JP3671894B2 - 基板評価用素子、その製造方法及びsoi基板の評価方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁物または絶縁層(以下、両者を含めて絶縁層と記す)の上にシリコン層が形成された構造のSOI(Silicon On Insulator) 基板と呼称される基板の評価用素子、その製造方法及び該基板評価用素子を用いたSOI基板の評価方法に関し、より詳細には該SOI基板における前記絶縁層の品質を正当に評価するための基板評価用素子、その製造方法及び該基板評価用素子を用いたSOI基板の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
システムソフトウェアの高機能化、デ−タの大容量化が進み、また携帯端末の発展に伴って、次世代の半導体集積回路には、高速かつ低消費電力のものが切望されている。SOI基板は、既存のLSI製造プロセスを大幅に変更することなく、今まで使用していたバルクウェ−ハの代わりに使用するだけで、その上に作製された半導体装置の高速化及び低消費電力化が実現可能な半導体基板として注目されている。
【0003】
このSOI基板を利用して製造された半導体装置は、耐電圧が高く、α線のソフトエラー率が低くなるという大きな利点を有する。また、特に薄膜SOI基板(1μm以下の厚みのシリコン活性層を有するSOI基板)上に形成されたMOS型半導体装置は、完全空乏型で動作させた場合、ソ−ス・ドレインのPN接合面積を小さくできるため、寄生容量が低減され、デバイス駆動の高速化を図ることができる。また、絶縁層としての埋め込み酸化膜の容量がゲ−ト酸化膜直下に形成される空乏層容量と直列に挿入されているため実質的に空乏層容量が減少し、このためMOS型半導体装置のサブシュレッド係数を理論限界値近くにまで低減することが可能であり、低消費電力化を実現することができる。このようにSOI基板上に形成されたMOS型半導体装置は、既存のLSI製造プロセスを大幅に変更することなく、高速化及び低消費電力化を実現することができる。
【0004】
通常のバルク基板の品質を評価する場合、MOS耐圧評価法という方法が広く一般に用いられてきた(極薄シリコン酸化膜の形成と界面評価技術 p.96: リアライズ社、1997年発行)。この方法によれば、p型シリコン基板の品質を評価する場合、シリコン基板が蓄積状態になるように上部メタル電極に負のバイアスを印加し、ゲ−ト酸化膜が絶縁破壊する電圧を求め、所定の判定電圧より高耐圧を示すMOS型半導体装置を良品とする。そして1枚の基板の中で良品MOS型半導体装置の占める割合によりシリコン基板の品質を判断する。一般的なCZ法により得られたシリコン基板では40〜60%、エピタキシャルウェ−ハでは、ほぼ100%の耐圧良品率を得ることができる。
【0005】
SOI基板においては、絶縁層(埋め込み酸化膜)があるため、通常、基板裏面側から電気的コンタクトを取ることができず、基板表面側に電気的コンタクトを形成する必要がある。SOI基板のシリコン層が比較的厚い場合には、コンタクト抵抗を低減する方法、例えば、コンタクト用メタルと接触するシリコン層部分の不純物濃度を上げる、シンタリング熱処理を施す等の方法を採用すれば、従来のMOS耐圧評価法と同等程度の評価が可能であった。
【0006】
図6は従来のSOI基板を評価するためのMOS型評価用素子を示した断面図であり、図中10はSOI基板を示しており、SOI基板10はSi支持基板11の上に埋め込み酸化膜12が形成され、埋め込み酸化膜12の上にシリコン層13が形成された構成となっている。シリコン層13の上にはゲート酸化膜14が形成され、ゲート酸化膜14の上にはポリSi電極15が形成され、これらシリコン層13、ゲート酸化膜14、ポリSi電極15によりMOS型半導体素子が構成されている。また、ポリSi電極15近傍のゲート酸化膜14には孔16が形成され、孔16の周辺にはトップコンタクト17が形成され、トップコンタクト17下方のシリコン層13には拡散層18が形成され、トップコンタクト17とシリコン層13との低接触抵抗化が図られている。
【0007】
SOI基板10では埋め込み酸化膜12が存在するため、例えばMOS型半導体素子の絶縁破壊特性等を評価する際、SOI基板10の裏面側とポリSi電極15とで電気的接続を図ることができず、上記したようにシリコン層13側にトップコンタクト17を形成していた。トップコンタクト17と拡散層18との接触抵抗はシリコン層13部分のキャリア濃度を高く(>1019/cm3 程度)すればかなり低く抑えることができる。
【0008】
また、SOI基板10ではシリコン層13の品質と共に、埋め込み酸化膜12の品質も重要となる。上記方法ではシリコン層13の品質は評価できても、埋め込み酸化膜12の電気的特性を評価することは不可能である。この埋め込み酸化膜12の耐圧を評価する方法の一つとしてシリコン層13の層厚が1μm以下の薄いものになると、シリコン層13全体の不純物濃度を上げてシリコン層13を電極として利用し、埋め込み酸化膜12をゲ−ト酸化膜に見立てての耐圧の評価を行う方法が採用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら埋め込み酸化膜12の膜厚は通常のゲ−ト酸化膜と比べて非常に厚く、埋め込み酸化膜12の膜質が改善された最近のSOI基板10や、絶縁層が実質的に熱酸化膜である貼り合わせSOI基板では、埋め込み酸化膜が絶縁破壊を生じる確率は低く、上記した基板評価方法が有効な薄膜SOI基板評価法であるとは言い難いといった課題があった。
【0010】
今後は、埋め込み酸化膜の固定電荷や可動イオン、埋め込み酸化膜とシリコン層の界面準位密度の評価が重要になってくると考えられる。これらの項目を比較的単純な素子を用いて評価し、SOI基板製造プロセスに迅速にフィ−ドバックすることが切望されている。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、SOI基板における絶縁層(埋め込み酸化膜)の固定電荷や可動イオン、埋め込み酸化膜とシリコン層との界面準位密度等の評価を可能にする、比較的単純な構成の基板評価用素子、その製造方法及び該基板評価用素子を用いたSOI基板の評価方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記目的を達成するために本発明に係る基板評価用素子(1)は、絶縁層上にシリコン層が形成された基板における前記絶縁層を評価するための基板評価用素子において、前記基板上の前記シリコン層が島状に分離され、該島状分離シリコン層表面に絶縁膜が形成され、前記島状分離シリコン層に少なくとも3つの電極が前記絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介して接続されると共に、前記少なくとも3つの電極の内、少なくとも2つの電極が接続される前記島状分離シリコン層の所定領域に、前記絶縁層付近まで達する独立的高濃度不純物拡散層が形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記基板評価用素子(1)によれば、前記少なくとも3つの電極の内、2つの電極が接続される前記島状分離シリコン層の独立的高濃度不純物拡散層をMOSFETにおけるソース、ドレインとみなし、前記絶縁層の支持基板をゲートとみなしてId−Vg特性を評価することにより、前記独立的高濃度不純物拡散層が電極となり、印加電圧は効率的に前記絶縁層にかかることになる。このため、前記シリコン層の薄膜化に影響されることなく、また前記絶縁層に電界集中箇所を生ずることなく、SOI基板における前記絶縁層の正しい品質評価を行うことができ、SOI基板における前記絶縁層の固定電荷や可動イオン、前記絶縁層と前記シリコン層との界面準位密度等の評価がより正確に行えるようになる。
【0014】
また、本発明に係る基板評価用素子(2)は、上記基板評価用素子(1)において、前記島状分離シリコン層の分離が、前記シリコン層の部分的除去による空間的分離であることを特徴としている。
また、本発明に係る基板評価用素子(3)は、上記基板評価用素子(1)において、前記島状分離シリコン層の分離が、絶縁物の介在による分離であることを特徴としている。
上記基板評価用素子(2)又は(3)によれば、前記島状分離シリコン層の形成を容易に行うことができ、また前記シリコン層の分離を確実に実現することができる。
【0015】
また、本発明に係る基板評価用素子の製造方法(1)は、
(a)絶縁層上にシリコン層が形成された基板における前記シリコン層をパタ−ニングして島状に分離する工程
(b)前記島状シリコン層上に酸化膜を形成し、その後、前記島状シリコン層を少なくとも2つの領域に分離するように前記酸化膜をパタ−ニングする工程
(c)該酸化膜をマスクにして前記島状シリコン層に不純物を拡散させて少なくとも2つの独立的高濃度不純物拡散層領域を形成する工程
(d)前記酸化膜を除去し、その後層間絶縁酸化膜を形成する工程
(e)前記島状分離シリコン層の異なる少なくとも3つの領域にそれぞれ接続されるコンタクトホ−ルを形成し、これらのコンタクトホ−ル部分に電極を形成する工程
を含んでいることを特徴としている。
上記基板評価用素子の製造方法(1)によれば、SOI基板における前記絶縁層の正しい品質評価を行うことができる基板評価用素子を容易に製造することができる。
【0016】
また、本発明に係るSOI基板の評価方法(1)は、上記基板評価用素子(1)を用い、少なくとも2つの前記独立的高濃度不純物拡散層領域をソ−ス、ドレイン、不純物が拡散されていない島状分離シリコン層領域をボディ、前記絶縁層をゲート酸化膜とみなしてMOSFETの静特性に基づいて前記絶縁層を評価することを特徴としている。
上記SOI基板の評価方法(1)によれば、SOI基板における前記シリコン層の薄膜化に影響されることなく、前記絶縁層に電界集中箇所を生じさせることなく、SOI基板における前記絶縁層の正しい品質評価を行うことができ、また前記絶縁層と前記シリコン層との界面準位密度等の評価も可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る基板評価用素子、その製造方法及び該基板評価用素子を用いたSOI基板の評価方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(c)は実施の形態に係る基板評価用素子の製造工程の概略を示す断面図であり、図1(a)は製造工程が施される前の状態のSOI基板20を示している。図中21はSi支持基板を示しており、Si支持基板21の上には埋め込み酸化膜(絶縁層)22が形成され、埋め込み酸化膜22の上にはシリコン層23が形成されている。
【0018】
まず、このSOI基板20のシリコン層23上にレジスト(図示せず)を塗布し、露光、現像してこのレジストを島状に分離された形状にパタ−ニングし、このレジストパタ−ンをマスクとしてシリコン層23にエッチングを施し、その後レジストパタ−ンを除去する(図1(b))。このシリコン層23のエッチングには例えば、HF/HNO3 /H2 O、あるいはHF/HNO3 /CH3 COOH/H2 Oを用いたウエットエッチングを採用する。
【0019】
次にエッチングされ、島状に分離された形状の各シリコン層23を2つの領域に分離する形状のCVD酸化膜24を形成するために、まずSOI基板20の全面にCVD酸化膜(図示せず)を800〜1000℃、40〜80分、圧力0.3〜0.7hPa、100%の酸素雰囲気の条件で、厚さ50〜150nm程度形成する。次に、このCVD酸化膜上にレジスト(図示せず)を塗布し、露光、現像して所定の島状に分離された形状の各シリコン層23を2つの領域に分離する形状のレジストパタ−ン(図示せず)を形成し、このレジストパタ−ンをマスクとしてCVD酸化膜をエッチングし、その後このレジストパタ−ンを除去する(図1(c))。このCVD酸化膜のエッチングには例えば、HF、あるいはBHFを用いたウエットエッチングを採用する。この時点におけるSOI基板20の平面図を図3に示す。島状に分離された形状の各シリコン層23がCVD酸化膜24により2つの領域に分離されている。
【0020】
次に、このCVD酸化膜24をマスクとして2つの領域に分離された各シリコン層23にn型拡散層23a、23bの形成を目的として不純物拡散、例えばリン拡散を行う(図1(d))。このリン拡散処理は例えば、POCl3 +N2 +O2 の雰囲気で、850〜950℃の条件で、3〜10分間行う。
【0021】
不純物拡散工程の後、マスクに用いたCVD酸化膜24をHF、あるいはBHFを用いたウエットエッチングにより除去する(図2(a))。
その後、SiH4 +N2 Oを原料ガスとして800〜900℃、40〜80分、圧力0.3〜0.7hPaの条件で、厚さ50〜150nm程度の層間絶縁酸化膜26を形成する(図2(b))。
この層間絶縁酸化膜26の形成は、上記CVD法による他、別の実施の形態では、700〜1200℃、希釈酸素雰囲気あるいは100%酸素雰囲気の条件下での熱酸化法によっても差し支えない。
【0022】
次に、リン拡散が行われた2つの領域、及びリン拡散が行われていない領域の、合計3つの領域のそれぞれにコンタクトホ−ル26a、26b、26cを形成するために、まず層間絶縁酸化膜26の上にフォトレジスト層(図示せず)を形成し、フォトリソ工程を施して所定形状のコンタクトホ−ルパタ−ン(図示せず)を形成する。次に、このフォトレジストパタ−ンをマスクにして、層間絶縁酸化膜26にエッチング処理を施す。このエッチング処理は、HF、あるいはBHFを用いたウエットエッチング、あるいはCF4 、CHF3 、C6 F3 、C3 F8 等を用いたプラズマドライエッチングで行う。
【0023】
その後、トップコンタクトとなる電極27、28、29を形成するために、Al、Al−Si−Cu、W、Ti等からなる金属層(図示せず)をスパッタ法あるいはCVD法により厚さ0.5〜3μm程度形成する。次にこの金属層の上にフォトレジスト層(図示せず)を形成し、フォトリソ工程を施して所定形状の電極パタ−ンを有するフォトレジストパタ−ン(図示せず)を形成する。次に、このフォトレジストパタ−ンをマスクにして、前記金属層にエッチング処理を施し、電極27、28、29を形成する。この金属層のエッチング処理は、前記金属層がAlで形成されている場合には、H3 PO3 +CH3 COOH等の混合溶液によるウエットエッチングか、CCl4 、BCl3 、BBr3 、HBr等を用いたプラズマドライエッチングで行う。これで基板評価用素子の製造は完了である(図2(c))。
【0024】
上記した工程により、SOI基板20に、埋め込み酸化膜22をゲ−ト酸化膜とし、リン拡散が行われていないシリコン層23領域、拡散層23a、23b、及びSi支持基板21からなるMOSキャパシタ30が形成されることとなる。
【0025】
MOSFETの線形領域におけるId−Vg特性は、
Id=(μeff CoxWeff /Leff )((Vg−Vt)Vd−(1/2)× Vd2 )
で表わされる。ここで、
μeff : 実効的チャネル移動度
Cox : 埋め込み酸化膜をゲ−ト酸化膜とした時のゲ−ト酸化膜容量
Weff : MOSFETの実効チャネル幅
Leff : MOSFETの実効チャネル長
Vg : ゲ−ト電圧
Vt : 閾値電圧
Vd : ドレイン電圧
をそれぞれ表わしている。
【0026】
Id−Vg特性の傾きの最大値より、実効的チャネル移動度μeff が求まり、このμeff は埋め込み酸化膜界面の特性を反映しており、埋め込み酸化膜界面の優劣を評価することができる。また埋め込み酸化膜22の閾値電圧Vtは、埋め込み酸化膜22内の固定電荷に依存するので、この閾値電圧Vtから埋め込み酸化膜22の固定電荷の評価をすることができる。また、150〜250℃の高温下でSi支持基板21とリン拡散が行われていないシリコン層23領域との間にバイアスをかけておき、バイアス印加前後の閾値電圧Vtの変化から可動イオン量を見積もることができる。このように、通常のMOSFETにおいてよく知られている解析方法を、実施の形態に係るMOSキャパシタ30(基板評価用素子)に適用すれば、埋め込み酸化膜22及び埋め込み酸化膜22界面の評価を行うことができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明に係る基板評価用素子、その製造方法及び該基板評価用素子を用いたSOI基板の評価方法の実施例を説明する。
まず、以下に示す条件により、図2(c)に示す実施例に係るMOSキャパシタ30(基板評価用素子)を製造した。
【0028】
実施例1
・用いたSOI基板 SIMOX
・シリコン層23 厚さ :100nm
シリコン層23のエッチング HF/HNO3 /H2 Oを用いたウエットエッチング
シリコン層23へのリン拡散処理 POCl3 +N2 +O2 の雰囲気で、900℃、5分間
・埋め込み酸化膜22 膜厚 :100nm
・CVD酸化膜24 膜厚 :100nm
CVD酸化膜24のエッチング HFを用いたウエットエッチング
・層間絶縁酸化膜26 膜厚 :100nm
層間絶縁酸化膜26の形成 SiH4 +N2 Oを原料ガスとして850℃、60分、圧力0.35hPa
・MOSFETのゲ−ト長 500μm
・MOSFETのゲ−ト幅 500μm
実施例2
・用いたSOI基板 貼り合わせSOI
・その他の条件は実施例1と同じ
実施例3
・用いたSOI基板 SIMOX
・評価用素子を形成する前に、1000℃、30分、N2 雰囲気でアニ−ルを行って固定電荷密度の低減を図っておいた
・その他の条件は実施例1と同じ
基板評価用素子の特性測定
図4に、上記各条件により製造した実施例1、2に係る基板評価用素子を用いて、MOSFETの線形領域のId−Vg特性を測定した結果を示す。Id−Vg特性の傾きの最大値より、実効的チャネル移動度μeff を求めた結果、実施例1に係るSIMOXの場合、μeff は900cm2 /Vs、実施例2に係る貼り合わせSOI基板の場合、μeff は1100cm2 /Vsとなり、貼り合わせSOI基板を用いたものの方が、埋め込み酸化膜22界面の状態は良好であると言える。これは、貼り合わせSOI基板の方が埋め込み酸化膜22とシリコン層23との界面の界面順位密度が低いことを示唆している。
【0029】
図5に、実施例1、実施例3に係る基板評価用素子を用い、Id−Vg特性を測定した結果を示す。
固定電荷密度は、主に埋め込み酸化膜22中のシリコン層23界面近傍に存在する酸素欠損が原因とされているが、埋め込み酸化膜22の形成後、不活性ガス雰囲気で高温アニ−ルを行なうと、固定電荷密度は低減することが知られている。従って、実施例3に係る基板評価用素子の場合、固定電荷密度の低減が図られている。
【0030】
Id−Vg特性の傾きが最大となる接線がx軸と交わる交点より、閾値電圧Vtが求められる。高温アニ−ル処理が施され、固定電荷密度の低減が図られた実施例3に係る基板評価用素子の場合、閾値電圧Vtは1.12Vとなり、高温アニ−ル処理が施されていない、実施例1に係る基板評価用素子の場合、閾値電圧Vtは0.414Vであった。これらの閾値電圧から固定電荷密度Nssを計算する。
【0031】
Vt=Vfb+2φf+qNaWmax/Cox
ここで
φf=kT/q{ln(Na/ni)}
Wmax=(2×εs×ε0×2φf/qNa)1/2
Cox=εsio2ε0 S/TBox
上記4式より、
Na=5e15[cm-3],k=1.38e-23[J/k]
T=300[k],q=1.6e-19[C]
ni=1.45e10[cm-3],εS=11.7,εsio2=3.82
ε0=8.85e-12[F/m],Tox=100[nm]
として、Vf bを求め
Vfb=φms−Nss×q/Cox
φms=ψm−ψs=kT/q{ln(Nsub/ni)}−kT/q{ln(Na/Ni)}
Nsub=1e15[cm-3]
より、固定電荷密度Nssを求めた。
【0032】
実施例3に係る評価用素子の場合、1×e11cm-2となり、実施例1に係る評価用素子の場合、2.5×e11cm-2となった。このように、実施例に係る基板評価用素子の閾値電圧を評価することで、埋め込み酸化膜22の固定電荷密度を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の実施の形態に係る基板評価用素子の製造工程の概略を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は実施の形態に係る基板評価用素子の製造工程の概略を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板評価用素子の製造途中における状態を示す平面図である。
【図4】実施例に係る基板評価用素子のId−Vg特性を示すグラフである。
【図5】実施例に係る基板評価用素子のId−Vg特性を示すグラフである。
【図6】従来の基板評価用素子としてのMOSキャパシタを示す断面図である。
【符号の説明】
20 SOI基板
21 Si支持基板
22 埋め込み酸化膜
23 シリコン層
23a、23b n型拡散層
24 CVD酸化膜
26 層間絶縁酸化膜
26a、26b、26c コンタクトホ−ル
27 電極
28 電極
29 電極
30 MOSキャパシタ
Claims (5)
- 絶縁層上にシリコン層が形成された基板における前記絶縁層を評価するための基板評価用素子において、前記基板上の前記シリコン層が島状に分離され、該島状分離シリコン層表面に絶縁膜が形成され、前記島状分離シリコン層に少なくとも3つの電極が前記絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介して接続されると共に、
前記少なくとも3つの電極の内、少なくとも2つの電極が接続される前記島状分離シリコン層の所定領域に、前記絶縁層付近まで達する独立的高濃度不純物拡散層が形成されていることを特徴とする基板評価用素子。 - 前記島状分離シリコン層の分離が、前記シリコン層の部分的除去による空間的分離であることを特徴とする請求項1記載の基板評価用素子。
- 前記島状分離シリコン層の分離が、絶縁物の介在による分離であることを特徴とする請求項1記載の基板評価用素子。
- (a)絶縁層上にシリコン層が形成された基板における前記シリコン層をパターニングして島状に分離する工程
(b)前記島状シリコン層上に酸化膜を形成し、その後、前記島状シリコン層を少なくとも2つの領域に分離するように前記酸化膜をパターニングする工程
(c)該酸化膜をマスクにして前記島状シリコン層に不純物を拡散させて少なくとも2つの独立的高濃度不純物拡散層領域を形成する工程
(d)前記酸化膜を除去し、その後層間絶縁酸化膜を形成する工程
(e)前記島状分離シリコン層の異なる少なくとも3つの領域にそれぞれ接続されるコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホール部分に電極を形成する工程
を含んでいることを特徴とする基板評価用素子の製造方法。 - 請求項1記載の基板評価用素子を用い、
少なくとも2つの前記独立的高濃度不純物拡散層領域をソース、ドレイン、不純物が拡散されていない島状分離シリコン層領域をボディ、前記絶縁層をゲート酸化膜とみなしてMOSFETの静特性に基づいて前記絶縁層を評価することを特徴とするSOI基板の評価方法。
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