JP2004122528A - 車両用サンバイザの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイザ本体が第一構成体と第二構成体とが厚み方向に結合されることで構成される車両用サンバイザであって、その車両用サンバザを容易な構成とするとともに、第一構成体と第二構成体を強く結合させることができる車両用サンバイザの製造方法を提供する。
【解決手段】バイザ本体2が熱可塑性樹脂を素材として形成された第一構成体3と第二構成体4とを厚み方向に結合させることで構成される車両用サンバイザ1の製造方法であって、第一構成体3と第二構成体4との間に磁性体を素材として形成された磁性部材5を設置し、その磁性部材5を誘導加熱により発熱させ、その熱によって第一構成体3と第二構成体4とを溶着により結合させる。
【選択図】 図2
【解決手段】バイザ本体2が熱可塑性樹脂を素材として形成された第一構成体3と第二構成体4とを厚み方向に結合させることで構成される車両用サンバイザ1の製造方法であって、第一構成体3と第二構成体4との間に磁性体を素材として形成された磁性部材5を設置し、その磁性部材5を誘導加熱により発熱させ、その熱によって第一構成体3と第二構成体4とを溶着により結合させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車室天井面に取り付けられて車室内への光の侵入を防ぐ車両用サンバイザの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用サンバイザは、様々な構成を備え、その製造方法も様々な方法がある。例えば下記の特許文献1に開示された車両用サンバイザが知られている。
この特許文献1によると、車両用サンバザは、中空板状のバイザ本体を備え、そのバイザ本体は、第一構成体と第二構成体とが厚み方向に結合されることで構成されている。なお第一構成体と第二構成体は、インテグラルヒンジによって一端側が連結された構成になっている。
そして第一構成体は、第二構成体に向けて突出する係合部を有し、第二構成体は、その係合部に係合する係止部を有する。したがって係止部が係合部に係合することで第一構成体と第二構成体とが結合されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−277847号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし係合部と係止部は、相互に結合する構造であって、その構造は、爪などを有する複雑な構造であった。また係合部による係合では、十分な結合力を得ることができない場合もあった。
そこで本発明は、バイザ本体が第一構成体と第二構成体とが厚み方向に結合されることで構成される車両用サンバイザであって、その車両用サンバザを容易な構成とするとともに、第一構成体と第二構成体を強く結合させることができる車両用サンバイザの製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、上記各請求項に記載の通りの構成を備える車両用サンバイザの製造方法であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第一構成体と第二構成体との間に磁性体を素材として形成された磁性部材を設置し、その磁性部材を誘導加熱により発熱させ、その熱によって第一構成体と第二構成体とを溶着により結合させる。
【0006】
すなわち磁性部材を誘導加熱によって発熱させ、その熱によって第一構成体と第二構成体とを溶着させる。したがって第一構成体と第二構成体は、従来のような係合させるための複雑な係合部などを必要としない。このためバイザ本体を容易な構成にすることができる。
また溶着による結合は、従来の係合による結合よりも強い結合力を生じ、第一構成体と第二構成体とを強く結合させることができる。
また磁性部材は、容易に誘導加熱させることができる。例えばコイルに電流を加えて磁界を発生させ、その磁界により磁性部材を誘導加熱させることができる。
なお磁性部材は、磁性体のみから形成されるものに限定されず、例えば、磁性体が混合された材料を素材として形成される形態であってもよいし、磁性体を素材とする磁性部を含む複合材から形成される形態であってもよい。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、磁性部材は、バイザ本体の外周に沿って環状に形成され、これによって磁性部材を誘導加熱しやすくしている。
ところで磁性部材が環状に形成されていない場合は、その端部において電流の流れが制限されて渦電流が生じにくい場合があった。これに対して本発明では、磁性部材が環状に形成されて端部を有さないため、磁性部材が誘導加熱しやすい。かくして第一構成体と第二構成体とを容易に溶着させることできる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、第一構成体は、第一結合部を有する。そして第一結合部に、磁性部材と、第二構成体に形成された第二結合部を差込み、その状態で磁性部材を誘導加熱させることで第一構成体と第二構成体とを結合させる。
すなわち第一結合部には、磁性部材と第二結合部が差し込まれる。そのため第一結合部と第二結合部は、溶着する面積が広くなり、強く結合する。このため第一構成体と第二構成体は、強く結合する。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、磁性部材は、長尺状の板材を環状にし、その板材の幅方向をバイザ本体の厚み方向にすることで、バイザ本体の厚み方向の剛性を向上できる構造にしている。
すなわち磁性部材は、第一構成体と第二構成体とを溶着するとともに、バイザ本体の厚み方向の剛性を向上する。したがってバイザ本体は、磁性部材によって厚み方向の潰れが防止されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1を図1〜5にしたがって説明する。
実施の形態1にかかる車両用サンバイザ1は、図1に示すように板状のバイザ本体2と、そのバイザ本体2に差し込まれてバイザ本体2を回動可能に支持する支軸10を有する。
支軸10は、図1に示すように縦軸10aと横軸10bとを有して略L字状に形成されている。そして横軸10bにバイザ本体2が軸周り方向に回動可能に装着される。また縦軸10aは、取付ブラケット11を介して車室天井面に回動可能に装着される。
【0011】
したがってバイザ本体2は、横軸10b周りに回動されることで、車室天井面に沿う収納位置と、フロントガラスに沿うフロント位置とに回動する。またバイザ本体2は、支軸10を縦軸10a周りに回動させることでフロント位置とサイドガラスに沿ったサイド位置とに回動する。
【0012】
またバイザ本体2は、図1に示すように外周に沿って形成された枠状の枠体20と、その枠体20の枠内を覆い塞ぐ板状のプレート体21を有する。
枠体20(バイザ本体2)は、図2に示すように第一構成体3と第二構成体4を有する。第一構成体3は、枠体20の表面を構成するシェル部30を有し、第二構成体4は、枠体20の裏面を構成すシェル部40を有する。したがって枠体20(バイザ本体2)は、第一構成体3と第二構成体4を厚み方向に結合させることで中空状に形成される。
また第一構成体3、第二構成体4およびプレート体21は、それぞれ熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)を素材として形成されている。
【0013】
第一構成体3は、図2に示すように内側面に第一結合部31を一体状に有し、第二構成体4も内側面に第二結合部41を一体状に有する。そして第一結合部31と第二結合部41は、溶着されることで結合している。すなわち第一結合部31と第二結合部41は、シェル部30,40から中空部へ向けてリブ状に突出し、相互に溶着している。
また第一結合部31と第二構成体4の間には、磁性体を素材として形成された磁性部材5が設けられている。この磁性部材5は、誘導加熱によって発熱する部材であって、発熱することで第一構成体3と第二構成体4とを溶着する部材である。
【0014】
磁性部材5は、例えば、導電性のある金属製のワイヤーから形成され、図1に示すようにバイザ本体2の外周に沿って配設されている。また磁性部材5の両先端は、溶接などによって接続され、磁性部材5は、環状に形成されている。
また第一結合部31と第二結合部41は、図1に示すようにバイザ本体2の外周に沿って長尺状に形成され、外周に沿って複数配設されている。そして第一結合部31と第二結合部41との間に磁性部材5が設けられている(図2参照)。
【0015】
次に、第一構成体3と第二構成体4とを結合(溶着)させるための装置6について説明する。
装置6は、図3に示すように作業台60と、その作業台60の上に設置された治具61を有する。また装置6は、治具61にセットされたバイザ本体2を上方から押す(加圧する)プレス装置62を有する。さらに装置6は、磁界を発生させるための磁界発生装置も備える。この磁界発生装置は、電流を供給する電流供給装置63と、電流供給装置63からの電流が流されることで磁界を発生する磁界発生部64を有する。
【0016】
治具61は、図4に示すようにバイザ本体2を設置するために形成された凹部61bを有する。また治具61は、凹部61bの外周の外側に沿って形成された溝部61aを有し、この溝部61aに磁界発生部64が設置される。
なお磁界発生部64は、バイザ本体2に可能な限り近接した位置に設けることが好ましい。磁界発生部64をバイザ本体2に配設された磁性部材5に近接させることで、磁性部材5を誘導加熱させやすいからである。
【0017】
磁界発生部64は、導電性の金属、例えば銅を素材とする中空管から形成されている。そして図4に示すように磁界発生部64の両端64b,64cには、それぞれリード線65が接続され、リード線65が電流供給装置63に接続されている。
電流供給装置63は、図3に示すように交流電流発生手段63aと、周波数変換手段63bとを備える。そして電流供給装置63は、リード線65を介して所定の電流・周波数を有する交流電流を磁界発生部64に供給する。したがって磁界発生部64には、交流電流が流れ、磁界が発生する(励磁する)。
【0018】
ところで磁界発生部64は、交流電流が流されることでジュール熱が生じて発熱する。そして磁界発生部64は、その熱を冷却するために図4に示すように両端64b,64cに配管66が接続されている。そして配管66の一方から冷却水などの冷却媒体Wが供給され、冷却媒体Wが磁界発生部64内を流れ、他方の配管66から排出される。これによって磁界発生部64が冷却される。したがって作業者は作業がしやすく、治具61は磁界発生部64の熱により溶融することが防止される。
プレス装置62は、図3に示すようにバイザ本体2を上方から押えるための加圧体62aと、その加圧体62aを上下に移動させるための駆動装置62b(例えば、シリンダ)を備える。
【0019】
次に、車両用サンバイザ1の製造方法を説明する。
先ず、セット工程(図5のステップS1)を行う。すなわち図3に示すように治具61に第一構成体3を設置し、第一構成体3の第一結合部31に磁性部材5を設置する。すなわち第一結合部31は、図3に示すように溝31aを有し、その溝31a内に磁性部材5を差し込む。
【0020】
続いて、プレート体21を設置し、第二構成体4を設置する。これによってプレート体21は、第一構成体3と第二構成体4との間に配設される(図3参照)。また磁性部材5も第一構成体3と第二構成体4との間に配設される。
そして第二構成体4の第二結合部41は、図3に示すように第一構成体3の第一結合部31の溝31a内に差込まれる。
【0021】
次に、第一結合部31と第二結合部41とを溶着する溶着工程(図5のステップS2)を行う。先ず、プレス装置62で第二構成体4を上方から下方へ加圧する。なお加圧の力は、小さくて良く、第二構成体4が上方へ移動するのを押える程度でよい。
そして電流供給装置63によって磁界発生部64に所望の周波数、所望の電流量を有する交流を流す。これによって磁界発生部64から磁界が発生し、その磁力は、磁界発生部64に流れる交流にしたがって変動する。
【0022】
そして磁性部材5は、その磁力(磁界)の変動によって渦電流が生じ、その渦電流により磁性部材5にジュール熱が発生する。すなわち磁性部材5は、誘導加熱されて発熱する。
そしてその熱によって第一結合部31と第二結合部41が溶融し、溶融された部分が冷えて固まることで第一結合部31と第二結合部41が溶着する。かくして第一構成体3と第二構成体4は、溶着により結合する。
次に組付工程(図5のステップS3)を行う。すなわちバイザ本体2を装置6から取外し、支軸10およびサポート軸12をバイザ本体2に取り付ける(図1参照)。
【0023】
以上のようにして車両用サンバイザ1が製造される。
すなわち磁性部材5を誘導加熱によって発熱させ、その熱によって第一構成体3と第二構成体4とを溶着させている。したがって第一構成体3と第二構成体4は、従来のような係合させるための複雑な係合部などを必要としない。このためバイザ本体2を容易な構成にすることができる。
また溶着による結合は、従来の係合による結合よりも強い結合力を生じ、第一構成体3と第二構成体4を強く結合させることができる。
【0024】
そして本形態にかかる車両用サンバイザ1は、バイザ本体2の外表面に表皮材を有しない形態である。一方、バイザ本体が表皮材に被覆される形態は、表皮材によっても第一構成体と第二構成体とが離れることが防止される形態である。したがって本形態では、第一構成体3と第二構成体4が強く結合する必要があるが、その結合は、溶着によって強くなされている。
また磁性部材5の誘導加熱は、磁界発生部64に電流を流すことで生じるため、容易に発生させることができる。
【0025】
また誘導加熱による温度上昇は、迅速であり、その温度調整も容易である。そのためバイザ本体2を容易に製造することができる。また誘導加熱は、エネルギー効率が高いため、車両用サンバイザ1の製造コストを下げることができる。
また第一構成体3と第二構成体4は、プレス装置62から小さな力を受けるのみで製造時において外部から大きな力を受けない。したがってバイザ本体2は、外部からの力により外表面が傷つけられることが少ない。なお本形態は、バイザ本体2を被覆する表皮材を有しないため、バイザ本体2の外表面を傷付けないことは、製造時の重要な要素の一つである。
【0026】
また第一構成体3と第二構成体4は、融点が高い材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどの結晶性高分子、あるいは樹脂材にゴム材が含有された材料から形成される場合であっても、誘導加熱によって合理的に溶着することができる。例えば超音波溶着を利用して第一構成体3と第二構成体4とを溶着させる場合は、第一構成体3と第二構成体4とを大きな力で押えながら超音波を加える必要があり、その力でバイザ本体2の外表面に傷が付くおそれがあった。しかし誘導加熱を利用する場合は、そのような心配がほとんどなく、バイザ本体2の外表面が傷付きにくい。
【0027】
また磁性部材5は、環状に形成されているため、誘導加熱されやすい。すなわち磁性部材が環状に形成されていない場合は、その端部において電流の流れが制限されて渦電流が生じにくい場合があった。これに対して本形態では、磁性部材5が環状に形成されて端部を有さないため、磁性部材5が誘導加熱されやすい。
また第一結合部31には、磁性部材5と第二結合部41が差し込まれる。そのため第一結合部31と第二結合部41は、溶着する面積が広くなり、強く結合する。このため第一構成体3と第二構成体4は、強く結合する。
【0028】
また本形態の車両用サンバイザ1は、リサイクルにも適している。すなわち使用済み、あるいは不良品となった車両用サンバイザ1を装置6にセットする。そして溶着工程(図5のステップS2)と同様に磁性部材5に磁界を加えることで磁性部材5を発熱させる。そしてその熱によって第一構成体3と第二構成体4との溶着部分を溶融させ、その溶融状態時に第一構成体3と第二構成体4とを引き離すことで分解できる。かくして車両用サンバイザ1をリサイクルしやすい。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態2を図6,7にしたがって説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の磁性部材5に代えて磁性部材70を有する構造である。
磁性部材70は、図7に示すように磁性体を素材とした長尺状の板材から形成されている。例えば帯状の鉄板から形成されている。
【0030】
磁性部材70は、例えば板厚tが0.5mm〜2mmであって、幅Hが2mm〜5mmである。そして磁性部材70は、環状に形成され、図1に示す磁性部材5に代えてバイザ本体2の外周に沿って設置される。
また第一構成体3は、図3に示すように溝31aに代えて図6に示す溝31cを有する。すなわち磁性部材70の幅Hに応じた深さの溝31cを有する。また磁性部材70は、板材の幅H方向をバイザ本体2の厚み方向にすることで、バイザ本体2の厚み方向の剛性を向上できる構造になっている。
そして実施の形態1と同様にして、第一構成体3と第二構成体4とが溶着され、車両用サンバイザが製造される。
【0031】
以上のようにして車両用サンバイザが製造され、構成される。
すなわち磁性部材70は、第一構成体3と第二構成体4とを溶着するとともに、バイザ本体2の厚み方向の剛性を向上する。したがってバイザ本体2は、磁性部材70によって厚み方向の潰れが防止されている。
また図3に示すように磁界発生部64によって発生した磁界Bは、バイザ本体2の厚み方向に発生する。したがって磁性部材70は、図6に示すように磁界B方向に厚くなっている。このため磁性部材70は、磁力線を閉じ込めやすく、これによって誘導加熱が生じやすい。かくして車両用サンバイザ1は、少ないエネルギーで製造されやすい。
【0032】
(実施の形態3)
実施の形態3を図8,9にしたがって説明する。
実施の形態3は、実施の形態1の磁性部材5に代えて図9に示す磁性部材71を有する。そして実施の形態1の第一結合部31に代えて第一結合部32を有し、第二結合部41に代えて第二結合部42を有する。
またこれら結合部32,42は、実施の形態1と同様にバイザ本体2の外周に沿って第一構成体3と第二構成体4のそれぞれに複数設けられている。
【0033】
磁性部材71は、図9に示すように磁性体を素材として、Oリング状に形成されている。
また第一結合部32は、略筒状に形成され、上端側から径の大きな第一凹部32aと径の小さな第二凹部32bを備える。そして第一凹部32aと第二凹部32bとの径の差によって形成された床部32cを有し、この床部32cに磁性部材71が配設される。
【0034】
第二結合部42は、図9に示すように略筒状に形成されており、図8に示すように第一結合部32の第一凹部32a内に差込まれる。そして第二結合部42のの先端と第一結合部32の床部32cによって磁性部材71を挟持する。
そして実施の形態1と同様にして、第一構成体3と第二構成体4とが溶着され、車両用サンバイザが製造される。
【0035】
(実施の形態4)
実施の形態4を図10にしたがって説明する。
実施の形態4は、実施の形態1の磁性部材5に代えて図10に示すシート状の磁性部材72を有する。そして実施の形態1の第一結合部31に代えて第一結合部33を有し、第二結合部41に代えて第二結合部43を有する。
磁性部材72は、樹脂から形成されたベース部に、磁性体から形成された磁性部を混入することでシート状に形成されている。磁性部は、例えば細い繊維状、あるいは粒状に形成されている。またベース部は、熱可塑性樹脂を素材として形成され、磁性部材72の発熱により溶融する。好ましくは、第一構成体3および第二構成体4と同じ樹脂材から形成され、第一構成体3と第二構成体4に溶着しやすい材料から形成されている。
【0036】
また第一結合部33は、図10に示すように第二構成体4へ突出し、第二結合部43は、第一構成体3へ突出する。そして第一結合部33と第二結合部42は、それぞれの先端面が磁性部材72を介して突き合う。そして第一結合部33と第二結合部42は、磁性部材72の誘導加熱により溶融し、磁性部材72のベース部も溶融する。これにより第一結合部33と第二結合部42は、磁性部材72のベース部を介して溶着する。
なお磁性部材72の誘導加熱は、実施の形態1と同様にして装置6により発生する。
【0037】
(他の実施の形態)
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、下記の形態であってもよい。
(1)上記の実施の形態1〜3では、磁性部材が磁性体を素材として形成されていた。しかし磁性部材が磁性体を含有する形態なら何でもよく。例えば実施の形態4と同様に樹脂材に繊維状または粒状の磁性体から形成された磁性部を含む複合材から形成される形態であってもよい。または磁性体を一部に含む材料を素材として形成される形態であってもよい。
(2)上記の実施の形態では、プレート体が第一構成体および第二構成体と別体状に形成されていた。しかし図11に示すようにプレート体22が第二構成体4と一体状に形成される形態であってもよい。あるいはプレート体22が第一構成体3と一体状に形成される形態であってもよい。
(3)また上記の実施の形態では、バイザ本体が枠状に形成された枠体と、その枠体の枠内を閉塞するプレート体とを備えて構成されていた。しかし図12,13に示すようにバイザ本体2が中空板状に形成され、そのバイザ本体2が第一構成体3と第二構成体4とを厚み方向に重ねることで形成される形態であってもよい。
(4)また上記の実施の形態では、磁界発生部が中空管状に形成されていた。しかし中空管状の磁界発生部に代えて、導電性のある金属線から形成される形態、すなわちコイルによって構成される形態であってもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る車両用サンバイザの製造方法によれば、誘導加熱を利用することで第一構成体と第二構成体とが溶着される。したがって第一構成体と第二構成体は、容易な構成になるとともに、強く結合される。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用サンバイザの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面矢視図である。
【図3】装置の側面図である。
【図4】治具および磁界発生部の天面図である。
【図5】車両用サンバイザの製造工程図である。
【図6】実施の形態2のバイザ本体の一部断面図である。
【図7】実施の形態2の磁性部材の斜視図である。
【図8】実施の形態3のバイザ本体の一部断面図である。
【図9】実施の形態3の磁性部材、第一結合部および第二結合部の斜視図である。
【図10】実施の形態4のバイザ本体の一部断面図である。
【図11】他の実施の形態のバイザ本体の断面図である。
【図12】他の実施の形態の車両用サンバイザの斜視図である。
【図13】図12のB−B線断面矢視図である。
【符号の説明】
1…車両用サンバイザ
2…バイザ本体
3…第一構成体
4…第二構成体
5,70〜72…磁性部材
6…装置
20…枠体
21,22…プレート体
31,32,33…第一結合部
41,42,43…第二結合部
61…治具
62…プレス装置
63…電流供給装置
64…磁界発生部
65…リード線
66…配管
【発明の属する技術分野】
この発明は、車室天井面に取り付けられて車室内への光の侵入を防ぐ車両用サンバイザの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用サンバイザは、様々な構成を備え、その製造方法も様々な方法がある。例えば下記の特許文献1に開示された車両用サンバイザが知られている。
この特許文献1によると、車両用サンバザは、中空板状のバイザ本体を備え、そのバイザ本体は、第一構成体と第二構成体とが厚み方向に結合されることで構成されている。なお第一構成体と第二構成体は、インテグラルヒンジによって一端側が連結された構成になっている。
そして第一構成体は、第二構成体に向けて突出する係合部を有し、第二構成体は、その係合部に係合する係止部を有する。したがって係止部が係合部に係合することで第一構成体と第二構成体とが結合されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−277847号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし係合部と係止部は、相互に結合する構造であって、その構造は、爪などを有する複雑な構造であった。また係合部による係合では、十分な結合力を得ることができない場合もあった。
そこで本発明は、バイザ本体が第一構成体と第二構成体とが厚み方向に結合されることで構成される車両用サンバイザであって、その車両用サンバザを容易な構成とするとともに、第一構成体と第二構成体を強く結合させることができる車両用サンバイザの製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、上記各請求項に記載の通りの構成を備える車両用サンバイザの製造方法であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第一構成体と第二構成体との間に磁性体を素材として形成された磁性部材を設置し、その磁性部材を誘導加熱により発熱させ、その熱によって第一構成体と第二構成体とを溶着により結合させる。
【0006】
すなわち磁性部材を誘導加熱によって発熱させ、その熱によって第一構成体と第二構成体とを溶着させる。したがって第一構成体と第二構成体は、従来のような係合させるための複雑な係合部などを必要としない。このためバイザ本体を容易な構成にすることができる。
また溶着による結合は、従来の係合による結合よりも強い結合力を生じ、第一構成体と第二構成体とを強く結合させることができる。
また磁性部材は、容易に誘導加熱させることができる。例えばコイルに電流を加えて磁界を発生させ、その磁界により磁性部材を誘導加熱させることができる。
なお磁性部材は、磁性体のみから形成されるものに限定されず、例えば、磁性体が混合された材料を素材として形成される形態であってもよいし、磁性体を素材とする磁性部を含む複合材から形成される形態であってもよい。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、磁性部材は、バイザ本体の外周に沿って環状に形成され、これによって磁性部材を誘導加熱しやすくしている。
ところで磁性部材が環状に形成されていない場合は、その端部において電流の流れが制限されて渦電流が生じにくい場合があった。これに対して本発明では、磁性部材が環状に形成されて端部を有さないため、磁性部材が誘導加熱しやすい。かくして第一構成体と第二構成体とを容易に溶着させることできる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、第一構成体は、第一結合部を有する。そして第一結合部に、磁性部材と、第二構成体に形成された第二結合部を差込み、その状態で磁性部材を誘導加熱させることで第一構成体と第二構成体とを結合させる。
すなわち第一結合部には、磁性部材と第二結合部が差し込まれる。そのため第一結合部と第二結合部は、溶着する面積が広くなり、強く結合する。このため第一構成体と第二構成体は、強く結合する。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、磁性部材は、長尺状の板材を環状にし、その板材の幅方向をバイザ本体の厚み方向にすることで、バイザ本体の厚み方向の剛性を向上できる構造にしている。
すなわち磁性部材は、第一構成体と第二構成体とを溶着するとともに、バイザ本体の厚み方向の剛性を向上する。したがってバイザ本体は、磁性部材によって厚み方向の潰れが防止されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1を図1〜5にしたがって説明する。
実施の形態1にかかる車両用サンバイザ1は、図1に示すように板状のバイザ本体2と、そのバイザ本体2に差し込まれてバイザ本体2を回動可能に支持する支軸10を有する。
支軸10は、図1に示すように縦軸10aと横軸10bとを有して略L字状に形成されている。そして横軸10bにバイザ本体2が軸周り方向に回動可能に装着される。また縦軸10aは、取付ブラケット11を介して車室天井面に回動可能に装着される。
【0011】
したがってバイザ本体2は、横軸10b周りに回動されることで、車室天井面に沿う収納位置と、フロントガラスに沿うフロント位置とに回動する。またバイザ本体2は、支軸10を縦軸10a周りに回動させることでフロント位置とサイドガラスに沿ったサイド位置とに回動する。
【0012】
またバイザ本体2は、図1に示すように外周に沿って形成された枠状の枠体20と、その枠体20の枠内を覆い塞ぐ板状のプレート体21を有する。
枠体20(バイザ本体2)は、図2に示すように第一構成体3と第二構成体4を有する。第一構成体3は、枠体20の表面を構成するシェル部30を有し、第二構成体4は、枠体20の裏面を構成すシェル部40を有する。したがって枠体20(バイザ本体2)は、第一構成体3と第二構成体4を厚み方向に結合させることで中空状に形成される。
また第一構成体3、第二構成体4およびプレート体21は、それぞれ熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)を素材として形成されている。
【0013】
第一構成体3は、図2に示すように内側面に第一結合部31を一体状に有し、第二構成体4も内側面に第二結合部41を一体状に有する。そして第一結合部31と第二結合部41は、溶着されることで結合している。すなわち第一結合部31と第二結合部41は、シェル部30,40から中空部へ向けてリブ状に突出し、相互に溶着している。
また第一結合部31と第二構成体4の間には、磁性体を素材として形成された磁性部材5が設けられている。この磁性部材5は、誘導加熱によって発熱する部材であって、発熱することで第一構成体3と第二構成体4とを溶着する部材である。
【0014】
磁性部材5は、例えば、導電性のある金属製のワイヤーから形成され、図1に示すようにバイザ本体2の外周に沿って配設されている。また磁性部材5の両先端は、溶接などによって接続され、磁性部材5は、環状に形成されている。
また第一結合部31と第二結合部41は、図1に示すようにバイザ本体2の外周に沿って長尺状に形成され、外周に沿って複数配設されている。そして第一結合部31と第二結合部41との間に磁性部材5が設けられている(図2参照)。
【0015】
次に、第一構成体3と第二構成体4とを結合(溶着)させるための装置6について説明する。
装置6は、図3に示すように作業台60と、その作業台60の上に設置された治具61を有する。また装置6は、治具61にセットされたバイザ本体2を上方から押す(加圧する)プレス装置62を有する。さらに装置6は、磁界を発生させるための磁界発生装置も備える。この磁界発生装置は、電流を供給する電流供給装置63と、電流供給装置63からの電流が流されることで磁界を発生する磁界発生部64を有する。
【0016】
治具61は、図4に示すようにバイザ本体2を設置するために形成された凹部61bを有する。また治具61は、凹部61bの外周の外側に沿って形成された溝部61aを有し、この溝部61aに磁界発生部64が設置される。
なお磁界発生部64は、バイザ本体2に可能な限り近接した位置に設けることが好ましい。磁界発生部64をバイザ本体2に配設された磁性部材5に近接させることで、磁性部材5を誘導加熱させやすいからである。
【0017】
磁界発生部64は、導電性の金属、例えば銅を素材とする中空管から形成されている。そして図4に示すように磁界発生部64の両端64b,64cには、それぞれリード線65が接続され、リード線65が電流供給装置63に接続されている。
電流供給装置63は、図3に示すように交流電流発生手段63aと、周波数変換手段63bとを備える。そして電流供給装置63は、リード線65を介して所定の電流・周波数を有する交流電流を磁界発生部64に供給する。したがって磁界発生部64には、交流電流が流れ、磁界が発生する(励磁する)。
【0018】
ところで磁界発生部64は、交流電流が流されることでジュール熱が生じて発熱する。そして磁界発生部64は、その熱を冷却するために図4に示すように両端64b,64cに配管66が接続されている。そして配管66の一方から冷却水などの冷却媒体Wが供給され、冷却媒体Wが磁界発生部64内を流れ、他方の配管66から排出される。これによって磁界発生部64が冷却される。したがって作業者は作業がしやすく、治具61は磁界発生部64の熱により溶融することが防止される。
プレス装置62は、図3に示すようにバイザ本体2を上方から押えるための加圧体62aと、その加圧体62aを上下に移動させるための駆動装置62b(例えば、シリンダ)を備える。
【0019】
次に、車両用サンバイザ1の製造方法を説明する。
先ず、セット工程(図5のステップS1)を行う。すなわち図3に示すように治具61に第一構成体3を設置し、第一構成体3の第一結合部31に磁性部材5を設置する。すなわち第一結合部31は、図3に示すように溝31aを有し、その溝31a内に磁性部材5を差し込む。
【0020】
続いて、プレート体21を設置し、第二構成体4を設置する。これによってプレート体21は、第一構成体3と第二構成体4との間に配設される(図3参照)。また磁性部材5も第一構成体3と第二構成体4との間に配設される。
そして第二構成体4の第二結合部41は、図3に示すように第一構成体3の第一結合部31の溝31a内に差込まれる。
【0021】
次に、第一結合部31と第二結合部41とを溶着する溶着工程(図5のステップS2)を行う。先ず、プレス装置62で第二構成体4を上方から下方へ加圧する。なお加圧の力は、小さくて良く、第二構成体4が上方へ移動するのを押える程度でよい。
そして電流供給装置63によって磁界発生部64に所望の周波数、所望の電流量を有する交流を流す。これによって磁界発生部64から磁界が発生し、その磁力は、磁界発生部64に流れる交流にしたがって変動する。
【0022】
そして磁性部材5は、その磁力(磁界)の変動によって渦電流が生じ、その渦電流により磁性部材5にジュール熱が発生する。すなわち磁性部材5は、誘導加熱されて発熱する。
そしてその熱によって第一結合部31と第二結合部41が溶融し、溶融された部分が冷えて固まることで第一結合部31と第二結合部41が溶着する。かくして第一構成体3と第二構成体4は、溶着により結合する。
次に組付工程(図5のステップS3)を行う。すなわちバイザ本体2を装置6から取外し、支軸10およびサポート軸12をバイザ本体2に取り付ける(図1参照)。
【0023】
以上のようにして車両用サンバイザ1が製造される。
すなわち磁性部材5を誘導加熱によって発熱させ、その熱によって第一構成体3と第二構成体4とを溶着させている。したがって第一構成体3と第二構成体4は、従来のような係合させるための複雑な係合部などを必要としない。このためバイザ本体2を容易な構成にすることができる。
また溶着による結合は、従来の係合による結合よりも強い結合力を生じ、第一構成体3と第二構成体4を強く結合させることができる。
【0024】
そして本形態にかかる車両用サンバイザ1は、バイザ本体2の外表面に表皮材を有しない形態である。一方、バイザ本体が表皮材に被覆される形態は、表皮材によっても第一構成体と第二構成体とが離れることが防止される形態である。したがって本形態では、第一構成体3と第二構成体4が強く結合する必要があるが、その結合は、溶着によって強くなされている。
また磁性部材5の誘導加熱は、磁界発生部64に電流を流すことで生じるため、容易に発生させることができる。
【0025】
また誘導加熱による温度上昇は、迅速であり、その温度調整も容易である。そのためバイザ本体2を容易に製造することができる。また誘導加熱は、エネルギー効率が高いため、車両用サンバイザ1の製造コストを下げることができる。
また第一構成体3と第二構成体4は、プレス装置62から小さな力を受けるのみで製造時において外部から大きな力を受けない。したがってバイザ本体2は、外部からの力により外表面が傷つけられることが少ない。なお本形態は、バイザ本体2を被覆する表皮材を有しないため、バイザ本体2の外表面を傷付けないことは、製造時の重要な要素の一つである。
【0026】
また第一構成体3と第二構成体4は、融点が高い材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどの結晶性高分子、あるいは樹脂材にゴム材が含有された材料から形成される場合であっても、誘導加熱によって合理的に溶着することができる。例えば超音波溶着を利用して第一構成体3と第二構成体4とを溶着させる場合は、第一構成体3と第二構成体4とを大きな力で押えながら超音波を加える必要があり、その力でバイザ本体2の外表面に傷が付くおそれがあった。しかし誘導加熱を利用する場合は、そのような心配がほとんどなく、バイザ本体2の外表面が傷付きにくい。
【0027】
また磁性部材5は、環状に形成されているため、誘導加熱されやすい。すなわち磁性部材が環状に形成されていない場合は、その端部において電流の流れが制限されて渦電流が生じにくい場合があった。これに対して本形態では、磁性部材5が環状に形成されて端部を有さないため、磁性部材5が誘導加熱されやすい。
また第一結合部31には、磁性部材5と第二結合部41が差し込まれる。そのため第一結合部31と第二結合部41は、溶着する面積が広くなり、強く結合する。このため第一構成体3と第二構成体4は、強く結合する。
【0028】
また本形態の車両用サンバイザ1は、リサイクルにも適している。すなわち使用済み、あるいは不良品となった車両用サンバイザ1を装置6にセットする。そして溶着工程(図5のステップS2)と同様に磁性部材5に磁界を加えることで磁性部材5を発熱させる。そしてその熱によって第一構成体3と第二構成体4との溶着部分を溶融させ、その溶融状態時に第一構成体3と第二構成体4とを引き離すことで分解できる。かくして車両用サンバイザ1をリサイクルしやすい。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態2を図6,7にしたがって説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の磁性部材5に代えて磁性部材70を有する構造である。
磁性部材70は、図7に示すように磁性体を素材とした長尺状の板材から形成されている。例えば帯状の鉄板から形成されている。
【0030】
磁性部材70は、例えば板厚tが0.5mm〜2mmであって、幅Hが2mm〜5mmである。そして磁性部材70は、環状に形成され、図1に示す磁性部材5に代えてバイザ本体2の外周に沿って設置される。
また第一構成体3は、図3に示すように溝31aに代えて図6に示す溝31cを有する。すなわち磁性部材70の幅Hに応じた深さの溝31cを有する。また磁性部材70は、板材の幅H方向をバイザ本体2の厚み方向にすることで、バイザ本体2の厚み方向の剛性を向上できる構造になっている。
そして実施の形態1と同様にして、第一構成体3と第二構成体4とが溶着され、車両用サンバイザが製造される。
【0031】
以上のようにして車両用サンバイザが製造され、構成される。
すなわち磁性部材70は、第一構成体3と第二構成体4とを溶着するとともに、バイザ本体2の厚み方向の剛性を向上する。したがってバイザ本体2は、磁性部材70によって厚み方向の潰れが防止されている。
また図3に示すように磁界発生部64によって発生した磁界Bは、バイザ本体2の厚み方向に発生する。したがって磁性部材70は、図6に示すように磁界B方向に厚くなっている。このため磁性部材70は、磁力線を閉じ込めやすく、これによって誘導加熱が生じやすい。かくして車両用サンバイザ1は、少ないエネルギーで製造されやすい。
【0032】
(実施の形態3)
実施の形態3を図8,9にしたがって説明する。
実施の形態3は、実施の形態1の磁性部材5に代えて図9に示す磁性部材71を有する。そして実施の形態1の第一結合部31に代えて第一結合部32を有し、第二結合部41に代えて第二結合部42を有する。
またこれら結合部32,42は、実施の形態1と同様にバイザ本体2の外周に沿って第一構成体3と第二構成体4のそれぞれに複数設けられている。
【0033】
磁性部材71は、図9に示すように磁性体を素材として、Oリング状に形成されている。
また第一結合部32は、略筒状に形成され、上端側から径の大きな第一凹部32aと径の小さな第二凹部32bを備える。そして第一凹部32aと第二凹部32bとの径の差によって形成された床部32cを有し、この床部32cに磁性部材71が配設される。
【0034】
第二結合部42は、図9に示すように略筒状に形成されており、図8に示すように第一結合部32の第一凹部32a内に差込まれる。そして第二結合部42のの先端と第一結合部32の床部32cによって磁性部材71を挟持する。
そして実施の形態1と同様にして、第一構成体3と第二構成体4とが溶着され、車両用サンバイザが製造される。
【0035】
(実施の形態4)
実施の形態4を図10にしたがって説明する。
実施の形態4は、実施の形態1の磁性部材5に代えて図10に示すシート状の磁性部材72を有する。そして実施の形態1の第一結合部31に代えて第一結合部33を有し、第二結合部41に代えて第二結合部43を有する。
磁性部材72は、樹脂から形成されたベース部に、磁性体から形成された磁性部を混入することでシート状に形成されている。磁性部は、例えば細い繊維状、あるいは粒状に形成されている。またベース部は、熱可塑性樹脂を素材として形成され、磁性部材72の発熱により溶融する。好ましくは、第一構成体3および第二構成体4と同じ樹脂材から形成され、第一構成体3と第二構成体4に溶着しやすい材料から形成されている。
【0036】
また第一結合部33は、図10に示すように第二構成体4へ突出し、第二結合部43は、第一構成体3へ突出する。そして第一結合部33と第二結合部42は、それぞれの先端面が磁性部材72を介して突き合う。そして第一結合部33と第二結合部42は、磁性部材72の誘導加熱により溶融し、磁性部材72のベース部も溶融する。これにより第一結合部33と第二結合部42は、磁性部材72のベース部を介して溶着する。
なお磁性部材72の誘導加熱は、実施の形態1と同様にして装置6により発生する。
【0037】
(他の実施の形態)
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、下記の形態であってもよい。
(1)上記の実施の形態1〜3では、磁性部材が磁性体を素材として形成されていた。しかし磁性部材が磁性体を含有する形態なら何でもよく。例えば実施の形態4と同様に樹脂材に繊維状または粒状の磁性体から形成された磁性部を含む複合材から形成される形態であってもよい。または磁性体を一部に含む材料を素材として形成される形態であってもよい。
(2)上記の実施の形態では、プレート体が第一構成体および第二構成体と別体状に形成されていた。しかし図11に示すようにプレート体22が第二構成体4と一体状に形成される形態であってもよい。あるいはプレート体22が第一構成体3と一体状に形成される形態であってもよい。
(3)また上記の実施の形態では、バイザ本体が枠状に形成された枠体と、その枠体の枠内を閉塞するプレート体とを備えて構成されていた。しかし図12,13に示すようにバイザ本体2が中空板状に形成され、そのバイザ本体2が第一構成体3と第二構成体4とを厚み方向に重ねることで形成される形態であってもよい。
(4)また上記の実施の形態では、磁界発生部が中空管状に形成されていた。しかし中空管状の磁界発生部に代えて、導電性のある金属線から形成される形態、すなわちコイルによって構成される形態であってもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る車両用サンバイザの製造方法によれば、誘導加熱を利用することで第一構成体と第二構成体とが溶着される。したがって第一構成体と第二構成体は、容易な構成になるとともに、強く結合される。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用サンバイザの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面矢視図である。
【図3】装置の側面図である。
【図4】治具および磁界発生部の天面図である。
【図5】車両用サンバイザの製造工程図である。
【図6】実施の形態2のバイザ本体の一部断面図である。
【図7】実施の形態2の磁性部材の斜視図である。
【図8】実施の形態3のバイザ本体の一部断面図である。
【図9】実施の形態3の磁性部材、第一結合部および第二結合部の斜視図である。
【図10】実施の形態4のバイザ本体の一部断面図である。
【図11】他の実施の形態のバイザ本体の断面図である。
【図12】他の実施の形態の車両用サンバイザの斜視図である。
【図13】図12のB−B線断面矢視図である。
【符号の説明】
1…車両用サンバイザ
2…バイザ本体
3…第一構成体
4…第二構成体
5,70〜72…磁性部材
6…装置
20…枠体
21,22…プレート体
31,32,33…第一結合部
41,42,43…第二結合部
61…治具
62…プレス装置
63…電流供給装置
64…磁界発生部
65…リード線
66…配管
Claims (4)
- バイザ本体が熱可塑性樹脂を素材として形成された第一構成体と第二構成体とを厚み方向に結合させることで構成される車両用サンバイザの製造方法であって、
前記第一構成体と前記第二構成体との間に磁性体を素材として形成された磁性部材を設置し、その磁性部材を誘導加熱により発熱させ、その熱によって前記第一構成体と前記第二構成体とを溶着により結合させることを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。 - 請求項1に記載の車両用サンバイザの製造方法であって、
磁性部材は、バイザ本体の外周に沿って環状に形成され、これによって前記磁性部材を誘導加熱しやすくしたことを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。 - 請求項1に記載の車両用サンバイザの製造方法であって、
第一構成体は、第一結合部を有し、
その第一結合部に、磁性部材と、第二構成体に形成された第二結合部を差込み、その状態で前記磁性部材を誘導加熱させることで前記第一構成体と前記第二構成体とを結合させることを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。 - 請求項1に記載の車両用サンバイザの製造方法であって、
磁性部材は、長尺状の板材を環状にし、その板材の幅方向をバイザ本体の厚み方向にすることで、前記バイザ本体の厚み方向の剛性を向上できる構造にしていることを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。
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JP2002288570A JP2004122528A (ja) | 2002-10-01 | 2002-10-01 | 車両用サンバイザの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006315513A (ja) * | 2005-05-12 | 2006-11-24 | Kyowa Sangyo Kk | 車両用サンバイザ |
US8419105B2 (en) | 2010-11-12 | 2013-04-16 | Kyowa Sangyo Co., Ltd. | Sunvisor for vehicle |
-
2002
- 2002-10-01 JP JP2002288570A patent/JP2004122528A/ja active Pending
Cited By (2)
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