JP2004122604A - インク逆流防止栓 - Google Patents
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Abstract
【課題】適度な通気性を確保しつつ、インク収容筒内に容易に嵌着することができ、かつ、定着性にも優れ、インクおよび/またはインク追従体の逆流を防止することができ、しかも、低コストである筆記具用のインク逆流防止栓を提供する。
【解決手段】インク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓として、前記芯状栓は、繊維表面が相互に部分接着された繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致していることを特徴とするインク逆流防止栓を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】インク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓として、前記芯状栓は、繊維表面が相互に部分接着された繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致していることを特徴とするインク逆流防止栓を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク逆流防止栓に関し、より詳細には、ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等の筆記具のインク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等、油性、水性を問わず、液状の筆記媒体を用いる筆記具には、例えば、万年筆のように先端のペン先装着部と分離可能なインクタンクやカートリッジを設けたタイプのものもあるが、鉛筆型のボールペンのように、ペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒が、軸筒内に収容されたタイプのものも多い。
【0003】
後者のように、ペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒を有するタイプのボールペン等の筆記具には、該インク収容筒後端部を、軸筒後端部に設けられた尾栓に当接させたものがある。
しかしながら、前記尾栓によりインク収容筒が密閉されてしまうと、該インク収容筒後端部に空気が供給されず、ペン先へのインクの供給が妨げられ、筆記できなくなる。
一方、前記尾栓に通気孔が形成されていたり、軸筒後端部と尾栓との間に隙間があると、ペン先を上向きにして筆記した場合、または、使用時や移動時の衝撃等により、インクが逆流し、軸筒内、さらには軸筒外にまで、インクが漏洩、流出し、手や衣服等を汚染してしまう場合もある。
【0004】
このため、上記不都合を回避し、さらに、インク成分の揮発防止等の目的のため、一般に、インク収容筒内のインク後端に接して、インク端末の移動に追従する粘性体、いわゆるインク追従体が充填されている。
また、インク収容筒内へ空気の供給を妨げることなく、該インク収容筒後端からのインクの流出を防止するために、インク収容筒後端部に、フェルト、スポンジ状のポリウレタン等の通気性が確保される芯状栓が嵌着されたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような通気性を有する芯状栓を、インク収容筒の後端に嵌着させる際は、該インク収容筒の内径よりも大きいものを圧縮させた状態で、該インク収容筒内に装入する。
【0006】
しかしながら、例えば、短円筒形状の芯状栓を嵌着させた場合、該芯状栓の先端部が丸まる等の変形が生じてしまい、適度な通気性を確保することが困難であった。
一方、通気性を確保するために、芯状栓をインク収容筒に対して緩い状態で嵌着させた場合には、使用時や移動時の衝撃等により、該芯状栓は該インク収容筒内で移動し、インク後端またはインク追従体に接触して、浸潤してしまい、十分な通気性が確保されないこととなる。これとは逆に、該芯状栓が脱落してしまう場合もあった。
このように、いずれにしても、通気性を確保しつつ、インクおよび/またはインク追従体の流出を防止するという芯状栓としての役割は果たされず、製品の歩留まり低下の要因となっていた。
【0007】
また、上記のようなペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒を有するタイプのボールペン等の筆記具は、単価が比較的安い、使い捨てタイプのものが多いため、該筆記具の材料、加工等のコストは、できる限り抑制することも要求される。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、適度な通気性を確保しつつ、インク収容筒内に容易に嵌着することができ、かつ、定着性にも優れ、インクおよび/またはインク追従体の逆流を防止することができ、しかも、低コストである筆記具用のインク逆流防止栓を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインク逆流防止栓は、インク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓であって、前記芯状栓は、繊維表面が相互に部分接着された繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致していることを特徴とする。
これにより、インクおよび/またはインク追従体が、インク収容筒の後端から漏洩、流出して、軸筒内、さらには軸筒外を汚染することを防止することができるとともに、インクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を確保することができる。
また、このようなインク逆流防止栓は、インク収容筒内へ嵌着させるときの装入が容易であるとともに、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔が確保される。
【0010】
前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましい。
十分な形状維持性を有し、インク逆流防止効果を十分に発揮することができ、かつ、筆記のためのインク消費速度に対応する通気性を確保する観点から、上記気孔率の範囲内とすることが好ましい。
【0011】
また、前記繊維束芯は、0.5デニール以上5デニール以下の単繊維が、1mm2あたり2700本以上4900本以下結束されたものであることが好ましい。
繊維束芯の強度、弾性、形状保持性と適正な通気性とのバランスの観点から、上記繊維太さ、本数とすることが好ましい。
【0012】
また、前記繊維束芯は、ポリエステル繊維からなることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
これらの材質は、優れた屈折強度特性、弾力性等を有しており、さらに、インク収容筒内への嵌着が容易であり、定着性にも優れているため、好適に用いることができる。
【0013】
さらにまた、前記ポリエステル繊維は、ポリウレタン系接着剤により接着されていることが好ましい。
接着強度、接着後の繊維束芯の弾力性、溶剤希釈時の粘度特性が良好である等の観点から、ポリウレタン系接着剤が好適に用いられる。
【0014】
また、本発明に係るインク逆流防止栓は、インクの粘度が、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であるインクが収容されたインク収容筒に好適に用いることができる。
上記のようなインク逆流防止栓は、インク逆流防止効果を発揮し、かつ、十分な通気性を確保する上で、このような粘性を有するインクが収容されたインク収容筒に嵌着されて用いられることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照してより詳細に説明する。
図1は、本発明に係るインク逆流用防止栓を装着したボールペンの一例を示すものであり、ペン軸筒方向における概略断面図である。なお、キャップの図面は省略する。
図1に示したボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先チップ1を有し、前記ペン先チップ1は、継手2を介してインク収容筒3に固着されている。図1に示すボールペンにおいては、インク収容筒3は、前軸筒と一体化されている。すなわち、前軸筒の内部には、直接、インク4が収容されている。前記インク収容筒(前軸筒)3内のインク4の後端側には、インク流出防止のためのインク追従体5が装入されており、さらに、前記インク収容筒(前軸筒)3の後方には、インク逆流防止栓6が嵌着されている。そして、前軸筒3の中央付近から後端部を覆うように、後軸筒7が嵌合され、一体となるように構成されている。なお、インク追従体5は、必ずしも必要とはされない。
【0016】
本発明においては、インク逆流防止栓6は、インク収容筒3の後端部に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓であって、繊維表面が相互に部分接着された円筒形状の繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致している。
これにより、上記のような構造からなるボールペンにおいては、ボールペンを横向きまたは後端を下にした状態で保持した場合であっても、インク4およびインク追従体5が、インク収容筒3の後端から漏洩、流出して、軸筒内、さらには軸筒外を汚染することを防止することができる。
また、インク追従体を具備していないボールペン等においても、同様に、インクが、インク収容筒の後端から漏洩、流出することを防止することができる。
さらに、インクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を保持しているものである。
【0017】
前記繊維束芯は、紡糸した単繊維を一方向に1mm2あたり数千本程度結束させることにより、繊維相互間にその繊維の長手方向に連通した通気孔が多数存在する多孔質構造が形成される。また、繊維の長手方向の引張りおよび圧縮に対しては強靱であり、一方、外周方向からの圧縮に対しては適度な弾力性を示す。
したがって、インク逆流防止栓をインク収容筒内へ嵌着させるときの装入方向が、繊維の長手方向と一致するため、円筒形状のインク逆流防止栓の側周面は、前記装入方向に滑りやすい。また、外周面からの圧力に対しては、優れた弾力性を有するため、インク収容筒内への嵌着が容易であり、機械装入の効率化を図ることができる。
また、圧縮されて嵌着された後も、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔が確保されているため、筆記によるインクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を維持することができる。
【0018】
前記インク逆流防止栓には、材質として、ポリエステル繊維が用いられることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等の単繊維からなる紡糸等が挙げられ、また、これらの単繊維の混紡糸を用いることもできる。
これらの材質は、インク逆流防止栓のような小さな円筒形状に加工した場合においても、優れた屈折強度特性、弾力性等を有しており、さらに、インク収容筒内への嵌着が容易であり、嵌着させた際の形状保持性にも優れているため、好適に用いることができる。
【0019】
前記繊維束芯を構成する単繊維の太さは、0.5デニール以上5デニール以下であることが好ましく、より好ましくは、1デニール以上3デニール以下である。また、前記単繊維の本数は、1mm2あたり2700本以上4900本以下結束されたものであることが、繊維束芯の強度、弾性、形状保持性と適正な通気性とのバランスの観点から好ましい。
【0020】
また、前記繊維は、接着剤を用いて、上記のような繊維束芯として形成される。このとき用いられる接着剤としては、繊維に対して十分な接着強度を有し、希釈等により粘度調整が容易なものであれば、特に限定されないが、接着強度、接着後の繊維束芯の弾力性、溶剤希釈時の粘度特性が良好である等の観点から、ポリエステル繊維の場合には、ポリウレタン系接着剤が好適に用いられる。
この接着剤の使用量(希釈率)および繊維の本数により、インク逆流防止栓の気孔率を調節することができる。
ここで、前記接着剤を希釈するための溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルアセテート等を挙げることができる。
【0021】
また、前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以上55%以下である。
前記気孔率が35%未満の場合には、前記繊維束芯の接着加工時または乾燥時の発泡等により、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔を確保することが困難となる。
また、弾力性に乏しく、インク収容筒内に圧縮して嵌着させることが困難となり、さらに、嵌着の際、圧縮により、さらに気孔がつぶれるため、通気孔がほとんどない状態となり、空気の流通が困難となる。
【0022】
一方、気孔率が60%以上の場合は、特に、インクのせん断粘性の低い水性ボールペン等においては、インク逆流防止栓からインクまたは/およびインク追従体が漏洩、流出してしまうおそれがあり、インクの逆流防止栓としての効果を果たすことは困難となる。
また、気孔率を大きくする場合には、使用する繊維の本数を少なくする必要があるため、繊維相互間の隙間が大きくなり、嵌着時の圧縮に対する十分な抗力および弾力性が得られず、さらに、完全な円筒形状に成形することが困難となる。
【0023】
また、気孔率を大きくするためには、使用する繊維の本数を減らすことなく、接着剤の使用量を減らすことによっても可能である。
ここで、繊維束芯を構成するポリエステル単繊維(3デニール)の本数と、溶剤により希釈したポリウレタンの樹脂固形分率と、これらを用いて製造した繊維束芯の気孔率との関係を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示したように、使用するポリエステル単繊維の本数と、接着剤の使用量(ポリウレタンの樹脂固形分率)とを調整することにより、繊維束芯の気孔率は自在に変化させることができる。
しかしながら、例えば、表1に示したサンプルNo.1の場合は、単繊維本数が1mm2あたり2700本とサンプルNo.2と同様であるが、接着剤の使用量(ポリウレタンの樹脂固形分率)が少なすぎて、繊維束芯の割れ、バラケや糸ほつれ等が発生し、インク収容筒内への嵌着が困難であった。
このような点からも、繊維束芯の気孔率は60%以下であることが好ましい。
【0026】
また、種々の気孔率を有する繊維束芯を、インク収容筒に嵌着させ、直流リークテスタを用いて、空気流通量を測定した結果を図2に示す。
図2からも判るように、計算上は、気孔率約35%のとき、空気流通量が0ml/minとなる。これは、嵌着前の繊維束芯の気孔率が35%未満の場合、嵌着後には通気しなくなる可能性が大きいことを意味する。
空気流通量が0となるときの気孔率が0%とならない原因としては、切断面の目詰まりおよびインク収容筒内への圧縮装入時の気孔のつぶれ等が考えられる。
【0027】
一方、気孔率は大きいほど、空気流通量は多く、筆記のためのインク消費速度に対応する通気性は十分であるが、上述したように、気孔率が60%を超える場合には、インク逆流防止栓からインクが漏洩、流出してしまうおそれがある。
しかも、通常の筆記によるインク消費速度に対応するために供給すべき空気量は、気孔率60%以下の場合であっても、十分に確保されるため、実際上、60%を超える気孔率は必要とされない。
したがって、インク逆流防止栓として使用される前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましい。
【0028】
上記のような構成からなる本発明に係るインク逆流防止栓は、例えば、太さ3デニール、長さ1mのポリエステル単繊維約60000本を、溶剤で希釈したポリウレタン系樹脂で接着し、得られた円筒形状の棒状体を所定の長さに切断することにより製造することができる。
【0029】
また、前記インク逆流防止栓は、特に、せん断粘性の低いインクが収容されたインク収容筒に嵌着される場合には、インク逆流防止効果および十分な通気性を確保する観点から、少なくとも、該インクの粘度は、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であることが好ましい。
なお、インク追従体を用いた場合も、インク追従体が機能せずに、該インク追従体の後方にインクが漏洩、流出する可能性もあるため、インクの粘度は上記範囲内であることが好ましい。
【0030】
上記インク逆流防止栓は、ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等、油性、水性を問わず、液状の筆記媒体を用い、該液媒体の収容筒を有する筆記具であれば、特に限定されることなく適用させることができる。特に、ボールペンのインク収容筒からのインクまたは/およびインク追従体の逆流防止栓として好適に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET)の3デニールの単繊維61500本を束ねて、二液硬化型ポリウレタン(樹脂固形分10%)を含浸させた後、前記繊維表面を相互に接着させ、気孔率43%、直径4mmの円形断面を有する棒状体の繊維束芯を作製した。
そして、この繊維束芯を切断して、直径4mm、長さ6mmの円筒形状のインク逆流防止栓を得た。
一方、インク収容筒に表2に示す組成からなる水性インク試料A〜Eをそれぞれ充填した。なお、これらの水性インク試料A〜EのE型粘度計(25℃)による粘度測定結果を表3に示す。
そして、内径4mm、外径5.4mmのインク収容筒の後方に、前記インク逆流防止栓を嵌着させたペンを作製した。すなわち、ポリエステル単繊維は、1mm2あたり約4900本である。
そして、各ペンを上向きに筆記し、ペン先から空気を入れて逆流させて、インクを逆止栓まで落下させて接触させた状態で、25℃、相対湿度65%の環境下に24時間放置し、インクがインク逆流防止栓を通過して、インク収容筒外に漏洩するか否かを評価した。
これらの結果を表4に示す。
【0032】
[実施例2〜5]
表4の実施例2〜5に示したような各気孔率のインク逆流防止栓を、それぞれ実施例1と同様にして作製し、実施例1と同様にして、インク逆流防止栓の性能評価を行った。
これらの結果を表4に示す。
【0033】
[比較例1〜4]
表4の比較例1〜4に示したような各気孔率のインク逆流防止栓を、それぞれ実施例1と同様にして作製し、実施例1と同様にして、インク逆流防止栓の性能評価を行った。
これらの結果を表4に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
表4に示したように、通常用いられる程度の粘性のインク(試料A〜C)であれば、気孔率35%以上60%以下の場合は(実施例1〜5)、インクは漏洩せず、インク逆流防止栓として、十分に用いることができることが認められた。
なお、粘性の低いインク(試料D、E)の場合であっても、通常用いられるゲル状等のインク追従体を併用することにより、気孔率60%の繊維束芯も(実施例)、十分にインク逆流防止栓として適用することができることが認められた。
よって、せん断粘性が低いインクが収容されたインク収容筒に用いられる場合、インクの粘度が、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であることが好ましい。
【0038】
一方、気孔率が35%未満の場合は(比較例1)、インクの漏洩は認められなかったが、気孔率が小さすぎるため、筆記によるインク消費速度に対応する空気をインク後端に十分に供給することができる程度の通気性が確保されず、筆記性に劣るものであった。
【0039】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るインク逆流防止栓は、定着性に優れており、インクおよび/またはインク追従体の逆流を防止することができる。また、インク収容筒内に容易に嵌着することができ、機械装入の効率化を図ることができ、筆記具の製造コストの抑制にも寄与することができる。
さらに、本発明に係るインク逆流防止栓は、筆記によるインク消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性が確保されているため、ペン先へのインク供給速度も十分であり、優れた筆記性をも担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインク逆流防止栓が嵌着されたボールペンの一例を示すペン軸筒方向における概略断面図である。
【図2】インク逆流防止栓の気孔率と空気流量との相関を示した線図である。
【符号の説明】
1 ペン先チップ
2 継手
3 前軸筒
4 インク
5 インク追従体
6 インク逆流防止栓
7 後軸筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク逆流防止栓に関し、より詳細には、ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等の筆記具のインク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等、油性、水性を問わず、液状の筆記媒体を用いる筆記具には、例えば、万年筆のように先端のペン先装着部と分離可能なインクタンクやカートリッジを設けたタイプのものもあるが、鉛筆型のボールペンのように、ペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒が、軸筒内に収容されたタイプのものも多い。
【0003】
後者のように、ペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒を有するタイプのボールペン等の筆記具には、該インク収容筒後端部を、軸筒後端部に設けられた尾栓に当接させたものがある。
しかしながら、前記尾栓によりインク収容筒が密閉されてしまうと、該インク収容筒後端部に空気が供給されず、ペン先へのインクの供給が妨げられ、筆記できなくなる。
一方、前記尾栓に通気孔が形成されていたり、軸筒後端部と尾栓との間に隙間があると、ペン先を上向きにして筆記した場合、または、使用時や移動時の衝撃等により、インクが逆流し、軸筒内、さらには軸筒外にまで、インクが漏洩、流出し、手や衣服等を汚染してしまう場合もある。
【0004】
このため、上記不都合を回避し、さらに、インク成分の揮発防止等の目的のため、一般に、インク収容筒内のインク後端に接して、インク端末の移動に追従する粘性体、いわゆるインク追従体が充填されている。
また、インク収容筒内へ空気の供給を妨げることなく、該インク収容筒後端からのインクの流出を防止するために、インク収容筒後端部に、フェルト、スポンジ状のポリウレタン等の通気性が確保される芯状栓が嵌着されたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような通気性を有する芯状栓を、インク収容筒の後端に嵌着させる際は、該インク収容筒の内径よりも大きいものを圧縮させた状態で、該インク収容筒内に装入する。
【0006】
しかしながら、例えば、短円筒形状の芯状栓を嵌着させた場合、該芯状栓の先端部が丸まる等の変形が生じてしまい、適度な通気性を確保することが困難であった。
一方、通気性を確保するために、芯状栓をインク収容筒に対して緩い状態で嵌着させた場合には、使用時や移動時の衝撃等により、該芯状栓は該インク収容筒内で移動し、インク後端またはインク追従体に接触して、浸潤してしまい、十分な通気性が確保されないこととなる。これとは逆に、該芯状栓が脱落してしまう場合もあった。
このように、いずれにしても、通気性を確保しつつ、インクおよび/またはインク追従体の流出を防止するという芯状栓としての役割は果たされず、製品の歩留まり低下の要因となっていた。
【0007】
また、上記のようなペン先装着部に直に接合された管状のインク収容筒を有するタイプのボールペン等の筆記具は、単価が比較的安い、使い捨てタイプのものが多いため、該筆記具の材料、加工等のコストは、できる限り抑制することも要求される。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、適度な通気性を確保しつつ、インク収容筒内に容易に嵌着することができ、かつ、定着性にも優れ、インクおよび/またはインク追従体の逆流を防止することができ、しかも、低コストである筆記具用のインク逆流防止栓を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインク逆流防止栓は、インク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓であって、前記芯状栓は、繊維表面が相互に部分接着された繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致していることを特徴とする。
これにより、インクおよび/またはインク追従体が、インク収容筒の後端から漏洩、流出して、軸筒内、さらには軸筒外を汚染することを防止することができるとともに、インクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を確保することができる。
また、このようなインク逆流防止栓は、インク収容筒内へ嵌着させるときの装入が容易であるとともに、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔が確保される。
【0010】
前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましい。
十分な形状維持性を有し、インク逆流防止効果を十分に発揮することができ、かつ、筆記のためのインク消費速度に対応する通気性を確保する観点から、上記気孔率の範囲内とすることが好ましい。
【0011】
また、前記繊維束芯は、0.5デニール以上5デニール以下の単繊維が、1mm2あたり2700本以上4900本以下結束されたものであることが好ましい。
繊維束芯の強度、弾性、形状保持性と適正な通気性とのバランスの観点から、上記繊維太さ、本数とすることが好ましい。
【0012】
また、前記繊維束芯は、ポリエステル繊維からなることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
これらの材質は、優れた屈折強度特性、弾力性等を有しており、さらに、インク収容筒内への嵌着が容易であり、定着性にも優れているため、好適に用いることができる。
【0013】
さらにまた、前記ポリエステル繊維は、ポリウレタン系接着剤により接着されていることが好ましい。
接着強度、接着後の繊維束芯の弾力性、溶剤希釈時の粘度特性が良好である等の観点から、ポリウレタン系接着剤が好適に用いられる。
【0014】
また、本発明に係るインク逆流防止栓は、インクの粘度が、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であるインクが収容されたインク収容筒に好適に用いることができる。
上記のようなインク逆流防止栓は、インク逆流防止効果を発揮し、かつ、十分な通気性を確保する上で、このような粘性を有するインクが収容されたインク収容筒に嵌着されて用いられることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照してより詳細に説明する。
図1は、本発明に係るインク逆流用防止栓を装着したボールペンの一例を示すものであり、ペン軸筒方向における概略断面図である。なお、キャップの図面は省略する。
図1に示したボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先チップ1を有し、前記ペン先チップ1は、継手2を介してインク収容筒3に固着されている。図1に示すボールペンにおいては、インク収容筒3は、前軸筒と一体化されている。すなわち、前軸筒の内部には、直接、インク4が収容されている。前記インク収容筒(前軸筒)3内のインク4の後端側には、インク流出防止のためのインク追従体5が装入されており、さらに、前記インク収容筒(前軸筒)3の後方には、インク逆流防止栓6が嵌着されている。そして、前軸筒3の中央付近から後端部を覆うように、後軸筒7が嵌合され、一体となるように構成されている。なお、インク追従体5は、必ずしも必要とはされない。
【0016】
本発明においては、インク逆流防止栓6は、インク収容筒3の後端部に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓であって、繊維表面が相互に部分接着された円筒形状の繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致している。
これにより、上記のような構造からなるボールペンにおいては、ボールペンを横向きまたは後端を下にした状態で保持した場合であっても、インク4およびインク追従体5が、インク収容筒3の後端から漏洩、流出して、軸筒内、さらには軸筒外を汚染することを防止することができる。
また、インク追従体を具備していないボールペン等においても、同様に、インクが、インク収容筒の後端から漏洩、流出することを防止することができる。
さらに、インクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を保持しているものである。
【0017】
前記繊維束芯は、紡糸した単繊維を一方向に1mm2あたり数千本程度結束させることにより、繊維相互間にその繊維の長手方向に連通した通気孔が多数存在する多孔質構造が形成される。また、繊維の長手方向の引張りおよび圧縮に対しては強靱であり、一方、外周方向からの圧縮に対しては適度な弾力性を示す。
したがって、インク逆流防止栓をインク収容筒内へ嵌着させるときの装入方向が、繊維の長手方向と一致するため、円筒形状のインク逆流防止栓の側周面は、前記装入方向に滑りやすい。また、外周面からの圧力に対しては、優れた弾力性を有するため、インク収容筒内への嵌着が容易であり、機械装入の効率化を図ることができる。
また、圧縮されて嵌着された後も、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔が確保されているため、筆記によるインクの消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性を維持することができる。
【0018】
前記インク逆流防止栓には、材質として、ポリエステル繊維が用いられることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等の単繊維からなる紡糸等が挙げられ、また、これらの単繊維の混紡糸を用いることもできる。
これらの材質は、インク逆流防止栓のような小さな円筒形状に加工した場合においても、優れた屈折強度特性、弾力性等を有しており、さらに、インク収容筒内への嵌着が容易であり、嵌着させた際の形状保持性にも優れているため、好適に用いることができる。
【0019】
前記繊維束芯を構成する単繊維の太さは、0.5デニール以上5デニール以下であることが好ましく、より好ましくは、1デニール以上3デニール以下である。また、前記単繊維の本数は、1mm2あたり2700本以上4900本以下結束されたものであることが、繊維束芯の強度、弾性、形状保持性と適正な通気性とのバランスの観点から好ましい。
【0020】
また、前記繊維は、接着剤を用いて、上記のような繊維束芯として形成される。このとき用いられる接着剤としては、繊維に対して十分な接着強度を有し、希釈等により粘度調整が容易なものであれば、特に限定されないが、接着強度、接着後の繊維束芯の弾力性、溶剤希釈時の粘度特性が良好である等の観点から、ポリエステル繊維の場合には、ポリウレタン系接着剤が好適に用いられる。
この接着剤の使用量(希釈率)および繊維の本数により、インク逆流防止栓の気孔率を調節することができる。
ここで、前記接着剤を希釈するための溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルアセテート等を挙げることができる。
【0021】
また、前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以上55%以下である。
前記気孔率が35%未満の場合には、前記繊維束芯の接着加工時または乾燥時の発泡等により、繊維の長手方向と同一方向に連通した通気孔を確保することが困難となる。
また、弾力性に乏しく、インク収容筒内に圧縮して嵌着させることが困難となり、さらに、嵌着の際、圧縮により、さらに気孔がつぶれるため、通気孔がほとんどない状態となり、空気の流通が困難となる。
【0022】
一方、気孔率が60%以上の場合は、特に、インクのせん断粘性の低い水性ボールペン等においては、インク逆流防止栓からインクまたは/およびインク追従体が漏洩、流出してしまうおそれがあり、インクの逆流防止栓としての効果を果たすことは困難となる。
また、気孔率を大きくする場合には、使用する繊維の本数を少なくする必要があるため、繊維相互間の隙間が大きくなり、嵌着時の圧縮に対する十分な抗力および弾力性が得られず、さらに、完全な円筒形状に成形することが困難となる。
【0023】
また、気孔率を大きくするためには、使用する繊維の本数を減らすことなく、接着剤の使用量を減らすことによっても可能である。
ここで、繊維束芯を構成するポリエステル単繊維(3デニール)の本数と、溶剤により希釈したポリウレタンの樹脂固形分率と、これらを用いて製造した繊維束芯の気孔率との関係を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示したように、使用するポリエステル単繊維の本数と、接着剤の使用量(ポリウレタンの樹脂固形分率)とを調整することにより、繊維束芯の気孔率は自在に変化させることができる。
しかしながら、例えば、表1に示したサンプルNo.1の場合は、単繊維本数が1mm2あたり2700本とサンプルNo.2と同様であるが、接着剤の使用量(ポリウレタンの樹脂固形分率)が少なすぎて、繊維束芯の割れ、バラケや糸ほつれ等が発生し、インク収容筒内への嵌着が困難であった。
このような点からも、繊維束芯の気孔率は60%以下であることが好ましい。
【0026】
また、種々の気孔率を有する繊維束芯を、インク収容筒に嵌着させ、直流リークテスタを用いて、空気流通量を測定した結果を図2に示す。
図2からも判るように、計算上は、気孔率約35%のとき、空気流通量が0ml/minとなる。これは、嵌着前の繊維束芯の気孔率が35%未満の場合、嵌着後には通気しなくなる可能性が大きいことを意味する。
空気流通量が0となるときの気孔率が0%とならない原因としては、切断面の目詰まりおよびインク収容筒内への圧縮装入時の気孔のつぶれ等が考えられる。
【0027】
一方、気孔率は大きいほど、空気流通量は多く、筆記のためのインク消費速度に対応する通気性は十分であるが、上述したように、気孔率が60%を超える場合には、インク逆流防止栓からインクが漏洩、流出してしまうおそれがある。
しかも、通常の筆記によるインク消費速度に対応するために供給すべき空気量は、気孔率60%以下の場合であっても、十分に確保されるため、実際上、60%を超える気孔率は必要とされない。
したがって、インク逆流防止栓として使用される前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることが好ましい。
【0028】
上記のような構成からなる本発明に係るインク逆流防止栓は、例えば、太さ3デニール、長さ1mのポリエステル単繊維約60000本を、溶剤で希釈したポリウレタン系樹脂で接着し、得られた円筒形状の棒状体を所定の長さに切断することにより製造することができる。
【0029】
また、前記インク逆流防止栓は、特に、せん断粘性の低いインクが収容されたインク収容筒に嵌着される場合には、インク逆流防止効果および十分な通気性を確保する観点から、少なくとも、該インクの粘度は、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であることが好ましい。
なお、インク追従体を用いた場合も、インク追従体が機能せずに、該インク追従体の後方にインクが漏洩、流出する可能性もあるため、インクの粘度は上記範囲内であることが好ましい。
【0030】
上記インク逆流防止栓は、ボールペン、サインペン、マーカー、筆ペン等、油性、水性を問わず、液状の筆記媒体を用い、該液媒体の収容筒を有する筆記具であれば、特に限定されることなく適用させることができる。特に、ボールペンのインク収容筒からのインクまたは/およびインク追従体の逆流防止栓として好適に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET)の3デニールの単繊維61500本を束ねて、二液硬化型ポリウレタン(樹脂固形分10%)を含浸させた後、前記繊維表面を相互に接着させ、気孔率43%、直径4mmの円形断面を有する棒状体の繊維束芯を作製した。
そして、この繊維束芯を切断して、直径4mm、長さ6mmの円筒形状のインク逆流防止栓を得た。
一方、インク収容筒に表2に示す組成からなる水性インク試料A〜Eをそれぞれ充填した。なお、これらの水性インク試料A〜EのE型粘度計(25℃)による粘度測定結果を表3に示す。
そして、内径4mm、外径5.4mmのインク収容筒の後方に、前記インク逆流防止栓を嵌着させたペンを作製した。すなわち、ポリエステル単繊維は、1mm2あたり約4900本である。
そして、各ペンを上向きに筆記し、ペン先から空気を入れて逆流させて、インクを逆止栓まで落下させて接触させた状態で、25℃、相対湿度65%の環境下に24時間放置し、インクがインク逆流防止栓を通過して、インク収容筒外に漏洩するか否かを評価した。
これらの結果を表4に示す。
【0032】
[実施例2〜5]
表4の実施例2〜5に示したような各気孔率のインク逆流防止栓を、それぞれ実施例1と同様にして作製し、実施例1と同様にして、インク逆流防止栓の性能評価を行った。
これらの結果を表4に示す。
【0033】
[比較例1〜4]
表4の比較例1〜4に示したような各気孔率のインク逆流防止栓を、それぞれ実施例1と同様にして作製し、実施例1と同様にして、インク逆流防止栓の性能評価を行った。
これらの結果を表4に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
表4に示したように、通常用いられる程度の粘性のインク(試料A〜C)であれば、気孔率35%以上60%以下の場合は(実施例1〜5)、インクは漏洩せず、インク逆流防止栓として、十分に用いることができることが認められた。
なお、粘性の低いインク(試料D、E)の場合であっても、通常用いられるゲル状等のインク追従体を併用することにより、気孔率60%の繊維束芯も(実施例)、十分にインク逆流防止栓として適用することができることが認められた。
よって、せん断粘性が低いインクが収容されたインク収容筒に用いられる場合、インクの粘度が、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であることが好ましい。
【0038】
一方、気孔率が35%未満の場合は(比較例1)、インクの漏洩は認められなかったが、気孔率が小さすぎるため、筆記によるインク消費速度に対応する空気をインク後端に十分に供給することができる程度の通気性が確保されず、筆記性に劣るものであった。
【0039】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るインク逆流防止栓は、定着性に優れており、インクおよび/またはインク追従体の逆流を防止することができる。また、インク収容筒内に容易に嵌着することができ、機械装入の効率化を図ることができ、筆記具の製造コストの抑制にも寄与することができる。
さらに、本発明に係るインク逆流防止栓は、筆記によるインク消費速度に対応する空気をインク収容筒後端から十分に供給することができる程度の通気性が確保されているため、ペン先へのインク供給速度も十分であり、優れた筆記性をも担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインク逆流防止栓が嵌着されたボールペンの一例を示すペン軸筒方向における概略断面図である。
【図2】インク逆流防止栓の気孔率と空気流量との相関を示した線図である。
【符号の説明】
1 ペン先チップ
2 継手
3 前軸筒
4 インク
5 インク追従体
6 インク逆流防止栓
7 後軸筒
Claims (7)
- インク収容筒の後方に嵌着されるインク逆流防止用の芯状栓であって、
前記芯状栓は、繊維表面が相互に部分接着された繊維束芯からなり、前記インク収容筒への装入方向と前記繊維の長手方向とが一致していることを特徴とするインク逆流防止栓。 - 前記繊維束芯の気孔率は、35%以上60%以下であることを特徴とする請求項1記載のインク逆流防止栓。
- 前記繊維束芯は、0.5デニール以上5デニール以下の単繊維が、1mm2あたり2700本以上4900本以下結束されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインク逆流防止栓。
- 前記繊維束芯は、ポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のインク逆流防止栓。
- 前記ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項4記載のインク逆流防止栓。
- 前記ポリエステル繊維は、ポリウレタン系接着剤により接着されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載のインク逆流防止栓。
- インクの粘度が、25℃においてE型粘度計で、回転数2.5の場合に507cP以上、かつ、回転数50の場合に119cP以上であるインクが収容されたインク収容筒に嵌着されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のインク逆流防止栓。
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