JP2004123478A - 燃料改質器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でありながら原燃料を良好に気化し、改質触媒に均等に気化燃料を導入できるようにする。
【解決手段】炭化水素系の原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、高温空気が送り込まれる空気導入管13と、空気導入管13からの高温空気が絞り部14を介して導入される予混合室12と、予混合室12に設けた改質触媒11と、高温空気と混合されるように原燃料を噴射する燃料噴射弁16と、改質触媒11の上流側に配置され、改質触媒入口部を複数の区画に区分する整流板17を備える。そして、整流板17は、改質触媒入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、前記複数の区画の少なくとも一つの区画における改質触媒入口部の面積と、整流板入口部での面積とを異ならせている。
【選択図】 図2
【解決手段】炭化水素系の原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、高温空気が送り込まれる空気導入管13と、空気導入管13からの高温空気が絞り部14を介して導入される予混合室12と、予混合室12に設けた改質触媒11と、高温空気と混合されるように原燃料を噴射する燃料噴射弁16と、改質触媒11の上流側に配置され、改質触媒入口部を複数の区画に区分する整流板17を備える。そして、整流板17は、改質触媒入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、前記複数の区画の少なくとも一つの区画における改質触媒入口部の面積と、整流板入口部での面積とを異ならせている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料電池の燃料改質器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器にあっては、原燃料は十分に気化され、均一的な濃度で改質触媒に導入する必要があり、このため、複数の燃料蒸発器を備えたり、空気と原燃料の混合を促進するため混合室の気流に乱れを生じさせたりしている(特許文献1、2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−180904号公報
【特許文献2】
特開2001−12740号公報
【0004】
【発明の解決すべき課題】
しかし、原燃料の気化のために複数の蒸発器を備えるのでは装置が大型化するし、また混合室での気流に乱れを発生させても改質触媒に流入する混合気の濃度のバラツキにより、改質触媒内での反応に偏りが生じ、反応効率が悪く、また改質ガスの組成も不安定となる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、簡単な構成でありながら原燃料の気化特性が良く、かつ改質触媒に均等に気化燃料を導入できるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料改質器は、上記した目的を達成するために、炭化水素系の原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、高温空気が送り込まれる空気導入管と、前記空気導入管からの高温空気が絞り部を介して導入される予混合室と、前記予混合室に設けた改質触媒と、前記高温空気と混合されるように原燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記改質触媒の上流側に配置され、前記改質触媒入口部を複数の区画に区分する整流板を備え、該整流板は、前記改質触媒入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、前記複数の区画の少なくとも一つの区画における改質触媒入口部の面積と、前記整流板入口部での面積とを異ならせている。
【0007】
【作用・効果】
したがって、高温空気と混合した原燃料は、原燃料の濃度分布に応じた大きさの入口部をもつ整流板によって隔てられた区画毎に改質触媒に導かれるので、改質触媒入口部での燃料分布が均等化し、これにより触媒反応が全域的に均一化し、安定した組成の改質ガスを生成することができる。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
第1の実施形態を図1から図3に示す。
【0010】
まず、図1は燃料改質器を有する燃料電池システム全体を示すもので、この燃料電池システムは、炭化水素系燃料である原燃料を改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質器5を備え、この改質器5には熱交換器7で加熱されたコンプレッサー3からの加圧空気と、ガソリン、メタノールなどの炭化水素及び水とが供給される。
【0011】
改質器5で生成された改質ガスには一酸化炭素が含まれ、この改質ガスと空気とをCO除去器4で反応させてCOを除去し、この水素リッチな改質ガスと空気とが燃料電池2に供給されると、燃料電池2は水素ガスと空気中の酸素との電気化学反応により発電を行う。
【0012】
燃料電池2から排出される余剰の空気と水素ガスとは燃焼器6で燃焼され、この燃焼ガスは熱交換器7を通して外部に排出され、この熱を受けて熱交換器7では空気を加熱し高温にする。
【0013】
このようにして改質器5で原燃料を水素リッチなガスに改質し、この改質ガスと空気とを燃料電池2に供給して発電させるのである。
【0014】
図2に原燃料を改質する改質器5の詳細を示す。
【0015】
改質器5は熱交換器7で加熱され高温となった空気の空気導入管13が設けられ、この空気導入管13と同軸上にあり、流路断面が縮小している絞り部14を介して原燃料を予混合する予混合室12が接続する。予混合室12は絞り部14に連なってドーム状に拡大する円筒形のハウジング15内に形成され、このハウジング15には予混合室12の下流側に円形断面をもつ改質触媒11が備えられる。改質触媒11は原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成するものであり、改質ガスはハウジング出口部15aから、前記CO除去器4を経て燃料電池2へと供給される。
【0016】
予混合室12には絞り部14を流れる空気流と対向するように原燃料を噴霧する燃料噴射弁16が配置される。燃料噴射弁16の絞り部14までの距離と噴射角は、予混合室形状、混合気の空燃比、絞り部14からの空気流速、燃料のペネトレーションなどを考慮して設定されるが、噴射燃料が予混合室12の対向壁に付着しないように設定される。
【0017】
前記改質触媒11の入口側には整流板17が設けられ、この整流板17はこの実施形態にあっては、全体的には複数の口径の異なる円筒部材17a、17bを同心的に配列することにより、円筒部材17a、17b及び予混合室12の内壁面とで、改質触媒11の入口部を複数の区画に区分し、かつ円筒部材17a、17bの入口側には内側に円錐状に傾斜した傾斜部17cを形成して、これにより各区画の整流板入口部17dの面積は、対応する区画の改質触媒入口部の面積との比率で、中央部ほど小さく、周辺部ほど大きくなるように構成される。
【0018】
なお整流板17は高温空気や原燃料に晒されても劣化せず、耐久性のあるステンレス鋼やセラミックスなどから構成する。
【0019】
次に作用について図3を参照しながら説明する。
【0020】
空気導入管13に導入された高温の空気は、絞り部14で加速されつつ予混合室12に高速で流入し、この空気流に対向するように燃料噴射弁16から原燃料が所定の噴射角をもって噴射されると、高速空気流と原燃料噴霧が激しくぶつかりあい、原燃料噴霧は拡散し、このとき原燃料噴霧は高温空気と接触することで、すばやく気化する。
【0021】
このようにして原燃料と空気との混合による混合気が形成されるが、原燃料が予混合室12の中心部に噴霧されることで、図3にもあるように、混合気の濃度は整流板17の入口部においては、中央部の濃度が周辺部よりも高くなっている。
【0022】
しかし、予混合室下流側の整流板入口部17dの各区画の面積は、対応する区画の改質触媒入口部の面積との比率で、中央部ほど小さく、周辺部ほど大きくなるように構成される。このため、整流板17を介して改質触媒11に流入する混合気は、混合気濃度の高い中央部の混合気量が少なく、混合気濃度がこれよりも低い周辺部の混合気量が多くなる。
【0023】
このため、改質触媒11の入口断面における原燃料の分布は、周辺部と中央部とで単位面積あたりの燃料量が概略均等に近づき、改質触媒11での燃料密度が全域的に均質化し、改質触媒11での改質反応が全域的に均等化する。この結果、改質触媒11で改質される改質ガスの組成に斑が少なくなり、安定した品質の改質ガスを供給することが可能となる。
【0024】
このように本実施形態によれば、改質触媒11の上流側に配置され、改質触媒11入口部を複数の区画に区分する整流板17を備え、この整流板17は、改質触媒11入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、各区画における改質触媒入口部の面積と、整流板入口部17dでの面積を異ならせたので、改質触媒11での改質反応が一定化し、改質ガスの組成が安定するという効果がある。
【0025】
燃料噴射弁16からの燃料噴射方向を高温空気流に対向させたので、原燃料噴霧の速度が小さくなり、噴霧粒子がよく分散するので、高温空気によって原燃料はすばやく気化し、混合気の混合の均一化が促進される。
【0026】
第2の実施形態を図4、図5を参照して説明する。
【0027】
この実施形態では、第1の実施形態とは異なり、原燃料を噴霧する燃料噴射弁16を空気導入管13に設け、かつ空気導入管13の円周方向に燃料噴射するように配置してある。
【0028】
このため、燃料噴射弁16から噴射された原燃料は、図5に示すように、高温の空気が流れる空気導入管13内で旋回するように噴射され、高温空気との接触がよくなり、すばやく気化する。そして、その下流の絞り部14を通過することにより、原燃料と空気との混合が促進され、予混合室12に高速で流入した混合気は、断面積が急拡大することにより周辺へと拡散しながらより一層均質化する。
【0029】
これにより、整流板17から改質触媒11に流入する混合気の濃度は、周辺部よりも中央部の濃度が高いものの、その変化幅は少なくなり、改質触媒11での原燃料分布がより均一化する。したがって、改質触媒11での改質反応が全域的により安定したものとなる。
【0030】
第3の実施形態を図6、図7を参照して説明する。
【0031】
この実施形態にあっては、燃料噴射弁16は第2の実施形態と同じく空気導入管13に設けるが、原燃料の噴射方向は高温空気の流れと対向するように、すなわち上流に向くように設定される。
【0032】
そして、予混合室12には絞り部14の出口に邪魔板19が配置される。邪魔板19は絞り部14の混合気流に所定の間隙をもって対峙し、予混合室内壁形状に合わせて円錐形に形成され、複数の支持脚20によりハウジング15に取付けられる。
【0033】
予め高温空気と混合された原燃料の濃度分布は、邪魔板19により予混合室12の周辺部に向けて混合気が案内されることから、図7にもあるように、中央部に比べて周辺部の濃度が高い。
【0034】
したがって、改質触媒11の上流側に配置される整流板17は、この実施形態では、各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積との比率で考えると、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように、各円筒17a17bの入口側には、外側に傾斜した円錐状の傾斜部17cが形成されている。
【0035】
したがって、空気導入管13において高温空気と原燃料とが混合しながら絞り部14から予混合室12に噴出し、邪魔板19により周辺部へと拡散され、また支持脚20での気流の乱れによる多数の渦が発生し、原燃料の気化と均一混合化が促進される。そして、予混合室12内において周辺部で相対的に濃度が高い混合気に対応して、各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積に比べて、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように形成されていることから、改質触媒11に流入する原燃料の燃料分布は全域的に均一化し、改質触媒11の改質反応が均等化し、安定した組成の改質ガスを生成することができる。
【0036】
第4の実施形態を図8を参照して説明する。
【0037】
この実施形態では、第3の実施形態の邪魔板19の代わりに、絞り部14にスワーラ21を設け、絞り部14を通過する混合気に旋回流を発生させるようにしたものである。
【0038】
この旋回運動により混合気流には遠心力が付与され、混合気は予混合室12の内壁に沿うように流入する。このため、予混合室12の中心軸付近では壁面付近の周辺部に比べて圧力が低く、旋回運動が維持され、空気と原燃料の混合が促進される。
【0039】
この場合にも、混合気の濃度は周辺部が中央部よりも高くなり、このため各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積との比率で考えると、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように設定される。この結果、改質触媒11に流入する燃料の分布は全域的に均一化し、改質反応が安定して行われ、改質ガスの組成も一定化させられる。
【0040】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の燃料電池システムを示すブロック図である。
【図2】
本発明の改質器の第1実施形態を示す断面図である。
【図3】
同じく混合気濃度分布の特性図である。
【図4】
本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】
同じくその一部の断面図である。
【図6】
本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図7】
同じく混合気濃度分布の特性図である。
【図8】
本発明の第4実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 燃料電池
5 改質器
7 熱交換器
11 改質触媒
12 予混合室
13 空気導入管
14 絞り部
16 燃料噴射弁
17 整流板
17a,17b 円筒部材
17d 開口部
19 邪魔板
21 スワーラ
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料電池の燃料改質器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器にあっては、原燃料は十分に気化され、均一的な濃度で改質触媒に導入する必要があり、このため、複数の燃料蒸発器を備えたり、空気と原燃料の混合を促進するため混合室の気流に乱れを生じさせたりしている(特許文献1、2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−180904号公報
【特許文献2】
特開2001−12740号公報
【0004】
【発明の解決すべき課題】
しかし、原燃料の気化のために複数の蒸発器を備えるのでは装置が大型化するし、また混合室での気流に乱れを発生させても改質触媒に流入する混合気の濃度のバラツキにより、改質触媒内での反応に偏りが生じ、反応効率が悪く、また改質ガスの組成も不安定となる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、簡単な構成でありながら原燃料の気化特性が良く、かつ改質触媒に均等に気化燃料を導入できるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料改質器は、上記した目的を達成するために、炭化水素系の原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、高温空気が送り込まれる空気導入管と、前記空気導入管からの高温空気が絞り部を介して導入される予混合室と、前記予混合室に設けた改質触媒と、前記高温空気と混合されるように原燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記改質触媒の上流側に配置され、前記改質触媒入口部を複数の区画に区分する整流板を備え、該整流板は、前記改質触媒入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、前記複数の区画の少なくとも一つの区画における改質触媒入口部の面積と、前記整流板入口部での面積とを異ならせている。
【0007】
【作用・効果】
したがって、高温空気と混合した原燃料は、原燃料の濃度分布に応じた大きさの入口部をもつ整流板によって隔てられた区画毎に改質触媒に導かれるので、改質触媒入口部での燃料分布が均等化し、これにより触媒反応が全域的に均一化し、安定した組成の改質ガスを生成することができる。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
第1の実施形態を図1から図3に示す。
【0010】
まず、図1は燃料改質器を有する燃料電池システム全体を示すもので、この燃料電池システムは、炭化水素系燃料である原燃料を改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質器5を備え、この改質器5には熱交換器7で加熱されたコンプレッサー3からの加圧空気と、ガソリン、メタノールなどの炭化水素及び水とが供給される。
【0011】
改質器5で生成された改質ガスには一酸化炭素が含まれ、この改質ガスと空気とをCO除去器4で反応させてCOを除去し、この水素リッチな改質ガスと空気とが燃料電池2に供給されると、燃料電池2は水素ガスと空気中の酸素との電気化学反応により発電を行う。
【0012】
燃料電池2から排出される余剰の空気と水素ガスとは燃焼器6で燃焼され、この燃焼ガスは熱交換器7を通して外部に排出され、この熱を受けて熱交換器7では空気を加熱し高温にする。
【0013】
このようにして改質器5で原燃料を水素リッチなガスに改質し、この改質ガスと空気とを燃料電池2に供給して発電させるのである。
【0014】
図2に原燃料を改質する改質器5の詳細を示す。
【0015】
改質器5は熱交換器7で加熱され高温となった空気の空気導入管13が設けられ、この空気導入管13と同軸上にあり、流路断面が縮小している絞り部14を介して原燃料を予混合する予混合室12が接続する。予混合室12は絞り部14に連なってドーム状に拡大する円筒形のハウジング15内に形成され、このハウジング15には予混合室12の下流側に円形断面をもつ改質触媒11が備えられる。改質触媒11は原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成するものであり、改質ガスはハウジング出口部15aから、前記CO除去器4を経て燃料電池2へと供給される。
【0016】
予混合室12には絞り部14を流れる空気流と対向するように原燃料を噴霧する燃料噴射弁16が配置される。燃料噴射弁16の絞り部14までの距離と噴射角は、予混合室形状、混合気の空燃比、絞り部14からの空気流速、燃料のペネトレーションなどを考慮して設定されるが、噴射燃料が予混合室12の対向壁に付着しないように設定される。
【0017】
前記改質触媒11の入口側には整流板17が設けられ、この整流板17はこの実施形態にあっては、全体的には複数の口径の異なる円筒部材17a、17bを同心的に配列することにより、円筒部材17a、17b及び予混合室12の内壁面とで、改質触媒11の入口部を複数の区画に区分し、かつ円筒部材17a、17bの入口側には内側に円錐状に傾斜した傾斜部17cを形成して、これにより各区画の整流板入口部17dの面積は、対応する区画の改質触媒入口部の面積との比率で、中央部ほど小さく、周辺部ほど大きくなるように構成される。
【0018】
なお整流板17は高温空気や原燃料に晒されても劣化せず、耐久性のあるステンレス鋼やセラミックスなどから構成する。
【0019】
次に作用について図3を参照しながら説明する。
【0020】
空気導入管13に導入された高温の空気は、絞り部14で加速されつつ予混合室12に高速で流入し、この空気流に対向するように燃料噴射弁16から原燃料が所定の噴射角をもって噴射されると、高速空気流と原燃料噴霧が激しくぶつかりあい、原燃料噴霧は拡散し、このとき原燃料噴霧は高温空気と接触することで、すばやく気化する。
【0021】
このようにして原燃料と空気との混合による混合気が形成されるが、原燃料が予混合室12の中心部に噴霧されることで、図3にもあるように、混合気の濃度は整流板17の入口部においては、中央部の濃度が周辺部よりも高くなっている。
【0022】
しかし、予混合室下流側の整流板入口部17dの各区画の面積は、対応する区画の改質触媒入口部の面積との比率で、中央部ほど小さく、周辺部ほど大きくなるように構成される。このため、整流板17を介して改質触媒11に流入する混合気は、混合気濃度の高い中央部の混合気量が少なく、混合気濃度がこれよりも低い周辺部の混合気量が多くなる。
【0023】
このため、改質触媒11の入口断面における原燃料の分布は、周辺部と中央部とで単位面積あたりの燃料量が概略均等に近づき、改質触媒11での燃料密度が全域的に均質化し、改質触媒11での改質反応が全域的に均等化する。この結果、改質触媒11で改質される改質ガスの組成に斑が少なくなり、安定した品質の改質ガスを供給することが可能となる。
【0024】
このように本実施形態によれば、改質触媒11の上流側に配置され、改質触媒11入口部を複数の区画に区分する整流板17を備え、この整流板17は、改質触媒11入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、各区画における改質触媒入口部の面積と、整流板入口部17dでの面積を異ならせたので、改質触媒11での改質反応が一定化し、改質ガスの組成が安定するという効果がある。
【0025】
燃料噴射弁16からの燃料噴射方向を高温空気流に対向させたので、原燃料噴霧の速度が小さくなり、噴霧粒子がよく分散するので、高温空気によって原燃料はすばやく気化し、混合気の混合の均一化が促進される。
【0026】
第2の実施形態を図4、図5を参照して説明する。
【0027】
この実施形態では、第1の実施形態とは異なり、原燃料を噴霧する燃料噴射弁16を空気導入管13に設け、かつ空気導入管13の円周方向に燃料噴射するように配置してある。
【0028】
このため、燃料噴射弁16から噴射された原燃料は、図5に示すように、高温の空気が流れる空気導入管13内で旋回するように噴射され、高温空気との接触がよくなり、すばやく気化する。そして、その下流の絞り部14を通過することにより、原燃料と空気との混合が促進され、予混合室12に高速で流入した混合気は、断面積が急拡大することにより周辺へと拡散しながらより一層均質化する。
【0029】
これにより、整流板17から改質触媒11に流入する混合気の濃度は、周辺部よりも中央部の濃度が高いものの、その変化幅は少なくなり、改質触媒11での原燃料分布がより均一化する。したがって、改質触媒11での改質反応が全域的により安定したものとなる。
【0030】
第3の実施形態を図6、図7を参照して説明する。
【0031】
この実施形態にあっては、燃料噴射弁16は第2の実施形態と同じく空気導入管13に設けるが、原燃料の噴射方向は高温空気の流れと対向するように、すなわち上流に向くように設定される。
【0032】
そして、予混合室12には絞り部14の出口に邪魔板19が配置される。邪魔板19は絞り部14の混合気流に所定の間隙をもって対峙し、予混合室内壁形状に合わせて円錐形に形成され、複数の支持脚20によりハウジング15に取付けられる。
【0033】
予め高温空気と混合された原燃料の濃度分布は、邪魔板19により予混合室12の周辺部に向けて混合気が案内されることから、図7にもあるように、中央部に比べて周辺部の濃度が高い。
【0034】
したがって、改質触媒11の上流側に配置される整流板17は、この実施形態では、各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積との比率で考えると、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように、各円筒17a17bの入口側には、外側に傾斜した円錐状の傾斜部17cが形成されている。
【0035】
したがって、空気導入管13において高温空気と原燃料とが混合しながら絞り部14から予混合室12に噴出し、邪魔板19により周辺部へと拡散され、また支持脚20での気流の乱れによる多数の渦が発生し、原燃料の気化と均一混合化が促進される。そして、予混合室12内において周辺部で相対的に濃度が高い混合気に対応して、各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積に比べて、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように形成されていることから、改質触媒11に流入する原燃料の燃料分布は全域的に均一化し、改質触媒11の改質反応が均等化し、安定した組成の改質ガスを生成することができる。
【0036】
第4の実施形態を図8を参照して説明する。
【0037】
この実施形態では、第3の実施形態の邪魔板19の代わりに、絞り部14にスワーラ21を設け、絞り部14を通過する混合気に旋回流を発生させるようにしたものである。
【0038】
この旋回運動により混合気流には遠心力が付与され、混合気は予混合室12の内壁に沿うように流入する。このため、予混合室12の中心軸付近では壁面付近の周辺部に比べて圧力が低く、旋回運動が維持され、空気と原燃料の混合が促進される。
【0039】
この場合にも、混合気の濃度は周辺部が中央部よりも高くなり、このため各区画の整流板入口部17dでの面積は、対応する区画の改質触媒11の入口部の面積との比率で考えると、中央部ほど大きく、周辺部ほど小さくなるように設定される。この結果、改質触媒11に流入する燃料の分布は全域的に均一化し、改質反応が安定して行われ、改質ガスの組成も一定化させられる。
【0040】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の燃料電池システムを示すブロック図である。
【図2】
本発明の改質器の第1実施形態を示す断面図である。
【図3】
同じく混合気濃度分布の特性図である。
【図4】
本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】
同じくその一部の断面図である。
【図6】
本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図7】
同じく混合気濃度分布の特性図である。
【図8】
本発明の第4実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 燃料電池
5 改質器
7 熱交換器
11 改質触媒
12 予混合室
13 空気導入管
14 絞り部
16 燃料噴射弁
17 整流板
17a,17b 円筒部材
17d 開口部
19 邪魔板
21 スワーラ
Claims (13)
- 炭化水素系の原燃料と高温空気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、
高温空気が送り込まれる空気導入管と、
前記空気導入管からの高温空気が絞り部を介して導入される予混合室と、
前記予混合室に設けた改質触媒と、
前記高温空気と混合されるように原燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記改質触媒の上流側に配置され、前記改質触媒入口部を複数の区画に区分する整流板を備え、
該整流板は、前記改質触媒入口部での空気と原燃料との混合気の濃度分布を均質化するように、前記複数の区画の少なくとも一つの区画における改質触媒入口部の面積と、前記整流板入口部での面積とを異ならせたことを特徴とする燃料改質器。 - 前記少なくとも一つの区画における前記整流板入口部の面積を、前記整流板入口部における混合気の濃度が他の区間での濃度に比べて高いときほど改質触媒入口部の面積に比べて小さくする請求項1に記載の燃料改質器。
- 前記少なくとも一つの区画における前記整流板入口部の面積を、前記整流板入口部における混合気の濃度が他の区間での濃度に比べて低いときほど改質触媒入口部の面積に比べて大きくする請求項1に記載の燃料改質器。
- 前記改質触媒は前記混合室の内径に対応して円形断面に形成され、この改質触媒の上流の前記整流板は、複数の口径の異なる円筒部材が前記改質触媒と同心的に配列され、かつ開口部に至る入口側に円錐状の傾斜部を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記整流板はステンレス鋼またはセラミックス材料で形成される請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記燃料噴射弁は前記絞り部の下流に設けられ、原燃料の噴射方向は空気流に対向して上流に向けられる請求項1〜5のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記燃料噴射弁は前記絞り部の上流に設けられ、原燃料の噴射方向は空気流に対して旋回成分をもつように空気導入管の接線方向に向けられる請求項1〜5のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記改質触媒は円形断面に形成され、前記整流板は、複数の口径の異なる円筒部材が前記改質触媒の上流側に同心的に配列され、かつ整流板入口側に円錐状の傾斜部を有し、該整流板入口部における各区画の面積は、対応する区画の触媒入口部の面積に比べ、中央部ほど小さく、周辺部ほど大きく形成される請求項6または7に記載の燃料改質器。
- 前記燃料噴射弁は前記絞り部の下流に設けられ、該絞り部の直下流には混合気の流れを予混合室壁面に沿って拡げる邪魔板が配置される請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記邪魔板は絞り部に向けて円錐面をもつ円錐形に形成される請求項9に記載の燃料改質器。
- 前記邪魔板は複数の支持脚を介して対向する予混合室内壁に取付けられる請求項9または10に記載の燃料改質器。
- 前記燃料噴射弁は前記絞り部の下流に設けられ、前記絞り部には混合気の流れに旋回成分を付与するスワーラが設けられる請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料改質器。
- 前記改質触媒は円形断面に形成され、前記整流板は、複数の口径の異なる円筒部材が前記改質触媒の上流側に同心的に配列され、かつ整流板入口側に円錐状の傾斜部を有し、該整流板入口部における各区画の面積は、対応する区画の触媒入口部の面積に比べ、周辺部ほど小さく、中央部ほど大きく形成される請求項9〜12のいずれか一つに記載の燃料改質器。
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- 2002-10-04 JP JP2002292399A patent/JP2004123478A/ja active Pending
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