JP2004119542A - 基板処理装置および基板処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】雰囲気遮断部材2の基板対向面24では、基板Sの略中央部と対向する中央領域241は平面であり、基板Sの周縁部と対向する周縁領域242は基板対向面24の周縁に向かうにしたがって基板Sに近接する傾斜面となっている。このため、基板Sと雰囲気遮断部材2とで挟まれた微小空間SPは基板Sの周縁に向かう方向Rにしたがって徐々に狭まっている。そして、その微小空間SPに雰囲気ガスを送り込むと、雰囲気ガスは微小空間SPの周縁付近で圧縮されて圧力が上昇する。その結果、微小空間SPはミスト飛散雰囲気よりも陽圧となり、基板Sの他方主面S2側へのミスト侵入が効果的に防止される。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」という)の一方主面に処理液を供給して該一方主面に対して所定の基板処理を施す基板処理装置および該装置を装備する基板処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の基板処理装置として、例えば基板が載置される回転台の表面から少し浮かせた状態で基板を水平保持し、その基板の両主面のうち上方を向いた一方主面(上面)にフォトレジスト液、洗浄液、リンス液、エッチング液などの処理液を供給して上面に対して所定の基板処理を施す基板処理装置が知られている。この基板処理装置では、基板が載置される回転台の上に複数個の基板支持ピンを立設し、これらの基板支持ピンで基板の端縁を位置決め保持している。そして、処理液の供給を受けた基板を回転させることで、その処理液が上面全体に広がり均一な表面処理が実行される。
【0003】
このように従来装置では、基板が回転台の表面から少し浮いた状態で保持されるので、基板が回転台に当接して載置された場合に生じる基板の他方主面(下面)の損傷や汚染を避けることができる。しかしながら、その一方において、基板処理中に飛散した処理液のミストが基板の下面に回り込んで付着し、基板の下面が汚染されるという別異の問題が生じる。そこで、基板と回転台との間に上下移動部材を配設することで上記問題の解決を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1 参照)。
【0004】
この特許文献1に記載された基板処理装置では、ミストが発生する基板処理中においては、基板と回転台との間に配設されている上下移動部材が駆動手段によって上方(上昇位置)に駆動される。これによって、基板の下面と上下移動部材の上面の間隔が狭くなるので、発生したミストが基板の下面に回り込むのを防止する。また、ミストが発生しない状態、すなわち基板の搬入/搬出のために回転台が停止しているときには、上下移動部材が下方(下降位置)に駆動され、基板の下面と回転台との間隔が広くなる。その結果、搬送アーム等を使って容易に基板を搬送することができる。
【0005】
【特許文献1 】
特許第2845738号公報(第2−4 頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は単に上下移動部材を基板の下面に近接させることでミストの回込防止を図っているのみであるため、必ずしも十分な防止効果が得られるというものではなかった。例えば、ミストの回込防止効果を高めるためには、上下移動部材を基板の下面に可能な限り近接させるのが望ましいが、基板の撓み、上下移動部材の寸法誤差や装置の組立精度などに起因して上下移動部材の近接配置には自ずと限界がある。また、上下移動部材と基板とで挟まれた空間が負圧となると、ミストを該空間に巻き込んで基板の下面や上下移動部材に付着してしまう。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理中に発生したミストが基板の他方主面に付着することを効果的に防止して基板処理を良好に行うことができる基板処理装置および基板処理システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板の一方主面に処理液を供給して該一方主面に対して所定の基板処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、基板の他方主面に対向させながら基板から離間配置された雰囲気遮断部材と、雰囲気遮断部材と基板との間に形成される空間に雰囲気ガスを供給するガス供給ユニットとを備え、雰囲気遮断部材のうち基板の他方主面と対向する基板対向面はその周縁に向かうにしたがって基板に近接していることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、雰囲気遮断部材が基板の他方主面と対向配置されているため、基板の他方主面が基板周囲のミスト飛散雰囲気から遮断されている。また、雰囲気遮断部材と基板とで挟まれた空間に雰囲気ガスが送られるとともに、基板対向面がその周縁に向かう方向に進むにしたがって基板に近接するように構成している。このため、雰囲気ガスは空間の周縁付近で圧縮されて圧力が上昇し、この空間は基板周囲(ミスト飛散雰囲気)よりも陽圧となり、基板の他方主面側へのミスト侵入が効果的に防止される。さらに、空間に供給された雰囲気ガスは基板周縁と雰囲気遮断部材の周縁との隙間から基板周囲に向けて噴出されるが、基板対向面を上記のように形成したことで隙間から噴出する雰囲気ガスの流速が高まり、基板の他方主面へのミスト付着の防止がより確実なものとなる。
【0010】
ここで、処理液が供給された基板を回転手段により回転させると、基板の一方主面上の処理液に対して遠心力が加わり、処理液を該一方主面全体に広げて均一な基板処理を行うことができる。このように基板を回転させる際、基板とともに雰囲気遮断部材を回転させるのが望ましい。特に、基板と雰囲気遮断部材とを同一回転数で回転させると、基板に対して余分な外力が作用するのを防止することができ、より良好な基板処理を行うことができる。
【0011】
上記のようにして基板処理するためには、基板と雰囲気遮断部材とを所定の位置関係を保つのが望ましい。そのためには、例えば雰囲気遮断部材の周縁に少なくとも3つ以上の支持部材を設け、各支持部材を基板の端面と当接させて基板を支持するのが好適である。
【0012】
また、支持部材の各々と基板の端面との接触形態は、点接触または線接触させることができるが、特に線接触により基板を支持する接触面を支持部材に設けるのが望ましい。このように線接触により基板を支持した場合、点接触に比べて基板支持の安定化を図ることができ、好適である。また、その接触面の形状については、その幅が線接触部分の幅とほぼ同一であるように構成するのが望ましい。また、支持部材の各々については、線接触方向における幅が基板から離れるにしたがって減少する、あるいは同一となっているものを採用するのが望ましい。また、雰囲気遮断部材としては、基板対向面のうち基板の略中央部と対向する中央領域は平面であり、基板の周縁部と対向する周縁領域は基板対向面の周縁に向かうにしたがって基板に近接する傾斜面となっているものを採用するのが望ましい。さらに、雰囲気遮断部材は、基板と同一径、あるいは基板よりも小さな径を有しているものを用いるのが好適である。このような構成を採用することのメリットについては、後の「発明の実施の形態」の項で図面を参照しながら詳述する。
【0013】
また、この発明にかかる基板処理システムは、上記目的を達成するため、請求項1ないし9のいずれかに記載の基板処理装置と同一構成を有する処理ユニットと、処理ユニットに対して基板を搬送する搬送ユニットとを備えている。これによって基板の他方主面へのミスト付着を効果的に防止しながら、基板の一方主面に対して処理液による基板処理を確実に実行することができる。
【0014】
さらに、基板を反転させる反転ユニットをさらに備えると、必要に応じて基板を反転位置決めすることができ、基板処理システムの汎用性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は、図1の基板処理装置を上方から見た部分平面図である。この基板処理装置では、半導体ウエハなどの基板Sの両主面のうち一方主面S1に対して純水や薬液などのリンス液が本発明の「処理液」として供給されて一方主面S1についてリンス処理が施される一方、他方主面S2についてはリンス処理中に発生するミストが付着するのを以下のようにして防止している。すなわち、この基板処理装置は、基板Sの一方主面S1のみに対して本発明の「基板処理」としてリンス処理を実行する装置である。
【0016】
この基板処理装置は、基板Sよりも若干大きな平面サイズを有するスピンベース1を有している。このスピンベース1の上面には、基板Sよりも若干小さな平面サイズを有する雰囲気遮断部材2が固着されている。また、この雰囲気遮断部材2の周縁には、図2に示すように、8個の支持ピン3がほぼ等角度間隔で配置されている。そして、各支持ピン3が基板Sの端部と当接可能となっており、これら8個の支持ピン3によって基板Sを一方主面S1を上方に向けた状態で、かつ略水平状態で支持される。なお、雰囲気遮断部材2と支持ピン3との構成および特徴点などについては後で詳述する。
【0017】
また、支持ピン3により支持された基板Sが水平方向に移動するのを防止するために、4つの保持部材4a〜4dがスピンベース1の周縁に設けられている。これら4つの保持部材4a〜4dのうち保持部材4a、4bは基板Sと当接して保持する保持ピン41Aが固定された固定保持部材であるのに対し、保持部材4c、4dは保持ピン41Bが可動する可動保持部材である。
【0018】
図3は保持部材の構成を示す図である。固定保持部材4a、4bでは、同図(a)に示すように、スピンベース1に対してウエイト42が固定されるとともに、そのウエイト42の上面に固定ピンホルダ43が取り付けられている。そして、その固定ピンホルダ43により固定保持ピン41Aが固定的に保持されている。
【0019】
一方、可動保持部材4c、4dでは、同図(b)に示すように、スピンベース1に対してシャフト44が軸受45により回動軸心46回りに回動自在に軸支されている。また、このシャフト44の上端部に可動ピンホルダ47が取り付けられるとともに、この可動ピンホルダ47に可動保持ピン41Bが回動軸心46から偏心して取り付けられている。このため、装置全体を制御する制御ユニット(図示省略)からの動作信号に応じてマグネット48が作動すると、このマグネット48の電磁力を受けてシャフト44と可動ピンホルダ47が回動軸心46回りに回動駆動される。その結果、保持ピン41が回動軸心46に対して偏心移動して基板Sの端面に対して離当接する。なお、同図(b)は可動保持ピン41Bが離間した状態を示しており、この状態で支持ピン3に対する基板Sの搬入出を行う。そして、基板Sが支持ピン3に載置された後、マグネット48の作動により可動保持ピン41Bを偏心移動させることで基板Sの側面と当接する基板保持位置まで位置決めする。これによって、可動保持ピン41Bは基板Sを固定保持ピン41Aとで挟み込んで水平方向に保持する。このように、この実施形態では、8つの支持ピン3で基板Sを略水平状態に支持するとともに、4つの保持ピン41A、41A、41B、41Bで基板Sの水平方向の移動を規制している。
【0020】
また、スピンベース1には、図1に示すように、本発明の「回転手段」に相当するモータ51の出力回転軸52が連結されており、モータ51の作動に伴って回転する。これによって、スピンベース1の上方で支持ピン3および保持ピン41A、41Bにより保持されている基板Sはスピンベース1および雰囲気遮断部材2とともに回転軸心11回りに回転する。
【0021】
こうして回転駆動される基板Sの一方主面S1に対してリンス液を供給すべく、リンス液供給ノズル6が雰囲気遮断部材2の斜め上方位置に配置されている。このリンス液供給ノズル6には、図示を省略するリンス液圧送ユニットが接続されている。そして、後述するようなタイミングでリンス液圧送ユニットからリンス液が圧送されてくると、リンス液供給ノズル6から支持ピン3により支持された基板Sの一方主面S1に向けて吐出される。また、こうしてリンス液が供給された基板Sを回転駆動すると、リンス液が遠心力により基板Sの一方主面S1の全体に広がり、リンス処理が実行される。このとき、基板Sから振り切られる液体を回収するために、スピンベース1を取り囲むようにカップ部7が設けられている。ここでは、基板Sからリンス液を振り切るためには、基板Sの回転数を下限回転数よりも高く設定する必要があり、この実施形態では基板Sたる半導体ウエハとリンス液たる純水との濡れ性を考慮して基板Sの回転数を300rpm以上に設定している。なお、「下限回転数」とは基板から処理液を振り切るために要する最低限の回転数を意味しており、基板の大きさや、基板の一方主面と処理液との濡れ性などに基づき定まる値である。
【0022】
また、この実施形態では、支持ピン3により基板Sを支持しているため、基板Sと雰囲気遮断部材2との間隔が狭くなっている。このため、その隙間に搬送ロボットのアームなどを挿入することができない。そこで、リフト機構8を設け、以下の基板搬送、つまり、
・未処理基板Sの搬送ロボットからの受け取り、
・受け取った未処理基板Sの支持ピン3への載置、
・リンス処理を受けた処理済基板Sの支持ピン3からの受け取り、
・受け取った処理済基板Sの搬送ロボットへの引渡し
を行う。この実施形態では、リフト機構8は、上下方向に延びる6本のリフタピンスタンド81と、各リフタピンスタンド81の上端部に取り付けられた支持部82と、それらのリフタピンスタンド81の下端側でリフタピンスタンド81を相互に連結する連結プレート83と、連結プレート83を上下方向に移動させるエアシリンダなどのアクチュエータ84とを備えている。
【0023】
そして、制御ユニットからの動作指令に応じてアクチュエータ84が作動するのに応じて連結プレート83が上方に移動すると、6本のリフタピンスタンド81が一体的に上昇する。ここで、支持部82が支持ピン3よりも高い位置まで移動すると、支持ピン3から基板Sを受け取る。このとき、支持部82は支持ピン3に代わり基板Sの周縁部を支持する。また、その上限位置まで移動すると、図1に示すように、支持部82が処理済基板Sを保持したまま、雰囲気遮断部材2から上方に離れた基板受渡し位置P81まで移動し、搬送ロボットに処理済基板Sの引渡しが可能となる。
【0024】
また、この基板受渡し位置P81では、搬送ロボットから未処理基板Sを受け取ることが可能となっている。そして、未処理基板Sを受け取った後、制御ユニットからの動作指令に応じてアクチュエータ84が逆方向に作動するのに応じて連結プレート83が下方に移動すると、6本のリフタピンスタンド81が一体的に下降する。ここで、支持部82が支持ピン3よりも低い位置まで移動すると、支持ピン3に未処理基板Sが載置される。また、その下限位置P82まで移動すると、カップ部7よりも低い位置に収まり、リンス処理が可能となる。
【0025】
この実施形態では、リフタピンスタンド81および支持部82がカップ部7と干渉するのを防止するために、カップ部7にはリフタピンスタンド81および支持部82が通過するための通過孔71が設けられている。これに対応して通過孔71の開閉を制御するシャッター85が設けられている。すなわち、各通過孔71の近傍にシャッター85がカップ部7に対して回動軸心86回りに回動自在に軸支されている。そして、図示を省略するシャッター用アクチュエータの作動に連動してシャッター85が制御ユニットにより開閉制御される。このため、リンス処理中では、リフタピンスタンド81および支持部82がカップ部7よりも低い位置に収まるとともに、各通過孔71はシャッター85で塞がれて、カップ部7の内部雰囲気がリフト機構8に流れ込むのを確実に防止することができる。ここで、シャッター85を開閉駆動するシャッター用アクチュエータとしては、エアシリンダ、ソレノイド、モータなどを用いていることができる。
【0026】
さらに、この実施形態では、昇降機構9が設けられてカップ部7およびリフト機構8を一体的に昇降可能となっている。この昇降機構9は、リフト機構8のアクチュエータ84とカップ部7とに連結された昇降テーブル91を有している。また、この昇降テーブル91には、複数本のエアシリンダなどのアクチュエータ92が接続されている。このため、制御ユニットからの昇降指令に応じてアクチュエータ92が作動すると、昇降テーブル91が昇降駆動され、カップ部7およびリフト機構8が一体的に昇降移動する。例えば、図1はアクチュエータ92により昇降テーブル91が下限位置P92に移動した状態を示しており、基板Sの搬入出が可能となっている。また、アクチュエータ92により昇降テーブル91が同図中の1点鎖線で示す上限位置P91に移動すると、この昇降テーブル91の上昇移動に伴ってカップ部7およびリフト機構8が一体的に上昇してリンス処理が可能となる。図4は、そのリンス処理が可能な状態を示している。
【0027】
このように構成された基板処理装置では、制御ユニットのメモリに予め記憶されているプログラムにしたがって制御ユニットが装置各部を制御して、未処理基板の搬入、リンス処理、および処理済基板の搬出を行う。
【0028】
まず、昇降テーブル91が下限位置P92に位置決めされた状態(図1)で、未処理基板Sの搬入が行われる(未処理基板の搬入)。具体的には、図示を省略するシャッター用アクチュエータの作動によりシャッター85が開いた後、リフタ用アクチュエータ84の作動によりリフタピンスタンド81が上昇する。そして、基板受渡し位置P81で搬送ロボットから未処理基板Sを受け取ると、アクチュエータ84が逆方向に作動して未処理基板Sの周縁部を支持部82で支持しながらリフタピンスタンド81が一体的に下降する。このため、支持部82が支持ピン3よりも低い位置まで移動した時点で支持ピン3に未処理基板Sが載置される。これに続いて、可動保持部材4c、4dの保持ピン41Bが基板保持位置に移動して基板Sをしっかりと保持する。なお、リフタピンスタンド81が下限位置P82まで移動すると、カップ部7よりも低い位置に収まると、シャッター85を閉じる。
【0029】
このシャッター85の閉成から適当な時間が経過すると、カップ部7をリンス位置まで上昇させた後、リンス処理を実行する。すなわち、図4に示すように、アクチュエータ92により昇降テーブル91を上限位置P91に移動させた後、リンス液供給ノズル6から支持ピン3により支持された基板Sの一方主面S1に向けてリンス液を吐出するとともに、モータ51を作動させて基板Sを回転軸心11回りに回転させる。これによってリンス処理が実行される(リンス処理)。
【0030】
このリンス処理が完了すると、基板Sを回転させたままリンス液供給ノズル6からのリンス液の供給を停止して基板Sに付着する液体を振り切り、乾燥させる。そして、この回転乾燥処理が完了すると、モータ51を停止させて基板Sを静止させる。さらに、アクチュエータ92により昇降テーブル91を下限位置P92に移動させた後、シャッター85の開成とともに、リフタ用アクチュエータ84の作動によりリフタピンスタンド81を上昇させる。これにより、支持部82が支持ピン3よりも高い位置まで移動した時点で、支持ピン3から支持部82に処理済基板Sが移載され、基板受渡位置P81に位置決めされる。そして、処理済基板Sが搬送ロボットに引渡され、装置から搬出される(処理済基板の搬出)。なお、基板搬出が行われると、上記と同様にして、リフタピンスタンド81をカップ部7よりも低い位置に収めるとともに、シャッター85を閉じる。
【0031】
このような一連の動作を繰り返すことで複数の基板Sについて、一方主面S1に対するリンス処理を連続的に行うことができる。
【0032】
次に、雰囲気遮断部材2の構成について、図1、図2および図5を参照しつつ詳述する。図5は雰囲気遮断部材の周縁付近の構成を示す図であり、同図(a)は支持ピン装着部位の近傍を示し、同図(b)は支持ピン未装着部位の近傍を示している。雰囲気遮断部材2はスピンベース1の上面に設けられており、その上面24を基板対向面として支持ピン3に支持された基板Sの他方主面(下面)S2に対向させながら基板Sから離間配置されている。この雰囲気遮断部材2は、円盤状の平板部材21と、この平板部材21の周囲を取り囲むように配置されたドーナツ状の円環部材22とをボルト・ナットなどの締結部材23で締結してなるものであり、既に上述したように全体の平面サイズは基板Sよりも若干小さくなっている。なお、このように平面サイズを設定している理由については後で詳述する。
【0033】
また、この雰囲気遮断部材2の両主面のうち基板Sと対向する基板対向面24では、基板Sの略中央部と対向する中央領域241は平面であり、基板Sの周縁部と対向する周縁領域242は基板対向面24の周縁に向かうにしたがって基板Sに近接する傾斜面となっている。このため、基板Sと雰囲気遮断部材2とで挟まれた微小空間SPは中央部で比較的広がっているものの、基板Sの周縁に向かう方向Rにしたがって徐々に狭まっており、雰囲気遮断部材2の周縁では基板Sと雰囲気遮断部材2との微小隙間CLは微小間隔Dh、例えば0.3mm〜1mm、好ましくは0.3mm〜0.8mmとなっている。
【0034】
以上のように、この実施形態では、雰囲気遮断部材2により基板Sの他方主面(下面)S2を基板Sの周囲、つまりミスト飛散雰囲気から遮断しており、リンス処理中に発生したミストが基板Sの他方主面S2側に侵入するのを防止することができる。
【0035】
また、次に説明するように微小空間SPをミスト飛散雰囲気(基板Sの周囲)よりも陽圧にすることでミスト侵入をさらに効果的に防止している。すなわち、この雰囲気遮断部材2の略中央部には、図1および図2に示すように、貫通孔25が設けられている。この貫通孔25は出力回転軸52の中空部に配置された配管53と接続されており、ガス供給ユニット10から圧送されてくる窒素ガスや不活性ガスなどの雰囲気ガスが配管53および貫通孔25を介して微小空間SPに送られる。しかも、基板対向面24はその周縁に向かう方向Rに進むにしたがって基板Sに近接しているため、貫通孔25を介して圧送されてきた雰囲気ガスは微小空間SPの周縁付近で圧縮されて圧力が上昇する。その結果、微小空間SPはミスト飛散雰囲気よりも陽圧となり、基板Sの他方主面S2側へのミスト侵入が効果的に防止される。
【0036】
ここで、微小隙間CLを例えば0.3mm〜0.5mmに設定した場合、種々の実験やコンピュータ・シミュレーションなどによりミスト侵入を防止するために必要な雰囲気ガスの流量を求めたところ、その必要流量は20(リットル/min)以上であった。また、微小隙間CLを例えば0.5mm〜1mmに設定した場合、同流量は100(リットル/min)以上であった。このように、微小隙間CLが広がるのにつれて、雰囲気ガスの流量を高めればよいのであるが、200(リットル/min)以上の雰囲気ガスを供給した場合、基板Sが支持ピン3から浮き上がり、基板姿勢が不安定となってしまう。したがって、最大流量としては200(リットル/min)程度に止める必要があり、それに対応して微小隙間CLを1mm以下に設定する必要がある。
【0037】
一方、微小隙間CLが狭くなると、雰囲気ガスの必要流量は少なくなるのであるが、0.3mm未満に設定すると、毛細管現象によりリンス液が空間SP内に侵入してしまう。したがって、微小隙間CLを0.3mm以上に設定する必要がある。
【0038】
さらに、基板対向面24を上記のように形成したことで微小隙間CLから噴出する雰囲気ガスの流速は高まり、ミストの飛散速度より速くなる。このことはミスト侵入の防止に有利に作用することとなり、基板Sの他方主面S2へのミスト付着の防止をより確実なものとすることができる。
【0039】
ここで、雰囲気遮断部材2の平面サイズを基板Sよりも若干小さく設定している理由について図6を参照しつつ説明する。まず第1には、雰囲気遮断部材2が基板Sよりも大きな平面サイズを有している場合には、水平方向において雰囲気遮断部材2の周縁部が基板Sよりもはみ出してしまい、雰囲気遮断部材2の基板対向面24の一部(傾斜面である周縁領域242)がミスト飛散雰囲気(基板の周囲)に露出することとなる。そのため、リンス処理中に発生するミストが周縁領域242で跳ね返り、基板Sの他方主面(下面)S2側に飛散してしまう。これに対し、雰囲気遮断部材2の平面サイズを基板Sと同一またはそれよりも小さく設定することでミスト飛散雰囲気への基板対向面24の露出がなくなり、上記問題を解消することができる。この観点のみからいえば、雰囲気遮断部材2を基板Sと同一サイズに設定してもよい。
【0040】
しかしながら、基板Sには特殊形状が施されている場合が多く、これを考慮して雰囲気遮断部材2の平面サイズを設定するのが望ましい。例えば基板Sとしての半導体ウエハには、図6に示すように、ウエハ面内の結晶学的基準方位を示すためのノッチNTが形成されている。したがって、雰囲気遮断部材2を基板Sと同一サイズに設定した場合、同図(a)に示すように、ノッチNTを介して雰囲気遮断部材2の基板対向面24の一部(周縁領域242)がミスト飛散雰囲気(基板の周囲)に露出することとなる。そのため、リンス処理中に発生するミストが周縁領域242で跳ね返り、基板Sの他方主面(下面)S2側に飛散してしまう。これに対し、同図(b)に示すように径方向RにおけるノッチNTの幅Wntだけ雰囲気遮断部材2の平面サイズを小さくすると、ミスト飛散雰囲気への基板対向面24の露出がなくなり、上記問題を解消することができる。したがって、この点を考慮すると、雰囲気遮断部材2の平面サイズをノッチNTの幅Wnt以上分だけ基板Sよりも小さく設定するのが好ましい。
【0041】
なお、雰囲気遮断部材2の平面サイズの下限値については、基板Sの他方主面S2の表面状態に応じて設定すればよい。すなわち、他方主面S2のうちミスト付着を確実に防止しなければならない被保護領域は基板中央部分であるため、雰囲気遮断部材2の周縁が被保護領域の外側に位置するという条件を満足する範囲内で平面サイズの下限値を設定することができる。
【0042】
また、基板SのノッチNTの影響を防止するためには、同図(c)に示すように、基板SのノッチNTに対応して雰囲気遮断部材2の周縁にノッチ26を形成するとともに、基板SのノッチNTと雰囲気遮断部材2のノッチ26とが対向するように配置した状態のままリンス処理を実行するように構成してもよい。こうすることで、同図(b)の場合と同様に、ミスト飛散雰囲気への基板対向面24の露出がなくなり、上記問題を解消することができる。
【0043】
さらに、上記したようにリフト機構8のリフタピンスタンド81および支持部82が雰囲気遮断部材2を通過して上昇するため、これを考慮して雰囲気遮断部材2の平面サイズを設定するのが望ましい。例えば雰囲気遮断部材2がリフタピンスタンド81および支持部82の移動経路と干渉しないように、雰囲気遮断部材2の平面サイズを小さく設定することができる。また、一部を切り欠くように形成することができる。
【0044】
次に、支持ピンの構成について図5(a)、図7および図8を参照しつつ説明する。支持ピン3は、図5(a)に示すように、雰囲気遮断部材2の周縁から径方向Rに距離Dr、例えば0mm〜1mmだけ突出して設けられている。そして、基板S側を向いた傾斜支持面31が基板Sの端面と当接することで基板Sを支持している。このように、この実施形態では支持ピン3が本発明の「支持部材」に相当しており、本発明の「接触面」である傾斜支持面31上で基板Sの端面と線接触して微小隙間CLが所定の間隔Dhとなるように基板Sを支持している。
【0045】
また、傾斜支持面31の幅W31は基板Sの端面と接触する線接触部分32の幅W32とほぼ同一となっている。このため、次のような作用効果が得られる。すなわち、図5(a)や図7に示すように支持ピン3の一部が雰囲気遮断部材2の周縁から径方向Rに突出している場合、その傾斜支持面31の一部がミスト飛散雰囲気に露出し、ミストがその露出領域で跳ね返る。ここで、この種の技術分野では、従来、点接触での基板支持が多用されており、例えば図8(a)に示すように点接触で基板Sを支持することも考えられる。しかしながら、この基板支持では、基板Sと支持ピン3との間に隙間が形成されてしまい、傾斜支持面31の露出領域で跳ね返ったミストが隙間を介して基板Sの他方主面(下面)側に侵入してしまうことがある。これに対し、本実施形態では傾斜支持面31の幅W31が線接触部分32の幅W32とほぼ同一となっているため、上記隙間は発生しない。したがって、傾斜支持面31の露出領域で跳ね返ったミストが基板Sの他方主面(下面)側に侵入するのを確実に防止することができる。
【0046】
なお、ここでは基板Sの端面と線接触する方向Qにおける傾斜支持面31の幅Wqが一定値W31(=W32)となるように支持ピン3を構成しているが、支持ピン3の形状についてはこれに限定されるものではなく、幅Wqが基板Sから離れる、つまり径方向Rに進むしたがって減少するように構成してもよく、これによって上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、上記においては、基板Sとの間で隙間を発生させないための支持ピン3の構成について説明したが、保持ピン41A、41Bについても全く同様のことがいえる。すなわち、上記実施形態では図3に示すように円柱状の保持ピン41A、41Bを用いているが、基板Sとの間で隙間を発生させないためには、例えば図9に示すような形状の保持ピンを用いるのが望ましい。すなわち、基板Sの端面と線接触する方向Qにおける保持ピン41の幅Wqが線接触部位49の幅W49と同じ(同図(a))、または基板Sから離れる、つまり径方向Rに進むしたがって減少する(同図(b)〜(d))ように、保持ピン41を構成することができる。なお、本願発明者が種々の実験やコンピュータ・シミュレーションなどを行ったところ、以下の形状・寸法の保持ピンを用いるのが好ましいことがわかった。
【0048】
(1)保持ピン41A、41Bとしてはφ1〜3mmの円柱体を用いるのが好ましい。というのも、直径が3mmを超えると、保持ピン41A、41Bへのリンス液の衝突量が増大してミスト飛散量が多くなる。また。保持ピン41A、41Bと基板Sとの隙間が大きくなり、基板Sの他方主面(下面)側にミストが侵入するからである。一方、直径が1mm未満となると、物理的な強度が不足して基板Sの保持が不安定となるからである。
【0049】
(2)同図(a)の保持ピン41としては基板Sとの線接触部分49の幅W49が1mm〜4mmで、方向Rの長さL41が1mm〜5mmの直方体が好ましい。というのも、幅W49が4mmを超えると、保持ピン41へのリンス液の衝突量が増大してミスト飛散量が多くなるからである。一方、直径が1mm未満となると、物理的な強度が不足して基板Sの保持が不安定となるからである。
【0050】
(3)同図(b)の保持ピン41としては基板Sとの線接触部分49の幅W49が1mm〜4mmで、方向Rの長さL41が1mm〜5mmの半円または半楕円柱体が好ましい。これは上記(2)と同様の理由からである。
【0051】
(4)同図(c)の保持ピン41としては基板Sとの線接触部分49の幅W49が1mm〜4mmで、方向Rの長さL41が1mm〜5mmの三角柱体が好ましい。これは上記(2)と同様の理由からである。
【0052】
(5)同図(d)の保持ピン41としては基板Sとの線接触部分49の幅W49が1mm〜4mmで、方向Rの長さL41が1mm〜5mmの四角柱体が好ましい。これは上記(2)と同様の理由からである。
【0053】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、中央領域241と周縁領域242とからなる基板対向面24を有する雰囲気遮断部材2を用いているが、基板対向面の形状はこれに限定されるものではなく、例えば図10に示すように、その周縁に向かうにしたがって基板に近接する基板対向面24を有する雰囲気遮断部材2を用いることができる。すなわち、同図(a)の雰囲気遮断部材2では、基板Sの略中央部から比較的離れた平面状の中央領域241と、基板Sの周縁部に比較的近接した平面状の周縁領域243とで基板対向面24が形成されている。また、同図(b)の雰囲気遮断部材2では、基板Sの略中央部から比較的離れた平面状の中央領域241と、基板Sの周縁部に比較的近接した傾斜面状の周縁領域244とで基板対向面24が形成されている。さらに、同図(c)の雰囲気遮断部材2では、基板Sの略中央部から比較的離れた平面状の中央領域241と、基板Sの周縁に行くにしたがって急激に基板Sに近接する曲面245とで基板対向面24が形成されている。
【0054】
また、上記実施形態では、基板対向面24の略中央部分を平面状の中央領域241としているが、略中央部においても周縁に向けて徐々に基板Sに近接するように構成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、平板部材21と円環部材22とを締結部材23で締結することで雰囲気遮断部材2を構成しているが、3つ以上の部材により雰囲気遮断部材を構成したり、逆に一の部材により雰囲気遮断部材を構成するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、スピンベース1上に雰囲気遮断部材2を設けているが、スピンベース1を本発明の「雰囲気遮断部材」として機能するように構成してもよい。この場合、スピンベース1の上面が本発明の「基板対向面」に相当することから、この上面がその周縁に向かうにしたがって基板に近接するように構成すればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、基板にリンス液を供給してリンス処理する基板処理装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、基板の一方主面に処理液を供給して所定の基板処理を行う基板処理装置全般に適用することができる。そして、本発明を適用することで基板処理中に発生したミストが基板の他方主面に付着することを効果的に防止して基板処理を良好に行うことができる。特に、超音波振動を印加した処理液を用いる基板処理装置、気体と液体との混合物を処理液として用いる基板処理装置、あるいは高圧処理液を基板の一方主面に供給する基板処理装置などではミスト発生量が比較的多いため、これらの基板処理装置に本発明を適用することは、基板の他方主面へのミスト付着を防止する上で非常に効果的である。
【0058】
また、この発明にかかる基板処理装置を単体で使用してもよいが、他の基板処理を実行する基板処理装置、基板を搬送する搬送ユニットやインデクサ部などと組み合わせて基板処理システムを構築してもよい。その一例として、例えば図11に示す基板処理システムがある。以下、図11および図12を参照しつつ、この発明にかかる基板処理システムの一実施形態について説明する。
【0059】
図11はこの発明にかかる基板処理システムの一実施形態を示す図である。この基板処理システムは、収容容器110に収容されている基板Sを取出し、その基板の裏面(回路が形成されていない面)に対してリンス処理を施した後、再び収容容器110に戻すシステムである。
【0060】
この基板処理システムでは、図11に示すように上手側(図11の左側)にインデクサ部IDが設けられる一方、インデクサ部IDの下手側(図11の右手側)に基板Sの裏面(本発明の「一方主面」に相当)に対してリンス処理を施すプロセス部PPが設けられている。
【0061】
このインデクサ部IDでは、基板Sを収容するための収容容器110が4個X方向に一列で配置されるとともに、その配列方向Xに沿って従来より多用されている基板搬送ロボット120が移動し、一の収容容器110に収容されているリンス処理前の基板Sを取り出してプロセス部PPに搬送したり、プロセス部PPからリンス処理済の基板Sを受け取って収容容器110に収容する。なお以下の説明便宜のために、各図には、上下方向Zと、収容容器110の配列方向Xとに直交する方向を「Y方向」とするXYZ直角座標軸が示されている。
【0062】
インデクサ部IDの(+Y)側に配置されたプロセス部PPでは、その略中央部にセンターロボット200が配置されている。このセンターロボット200については従来より多用されている基板搬送ロボットと同一構成を有するものを用いることができ、本発明の「搬送ユニット」として機能する。また、このセンターロボット200の周囲に、上記実施形態にかかる基板処理装置と同一構成を有する裏面洗浄ユニット300A〜300Dおよび反転ユニット400が配設されている。なお、ここでは、本発明の「処理ユニット」に相当する裏面洗浄ユニット300A〜300Dについての説明は省略する。
【0063】
図12は、図11の基板処理システムに設けられた反転ユニットの構成を示す図であり、同図(a)は反転ユニットを上方より見た平面図であり、同図(b)は同図(a)のD−D線断面図である。この反転ユニット400はセンターロボット200との間で基板Sを受渡すための一対の基板チャック401、401を有している。この基板チャック対401、401は互いに対向して離間配置されている。また、各基板チャック401はロータリーシリンダ402のロッド403の先端部に取付けられており、ロッド403のX方向移動に伴いX方向に移動し、またロッド403の回転動作に伴いロッド403回りに180゜回転する。
【0064】
このため、相互に離間している基板チャック対401、401の間に未処理の基板Sがインデクサ部IDの基板搬送ロボット120とセンターロボット200によって搬送されてくると、両ロッド403が伸長して同図に示すように基板チャック対401、401が基板Sを挟持した後、センターロボット200が退避する。そして、両ロッド403が180゜回転する。これによって、収容容器110からそのままローディングされた状態、つまり回路などが形成された表面(本発明の「他方主面」に相当)S2を上方に向けた状態で搬送されてきた基板Sは反転されてフェースダウン状態となり、基板Sの裏面S1が上方を向いた状態となる。そして、このフェースダウン状態のまま反転ユニット400は基板Sをセンターロボット200に受け渡す。
【0065】
一方、裏面洗浄ユニット300A〜300Dからフェースダウン状態のままセンターロボット200により、リンス処理済の基板Sが反転ユニット400に搬送されてくると、未処理基板Sに対する反転動作と同様にして、リンス処理済基板Sを反転させる。これによって、基板Sはフェースアップ状態、つまり回路などが形成された表面S2を上方に向けた状態に戻る。そして、反転ユニット400はこの基板Sを基板搬送ロボット120に受け渡す。
【0066】
このように構成された基板処理システムに対して、基板表面S2を上方に向けた状態で複数枚の基板Sを収容した収容容器110がAGV(automated guided vehicle)等の運搬装置によりインデクサ部IDに搬送されてくると、以下のようにして各基板Sに対して裏面洗浄を行う。ここでは、1枚の基板Sに着目して該システムの動作について説明する。
【0067】
まず、基板搬送ロボット120が収容容器110からフェースアップ状態のまま基板Sを取出し、センターロボット200に受け渡した後、このセンターロボット200が基板Sを反転ユニット400に搬送する(ローディング)。そして、この基板Sを受けた反転ユニット400は、基板Sを反転させた後、フェースダウン状態でセンターロボット200に受け渡す。このセンターロボット200は4つの裏面洗浄ユニット300A〜300Dの一に搬入する。
【0068】
センターロボット200から未処理基板Sを受け取った裏面洗浄ユニットは、上記した実施形態にかかる基板処理装置と同一動作を実行して基板Sの裏面S1をリンス処理する(裏面洗浄)。このとき、上記基板処理装置と同様に、雰囲気遮断部材2により基板Sの表面(他方主面)S2をミスト飛散雰囲気から遮断するとともに、微小空間SPをミスト飛散雰囲気(基板Sの周囲)よりも陽圧にし、しかも微小隙間CLから噴出する雰囲気ガスの流速を高めているので、リンス処理中に発生したミストが基板Sの表面S2に付着するのを効果的に防止することができる。つまり、基板Sの表面S2へのミスト付着を確実に防止しながら、基板Sの裏面S1のみをリンス処理することができ、良好な裏面洗浄を行うことができる。
【0069】
裏面洗浄が完了すると、センターロボット200が処理済の基板Sを受け取り、反転ユニット400に搬送する。そして、この反転ユニット400により基板Sをフェースアップ状態にした後、この基板Sをセンターロボット200が受け取り、さらに基板搬送ロボット120に受け渡した後、この基板搬送ロボット120が収容容器110に戻す(アンローディング)。
【0070】
なお、この実施形態にかかる基板処理システムでは、「処理ユニット」として4つの裏面洗浄ユニット300A〜300Dを装備しているが、その個数や配置などについては任意である。また、基板処理システムとしては、上記実施形態にかかる基板処理装置と同一構成を有する処理ユニットと、該処理ユニットに基板を搬送する搬送ユニットとを少なくとも設けているものであれば、上記作用効果が得られる。したがって、処理ユニットおよび搬送ユニット以外に、他のユニットを追加して基板処理システムを構築するようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、雰囲気遮断部材を基板の他方主面と対向配置することで基板の他方主面を基板周囲のミスト飛散雰囲気から遮断している。また、雰囲気遮断部材と基板とで挟まれた空間に雰囲気ガスを送り込むとともに、基板対向面がその周縁に向かう方向に進むにしたがって基板に近接するように構成しているので、空間の周縁付近で雰囲気ガスを圧縮して圧力が上昇すると同時に、基板周縁と雰囲気遮断部材の周縁との隙間から基板周囲に向けて噴出する雰囲気ガスの流速が高まる。したがって、空間にミストが侵入するのを防止し、それによって基板の他方主面へのミスト付着の防止をより確実なものとすることができる。その結果、基板処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置を上方から見た部分平面図である。
【図3】保持部材の構成を示す図である。
【図4】図1の基板処理装置のリンス動作を示す図である。
【図5】雰囲気遮断部材の周縁付近の構成を示す図である。
【図6】基板のノッチと雰囲気遮断部材との関係を示す図である。
【図7】支持ピンを示す図である。
【図8】支持ピンの傾斜支持面で跳ね返されるミストの飛散状況を示す模式図である。
【図9】保持ピンの変形態様を示す図である。
【図10】雰囲気遮断部材の変形態様を示す図である。
【図11】この発明にかかる基板処理システムの一実施形態を示す図である。
【図12】図11の基板処理システムに設けられた反転ユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
2…雰囲気遮断部材
3…支持ピン(支持部材)
10…ガス供給ユニット
21…平板部材(雰囲気遮断部材)
22…円環部材(雰囲気遮断部材)
24…基板対向面
31…傾斜支持面(接触面)
32…線接触部分
51…モータ(回転手段)
200…センターロボット(搬送ユニット)
241…(基板対向面の)中央領域
242…(基板対向面の)周縁領域
300A〜300D…裏面洗浄ユニット(処理ユニット)
400…反転ユニット
CL…微小隙間
Q…(線接触)方向
R…(径)方向
S1…(基板の)一方主面
S2…(基板の)他方主面
S…基板
SP…微小空間
Claims (11)
- 基板の一方主面に処理液を供給して該一方主面に対して所定の基板処理を施す基板処理装置において、
前記基板の他方主面に対向させながら前記基板から離間配置された雰囲気遮断部材と、
前記雰囲気遮断部材と前記基板との間に形成される空間に雰囲気ガスを供給するガス供給ユニットとを備え、
前記雰囲気遮断部材のうち前記基板の他方主面と対向する基板対向面はその周縁に向かうにしたがって前記基板に近接していることを特徴とする基板処理装置。 - 前記処理液が供給された前記基板を回転させる回転手段をさらに備える請求項1記載の基板処理装置。
- 前記回転手段は、前記基板とともに前記雰囲気遮断部材を回転させる請求項2記載の基板処理装置。
- 前記雰囲気遮断部材の周縁に配置され、前記基板の端面と当接して前記基板を支持する少なくとも3つ以上の支持部材をさらに備える請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記支持部材の各々は、前記基板の端面と線接触して前記基板を支持する接触面を有する請求項4記載の基板処理装置。
- 前記接触面の幅が前記線接触部分の幅とほぼ同一である請求項5記載の基板処理装置。
- 前記支持部材の各々は、前記線接触方向における幅が前記基板から離れるにしたがって減少する、あるいは同一である請求項5または6記載の基板処理装置。
- 前記基板対向面のうち、前記基板の略中央部と対向する中央領域は平面であり、前記基板の周縁部と対向する周縁領域は前記基板対向面の周縁に向かうにしたがって前記基板に近接する傾斜面となっている請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記雰囲気遮断部材は、前記基板と同一径、あるいは前記基板よりも小さな径を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の基板処理装置と同一構成を有する処理ユニットと、
前記処理ユニットに対して基板を搬送する搬送ユニットと
を備えることを特徴とする基板処理システム。 - 基板を反転させる反転ユニットをさらに備える請求項10記載の基板処理システム。
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