JP2004121299A - 吸収性物品の製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生理用ナプキン1を製造するための製造工程ラインと、生理用ナプキン1を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、前記個装工程ラインは、個装の前段工程として前記ウイング状フラップW、Wを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備25を備え、前記ウイング折り畳み設備25は、生理用ナプキン1を搬送するコンベア30と、このコンベア30の上下面側にそれぞれ配設されたウイング折り機31,32とからなり、かつ前記コンベア30を上下方向に移動可能とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能とする。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下着への固定に際し、下着のクロッチ部分に巻き付けるようにして使用されるウイング状フラップを備えた吸収性物品の製造設備に係り、詳しくは前記吸収性物品を個装する際に、ウイング状フラップを使用面側または非使用面側のどちらにでも折り畳めるようにした製造設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図10および図11に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させたものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品Nとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば非肌当接面側(外面)に1または複数条の粘着剤層53,53を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップW、Wを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50側の面(外面)に粘着剤層54,54を設けるようにしたものが存在する。
【0004】
前記吸収性物品Nを下着30に固定する際には、図12に示されるように、吸収性物品Nを局所にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wを下着より取り出し、両ウイング状フラップW、Wを折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着30の股間部外面に接着するようにする。
【0005】
前記吸収性物品Nを個装するには、例えば前記ウイング状フラップW、Wを非使用面側(裏面側)に折り畳んだ状態(以下、便宜的に背折りという。)で個装袋に封入する第1の態様(例えば、特許文献1参照)、図13に示されるように、前記ウイング状フラップW、Wを使用面側に折り畳み(以下、便宜的に腹折りという。)、各粘着剤層54,54を覆うとともに、これら粘着剤層54,54間に跨る剥離紙56によって連結した状態で個装袋に封入する第2の態様(例えば、特許文献2参照)等が存在する。
【0006】
実際に上記個装をライン上にて行うには、組立工程を経て製品状態に仕上がった吸収性物品のウイング状フラップWを搬送過程でセーラー(折り板)等によって非使用面側(裏面シート側)または使用面側(表面シート側)に折り畳んだ後、平面的に90°反転し、個装シートを不透液性裏面シート側に導入した後、前記セーラーによって個装シートと共に左右の側に位置する前端部及び後端部をそれぞれ順に折り畳み、個装シートの開口した側縁部分をエンボス圧着、加熱融着、接着剤等、適宜の封鎖手段の単独または組み合わせによって封鎖するとともに、個装シートの前後方向端縁をタブテープにより封止し、吸収性物品毎に切断するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−94267号公報
【特許文献2】実用新案登録第2567607号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来の製造設備では、ウイング状フラップWを搬送過程でセーラー(折り板)によって非使用面側(裏面シート側)または使用面側(表面シート側)の一方側にしか折り畳みができない構造となっているため、例えば多種用意された製品の内、ある製品群については背折りとしたい、その他の製品群については腹折りとしたいなどの要求に応えることはできなかった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、ウイング状フラップを備える個装吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、前記ウイング状フラップの折り態様に関し、透液性表面シート側に折り畳む腹折り態様又は不透液性裏面シート側に折り畳む背折り態様のどちらにも任意に対応可能とすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、
前記個装工程ラインは、個装の前段工程として前記ウイング状フラップを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備を備え、
前記ウイング折り畳み設備は、吸収性物品を搬送するコンベアと、このコンベアの上下面側にそれぞれ配設されたウイング折り機とからなり、かつ前記コンベアを上下方向に移動可能とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能としたことを特徴とする吸収性物品の製造設備が提供される。
【0011】
従って、上記請求項1記載の本発明においては、例えば透液性表面シートを上面側として搬送する製造ラインにおいては、前記コンベアの上面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップを透液性表面シート側に折り畳むことができ、前記コンベアの下面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップを不透液性裏面シート側に折り畳むことができる。なお、不透液性裏面シートを上面側として搬送する製造ラインではウイング状フラップの折り方向は逆となる。
【0012】
次いで、請求項2に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、
前記個装工程ラインは、個装の前段工程として前記ウイング状フラップを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備を備え、
前記ウイング折り畳み設備は、吸収性物品を搬送するコンベアと、このコンベアの上面側または下面側に取付自在とされるウイング折り機とからなり、かつ前記コンベアを上下方向に移動可能とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能としたことを特徴とする吸収性物品の製造設備が提供される。
【0013】
従って、上記請求項2記載の発明においては、例えば透液性表面シートを上面側として搬送する製造ラインにおいては、前記ウイング折り機をコンベアの上面側に取付けるとともに、コンベアの上面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップを透液性表面シート側に折り畳むことができ、前記ウイング折り機をコンベアの下面側に取付けるとともに、コンベアの下面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップを不透液性裏面シート側に折り畳むことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0015】
最初に、本発明製造方法に係る吸収性物品の構造、個装要領を説明した後、ラインにおける製造方法について述べることとする。
【0016】
〔吸収性物品の構造〕
図1は本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図、図2はその裏面図、図3の図1のIII−III線矢視図である。
【0017】
前記生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布6,6とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布6とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。本明細書では、この両側縁部のフラップ部分を「側部外周フラップFS」という。
【0018】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0019】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。一方、前記透液性表面シート3の上面には、排血対応部位を跨ぐ両側部にそれぞれ、略長手方向に沿うサイドエンボス7,7が形成されているとともに、前後部にそれぞれ弧状エンボス8,8が形成されている。
【0020】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0021】
一方、本生理用ナプキン1の表面がわ両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布6,6が設けられ、このサイド不織布6,6の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによりウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0022】
前記サイド不織布6としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。
【0023】
図2に示されるように、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の非肌当接面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では4条の本体ズレ止め粘着剤層9,9…が形成されているとともに、これら本体ズレ止め粘着剤層9,9…が本体用剥離材11によって覆われている。また、前記ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート2側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層10、10が形成されるとともに、これらウイングズレ止め粘着剤層10、10が幅方向に横断する1枚のウイング用剥離材12によって覆われている。前記本体用剥離材11とウイング用剥離材12とは、鎖線13によって囲まれた領域にてホットメルト接着剤等により堅固に固着され一体化されている。なお、本例ではウイングズレ止め粘着剤層10,10を覆う剥離材12として1枚の剥離材を用いたが、左右に分離していてもよい。
【0024】
前記ズレ止め粘着剤層9,10を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0025】
前記剥離材11,12としては、ズレ止め粘着剤層9,10に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートなどを用いることができる。なお、特別に離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
【0026】
〔ナプキン1の個装要領〕
前述した生理用ナプキン1を個装するには、図4に示されるように、一方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に透液性表面シート3側に折り畳んだ後、他方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に透液性表面シート3側に折り畳む。或いは図5に示されるように、一方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に不透液性裏面シート2側に折り畳んだ後、他方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に不透液性裏面シート2側に折り畳む。
【0027】
なお、この場合、前記ウイング状フラップWが折り畳まれた状態を保形手段により保持するようにするのが望ましい。具体的にその第1手段としては、前記ウイング用剥離材12として、ある程度のコシを有する紙材料を使用し、その折り癖により折り畳み状態を保持することができる。また、第2手段としては、ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持することができる。また、前記ウイング状フラップW、Wの重なり部分についても同様に、前記ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持するのが望ましい。
【0028】
前記ウイング状フラップW、Wを表面側または裏面側に夫々折り畳んだならば、個装シート14により生理用ナプキン1を個装する。なお、説明及び図示例はウイング状フラップW、Wを表面側に折り畳んだ場合であるが、裏面側に折り畳んだ場合も全く同様に行うことができる。
【0029】
図6に示されるように、幅寸法がナプキン1の展開幅(ウイング状フラップW、Wの先端間距離)よりも幅狭で、ウイング状フラップW、Wの折り畳み状態よりも幅広とされる所定長さの個装シート14により、少なくとも個装シート14の一方側短辺14bがナプキン1の前後端部の一方より外側に位置させるように個装シート14上にナプキン1を配置するとともに、前記個装シート14と、本体用剥離材11及び/又はウイング用剥離材12とをホットメルト接着剤等により堅固に固着する。
【0030】
その後、折り線▲1▼位置にてナプキン後端部側を折り畳んだならば、折り線▲2▼位置にてナプキン前端部側を折り畳み、図7に示されるように、個装シート14の開口した側縁部分14aをエンボス圧着、加熱融着、接着剤等、適宜の封鎖手段の単独または組み合わせによって封鎖するようにする。また、個装シート14の前後方向端縁14bは、接着剤により接合した後、好ましくはタブテープ15により封止する。
【0031】
なお、上記例では、側部外周フラップFSを含んでウイング状フラップW、Wを折り畳むようにしたが、ウイング状フラップW、W部分のみを表面シート3側または裏面シート2側に折り畳むようにしてもよい。
【0032】
〔ラインにおける製造方法〕
次に、図8及び図9に基づいて、ウイング状フラップW、Wを透液性表面シート3側に折り畳む腹折り態様又は不透液性裏面シート2側に折り畳む背折り態様のどちらにも容易に対応可能とした個装生理用ナプキン1の製造設備について詳述する。
【0033】
図8において、ロールパルプからパルプが解繊装置(図示せず)により解繊された状態で積繊ドラムに供給されるとともに、パルプ中にポリマーが混入される。前記積繊ドラムに積繊されたポリマー混入粉砕パルプ(吸収体4)は、紙綿台紙(クレープ紙)上に転移され、プレス工程を経て所定形状に裁断され、次の組立工程へ搬送される。なお、吸収体4は予め製造された吸収体ロールから直接繰り出す場合もある。
【0034】
吸収体4は長手方向がライン方向に沿うように配向されて搬送され、吸収体4の上面にウエブ状の透液性表面シート3が導入されるとともに、吸収体の下面にウエブ状の不透液性裏面シート2が導入され、これら両シート3,2が貼り合わされた後、サイド不織布6がナプキンの長手方向に沿って両側に導入され、貼り合わされる。
【0035】
その後、本体用剥離材11の一方側面に塗布コーターによりズレ止め粘着剤を塗布した後、不透液性裏面シート2面に導入し所定位置に接着することにより、本体ズレ止め粘着剤9,9…を転写すると同時に本体用剥離材11を設け、次いでウイング用剥離材12の一方側面に塗布コーターによりズレ止め粘着剤を塗布した後、不透液性裏面シート2面に導入し、前記本体用剥離材11の上面に重ねながら所定位置に接着することにより、ズレ止め粘着剤10,10を転写すると同時にウイング用剥離材12を設けるようにする。この際、前記本体用剥離材11とウイング用剥離材12とはホットメルト接着剤等により堅固に固着され一体化される。
【0036】
以上の工程を経たならば、製品カッターにより生理用ナプキン1の製品形状に裁断し、次の個装工程ラインに送る。
【0037】
個装工程ラインでは、図9に示されるように、個装の前段工程として前記ウイング状フラップW、Wを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備25を備え、ウイングフラップW、Wが透液性表面シート3側または不透液性裏面シート2側に折り畳まれる。
【0038】
前記ウイング折り畳み設備25は、生理用ナプキン1を搬送するコンベア30の上下面側にそれぞれウイング折り機31、32を配設するとともに、前記コンベア30を昇降ジャッキ33,33により上下方向に昇降自在とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能としたものである。なお、前記コンベア30は生理用ナプキン1を上下面で夫々保持できるように、サクションによる吸引保持またはベルトによる挟み込みにより保持されるようになっている。ここで、コンベア30の上面側に配置されたウイング折り機31が腹折り用ウイング折り機であり、コンベア30の下面側に配設されたウイング折り機32が背折り用ウイング折り機である。これらウイング折り機31,32は、同一構造の折り機をコンベア30を跨いで対称で配置したものである。
【0039】
前記ウイング折り機31,32としては、セーラー(折り板)、または折り畳み用走行ベルトを有し、搬送過程でウイング状フラップWを内側に折り畳むようにした折り畳みベルト方式などを採用することができる。前者のセーラーは設備が簡易で済む利点を有し、後者の折り畳みベルト方式は安定して折り畳みできる利点を有する。
【0040】
一方、前記コンベア30の昇降手段としては、前記昇降ジャッキ以外に、例えばネジボルトを鉛直方向に配向するとともに、前記コンベア30に設けたアーム片に前記ネジボルトに螺合するボールネジを設け、前記ネジボルトをモータ等の駆動手段または手動により回転させることによりコンベアを昇降動作させるボールネジ機構などを採用することができる。また、場合によってはコンベア支持架台に対する取付け位置を手作業によって変更することでもよい。
【0041】
また、前記コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換えるには、クラッチ&ギア方式によってコンベアロールに対し原動軸の回転を逆に与える方式や、コンベアロールを回転する電動機の回転を正逆方向に切り換えること等によって行うことができる。なお、コンベア30の搬送速度は、差動歯車装置等の差動機、減速機等により調整することができる。
【0042】
図9(A)に示されるように、コンベア30を下降位置としコンベア30の上面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップWを透液性表面シート3側に折り畳むことができ、図9(B)に示されるように、コンベア30を上昇位置としコンベア30の下面側を搬送面として設定した場合には前記ウイング状フラップWを不透液性裏面シート2側に折り畳むことができる。なお、前記ウイング用折り機31,32では、ウイング状フラップW、Wを同時的に折り畳むようにしてもよいし、片側づつ順番に折り畳むようにしてもよい。同時的に折り畳む場合には、ウイング状フラップW、Wを重ねて折ることはできないが、コンベア長さを短くできる利点があり、片側づつ折り畳む場合には、コンベア長さは無くなるがウイング状フラップW、Wを図4及び図5に示されるように、先端部を重ねるようにしながら折り畳むことができる。
【0043】
ところで、上記例ではコンベア30の上下面にそれぞれウイング折り機31,32を配設するようにしたが、ウイング折り機31をコンベア30の上面側または下面側に任意に取付自在とし、コンベア30の上面側を搬送面とする場合には前記ウイング折り機31をコンベア30の上面側に取付け、コンベア30の下面側を搬送面とする場合には前記ウイング用折り機31をコンベア30の下面側に取付けるようにしてもよい。
【0044】
ウイング状フラップW、Wが折り畳まれた生理用ナプキン1は、その後90°反転機に導入され平面的に90°回転させた後、不透液性裏面シート2の面にウエブ状の個装シート14を導入し、個装シート14と共に生理用ナプキン1の前端部と後端部をそれぞれ折り畳んだ後、タブテープ15を生理用ナプキン位置に貼り付けるとともに、生理用ナプキン1,1間を熱シールし、熱シール部で切断することにより個装された生理用ナプキンを得る。個装生理用ナプキンは、計量装置で計量され所定数毎にパッキングされ、箱詰めされる。
【0045】
ところで、本発明は上記形態例以外に種々の変更が可能である。以下、順に列挙すると、
(1)上記例では、本体ズレ止め粘着剤層9,9を覆う本体用剥離材11を設けるようにしたが、前記個装シート14の内面側において少なくとも前記本体ズレ止め粘着剤層9,9の対応部分に離型処理を施すことによって前記本体用剥離材11を省略することが可能である。この場合には、使用資材の低減により操業効率が増すとともに、ゴミの低減化にも資することになる。
【0046】
(2)上記例では、ウイング状フラップW、Wは、吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSとともに、透液性表面シート3側に折り畳むようにしたが、吸収体側縁の内側位置を折れ線として、側部外周フラップFS及び吸収体4の側縁部分とともに、透液性表面シート3側に折り畳むようにしてもよい。この場合には、更なるコンパクト化が図れるようになる。
【0047】
(3)上記例ではウイング状フラップW、Wが形成された生理用ナプキン1を例に採り詳述したが、本発明は後部側にヒップホールド用フラップが形成された夜用生理用ナプキンに対しても同様に適用することが可能である。
【0048】
(4)上記例では、サイド不織布6と不透液性裏面シート2とによりウイング状フラップW、Wを形成するようにしたが、サイド不織布6単独でウイング状フラップWを形成してもよいし、不透液性裏面シート2単独でウイング状フラップWを形成してもよい。
【0049】
(5)上記例ではウイング状フラップW、Wは、その先端部を重ねながら折り畳むようにしたが、該先端部が重ならないように折り畳んでもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、ウイング状フラップを備える個装吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、前記ウイング状フラップの折り態様に関し、透液性表面シート側に折り畳む腹折り態様又は不透液性裏面シート側に折り畳む背折り態様のどちらにも任意に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
【図2】その裏面図である。
【図3】図1のIII−III線矢視図である。
【図4】ウイング状フラップの透液性表面シート3側への折り畳み状態を示す平面図である。
【図5】ウイング状フラップの不透液性裏面シート2側への折り畳み状態を示す平面図である。
【図6】個装要領を示す斜視図である。
【図7】個装状態を示す斜視図である。
【図8】生理用ナプキン1の工程ライン図である。
【図9】個装工程ラインのウイング折り畳み装置部の拡大図である。
【図10】従来の生理用ナプキンNの展開図である。
【図11】その横断面図である。
【図12】その装着状態図である。
【図13】従来のウイング状フラップW、Wの折り畳み要領を示す平面図である。
【符号の説明】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…サイド不織布、9…本体ズレ止め粘着剤層、10…ウイングズレ止め粘着剤層、11…本体用剥離材、12…ウイング用剥離材、14…個装シート、W…ウイング状フラップ、FS…側部外周フラップ
Claims (2)
- 透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、
前記個装工程ラインは、個装の前段工程として前記ウイング状フラップを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備を備え、
前記ウイング折り畳み設備は、吸収性物品を搬送するコンベアと、このコンベアの上下面側にそれぞれ配設されたウイング折り機とからなり、かつ前記コンベアを上下方向に移動可能とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能としたことを特徴とする吸収性物品の製造設備。 - 透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品を製造するための製造工程ラインと、前記吸収性物品を個装するための個装工程ラインとからなる吸収性物品の製造設備において、
前記個装工程ラインは、個装の前段工程として前記ウイング状フラップを内側に折り畳むためのウイング折り畳み設備を備え、
前記ウイング折り畳み設備は、吸収性物品を搬送するコンベアと、このコンベアの上面側または下面側に取付自在とされるウイング折り機とからなり、かつ前記コンベアを上下方向に移動可能とするとともに、コンベアベルトの走行方向を正逆方向に切り換え可能としたことを特徴とする吸収性物品の製造設備。
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