JP2004122767A - 容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムおよび容器ならびに容器の成形方法 - Google Patents

容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムおよび容器ならびに容器の成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
 成形性に優れるだけでなく、成形後の容器において耐熱性、耐寒衝撃性に優れ、さらには成形時の偏肉が少ない、容器用途に好適な容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムおよび該フィルムを用いた容器、その成形方法を提供せんとする。
【解決手段】
 本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムは、以下の条件(1)〜(6)を満足することを特徴とするものである。
(1)フィルム厚み:100〜500μm
(2)厚み斑(R):5%以下
(3)結晶化度(χc):40〜60%
(4)面配向係数(fn):0.130〜0.150
(5)固有粘度:0.6〜0.7
(6)融点(Tm):240〜260℃
 また、本発明の容器は、上記フィルムからなる容器であって、フィルムの結晶化度(χc)が40〜55%である。
 また、本発明の容器の成形方法は、上記フィルムを用い、金型温度を120〜(フィルムの融点−10)℃として、真空および/または圧空を用いて熱成形するものである。
【選択図】なし

Description

 本発明は、熱成形を容易に行うことができる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに、該フィルムを用いた耐熱性、耐寒性に優れた容器に関するものであり、また、二軸配向ポリエステルフィルムを耐熱性、耐寒性に優れた容器に熱成形する成形方法に関するものである。
 近年の包装材料、特に食品包装においては、既に調理が完了している惣菜や弁当と言ったものを冷蔵もしくは冷凍保管し、電子レンジなどで加熱して消費者に供給する用途の拡大に伴い、使い捨ての食品容器が多く用いられるようになってきている。こういった用途に用いられる容器としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、非晶性あるいは結晶性ポリエステル(所謂、A−PETやC−PET)と言った無延伸樹脂シートの熱成形品が多く使われてきたが、最近では食品を調理後冷凍し、長期保存を可能とすることで賞味期限切れ商品を削減したいという流通機構からの要請に対しては、これらの無延伸シートでは耐寒衝撃性が劣るために、内容物が限定される等の課題があった。また、冷凍状態からの電子レンジなどによる急激な加熱では、内容物の偏りから均一に昇温されないため、容器が変形するなどの問題があった。
 例えば、ポリプロピレンやポリスチレンを使用した場合には耐熱性が問題になる。特に通常用いられるポリスチレンは非晶性であり、ガラス転移点温度近傍以上の温度域では変形が激しく、電子レンジなどによる加熱が困難であるという問題がある。さらに、ポリプロピレンでは透明性が悪く、容器内の商品のディスプレイ性に劣るという課題がある。
 一方、ポリエステル無延伸シートであるA−PETでは、高温加熱による白化の問題が、またC−PETでは透明性を付与しがたいと言う課題があった。
 これらの問題を解消する試みとして、例えば、ポリエステル系樹脂においては非晶性共重合ポリエステルである、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートを使用したポリエステルシートが提案されており(特許文献1参照)。また、ポリエチレンテレフタレートに低融点ポリエステルとしてポリブチレンテレフタレートを高濃度でブレンドし二軸延伸を施し、成形性を付与する試みがなされている(特許文献2参照)。さらには、積層延伸シートの低融点ポリエステルからなる少なくとも1層を熱処理により事実上の無延伸状態とする試みもなされている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの手法では成形性を向上することはできても、非晶ポリエステルや低融点ポリエステルを使用することで耐熱性が悪化する。
 また、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて容器を成形する方法も提案されている(特許文献4参照)。この方法は二軸延伸ポリエステルフィルムを成形することができるものの、その成形度合いは低く、また熱を加えると容器が変形する熱戻りが観察され耐熱性に劣るという問題があった。
 さらには、二軸延伸ポリエステルフィルムの成形性を向上させるために、フィルムの100%伸長時の応力を規定するなどして成形性を改良した発明がなされている(特許文献5参照)。しかしながら、成形性を向上した二軸延伸ポリエステルフィルムをA−PETと同等の条件では熱成形することは困難であり、また熱成形後の耐熱使用温度も十分なものではなかった。
特開平8−1766号公報 特開2002−179892号公報 特開2002−96438号公報 特開2000−351153号公報 特開2001−347565号公報
 本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、成形性に優れるだけでなく、成形後の容器において耐熱性、耐寒衝撃性に優れ、さらには成形時の偏肉が少ない、容器用途に好適な容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムおよび該フィルムを用いた容器、さらにはその成形方法を提供せんとするものである。
 本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムは、以下の条件(1)〜(6)を満足することを特徴とするものである。
(1)フィルム厚み:100〜500μm
(2)厚み斑(R):5%以下
(3)結晶化度(χc):40〜60%
(4)面配向係数(fn):0.130〜0.150
(5)固有粘度:0.6〜0.7
(6)融点(Tm):240〜260℃
 また、本発明の容器は、かかる容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムからなる容器であって、該容器の結晶化度(χc)が40〜55%であることを特徴とするものである。
 また、本発明の容器の成形方法は、前記容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムを用い、金型温度を120〜(フィルムの融点−10)℃として、真空および/または圧空を用いて熱成形することを特徴とするものである。
 ポリエステルフィルムの特性を制御することにより、成形性、耐熱性、耐寒衝撃性を併せ持つ食品用容器に好適なフィルムを得ることができた。
 本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称であって、通常ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。ここでジカルボン酸成分としては、たとえばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを使用することができる。また、グリコール成分としては、たとえばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどを使用することができる。
 本発明のポリエステルフィルムに用いるポリエステルは、上述のジカルボン酸成分、グリコール成分の中でも特にテレフタル酸とエチレングリコールが好ましく用いられる。また、耐熱性を損ねない範囲内で他のジカルボン酸成分および/もしくはグリコール成分を共重合してもよく、かかるジカルボン酸成分としては、上述の中でも特に、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを好ましく使用することができる。また、グリコール成分としては、たとえば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが好ましく使用される。なお、これらの共重合ジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
 また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパンなどの多官能化合物を共重合してもよい。
 本発明のポリエステルフィルムは、成形性、耐衝撃性、耐白化性を向上させる点で、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルA70〜98重量%と、ブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルB2〜30重量%からなることが好ましい。ここで、ポリエステルAのエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするとは、ポリエステルAの90モル%以上がエチレンテレフタレートからなることを示している。また、ポリエステルBのブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするとは、ポリエステルBの85モル%以上がブチレンテレフタレートからなることを示している。ポリエステルAの含有量が70重量%未満であると耐熱性に劣る場合があり、ポリエステルBの添加量が2重量%未満であると成形性に劣る場合がある。ポリエステルAとBのさらに好ましい混合比率としては重量比で95:5〜80:20である。
 本発明のポリエステルを製造するに際しては、特に限定されないが、反応触媒、着色防止剤を使用することができ、かかる反応触媒としては、たとえばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、また、着色防止剤としては、リン化合物などを使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。内容物取出性の観点からは、アルカリ金属化合物および/もしくはアルカリ土類金属化合物を反応触媒に用いることが好ましい。
 ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を添加することは好ましい方法である。具体的には、たとえばゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法を使用することができる。
 かかるゲルマニウム化合物としては、たとえば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを使用することができる。なかでも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いられ、特に非晶質の二酸化ゲルマニウムが特に好ましく用いられる。
 また、アンチモン化合物としては特に限定されないが、たとえば三酸化アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが使用される。また、さらにチタン化合物としては、特に限定されないが、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドが好ましく用いられる。
 以上のようにして、本発明のポリエステルは製造されるが、ここで具体的な例で説明する。たとえば、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、触媒として二酸化ゲルマニウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分をエステル交換またはエステル化反応させ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合させ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る方法が好ましく採用される。
 さらに好ましくは、かくして得られた重合体を、その融点以下の温度において、減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応し、アセトアルデヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘度、カルボキシ末端基を得る方法などが用いられる。
 本発明におけるポリエステルは、耐熱性の観点からジエチレングリコール成分量は、好ましくは0.01〜3.5重量%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好ましくは0.01〜2.0重量%であるがよい。また、酸化防止剤を0.0001〜1重量%添加してもよい。
 本発明におけるポリエステルフィルムの厚さは、100〜500μmであることが必要である。厚さが100μm未満であると、熱成形後の容器の肉厚が薄くなり、容器としての自立性が問題になる場合がある。一方、フィルム厚みが500μmを越えると、熱成形の際にフィルムに掛ける力が大きくなりすぎて、成形不良の原因となる傾向がある。以上のような観点から、さらに好ましいフィルム厚みとしては100〜250μm、コスト面も考えると125〜220μmであるとより一層好ましい。
 本発明のポリエステルフィルムの厚み斑(R)は、5%以下であることが必要である。厚み斑が5%を越えると、熱成形の際、偏肉が発生し、成形後の容器がひずむ場合がある。厚み斑の更に好ましい範囲は0.1〜3%である。ここで、かかる厚み斑Rは、フィルムの長手方向に20mの長さ連続で厚さを測定し、最大厚みと最小厚みの差(Δt)を平均厚み(tave)で除したものである。
  R=100×Δt/tave
 他の特性を悪化させないで、厚み斑を5%以下とする方法としては、延伸する前の未延伸シート状態での厚み斑を可能な限り良化させておくことは言うまでもないが、フィルムを二軸配向させる際の面倍率を6〜10倍とすることが好ましい方法である。ここで、面倍率とは、二軸延伸のフィルム長手方向の延伸倍率とフィルム幅方向の延伸倍率の積である。面倍率が6倍未満であると、厚み斑が極端に悪化する場合があり、逆に10倍を越えると、成形性が著しく低下する場合がある。厚み斑を良化させる観点からは、面倍率のさらに好ましい範囲は6.5〜9倍である。
 本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムヘイズ(H)が10%以下であることが好ましい。フィルムヘイズが10%を越えると、透明性が悪く、容器としてのディスプレイ性に欠けてしまう場合がある。かかるフィルムヘイズは、さらに好ましくは0.1〜7%、特に好ましくは0.1〜5%であるのがよい。
 フィルムヘイズをかかる範囲とする方法としては、後述するフィルムの取り扱い性向上の目的で添加する滑剤粒子の添加量を調整することで可能であるが、透明性の向上目的で添加する粒子添加量を減少させた場合、フィルムの滑り性が極端に悪化し、フィルム表面での擦り傷や製品ロールのブロッキングが発生する場合もあることから、食品衛生上問題のないシリコーン化合物やワックスなどをフィルム表面に塗布したり、あるいはフィルムを構成するポリエステル樹脂に予め添加する手段が好ましく採用される。
 かかるシリコーン化合物としては、主鎖あるいは側鎖にシリコーン骨格を有するものなどを使用することができ、中でも分子量が50〜10,000のシリコーン化合物が好ましく使用される。また、ワックスとしては、脂肪族カルボン酸化合物と脂肪族アルコール化合物とのエステル化合物や、脂肪族カルボン酸化合物と脂肪族アミン化合物とのアミド化合物などが使用され、好ましくはワックスを構成する総炭素数が、好ましくは30〜120、より好ましくは40〜100の化合物がよい。このような化合物としては、例えば、ステアリルステアレート、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ペンタエリスリトールフルエステル、ベヘニルベヘネート、パルチルミリステート、ステアリルトリグリセリド等の脂肪族エステル等からなる合成あるいは天然ワックス等が好ましく使用される。
 本発明のポリエステルフィルムは、結晶化度(χc)が40〜60%であることが必要である。結晶化度が60%を越えると、成形性が悪化し、40%未満であると、耐衝撃性が悪化する。さらに好ましい結晶化度は40〜55%である。結晶化度をかかる範囲とする方法としては、フィルムを製造する際延伸後に実施する熱固定時の温度および時間を制御することが好ましい方法である。また、耐熱性を悪化させない範囲で、成形性を向上させる目的で行う共重合や他の樹脂のブレンドなどは、結晶化度を低下させる場合があるので、その場合は、熱固定条件を調整し、χcが40〜60%になるようにすることが必要である。
 本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、面配向係数(fn)が、0.130〜0.150であることが必要である。面配向係数が0.150を越えると、成形性が悪化する場合があり、逆に0.130未満であると、耐熱性が悪化する。fnをかかる範囲とする方法としては、厚み斑や結晶化度とのバランスを取りながら延伸倍率や熱固定条件を調整する方法が好ましい。成形性、耐熱性、耐寒性の観点からは、かかるfnは0.135〜0.145であるのが好ましい。
 本発明におけるポリエステルフィルムの固有粘度は、0.6〜0.7であることが必要である。好ましくは0.6〜0.65である。固有粘度がかかる範囲外であると、小さくても大きくても成形性が悪化するだけでなく、熱成形後の容器が脆くなったり、耐衝撃性が悪化する。フィルムの固有粘度を掛かる範囲内とする方法としては、例えばフィルム化する前のポリエステル樹脂の重合段階において、触媒添加量や重合時間、温度を調整し、フィルムの固有粘度より好ましくは0.01〜0.1固有粘度の高いポリエステル樹脂を用いて製膜することが好ましい。また、フィルムの製膜において、ポリエステル樹脂の固有粘度が溶融押出により低下することを防ぐ目的で、押出前にポリエステルの乾燥を十分(水分含有率50ppm未満が好ましい)にするとともに、乾燥後、押出機に供給されるまでの間、ポリエステルを100〜120℃の温度で、真空中もしくは窒素などの不活性ガス中で保管することが好ましい。
 本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性の観点から、融点(Tm)が240〜260℃であることが必要である。融点が240℃未満では、耐熱性が悪化し、逆に260℃を越えると、熱成形温度が高くなりすぎてコストアップの要因となる。さらに好ましいTmとしては246〜260℃である。フィルムの融点を掛かる範囲内とする方法としては、例えば、融点が掛かる温度範囲となるポリエステル樹脂を使用すれば良く、例えばポリエチレンテレフタレートを用いればよい。また、ポリエチレンテレフタレートの共重合体として、イソフタル酸やアジピン酸など上記したジカルボン酸成分やグリコール成分を共重合する場合、トータルで6モル%未満の共重合とすることが好ましい。また、ポリエステルAとポリエステルBを混合して用いる場合、溶融押出する際に、押出機内でエステル交換反応が進行すると、融点の大幅は低下がおこり、フィルムの耐熱性が著しく劣る場合があることから、エステル交換反応を可能な限り抑制することが好ましい。エステル交換反応の進行を抑制する方法としては、ポリエステル樹脂中の触媒金属活性を失活させるために、予め沸騰水で煮沸する方法や、溶融押出時にリン酸化合物を同時に混合して押出する方法や、ポリエステル重合時に固相重合を行い、高固有粘度化し末端官能基量を減少させる方法などが挙げられる。
 本発明のフィルムは、取り扱い性、加工性ならびに内容物取出性を向上させるために、平均粒子径0.01〜10μmの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜3重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては、特に限定されず、たとえば特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報、特開昭59−204617号公報などの他の粒子を併用することもできる。なお、10μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用すると、フィルムに欠陥が生じることがあるので注意を要する。
 かかる無機粒子としては、たとえば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。
 本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、溶融押出機に供給、溶融しスリット状のダイからシート状に押出し、特に限定されないが、たとえばワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けたキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくはこれらの方法を複数組み合わせた方法によりシート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、生産性平面性の観点から静電印加する方法が好ましく使用され、特にテープ状電極を使用する方法が好ましく用いられる。かかる未延伸フィルムを用いて長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行う。
 かかる延伸方法において、採用される延伸倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜4.2倍、さらに好ましくは1.7〜4.0倍である。また、延伸速度は1000〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点+100℃)の温度範囲であれば任意の温度とすることができるが、好ましくは、80〜170℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を90〜150℃、幅方向の延伸温度を80〜150℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
 さらに二軸延伸の後にフィルムの熱固定を行うが、この熱固定はオーブン中、加熱されたロール上など任意の方法により行うことができる。熱固定温度は120℃以上ポリエステルの融点以下の任意の温度とすることができるが、成形加工性、耐衝撃性の点から示差走査熱量計(DSC)において測定される、フィルム製造時の熱固定に伴う吸熱ピーク温度(Ts)が200〜230℃の範囲内になる熱固定温度であれば好ましい。かかる温度よりTsが低温であれば、耐衝撃性が悪化し、高温であれば成形加工性が悪化することがある。また、熱固定時間は他の特性を悪化させない範囲において任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。さらに、熱固定はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。
 本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた容器は、耐寒衝撃性の観点から熱成形後の容器の結晶化度(χc)が40〜55%であることが必要である。χcが掛かる範囲外であれば、耐衝撃性が悪化する。熱成形後のχcを掛かる範囲内とする方法としては特に限定されるものではないが、上記した容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムを用いて真空および/もしくは圧空を用いて熱成形する方法が好ましい。さらに、圧空を用いる場合は、圧空の圧力が0.5〜2MPaであることが好ましく、0.5〜1MPaであればより好ましい。
 さらに本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた容器は、耐熱性の観点から容器の最も肉厚の厚い部分と薄い部分の比が1〜3であることが好ましい。さらには1〜2であるとより一層好ましい。
 本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた容器の成形方法としては、真空および/もしくは圧空を用いて熱成形するが、その際に使用する金型の温度が120〜(フィルムの融点−10)℃であることが必要である。好ましくは金型の温度は120〜200℃である。金型温度が120℃未満であると成形が不十分であったり、耐熱性が悪化する。また(フィルムの融点−10)℃を越えた場合には成形途中でフィルムが破断することがあり、また成形できたとしても成型後の容器の結晶化度が高くなりすぎて脆くなり、耐衝撃性が悪化する場合がある。金型温度のさらに好ましい温度範囲は130〜180℃である。
 本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルム、容器および容器の成形方法はコンビニエンスストアなどで使用される弁当容器など食品包装用容器として好適であり、特にその耐熱性、耐寒性、耐衝撃性の点で、内容物が冷凍状態であり、それを電子レンジなどで一気に加熱した場合にも容器として問題なく使用可能であるという特徴を有しており、食品用容器として好適に使用することができるものである。
 次に、図について説明する。図1は、実施例において本発明の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムの成形性の評価に用いた、容器の完成形状を示す平面図であり、図2は、その側面図である。平面図中に示したA点は成形容器のフランジ部で、B点は底面部を示している。熱成形の際、A点のフランジ部は事実上成形されないことからフィルム厚みに変化はほとんどない。一方、B点の成形容器の底面部は熱成形による変形で厚みが変化する場合がある。そのために本発明では成形性の指標として、A点の厚みに対するB点の厚みの比で偏肉度で評価を行った。なお、本発明のポリエステルフィルムを用いた容器、成形方法は図1、2に示した形状の容器に限定されるものではない。
 以下実施例によって本発明を詳細に説明する。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)フィルム厚み
 フィルムの厚みはダイヤルゲージを使用して、任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均して求めた(tave)。
(2)厚み斑(R)
 厚み斑の測定はマイクロ厚み計(アンリツ社製)を使用し、フィルムの長手方向に20m、幅方向に30mmでサンプリングしたフィルムの厚みを連続的に測定した。長さ20mでの最大厚みと最小厚みの差(Δt)を上記taveで除して厚み斑(R)とした。
  R(%)=100×Δt/tave
(3)ヘイズ(H)
 JIS K 7105−1985に基づいて、ヘイズメーター(スガ試験器社製HGM−2DP)を用いて測定した。フィルムの任意の場所5ヶ所を測定しその平均値にてヘイズ(H)を評価した。
(4)結晶化度(χc)
 臭化ナトリウム水溶液から作成した密度勾配管を用いて、25℃にてフィルムの密度(d)を測定し、以下の式により結晶化度(χc)を算出した。なお、dの測定はフィルムの任意の場所3ヶ所からサンプリングして行い、その平均値を用いた。
  χc=100×(d−da)/(dc−da)
 ただし、本実施例では、da:ポリエチレンテレフタレートの非晶密度(1335kg/m3)、dc:ポリエチレンテレフタレートの結晶密度(1455kg/m3)を使用した。
(5)面配向係数(fn)
 ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用いアッベ屈折計にて長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれnX、nY、nZ)を求めた。面配向係数fnはfn=(nX+nY)/2−nZを計算して求めた。
(6)固有粘度
 ポリエステルフィルムをオルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
(7)ポリエステルフィルムの融点(Tm)、熱固定に伴う吸熱ピーク温度(Ts)
 フィルム約10mgを示差走査熱量計(セイコー電子工業社製RDC220型)により、20℃/分の昇温速度で測定し融解のピーク温度(融解終了温度)を融点(Tm)とした。また、融点の低温側にサブピークとして現れる熱固定に伴う吸熱ピークのピーク温度をTsとした。
(8)成形性
 フィルムを300℃に加熱したヒーターでフィルムの(融点−15)℃の温度になるように加熱した後、図1に示した形状の容器の金型にて熱圧空成形を行った。熱成形条件は金型温度150℃、圧空圧力0.6MPa、圧空成形時間5秒間の条件で行った。図1中に示したA点とB点の厚みをダイヤルゲージを用いて測定し、A点の厚みに対するB点の厚みの比から偏肉度を算出した。評価は10個の成型体に対して行い、偏肉度の平均を成形性の指標として次のように評価を行った。
A級:偏肉度1〜0.7
B級:偏肉度0.7〜0.5
C級:偏肉度0.5〜0.3
D級:偏肉度0.3以下
(9)耐熱性
 耐熱性の評価はJIS S2029−2002に準拠して、上記の成型体を熱風オーブン中に静置し、1時間熱処理を行った後の変形の有無を肉眼で評価を行った。試験は50℃から実施し、変形が認められるまで5℃刻みで昇温(温度を上げる度に成型体は取り替える)して試験を行った。変形が認められなかった最高温度を耐熱温度とした。
(10)耐寒衝撃性
 上記した成型体の底から幅2mm、長さ約50mmの矩形サンプルを切り出し、シャルピー衝撃試験機(東洋精機製作所製)を用いて衝撃吸収エネルギーを求めた。試験は5回行い、その平均値を用いて評価を行った。なお、サンプルの切り出しは成形前のフィルム長手方向に沿って行った。また、サンプルは試験機にセット後−10℃に冷却して試験を実施することで、−10℃の耐寒衝撃試験とした。
 実施例1
 ポリエステルとして次の方法で重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
[重合方法]
 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
 以上ようにして得たポリエチレンテレフタレート樹脂を真空乾燥した後、90ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより18℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、2.7倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度115℃でフィルム幅方向に2.7倍延伸した。さらに、幅方向に3.0%のリラックスを掛けながら、230℃で2秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 実施例2
 実施例1と同じポリエステル樹脂を用いて以下のように製膜を行った。ポリエチレンテレフタレート樹脂を真空乾燥した後、50ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより30℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、2.6倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度115℃でフィルム幅方向に2.7倍延伸した。さらに、幅方向に2.0%のリラックスを掛けながら、225℃で2.5秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 実施例3
 実施例1と同じポリエステル樹脂を用いて以下のように製膜を行った。ポリエチレンテレフタレート樹脂を真空乾燥した後、50ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより25℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、2.5倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度115℃でフィルム幅方向に2.6倍延伸した。さらに、幅方向に5.0%のリラックスを掛けながら、220℃で3秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 実施例4
 ポリエステルとして次の方法で重合した、イソフタル酸6モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
[重合方法]
テレフタル酸ジメチル94重量部、イソフタル酸ジメチル6重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.67のポリエステル樹脂を得た。
 以上ようにして得たポリエステル樹脂を真空乾燥した後、90ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより30℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で90℃に予熱後、2.8倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度110℃でフィルム幅方向に2.6倍延伸した。さらに、幅方向に3.0%のリラックスを掛けながら、210℃で3秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 比較例1
 実施例1と同じポリエステル樹脂を用いて以下のように製膜を行った。ポリエチレンテレフタレート樹脂を真空乾燥した後、90ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより20℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、3.0倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度115℃でフィルム幅方向に3.0倍延伸した。さらに、幅方向に2.5%のリラックスを掛けながら、235℃で2秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 比較例2
 実施例1と同じポリエステル樹脂を用いて以下のように製膜を行った。ポリエチレンテレフタレート樹脂を真空乾燥した後、30ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより28℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、2.4倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱100℃、延伸温度115℃でフィルム幅方向に2.5倍延伸した。さらに、幅方向に2.0%のリラックスを掛けながら、195℃で4秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 比較例3
 ポリエステルとして次の方法で重合した、イソフタル酸10モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
[重合方法]
テレフタル酸ジメチル90重量部、イソフタル酸ジメチル10重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.69のポリエステル樹脂を得た。
 以上ようにして得たポリエステル樹脂を真空乾燥した後、90ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより30℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で85℃に予熱後、2.7倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱90℃、延伸温度105℃でフィルム幅方向に2.6倍延伸した。さらに、190℃で3秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取った。
 以上のようにして得たポリエステルフィルムの物性および熱成形評価結果を表いに示す。表より、実施例の各フィルムは優れた成形性のみならず、耐熱性、耐寒性にも優れており、容器として好適であることが明らかとなった。一方、比較例のフィルムでは成形の際、偏肉が起こり、その結果耐熱性、耐寒性に劣るものであった。
Figure 2004122767
なお、表中の略号は以下のとおりである。
R:厚み斑、H:ヘイズ、χc:結晶化度、fn:面配向係数、Tm:融点、Ts:熱固定に伴う吸熱ピーク温度、PET:ポリエチレンテレフタレート、PET/I6:イソフタル酸6モル%共重合ポリエチレンテレフタレート、PET/I10:イソフタル酸10モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
 実施例5〜7、比較例4、5
 実施例2のポリエステルフィルムを用いて、フィルムを300℃に加熱したヒーターでフィルムの(融点−15)℃の温度になるように加熱した後、図1に示した形状の容器の金型にて表2に示した条件で熱圧空成形を行い、既述の結晶化度、偏肉度、耐熱性、耐寒衝撃試験の評価を行った。
 その結果、表2に評価結果を示したとおり、実施例の各条件では成形性のみならず、耐熱性、耐寒性にも優れており、容器として好適であることが明らかとなった。一方、比較例のフィルムでは成形の際、偏肉が起こり、その結果耐熱性、耐寒性に劣るものであった。
Figure 2004122767
 実施例8
 ポリエステルとして次の方法で重合した、ポリエステルAおよびポリエステルBを使用した。
[ポリエステルA]
 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール65重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.67のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[ポリエステルB]
 テレフタル酸100重量部、1,4−ブタンジオール110重量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、テレフタル酸に対してオルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054重量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054重量部を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066重量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、次いで窒素雰囲気下で200℃、6時間の固相重合を行い、固有粘度1.2のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
 以上ようにして得たポリエステルAとポリエステルBを重量比で95:5で混合し真空乾燥した後、65ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより25℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で75℃に予熱後、2.6倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱90℃、延伸温度110℃でフィルム幅方向に2.6倍延伸した。さらに、幅方向に1.5%のリラックスを掛けながら、225℃で2秒間の熱処理を施し、冷却し、厚み188μmの二軸配向フィルムを巻き取った。
 実施例9
 実施例8で使用したポリエステルAおよびポリエステルBを重量比で80:20で混合し、実施例8と同様に厚み188μmの二軸配向フィルムを製膜した。
 比較例6
 実施例8で使用したポリエステルAおよびポリエステルBを重量比で40:60に混合し真空乾燥した後、実施例8と同様に溶融押出、キャストを行い未延伸シートを得た。次に該シートを70℃に予熱後、2.5倍に長手方向に延伸し、次に80℃にて横方向に2.6倍に延伸し、次いで幅方向に3%のリラックスを掛けながら190℃で2秒間の熱処理を施し、厚み150μmの二軸配向フィルムを得た。
 以上のようにして得た実施例8、9および、比較例6のフィルムについて評価した結果を表3に示す。表より、実施例8および9のフィルムは優れた特性を示したのに対し、比較例6では耐熱性に劣っていた。
Figure 2004122767
なお、表中の略号は以下のとおりである。
PBT:ポリブチレンテレフタレート、他は表1と同様
 実施例10、比較例7
 実施例8のポリエステルフィルムを用いて、フィルムを290℃に加熱したヒーターでフィルムの(融点−20)℃の温度となるように加熱した後、図1に示した形状の容器の金型にて表4に示した条件で熱圧空成形を行い、実施例5と同様に評価を行った。その結果を表4に併せて示すが、実施例10の条件では優れた特性を示したが、比較例7の条件では成型後のフィルムが白化してしまい、耐熱性に劣っていた。
Figure 2004122767
この図は、熱圧空成形性の評価に用いる容器の完成形状を示す平面図である。 この図は、図1の容器の側面図である。
符号の説明
 A:フランジ部
 B:底面部

Claims (4)

  1. 以下の条件(1)〜(6)を満足することを特徴とする容器成形用二軸配向ポリエステルフィルム。
    (1)フィルム厚み:100〜500μm
    (2)厚み斑(R):5%以下
    (3)結晶化度(χc):40〜60%
    (4)面配向係数(fn):0.130〜0.150
    (5)固有粘度:0.6〜0.7
    (6)融点(Tm):240〜260℃
  2. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルA70〜98重量%と、ブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルB2〜30重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムからなる容器であって、該容器の結晶化度(χc)が40〜55%であることを特徴とする容器。
  4. 請求項1または2に記載の容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムを用い、金型温度を120〜(フィルムの融点−10)℃として、真空および/または圧空を用いて熱成形することを特徴とする容器成形用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた容器の成形方法。
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