JP2004123137A - 紙製容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば水と切り花を収容して輸送することができる上、そのまま展示することもでき、さらに不要となった場合には、焼却処分したり、容易にリサイクルすることができる紙製容器を提供する。
【解決手段】液体及び収容物を収容するための紙製の容器において、該容器が少なくとも前記液体及び収容物を収容する本体1を具備しており、該本体が、少なくとも底面と、該底面に連結した側面とを有する段ボール製のものであって、本体の展開形状の段ボールにおける前記底面の部分と前記側面の所定の高さまでの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙2を、前記樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けてから組み立てられたものであることを特徴とする紙製容器。
【選択図】 図1
【解決手段】液体及び収容物を収容するための紙製の容器において、該容器が少なくとも前記液体及び収容物を収容する本体1を具備しており、該本体が、少なくとも底面と、該底面に連結した側面とを有する段ボール製のものであって、本体の展開形状の段ボールにおける前記底面の部分と前記側面の所定の高さまでの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙2を、前記樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けてから組み立てられたものであることを特徴とする紙製容器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水等の液体と切り花等の収容物を入れても液漏れせずに輸送することができるとともに、収容物の展示にも適した紙製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、切り花を輸送する際、切り花を収容する容器としてポリプロピレン(PP)射出成型等により製造したプラスチック製の容器が使われている。プラスチック製の容器は、耐久性、耐水性等があり、繰り返し使用することができるという点で切り花の輸送に適している。また、近年では、切り花をプラスチック容器に入れて蓋をし、花屋等に輸送した後、蓋等を取り外して容器に入れたまま展示することができるようにデザインされたものも提案されている。
しかしながら、プラスチック容器は、破損するなどして不要となった場合に廃棄処分するとなると、近年急激に増大して問題となっているプラスチックゴミとして残る点で特に問題がある。
【0003】
このような廃棄処分の問題を解決するものとして、近年、耐水性を付与した紙製の容器が提案されている。
具体的には、カゼイン、ゼラチン等の水溶性樹脂でコートした段ボール原紙や厚紙を、樹脂コートを施した面が容器の内側になるように組み立てた紙製容器が提案されている(例えば、特開2001−348029号公報参照。)。
このような紙製容器は、水漏れが生じることがなく、製造コストも低く、またプラスチック製の容器に比べ軽量であるという利点がある。そして、容器が不要となった場合には、焼却処分することができるほか、水溶性樹脂コートは水等によって分解することができるので分別せずに容易にリサイクルすることができるという利点もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−348029号公報(第4頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような紙製容器を用いて切り花を輸送する際には、比較的丈夫な段ボール製のケースと組み合わせて使用されている。すなわち、紙製容器に切り花を収容した後、さらにこれを収容することができる段ボール製の比較的丈夫な外ケースに入れて輸送中に花を傷めないようにする必要があった。また、切り花を花屋等に輸送した後、店頭で展示するには、上記紙製容器は定形性が不十分であり、そのまま展示することができないという問題があった。そのため、紙製容器から展示用の容器に移し替える必要があり、作業者の負担となるし、別途容器を準備する必要があった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するべく、本発明では、例えば水と切り花を収容して輸送することができる上、そのまま展示することもでき、さらに不要となった場合には、焼却処分したり、容易にリサイクルすることができる紙製容器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、液体及び収容物を収容するための紙製の容器において、該容器が少なくとも前記液体及び収容物を収容する本体を具備しており、該本体が、少なくとも底面と、該底面に連結した側面とを有する段ボール製のものであって、本体の展開形状の段ボールにおける前記底面の部分と前記側面の所定の高さまでの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙を、前記樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けてから組み立てられたものであることを特徴とする紙製容器が提供される。
【0008】
このような紙製容器であれば、本体が段ボール製であるので定形性に優れる上、水溶性樹脂コートが施された紙が貼られた底面と側面の所定の高さまでは耐水性に優れたものとなる。従って、この紙製容器の中に例えば水と切り花を収容して花屋等まで輸送した後、そのまま、即店頭で展示することができる。また、容器全体が紙から構成されているので、不要となった場合には、焼却処分することができるほか、再生紙として容易にリサイクルすることもできる。
なお、所定の高さとは、目的に応じ収容する液体量が変わることから、この液体が本体側面の内面と接触し得る高さまで水溶性樹脂コートが施された紙を貼るようにする。
【0009】
この場合、前記水溶性樹脂コートが施された紙が、水溶性接着剤で前記本体の段ボールに貼り付けられていることが好ましい。
このように水溶性樹脂コートが施された紙の貼り付けに水溶性接着剤を使用したものであれば、リサイクルする際、水溶性接着剤を水で溶かすことができるので、リサイクル性により優れたものとなる。
【0010】
前記水溶性樹脂コートが施された紙が、段ボール原紙または厚紙であることが好ましい。
段ボール原紙及び厚紙は比較的強度に優れているため、これに水溶性樹脂コートを施したものであれば、切り花等を収容したときに傷がついてしまうのを効果的に防ぐことができる。
【0011】
前記本体は、下方に縮小又は拡大するテーパ形状を有するものとしても良い。
紙製容器の本体が下方に縮小するテーパ形状を有していれば、使用しないときには本体を積み重ねることができ、場所を取らない。一方、下方に拡大するテーパ形状を有していれば、安定性が増したものとなる。
【0012】
また、本体の側面に、取っ手用の孔が形成されているものとしても良い。
このように取っ手用の孔が形成されていれば、手で持ち運ぶ際に極めて便利である。
【0013】
本体の外面に耐水コートが施されているものとしても良い。
本体の外面に耐水コートが施されていれば、例えば花を収容して展示している間、花に水をあげるときに本体の外面が水に濡れたとしても、強度の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、本体の展開形状の段ボールにおける前記側面の上縁部分に係止部が切り込み形成されており、該係止部を係止することにより前記本体が組み立てられているものとすることが好ましい。
このように紙製容器の本体が、上縁部分に形成された係止部を係止して組み立てられていれば、接着剤や粘着テープ、あるいはステープル等の封緘資材を使用せずに容易に組み立てることができ、また、リサイクル性により優れたものとなる。
【0015】
さらに、本発明の紙製容器は、段ボール製のスペーサをさらに具備し、該スペーサは、少なくとも側面と、該側面に連結した蓋面とを有するものであって、前記本体の上部に取り付けられるものとすることもできる。
このような段ボール製のスペーサをさらに具備していれば、例えば切り花を輸送する際、花を傷めずに輸送することができ、また、スペーサも紙製であるので本体と一緒にリサイクルすることもできる。さらに、スペーサ自体も折り畳みが可能となり、スペーサのみの運搬も効率的に行うことができる。
【0016】
この場合、スペーサの側面の下縁に係止部が形成されており、該係止部が前記容器本体の上縁に係止して取り付けられるものであることが好ましい。
このようにスペーサの下縁を容器本体の上縁に係止して取り付けるものとすれば、輸送中にスペーサが外れてしまうのを効果的に防ぐことができるとともに、別途連結具を使用する必要もなくなる。
【0017】
さらにこの場合、前記スペーサの下縁の係止部が、前記本体を組み立てるために形成された上縁部分の係止部に係止されるものとすることが好ましい。
このようにスペーサが、本体を組み立てるために形成された上縁部分の係止部に係止されて取り付けられるものであれば、容器本体にスペーサを取り付けるための係止部をわざわざ設けなくても、スペーサを容器本体に簡単に取り付けることができる。
【0018】
また、スペーサの側面に、取っ手用の孔と通気用の孔のうちの少なくとも一方が形成されていることが好ましい。
スペーサに取っ手用の孔が形成されていれば持ち運びが容易であり、一方、通気用の孔が形成されていれば、例えば切り花を収容して保冷コンテナ等で輸送する場合、冷気を容器内に入れることが可能となり、花の鮮度を効果的に保つことができるとともに、中身を見ることができるので便利である。
【0019】
本発明の紙製容器の用途等は特に限定されるものではないが、水と切り花を収容するものとして好適である。
すなわち、本発明の紙製容器は、本体が段ボール製であるので定型性に優れる上、内側の底面と側面の所定の高さまでは耐水性にも優れているので、本体に水と切り花を収容して輸送した後、そのまま展示することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、好適な態様として、本発明の紙製容器に水と切り花を収容する場合について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は本発明に係る紙製容器の本体の一例(バケットタイプ)を示したものであり、図2はその展開形状を示している。
【0021】
この紙製容器の本体1は、図2に示したように底面となる底板3と、底板3に連結した側面となる側板4a,4b,4c,4d及び連結部分5a,5b,5c,5dとを有する一枚の段ボール11において、底面の部分と側面の所定の高さ(側面の高さの半分程度)までの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙2を貼り付けて一体化してから組み立てられている。なお、図2において、側板4cの一部に段ボール11のライナーが剥がされた部分(ハッチング部)が示されているが、これは段ボール11の中芯の方向を便宜的に示したものであり、後述する図4についても同様である。
【0022】
ここで水溶性樹脂コートとは、紙に被覆させた水溶性樹脂の膜や層のことであり、具体的に本発明で使用できる水溶性樹脂としては、例えば、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の天然高分子化合物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロース類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、(メタ)アクリル酸系ポリマー、アクリル−スチレン共重合体等の水溶性アクリル系樹脂、及び水溶性ポリブチラール、ポリビニルアルコール等の水溶性合成高分子化合物が挙げられる。なお、本発明で使用できる水溶性樹脂は上に挙げたものに限定されず、紙に膜状に被覆した際、例えば数日間から数週間、水の漏れを防止する耐水性、防湿性、撥水性等を示すものであれば特に限定されない。
【0023】
このような水溶性樹脂が被覆された、すなわち水溶性樹脂コートが施された紙2は、耐油性、耐水性、防湿性、撥水性等を有するものとなる。なお、水溶性樹脂コートを施す紙2としては、切り花を入れたときに破れたり、傷がつき穴があいてしまうのを防ぐため、比較的丈夫なものが好ましく、段ボール原紙のほか、厚紙を好適に使用することができる。また、貼り付ける紙の大きさについては、用途に応じて適宜決めれば良く、例えば切り花を収容するものとするのであれば容器の側面の高さの3分の1程度あるいは半分の高さまでのものを貼り付ければ良い。但し、目的に応じ、これより低くても良いし、容器本体の内面全体を覆うようなものを貼り付けても良い。すなわち、本体の側面の内面の少なくとも一部の高さまで水溶性樹脂がコートされていれば本発明の範囲内である。
【0024】
水溶性樹脂コートが施された紙2の段ボール11への貼り付けは、各種の天然樹脂系あるいは合成樹脂系の包装用接着剤(粘着剤)を使用することができるが、水溶性のもの、特にデンプン糊等の水溶性接着剤を用いて段ボール11に貼り付ければ、リサイクルする際に水で溶かすことができるという利点がある。
【0025】
次に、容器を組み立てる手順について説明する。図2の展開形状のものから図1の紙製容器本体1を組み立てるには、水溶性樹脂コートが施された面が容器本体1の内側となるように各罫線に沿って折り曲げ、各側板4a,4b,4c,4dと連結部分5a,5b,5c,5dの上縁部分を係止して組み立てる。
例えば、側板4bは、連結部分5a,5bと係止される。側板4bには、二重の罫線9bを挟んで折り返し部10が設けられており、側板4bと折り返し部10には取っ手用の孔6a,6bと、組み立て用の係止部8a,8bがそれぞれ対称的に切り込み形成されている。
また、連結部分5aには、その中央に罫線9aが形成され、上縁には罫線9aを軸として対称的に組み立て用の係止部7a,7bが切り込み形成されている。
そして容器本体を組み立てる際には、連結部分5aを容器本体1の内側となるように罫線9aに沿って2つに折り曲げ、連結部分5aと各側板4a,4bとの間の罫線9も折り曲げる。
【0026】
連結部分5aをこのように折り曲げることで、係止部7a,7bが重なる。さらに罫線9aに沿って2つに折り曲げられた連結部分5aが側板4bと重なるように折り曲げた後、折り返し部10を二重の罫線9bに沿って容器本体1の内側に折り返す。これにより連結部分5aの係止部7a,7bと、側板4bの係止部8aとが重なる。そして、図1に示されるように係止部8aを容器本体1の内側に押し込むことにより、側面(側板4aと連結部分5a)の上縁部分で係止される。他の連結部分5b,5c,5d等も同様にして側板4b,4dと係止することにより、ステープルや粘着テープなどの封緘材料を用いずに、図1のようなバケットタイプの紙製容器本体1を容易に組み立てることができる。
【0027】
なお、本発明の紙製容器は、接着剤等を用いて組み立てるようにしても良いが、上記のように展開形状の1枚の段ボール11の部分を係止して組み立てられるものとすれば、組み立て前に保管スペースを取らず、容器を使用する際に容易に組み立てることができ、また、使用後に解体するのも容易であり、作業性に優れたものとなる。また、接着剤等を使用しないことから、リサイクル性にも優れたものとなる。
また、本発明の紙製容器本体の形状は、例えば直方形状のものであっても良いが、図1のように下方にテーパした形状であれば、重ねて保管しておくことができ、嵩張ることもない。一方、例えば下方に拡大するテーパ形状のものとすれば、切り花を収容したときに安定性が増すという利点がある。
【0028】
図1のように組み立てられた紙製容器本体1の内面は、底面と側面のほぼ半分の高さまで水溶性樹脂コートが施された紙2が貼り付けられたものとなっているので、図6のような容器本体1の中に水33と切り花32を入れても少なくとも一定期間、例えば数日から数週間にわたって水漏れすることがない。また、本体1を構成する段ボール11により、優れた定形性が発揮されるので、水33と切り花32を収容した状態でも安定したものとなる。
【0029】
なお、段ボールのライナーとして水溶性樹脂コートが施された紙を用いて段ボールを製造し、これを図2に示したような展開形状に打ち抜き加工して容器を組み立てることも考えられたが、この場合、段ボールの製造時(コルゲータ時)に擦れが起こり、耐水機能が低下してしまう。また、段ボールそのものに罫線を入れて組み立てる必要があり、この罫線を入れることで水漏れが発生することもある。
一方、本発明のように、展開形状の段ボールに、水溶性樹脂コートが施された紙を、樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けて一体としたものであれば、前記のような擦れが起きず、耐水機能の低下を招くこともない。また、予め段ボールのみに罫線を入れ、樹脂コートが施された紙には罫線を入れずに一体化させることができるので、組み立てには支障がなく、容易に組み立てることができる上、罫線からの水漏れのおそれもない。
【0030】
なお、本体の外面に耐水コートが施されているものとすれば、収容した切り花に水をあげるときに本体の外面に水がかかっても、強度が低下せず、切り花を収容した状態を保つことができる。このような耐水コートは特に限定されないが、例えば、前記した水溶性樹脂コートを外面にも施すことが挙げられる。
【0031】
本発明の紙製容器は、本体1の上部に取り付ける段ボール製のスペーサをさらに具備しても良い。図3は本発明に係るスペーサの一例を示したものであり、図4はその展開形状を示している。このスペーサ21は、側面となる側板12a,12b,12c,12dと、側面に連結し、蓋面となる内フラップ13b,13d及び外フラップ13a,13cとを有している。
このスペーサ21は、図4に示した展開形状の段ボールの糊代14を側板12dに貼り付けて組み立てられており、内フラップ13b,13dを内側に折り曲げた後、外フラップ13aの差込み片15a,15bを、対向する外フラップ13cに形成された差込孔16a,16bに差し込むことで蓋をすることができる。
なお、外フラップ13a,13cには、差し込みを容易にするための罫線22が設けられている。このように蓋と一体化したスペーサ21であれば、蓋とスペーサが別になっているものに比べ、扱い易く、また、製造コストを低く抑えることができる。
【0032】
また、対向する一組の側板12a,12cの下縁にはそれぞれ2箇所で凹形の係止部20a,20bが切り欠き形成されている。2つの係止部20a,20bの間には、スペーサ21を本体1に取り付けたときに本体1の取っ手用の孔6が塞がれないように対応した凹形の切り欠き部20cが形成されている。さらに、各側板12a,12b,12c,12d間の下縁部分には、V字形の切り欠き部19が設けられている。
【0033】
さらに、側板12a,12cには取っ手用の孔17a,17bがそれぞれ切り込み形成されている。取っ手用の孔の下には、指を1本入れることができるほどの半円形の孔18が切り欠き形成されており、この半円形の孔18に指を差し込んでスペーサ21内の花の状態を覗くことができるようになっている。スペーサ21の側面には、取っ手用の孔に代えて、あるいはさらに、通気用の孔を形成させても良し、取っ手用と通気用を兼用するような孔を形成させてもよい。
【0034】
図5は、容器本体1に、取っ手用の孔17aと通気用の孔23を形成したスペーサ31を容器本体1に取り付けた紙製容器41を示している。図5に示されるように、スペーサ31の一組の対向する側板12a,12cの下縁の係止部20a,20bを、本体1を組み立てるために形成された上縁部分の係止部8a,8bに係止するように本体1の内側に差し込み、一方、他の組の対向する側板12b,12dの下縁は本体1の外側に位置するようにはめ込む。これにより、スペーサ31を本体の上部に簡単かつ確実に取り付けることができる。なお、係止手段はこのようなものに限定されないが、スペーサ31の側面の下縁に係止部が形成され、この係止部を容器本体の上縁に係止して取り付けられるものとすることで、スペーサ31を別途連結手段を用いることなく確実に取り付けることができる。
【0035】
そして、切り花を輸送する際、図7に示すように、容器本体1に切り花32と水33を収容した後、スペーサ31を取り付ければ、花を保護することができ、輸送中に揺らされてもスペーサ31が外れるようなこともない。
なお、取っ手や通気孔の形状、数等は図に示したものに限られず、適宜変形あるいは応用することができる。
【0036】
本体1に水と切り花を収容し、スペーサ31を取り付けて花屋等の目的地に輸送した後は、スペーサ31を取り外すことにより、図6に示したようにそのまま展示することができる。このとき、本体1は段ボールに水溶性樹脂コートが施された紙2を貼り付けたものから構成されているので、定形性に優れ、多数の切り花を収容した場合であっても安定して展示することができる。
【0037】
スペーサ31は、繰り返し使用することができ、容器本体1も耐水性等が保たれていれば、再利用することができる。そして、不要となって処分する際には、そのまま焼却処分するか、あるいは、古紙として容易にリサイクルすることもできる。なお、容器本体1の内側に貼りつけられている紙2は、水溶性樹脂が被覆されているが、この水溶性樹脂は、水、あるいは必要に応じて薬品を含む水溶液等により溶解されるので、分別せずに容易にリサイクルすることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0039】
例えば、スペーサの形状や大きさに関しては特に限定されず、円筒形のものであっても良く、その高さは、収容する物、例えば切り花の高さに応じて適宜設定すれば良い。また、スペーサの本体への取り付け方法も特に限定されず、例えば、本体の上縁部分に凹形の切り欠き部、あるいは切り込み部を設け、そこにスペーサの下縁部分を差し込むようにして取り付けるようにしても良い。
そのほか、本体もスペーサも外側面は段ボールであるので、店名、商品名等の情報を印刷するようにしても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明の紙製容器は、本体の展開形状の段ボールに、水溶性樹脂コートが施された紙を一体的に貼り付けてから組み立てられており、本体が段ボール製であるので定形性に優れる上、少なくとも容器本体の内部の底面と側面の所定の高さまでは耐水性に優れたものとなる。従って、この紙製容器の中に、例えば水と切り花を収容して輸送することができる上、花屋の店頭等においてそのまま展示することもできる。また、容器全体がほとんど紙から構成されているので、不要となった場合には、焼却処分することができるほか、再生紙として容易にリサイクルすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙製容器の本体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した紙製容器の展開図である。
【図3】本発明に係る紙製容器のスペーサの一例を示す概略斜視図である。
【図4】図3に示したスペーサの展開図である。
【図5】紙製容器の本体にスペーサを取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図6】紙製容器本体に水と切り花を収容した状態を示す概略図である。
【図7】水と切り花を収容した紙製容器本体にスペーサを取り付けた状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…紙製容器本体、 2…水溶性樹脂コートが施された紙、
3…底面(底板)、 4a,4b,4c,4d…側板、
5a,5b,5c,5d…連結部分、 6,6a,6b…取っ手用の孔、
7a,7b…係止部、 8a,8b…係止部、 9,9a…罫線、
10…折り返し部、 11…段ボール、
12a,12b,12c,12d…側面(側板)、
13a,13c…外フラップ(蓋面)、
13b,13d…内フラップ(蓋面)、 17a,17b…取っ手用の孔、
20a,20b…係止部、 21,31…スペーサ、 23…通気用の孔、
32…切り花、 33…水、 41…紙製容器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水等の液体と切り花等の収容物を入れても液漏れせずに輸送することができるとともに、収容物の展示にも適した紙製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、切り花を輸送する際、切り花を収容する容器としてポリプロピレン(PP)射出成型等により製造したプラスチック製の容器が使われている。プラスチック製の容器は、耐久性、耐水性等があり、繰り返し使用することができるという点で切り花の輸送に適している。また、近年では、切り花をプラスチック容器に入れて蓋をし、花屋等に輸送した後、蓋等を取り外して容器に入れたまま展示することができるようにデザインされたものも提案されている。
しかしながら、プラスチック容器は、破損するなどして不要となった場合に廃棄処分するとなると、近年急激に増大して問題となっているプラスチックゴミとして残る点で特に問題がある。
【0003】
このような廃棄処分の問題を解決するものとして、近年、耐水性を付与した紙製の容器が提案されている。
具体的には、カゼイン、ゼラチン等の水溶性樹脂でコートした段ボール原紙や厚紙を、樹脂コートを施した面が容器の内側になるように組み立てた紙製容器が提案されている(例えば、特開2001−348029号公報参照。)。
このような紙製容器は、水漏れが生じることがなく、製造コストも低く、またプラスチック製の容器に比べ軽量であるという利点がある。そして、容器が不要となった場合には、焼却処分することができるほか、水溶性樹脂コートは水等によって分解することができるので分別せずに容易にリサイクルすることができるという利点もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−348029号公報(第4頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような紙製容器を用いて切り花を輸送する際には、比較的丈夫な段ボール製のケースと組み合わせて使用されている。すなわち、紙製容器に切り花を収容した後、さらにこれを収容することができる段ボール製の比較的丈夫な外ケースに入れて輸送中に花を傷めないようにする必要があった。また、切り花を花屋等に輸送した後、店頭で展示するには、上記紙製容器は定形性が不十分であり、そのまま展示することができないという問題があった。そのため、紙製容器から展示用の容器に移し替える必要があり、作業者の負担となるし、別途容器を準備する必要があった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するべく、本発明では、例えば水と切り花を収容して輸送することができる上、そのまま展示することもでき、さらに不要となった場合には、焼却処分したり、容易にリサイクルすることができる紙製容器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、液体及び収容物を収容するための紙製の容器において、該容器が少なくとも前記液体及び収容物を収容する本体を具備しており、該本体が、少なくとも底面と、該底面に連結した側面とを有する段ボール製のものであって、本体の展開形状の段ボールにおける前記底面の部分と前記側面の所定の高さまでの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙を、前記樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けてから組み立てられたものであることを特徴とする紙製容器が提供される。
【0008】
このような紙製容器であれば、本体が段ボール製であるので定形性に優れる上、水溶性樹脂コートが施された紙が貼られた底面と側面の所定の高さまでは耐水性に優れたものとなる。従って、この紙製容器の中に例えば水と切り花を収容して花屋等まで輸送した後、そのまま、即店頭で展示することができる。また、容器全体が紙から構成されているので、不要となった場合には、焼却処分することができるほか、再生紙として容易にリサイクルすることもできる。
なお、所定の高さとは、目的に応じ収容する液体量が変わることから、この液体が本体側面の内面と接触し得る高さまで水溶性樹脂コートが施された紙を貼るようにする。
【0009】
この場合、前記水溶性樹脂コートが施された紙が、水溶性接着剤で前記本体の段ボールに貼り付けられていることが好ましい。
このように水溶性樹脂コートが施された紙の貼り付けに水溶性接着剤を使用したものであれば、リサイクルする際、水溶性接着剤を水で溶かすことができるので、リサイクル性により優れたものとなる。
【0010】
前記水溶性樹脂コートが施された紙が、段ボール原紙または厚紙であることが好ましい。
段ボール原紙及び厚紙は比較的強度に優れているため、これに水溶性樹脂コートを施したものであれば、切り花等を収容したときに傷がついてしまうのを効果的に防ぐことができる。
【0011】
前記本体は、下方に縮小又は拡大するテーパ形状を有するものとしても良い。
紙製容器の本体が下方に縮小するテーパ形状を有していれば、使用しないときには本体を積み重ねることができ、場所を取らない。一方、下方に拡大するテーパ形状を有していれば、安定性が増したものとなる。
【0012】
また、本体の側面に、取っ手用の孔が形成されているものとしても良い。
このように取っ手用の孔が形成されていれば、手で持ち運ぶ際に極めて便利である。
【0013】
本体の外面に耐水コートが施されているものとしても良い。
本体の外面に耐水コートが施されていれば、例えば花を収容して展示している間、花に水をあげるときに本体の外面が水に濡れたとしても、強度の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、本体の展開形状の段ボールにおける前記側面の上縁部分に係止部が切り込み形成されており、該係止部を係止することにより前記本体が組み立てられているものとすることが好ましい。
このように紙製容器の本体が、上縁部分に形成された係止部を係止して組み立てられていれば、接着剤や粘着テープ、あるいはステープル等の封緘資材を使用せずに容易に組み立てることができ、また、リサイクル性により優れたものとなる。
【0015】
さらに、本発明の紙製容器は、段ボール製のスペーサをさらに具備し、該スペーサは、少なくとも側面と、該側面に連結した蓋面とを有するものであって、前記本体の上部に取り付けられるものとすることもできる。
このような段ボール製のスペーサをさらに具備していれば、例えば切り花を輸送する際、花を傷めずに輸送することができ、また、スペーサも紙製であるので本体と一緒にリサイクルすることもできる。さらに、スペーサ自体も折り畳みが可能となり、スペーサのみの運搬も効率的に行うことができる。
【0016】
この場合、スペーサの側面の下縁に係止部が形成されており、該係止部が前記容器本体の上縁に係止して取り付けられるものであることが好ましい。
このようにスペーサの下縁を容器本体の上縁に係止して取り付けるものとすれば、輸送中にスペーサが外れてしまうのを効果的に防ぐことができるとともに、別途連結具を使用する必要もなくなる。
【0017】
さらにこの場合、前記スペーサの下縁の係止部が、前記本体を組み立てるために形成された上縁部分の係止部に係止されるものとすることが好ましい。
このようにスペーサが、本体を組み立てるために形成された上縁部分の係止部に係止されて取り付けられるものであれば、容器本体にスペーサを取り付けるための係止部をわざわざ設けなくても、スペーサを容器本体に簡単に取り付けることができる。
【0018】
また、スペーサの側面に、取っ手用の孔と通気用の孔のうちの少なくとも一方が形成されていることが好ましい。
スペーサに取っ手用の孔が形成されていれば持ち運びが容易であり、一方、通気用の孔が形成されていれば、例えば切り花を収容して保冷コンテナ等で輸送する場合、冷気を容器内に入れることが可能となり、花の鮮度を効果的に保つことができるとともに、中身を見ることができるので便利である。
【0019】
本発明の紙製容器の用途等は特に限定されるものではないが、水と切り花を収容するものとして好適である。
すなわち、本発明の紙製容器は、本体が段ボール製であるので定型性に優れる上、内側の底面と側面の所定の高さまでは耐水性にも優れているので、本体に水と切り花を収容して輸送した後、そのまま展示することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、好適な態様として、本発明の紙製容器に水と切り花を収容する場合について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は本発明に係る紙製容器の本体の一例(バケットタイプ)を示したものであり、図2はその展開形状を示している。
【0021】
この紙製容器の本体1は、図2に示したように底面となる底板3と、底板3に連結した側面となる側板4a,4b,4c,4d及び連結部分5a,5b,5c,5dとを有する一枚の段ボール11において、底面の部分と側面の所定の高さ(側面の高さの半分程度)までの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙2を貼り付けて一体化してから組み立てられている。なお、図2において、側板4cの一部に段ボール11のライナーが剥がされた部分(ハッチング部)が示されているが、これは段ボール11の中芯の方向を便宜的に示したものであり、後述する図4についても同様である。
【0022】
ここで水溶性樹脂コートとは、紙に被覆させた水溶性樹脂の膜や層のことであり、具体的に本発明で使用できる水溶性樹脂としては、例えば、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の天然高分子化合物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロース類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、(メタ)アクリル酸系ポリマー、アクリル−スチレン共重合体等の水溶性アクリル系樹脂、及び水溶性ポリブチラール、ポリビニルアルコール等の水溶性合成高分子化合物が挙げられる。なお、本発明で使用できる水溶性樹脂は上に挙げたものに限定されず、紙に膜状に被覆した際、例えば数日間から数週間、水の漏れを防止する耐水性、防湿性、撥水性等を示すものであれば特に限定されない。
【0023】
このような水溶性樹脂が被覆された、すなわち水溶性樹脂コートが施された紙2は、耐油性、耐水性、防湿性、撥水性等を有するものとなる。なお、水溶性樹脂コートを施す紙2としては、切り花を入れたときに破れたり、傷がつき穴があいてしまうのを防ぐため、比較的丈夫なものが好ましく、段ボール原紙のほか、厚紙を好適に使用することができる。また、貼り付ける紙の大きさについては、用途に応じて適宜決めれば良く、例えば切り花を収容するものとするのであれば容器の側面の高さの3分の1程度あるいは半分の高さまでのものを貼り付ければ良い。但し、目的に応じ、これより低くても良いし、容器本体の内面全体を覆うようなものを貼り付けても良い。すなわち、本体の側面の内面の少なくとも一部の高さまで水溶性樹脂がコートされていれば本発明の範囲内である。
【0024】
水溶性樹脂コートが施された紙2の段ボール11への貼り付けは、各種の天然樹脂系あるいは合成樹脂系の包装用接着剤(粘着剤)を使用することができるが、水溶性のもの、特にデンプン糊等の水溶性接着剤を用いて段ボール11に貼り付ければ、リサイクルする際に水で溶かすことができるという利点がある。
【0025】
次に、容器を組み立てる手順について説明する。図2の展開形状のものから図1の紙製容器本体1を組み立てるには、水溶性樹脂コートが施された面が容器本体1の内側となるように各罫線に沿って折り曲げ、各側板4a,4b,4c,4dと連結部分5a,5b,5c,5dの上縁部分を係止して組み立てる。
例えば、側板4bは、連結部分5a,5bと係止される。側板4bには、二重の罫線9bを挟んで折り返し部10が設けられており、側板4bと折り返し部10には取っ手用の孔6a,6bと、組み立て用の係止部8a,8bがそれぞれ対称的に切り込み形成されている。
また、連結部分5aには、その中央に罫線9aが形成され、上縁には罫線9aを軸として対称的に組み立て用の係止部7a,7bが切り込み形成されている。
そして容器本体を組み立てる際には、連結部分5aを容器本体1の内側となるように罫線9aに沿って2つに折り曲げ、連結部分5aと各側板4a,4bとの間の罫線9も折り曲げる。
【0026】
連結部分5aをこのように折り曲げることで、係止部7a,7bが重なる。さらに罫線9aに沿って2つに折り曲げられた連結部分5aが側板4bと重なるように折り曲げた後、折り返し部10を二重の罫線9bに沿って容器本体1の内側に折り返す。これにより連結部分5aの係止部7a,7bと、側板4bの係止部8aとが重なる。そして、図1に示されるように係止部8aを容器本体1の内側に押し込むことにより、側面(側板4aと連結部分5a)の上縁部分で係止される。他の連結部分5b,5c,5d等も同様にして側板4b,4dと係止することにより、ステープルや粘着テープなどの封緘材料を用いずに、図1のようなバケットタイプの紙製容器本体1を容易に組み立てることができる。
【0027】
なお、本発明の紙製容器は、接着剤等を用いて組み立てるようにしても良いが、上記のように展開形状の1枚の段ボール11の部分を係止して組み立てられるものとすれば、組み立て前に保管スペースを取らず、容器を使用する際に容易に組み立てることができ、また、使用後に解体するのも容易であり、作業性に優れたものとなる。また、接着剤等を使用しないことから、リサイクル性にも優れたものとなる。
また、本発明の紙製容器本体の形状は、例えば直方形状のものであっても良いが、図1のように下方にテーパした形状であれば、重ねて保管しておくことができ、嵩張ることもない。一方、例えば下方に拡大するテーパ形状のものとすれば、切り花を収容したときに安定性が増すという利点がある。
【0028】
図1のように組み立てられた紙製容器本体1の内面は、底面と側面のほぼ半分の高さまで水溶性樹脂コートが施された紙2が貼り付けられたものとなっているので、図6のような容器本体1の中に水33と切り花32を入れても少なくとも一定期間、例えば数日から数週間にわたって水漏れすることがない。また、本体1を構成する段ボール11により、優れた定形性が発揮されるので、水33と切り花32を収容した状態でも安定したものとなる。
【0029】
なお、段ボールのライナーとして水溶性樹脂コートが施された紙を用いて段ボールを製造し、これを図2に示したような展開形状に打ち抜き加工して容器を組み立てることも考えられたが、この場合、段ボールの製造時(コルゲータ時)に擦れが起こり、耐水機能が低下してしまう。また、段ボールそのものに罫線を入れて組み立てる必要があり、この罫線を入れることで水漏れが発生することもある。
一方、本発明のように、展開形状の段ボールに、水溶性樹脂コートが施された紙を、樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けて一体としたものであれば、前記のような擦れが起きず、耐水機能の低下を招くこともない。また、予め段ボールのみに罫線を入れ、樹脂コートが施された紙には罫線を入れずに一体化させることができるので、組み立てには支障がなく、容易に組み立てることができる上、罫線からの水漏れのおそれもない。
【0030】
なお、本体の外面に耐水コートが施されているものとすれば、収容した切り花に水をあげるときに本体の外面に水がかかっても、強度が低下せず、切り花を収容した状態を保つことができる。このような耐水コートは特に限定されないが、例えば、前記した水溶性樹脂コートを外面にも施すことが挙げられる。
【0031】
本発明の紙製容器は、本体1の上部に取り付ける段ボール製のスペーサをさらに具備しても良い。図3は本発明に係るスペーサの一例を示したものであり、図4はその展開形状を示している。このスペーサ21は、側面となる側板12a,12b,12c,12dと、側面に連結し、蓋面となる内フラップ13b,13d及び外フラップ13a,13cとを有している。
このスペーサ21は、図4に示した展開形状の段ボールの糊代14を側板12dに貼り付けて組み立てられており、内フラップ13b,13dを内側に折り曲げた後、外フラップ13aの差込み片15a,15bを、対向する外フラップ13cに形成された差込孔16a,16bに差し込むことで蓋をすることができる。
なお、外フラップ13a,13cには、差し込みを容易にするための罫線22が設けられている。このように蓋と一体化したスペーサ21であれば、蓋とスペーサが別になっているものに比べ、扱い易く、また、製造コストを低く抑えることができる。
【0032】
また、対向する一組の側板12a,12cの下縁にはそれぞれ2箇所で凹形の係止部20a,20bが切り欠き形成されている。2つの係止部20a,20bの間には、スペーサ21を本体1に取り付けたときに本体1の取っ手用の孔6が塞がれないように対応した凹形の切り欠き部20cが形成されている。さらに、各側板12a,12b,12c,12d間の下縁部分には、V字形の切り欠き部19が設けられている。
【0033】
さらに、側板12a,12cには取っ手用の孔17a,17bがそれぞれ切り込み形成されている。取っ手用の孔の下には、指を1本入れることができるほどの半円形の孔18が切り欠き形成されており、この半円形の孔18に指を差し込んでスペーサ21内の花の状態を覗くことができるようになっている。スペーサ21の側面には、取っ手用の孔に代えて、あるいはさらに、通気用の孔を形成させても良し、取っ手用と通気用を兼用するような孔を形成させてもよい。
【0034】
図5は、容器本体1に、取っ手用の孔17aと通気用の孔23を形成したスペーサ31を容器本体1に取り付けた紙製容器41を示している。図5に示されるように、スペーサ31の一組の対向する側板12a,12cの下縁の係止部20a,20bを、本体1を組み立てるために形成された上縁部分の係止部8a,8bに係止するように本体1の内側に差し込み、一方、他の組の対向する側板12b,12dの下縁は本体1の外側に位置するようにはめ込む。これにより、スペーサ31を本体の上部に簡単かつ確実に取り付けることができる。なお、係止手段はこのようなものに限定されないが、スペーサ31の側面の下縁に係止部が形成され、この係止部を容器本体の上縁に係止して取り付けられるものとすることで、スペーサ31を別途連結手段を用いることなく確実に取り付けることができる。
【0035】
そして、切り花を輸送する際、図7に示すように、容器本体1に切り花32と水33を収容した後、スペーサ31を取り付ければ、花を保護することができ、輸送中に揺らされてもスペーサ31が外れるようなこともない。
なお、取っ手や通気孔の形状、数等は図に示したものに限られず、適宜変形あるいは応用することができる。
【0036】
本体1に水と切り花を収容し、スペーサ31を取り付けて花屋等の目的地に輸送した後は、スペーサ31を取り外すことにより、図6に示したようにそのまま展示することができる。このとき、本体1は段ボールに水溶性樹脂コートが施された紙2を貼り付けたものから構成されているので、定形性に優れ、多数の切り花を収容した場合であっても安定して展示することができる。
【0037】
スペーサ31は、繰り返し使用することができ、容器本体1も耐水性等が保たれていれば、再利用することができる。そして、不要となって処分する際には、そのまま焼却処分するか、あるいは、古紙として容易にリサイクルすることもできる。なお、容器本体1の内側に貼りつけられている紙2は、水溶性樹脂が被覆されているが、この水溶性樹脂は、水、あるいは必要に応じて薬品を含む水溶液等により溶解されるので、分別せずに容易にリサイクルすることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0039】
例えば、スペーサの形状や大きさに関しては特に限定されず、円筒形のものであっても良く、その高さは、収容する物、例えば切り花の高さに応じて適宜設定すれば良い。また、スペーサの本体への取り付け方法も特に限定されず、例えば、本体の上縁部分に凹形の切り欠き部、あるいは切り込み部を設け、そこにスペーサの下縁部分を差し込むようにして取り付けるようにしても良い。
そのほか、本体もスペーサも外側面は段ボールであるので、店名、商品名等の情報を印刷するようにしても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明の紙製容器は、本体の展開形状の段ボールに、水溶性樹脂コートが施された紙を一体的に貼り付けてから組み立てられており、本体が段ボール製であるので定形性に優れる上、少なくとも容器本体の内部の底面と側面の所定の高さまでは耐水性に優れたものとなる。従って、この紙製容器の中に、例えば水と切り花を収容して輸送することができる上、花屋の店頭等においてそのまま展示することもできる。また、容器全体がほとんど紙から構成されているので、不要となった場合には、焼却処分することができるほか、再生紙として容易にリサイクルすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙製容器の本体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した紙製容器の展開図である。
【図3】本発明に係る紙製容器のスペーサの一例を示す概略斜視図である。
【図4】図3に示したスペーサの展開図である。
【図5】紙製容器の本体にスペーサを取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図6】紙製容器本体に水と切り花を収容した状態を示す概略図である。
【図7】水と切り花を収容した紙製容器本体にスペーサを取り付けた状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…紙製容器本体、 2…水溶性樹脂コートが施された紙、
3…底面(底板)、 4a,4b,4c,4d…側板、
5a,5b,5c,5d…連結部分、 6,6a,6b…取っ手用の孔、
7a,7b…係止部、 8a,8b…係止部、 9,9a…罫線、
10…折り返し部、 11…段ボール、
12a,12b,12c,12d…側面(側板)、
13a,13c…外フラップ(蓋面)、
13b,13d…内フラップ(蓋面)、 17a,17b…取っ手用の孔、
20a,20b…係止部、 21,31…スペーサ、 23…通気用の孔、
32…切り花、 33…水、 41…紙製容器。
Claims (12)
- 液体及び収容物を収容するための紙製の容器において、該容器が少なくとも前記液体及び収容物を収容する本体を具備しており、該本体が、少なくとも底面と、該底面に連結した側面とを有する段ボール製のものであって、本体の展開形状の段ボールにおける前記底面の部分と前記側面の所定の高さまでの部分に、水溶性樹脂コートが施された紙を、前記樹脂コートが施された面が内側となるように貼り付けてから組み立てられたものであることを特徴とする紙製容器。
- 前記水溶性樹脂コートが施された紙が、水溶性接着剤で前記本体の段ボールに貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
- 前記水溶性樹脂コートが施された紙が、段ボール原紙または厚紙であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙製容器。
- 前記本体が、下方に縮小又は拡大するテーパ形状を有するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記本体の側面に、取っ手用の孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記本体の外面に耐水コートが施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記本体の展開形状の段ボールにおける前記側面の上縁部分に係止部が切り込み形成されており、該係止部を係止することにより前記本体が組み立てられているものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記容器が、段ボール製のスペーサをさらに具備し、該スペーサは、少なくとも側面と、該側面に連結した蓋面とを有するものであって、前記本体の上部に取り付けられるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記スペーサの側面の下縁に係止部が形成されており、該係止部を前記容器本体の上縁に係止して取り付けられるものであることを特徴とする請求項8に記載の紙製容器。
- 前記スペーサの下縁の係止部が、前記本体を組み立てるために形成された上縁部分の係止部に係止されるものであることを特徴とする請求項9に記載の紙製容器。
- 前記スペーサの側面に、取っ手用の孔と通気用の孔のうちの少なくとも一方が形成されていることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の紙製容器。
- 前記紙製容器は、前記液体として水を収容し、前記収容物として切り花を収容するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の紙製容器。
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- 2002-09-30 JP JP2002287732A patent/JP2004123137A/ja active Pending
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