JP2004123762A - 洗浄剤および洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種工業分野の物品の表面に付着した汚染物質に対して優れた洗浄除去性能を有し、しかも芳香族化合物を含まない新規な脂肪族炭化水素系の洗浄剤および洗浄方法を提供する。
【解決手段】テトラヒドロジシクロペンタジエンからなる洗浄剤であって、テトラヒドロジシクロペンタジエンのエンド体/エキソ体の重量比が、40/60〜0/100の範囲であることを特徴とする洗浄剤、および該洗浄剤を用いる物品の洗浄方法。該洗浄剤はカウリブタノール価が60ml以上であることを好ましい特徴とする。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テトラヒドロジシクロペンタジエンからなる洗浄剤、および該洗浄剤を用いて物品の表面に付着した汚染物質を洗浄除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、精密機械工業、電子・電気工業、光学機械工業、自動車工業などの分野において、オイル類、油脂類、グリース、フラックス、手垢等の有機物を主体とする汚れが付着した物品を洗浄するために各種の洗浄剤が広く用いられてきた。
【0003】
かかる洗浄剤としては、(1)トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン等の塩素化炭化水素系溶剤、(2)トリクロロトリフルオロエタン等のフロン系溶剤、(3)オルソケイ酸ソーダや苛性ソーダに界面活性剤やビルダーを配合した水系洗浄剤、(4)リモネン、ピネン、ジペンテン等のテルペン類、(5)ケロシン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶剤など多種多彩なものが知られている。
【0004】
特に電子、電気、機械などの分野の部品には、その高い洗浄性能、難燃焼性、化学的安定性という特質より、上記(1)〜(2)のような塩素化炭化水素系溶剤やフロン系溶剤が長年使用されてきた。しかし、これらの塩素を含む汎用洗浄剤は、大気中に飛散して成層圏のオゾン層を破壊する原因物質であると疑われ、近時その生産や使用が世界的に禁止された。
【0005】
一方、上記(3)の水系洗浄剤は、溶剤系洗浄剤に比較して環境に対する悪影響が少なく、毒性の低い点は優れるが、洗浄力において数段劣っている。また、上記(4)のテルペン類は、安全性と洗浄性を両立させ得る化合物であるが、使用時に劣化しやすく耐久性が問題であるばかりでなく、天然物由来のために高価格で供給量に限界があり、工業用洗浄剤として実用的ではない。
【0006】
ところで、上記(5)の炭化水素系溶剤、特にベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素は、粘膜および皮膚への刺激性ならびに毒性が高く、これらを取り扱う洗浄作業は労働安全衛生法上の種々の規制を受けている。このため、炭化水素系溶剤は、芳香族炭化水素が示すような洗浄性能を保持したまま、できるだけ芳香族成分の含有量を低減することが求められている。また、一般的に空気存在下で物品の加熱洗浄が行われている為、加熱条件下においても安定性を有する洗浄剤の出現が望まれている。
【0007】
そのような脂肪族炭化水素を主成分とする洗浄剤が幾つか市販され、文献に報告されている。例えば、エクソンケミカル社からの商品名ナッパー(Nappar)11、日本石油化学株式会社からの商品名ナフテゾールなどは、ナフテン留分といわれる石油留分を主成分としており、低芳香族化された洗浄剤であるが、わずかながらアルキルベンゼンなどの芳香族化合物を含有している。
【0008】
英国特許第2175004号には、脂肪族および/または脂環式化合物を含む非芳香族炭化水素85〜97重量部と、炭素数8〜18のアルキル基を少なくとも1つ含む芳香族化合物3〜15重量部とからなる金属またはプラスチック表面から油脂を除去するための洗浄組成物が記載されている。
【0009】
また、特開平3−62896号公報には、炭素数9〜18の環式飽和炭化水素を70重量%以上含有する洗浄組成物が記載されている。同公報には該洗浄組成物に加えて、更に炭素数8〜18の脂肪族アルコールおよび/または界面活性剤を0.1〜30重量%含有する洗浄剤組成物も提案されている。
【0010】
さらに、特表平11−503783号公報には、引火点が55℃以上で且つ蒸留温度が175〜235℃であるシクロアルカン混合物の洗浄・脱脂剤としての使用が提案されている。同公報には、そのようなシクロアルカン混合物の具体例として、テトラヒドロジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロジシクロペンタジエン、ジメチルテトラヒドロジシクロペンタジエン、エチルプロピルシクロヘキサン、アルキルデカヒドロナフタレンの2種または2種以上の混合物が挙げられている。
【0011】
さらに同公報には、該混合物として、少なくとも40重量%のエンド−テトラヒドロジシクロペンタジエンを含む混合物を用いるのが好ましいと記載されている。しかしながら、立体異性体の関係にあるエキソ−テトラヒドロジシクロペンタジエンならびにエンド体およびエキソ体の混合物については、何ら記載されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の上記のような問題点と実状に鑑み、本発明の目的は、各種工業分野の物品の表面に付着した汚染物質に対して優れた洗浄性能を有し、かつその物品の表面を膨潤させたり侵食したりせず、しかも空気存在下の加熱条件で安定な新規な脂肪族炭化水素系の洗浄剤および洗浄方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために環状脂肪族炭化水素の1種であるテトラヒドロジシクロペンタジエンに着目して、そのエンド体およびエクソ体の重量比と洗浄性能の関係、洗浄剤としての取り扱い性などについて鋭意検討を重ねたところ、特定範囲の重量比を有するエンド体/エキソ体混合物が、物品表面に付着した汚染物質に対して良好な洗浄除去性能を示し、しかも洗浄剤としての取り扱い性にも優れることを見出して、本発明を完成するに到った。
【0014】
かくして、本発明の第1の発明によれば、テトラヒドロジシクロペンタジエンからなる洗浄剤であって、テトラヒドロジシクロペンタジエンのエンド体/エキソ体の重量比が40/60〜0/100の範囲であることを特徴とする洗浄剤が提供される。この洗浄剤の洗浄性能を示すカウリブタノール価は、60ml以上であることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の第2の発明によれば、テトラヒドロジシクロペンタジエからなり、そのエンド体/エキソ体の重量比が40/60〜0/100の範囲である洗浄剤を用いることを特徴とする物品の洗浄方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の洗浄剤および洗浄方法について詳細に説明する。
【0017】
テトラヒドロジシクロペンタジエンからなる洗浄剤
本発明のテトラヒドロジシクロペンタジエン(以下、THDCという。)からなる洗浄剤は、下記式1で表わされるエンド−THDCと、下記式2で表わされるエキソ−THDCの重量比が40/60〜0/100の範囲であることを特徴とする。エンド体/エキソ体の重量比は、好ましくは20/80〜0/100、より好ましくは10/90〜0/100、さらに好ましくは5/95〜0/100の範囲である。
【0018】
【化1】
Figure 2004123762
【0019】
本発明の洗浄剤は、汚れ等を落とすための溶解力の指標の一つで、25℃において標準カウリ樹脂ブタノール溶液20gからカウリ樹脂を析出させるのに要する溶剤の容積(ml)を表わすカウリブタノール価(KB価)が60ml以上であることを好ましい特徴とする。より好ましくは63ml以上、さらに好ましくは70ml以上である。一般的に、カウリブタノール価が高いほど溶解力が増加する。
【0020】
本発明の洗浄剤を構成するエンド−THDCは、沸点193℃(常圧下)、融点77℃の無色微臭の公知物質である。また、エキソ−THDCは、沸点187℃(常圧下)、融点−79℃の無色微臭の公知物質である。両者化合物は立体異性体の関係にあるが、その製造方法は特に限定されず、公知の製造方法で得られるものを利用すればよい。
【0021】
エンド−THDCは、例えば、原油のナフサ留分から得られるエンド−ジシクロペンタジエンを完全水素化することにより入手できる。また、エキソ−THDCは、エンド−THDCを公知の方法(例えば、特開昭55−72122号公報参照)に従って、触媒の存在下に異性化することにより入手できる。
【0022】
本発明の洗浄剤は、上記のようにして製造されるエンド−THDCおよびエキソ−THDCを、重量比がエンド体/エキソ体=40/60〜0/100の範囲になるように混合することにより得られる。また、エンド−THDCを原料として、酸触媒の存在下に異性化反応を行い、エンド体(原料)とエキソ体(生成物)の重量比が40/60〜0/100の範囲にあるいずれかの時点で反応を停止することにより製造することもできる。
【0023】
エンド体およびエキソ体の混合方法は特に限定されず、工業的に通常用いられる混合攪拌装置を利用すればよい。エンド体およびエキソ体の混合比(重量比)は、40/60〜0/100の範囲にすることが必須である。この範囲を外れた場合、すなわちエンド体の含有量が過度に大きくなると、室温付近における溶液粘度が上昇して、洗浄剤としての取り扱い性が著しく悪化する。さらに、エンド体含有量が100%の場合は、融点(77℃)以下の温度において、洗浄剤としての使用は実質的に不可能である。
【0024】
本発明の洗浄剤は単独で使用してもよいし、他の洗浄剤と混合して用いてもよい。そのような他の洗浄剤は特に限定されないが、例えば、炭化水素類、アルコール類、エステル類、塩素化炭化水素類、フッ素化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、揮発性有機シリコン類から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒が挙げられる。本発明の洗浄剤と他の洗浄剤の混合比は、通常、前者が5重量%以上であり、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
【0025】
上記炭化水素類としては、特に限定されないが、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘキサン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカンなどの直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p―メンタン、デカリン、ジイソプロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、リモネン、ピネン、ジペンテンなどのテルペン類などが挙げられる。
【0026】
上記アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノールなどが挙げられる。
【0027】
上記エステル類としては、特に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチルなどが挙げられる。
【0028】
上記塩素化炭化水素類としては、特に限定されないが、例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどの塩素化炭化水素などが挙げられる。
【0029】
上記フッ素化炭化水素類としては、特に限定されないが、炭素、水素およびフッ素で主に構成され、酸素原子や不飽和結合を含んでいてもよい化合物が挙げられる。なかでも沸点25℃以上のものが好ましく、このようなフッ素化炭化水素類としては、例えば、ペンタフルオロ−n−プロパン、ヘキサフルオロ−n−ブタン、デカフルオロ−n−ペンタン、ヘキサフルオロシクロペンタン、オクタフルオロシクロペンタン、パーフルオロプロピルメチルエーテル、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、ヘキサフルオロシクロペンテン、ヘプタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロシクロペンテンなどが挙げられる。これらの中では、ヘキサフルオロシクロペンタン、ヘプタフルオロシクロペンタンなどがより好ましい。
【0030】
上記ケトン類としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−メチル−2−ブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0031】
上記揮発性有機シリコーンとしては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0032】
さらに、本発明の洗浄剤には、その効果を損なわない範囲で必要に応じて、洗浄剤の液安定性の保持、被洗浄物に対する安定性の向上、あるいは作業性の向上などを目的として、従来より知られている種々の添加剤を含有させることができる。
【0033】
そのような添加剤としては、例えば、安定化剤、界面活性剤、キレート剤、防腐剤、防錆剤、研磨剤、潤滑剤、消泡剤などが挙げられる。また、かかる添加剤として、アルコール類、エーテル類、グリコールエーテル類、アセタール類、ケトン類、脂肪酸類、ニトロアルカン類、アミン類、アミド類、アミノエタノール類、ベンゾトリアゾール類など多種多様な化合物が知られている。添加剤の含有量は、通常、洗浄剤の全量に対して0.1〜30重量%、好ましくは、0.5〜20重量%である。
【0034】
上記安定化剤としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタンなどの脂肪族ニトロ化合物;3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールなどのアセチレンアルコール類;グリシドール、メチルグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテルなどのエポキシド類;ジメトキシメタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの不飽和炭化水素類;アリルアルコール、1−ブテン−3−オールなどの不飽和アルコール類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類などがあげられる。
【0035】
上記界面活性剤としては、公知の陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が使用できる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などが挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミンと各種の酸との塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0036】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンのエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコールの脂肪酸部分エステルなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン類、アミノ有機酸類、脂肪酸のアミン塩などが挙げられる。
【0037】
被洗浄物品
本明細書の文脈において、「洗浄」とは被洗浄物品の表面に付着し、固着し、もしくは接着した汚染物質、または多孔質部材からなる被洗物品においては物品中に浸透した汚染物質、すなわち該被洗浄物品の品質、機能、作用などに好ましくない影響を与える種々の物質を、物品から実質的に除去することをいう。また、前記汚染物質には、人為的に付着させ、固着させ、接着させ、または浸透させた物質も包含される。さらに、「洗浄」とは、汚染物質の除去に関する全ての操作、例えば、脱脂、剥離、研磨、リンス、水切り乾燥なども含むものである。
【0038】
本発明において、被洗浄物品は特に限定されず、例えば、精密機械工業、自動車工業、航空機工業、重機械工業、金属加工工業、金属組立工業、鉄鋼業、非鉄工業、鋼管工業、熱処理工業、メッキ工業、冶金工業、光学機械工業、事務機器工業、電子工業、電気工業、プラスチック工業、ガラス工業、セラミックス工業、印刷工業、繊維産業、クリーニング業などの分野における金属製、セラミック製、ガラス製、プラスチック製、エラストマー製、繊維製などのあらゆる物品が洗浄の対象となる。
【0039】
より具体的には、バンパー、ギアー、ミッション部品、ラジエーター部品などの自動車部品;電算機およびその周辺機器、家電機器、通信機器、OA機器、その他の電子応用機器等に用いられるプリント配線基板、IC部品、リードフレーム、抵抗器、リレー、リレー等の接点部材に用いられるフープ材、モーター部品、コンデンサー、液晶表示器、磁気記録部品、シリコンウエハーやセラミックウエハー等の半導体材料、水晶発振子等の電歪用部品、光電変換部品、ブラシ、ロータ、販売機等の発券用部品、販売機やキャッシュディスペンサー等の貨幣検査用部品などの電子・電気部品;
【0040】
超硬チップ、ベアリング、ギア、エンプラ製歯車、時計部品、カメラ部品、光学レンズなどの精密機械部品;印刷機械、印刷機ブレード、印刷ロール、圧延機械、建設機械、大型重機部品などの大型機械部品;カメラや自動車などの精密樹脂加工品;食器、金具、工具、眼鏡フレーム、時計ベルトなどの生活製品;繊維製品(染み抜き、原綿の脱脂、付着した油汚れやタンパク質の除去・クリーニング)など、多種多彩な例が挙げられる。
【0041】
汚染物質の種類としては、特に限定されないが、例えば、切削油、水溶性切削油、焼き入れ油、熱処理油、圧延油、延伸油、潤滑油、防錆油、鍛造油、機械油、工作油、加工油、プレス加工油、打ち抜き油、型抜き油、引き抜き油、組立油、線引き油、極圧添加剤入りオイル、合成油(シリコン系、グリコール系、エステル系)などのオイル類、グリース類、ワックス類、塗料、インキ、ゴム、ニス、コーティング材、研磨剤、接着剤、接着用溶剤、表面剥離材、油脂類、成型時の離型剤、アスファルトピッチ、手垢、指紋、タンパク質、ハンダ付け後のフラックス、レジスト、レジストの反射防止膜、光学レンズの保護膜、OPCドラム感光剤、マスキング剤、コンパウンド、界面活性剤、ソルダーペースト、切削屑、切り粉、レンズピッチ(レンズ研摩剤)、金属粉、金属研摩剤、滑剤、各種樹脂(メラミン、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、ロジン)、加工屑、バリ、樹脂粉、無機物粉、紙粉、パフ粉、パーティクル、イオン性の汚れ、ほこり(ダスト)、水分などの様々なものが挙げられる。
【0042】
洗浄方法
本発明の洗浄方法は、前記の本発明洗浄剤を用いて物品を洗浄することを特徴する。洗浄方法としては、洗浄剤と被洗浄物品とを接触させればよく、通常の洗浄方法を採用できる。例えば、浸漬法、超音波洗浄法、揺動法、スプレー法、シャワー法、蒸気洗浄法、手拭き法など各種の洗浄方法において使用でき、かつ好ましい結果を得ることができる。これらの洗浄処理に際しては、必要に応じて攪拌、振動、ブラッシングなどの物理的な手段を併用してもよい。
【0043】
本発明の洗浄剤を用いて、汚れが付着した物品を浸漬法で洗浄する場合には、例えば(1)本発明洗浄剤を単独で、または本発明洗浄剤と他の洗浄剤とを混合して一緒に入れた洗浄槽で物品を洗浄した後、取り出した物品を乾燥する方法、(2)上記記洗浄槽における物品洗浄後、更に本発明洗浄剤もしくは他の洗浄剤を単独で、または本発明洗浄剤と他の洗浄剤とを混合して一緒に入れたすすぎ槽で物品をすすいだ後、取り出した物品を乾燥する方法、などが採用される。
【0044】
上記の洗浄槽およびすすぎ槽においては、単なる浸漬洗浄だけでなく、揺動、振動、超音波、液中噴流、スプレー、シャワーなどを組合わせて行うことも洗浄性などに効果的である。また洗浄槽、すすぎ槽は各々一槽でもよいし、二槽以上からなるものでもよい。更にこれらに蒸気洗浄槽を組合わせたシステムを採用することができる。
【0045】
洗浄剤の乾燥方法は特に限定されないが、減圧乾燥機内で乾燥する方法、窒素また空気などの温風を吹き付ける方法などが挙げられる。また、このような物品の洗浄を繰返して行うと、洗浄剤は徐々に各種の汚れ物質で汚染されるが、必要に応じて、工業的に通常用いられる蒸留操作を施すことにより、洗浄剤を回収し再使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部および%は、特にことわりのない限り重量基準である。
【0047】
製造例1 エンド−THDCの製造
攪拌機付きのオートクレーブに、純度99%のエンド−ジシクロペンタジエン157部と5%パラジウムカーボン1.5部を仕込んで、オートクレーブ内を窒素ガスで数回置換した。次に、オートクレーブ内を水素ガスで数回置換した後、0.6MPa(ゲージ圧力)の水素ガスを加圧した。内容物を攪拌しながら100℃で2時間水素添加反応させた。反応終了後、系内の水素ガスを放出し、内容物を熱時(約80℃)濾過して触媒を除いた。得られた濾液(150部)は、濾過用受器中で冷却して即座に固化した。この固体を少量採取し、トルエンに溶解してガスクロマトグラフィー分析した結果、原料のエンド−ジシクロペンタジエンのピークは認められなかった。主成分のガスクロマトグラフィー保持時間は、エンド−THDCの標品と完全に一致し、その純度は99%であった。
【0048】
製造例2 エキソ−THDCの製造
攪拌装置、還流冷却器、温度計を装備したガラス製反応容器に、前記製造例1で得られたエンド−THDC135部、ノルマルヘキサン(反応溶媒)90部、粉状に砕いた三塩化アルミニウム(異性化触媒)4.6部を仕込んだ。内容物を80℃に加熱し、よく攪拌しながら7時間、異性化反応を行った。反応終了後、反応液を放冷し反応系内の不溶物を濾別した。得られた粗生成物を理論段数5段の蒸留塔で減圧精留して、沸点100℃(45mmHg)の留分を約120部得た。このものは室温で固化することなく、ガスクロマトグラフィー分析の結果、エキソ−THDCの標品と完全にピークが一致した。この異性化反応により得られたエキソ−THDCの純度は99.5%であった。
【0049】
実施例1〜5、比較例1〜3 洗浄剤の調製および物性測定
(洗浄剤の調製)
前記の製造例1〜2に準じて得られたエンド−THDCおよびエキソ−THDCを用いて、表1に示すようにエンド体/エキソ体の重量比を変化させた洗浄剤サンプル(実施例1〜5および比較例1〜3)を調製した。
【0050】
(カウリブタノール価(KB価)測定)
カウリ樹脂(天然品)12.5部をn−ブタノール87.5部に加えた。50℃で攪拌しながらカウリ樹脂を十分よく溶解し、その後48時間静置した。この溶液を濾過して、カウリブタノール溶液とした。25℃の恒温室において、200mlのメスシリンダーにKB溶液20gを入れた。メスシリンダー内のKB溶液を攪拌子で攪拌しながら、ビュレットから測定サンプルを約5ml/秒の速度で滴下し、KB溶液が完全に白濁(カウリ樹脂が析出)した時点を終点として、滴定量(KB価、単位:ml)を測定した。この測定操作を7種類のサンプルについて行った結果を表1に示す。なお、比較例3のサンプルは、25℃において固体であるため、KB価の測定は不可能であった。
【0051】
(動粘度測定)
B型粘度計(東京計器製 DVM−B)を用いて、25℃の恒温において7種類のサンプルの溶液粘度を測定した。同一サンプルについて3回測定を繰り返し、その平均値を各サンプルの粘度とした。比較例3のサンプルは、25℃において固体であるため、粘度測定は不可能であった。また、ゲールザック型比重瓶を用いて各サンプルの密度を測定した。このように測定した粘度を密度で割って算出した動粘度を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 2004123762
【0053】
表1より、エキソ体の含有量が大きい程、洗浄剤の汚れ溶解力の指標の一つであるKB価は高くなることが分かる。また、従来の炭化水素系洗浄剤は、一般的にKB価が25〜40mlであると言われており、本発明洗浄剤(実施例1〜5)は、それよりも高いKB価を示している。
【0054】
実施例6 物品に付着した切削油の洗浄試験
200メッシュの金網(4cm×6cm角)を、切削油(ダフニーマーグプラスLA15、出光株式会社製)に室温で1日浸漬させた後、金網を引き上げ室温で1日放置させたものを試験用の被洗浄物とした。この被洗浄物を、製造例2に準じて調製したエキソ−THDC200mlを入れた容器に浸漬し、室温下で1分間超音波洗浄した。その後、被洗浄物を引き上げて乾燥した。乾燥後の被洗浄物表面には、エキソ−THDCが全く残留しないことをガスクロマトグラフィー分析で確認した。また被洗浄物表面の油分残量を、油分測定機(HORIBA社製のOCMA−350)にて測定した。その結果、油分残量は0.1mg以下であり、切削油は十分に洗浄除去されていた。
【0055】
実施例7 物品に付着した工作油の洗浄試験
汚れ成分として、工作油(日本工作油社製のG−6040)を使用したほかは、実施例6と同様な試験方法で洗浄試験を行った。洗浄、乾燥した後の被洗浄物表面におけるエキソ−THDCの残留は全くなく、油分残量は0.1mg以下であり、工作油は十分に洗浄除去された。
【0056】
実施例8 物品に付着したシリコンオイルの洗浄試験
汚れ成分として、シリコンオイル(信越シリコ−ン社製のKF−96−100CS)を使用したほかは、実施例6と同様な試験方法で洗浄テストを行った。洗浄、乾燥後の被洗浄物表面におけるエキソ−THDCの残留は全くなく、油分残量は0.1mg以下であり、シリコンオイルは十分に洗浄除去された。
【0057】
実施例9 フラックスが付着したプリント基板の洗浄試験
BTレジンガラス布の銅張積層板(三菱ガス化学社製)のプリント基板(40mm×60mm×0.8mm)に、クリームハンダOZ63−221CM5−42−10(千住金属社製)を12mm×50mmの大きさで2本塗布し、電気炉中に250℃で5分間放置して熱処理を行い被洗浄物を作成した。熱処理後の被洗浄物の表面はハンダが十分に溶融固化し、そのハンダ全面をフラックスの残査がコートしている状態であった。
【0058】
この被洗浄物を、製造例2に準じて得られた200mlのエキソ−THDCを入れた容器中に浸漬し、室温で1分間、超音波処理を行った。その後、これを引き上げて乾燥させた。乾燥後の被洗浄物のハンダ表面は濁りもなく極めて良好な状態であり、基板自体の変化は全くなかった。また、基板表面にはエキソ−THDCが全く残留しないことをガスクロマトグラフィー分析で確認した。更にこの被洗浄物をイソプロピルアルコール75%水溶液150mlで超音波処理した後、処理液の電導度を電導度測定機で測定した。電導度の測定結果は0.3μs/cm以下であり、基板上に残留するイオン成分は、十分に洗浄除去されていることが示された。
【0059】
実施例10〜11 フラックスが付着したプリント基板の洗浄試験
実施例9において用いたエキソ−THDCを、エンド体/エキソ体の重量比=5/95および10/90のTHDC洗浄剤に変えたほかは、実施例9と同様に洗浄試験を行った結果、いずれの洗浄剤を用いた場合も、乾燥後の基板のハンダ表面は濁りもなく極めて良好な状態であり、基板自体の変化は全くなかった。また、THDCが全く残留しないことをガスクロマトグラフィー分析で確認した。更に実施例9と同様に、基板上に残留するイオン成分を分析した結果、電導度の測定結果は0.3μs/cm以下であり、十分に洗浄除去されていることが示された。
【0060】
実施例12 フラックスが付着したプリント基板の洗浄試験
実施例9のBTレジンガラス布のプリント基板に代えてガラスエポキシ(FR4)プリント基板を用い、エキソ−THDCに代えてエンド体/エキソ体の重量比=3/97のTHDC洗浄剤を用いたほかは、実施例9と同様な方法で基板の洗浄、乾燥を行った。乾燥後の基板のハンダ表面は濁りもなく極めて良好な状態であり、基板自体の変化は全くなかった。また、基板上にTHDCが全く残留しないことをガスクロマトグラフィー分析で確認した。更に実施例9に準じて電導度を測定した結果は0.3μs/cm以下であり、基板上に残留するイオン成分は十分に洗浄除去されていた。
【0061】
比較例4〜6 フラックスが付着したプリント基板の洗浄試験
実施例9において用いたエキソ−THDCを、エンド体/エキソ体の重量比=70/30のTHDC洗浄剤(比較例4)、P−メンタン(比較例5)およびジイソプロピルシクロヘキサン(比較例6)に代えたほかは、実施例9と同様に洗浄試験を行った結果、いずれの比較例においても、乾燥後の基板のハンダ表面は濁りがあり、フラックスが完全に除去されていないことが目視で確認された。
【0062】
実施例13 油汚れが付着した繊維のドライクリーニング試験
アクリル樹脂製のボタンを取付けた厚手の木綿生地(70cm×70cm角)に、汚れ成分として食用油5gを含浸させ、人工の人脂成分2gを表面に塗布して3日間放置した。製造例2に準じて調製したエキソ−THDCを5リットル入れた容器に、上記の木綿生地を浸漬し、室温下で10分間攪拌して洗浄した。容器から取り出した生地を温風で乾燥後、ボタンの外観と生地表面の汚れの有無を目視観察した。
その結果、アクリル樹脂製ボタンの膨潤や変形は、まったく認められなかった。また、2種類の汚れ成分は生地表面から完全に除去されていた。
【0063】
比較例7〜11 ドライクリーニング試験
実施例13において用いたエキソ−THDCを、トリクレン(比較例7)、AK−225(旭硝子株式会社製、比較例8)、ナフテゾール(日本石油化学株式会社製、比較例9)、p−メンタン(比較例10)、n−デカン(比較例11)に代えたほかは、実施例13と同様にしてドライクリーニング試験を行なった。その結果、トリクレンとAK−225を用いた試験では、アクリル樹脂製のボタンが変形していた。いずれの比較例においても食用油による汚れは除去されていた。しかし、ナフテゾール、p−メンタン、n−デカンを用いた試験では、人工の人脂成分による汚れが生地表面に残存していた。
【0064】
実施例14 各種材料に対する影響確認試験
表2に示す各種ポリマー材料(17種類)の試験片を用意し、重量を測定した。還流冷却器と温度計を装備したガラス製容器に、製造例2に準じて調製したエキソ−THDCを入れ、各試験片を50℃で4時間浸漬した。加熱浸漬終了後、試験片を取り出して減圧乾燥した。各試験片の重量を測定し、外観の目視観察を行った。浸漬前後の重量変化率(重量%)と外観観察結果を表2に示す。多くのポリマー材料(プラスチック、ゴム)は、エキソ−THDCに浸漬しても、重量変化がほとんど認められなかった。また、外観の変化も観察されなかった。
【0065】
【表2】
Figure 2004123762
【0066】
実施例15 加熱安定性試験
100mlナスフラスコに、製造例2に準じて調製したエキソ−THDC30gを仕込み、還流冷却器を装備した。これを空気雰囲気下で1日8時間ずつ5日間、60℃に加熱した。この容器内から毎日少量の試料を採取してガスクロマトグラフィーで分析して、エキソ−THDCの経時変化を測定した。このように加熱前と1〜5日加熱後のガスクロマトグラフィーチャートを比較した結果、劣化物の発生はまったく認められなかった。また、溶液の色調の変化も認められなかった。
【0067】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤は、従来の脂肪族炭化水素系洗浄剤と比較して物品に付着した汚染物質の洗浄性能に優れ、かつ物品の材料物質(プラスチック、ゴムなど)を侵さない。また、本洗浄剤は塩素原子を含有しないのでオゾン層破壊などの環境問題が少なく、しかも芳香族炭化水素を含有しないので、同種化合物に適用される労働安全衛生法上の規制を受けることがないという実用的な効果を奏する。

Claims (3)

  1. テトラヒドロジシクロペンタジエンからなる洗浄剤であって、テトラヒドロジシクロペンタジエンのエンド体/エキソ体の重量比が40/60〜0/100の範囲であることを特徴とする洗浄剤。
  2. カウリブタノール価が60ml以上である請求項1記載の洗浄剤。
  3. 請求項1記載の洗浄剤を用いる物品の洗浄方法。
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