JP2004118103A - 透明表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶パネルに新たな表示を書き込む際には、時間Tp1,Tp2において行電極を線順次走査し、選択した行電極を電圧Vrに設定し、また全ての列電極を−Vcに設定する。選択された行の液晶にはVr+Vcの電圧が印加される。プレナー状態にするための電圧を全画素の液晶に印加した後に、時間Td1,Td2において、線順次走査によって新たな表示を書き込む。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも表示部の一部が透明状態を呈するメモリ性液晶層を含む透明表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、TN、STN、TFT液晶表示素子が広く使用されている。これらの液晶表示素子は、所定の駆動を常時行って表示を行う。これに対し、メモリ性の動作モードを有するコレステリックまたはカイラルネマチック液晶等のメモリ性液晶が注目され、それを備えた液晶表示装置の実用化が検討されている。
【0003】
一対の平行基板間に挟持されたメモリ性液晶は、その液晶ディレクタが一定周期でねじれた「ねじれ構造」を有する。そのねじれの中心軸(以下、ヘリカル軸という。)が基板に対して平均的に垂直方向になる配列が存在する。
【0004】
複数の液晶ドメインの各ヘリカル軸の平均的な方向が基板面に対してほぼ垂直となる状態をプレナー状態という。プレナー状態では、入射光のうちの、液晶層のねじれの向きに対応した円偏光を選択反射する。選択反射される波長λは、液晶組成物の平均屈折率nAVGと液晶組成物のピッチpの積にほぼ等しい(λ=nAVG・p)。
【0005】
ピッチpは、カイラル剤等の光学活性物質の添加量cと光学活性物質の定数HTP(Helical Twisting Power)から、p=1/(c・HTP)によって決まる。したがって、選択反射波長は、光学活性物質の種類と添加量によって調整できる。メモリ性液晶の選択反射波長を可視域外となるようにピッチを設定すれば、選択反射時に特定の色を反射することはなくなるが、液晶の複数のドメインのヘリカル軸が平均的にはほぼ基板に対して垂直な方向を向いているものの僅かづつ異なっているために、その液晶ドメイン間にて入射光の散乱現象が発生し、やや白濁のある透明状態を呈する。
【0006】
選択反射を呈するプレナー状態に対して、複数の液晶ドメインのヘリカル軸が基板面に対してランダム方向または非垂直方向に配列したフォーカルコニック状態をとることもできる。一般的に、フォーカルコニック状態の液晶層は全体として散乱状態を示す。選択反射時のように特定の波長の光を反射することはない。また、フォーカルコニック状態およびプレナー状態は、無電界時でも安定に存在する。よって、選択反射波長を可視域外に設定した場合には、プレナー状態で弱い散乱を含む透明状態、フォ−カルコニック状態で比較的強い散乱状態を示す。
【0007】
また、特許文献1には、ラビング処理が施されたプレチルト角60度以上の樹脂膜に接するようにメモリ性液晶層を設けることにより、液晶ドメイン間のヘリカル軸のばらつきを抑制した完全プレナー状態を発現させる液晶表示素子が開示されている。そして、選択反射波長の一部に赤外光を含むカイラルネマティック液晶素子に上記構成を適用することにより、プレナー状態で従来得ることができなかった高い透明性を呈する、透過−散乱型のメモリ性液晶表示素子を実現することができる。なお、本出願人は、この透過−散乱型のメモリ性液晶表示素子の発明を特願2001−373274号として出願している。このように、プレナー状態において高い透明性を呈する液晶表示装置を透明表示装置と記す。
【0008】
図12(a)は通常のプレナー状態、図12(b)は完全プレナー状態、また、図12(c)はフォーカルコニック状態の模式図であり、鼓型で示す液晶ドメインの配列状態を示す。選択反射波長を可視域外に設定し、図12(b)の完全プレナーとした場合には、非常に透明度の高い透明状態を得ることができ、図12(c)のフォ−カルコニックの散乱状態とのあいだで高い透過−散乱のコントラストを発現させることができる。
【0009】
液晶表示装置のセル構造、液晶材料、駆動法などの基本構成については、非特許文献1や特許文献2〜7に示されている。また、特許文献3は、プレナー状態とフォーカルコニック状態が混在した安定的な中間状態が存在し、表示に利用できることを示している。特許文献8には、透明電極間に液晶を挟持する際、接触面にレシチン、シリコングリース等を塗布することによって、接触面に接する液晶分子を垂直に配向させる液晶装置が記載されている。
【0010】
次に、液晶表示装置の駆動法について説明をする。特許文献2では、駆動電圧の振幅の大きさによって、プレナー状態をフォーカルコニック状態に、またフォーカルコニック状態をプレナー状態にそれぞれ変化させている。後者の場合は、液晶分子が電圧印加方向にほぼ平行になるホメオトロピック状態を経由して起こすので、最も高い電圧が必要とされる。
【0011】
メモリ性液晶では、一連の印加電圧波形の実効値が直接電圧消去後の状態を決定するのではなく、電圧消去後の表示は、直前に印加された電圧パルスの印加時間および振幅値に依存する。
【0012】
次に、液晶表示装置におけるマトリクス表示について説明する。フォーカルコニック状態に転移させる電圧をVFとし、プレナー状態に転移させる下限電圧をVPとし、電圧を印加しても表示状態が変わらない上限電圧をVSとする。
【0013】
線順次駆動を行う場合、行電極に電圧振幅Vrの電圧パルスを入力し、それに同期して列電極には電圧振幅Vcの電圧パルス(選択パルス)を入力する。各行電極に対して1度ずつ選択パルスを入力して、1表示シーケンスを完了する。表示シーケンスにおいて、オン表示が選択された場合には表示画素に(Vr+Vc)の電圧振幅が1度だけ入力され、オン表示の非選択期間では電圧Vcが印加される。また、オフ表示が選択された場合には表示画素に(Vr−Vc)の電圧振幅が1度だけ入力され、オフ表示の非選択期間では電圧Vcが印加される。オン時にはプレナー状態が選択され、オフ時にはフォーカルコニック状態が選択されるとすると、それぞれの条件は以下の通りである。
【0014】
Vr+Vc>VP、Vr−Vc=VF
【0015】
さらに、書き込まれた状態が変化しないように、Vc<VSでなければならない。以上のように印加電圧の制御を行えばマトリクス表示が可能になる。
【0016】
メモリ性液晶表示装置では走査電極数が増加しても、表示データが書き込まれた状態での表示品位は悪化しない。また、電極数が増加しても駆動電圧は増大しない。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−343648号公報(段落0017−0025、第1図)
【0018】
【特許文献2】
米国特許第3936815号明細書
【0019】
【特許文献3】
米国特許第4097127号明細書
【0020】
【特許文献4】
米国特許出願公開第2002/0036614A1明細書
【0021】
【特許文献5】
米国特許出願公開第2002/0047819A1明細書
【0022】
【特許文献6】
米国特許出願公開第2002/0122148A1明細書
【0023】
【特許文献7】
米国特許出願公開第2002/0126229A1明細書
【0024】
【特許文献8】
特公昭53−42264号公報(第2頁、第4図)
【0025】
【非特許文献1】
George H.Heilmeier, Joel E.Goldmacher et al, Appl. Phys. Lett., 13(1968),132
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
メモリ性液晶表示装置では、電圧消去後の表示は、直前に印加された電圧パルスの印加時間および振幅値に依存するので、表示を保持するために常時電圧を印加する必要はないのであるが、長時間放置しておくと、新たな表示データを書き込むときに、それ以前の表示状態が残像として残ってしまう現象が生ずる。このような残像を残さずに、新たな表示データを書き込めることが望ましい。
【0027】
また、行電極および列電極には、それぞれ駆動IC(行ドライバおよび列ドライバ)によって電圧パルスが入力される。駆動ICには、電源形成用IC(液晶電源装置)から必要な電圧が供給される。駆動ICは複数の演算増幅器接続部(以下、オペアンプ接続部と記す。)を有し、駆動ICと液晶電源装置は、可変抵抗および演算増幅器(オペアンプ)を介して接続される。駆動ICの各オペアンプ接続部には所定の電位が設定され、各オペアンプ接続部の電位の高低関係は保たれる必要がある。しかし、液晶表示装置を駆動する際、全行電極を同時に選択し、画面全体のメモリ性液晶に電圧を印加しようとすると、駆動ICを流れる電流が多くなり、駆動ICの負荷が大きくなる。具体的には、各オペアンプ接続部の電位の高低関係が保たれなくなる場合が生じる。多くの電流が流れても各オペアンプ接続部の電位の高低関係が保たれるような駆動ICを実現する場合、駆動ICを大きくする必要が生じたり、消費電力が増加してしまうことが考えられる。また、液晶駆動装置の生産コストも高くなってしまう。また、透明表示体は、表示のバックグラウンドが透明であるために、比較的大きな表示面積の表示体として用いた際にも圧迫感がなく、非表示時には表示体を通してその背景を見ることもできる。そのため、大きな表示体、すなわち電極面積の大きな液晶表示装置となることがあり、その場合には特に大きな電流が流れることが問題となる。
【0028】
また、表示書換時間の短縮化、駆動ICの簡易化、書き換えた表示のコントラストの向上等を図れることが望ましい。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決し、残像を残さずに、また、駆動ICに負荷を与えずに新たな表示を書き込むことができる透明表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様1は、少なくとも2つの安定状態を呈し、かついずれかの1つの安定状態において透明状態を呈するメモリ性液晶層と、複数のコモン電極および複数のセグメント電極を含み、コモン電極を1本ずつ選択するように走査する透明表示装置の駆動方法であって、コモン電極の総数をL、メモリ性液晶層をオン表示にするための電圧をメモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をAt秒、メモリ性液晶層をオン表示にするための電圧を印加する少なくとも1回の走査であり、全てのコモン電極を1本ずつ選択するように行う走査の回数をAn回、メモリ性液晶層をオフ表示にするための電圧をメモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をBt秒、メモリ性液晶層をオフ表示にするための電圧を印加する走査の回数をBn回、表示データに対応する電圧をメモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をWt秒、表示データに対応する電圧をメモリ性液晶層に印加する走査の回数をWn回としたときに、L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)が所定の時間以下となるようにAn、Bn、およびWnを定め、メモリ性液晶層をオン表示にするためのオン電圧を、メモリ性液晶層をオフ表示にするためのオフ電圧よりも高くし、オン電圧をメモリ性液晶層に印加し、次にオフ電圧をメモリ性液晶層に印加し、次に表示データに対応する電圧をメモリ性液晶層に印加することを特徴とする透明表示装置の駆動方法を提供する。
【0031】
本発明の態様2は、At=Bt=Wtを満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、駆動装置を簡易化することができる。
【0032】
本発明の態様3は、An=Bn=Wnを満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、駆動装置を簡易化することができる。
【0033】
本発明の態様4は、Bn=0であってメモリ性液晶層にオフ電圧を印加しない透明表示装置の駆動方法を提供する。
【0034】
本発明の態様5は、Bn=0であってメモリ性液晶層にオフ電圧を印加せず、かつAn≦Wnを満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、駆動装置を簡易化することができる。
【0035】
本発明の態様6は、At≧Wtを満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、コントラストを向上でき、また、動作許容電圧を広げることができる。
【0036】
本発明の態様7は、At≧1.2・Wtを満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、さらにコントラストを向上でき、また、動作許容電圧をさらに広げることができる。
【0037】
本発明の態様8は、Wnが、1または2である透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、表示の書き換え完了までの時間を短縮することができる。
【0038】
本発明の態様9は、メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれる透明表示装置の駆動方法を提供する。
【0039】
本発明の態様10は、入射光が選択反射されて選択反射光が生じせしめられる第1の状態と入射光が散乱せしめられる第2の状態とを呈し、選択反射光に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶がメモリ性液晶層に含まれ、コモン電極とセグメント電極の少なくとも一方の電極上に60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜が設けられた透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、プレナー状態で高い透明性を呈することがきる。
【0040】
本発明の態様11は、樹脂膜にはラビング配向面が設けられ、メモリ性液晶層とラビング配向面とが接するように配置された透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、透明状態における透過率を向上させることができる。
【0041】
本発明の態様12は、入射光が選択反射されて選択反射光が生じせしめられる第1の状態と入射光が散乱せしめられる第2の状態とを呈し、選択反射光に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶がメモリ性液晶層に含まれ、コモン電極とセグメント電極の双方に60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜が設けられた透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、プレナー状態で更に高い透明性を呈することがきる。
【0042】
本発明の態様13は、コモン電極とセグメント電極の双方に設けられた樹脂膜の少なくとも一方の樹脂膜にラビング配向面が設けられ、メモリ性液晶層とラビング配向面とが接するように配置された透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、透明状態における透過率を向上させることができる。
【0043】
本発明の態様14は、メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれ、メモリ性液晶層によって生ずる選択反射光の中心波長が0.7μm以上1.2μm以下である透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、フォ−カルコニック時の散乱性が高く、より高い透過−散乱のコントラストを得ることができる。
【0044】
本発明の態様15は、メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれ、オン電圧をVm(V)とし、メモリ性液晶層の厚みをd(μm)としたときに、Vm/d≦10を満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、駆動装置の消費電力をより小さくすることができる。
【0045】
本発明の態様16は、複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、メモリ性液晶層が透明状態になったときに透過率が50%以上になる透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、表示の背景を透明とした際に表示体裏面の状態を容易に観察することができる。
【0046】
本発明の態様17は、複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、メモリ性液晶層が透明状態になったときに透過率が70%以上になる透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、表示面全面を透明状態とした場合には、通常の板ガラスとほぼ同様な様態となり同様な使用法が可能となる。
【0047】
本発明の態様18は、コモン電極に印加される電圧パルスの電圧振幅をVrとし、セグメント電極に印加される電圧パルスの電圧振幅をVcとしたときに、10≦Vr/Vc≦20を満足する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、透過−散乱表示のコントラストが高く、電圧印加後に表示が完成する応答時間を速くすることができる。
【0048】
本発明の態様19は、複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板のいずれか一方に、コモン電極に電圧を印加するためのコモン電極用回路部品とセグメント電極に電圧を印加するためのセグメント電極用回路部品とを設け、コモン電極用回路部品によってコモン電極に電圧を印加し、セグメント電極用回路部品によってセグメント電極に電圧を印加する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、透明表示パネルと駆動回路とを一定部位に集約して電気接続することができ、透明表示体として設置におけるデザイン的な自由度が高い。
【0049】
本発明の態様20は、コモン電極用回路部品およびセグメント電極用回路部品が設けられていない基板上の電極と、コモン電極用回路部品またはセグメント電極用回路部品とを、導電性微粒子を含むシール材を介して接続する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、透明表示パネルと駆動回路との電気的接続を片側の透明電極付き基板のみで行うことができ、表示体の設置におけるデザイン的な自由度が更に高い。
【0050】
本発明の態様21は、複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、対向する基板の少なくとも一部が透明なシール材を介して接合される透明表示装置を駆動する透明表示装置の駆動方法を提供する。このような駆動方法によれば、表示パネルの周辺部においても透明性が保持され、表示体の設置におけるデザイン的な自由度が更に高い。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の液晶表示装置の模式的断面図を示す。図1に示す液晶表示装置(透明表示装置)は、ガラス基板1A、1B、電極2A、2B、高分子薄膜3A、3B、および液晶組成物(メモリ性液晶)4が配置され、フォーカルコニック状態とプレナー状態を安定に表示する液晶パネルである。電極2A、2Bの一方は行電極(コモン電極)であり、他方は列電極(セグメント電極)である。以下の説明では、電極2Aが列電極であり、電極2Bが行電極であるとする。
【0052】
行電極2Bと列電極2Aの少なくとも一方の電極上に60°以上のプレチルト角を実現する硬化した樹脂膜を形成する。図1に示す高分子薄膜3A、3Bは、プレチルト角60°以上のポリイミドなどの樹脂膜であり、硬化した状態になっている。すなわち、図1に示す例では、行電極2Bと列電極2Aの双方に樹脂膜を形成している。このように、60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜を行電極2Bと列電極2Aの双方に形成することで、プレナー状態での透明性を更に高めることができ、透過−散乱のコントラストを高めることができる。プレチルト角は、樹脂膜に液晶層が接した際に接触面となる面に対する液晶分子の配向角度である。面と液晶分子とが完全に平行になる場合のプレチルト角は0°となる。プレチルト角を80度以上とすることで更に液晶配列を安定化させることもできる。なお、プレチルト角は、電極上に設けられる樹脂層に大きく依存する。
【0053】
60°以上のプレチルト角を実現する硬化した樹脂膜として、例えば、ポリイミド(例えば、JSR株式会社製、品番:JALS−682−R3)を硬化した樹脂膜を使用することができる。また、硬化した樹脂とは、例えば、ガラス転移温度が少なくとも60度以上になっている状態の樹脂である。ガラス転移温度は60度以上になっていればよいが、ガラス転移温度が100度以上であればさらに好ましい。
【0054】
また、行電極2Bや列電極2Aに形成した樹脂膜にラビング処理を施し、ラビング配向面を設けることが好ましい。後述するようにメモリ性液晶4はプレナー状態のときに透明状態を呈する液晶であるが、ラビング処理を施すことによってプレナー状態における透過率を向上させることができ、特に斜め方向から観察した場合における透過率を向上させることができる。ラビング処理は、行電極側の樹脂膜(高分子薄膜3B)と列電極側の樹脂膜(高分子薄膜3B)のうち少なくとも一方に行えばよい。すなわち、高分子薄膜3A、3Bのいずれか一方のみにラビング処理を施してもよいし、双方にラビング処理を施してもよい。また、樹脂膜にラビング処理を施さなくてもよい。ラビング処理を施さなない場合であっても、樹脂膜を設ければ、プレナー状態における透過率は樹脂膜がない場合よりも向上する。
【0055】
列電極2Aと高分子薄膜(樹脂膜)3Aとの間または行電極2Bと高分子薄膜(樹脂膜)3Bとの間に、金属酸化物などによって形成される電気絶縁層を設けてもよい。
【0056】
電極間間隙はスペーサー等で保持し、2〜15μmが好ましい。さらには、3〜6μmが好ましい。電極間隙が小さすぎると表示のコントラスト比が低下し、大きすぎると駆動電圧が上昇し、またプレナー状態での液晶配向に乱れが生じ透明性が若干損なわれることがあるからである。
【0057】
表示の態様は、例えば、ドットマトリックス表示である。コモン電極を走査する表示態様であれば、セグメント表示などの非フルドットマトリックス表示であってもよい。基板は、ガラス基板でも樹脂基板でもよいが、本表示体の特徴を生かすためには透明性のある基板を用いることが好ましい。また、ガラス基板と樹脂基板の組み合わせでもよい。基板は無色のものでも良いが、透明性があれば着色している基板を使用しても良い。
【0058】
電極面内に微量のスペーサーを散布し、対向させた基板の四辺を注入孔を除いてエポキシ樹脂等のシール材で封止し、真空注入によって液晶組成物をセルに満たす。この時、シール材として硬化後に透明なシール材を用いると表示体を透明とした際に周辺部に至るまで透明性を呈することができるので更に好ましい。硬化後に透明なシール材としては、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン−チオール系またはそれらの混合系などが例示できる。シール材の硬化は、熱硬化、光硬化などを使用することができる。
【0059】
メモリ性液晶4は、プレナー状態のときに透明状態を呈する液晶である。メモリ性液晶4として、例えば、入射光が選択反射されて選択反射光が生じるプレナー状態と、入射光が散乱するフォーカルコニック状態とを呈し、選択反射光に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶が用いられる。以下、このようなカイラルネマチック液晶をメモリ性液晶4として用いる場合を例に説明する。
【0060】
このカイラルネマチック液晶の選択反射光の中心波長は、0.7μm以上1.2μm以下であることが好ましい。選択反射光の中心波長がこの範囲内にあれば、フォーカルコニック時の散乱性が高く、より高い透過−散乱のコントラストを得ることができる。また、メモリ性液晶4が透明状態を呈するときに、透明表示装置の透過率が50%以上になることが好ましい。透過率を50%以上にすれば、表示の背景を透明にした際に透明表示装置の裏面の状態を容易に観察することができる。さらには、メモリ性液晶4が透明状態を呈するときに、透明表示装置の透過率が70%以上になることが一層好ましい。透過率を70%以上にすれば、通常の板ガラスとほぼ同様に用いることができる。
【0061】
図2は、透明液晶パネル(透明表示装置)を駆動する駆動装置の構成例を示すブロック図である。コントローラ11は、行ドライバ12に行電極への電圧パルス入力を指示し、列ドライバ13に列電極への電圧パルス入力を指示する。液晶電源装置14は、行ドライバ12および列ドライバ13に必要な電圧を供給する。行ドライバ12および列ドライバ13は、コントローラ11の指示に従い、行電極2Bおよび列電極2Aに電圧パルスを入力する。コントローラ11は、各電極の電位を切り替えて、メモリ性液晶4をプレナー状態やフォーカルコニック状態に移行させる。以下、プレナー状態の透明状態をオン表示、フォーカルコニック状態の光散乱状態をオフ表示と記す。
【0062】
次に、透明液晶パネル100の表示を書き換えるときの動作について説明する。まず、透明表示体駆動装置は、行電極2Bを1本ずつ選択しながら線順次走査し、各画素に配置されたメモリ性液晶4をプレナー状態に移行させるための電圧(オン電圧)を印加する。この電圧が印加されるとメモリ性液晶4はホメオトロピック状態になる。そして、電圧印加が終了するとメモリ性液晶4はプレナー状態に移行し、オン表示(透明状態)となる。ただし、常温の場合、オン電圧を印加した後、オン表示になるまで数秒の時間がかかる。オン電圧を印加しながら行電極2Bを走査しているとき、メモリ性液晶4は弱い散乱状態を呈する。画面全体のメモリ性液晶4をこの弱い散乱状態にすることで、これまで透過状態と散乱状態とで表示されていた画面が消去される。透明表示体駆動装置は、全ての行電極2Bを一本ずつ選択する行電極2Bの走査を少なくとも1回行い、画面全体が弱い散乱状態を呈するようにする。この後、走査を停止すれば、数秒後に画面全体が透明状態になる。しかし、透明状態になるのを待たずに、引き続き、表示データを書き込むための走査を行うことが好ましい。このように、メモリ性液晶をオン表示とするためのオン電圧を印加したとしても、実際にオン表示になるまで待つ必要はない。なお、オン電圧印加後、透明状態になるまでの時間は、低温になるほど長くなる。
【0063】
オン電圧を印加する走査に続いて、透明表示体駆動装置は、行電極2Bを線順次走査して、表示データに対応する電圧を印加する。この結果、所望の表示が書き込まれ、表示の書き換えが完了する。透明表示体駆動装置は、行電極2Bの走査を少なくとも1回行って、表示データを書き込む。
【0064】
メモリ性液晶をオン表示とするための電圧をメモリ性液晶に印加するときの各行電極2Bの選択時間をAt秒とする。また、メモリ性液晶をオン表示とするための電圧をメモリ性液晶に印加するときの走査回数をAn回とする。同様に、表示データに対応する電圧をメモリ性液晶に印加するときの各行電極2Bの選択時間をWt秒とし、表示データに対応する電圧をメモリ性液晶に印加するときの走査回数をWn回とする。
【0065】
図3は、表示書換時の駆動波形の例を示す説明図である。図3は、An=Wn=2である場合の例を示す。すなわち、画面全体のメモリ性液晶にオン電圧を印加するための走査と、表示データを書き込むための走査をそれぞれ2回ずつ行ったときの例を示す。時間Tp1,Tp2は、それぞれオン電圧を印加するための1回目の走査時間と2回目の走査時間を示す。同様に、時間Td1,Td2は表示データを書き込むための1回目の走査時間と2回目の走査時間を示す。
【0066】
図3(a)は一つの行電極2Bに印加される駆動波形の例であり、図3(b)は一つの列電極2Aに印加される駆動波形の例である。図3(a),(b)に示すように、行ドライバ12は選択された行電極2Bに電圧振幅Vrの電圧パルスを入力する。列ドライバ13は、列電極2Aに電圧振幅Vcの電圧パルスを入力する。このとき、既に述べたVr+Vc>VP、Vr−Vc=VF、Vc<VSという条件を満足するようにVrおよびVcを定める。図3(c)は、図3(a),(b)に示す電圧パルスが入力されたときにメモリ性液晶4に印加される電圧の波形を示す。
【0067】
VrおよびVcを定める際には、Vr+Vc>VP、Vr−Vc=VF、Vc<VSという条件だけでなく、10≦Vr/Vc≦20という条件も満足することが好ましい。この条件も満足していれば、透過−散乱表示のコントラストが高く、電圧印加後に表示が完成する応答時間を速くすることができる。また、Vr+Vcはメモリ性液晶をオン表示とするためのオン電圧である。オン電圧であるVr+VcをVm(V)と表し、メモリ性液晶4の厚みをd(μm)としたときに、Vm/d≦10となるようにVrおよびVcを定めることが好ましい。Vm/d≦10という条件が満たされていれば駆動装置の消費電力をより小さくすることができる。
【0068】
時間Tp1において、行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位をVrに設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。時間Tp1では、各行電極2Bの選択時間はAtである。また、列ドライバ13は、時間Tp1の間、全ての列電極2Aの電位を−Vcに設定する。この結果、図3(c)に示すように、選択された行の画素のメモリ性液晶4にはVr+Vcの電圧が印加される。また、選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vcが印加される。電圧Vcが印加されても、画素の表示状態は変化しない。行ドライバ12および列ドライバ13は、時間Tp2における走査でも、同様に電圧を印加する。
【0069】
図4は、表示書換時の画面変化の例を示す説明図である。最初に図4(a)に示す画面が表示されていたとする。時間Tp1において、オン電圧を印加するための1回目の走査を行うと、画面全体のメモリ性液晶が弱い散乱状態になり、図4(b)に示すように、表示が消え始める。時間Tp2において、2回目の走査を行うとさらに表示が消える。なお、1回目の走査または2回目の走査の後、走査を停止すれば数秒で画面全体がオン表示(透明)になる。しかし、ここではオン表示になるまで待つことなく、1回の走査が終了したならば、すぐに次の走査を開始するものとする。
【0070】
時間Td1において、行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位をVrに設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。時間Td1では、各行電極2Bの選択時間はWtである。また、列ドライバ13は、各列電極2Aを、選択された行の表示データに応じてVcまたは−Vcに設定する。この結果、選択された行の各画素のメモリ性液晶4にはVr+VcまたはVr−Vcの電圧が設定される。Vr+Vcの電圧が印加された画素は弱い散乱状態を呈し、電圧印加終了後オン表示になる。また、Vr−Vcの電圧が印加された画素はオフ表示に移行する。各行電極2Bが走査されることにより所望の表示に書き換えられる。なお、選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vcが印加される。電圧Vcが印加されても、画素の表示状態は変化しない。行ドライバ12および列ドライバ13は、時間Td2における走査でも、同様に電圧を印加する。
【0071】
図3では、時間Td1,Td2において、一つの列電極2Aに電圧Vcが連続的に設定される場合を示した。
【0072】
時間Tp2における走査の後、時間Td1および時間Td2において表示データを書き込むための走査を行うと、図4(c)に示すように所望の表示が書き込まれる。時間Td2の後、走査を終了すると、オン電圧を印加した画素が数秒でオン表示になり、図4(d)に示すように表示データの書き込みが完了する。
【0073】
ここでは、オン電圧を印加するための走査と、表示データを書き込むための走査を2回ずつ行う場合(An=Wn=2の場合)を示したが、各走査回数は2回でなくてもよい。例えば、電圧Vr+Vcをより高く設定したり、選択時間Atを長く設定すれば、オン電圧を印加するための走査を1回行うだけで残像を消すことができる。逆に、電圧Vr+Vcをより低く設定したり、選択時間Atを短くすれば、残像を消すための走査回数Anは増加する。
【0074】
表示データを書き込むための走査を行う場合においても、Vr+Vcの電圧をより高く設定したり、選択時間Wtを長く設定すれば、1回の走査で表示データの書き込みを完了することができる。逆に、Vr+Vcの電圧をより低く設定したり、選択時間Wtを短く設定すれば、表示データを書き込むための走査回数Wnは増加する。複数回の走査で表示データを書き込む場合には、1回目の走査後と2回目の走査後のコントラストの差が最も大きく、3回目以降の走査ではコントラストの改善の程度は徐々に減少する。
【0075】
また、An=Wnだけでなく、An≦Wnという関係が成立していてもよい。例えば、At>Wtとすることで、An=1、Wn=2としてもよい。この場合、表示書き替え全体に必要な時間を短くすることもできる。
【0076】
なお、Vr+Vcをより高く設定したり、選択時間Atや選択時間Wtを長く設定すると、走査1回あたりの消費電力は増加する。また、選択時間Atや選択時間Wtを長く設定すれば、1回の走査に要する時間も長くなる。
【0077】
オン表示とするための走査回数Anと、表示データを書き込むための走査回数Wnは、行電極2Bの総数をLとしたときに、L(At・An+Wt・Wn)が所定の時間以内になるように定めることが好ましい。L(At・An+Wt・Wn)は、オン電圧を印加するための走査の開始から、表示データの書き込み終了までの時間である。したがって、L(At・An+Wt・Wn)が所定の時間以内になるという条件を満たすように、AnおよびWnを定めれば、所定時間内に表示データの書き換えを完了することができる。表示データの書き換えを行うオペレータは、書換時間が60秒を超えると、時間がかかりすぎると感じることが多い。そのため、L(At・An+Wt・Wn)が60秒以内になるようにAnおよびWnを定めることが好ましい。特に、表示データを書き込むための走査回数Wnを1回または2回とすれば、表示の書き換え時間をより短縮できる。従って、Wnを1回または2回に定めることが好ましい。
【0078】
オン表示とするための走査および表示データを書き込むための走査において、各行電極2Bの選択時間At,Wtが等しければ、一種類の選択時間を設定すればよいので、コントローラ11、行ドライバ12、および列ドライバ13を簡易化することができる。同様に、走査回数An,Wnを等しくする場合にも、コントローラ11等を簡易化できる。従って、コントローラ11等の簡易化の観点からは、選択時間At,Wtを等しく定めたり、あるいは、走査回数An,Wnを等しく定めることが好ましい。
【0079】
また、At≧Wtとすれば、書き込んだ表示のコントラストを向上させ、また、動作許容電圧を広げることができる。ここで、動作許容電圧について説明する。オン表示とするためにメモリ性液晶に電圧V1を印加することによって、最良のコントラストが得られるとする。しかし、オン表示とするための電圧としてV1から少しずれた電圧を印加しても良好なコントラストを維持できる。電圧V1を中心にして、良好なコントラストを維持できる電圧の幅を動作許容電圧という。コントラストと動作許容電圧の向上の観点からは、At≧Wtとすることが好ましく、特にAt≧1.2・Wtとすることが好ましい。At≧1.5・Wtとすれば、さらにコントラストや動作許容電圧を向上できる。
【0080】
また、画面全体のメモリ性液晶にオン電圧を印加した後に、画面全体をオフ表示(光散乱状態)にしてから表示データを書き込んでもよい。この場合、液晶駆動装置は、オン電圧を印加するための走査を行った後に、行電極2Bを線順次走査し、各画素に配置されたメモリ性液晶4をフォーカルコニック状態(光散乱状態)に移行させる電圧(オフ電圧)を印加する。この線順次走査によって各画素のメモリ性液晶4をフォーカルコニック状態にするので、画面全体がオフ表示となる。
【0081】
図5は、画面全体をオフ表示にしてから表示データを書き込むときの駆動波形の例を示す説明図である。図5(a)は一つの行電極2Bに印加される駆動波形の例であり、図5(b)は一つの列電極2Aに印加される駆動波形の例である。図5(c)は、図5(a),(b)に示す電圧パルスが入力されたときのメモリ性液晶4の印加電圧の波形を示す。図5に示す時間Tp1,Tp2,Td1,Td2における駆動波形は、図3に示す場合と同様である。時間Tf1,Tf2は、それぞれオフ表示とするための1回目の走査時間と2回目の走査時間を示す。
【0082】
メモリ性液晶をオフ表示とするための電圧をメモリ性液晶に印加するときの各行電極2Bの選択時間をBtとする。また、メモリ性液晶をオン表示とするための電圧をメモリ性液晶に印加するときの走査回数をBn回とする。図5は、Bn=2の場合を示している。
【0083】
図5に示す例では、時間Tp1,Tp2においてオン電圧を印加するための走査を2回行う。この時、先に述べたよう、オン表示にするための電圧信号が印加された後、透明表示体が実際に透明状態を呈するの時間を要する場合があるが、その場合にも引き続き以下の電圧印加を行ってよい。続いて、時間Tf1において、行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位をVrに設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。また、列ドライバ13は、時間Tf1の間、全ての列電極2Aの電位をVcに設定する。この結果、図5(c)に示すように、選択された行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vr−Vcが印加され、そのメモリ性液晶4は、フォーカルコニック状態に移行する。すなわち、選択された行の画素はオフ表示に移行する。また、選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vcが印加される。電圧Vcが印加されても、画素の表示状態は変化しない。行ドライバ12および列ドライバ13は、時間Tf2における走査でも、同様に電圧を印加する。
【0084】
時間Tf1,Tf2における走査で、画面全体がオフ表示になる。続いて、時間Td1,Td2における走査で表示を書き込む。
【0085】
オン電圧を印加するための走査を行った後にオフ表示とするための走査を行うと、表示データの書換後のコントラストが向上する。したがって、コントラストを向上させるためには、オフ表示とするための走査を行うことが好ましい。
【0086】
オフ表示とするための走査回数は、2回に限定されない。各行電極2Bの選択時間Btを長く設定すれば、オフ表示とするための走査を1回行うだけで画面全体をオフ表示にすることができる。逆に選択時間Btを短くすれば、画面全体をオフ表示とするための走査回数Bnは増加する。
【0087】
本例の場合、L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)が所定の時間以内になるようにAn、Bn、およびWnを定めることが好ましい。特に、L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)が60秒以内になるようにAn、Bn、およびWnを定めることが好ましい。L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)は、オン電圧を印加するための走査の開始から、表示データの書き込み終了までの時間である。したがって、L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)が60秒以内になるようにAn、Bn、およびWnを定めれば、60秒以内に書き換えを完了することができる。特に、表示データを書き込むための走査回数Wnを1回または2回とすれば、表示の書き換え時間をより短縮できる。従って、Wnを1回または2回に定めることが好ましい。
【0088】
本例においても、選択時間や走査回数を一種類に定めれば、コントローラ11、行ドライバ12、および列ドライバ13を簡易化できる。従って、コントローラ11等の簡易化の観点からは、At,Bt,およびWtを等しく定めたり、あるいは、走査回数An,Bn,およびWnを等しく定めることが好ましい。また、既に説明したようにAn≦Wnという関係が成立していてもよい。
【0089】
また、本例においても、コントラストと動作許容電圧の向上の観点からは、At≧Wtとすることが好ましく、特にAt≧1.2・Wtとすることが好ましい。At≧1.5・Wtとすれば、さらにコントラスト等を向上できる。
【0090】
図3に示すような、画面全体をオン表示とした後に、画面全体をオフ表示にせずに表示データを書き込む駆動方法は、本例においてBn=0とした場合に該当する。
【0091】
上記の各例に示す駆動方法によれば、新たな表示を書き込む前に、全画素をオン表示またはオフ表示にするので、残像を消去することができる。また、全画素をオン表示やオフ表示にするときに、行電極2Bを1本ずつ選択しながら走査するので、行ドライバ12に負荷が生じることがない。
【0092】
上記の各例では、行電極2Bおよび列電極2Aに入力される電圧パルスの電圧振幅がそれぞれVr,Vcで一定である場合を示した。オン電圧を印加するための走査、オフ表示とするための走査、および表示データを書き込むための走査で、これらの電圧振幅を変化させてもよい。
【0093】
例えば、表示データを書き込むための走査では、行電極2Bおよび列電極2Aに対する電圧振幅をそれぞれVr,Vcとして、各画素にVr+VcまたはVr−Vcの電圧を印加するものとする。このとき、オン電圧を印加するための走査では、VrおよびVc以外の電圧振幅でメモリ性液晶にVr+Vcとは異なるオン電圧を印加してもよい。同様に、オフ表示とするための走査でも、Vr,Vc以外の電圧振幅でメモリ性液晶にVr−Vcとは異なる電圧を印加することで画面全体をオフ表示にしてもよい。以下、オン電圧を印加するための走査においてメモリ性液晶に印加される電圧をAvと記し、オフ表示とするための走査においてメモリ性液晶に印加される電圧をBvと記す。
【0094】
ただし、メモリ性液晶をプレナーに移行させるための電圧は、フォーカルコニックに移行させるための電圧よりも高い。したがって、オン電圧である電圧Avは、メモリ性液晶をオフ表示とするための電圧Bvよりも高くする。このように電圧Avを印加した後に、電圧Avより低い電圧Bvを印加して画面全体をオフ表示にすることで、表示データを書き込んだのちに良好なコントラストと動作許容電圧が得られる。
【0095】
なお、上記の各例では、線順次走査を行う場合について説明したが、行電極2Bの走査は線順次走査でなくてもよい。
【0096】
上記の各例において、各走査毎に極性を逆転させながら、メモリ性液晶4に電圧を印加してもよい。すなわち、各走査毎に、行電極2Bの電位と列電極2Aの電位の高低関係を逆転させて電圧を印加してもよい。図6は、オン電圧を印加するための走査において各走査毎に極性を逆転させる場合の駆動波形の例を示す。図6(a),(b)は、それぞれ一つの行電極2B、一つの列電極2Aに印加される駆動波形を示す。図6(c)は、メモリ性液晶4に印加される電圧の波形を示す。図6(c)では、行電極2Bの電位が列電極2Aの電位よりも高く設定された場合の電圧を正として示し、行電極2Bの電位が列電極2Aの電位よりも低く設定された場合の電圧を負として示している。
【0097】
図6に示すように、1回目の走査で選択した行電極2Bの電位をVrとしたならば、次の走査では選択した行電極2Bの電位を−Vrに設定する。一方、列電極2Aの電位は、1回目の走査で−Vcに設定したならば、2回目の走査でVcに設定する。この結果、1回目の走査で選択された行のメモリ性液晶にはVr+Vcが印加され、2回目の走査で選択されたときには−(Vr+Vc)が印加される。このように、極性の逆転を繰り返して電圧を印加してもよい。オフ表示とするための走査や、表示データを書き込むための走査においても、各走査毎に極性を反転させてよい。
【0098】
また、各行電極2Bの選択時間内で極性を反転させてもよい。すなわち、選択時間内で行電極2Bの電位と列電極2Aの電位の高低関係を逆転させながら、電圧を印加してもよい。図7は、オン電圧を印加するための走査において、選択期間内で極性を逆転させる場合の駆動波形の例を示す。図7(a),(b)は、それぞれ一つの行電極2B、一つ列電極2Aの駆動波形である。図7(c)は、メモリ性液晶に印加される電圧の波形である。図7に示すように、選択期間At内で、行電極2Bの電位を、Vr,−Vrに交互に逆転する。また、列電極2Aの電位を、−Vc,Vcに交互に逆転する。この結果、選択された行のメモリ性液晶4には、Vr+Vc,−(Vr+Vc)の電圧が交互に印加される。このように、選択期間内で極性を反転させてもよい。オフ表示とするための走査や、表示データを書き込むための走査においても、同様に極性を反転させてよい。
【0099】
選択期間内で極性を反転させるようにすると、消費電力が増加する。しかし、表示データを書き込むための走査において、選択期間内で極性を反転させると、画面に筋が発生することを防止できる。よって、表示書換時の見映えを向上させるために、表示データを書き込むための走査では、選択期間内で極性を反転させることが好ましい。
【0100】
また、本発明の駆動方法が適用される駆動装置として、行ドライバ(コモン電極に電圧を印加するためのコモン電極用回路部品)と列ドライバ(セグメント電極に電圧を印加するためのセグメント電極用回路部品)を対向する基板1A、1Bのいずれか一方にまとめて配置してもよい。図8は、行電極2Bが設けられるの行電極側の基板1Bに行ドライバおよび列ドライバを配置する場合の基板の構成例を示す模式図である。図8は、対向する基板をメモリ性液晶層4が存在する側から観察したときの状態を表している。
【0101】
行電極側の基板1Bの四辺のうち、各行電極2Bと平行な辺に第一の行ドライバ12a、第二の行ドライバ12bおよび列ドライバ13が設けられる。以下、この辺を接続辺と記す。列ドライバ13は、接続辺の中央付近に配置され、第一の行ドライバ12aおよび第二の行ドライバ12bは列ドライバ13の両側に配置される。図8では、行ドライバを2つ設け、各行ドライバ12a,12bがそれぞれ行電極全体の本数の1/2の本数の行電極に接続される場合の例を示す。接続辺の反対側の辺から並ぶ行電極のうち、奇数番目の各行電極には、第一の行ドライバ12a側の一端から第一の行ドライバ12aに延びる配線が設けられる。そして、奇数番目の行電極と第一の行ドライバ12aはこの配線によって接続され、第一の行ドライバ12aは奇数番目の各行電極の電位を設定する。また、偶数番目の各行電極には、第二の行ドライバ12b側の一端から第二の行ドライバ12bに延びる配線が設けられる。そして、偶数番目の行電極と第二の行ドライバ12bはこの配線によって接続され、第二の行ドライバ12bは奇数番目の各行電極の電位を設定する。
【0102】
このような構成にすると、全体の半数の行電極(奇数番目の各行電極)と第一の行ドライバ12aとを結ぶ各配線は、接続辺に隣接する一方の辺の側に配置される。残りの半数の行電極(偶数番目の各行電極)と第二の行ドライバ12bとを結ぶ各配線は、接続辺に隣接するもう一方の辺の側に配置される。従って、個々の行電極と行ドライバとを結ぶ配線は一カ所に集中せず、接続辺に隣接する二辺に沿うようにして二カ所に分散される。この結果、各行電極2Bの配線の抵抗の均一化を図れる。第一の行ドライバ12a、第二の行ドライバ12bおよび列ドライバ13を同一の種類のICによって実現してもよい。
【0103】
また、行電極側の基板1Bの接続辺以外の三辺にはシール材31が印刷される。このシール材31として、硬化後に透明になるシール材を用いることが好ましい。このようなシール材を用いれば、表示体を透明とした際に接続辺以外の三辺において透明性を確保することができる。
【0104】
列電極側の基板1Aの接続辺には、導電性ビーズ(導電性微粒子)33が混入されたシール材32が印刷される。また、列電極側の基板1Aには、列電極2Aが配置される。各列電極2Aは、接続辺側の一端から導電性ビーズ33に延びる配線が設けられる。行電極の基板1Bには、二枚の基板1A,1Bを対向させたときに導電性ビーズ33と列ドライバ13とを結ぶ配線が設けられる。従って、二枚の基板1A,1Bを対向させると、各列電極2Aと列ドライバ13とは、基板1Aに印刷されたシール材32に混入している導電性ビーズ33を介して接続される。そして、列電極ドライバ13は、各列電極2Aの電位を設定する。
【0105】
なお、図8では、各配線の太さを均一に示したが、第一の行ドライバ12a、第二の行ドライバ12bおよび列ドライバ13に近づくにつれて各配線が細くなるようにしてもよい。例えば、列ドライバ13と各列電極2Aとを接続するための各配線において、行電極側の基板1Bに配置される配線(列ドライバ13と導電性ビーズ33とを結ぶ配線)が、列電極側の基板1Aに配置される配線(導電性ビーズ33と各列電極とを結ぶ配線)よりも細くなってもよい。
【0106】
また、導電性ビーズ33を混入したシール材32は、導電性ビーズ33が存在するため硬化後も透明にならない。このシール材32と、硬化後に透明になるシール材31とを同じ基板に印刷すると、2種類のシール材が混ざり合って本来透明にすべき箇所を透明にできなくなってしまうことがある。そのため、図8に示すように、導電性ビーズ33を混入したシール材32と、硬化後に透明になるシール材31とは、それぞれ異なる基板に印刷される。導電性ビーズ33を混入したシール材32を行電極側の基板1Bの接続辺に印刷し、硬化後に透明になるシール材31を列電極側の基板1Aにおける接続辺以外の三辺に印刷してもよい。
【0107】
図8では、行ドライバおよび列ドライバを行電極側の基板に配置する場合を示したが、列電極側の基板に配置する構成であってもよい。
【0108】
図8に示すように行ドライバおよび列ドライバを一方の基板に配置し、また、導電性ビーズを介して一方の基板の列電極または行電極を他方の基板の列ドライバまたは行ドライバに接続することによって、各電極と各ドライバとを一定部位に集約して電気接続することができる。その結果、透明液晶パネルを透明表示体として設置する際のデザイン的な自由度を高めることができる。
【0109】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
[例1]240本のストライプ状の透明電極を有するガラス基板と、240本のストライプ状の透明電極を有するガラス基板を作成した。各ガラス基板の液晶層と接する側に電気絶縁層として無機薄膜を形成し、ポリイミド(JSR株式会社製、品番:JALS−682−R3)の樹脂溶液を塗布し焼成してラビング処理を施した。この樹脂膜の膜厚は500Åであり、この樹脂膜によって実現されるプレチルト角は89°程度であった。各基板のラビング方向は、それぞれのストライプ電極が交差するように重ね合わせた際、対向するように設定した。その後、下側の基板面に直径4μmの樹脂性のスペーサーを散布した。上側の基板には、注入孔を除く四辺に、幅約0.4mmで透明なエポキシ樹脂を印刷した。上下基板のストライプ電極が交差するようにガラス基板を重ね合わせてエポキシ樹脂を硬化させ空セルを形成した。
【0110】
市販のネマチック液晶(メルク・ジャパン株式会社製「MJ00423」:Tc=94.0℃、Δn=0.230、ε=15.0)の82.2質量部、式1に示すカイラル剤8.9質量部、式2に示すカイラル剤8.9質量部からなるカイラルネマチック液晶A(以下、液晶Aと記す。)を調整した。
【0111】
【化1】
【0112】
【化2】
【0113】
この液晶Aのヘリカルピッチの長さは0.559μmであった。先に作製した空セルに液晶Aを真空注入法で注入し、注入孔を紫外線硬化の封止材で封止して液晶パネルを作製した。この液晶パネルの一部の行電極と一部の列電極とに実効値20V、幅10msecのバイポーラー矩形波パルスを1回だけ印加して10秒間静置したところ、電圧を印加した各電極の交差部は、透明度の高い透明状態を示した。この透明部分の分光反射特性を測定したところ、中心波長約0.91μmの選択反射が観測された。また、透明部分の透過率を集光角約5度のシュリーレン光学系で測定したところガラス基板含め82%であった。従って、選択反射光の中心波長が0.7μm以上1.2μm以下になるという条件を満足することができる。また、メモリ性液晶層が透明状態になったときに透明表示装置の透過率が50%以上(さらに好ましくは70%以上)になるという条件も満足することができる。
【0114】
この液晶パネルでは、240本の透明電極を行電極、240本の透明電極を列電極とし、行ドライバおよび列ドライバをそれぞれ行電極および列電極に接続した。なお、本例では、行ドライバおよび列ドライバを備える駆動装置として、サンウォーター株式会社製の任意波形発生器を使用した。
【0115】
図9は、駆動パラメータの組み合わせの例と、各組あわせにおけるコントラスト等の計測結果を示す。図9に示すように、オン電圧を印加するための走査回数An、メモリ性液晶をオン表示とするための電圧Av、オフ表示とするための走査回数Bn、メモリ性液晶をオフ表示とするための電圧Bv、表示データを書き込むための走査回数Wn、選択時間At,Bt,Wtを変化させて、液晶パネルを駆動した。表示データを書き込むための走査における行電極に対する電圧振幅Vrは17.9Vとし、列電極に対する電圧振幅Vcは1.1Vとした。すなわち、表示を書き込むための走査では、オン表示とするメモリ性液晶にVr+Vc=19Vを印加し、オフ表示とするメモリ性液晶にVr−Vc=16.8Vを印加した。VrとVcとの比(Vr/Vc)は、約16である。従って、10≦Vr/Vc≦20を満足することができる。
【0116】
この各パラメータの組み合わせにおける、表示書換時間および集光角約5度のシュリーレン光学系での透過−散乱のコントラストを計測し、また、表示を書き換えた後に残像が生じているか否かを確認した。計測結果は、図9に示すとおりである。図9に示す各パラメータの組み合わせにおいて、表示書換時間はいずれも60秒以下であった。また、いずれの場合も4以上のコントラストを実現することができ、残像は確認されなかった。透過−散乱表示ではバックグラウンドの透過率が高く、本実施例で作成した液晶パネルの場合、透過率が80%以上になる。従って、コントラストが4以上であれば良好に表示を行える。
【0117】
[比較例1]オン電圧を印加するための走査と、オフ表示とするための走査を行わずに表示を書き換えた。このときのパラメータの組み合わせおよび計測結果を図10に示す。図10に示すように、表示データを書き込むための走査回数Wnを変化させた。また、選択時間Wtは8msとした。この場合、図10に示すように、コントラストは例1の場合よりも低くなったり、また、残像や表示コントラストの表示面内でのムラが確認された。
【0118】
例1と比較例1の結果から、オン電圧を印加するための走査やオフ表示とするための走査を行い、次に表示データを書き込むための走査を行うことで、残像がなく、よりコントラストが高い表示が得られることがわかる。
【0119】
また、電圧Avを19Vとし、電圧Vr+Vcも19Vとなるようにして、液晶パネルを駆動した。このとき、選択時間Wtと選択時間Atの比を変化させて、表示書換後のコントラストおよび動作許容電圧を測定した。選択時間Wtよりも選択時間Atを長くしていくと、コントラストはより向上し、また動作許容電圧はより広がった。
【0120】
次に、本発明の駆動方法により駆動される透明表示装置の使用例について説明する。従来、小売店では、店舗外面に透明な板ガラスを配し、店内が街路より見えるようにする店舗デザインを採用することが多い。その際、店舗内商品の宣伝やセール期間の案内をそのガラス壁面への直接の印刷や広告紙の張り付けなどによって行っていた。そのため、商品の入れ替えやセール期間の終了時には、その印刷の撤去や張り付けた広告紙の交換を毎回行う必要があり、印刷物の更新や印刷の実施などに多大な費用と時間を要することが多かった。
【0121】
本発明の駆動方法により駆動される透明表示装置は、このような透明な店舗外壁の一部やショーウインドまたはショーケースとして用いることができる。図11は、店舗の顧客にその日の天気予報をサービスとして表示する透明表示体を示す。1時間毎透明表示体の表示を書き替えることにより、その日の天気予報をサービスとして顧客に提供するものである。図11に示す画像において、「太陽」、「雲」や時刻の表示等の背景になる部分は透明状態を呈している。図11に示す情報を書き換える場合であっても、新たな表示に「天気予報のアイコン」等の情報が残像として残ることはない。縦20cm、横20cmの大きさの表示を行う場合、例えば、160本の行電極と160本の列電極を用いて、図11に示す表示を書き込むことができる。なお、このときの1画素の大きさは、縦1.25mm、横1.25mmである。
【0122】
下記の表1は、本発明におけるAn,BnおよびWnのようなパラメータのその他の組み合わせを示すものである。
【0123】
【表1】
【0124】
【発明の効果】
本発明の態様1では、残像を残さずに、所定の時間以内で表示を書き換えることができ、また、行ドライバや列ドライバでの負荷発生を防止することができる。また、透過状態と光散乱状態との良好なコントラストで表示を行うことができる。態様2では、At=Bt=Wtとするので駆動装置を簡易化することができる。態様3では、An=Bn=Wnとするので駆動装置を簡易化することができる。
【0125】
態様4のようにBn=0としても、残像を残さずに、所定の時間以内で表示を書き換えることができ、また、行ドライバや列ドライバでの負荷発生を防止することができる。また、態様5では、Bn=0かつAn≦Wnとするので駆動装置を簡易化することができる。
【0126】
態様6では、At≧Wtとするので、コントラストを向上でき、また、動作許容電圧を広げることができる。態様7では、At≧1.2・Wtとするので、よりコントラストを向上でき、より動作許容電圧を広げることができる。態様8では、Wnを1または2とするので、表示の書き換え完了までの時間を短縮することができる。
【0127】
態様9ではカイラルネマティック液晶を用いることで安定したメモリ性の動作を実現でき、態様10により透明時の高い透明性が実現でき、態様12では更に高い透明性を発現できる。態様11,13では、透明状態における透過率を向上させることができ、特に斜め方向から観察した場合における透過率を向上させることができる。
【0128】
態様14により高いコントラストを得ることができ、態様15では駆動電圧を低減できることより消費電力を低減できる。態様16では、透明時の透過率を高くすることで透明表示装置の設置方法の自由度を高くでき、態様17では通常の板ガラスと同様な使用法を提供できる。
【0129】
態様18では行電極と列電極に印加される電圧の比(Vr/Vc)を10〜20とすることで表示完成までの応答時間を短くできる。態様19では回路部品を集約化して搭載できる。態様20により片方のガラス基板のみに回路部品を搭載することができ、透明表示装置の設置方法の自由度を更に高くできる。態様21では表示体端部まで透明状態を保持することで使用法への制限を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メモリ性液晶を用いた液晶パネルの概略構成を示す断面図。
【図2】液晶パネルを駆動する駆動装置の構成例を示すブロック図。
【図3】表示書換時の駆動波形の例を示す説明図。
【図4】表示書換時の画面変化の例を示す説明図。
【図5】表示書換時の駆動波形の例を示す説明図。
【図6】各走査毎の極性の逆転の例を示す説明図。
【図7】選択時間内における極性の逆転の例を示す説明図。
【図8】各ドライバを一方の基板に配置する場合の構成例を示す模式図。
【図9】実施例の設定パラメータおよび測定結果を示す図。
【図10】比較例の設定パラメータおよび測定結果を示す図。
【図11】液晶パネルが表示する情報の例を示す説明図。
【図12】メモリ性液晶の配向状態の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1A,1B ガラス基板
2A,2B 電極
3A,3B 高分子薄膜
4 液晶組成物
11 コントローラ
12 行ドライバ
13 列ドライバ
14 液晶電源装置
Claims (21)
- 少なくとも2つの安定状態を呈し、かついずれかの1つの安定状態において透明状態を呈するメモリ性液晶層と、複数のコモン電極および複数のセグメント電極を含み、コモン電極を1本ずつ選択するように走査する透明表示装置の駆動方法であって、コモン電極の総数をL、前記メモリ性液晶層をオン表示にするための電圧を前記メモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をAt秒、前記メモリ性液晶層をオン表示にするための電圧を印加する少なくとも1回の走査であり、全てのコモン電極を1本ずつ選択するように行う走査の回数をAn回、前記メモリ性液晶層をオフ表示にするための電圧を前記メモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をBt秒、前記メモリ性液晶層をオフ表示にするための電圧を印加する走査の回数をBn回、表示データに対応する電圧を前記メモリ性液晶層に印加するときの各コモン電極の選択期間をWt秒、表示データに対応する電圧を前記メモリ性液晶層に印加する走査の回数をWn回としたときに、L(At・An+Bt・Bn+Wt・Wn)が所定の時間以下となるようにAn、Bn、およびWnを定め、前記メモリ性液晶層をオン表示にするためのオン電圧を、前記メモリ性液晶層をオフ表示にするためのオフ電圧よりも高くし、オン電圧を前記メモリ性液晶層に印加し、次にオフ電圧を前記メモリ性液晶層に印加し、次に表示データに対応する電圧を前記メモリ性液晶層に印加することを特徴とする透明表示装置の駆動方法。
- At=Bt=Wtを満足する請求項1に記載の透明表示装置の駆動方法。
- An=Bn=Wnを満足する請求項1または2に記載の透明表示装置の駆動方法。
- Bn=0であってメモリ性液晶層にオフ電圧を印加しない請求項1または2に記載の透明表示装置の駆動方法。
- Bn=0であってメモリ性液晶層にオフ電圧を印加せず、かつAn≦Wnを満足する請求項1または2に記載の透明表示装置の駆動方法。
- At≧Wtを満足する請求項1、3、4、または5に記載の透明表示装置の駆動方法。
- At≧1.2・Wtを満足する請求項1、3、4、または5に記載の透明表示装置の駆動方法。
- Wnが、1または2である請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の透明表示装置の駆動方法。
- メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 入射光が選択反射されて選択反射光が生じせしめられる第1の状態と入射光が散乱せしめられる第2の状態とを呈し、選択反射光に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶がメモリ性液晶層に含まれ、
コモン電極とセグメント電極の少なくとも一方の電極上に60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜が設けられた透明表示装置を駆動する
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。 - 樹脂膜にはラビング配向面が設けられ、メモリ性液晶層と前記ラビング配向面とが接するように配置された透明表示装置を駆動する請求項10に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 入射光が選択反射されて選択反射光が生じせしめられる第1の状態と入射光が散乱せしめられる第2の状態とを呈し、選択反射光に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶がメモリ性液晶層に含まれ、
コモン電極とセグメント電極の双方に60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜が設けられた透明表示装置を駆動する
請求項1〜10のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。 - コモン電極とセグメント電極の双方に設けられた樹脂膜の少なくとも一方の樹脂膜にラビング配向面が設けられ、メモリ性液晶層と前記ラビング配向面とが接するように配置された透明表示装置を駆動する請求項11に記載の透明表示装置の駆動方法。
- メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれ、メモリ性液晶層によって生ずる選択反射光の中心波長が0.7μm以上1.2μm以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- メモリ性液晶層にカイラルネマチック液晶が含まれ、オン電圧をVm(V)とし、メモリ性液晶層の厚みをd(μm)としたときに、Vm/d≦10を満足する請求項1〜14のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、メモリ性液晶層が透明状態になったときに透過率が50%以上になる透明表示装置を駆動する請求項1〜15のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、メモリ性液晶層が透明状態になったときに透過率が70%以上になる透明表示装置を駆動する請求項1〜15のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- コモン電極に印加される電圧パルスの電圧振幅をVrとし、セグメント電極に印加される電圧パルスの電圧振幅をVcとしたときに、10≦Vr/Vc≦20を満足する請求項1〜17のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板のいずれか一方に、コモン電極に電圧を印加するためのコモン電極用回路部品とセグメント電極に電圧を印加するためのセグメント電極用回路部品とを設け、
前記コモン電極用回路部品によってコモン電極に電圧を印加し、前記セグメント電極用回路部品によってセグメント電極に電圧を印加する
請求項1〜18のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。 - コモン電極用回路部品およびセグメント電極用回路部品が設けられていない基板上の電極と、コモン電極用回路部品またはセグメント電極用回路部品とを、導電性微粒子を含むシール材を介して接続する請求項19に記載の透明表示装置の駆動方法。
- 複数のコモン電極が設けられた基板と複数のセグメント電極が設けられた基板との間にメモリ性液晶層を挟持し、対向する基板の少なくとも一部が透明なシール材を介して接合される透明表示装置を駆動する請求項1〜20のいずれか1項に記載の透明表示装置の駆動方法。
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