JP2004123356A - ゴンドラの安全装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴンドラ本体1は牽引用ワインダー2により牽引用ワイヤーロープ3を牽引操作することにより昇降路10内を昇降する。このゴンドラ本体1には、ゴンドラ本体1が異常な速度で降下した際に、内部を貫通している安全用ワイヤーロープ5を把持することによりゴンドラ本体1を停止させる安全装置本体4が設けられている。安全用ワイヤーロープ5は安全装置本体4の内部を非拘束で貫通させるために、下方に重り16が設けられて直線性が保持されている。この重り16は、中央部に安全用ワイヤーロープ5が上下方向に沿って貫通する貫通孔を有すると共に、側面から中央部に向けて安全用ワイヤーロープ5が挿通できて貫通孔に導入可能な挿通用切り欠き16aを有し、安全用ワイヤーロープ5の途中位置で取り付けられるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの据え付けなどに利用されるゴンドラに係り、特にゴンドラに設けられる安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレベータを据え付けるにあたっては、昇降路内に単管パイプを組立てた固定足場を利用するほかに、昇降路内にゴンドラを設置し、このゴンドラを利用してエレベータ用品を据え付ける方法がある。エレベータ用品の据え付けは、例えばゴンドラ本体を昇降させて乗り場出入り口装置、緩衝装置、ガイドレール、ブラケット、昇降路内機器の取り付け及び配管、結線を行ない、次いで最上階に搬送機器(かご枠、かご室)の組立て、最下階にカウンターウエイトの組立て、さらに巻上げ用ワイヤーロープ掛けを行なう作業が必要となる。
【0003】
このような作業に利用されるゴンドラは、図7に示すように、保護柵1aを有するゴンドラ本体1を備え、このゴンドラ本体1の水平方向両側に設けられた牽引用ワインダー2により、昇降路10の天井に固定されて吊下げられた牽引用ワイヤーロープ3を牽引操作してゴンドラ本体1を昇降させるようになっている。またこのゴンドラ本体1には、ゴンドラ本体1の落下を防止する安全装置本体4が設けられている。この安全装置本体4は、ゴンドラ本体1に設けられ、また昇降路10の天井に固定されて吊下げられた安全用ワイヤーロープ5が内部を貫通するように設けられており、ゴンドラ本体1が何らかの理由で落下する状況になった際には、その異常な降下速度を検出して歯状の噛み合い部を有する内部機構を動作させて安全用ワイヤーロープ5を把持することによりゴンドラ本体1を停止させるようになっている。
【0004】
安全用ワイヤーロープ5は、ゴンドラ本体1の昇降に応じて安全装置本体4の内部を何ら拘束されずに通過する必要がある。このため、安全用ワイヤーロープ5の下部には重り6が取り付けられ、安全用ワイヤーロープ5が重り6の重みによって鉛直方向に沿って直線性を保持するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、この重り6は、中央部に安全用ワイヤーロープ5が貫通できる孔を有する鋼板などの板材を積み重ねて構成され、その孔に安全用ワイヤーロープ5を通した後、昇降路床面から少し浮き上がった位置にクリップにより固定していた。
【0006】
ところが、用意されている安全用ワイヤーロープ5が必要以上に長い場合が多く、しかも下端部が例えば渦巻き状に整理された状態にある場合が多いので、このような状態で重り6を安全用ワイヤーロープ5の所定位置に固定するには、整理された安全用ワイヤーロープ5を解いたうえで、安全用ワイヤーロープ5の先端から挿入する作業が必要となり、非常に面倒な作業となっていた。
【0007】
本発明は、上述の問題点を考慮してなされたもので、重りを安全用ワイヤーロープの所定位置に取り付ける作業性を向上することのできるゴンドラの安全装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、ゴンドラ本体が異常な速度で降下した際に、安全装置本体がその内部を貫通している安全用ワイヤーロープを把持することによりゴンドラ本体を停止させる安全装置であって、安全用ワイヤーロープの下方に設けられる重りを、中央部に安全用ワイヤーロープが上下方向に沿って貫通する貫通孔を有すると共に、側面から中央部に向けて安全用ワイヤーロープが挿通できて貫通孔に導入可能な挿通用切り欠きを有するように構成したところに特徴を有する。
【0009】
このような構成を有することにより、重りは、昇降路の上部から吊下げられた安全用ワイヤーロープに対して、重りが有する挿通用切り欠きを通して安全用ワイヤーロープの途中位置から挿入して取り付けることができるので、安全用ワイヤーロープの整理された状態を解いて先端から挿入する作業に比べて作業性を向上することができる。
【0010】
この場合、重りは、複数枚の板材を積み重ねて構成し、板材に形成された切り欠きまたは異なる形状の板材の組合せにより挿通用切り欠きを構成することにより、容易に挿通用切り欠きを形成することができる。
【0011】
また重りは、複数枚の板材の枚数を増減することにより重量調整が可能に構成することにより、例えば安全用ワイヤーロープの吊り長さに応じて重量を変えることができる。
【0012】
さらに安全用ワイヤーロープに重りを固定するクリップを重りの上部に設けることにより、重りを安全用ワイヤーロープに固定する作業も容易に行なうことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明によるゴンドラの安全装置における第1実施の形態を示す正面図である。図2は図1のA部を一部省略し主要部を拡大して示す正面図である。図7と同一部分には同一符号を付した図1及び図2において、ゴンドラは、保護柵1aを有するゴンドラ本体1を備え、このゴンドラ本体1の水平方向両側に牽引用ワインダー2が設けられている。ゴンドラ本体1は、このワインダー2により昇降路10の天井に固定されて吊下げられた牽引用ワイヤーロープ3を牽引操作して昇降できるようになっている。このゴンドラ本体1には、ゴンドラ本体1の落下を防止する安全装置本体4が設けられている。この安全装置本体4は、ゴンドラ本体1のワインダー2の近くにそれぞれ設けられ、また昇降路10の天井に固定されて吊下げられた安全用ワイヤーロープ5が内部を貫通するように設けられており、ゴンドラ本体1が何らかの理由で落下する状況になった際には、その異常な降下速度を検出して安全用ワイヤーロープ5を把持することによりゴンドラ本体1を停止させるようになっている。
【0014】
安全用ワイヤーロープ5は、ゴンドラ本体1の昇降に対応して安全装置本体4の内部を何ら拘束されずに通過する必要があるため、安全用ワイヤーロープ5の下部には昇降路10の床面より浮き上がった位置に重り16が取り付けられ、安全用ワイヤーロープ5が重り16の重みによって鉛直方向に沿って直線性を保持するようにしている。
【0015】
図3は重り16を示す斜視図、図4(a)ないし(d)は重りを構成する部品を示す斜視図である。図3及び図4において、重り16は、図4(a)に示す第1の板材17、図4(b)に示す第2の板材18、図4(c)に示す第3の板材19を積み重ねて構成されている。第1の板材17は、周縁部の1ヶ所から中央部に向かって切り欠き17aが形成され、また2個の連結用孔17bが片側に寄せて、かつ間隔をおいて形成されている。第2の板材18は、第1の板材17のおよそ半分の大きさで構成され、連結用孔17bと同じ位置に連結用孔18bが形成されている。第3の板材19は、第1の板材17の切り欠き17aとは180度反対側の位置に周縁部の1ヶ所から中央部に向かって延びる切り欠き19aが形成されており、また連結孔17aと同じ位置に連結孔19bが形成されている。この板材19には更に切り欠き19aの両側に外れ止め用のネジ穴19cが形成されている。
【0016】
これら第1ないし第3の板材17ないし19を所定枚数積み重ねて重り16が構成されている。図3に示す実施の形態では、第1の板材17を4枚積み重ね、その上に第2の板材18を2枚積み重ね、更にその上に第3の板材19を4枚積み重ねて各板材17ないし19の連結用孔を通してボルト、ナット、ワッシャなどの連結具20により連結して一体化し重り16が構成されている。
【0017】
これにより、第1の板材17の切り欠き17aと、およそ半分の大きさの第2の板材18が介在することによって形成される板材17,19間の空間と、第3の板材19の切り欠き19aとによって、重り16には中央部に安全用ワイヤーロープが上下方向に沿って貫通する貫通孔が形成され、更に安全用ワイヤーロープが重り16の側面から中央部に向けて挿通でき、90度向きを変えることによって貫通孔に導入可能な挿通用切り欠き16aが形成されることになる。
【0018】
なお、最上部の板材19には外れ止め用ネジ穴にボルト22により外れ止め21が取り付けられる。この外れ止め21は、安全用ワイヤーロープが重り16の中央部に形成される貫通孔に導入された後に重り16から外れないようにするために設けられるもので、図4(d)に示すように、短冊状の板材の一端部にボルト22の軸に挿通される切り欠き21aが形成され、他端部に回転支点となるボルト22が挿入されるボルト孔21bが形成されている。この外れ止め21は、ボルト22の緩みによる外れが生じないようにするために、切り欠き21aの位置を図示の場合の180度反対側に設けたり、あるいは折曲げワッシャを介在させたりすることもできる。
【0019】
図5は、本実施の形態で使用する重り16の取り付け手順を示す工程図である。吊下げられた安全用ワイヤーロープ5の重り取り付け位置(昇降路床面から少し浮き上がった位置)にクリップ23を取り付け固定する。このクリップ23より上方の安全用ワイヤーロープ5の途中位置において、側面から切り欠き16aを利用して重り16を嵌め込み、さらに90度回転させて中央部の貫通孔に安全用ワイヤーロープ5が位置するように取り付ける。次いで重り16に外れ止め21を取り付け、クリップ23上に重り16を載置する。
【0020】
このようにすれば、重り16は、昇降路10の上部から吊下げられた安全用ワイヤーロープ5に対して、重り16が有する挿通用切り欠き16aを通して安全用ワイヤーロープ5の途中位置から挿入して取り付けることができる。これにより安全用ワイヤーロープ5の整理された状態を解いて先端から挿入する作業に比べて作業性を向上することができる。
【0021】
しかも重り16は、複数枚の板材17および19に形成された切り欠きまたは異なる形状の板材18を組合せて積み重ねることにより挿通用切り欠き16aが構成できるので、重りを加工する必要がなく容易に挿通用切り欠き16aを形成することができる。
【0022】
また重り16は、複数枚の板材17ないし19の枚数を増減することにより重量調整が可能であり、例えば安全用ワイヤーロープ5の吊り長さに応じて重り16の重量を変えることができる。
【0023】
図6は本発明によるゴンドラの安全装置に使用する重りの第2実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態が第1実施の形態と異なる点は、重り16の上部にクリップ24を設けたところにある。クリップ24は、U字状の基部24aと先端部に凹部を有する挟持片24bとを備えている。基部24aは、両端部にネジ部を設けた棒材をU字状に折曲げ、かつ両端部を上方に浮かせて重り16の貫通孔を取り囲むように配置して最上面の板材19に溶接して取り付けられ、挟持片24bは、重り16に安全用ワイヤーロープの挿通後、基部24aの両端部に挿入されて取り付けられ、挟持片24bの外側からナット24cが螺合されて締め付けられることにより、基部24aと挟持片24bとで安全用ワイヤーロープを挟みつけて重り16を安全用ワイヤーロープに固定するように構成したものである。
【0024】
このように安全用ワイヤーロープに重り16を固定するクリップ24を重り16の上部に設けることにより、重り16を安全用ワイヤーロープに取り付ける作業と同時に固定する作業も容易に行なうことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゴンドラの安全装置によれば、安全用ワイヤーロープの下方に設けられる重りを、中央部に安全用ワイヤーロープが上下方向に沿って貫通する貫通孔を有すると共に、側面から中央部に向けて安全用ワイヤーロープが挿通できて貫通孔に導入可能な挿通用切り欠きを有するように構成したことにより、重りが有する挿通用切り欠きを通して安全用ワイヤーロープの途中位置から挿入して取り付けることができるので、安全用ワイヤーロープの整理された状態を解いて先端から挿入する作業に比べて作業性を向上することができる。さらに安全用ロープに対する負荷も低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るゴンドラの安全装置を示す正面図である。
【図2】図1のA部を一部省略し拡大して示す正面図である。
【図3】第1実施の形態で使用される重りを示す斜視図である。
【図4】(a)ないし(d)は第1実施の形態で使用される重りの部品を示す斜視図である。
【図5】第1実施の形態で使用される重りを安全用ワイヤーロープに取り付ける手順を示す工程図である。
【図6】本発明の第2実施形態で使用される重りを示す斜視図である。
【図7】従来のゴンドラの安全装置を示す正面図である。
【符号の説明】
1…ゴンドラ本体
1a…保護柵
2…牽引用ワインダー
3…牽引用ワイヤーロープ
4…安全装置本体
5…安全用ワイヤーロープ5
6,16…重り
10…昇降路
16a…挿通用切り欠き
17、18,19…板材
17a,19a…切り欠き
17b,18b,19b…連結用孔
19c…ネジ穴
20…連結具
21…外れ止め
21a…切り欠き
21b…ボルト孔
22…ボルト
23,24…クリップ
24a…基部
24b…挟持片
24c…ナット
Claims (4)
- 昇降路の上部から吊下げられた安全用ワイヤーロープと、前記昇降路内を昇降するゴンドラ本体に設けられ、当該ゴンドラ本体が異常な速度で降下した際に、その内部を貫通して設けられた前記安全用ワイヤーロープを把持することにより当該ゴンドラ本体を停止させる安全装置本体と、前記安全用ワイヤーロープの下方に当該ワイヤーロープの直線性を保持するように設けられた重りとを備え、前記重りは、中央部に前記安全用ワイヤーロープが上下方向に沿って貫通する貫通孔を有すると共に、側面から中央部に向けて前記安全用ワイヤーロープが挿通できて前記貫通孔に導入可能な挿通用切り欠きを有していることを特徴とするゴンドラの安全装置。
- 前記重りは、複数枚の板材を積み重ねて構成され、当該板材に形成された切り欠きまたは異なる形状の板材の組合せにより前記挿通用切り欠きが構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴンドラの安全装置。
- 前記重りは複数枚の板材の枚数を増減することにより重量調整が可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴンドラの安全装置。
- 前記重りの上部に当該重りを前記安全用ワイヤーロープに固定するクリップが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のゴンドラの安全装置。
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