JP2004123764A - 赤色発光蛍光体およびそれを用いた発光素子 - Google Patents

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吉松 良
Hisafumi Yoshida
吉田 尚史
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Abstract

【課題】紫外線発光ダイオードを励起源とした場合に、その最大ピーク波長を効率よく吸収し、高輝度で発光する赤色蛍光体を提供する。
【解決手段】赤色発光蛍光体として、少なくともリチウム、硼素および酸素を含み、ユーロピウムを付活剤とすることを特徴とする。さらに、赤色発光蛍光体が、一般式、Li2−xEuまたはLiLa2−xEuBO(但し、0.01≦ x ≦1.0)で示される組成を有し、波長394 nm前後の紫外発光を効率よく吸収し,波長593 nm,615 nm,625 nmに発光ピークをそれぞれ有することを特徴とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は赤色発光蛍光体およびそれを用いた発光素子に関し、特に紫外線発光ダイオードと赤、緑、青の発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードなどの小型発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
白色発光ダイオード(白色LED)としては、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で知られるYAG系酸化物母体格子中にCeをドープした蛍光体(YAG:Ce蛍光体)を,窒化物半導体を用いた青色発光ダイオード(青色LED)を包囲する封止樹脂中に分散させたもの(例えば、特許文献1乃至3参照。)や、非粒子状性の蛍光体層を青色LED上に成膜したもの(例えば、特許文献4参照。)が知られている。これらは,ディスプレイ用バックライトやLED表示器などに使用されている。
【0003】
しかし,上記構成の白色LEDでは、色再現性が悪く,演色性が低いために,紫外発光ダイオードと青色,緑色,赤色蛍光体を組み合わせた3波長型の白色LEDが開発されている。
【0004】
そのような白色LEDの一例が、例えば、特許文献5に開示されている。同文献で開示されている白色LEDは図3に示すように、透明基板(前面パネル)1上にドーム状に形成された透明樹脂3の内側に紫外発光ダイオード5を配置している。透明樹脂3には赤、緑、青の3種の蛍光体粉末2が混入されており、透明樹脂の表面はミラー4として作用するようミラー加工が施されている。
【0005】
特許文献5においては、赤色発光蛍光体として、YS:Eu3+などが挙げられ、InGaNまたはGaNからなる紫外発光ダイオード5を励起光源としている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2927279号明細書([0060]、図1)
【特許文献2】
特許第2998696号明細書([請求項1]、図2)
【特許文献3】
特許第2900928号明細書([0008]、図2)
【特許文献4】
特開平11−46015号公報([0042]−[0043]、図2)
【特許文献5】
特表2000−509912号公報([要約]、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記紫外発光LEDは、発光波長が370nmから410nmの間で高い発光効率を有し、とくに390 nm付近の波長で最も高い発光効率を示す。しかし、上記の赤色発光蛍光体は、波長が370 nmの光を効率よく吸収するものであり、390 nm付近の波長を効率よく吸収する赤色発光蛍光体については、何ら開示も示唆もない。
したがって、本発明の目的は、より効率よく紫外線を吸収し、高効率で赤色発光するもので、従来より高輝度な光源に適した赤色発光蛍光体を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、紫外線発光ダイオードの最大ピーク波長を効率よく吸収し、波長600 nm以上の赤色発光を効率よく発光する蛍光体を発光ダイオードと組み合わせて、高効率な発光素子を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明による赤色蛍光体と、青色蛍光体,緑色蛍光体とを紫外線発光ダイオードと組み合わせて照明用などの白色光源素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では,硼酸塩にリチウムを添加したものを母体組成として、ユーロピウムを付活剤とすることを特徴とする赤色発光蛍光体が得られる。
【0011】
また、本発明の赤色発光蛍光体は、少なくともリチウム、硼素および酸素を含み、ユーロピウムを付活剤とすることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記赤色発光蛍光体が、一般式、
Li2−xEuまたはLiLa2−xEuBO
(但し、0.01≦ x ≦1.0)で示されることをも特徴とする。すなわち、この組成の母体に、LiまたはLaに対してEuを(x=0.01〜1.0)で置換したことを特徴とする蛍光体である。
【0013】
特に、本発明による赤色発光蛍光体は,波長394 nm前後の紫外発光を効率よく吸収し,波長593 nm,615 nm,625 nmに発光ピークをそれぞれ有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明によれば、上記赤色発光蛍光体の励起光源として、紫外線発光ダイオードを用いたことを特徴とする発光素子が得られる。とくに、この発光素子に前記発光ダイオードで励起される緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体を追加して、白色ないし,中間色の光を高効率で放出する照明用などの白色光源素子を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本実施の形態例として,394 nm付近の波長で最も高い発光効率を示すInGaNまたはGaNからなる紫外線発光ダイオードを励起光源とする場合に、394 nm付近の波長を効率よく吸収できる赤色発光蛍光体を種々検討した結果、Liを添加した硼酸塩を母体材料とし、ユーロピウムを付活剤とすることにより、上記条件を満たすことを見出した。
【0017】
とくに、下記の一般式、
Li2−xEuまたはLiLa2−xEuBO
(但し、0.01≦ x ≦1.0)で示される赤色発光蛍光体が好ましいことが確認できた。
【0018】
x=0.2の場合である実施例1および2として、Li1.8Eu0.2およびLiLa2−xEuBOについての特性を図1および図2にそれぞれ示す。両図から明らかなように、これらの組成による赤色発光蛍光体は、波長394 nmを中心にその前後(360 nm〜420 nm、とくに370 nm〜405 nmで顕著)の紫外発光を最も効率よく吸収し,発光強度が発光波長615 nmをメインピークとし、発光波長593 nmおよび625 nmをサブピークとする赤色発光強度特性を有する。
【0019】
実施例1の組成(Li1.8Eu0.2)の赤色発光蛍光体と従来例の赤色発光蛍光体(YS:Eu3+)とを比較すると、表1に示すように、輝度の点において、本実施例は従来例の倍以上の輝度を示すことが分かる。
【0020】
実施例2の組成(LiLa2−xEuBO)の赤色発光蛍光体と従来例の赤色発光蛍光体(YS:Eu3+)とを比較すると、表1に示すように、輝度の点において、本実施例も従来例の倍以上の輝度を示すことが分かる。さらに、実施例2では、CIE色度座標において、従来より赤色としての色純度が良くなっていることがわかる。
【0021】
【表1】
Figure 2004123764
【0022】
次に、本発明の赤色発光蛍光体の製造方法について述べる。上記実施例1および2の組成(Li2−xEuおよびLiLa2−xEuBO)の赤色発光蛍光体は、出発原料を大気中もしくは酸素ガス雰囲気中で焼成するなどして、固相反応法もしくは共沈法により作製することができる。
【0023】
実施例1としては、出発原料に純度99.99%以上のLiCO試薬と純度99.99%以上のHBOないしB試薬および純度99.9%以上のEu試薬を上記の組成比となるように調合する。すなわち、LiCO, HBO, EuをLi、B、Euのモル比が1.8:2:0.2になるように調合する。その後に,これらを乾式混合し、約600 〜 900℃で数時間(約3時間程度)焼成することにより、上記組成の赤色発光蛍光体を作製することができる。
【0024】
実施例2としては、出発原料に純度99.99%以上のLiCO試薬とLa試薬と純度99.99%以上のHBOないしB試薬および純度99.9%以上のEu試薬を上記の組成比となるように調合する。すなわち、LiCO, La, B, EuをLi、La、B、Euのモル比が1:1.8:1:0.2になるように調合する。その後に,これらを乾式混合し、約700 〜 1000℃で数時間(約3時間程度)焼成することにより、上記組成の赤色発光蛍光体を作製することができる。
【0025】
上記一般式で表される本発明の赤色発光蛍光体において、上記xの値がその下限である0.01を下回ると、十分な発光強度が得られなくなる。一方、上記xの値がその上限である1.0を越えると、濃度消光による発光強度の低下が生じ、実用性がなくなる。このような理由により、本発明の組成値は決定されている。
【0026】
本発明の蛍光材料は,赤色発光であり,白色として光を放出させる場合は,図3に示す従来構造において,3種の蛍光体粉末の内、赤色蛍光体粉末として本発明の蛍光体を採用すれば、より高輝度の白色光発光ダイオードが実現できることとなる。
【0027】
ここで,緑色蛍光体としては,上記特許文献5に開示のZnS:CuやBaMgAl1017:Eu,Mn,が採用できる。同様に、青色蛍光体としても同文献に開示のBaMgAl1017:Eu,Sr(POCl:Eu,ZnS:Agなどが採用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のべたように、本発明による赤色発光蛍光材料は,波長394 nm前後の紫外発光を効率よく吸収し,593 nm,615 nm,625 nmの赤色発光を有することができる。これにより,従来より高輝度な光源が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による赤色発光蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示す特性図。
【図2】本発明の実施例2による赤色発光蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示す特性図。
【図3】従来例に開示された白色光発光ダイオードの構成図。
【符号の説明】
1  透明基板(前面パネル)
2  3種の蛍光体粉末
3  透明樹脂
4  ミラー
5  紫外発光ダイオード

Claims (9)

  1. 硼酸塩にリチウムを添加したものを母体組成として、ユーロピウムを付活剤とすることを特徴とする赤色発光蛍光体。
  2. 少なくともリチウム、硼素および酸素を含み、ユーロピウムを付活剤とすることを特徴とする赤色発光蛍光体。
  3. 前記赤色発光蛍光体が、一般式、
    Li2−xEu
    (但し、0.01≦ x ≦1.0)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の赤色発光蛍光体。
  4. 前記赤色発光蛍光体が、一般式、
    LiLa2−xEuBO
    (但し、0.01≦ x ≦1.0)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の赤色発光蛍光体。
  5. 前記赤色発光蛍光体は,波長370−405 nmの紫外発光を効率よく吸収することを特徴とする請求項3または4に記載の赤色発光蛍光体。
  6. 前記赤色発光蛍光体は,波長593 nm,615 nm,625 nmに発光ピークをそれぞれ有することを特徴とする請求項5に記載の赤色発光蛍光体。
  7. 紫外線発光ダイオードと請求項1乃至4のいずれか一項に記載の赤色発光蛍光体の励起光源として、紫外線発光ダイオードを用いたことを特徴とする発光素子。
  8. 前記発光素子に前記発光ダイオードで励起される緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体を追加して、白色発光ダイオードを構成することを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
  9. 硼酸塩にリチウムを添加したものを母体組成として、ユーロピウムを付活剤とする赤色発光蛍光体であって、波長394 nmの紫外光を効率よく吸収するとともに、発光強度が発光波長615 nmをメインピークとし、発光波長593 nmおよび625 nmをサブピークとする発光強度特性を有することを特徴とする赤色発光蛍光体。
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JP2006156505A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Koito Mfg Co Ltd 白色発光モジュールおよび車両用灯具
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