JP2004119553A - Soiウエーハの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】SOIウエーハの埋め込み酸化膜にアルカリ金属汚染や静電破壊を生じさせず、信頼性の高い埋め込み酸化膜の絶縁特性評価を簡便に行うことのできるSOIウエーハの評価方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、シリコン活性層、埋め込み酸化膜、支持基板を有するSOIウエーハの前記埋め込み酸化膜の絶縁特性を評価する方法であって、前記SOIウエーハのシリコン活性層に不純物をドープしてその抵抗率を下げた後、フォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して電極を形成し、該形成した電極を用いて埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価を行うことを特徴とするSOIウエーハの評価方法。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁体上にシリコン活性層が形成されたSOI(Silicon On Insulator)ウエーハの電気特性を評価する方法に関するものであり、特にSOIウエーハの埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気的に絶縁性のあるシリコン酸化膜の上にシリコン活性層が形成されたSOI構造を有するSOIウエーハが、デバイスの高速性、低消費電力性、高耐圧性、耐環境性等に優れていることから、電子デバイス用の高性能LSIウエーハとして特に注目されている。これは、SOIウエーハでは支持基板とシリコン活性層の間に絶縁体である埋め込み酸化膜(以下BOX酸化膜と言うことがある)が存在するため、シリコン活性層に形成される電子デバイスは耐電圧が高く、α線のソフトエラー率も低くなるという大きな利点を有するためである。
【0003】
また、シリコン活性層が1μm以下の厚みの薄膜SOIウエーハにおいて、シリコン活性層上に形成されたMOS(Metal Oxide Semiconductor)型半導体装置は、完全空乏型で動作させた場合にソース・ドレインのPN接合面積を小さくできるため、寄生容量が低減され、デバイス駆動の高速化をはかることができる。さらに、絶縁層となるBOX酸化膜の容量がゲート酸化膜直下に形成される空乏層容量と直列になるため、実質的に空乏層容量が減少し、低消費電力化を実現することができる。
【0004】
このようなSOIウエーハのシリコン活性層品質を評価するため、従来はシリコン活性層上にゲート酸化膜と電極を形成してMOS構造とし、この電極部に電圧を印加してTZDB(Time Zero Dielectric Breakdown)法やTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)法を行っていた(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0005】
また、SOIウエーハのBOX酸化膜もシリコン活性層に形成されたデバイスの高性能化に大きく寄与するため、BOX酸化膜の膜厚均一性やピンホールの有無などBOX酸化膜品質への注目が高まっている。特に、BOX酸化膜の絶縁特性評価(以下、BOX酸化膜/Vbd(ブレイクダウン電圧)評価という)は、BOX酸化膜の品質を決める一つの指標として、重要視されることが多くなってきている。
【0006】
従来、このBOX酸化膜/Vbd評価は、例えば図6に示すフローに従って行われている。以下に、従来のBOX酸化膜/Vbd評価について、図6を参照しながら説明する。
【0007】
先ず、支持基板24上にBOX酸化膜23及びシリコン活性層22が形成されているSOIウエーハ21が準備され(図6(a))、そのシリコン活性層22をエッチングで除去してBOX酸化膜23を露出させる(図6(b))。
次に、BOX酸化膜23上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりポリシリコン層を成長させた後、リン等の不純物を熱拡散法またはイオン注入法を用いてポリシリコン層中にドープして、抵抗率の低いポリシリコン層25を形成する(図6(c))。
【0008】
続いて、形成したポリシリコン層25の一部を、例えば、レジスト塗布、焼きしめ、露光、焼きしめ、非電極部上のレジスト除去(現像)、非電極部のポリシリコン除去、全レジスト除去という一連のフォトリソグラフィ技術を用いることによって、BOX酸化膜23上にポリシリコン電極26(MOSキャパシタ、ゲート電極ともいう)を形成する(図6(d))。このとき、非電極部のポリシリコン除去は不純物の含有が少ないフッ酸と硝酸の混酸で行われる。
その後、BOX酸化膜23をポリシリコン電極26のゲート酸化膜とし、ポリシリコン電極26にプローブ27を接触させて電圧印加を行うことによって、BOX酸化膜/Vbdを評価する(図6(e))。
【0009】
このように従来行われているBOX酸化膜/Vbdの評価では、通常、SOIウエーハのシリコン活性層を完全にエッチング除去して、BOX酸化膜を露出させている。このとき、シリコン活性層のみをエッチングし、その直下に存在するBOX酸化膜がエッチングされないようにする必要があるために、シリコンとシリコン酸化膜とのエッチングの選択性が大きいアルカリ系薬液によるウェットエッチング法が主に用いられている。しかしながら、エッチングを行う際にアルカリ系薬液にウエーハを浸漬すると、薬液中に含まれるアルカリ金属によってBOX酸化膜や支持基板が汚染される可能性がある。アルカリ系薬液のエッチングによりBOX酸化膜が汚染されると、BOX酸化膜の絶縁特性が影響を受け、BOX酸化膜/Vbd評価の信頼性が低下する。
【0010】
また、BOX酸化膜及び支持基板を汚染させずにシリコン活性層をエッチング除去する方法として、ウェットエッチングの替わりにプラズマドライエッチングを行うことが考えられる。しかしながら、SOIウエーハは、上記のように支持基板上に絶縁体であるBOX酸化膜があり、さらにその上にシリコン活性層が存在しているので、プラズマエッチングの際にウエーハがプラズマに曝されることによってシリコン活性層表面に電荷が蓄積され、BOX酸化膜が静電破壊を受ける可能性がある。したがって、シリコン活性層をプラズマエッチング除去してBOX酸化膜を露出させると、エッチング前後でBOX酸化膜の状態を変化させてしまうため、正確なBOX酸化膜/Vbd評価ができないといった問題がある。
【0011】
さらに、上記のような従来のBOX酸化膜/Vbd評価方法では、シリコン活性層を一旦完全にエッチング除去した後、あらためてポリシリコン層を成長させなければならないため、評価を行うのに長時間の処理を必要とし、またその作業も煩雑であった。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−220019号公報(第3,5頁)
【特許文献2】
特開平11−345954号公報(第3頁)
【特許文献3】
特開2001−127274号公報(第4頁)
【特許文献4】
特開2001−213694号公報(第3頁)
【特許文献5】
特開2002−94032号公報(第4頁,第10(b)図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、SOIウエーハの埋め込み酸化膜にアルカリ金属汚染や静電破壊を生じさせず、信頼性の高い埋め込み酸化膜の絶縁特性評価を簡便に行うことのできるSOIウエーハの評価方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも、シリコン活性層、埋め込み酸化膜、支持基板を有するSOIウエーハの前記埋め込み酸化膜の絶縁特性を評価する方法であって、前記SOIウエーハのシリコン活性層に不純物をドープしてその抵抗率を下げた後、フォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して電極を形成し、該形成した電極を用いて埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価を行うことを特徴とするSOIウエーハの評価方法が提供される(請求項1)。
【0015】
このように、SOIウエーハのシリコン活性層に不純物をドープしてその抵抗率を下げた後、そのシリコン活性層の一部を除去して形成した電極を用いて埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価を行うことによって、従来のようにシリコン活性層を完全にエッチング除去してポリシリコン層を形成するようなことを行わずに、シリコン活性層を利用して電極が形成できるため、評価工程を簡略化できる。また、アルカリエッチングやプラズマエッチングを行う必要もないのでBOX酸化膜の汚染や静電破壊を生じさせず、信頼性の高い絶縁特性評価を簡便に行うことが可能となる。
【0016】
このとき、前記不純物のドープを、熱拡散法またはイオン注入法により行うことができる(請求項2)。
このように、本発明では不純物のドープを、熱拡散法またはイオン注入法により行うことができ、不純物をシリコン活性層に容易かつ確実にドープすることが可能となる。
【0017】
さらに、前記評価を行う前に、予めSOIウエーハのシリコン活性層上にシリコン層を堆積させることができる(請求項3)。
特にシリコン活性層が一定の厚さよりも薄い場合、上述のようにシリコン活性層を電極として利用して評価を行うと、電極の印加電圧を増加した時にセルフヒーリングを引き起こして正確なブレイクダウン電圧が不明となったり、もしくは、電極に絶縁特性評価用プローブを接触させた際にプローブが電極を突き抜けて正確な評価ができなくなることがある。したがって、上記のように、評価を行う前に予めシリコン活性層上にシリコン層を堆積させることによって、一定以上の厚さを有する電極が形成できるため、正確な絶縁特性評価を確実に行うことができる。
尚、上記のセルフヒーリングとは、ブレイクダウン電圧を知るために電極印加電圧を大きくしていった際、突然ゲート酸化膜と電極を貫通する穴が開くか、プローブ直下のゲート酸化膜と電極が電圧印加でスパークして火口状の穴が形成されることで、ブレイクダウン電圧の正確な評価ができなくなる現象である。
【0018】
このとき、前記シリコン活性層上にシリコン層を堆積させる際に、該シリコン堆積層に不純物をドープすることが好ましい(請求項4)。
このようにシリコン層を堆積させる際に、シリコン堆積層に不純物をドープすれば、電極の厚さを一定以上に厚くするとともにシリコン堆積層の抵抗率を下げることができ、また同時にシリコン活性層にも不純物を拡散させてドープすることができるので、評価工程を一層簡略化することができる。
【0019】
またこのとき、前記シリコン活性層の厚さ、またはシリコン活性層とシリコン堆積層の合計の厚さを150nm以上とすることが好ましい(請求項5)。
このようにシリコン活性層の厚さ、またはシリコン活性層とシリコン堆積層の合計の厚さを150nm以上とすることによって、形成する電極の厚さが十分に厚くなるので、前述のセルフヒーリング現象やプローブが電極を突き抜けるような問題を防止でき、確実な絶縁特性評価を行うことができる。
【0020】
さらに、前記ドープする不純物をリンまたはホウ素とすることが好ましい(請求項6)。
このように、ドープする不純物がリンまたはホウ素であれば、シリコン活性層へのドープ、またはシリコン活性層とシリコン堆積層へのドープを、BOX酸化膜を汚染させずに容易にかつ確実に行うことができる。したがって、BOX酸化膜の絶縁特性の評価を正確に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、SOIウエーハのBOX酸化膜/Vbd評価の際にBOX酸化膜にアルカリ金属汚染や静電破壊を生じさせず、信頼性の高い埋め込み酸化膜の絶縁特性評価を行う方法について鋭意実験及び検討を重ねた結果、SOIウエーハが有するシリコン活性層を利用して電極を形成することによって、アルカリ薬液でのエッチング及びプラズマドライエッチングを行わなくてもBOX酸化膜/Vbd評価ができることを見出し、本発明を完成させた。
【0022】
すなわち、本発明のSOIウエーハの評価方法は、少なくとも、シリコン活性層、埋め込み酸化膜、支持基板を有するSOIウエーハの前記埋め込み酸化膜の絶縁特性を評価する方法であって、前記SOIウエーハのシリコン活性層に不純物をドープしてその抵抗率を下げた後、フォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して電極を形成し、該形成した電極を用いて埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価を行うことに特徴を有するものである。
【0023】
以下に、本発明のSOIウエーハの評価方法について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に、本発明のSOIウエーハの評価方法の一例を示すフロー図を示す。
先ず、サンプルとなるSOIウエーハを準備する。このとき、図1(a)に示すように、準備するSOIウエーハ1は、支持基板4とシリコン活性層2との間に埋め込み酸化膜(BOX酸化膜)3が介在するSOI構造を有しているものであれば良く、その作製方法に関しては特に限定されるものではない。
【0024】
例えば、このようなSOIウエーハを作製する方法としては、▲1▼酸化膜を介して2枚のウエーハ(少なくとも一枚はシリコンウエーハ)を貼り合せ、熱処理で接合強度を強めた後に、シリコン活性層となるシリコンウエーハを裏面側から研削、研磨して所望の厚さにする貼り合わせ法、あるいはいわゆるイオン注入剥離法を用いて行われる貼り合わせ法、▲2▼シリコンウエーハの内部に高濃度の酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成し、その後高温でアニール処理を行うことにより、シリコンウエーハ中に埋め込みシリコン酸化層を形成し、その表面側の層をシリコン活性層として使用するSIMOX(Separation byion−implanted oxygen)法等がある。本発明のSOIウエーハの評価方法では、上記のいずれの方法で作製したSOIウエーハであっても評価を行うことができる。
【0025】
次に、シリコン活性層2に不純物をドープしてその抵抗率を下げ、低抵抗率のシリコン活性層5を形成する(図1(b))。このとき、ドープする不純物としてはリンまたはホウ素を用いることが好ましく、また不純物をドープする方法としては、熱拡散法やイオン注入法を用いることができる。
【0026】
例えば、熱拡散法によってシリコン活性層2にリンまたはホウ素をドープする場合、先ず拡散源としてシリコン活性層2の表面にガラス層を形成する(図示せず)。このとき、形成するガラス層は不純物がリンの場合はリンガラス、ホウ素の場合はホウ素ガラスとなるが、これらはスピンコートやCVD法等により容易に形成できる。続いてガラス層を形成したSOIウエーハに熱処理を行うことによって、シリコン活性層中にリンまたはホウ素を拡散させてドープすることができる。その後、ガラス層を金属不純物をほとんど含まないフッ酸で除去することによって、BOX酸化膜を汚染させずにリンまたはホウ素を均一にドープしたシリコン活性層5を有するウエーハを得ることができる。
【0027】
一方、イオン注入法でリンまたはホウ素をシリコン活性層にドープする場合は、上記のようなガラス層を形成する必要がなく、精度良く安定して不純物をシリコン活性層にドープすることができる。しかしながら、このようにシリコン活性層に不純物をイオン注入しただけでは不純物が不活性であるため、イオン注入後のウエーハに熱処理を行って、不純物を活性化させることが好ましい。
【0028】
このようにシリコン活性層に不純物をドープして低抵抗率のシリコン活性層5を形成した後、そのシリコン活性層5の一部をフォトリソグラフィにより除去して電極6を形成する(図1(c))。
例えば、低抵抗率のシリコン活性層5の表面にフォトレジストを塗布し、焼きしめ(プリベイク)を行った後、紫外線やエキシマレーザ光線などを照射して電極のパターンをレジストに転写し、その後、焼きしめ(ポストエクスポージャベイク)、非電極部上のレジスト除去(現像)、非電極部のシリコン活性層の除去、全レジスト除去を順次行うことによって、電極を形成することができる。なお、このようなフォトリソグラフィ工程において、非電極部のシリコン活性層の除去はフッ酸と硝酸の混酸を用いて行うことができるため、BOX酸化膜を汚染することもない。
【0029】
その後、形成した電極6に、例えば絶縁特性評価装置(不図示)に接続されているプローブ7を接触させ、電圧を印加してブレイクダウン電圧Vbdを測定することにより、BOX酸化膜/Vbd評価を行うことができる(図1(d))。
【0030】
このようなSOIウエーハの評価方法において、シリコン活性層の厚さが150nm以上であれば、そのままフォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して電極を形成することによって、BOX酸化膜の絶縁特性の正確な評価を確実に行うことができる。しかしながら、シリコン活性層の厚さが150nm未満である場合、フォトリソグラフィを行って電極を形成しても、前述のように、セルフヒーリング現象を引き起こして正確なブレイクダウン電圧が不明となったり、またプローブ先端部が電極を突き抜ける問題が生じて、正確なBOX酸化膜/Vbd評価ができなくなる可能性がある。
【0031】
したがって、SOIウエーハにおけるシリコン活性層の厚さが150nm未満であるような場合、評価を行う前に、予めSOIウエーハのシリコン活性層上にシリコン層を堆積させることが好ましい。
【0032】
例えば、図2に示すように、SOIウエーハ8がBOX酸化膜3上に150nm未満の厚さのシリコン活性層9を有している場合、先ずそのシリコン活性層9の直上にシリコン層(シリコン堆積層)10を堆積させて、シリコン活性層9とシリコン堆積層10の合計の厚さが150nm以上となるようにする(図2(a))。このとき、シリコン堆積層10を堆積させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、エピタキシャル法やCVD法等によって容易にシリコン堆積層10を形成することができる。
【0033】
その後、上述したように、熱拡散法またはイオン注入法によってシリコン活性層及びシリコン堆積層に不純物をドープして、低抵抗率のシリコン活性層11及びシリコン堆積層12(図2(b))を形成する。続いて、フォトリソグラフィによって電極13を形成した後(図2(c))、その電極13にプローブ7を接触させることによって、BOX酸化膜/Vbd評価を正確に行うことができる。
【0034】
また本発明によれば、上記シリコン活性層9の直上にシリコン堆積層10をエピタキシャル法やCVD法等によって堆積させる際に、ドープ剤として不純物、例えばリンまたはホウ素をキャリアガス、ソースガスとともに導入することによって、シリコン堆積層を形成しながら不純物を容易にドープすることができる。
【0035】
このとき、このようなエピタキシャル法やCVD法等によって不純物をドープしながらのシリコン堆積層の形成は高温で行われるため、シリコン堆積層中の不純物をシリコン活性層に拡散させてシリコン活性層にも同時に不純物をドープすることができる。したがって、電極となる低抵抗率のシリコン活性層及びシリコン堆積層の形成を更に簡便に行うことができ、評価工程の一層の簡略化が図れる。
【0036】
以上のようにしてSOIウエーハの埋め込み酸化膜の絶縁特性を評価することによって、従来のようなシリコン活性層の完全なエッチング除去やポリシリコン層の形成を行わずに、シリコン活性層を利用して電極が形成できるため、評価工程を簡略化でき、省力化を図ることができる。また、アルカリエッチングやプラズマエッチングを行う必要もないので、BOX酸化膜のアルカリ金属汚染や静電破壊を生じさせず、より実際のウエーハに近い状態でBOX酸化膜の品質を評価することができ、信頼性の高い絶縁特性評価を行うことが可能となる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
試料として、SIMOX法により作製した直径200mm、抵抗率10Ω・cm、シリコン活性層の厚さ及びBOX酸化膜の厚さがそれぞれ150nm及び135nmである導電型がN型のSOIウエーハを準備した。
【0038】
先ず、シリコン活性層にリンをドープするため、窒素ガスをキャリアガス、POClをソースガスとした雰囲気中で850℃、30分の熱処理を行って、SOIウエーハのシリコン活性層の表面に拡散源であるリンガラス層を成長させた。次に、Nガス雰囲気中、1000℃で30分間の熱処理を行い、リンをシリコン活性層中に拡散させ、その後シリコン活性層表面に形成されているリンガラス層をフッ酸で除去した。リンドープ後のシリコン活性層の抵抗率は0.6mΩ・cmであった。
【0039】
続いて、フォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して、SOIウエーハ面内のBOX酸化膜上に8mmの電極面積を有するMOSキャパシタを100個作製した。
作製したこれらのMOSキャパシタのうち、任意の24個の電極を対象としてTZDB法を用いてBOX酸化膜がブレイクダウンしたときの電圧値を測定し、これを電界強度で示してBOX酸化膜の絶縁特性を評価した。その評価結果を図3に示す。
【0040】
(実施例2)
試料として、SIMOX法により作製した直径200mm、抵抗率10Ω・cm、シリコン活性層の厚さ及びBOX酸化膜の厚さがそれぞれ100nm及び135nmである導電型がN型のSOIウエーハを準備した。
【0041】
先ず、今回用いたSOIウエーハのシリコン活性層の厚さが150nmよりも薄いため、シリコン活性層の表面にエピタキシャル法を用いてシリコン層を200nm堆積し、シリコン活性層とシリコン堆積層の厚さの合計を300nmにした。
【0042】
次に、実施例1と同様にリンガラス層を形成し、Nガス雰囲気中、1000℃で30分間の熱処理を行うことによってリンをシリコン活性層及びシリコン堆積層にドープし、その後リンガラス層をフッ酸で除去した。ドープ後のシリコン活性層の抵抗率は1.5mΩ・cmであった。続いて、実施例1と同様にフォトリソグラフィを行って、ウエーハ面内のBOX酸化膜上に8mmの電極面積を有するMOSキャパシタを100個作製した。
【0043】
作製したこれらのMOSキャパシタのうち、任意の24個の電極を対象としてTZDB法を用いてBOX酸化膜がブレイクダウンしたときの電圧値を測定し、これを電界強度で示してBOX酸化膜の絶縁特性を評価した。その評価結果を図4に示す。
【0044】
(比較例)
試料として、実施例1と同様のSIMOX法により作製した直径200mm、抵抗率10Ω・cm、シリコン活性層の厚さ及びBOX酸化膜の厚さがそれぞれ150nm及び135nmである導電型がN型のSOIウエーハを準備した。
【0045】
このSOIウエーハをアルカリエッチング槽(KOH/HO)中に浸漬して、シリコン活性層をエッチングした後、CVD法によりリンをドープしながらポリシリコンをBOX酸化膜表面に300nm堆積した。ドープ後のシリコン活性層の抵抗率は1.3mΩ・cmであった。続いて、実施例1と同様にフォトリソグラフィを行って、ウエーハ面内のBOX酸化膜上に8mmの電極面積を有するMOSキャパシタを100個作製した。
【0046】
作製したこれらのMOSキャパシタのうち、任意の24個の電極を対象として実施例1と同様にTZDB法を用いてBOX酸化膜の絶縁特性の評価を行った。その評価結果を図5に示す。
【0047】
図3〜図5を比較してみると、実施例1、2及び比較例におけるSOIウエーハの評価では、いずれもほぼ同様の絶縁特性を示すが、比較例の方がバラツキが大きく、しかも全体的に低下傾向を示し、アルカリによる汚染の影響がみられた。一方、本発明では、バラツキが少なく汚染の影響を排除できていることが判る。このことから、本発明のSOIウエーハの評価方法によって正確なBOX酸化膜の絶縁特性が評価できることが確認できた。
【0048】
さらに、実施例1と比較例については、それぞれ上記と同条件で作製した複数枚のSOIウエーハに対して、それぞれ上記と同様の条件でBOX酸化膜の絶縁特性の評価を行った。
その結果、実施例1の場合、評価した複数枚のSOIウエーハのいずれにおいても図3と同様の評価結果を示した。したがって、信頼性の高いBOX酸化膜/Vbd評価を行うことができたことが確認できた。それに対して、比較例では、それぞれの評価結果においてバラツキが生じており、実施例1に比べて評価結果の信頼性が低いことが分かった。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
例えば、上記では、評価するSOIエーハとしてSIMOXウエーハを例に挙げて説明したが、本発明で評価可能なSOIウエーハはこのようなSIMOXウエーハに限定されるものではなく、貼り合わせ法、水素イオン注入剥離法等により作製されたSOIウエーハの評価にも用いることができることは言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のようにシリコン活性層を完全にエッチング除去せずにシリコン活性層を利用して電極を形成するため、評価工程を簡略化し、簡便にSOIウエーハの評価を行うことができる。また、BOX酸化膜のアルカリ金属汚染や静電破壊を防止できるため、BOX酸化膜の絶縁特性を高い信頼性で評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSOIウエーハの評価方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本発明のSOIウエーハの評価方法の別の例を示すフロー図である。
【図3】実施例1におけるBOX酸化膜の絶縁特性の評価結果を示したグラフである。
【図4】実施例2におけるBOX酸化膜の絶縁特性の評価結果を示したグラフである。
【図5】比較例におけるBOX酸化膜の絶縁特性の評価結果を示したグラフである。
【図6】従来のSOIウエーハの評価方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【符号の説明】
1…SOIウエーハ、 2…シリコン活性層、
3…埋め込み酸化膜(BOX酸化膜)、 4…支持基板、
5…不純物をドープした低抵抗率のシリコン活性層、
6…電極、 7…プローブ、 8…SOIウエーハ、
9…シリコン活性層、 10…シリコン層(シリコン堆積層)、
11…不純物をドープした低抵抗率のシリコン活性層、
12…不純物をドープした低抵抗率のシリコン堆積層、
13…電極。

Claims (6)

  1. 少なくとも、シリコン活性層、埋め込み酸化膜、支持基板を有するSOIウエーハの前記埋め込み酸化膜の絶縁特性を評価する方法であって、前記SOIウエーハのシリコン活性層に不純物をドープしてその抵抗率を下げた後、フォトリソグラフィによりシリコン活性層の一部を除去して電極を形成し、該形成した電極を用いて埋め込み酸化膜の絶縁特性の評価を行うことを特徴とするSOIウエーハの評価方法。
  2. 前記不純物のドープを、熱拡散法またはイオン注入法により行うことを特徴とする請求項1に記載のSOIウエーハの評価方法。
  3. 前記評価を行う前に、予めSOIウエーハのシリコン活性層上にシリコン層を堆積させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のSOIウエーハの評価方法。
  4. 前記シリコン活性層上にシリコン層を堆積させる際に、該シリコン堆積層に不純物をドープすることを特徴とする請求項3に記載のSOIウエーハの評価方法。
  5. 前記シリコン活性層の厚さ、またはシリコン活性層とシリコン堆積層の合計の厚さを150nm以上とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のSOIウエーハの評価方法。
  6. 前記ドープする不純物をリンまたはホウ素とすることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のSOIウエーハの評価方法。
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