JP2004123640A - 3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1h)−オン誘導体の製造法 - Google Patents

3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1h)−オン誘導体の製造法 Download PDF

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坂 仁志
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Abstract

【課題】3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の工業的規模での製造が可能で高収率な製造法を提供する。
【解決手段】一般式(1):
【化1】
Figure 2004123640

[式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3):
【化2】
Figure 2004123640

[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の製造法。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害作用を有し、高脂血症治療剤および動脈硬化治療剤として有用なナフチリジン誘導体およびその合成中間体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害作用を有し、高脂血症治療剤および動脈硬化治療剤として有用なナフチリジン誘導体として、下記一般式(7)で表される化合物が特開平10−212288号公報に開示されている。
【化13】
Figure 2004123640
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基等を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換アルキル基等を表し、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基等を表す。]
【0003】
一般式(7)で表されるナフチリジン誘導体を製造する方法として、一般式(4):
【化14】
Figure 2004123640
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基等を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基等を表す。]で表される 3−アミノ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体から製造する方法が、特開平10−212288号公報および国際公開第00/09505号パンフレットに開示されている。
一般式(4)で表される3−アミノ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の製造法は、工程数が長くかつブチルリチウム(n−ブチルリチウム,n−ヘキサン溶液)を使用する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、および非特許文献1参照。)が、この方法では工業的規模での製造は困難である。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−212288号公報(第7−8頁)
【特許文献2】
国際公開第00/09505号パンフレット(第20−22頁)
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)」,(米国),1989年,第26巻,p.105−112(第105−106頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記一般式(4)で表されるナフチリジン誘導体を製造する方法として、本発明の発明者らは
一般式(1):
【化15】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物と反応させて一般式(3):
【化16】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体に導いた後、ニトロ基を還元する製造法を見出した。
この方法により工業的規模での製造を行うことが可能にはなったが、より効率のよい製造のためにはさらなる改善が必要であった。即ち、上記反応はパラジウム触媒と塩基の存在下に行うが、塩基として炭酸ナトリウム等を使用すると単一有機溶媒中の反応では反応速度が比較的遅いことが見出された。一方この反応を水と有機溶媒との混合溶媒中で行うと、反応が早く進行するが副生成物が生成して収率が低下し、この副生成物の生成量に再現性がなくこのため収率に再現性がないという問題が見出された。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物との反応を、パラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で行うことにより、反応が早く進行して下記一般式(3)で表されるが高収率で得られ、副生成物の生成も見られずバッチごとの収率が安定することを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明の製造法は3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の工業的規模での製造が可能で高収率な製造法であり、以下のものに関する。
【0007】
〔1〕 一般式(1):
【化17】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3):
【化18】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の製造法。
〔2〕 Rがアルキル基である、〔1〕記載の製造法。
〔3〕 Yが置換フェニル基であって、該置換基が置換もしくは無置換のベンジルオキシ基、または式:−O−(CH−E(nは1〜6の整数を表す。Eは水素原子または保護された水酸基を表す。)で表される基である、〔2〕記載の製造法。
〔4〕 Yが、3位が置換されたフェニル基であって、該置換基が置換ベンジルオキシ基、または式:−O−(CH−E(nは1〜6の整数を表す。Eは水素原子または保護された水酸基を表す。)で表される基である、〔3〕記載の製造法。
〔5〕 Xが、臭素原子、塩素原子、パラトルエンスルホニルオキシ基、またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である、〔4〕記載の製造法。
〔6〕 Yが3−[3−(ベンジルオキシ)プロピルオキシ]フェニル基である、〔5〕記載の製造法。
〔7〕 Rが低級アルキル基である、〔6〕記載の製造法。
〔8〕 Rがブチル基である、〔7〕記載の製造法。
〔9〕 一般式(1):
【化19】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させて一般式(3):
【化20】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物に導いた後、ニトロ基を還元して一般式(4):
【化21】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とし、さらに一般式(4)で表される化合物を、一般式(8):
【化22】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表す。]
で表される化合物と反応させ、次いで一般式(9):HN−L[式中、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表すが、その置換基として反応性基を有する場合はこれらは保護されている。]で表される化合物と反応させ、必要に応じ脱保護することを特徴とする、一般式(7):
【化23】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表し、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。]で表される化合物の製造法。
〔10〕 Lが4−アミノ−2,6−ジイソプロピルフェニル基である、〔9〕記載の製造法。
〔11〕 一般式(1):
【化24】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
[式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させて一般式(3):
【化25】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物に導いた後、ニトロ基を還元して一般式(4):
【化26】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とし、さらに一般式(9):HN−L[式中、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表すが、その置換基として反応性基を有する場合はこれらは保護されている。]で表される化合物を、一般式(8):
【化27】
Figure 2004123640
[式中、Xは脱離基を表し、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表す。]
で表される化合物と反応させ、次いで上記一般式(4)で表される化合物と反応させ、必要に応じ脱保護することを特徴とする、一般式(7):
【化28】
Figure 2004123640
[式中、YおよびRは前記と同じ意味を表し、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。]で表される化合物の製造法。
〔12〕 Lが4−アミノ−2,6−ジイソプロピルフェニル基である、〔11〕記載の製造法。
【0008】
本発明における各種の基を詳細に説明すると次の通りである。なお、他に指示のない限り、各々の基の説明はそれが他の置換基の一部である場合にも該当する。
【0009】
セシウム塩としては、セシウムと無機酸との塩が挙げられ、具体的には炭酸セシウム、水酸化セシウム、リン酸セシウムが挙げられる。好ましいセシウム塩としては炭酸セシウムが挙げられる。
【0010】
アルキル基としては、例えば直鎖または分岐した炭素原子数1〜15個のアルキル基が挙げられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、3−ペンチル、3−ヘキシル、4−ヘプチル、4−オクチル、4−デシル、デシル等が挙げられる。アルキル基には、低級アルキル基が含まれる。
【0011】
アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0012】
本発明でいう低級とは当該基のアルキル部分が低級アルキル基であることを意味し、そのような低級アルキル基としては、例えば直鎖または分岐した炭素原子数1〜6個のアルキル基が挙げられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル、2−メチルプロピル、ペンチル、3−メチルブチル、ヘキシル、4−メチルペンチル等が挙げられる。
【0013】
置換フェニル基の置換基としては、一個または同一もしくは異なって複数個あってもよく、例えばフッ素原子、トリフルオロメチル基、メチレンジオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基または式:−O−(CH−E’(nは1〜6の整数を表す。E’は低級アルコキシ基、低級アルカノイルアミノ基、シクロアルキル基、フェニル基もしくは保護された水酸基を表す。)で表される基が挙げられる。
【0014】
アルコキシ基は、酸素原子の片方の結合手にアルキル基が結合した基を意味する。
【0015】
アルカノイル基は、カルボニル基の片方の結合手にアルキル基が結合した基を意味する。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびよう素原子が挙げられる。
【0017】
芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素原子数10個以下の基が挙げられる。
【0018】
芳香族基、ベンジル基、およびベンジルオキシ基の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、メチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基が挙げられる。
【0019】
反応性基としては、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、およびカルボキシル基が挙げられる。
【0020】
水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、およびカルボキシル基の保護基としては、例えば PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS, THIRD EDITION, JOHN WILEY & SONS, INC.: New York に記載されている基で上記反応条件下で反応しない基が挙げられ、水酸基の保護に好適な基として置換もしくは無置換のベンジル基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基などのトリアルキルシリル基等が挙げられる。
【0021】
脱離基としては、塩素原子、臭素原子、およびよう素原子等のハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニルオキシ基、および置換もしくは無置換のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0022】
アルキルスルホニルオキシ基のアルキル基上の置換基としてはハロゲン原子が挙げられ、具体的な置換アルキルスルホニルオキシ基としてはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0023】
アリールスルホニルオキシ基のアリール基として具体的には芳香族基が挙げられ、より具体的にはフェニル基が挙げられる。アリールスルホニルオキシ基のアリール基上の置換基として具体的にはアルキル基が挙げられ、具体的な置換アリールスルホニルオキシ基としてはパラトルエンスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0024】
本発明の反応に関し更に詳細に説明する。
【化29】
Figure 2004123640
[式中、Y、R、およびXは前記と同じ意味を表す。]
一般式(1)で表される化合物を、溶媒中20℃〜150℃にて、好ましくは50℃〜120℃にて、パラジウム触媒およびセシウム塩の存在下、1〜3当量、好ましくは1〜1.5当量の一般式(2)で表される化合物と反応させることにより、一般式(3)で表される化合物を得ることができる。
溶媒は反応を妨げない限り如何なる溶媒でも良いが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、などのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が用いられる。好適な溶媒として、エーテル類が挙げられる。
パラジウム触媒としては、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどが用いられる。好適な触媒として、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが挙げられる。
【0025】
一般式(3)で表される化合物のニトロ基の還元は通常一般的に用いられる方法、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒中、パラジウム等の金属触媒存在下水素添加反応を行うことにより容易に実施できる。また、亜鉛、鉄を用いて実施することもできる(例えば、オーガニックファンクショナルグループプレパレーションズ第2版、アカデミックプレス社:ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS Second Edition, ACADEMIC PRESS に記載されている方法で合成することができる)。
【0026】
次に、一般式(4)で表される化合物を、次式に示した反応を行い、必要に応じ脱保護することにより、一般式(7)で表される化合物を得ることができる。
【化30】
Figure 2004123640
[式中、Y、RおよびLは前記と同じ意味を表し、
は脱離基を表し、
は低級アルキル基またはフェニル基を表し、
はLと同様な基を表すが、その置換基としてアミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性基を有する場合はこれらは保護されているものとする。]
一般式(4)で表される化合物に、一般式(8)で表される化合物を0℃〜80℃にて反応させカルバミン酸エステルとしたのち、更に一般式(9)で表される化合物と室温〜溶媒の沸点までの温度、または室温〜100℃にて反応させ、必要に応じて脱保護することによって一般式(7)で表される化合物を得ることができる。一般式(8)で表される化合物としては、例えばクロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、クロロ炭酸フェニル等を用いることができる。反応は通常、溶媒中で行い、溶媒としては反応を妨げない限りいかなる溶媒でもよく、例えばエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、アセトニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が用いられる。
また、同様な方法で、先に一般式(9)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物を反応させた後、一般式(4)で表される化合物と反応させることによっても、一般式(7)で表される化合物を得ることができる。
アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基などの保護基としては、有機合成化学の分野で使われる通常の一般的保護基(例えば水酸基の保護基としてはテトラヒドロピラニル基、アセチル基等;アミノ基の保護基としてはベンジル基等)を挙げることができ、これらは通常の方法に従って導入、除去することができる(例えば PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS, THIRD EDITION, JOHN WILEY & SONS, INC.: New York に記載)。
【0027】
本製造法で用いられる原料化合物(1)は、例えば以下の方法で合成することができる。
【化31】
Figure 2004123640
[式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。]
2−クロロニコチン酸と過剰量の一般式(9)で表されるアミン誘導体を、通常密閉容器中、50℃〜200℃にて加熱することにより一般式(10)で表される2−アミノニコチン酸誘導体を得ることができる。次いで、無水酢酸中、50℃〜140℃にて加熱することにより一般式(5)で表されるナフチリジン誘導体を得ることができる。
次工程のニトロ化は通常行われているニトロ化反応、例えば、濃硫酸中、濃硝酸によるニトロ化反応により実施することができる。
水酸基の脱離基への変換は以下の方法で実施することができる。
ハロゲン原子への変換はハロゲン化リン若しくはハロゲン化ホスホリルと50℃〜200℃に加熱することにより実施することができる。また、トリフェニルホスフィンジハロゲニドを用いることによっても実施できる。
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基への変換は溶媒中0℃〜50℃にて、塩基の存在下、無水トリフルオロメタンスルホン酸、またはトリフルオロメタンスルホン酸ハライドと反応させることにより行うことができる。溶媒は反応を妨げない限り如何なる溶媒でも良いが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が用いられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどが用いられる。
パラトルエンスルホニルオキシ基への変換は溶媒中0℃〜50℃にて、塩基の存在下、無水パラトルエンスルホン酸、またはパラトルエンスルホン酸ハライドと反応させることにより行うことができる。溶媒は反応を妨げない限り如何なる溶媒でも良いが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、などのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が用いられ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどが用いられる。
【0028】
【実施例】
以下に参考例、実施例、比較例等により本発明を更に詳細に説明するが本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
参考例1
2−(ブチルアミノ)ニコチン酸の合成
2−クロロニコチン酸(10.0 g, 63.5 mmol)のブチルアミン溶液(20ml)を100 Cで二日間加熱還流した。減圧下ブチルアミンを留去し、濃縮残渣をエーテルに溶解し、1N 水酸化ナトリウム水溶液で二回抽出した。水層を濃塩酸を用いてpH3−4にした後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄して、表題化合物を10.5g(収率85%)白色結晶として得た。
H−NMR δ(DMSO−d): 0.90 (3H, t, J=7.3Hz), 1.28−1.40 (2H, m), 1.48−1.57 (2H, m), 3.40−3.45 (2H, m), 6.52−6.57 (1H, m), 8.01−8.05 (1H, m), 8.30(1H, brd), 8.22−8.24 (1H, m).
【0030】
参考例2
4−アセトキシ−1−ブチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成無水酢酸(100 ml)に2−(ブチルアミノ)ニコチン酸(7.50 g, 38.6 mmol)の酢酸(50ml)溶液を室温下滴下した。2時間加熱還流した後反応液に水とトルエンを加え減圧下溶媒を留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで二回抽出し、有機層を重曹水で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧下溶媒を留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を6.27g(収率62%)茶色結晶として得た。
融点:71−72℃
【0031】
参考例3
4−ヒドロキシ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−アセトキシ−1−ブチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(500 mg, 1.92 mmol)の濃硫酸(5ml)溶液に濃硝酸(0.13 ml, 2.11 mmol)を氷冷下滴下した。1時間攪拌した後、室温まで昇温し一晩攪拌した。その後氷水にあけ、析出した結晶を濾取して表題化合物を467mg(収率92%)淡黄色結晶として得た。
融点:98−99℃
【0032】
参考例4
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−ヒドロキシ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(230 mg, 0.847 mmol)のオキシ塩化リン(1 ml) 溶液を30分間100℃で攪拌した。その後氷水にあけ、酢酸エチルで二回抽出し、有機層を水で二回、重曹水で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、ショートシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し表題化合物を181mg(収率74%)淡茶色結晶として得た。
融点:86−87℃
【0033】
参考例5
4−ブロモ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−ヒドロキシ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(230 mg, 0.847 mmol)とオキシ臭化リン(230 mg, 0.847 mmol)の混合物を60℃で溶解させた後30分間100℃で攪拌した。トルエンに懸濁させた後氷水にあけ、トルエンで二回抽出し、有機層を水で一回、重曹水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧下溶媒を留去しショートシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を222mg(収率90%)淡茶色結晶として得た。
融点:120−121℃
【0034】
参考例6
3−(ベンジルオキシ)プロポキシフェニルボロン酸の合成
マグネシウム(250 mg, 10.2 mmol)のテトラヒドロフラン(THF、15 ml)懸濁液に触媒量のよう素を加え、1−ブロモ−3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]ベンゼン(3.00 g, 9.34 mmol)のTHF溶液(3 ml)の内、1.5 mlを加熱還流下滴下した。溶液の色の消失を確認し残りのTHF溶液を滴下し1.5時間加熱攪拌し、グリニャール試薬を調製した。トリメトキシボラン(1.05 ml, 9.34 mmol)のTHF(3 ml)溶液を−10℃以下にて、上記グリニャール試薬に滴下し、ゆっくり室温まで昇温したのち一晩攪拌した。反応溶液に氷冷下10%(v/v)硫酸水溶液を加えたのちエーテルにより抽出し、有機層を10%(v/v)硫酸水溶液で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を1.35 g(収率51%)で無色油状物として得た。
H−NMR δ(DMSO−d): 1.94−2.03 (2H, m), 3.58 (2H, t, J=6.42Hz), 4.03 (2H, t, J=6.06), 4.47 (2H, s), 6.91−6.95 (1H, m), 7.20−7.35 (8H, m), 8.01 (2H, s).
【0035】
比較例1
4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−ブロモ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(300 mg, 0.920 mmol)、[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニルボロン酸(290 mg, 1.01 mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(53 mg, 5 mol%)のジメトキシエタン(7 ml)溶液に炭酸ナトリウム(322 mg, 3.04 mmol)の水溶液(2.0 ml)を加えて3時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより二回抽出し、有機層を水で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を343mg(収率76%)アモルファスとして得た。薄層クロマトグラフィーにより副生成物である1−ブチル−4−ヒドロキシ−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの生成を確認した。
H−NMR δ(DMSO−d): 0.94 (3H, t, J=7.3Hz), 2.57 (2H, t, J=6.2Hz), 4.56(2H, s), 4.50 (2H, t, J=7.5Hz), 7.11−7.15 (1H, m), 7.37−7.42 (1H, m), 8.81−8.83 (1H, m).
【0036】
比較例2
1−ブチル−4−(3−メトキシフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−ブロモ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(200mg, 0.63mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸(103mg, 0.68mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(35mg, 5mol%)のジメトキシエタン(4.5ml)溶液に炭酸ナトリウム(195mg, 1.8mmol)の水溶液(2.0ml)を加えて2時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより二回抽出し、有機層を水で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を153mg(収率71%)淡黄色結晶として得た。薄層クロマトグラフィーにより副生成物である1−ブチル−4−ヒドロキシ−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの生成を確認した。
融点:124−125℃
【0037】
実施例1
4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(100 mg, 0.355 mmol)、[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニルボロン酸(122 mg, 0.426 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(20.6mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(208 mg, 0.640 mmol)の1,4−ジオキサン(10 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を148mg(収率86%)アモルファスとして得た。
H−NMR δ(DMSO−d): 0.94 (3H, t, J=7.3Hz), 2.57 (2H, t, J=6.2Hz), 4.56(2H, s), 4.50 (2H, t, J=7.5Hz), 7.11−7.15 (1H, m), 7.37−7.42 (1H, m), 8.81−8.83 (1H, m).
【0038】
実施例2
1−ブチル−4−(3−メトキシフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸(56.0 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を89.5mg(収率83%)淡黄色結晶として得た。
融点:124−125℃
【0039】
実施例3
1−ブチル−4−(4−メトキシフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、4−メトキシフェニルボロン酸(56.0 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を87.2mg(収率80%)淡黄色結晶として得た。
融点:124−125℃
【0040】
実施例4
1−ブチル−4−(2−メトキシフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸(56.0 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を85.4mg(収率79%)淡黄色結晶として得た。
融点:189−190℃
【0041】
実施例5
1−ブチル−4−フェニル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、フェニルボロン酸(44.9 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を81.6mg(収率82%)淡黄色結晶として得た。
融点:149−150℃
【0042】
実施例6
1−ブチル−4−(3−フルオロフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、3−フルオロフェニルボロン酸(51.5 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を76.5mg(収率73%)淡黄色結晶として得た。
融点:172−173℃
【0043】
実施例7
1−ブチル−4−(3−シアノ)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−クロロ−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(86.5 mg, 0.307 mmol)、3−シアノフェニルボロン酸(54.1 mg, 0.368 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(17.7mg, 5mol%)、および炭酸セシウム(180 mg, 0.553 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液を5時間加熱還流した。水を加えたのち酢酸エチルにより一回抽出し、有機層を水で一回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を80.3mg(収率75%)淡黄色結晶として得た。
融点:160−161℃
【0044】
比較実験
実施例2と同様にして、以下の条件下で4−ハロゲン化1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(1当量)と3−メトキシフェニルボロン酸(1.1当量)とをテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.05当量)および塩基(1.8当量)の存在下で反応させた。結果を表1に示す。
【化32】
Figure 2004123640
【表1】
Figure 2004123640
(表中、iPrNEtはジイソプロピルエチルアミンを表す。)
【0045】
表1より、以下のことがわかる。
(1)番号1、2及び4の反応は塩基としてナトリウム塩、カリウム塩、およびジイソプロピルエチルアミンを用いたものであり、有機溶媒単一系である1,4−ジオキサン中で4時間加熱還流しても反応の進行が遅く、原料が回収された。このため収率はそれぞれ11%、42%、および反応進行せず、であった。
(2)一方、番号5の反応は水との混合溶媒系であるジメトキシエタン−水(4:1)中で反応させたものであり、番号1の反応と同じく炭酸ナトリウムを用いた場合でも反応が早く進行し、原料化合物は消失していた。しかし収率は52%であり薄層クロマトグラフィーにより副生成物である1−ブチル−4−ヒドロキシ−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンが生成していることを確認した。
(3)これに対し、塩基としてセシウム塩を用いた番号3の反応では、有機溶媒単一系である1,4−ジオキサン中4時間加熱還流することで原料が消失し、87%と高い収率で生成物が得られた。
(4)番号6および7の反応はXが塩素原子である化合物についてのものであるが、臭素原子である番号1〜5の反応と同様、塩基としてナトリウム塩を用いジメトキシエタン−水(4:1)中で反応させた場合には加熱還流5時間後に原料が消失していたが収率が55%であったのに対し、セシウム塩を用いた場合には収率が83%と、大幅に向上していることがわかる。
以上の結果から、塩基として通常用いられるジイソプロピルエチルアミン、ナトリウム塩やカリウム塩と異なり、セシウム塩を用いることで反応速度が飛躍的に向上し、このため反応速度が比較的遅い単一有機溶媒中で反応が好適に進行することがわかる。このため反応を水と有機溶媒との混合溶媒中で行う必要がなく、水の存在により副生成物が生成して収率が低下し、反応条件の微妙な違いによりこの副生成物の生成量が変わって収率に再現性がないという問題が解決されることがわかる。
【0046】
実施例8
3−アミノ−4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1−ブチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オンの合成
4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1−ブチル−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(156 mg, 0.320 mmol)と酢酸(0.046 ml, 0.800 mmol)と亜鉛(粉末、209 mg)のメタノール(10 ml)懸濁液を1.5時間加熱還流した。反応溶液を重曹水で塩基性にした後、セライト濾過し、減圧下溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーにより精製し表題化合物を154mgアモルファスとして得た。
H−NMR δ(DMSO−d): 0.95 (3H, t, J=7.3Hz), 3.58 (2H, t, J=6.1Hz), 4.08(2H, t, J=6.0Hz), 4.45 (2H, s), 4.52 (2H, t, J=7.4Hz), 6.83 (2H, m), 7.46 (1H, dd, J=8.3Hz, 7.9Hz), 8.29 (1H, dd, J=4.6Hz, 1.6Hz).
【0047】
実施例9
3−アミノ−4−(3−メトキシフェニル)−1−ブチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン
1−ブチル−4−(3−メトキシフェニル)−3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(100 mg, 0.283 mmol)と酢酸 (0.032 ml, 0.596 mmol) とパラジウム−炭素(20 mg)のエタノール(10 ml)懸濁液を水素雰囲気下三時間攪拌した。セライト濾過した後減圧下溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を83mg(収率91%)白色結晶として得た。
融点:140−141℃
【0048】
実施例10
N−〔1−ブチル−4−{3−[3−(ヒドロキシ)プロポキシ]フェニル}−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン−3−イル〕−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレアの合成
(a) N−〔1−ブチル−4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン−3−イル〕−N’−[2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]ウレアの合成
3−アミノ−4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1−ブチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン(1.0 g, 2.19 mmol)のテトラヒドロフラン(15 ml)溶液に室温にてクロロ炭酸フェニル(684 mg, 4.37 mmol)を加え、同温度にて1日間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて、水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。反応混合物をN,N−ジメチルホルムアミド (15 ml) に溶解した後、2,6−ジイソプロピル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノアニリン (769 mg, 2.63mmol)、ジメチルアミノピリジン (803 mg, 6.57 mmol) を順次加え、1日間攪拌した。水を加えた後酢酸エチルにより2回抽出し有機層を水で2回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機層を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を定量的 (1.80 g) にアモルファスとして得た。
H−NMRδ (DMSO−d) 1.00−1.05 (15H, m), 1.44−1.51 (11H, m), 1.74−1.77 (2H, m), 2.05−2.09 (2H, m), 2.89−2.93 (2H, m), 3.64 (2H, t, J =6.03), 4.10−4.14 (2H, m), 4.52−4.60 (4H, m), 6.94−6.97 (2H, m), 7.06−7.08 (1H, m), 7.21 (2H, s), 7.27−7.47 (6H, m), 7.45 (1H, t, J = 8.04), 7.65−7.68 (2H, m), 7.77 (1H, s), 8.65−8.67 (1H, m), 9.16 (1H, brd).
(b) N−〔1−ブチル−4−{3−[3−(ヒドロキシ)プロポキシ]フェニル}−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン−3−イル〕−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレアの合成
N−〔1−ブチル−4−{3−[3−(ベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン−3−イル〕−N’−[2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]ウレア(500 mg, 0.644 mmol) 、Pd−C(100 mg)の10% HCl−MeOH (20 ml)懸濁液を水素雰囲気下5時間攪拌した。反応懸濁液をセライト濾過した後、減圧下溶媒を留去し酢酸エチルより晶析し、収率86% (356 mg)で白色結晶として表題化合物の塩酸塩を得た。
融点:175〜176℃
【0049】
【発明の効果】
本発明により、3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の工業的規模での製造が可能で高収率な製造法が提供される。

Claims (12)

  1. 一般式(1):
    Figure 2004123640
    [式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
    [式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される3−ニトロ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン誘導体の製造法。
  2. Rがアルキル基である、請求項1記載の製造法。
  3. Yが置換フェニル基であって、該置換基が置換もしくは無置換のベンジルオキシ基、または式:−O−(CH−E(nは1〜6の整数を表す。Eは水素原子または保護された水酸基を表す。)で表される基である、請求項2記載の製造法。
  4. Yが、3位が置換されたフェニル基であって、該置換基が置換ベンジルオキシ基、または式:−O−(CH−E(nは1〜6の整数を表す。Eは水素原子または保護された水酸基を表す。)で表される基である、請求項3記載の製造法。
  5. Xが、臭素原子、塩素原子、パラトルエンスルホニルオキシ基、またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である、請求項4記載の製造法。
  6. Yが3−[3−(ベンジルオキシ)プロピルオキシ]フェニル基である、請求項5記載の製造法。
  7. Rが低級アルキル基である、請求項6記載の製造法。
  8. Rがブチル基である、請求項7記載の製造法。
  9. 一般式(1):
    Figure 2004123640
    [式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
    [式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させて一般式(3):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物に導いた後、ニトロ基を還元して一般式(4):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とし、さらに一般式(4)で表される化合物を、一般式(8):
    Figure 2004123640
    [式中、Xは脱離基を表し、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表す。]
    で表される化合物と反応させ、次いで一般式(9):HN−L[式中、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表すが、その置換基として反応性基を有する場合はこれらは保護されている。]で表される化合物と反応させ、必要に応じ脱保護することを特徴とする、一般式(7):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表し、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。]で表される化合物の製造法。
  10. Lが4−アミノ−2,6−ジイソプロピルフェニル基である、請求項9記載の製造法。
  11. 一般式(1):
    Figure 2004123640
    [式中、Xは脱離基を表し、Rは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。]で表される化合物を、一般式(2):Y−B(OH)
    [式中、Yは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物とパラジウム触媒およびセシウム塩の存在下で反応させて一般式(3):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物に導いた後、ニトロ基を還元して一般式(4):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とし、さらに一般式(9):HN−L[式中、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表すが、その置換基として反応性基を有する場合はこれらは保護されている。]で表される化合物を、一般式(8):
    Figure 2004123640
    [式中、Xは脱離基を表し、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表す。]
    で表される化合物と反応させ、次いで上記一般式(4)で表される化合物と反応させ、必要に応じ脱保護することを特徴とする、一般式(7):
    Figure 2004123640
    [式中、YおよびRは前記と同じ意味を表し、Lは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。]で表される化合物の製造法。
  12. Lが4−アミノ−2,6−ジイソプロピルフェニル基である、請求項11記載の製造法。
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