7
製造例1で得た混合用クリヤー塗料Aの代わりに製造例2で得た混合用クリヤー塗料Bを用いる以外は実施例1と同様に調製し、塗料組成物を得た。
【0048】
試験塗膜パネル作成方法
実施例1〜8および比較例1〜7で得られた塗料組成物を、キシレン/n−ブチルアルコール=7/3の割合で混合した希釈溶剤で希釈して、フォードカップno.4で18〜20秒に粘度を調整した。キシレンで脱脂後乾燥させた電気亜鉛めっき鋼板(JIS G 3141 SPCC−SBのリン酸塩処理(ボンデ3100番処理))(70×150×0.8mm)にスプレー塗装し、10分間放置後、乾燥機で焼き付けして試験パネルを作成した。焼付条件は、実施例1〜6及び比較例1〜4、比較例7は120℃で、実施例7〜8、比較例5〜6は150℃の温度でそれぞれ20分間であった。得られた塗膜の膜厚は25〜30μmであった。
【0049】
耐食性の試験方法
作成された試験パネルの塗面にカッターナイフでクロスカットを入れた後、塩水噴霧試験器に120時間入れた。120時間後に試験パネルを取り出し、水洗し、2時間室内で乾燥させた。その後クロスカットの一辺の上に、幅24mmのセロテープ(登録商標)を張り、指で押さえて塗面に付着させた後に、テープを剥離した。
【0050】
耐食性の判定
テープに付着して剥離した塗面の剥離幅を、メジャーで測定し、片幅を0.5mm単位で比較した。
【0051】
表1〜表3に示されるように、マイナスイオン発生剤を含有させ、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40以上である塗料組成物(実施例1〜8)は、マイナスイオン発生剤を含有させない塗料(比較例1〜6)と比較して、いずれも耐食性の優れたものであった。また、塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40未満の塗料組成物は、マイナスイオン発生剤を3重量%含有させても耐食性の向上は認められなかった(比較例7)。
【0052】
【表1】
【表2】
【表3】
【0053】
本発明の塗料は、マイナスイオンを発生するため、本塗料を塗装した被塗物からマイナスイオンが放出される。そのため、耐食性に加えて、防臭、抗菌、防虫、空気清浄、人体への好影響などの効果が期待できる。これらの効果を目的とした塗料組成物として使用することはもちろん可能であり、これらの使用も本発明の意図するところの範囲内である。
Claims (6)
- マイナスイオン発生剤と水酸基を有する塗膜形成性樹脂とを含有する耐食性塗料組成物。
- 前記マイナスイオン発生剤が、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種と電気石とを含有する、請求項1記載の耐食性塗料組成物。
- 前記マイナスイオン発生剤がさらにジルコン石を含有する、請求項2記載の耐食性塗料組成物。
- 前記マイナスイオン発生剤が塗料組成物の不揮発成分中0.1〜60重量%で含まれる、請求項1〜3いずれかに記載の耐食性塗料組成物。
- 前記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂の換算水酸基価が40〜200である、請求項1〜4いずれかに記載の耐食性塗料組成物。
- 前記塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂が塗料組成物の不揮発成分中15.0〜99.9重量%で含まれる、請求項1〜5いずれかに記載の耐食性塗料組成物。
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