JP2004117290A - 周期性パターンの検査方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】周期性パターンの不均一性を迅速且つ高精度に検査可能にする。
【解決手段】周期性パターンを有する対象物Wをエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する際、第1エリアセンサカメラ16Aの光学系を、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して、該カメラにより第1製品画像を撮像し、第2エリアセンサカメラ16Bの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、同カメラにより第2製品画像を撮像し、前記第1製品画像から前記第2製品画像を減算して強調画像を作成し、該強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出する。
【選択図】 図3
【解決手段】周期性パターンを有する対象物Wをエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する際、第1エリアセンサカメラ16Aの光学系を、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して、該カメラにより第1製品画像を撮像し、第2エリアセンサカメラ16Bの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、同カメラにより第2製品画像を撮像し、前記第1製品画像から前記第2製品画像を減算して強調画像を作成し、該強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色ムラ欠陥検査方法及び装置、特にカラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスクや液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ等の、基板に周期性パターンが形成されている製品における、該パターンの均一性の乱れに起因する色ムラ欠陥を検出する際に適用して好適な、色ムラ欠陥検査方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単位となる微小な開口(パターン)が繰り返し配列された周期性パターンが形成されている工業製品としては、カラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスクや液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ等がある。このような工業製品では、形成されている周期開口が均一であることが重要であることから、その周期性パターンの均一性を、その乱れに起因する色(輝度)ムラが生じているか否かにより検査することが行われている。
【0003】
このようなシャドウマスクやカラーフィルタ等に形成されている周期性開口パターンを検査する技術としては、対象物をCCDカメラや撮像管等の画像入力装置(撮像手段)により撮像し、得られた検査対象画像を画像処理することにより、その色ムラ欠陥を検出するものが、例えば特開平6−229736に提案されている。
【0004】
図12は、このような色ムラ欠陥検査に適用される検査装置の要部を示した概略正面図である。この検査装置は、対象物位置固定部10上に載置された対象物Wの裏側に、光源12から拡散板14とこれに積層された拡散シート14Aを介して照明光を照射すると共に、該試料Wの表面側で透過光を撮像するCCDカメラ16と、該カメラ16により入力される画像データを処理するデータ処理部等(後述する)を備えている。なお、この図12で、18は筐体、20はカメラカバーである。
【0005】
図13に示すように、前記検査装置の全体は、装置制御部22、データ入力部24、データ処理部26、ヒューマンインターフェイス部28、マシンインターフェイス部30の5つのサブシステムから構成されている。
【0006】
装置制御部22は、装置各部の動作全体を管理/制御する機能を有するもので、専用装置、汎用シーケンサ、パーソナルコンピュータ等が利用できる。
【0007】
データ入力部24は、対象物を撮像して画像データを入力する機能を有し、以下の(1)センサ、(2)センサコントローラ、(3)光源、(4)光源コントローラ、(5)対象物位置固定部の各機能部から構成されている。
【0008】
(1)センサは、対象物を撮像して画像データに変換する機能を有する。ここで利用可能なイメージセンサとしては、前記CCDエリアセンサカメラの他に、CMOSエリアセンサカメラや撮像管等がある。
【0009】
(2)センサ(カメラ)コントローラは、上記センサへ電源を供給したり、トリガ信号、シャッタースピード、ゲイン、オフセット等の制御信号を供給したりする機能を有している。
【0010】
(3)光源は、撮像時に対象物に、透過照明や同軸落射照明等の照明を当てる機能を有する。光源としては、蛍光灯、ハロゲンランプ、ナトリウムランプ、ストロボ光源、LED光源等を利用できる。
【0011】
(4)光源コントローラは、光源を点灯するための電源であり、光源の光量をフォトダイオード等のセンサで検出し、光量を調整する機能を有する。
【0012】
(5)対象物位置固定部は、対象物を位置決めテーブルにおいて所定の位置で保持する機能を有する。
【0013】
データ処理部26は、撮像した画像から画像処理によりムラの可視化/検査を行なう機能を有し、以下の(1)画像処理部、(2)データ管理部の2つの機能部から構成されている。
【0014】
(1)画像処理部は、撮像した画像データを検査するために画像処理するもので、専用画像処理装置、パーソナルコンピュータ等を利用できる。
【0015】
(2)データ管理部は、可視化/検査した結果データや入力した画像データ、あるいは処理途中のデータを保管する機能を有し、人間(オペレータ)からの求めに応じて、保管してあるデータの検索、開示が可能であり、長期保管にはハードディスクドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等の補助記録装置を使用する。
【0016】
ヒューマンインターフェイス部28は、人間(オペレータ)が装置を操作するためのインターフェイスを提供するもので、以下の(1)情報表示部、(2)対人操作部の2つの機能部から構成されている。
【0017】
(1)情報表示部は、検査進行状況、検査結果、集計結果、過去の検査結果の履歴を表示したり、撮像した画像や処理途中の画像あるいは処理後の画像を表示することにより、オペレータに情報の提供を行なうもので、CRTモニタ、液晶モニタ、LEDアレイ等が利用できる。
【0018】
(2)対人操作部は、装置稼動に不可欠な情報について、オペレータからの入力操作を受け付けるもので、入力される情報としては、例えば対象物の特徴(サイズ、可視化/検査を行なう領域の座標等)、画像入力における設定値(シャッタースピード、照明の明るさ等)、可視化/検査における画像処理の設定値(2値化の閾値等)がある。ここでの情報入力には機械式ボタン、タッチパネル、キーボード、マウス等が利用できる。
【0019】
マシンインターフェイス部30は、対象物のハンドリング及び外部機器との情報交換を行なうための機能を有し、以下の(1)機械連動部、(2)供給排出部の2つの機能部から構成されている。
【0020】
(1)機械連動部は、外部の装置から、例えば対象物の特徴(サイズ等)、自動運転時における外部機器との連動命令(画像入力部への検査対象の供給終了タイミング等)の情報を入手したり、外部の装置への情報、例えば測定・検査結果の出力、装置の稼動実績や、自動運転時において測定・検査結果に基づいた物流装置への命令(対象物の選別振分け指示、装置への供給停止等)の情報を出力したりする。
【0021】
各機器間の情報交換には、例えばLAN(イーサーネット)、RS−232C、RS−422、GPIB(IEEE488)、IEEE1394、パラレルI/O、リレーを利用できる。
【0022】
(2)供給排出部は、外部の装置からデータ入力部を構成する対象物位置固定部への対象物の受け渡しを行なうもので、外部装置としては、前後工程の加工機、対象物専用のストッカがある。又、供給・排出には磁気吸着ハンド、真空吸着ハンド等を利用できる。
【0023】
前記検査装置において、CCDカメラ16を用いて試料(被検査物)Wを撮像し、得られた画像データを画像処理することによって、該試料Wに形成されている周期性パターンの色ムラの有無を検査することが行われる。
【0024】
一般に、検査対象となる色ムラは、画像データにおいて微妙な階調の変化として表われる。そのため、検査対象画像の画像データをそのまま単純な2値化処理しただけでは、色ムラの有無が判定できない。そこで、従来は、検査対象画像の色ムラを強調するために画像データの強調処理を行い、その後該処理により色ムラが強調された画像に対して、単純な2値化処理を行って色ムラの有無を判定し、色ムラ欠陥の検出を行っている。
【0025】
ここで実行される上記強調処理は、微分フィルタ等の空間フィルタを用いて画像データをフィルタリング処理することにより実現できる。その際、検出しようとする色のムラの形状を想定し、予めそれぞれの形状毎にフィルタの形状を設定しておくことにより、検出性能を高めることができる。図14には、この強調処理の特徴を概念的に示した。
【0026】
図14(A)は、画像入力された縦Im画素、横In画素の大きさからなる検査対象の製品画像を表し、便宜上白い色で示した領域は有効部(検査対象となる領域)Ipと、その外側周囲に網点を付した領域で示した無効部(検査対象とならない領域)Iqとで構成されている。
【0027】
上記有効部Ipに存在する色ムラを強調する際、例えば同図(B)にイメージを示したような強調処理用の空間フィルタを該有効部Ipに適用する。このフィルタは、縦2Km+1、横2Kn+1の各要素(画素)の大きさからなる2次微分フィルタであり、図15にはKm=3、Kn=2の場合の具体例を示した。
【0028】
このフィルタを使用する強調処理(フィルタリング処理)は、有効部Ip全体の各画素に対して該フィルタの各要素の数値を対応する画素の階調値に乗算し、その合計を中心画素の階調値に置き換える演算を実行することに当たる。
【0029】
ところが、検査対象画像においては、対象が存在する領域である有効部Ipが有限であるため、有効部Ipの外側の無効部Iqに対してフィルタリング処理に必要な縦Km画素、横Kn画素数分の領域を想定し、該領域の画素値を零値(階調値0)に仮定して、係数に負の値を持つ前記微分フィルタによる強調距離を行っている。そのため、このフィルタリング処理による強調処理は、微妙な色ムラを検査するためには効果が高いものの、有効部Ipの境界で画像データが不連続となっているため、図14(C)に二点鎖線で範囲を示すように、該有効部Ipの周縁領域に縦Km画素、横Kn画素の幅にリンギングと呼ばれる歪みRが発生し、この歪みRが発生した領域では正しい検査結果が得られないということになる。
【0030】
その対策として、従来は、上記のような歪みRが発生している範囲を検査対象から除外する処理を行っていた。以下、この除外処理を検査対象がシャドウマスクである場合について詳述する。図16は、この場合の判定画像作成までの処理手順の概略を示し、図17はそれに対応する主な画像処理の段階における画像のイメージを示している。
【0031】
前記図12に示した検査装置において、まずステップ11で、前記CCDカメラ16により試料(シャドウマスク)Wを撮像することにより、試料画像(透過光画像)データを得ると共に、ステップ12で、試料のない状態で光源のみを撮像することにより光源画像データを得る。
【0032】
次いで、ステップ13で、試料画像データを光源画像データで割ることにより、光源13自体に存在するシェーディングに影響されない透過率画像(検査対象画像)を作成する。図17(A)は、この透過率画像のイメージを示したもので、前記図14(A)に相当し、同様にIpは有効部、Iqは無効部である。この透過率画像について説明すると、試料のない状態で撮像した光源画像データをI1、試料を入れて撮像した試料画像データをI、CCDカメラ16の暗電流を表す画像データをI0とすると、試料W上の点の透過率Tは次の(1)式で計算できる。
【0033】
T=(I−I0)/(I1−I0) …(1)
【0034】
ここで、I、I0、I1はそれぞれ対応する位置の画素データであり、この計算を各画素について行うことにより、光源のシェーディングやその変動に影響を受けない透過率画像データを得ることができる。
【0035】
次いで、ステップ14では、上記ステップ13で作成した検査対象画像である透過率画像(データ)を所定の閾値で2値化し、有効部Ipが255、無効部Iqが0の階調値が設定された、それぞれ画素値が1、0の2値化画像からなる図17(B)に示すようなマスク画像を作成する。その一方で、前記ステップ3で作成した透過率画像に対して、微小変動(ノイズ)を除去するために平滑化処理(図示せず)を施し、その後、平滑化した該画像の色ムラを強調するために、ステップ15で前記空間フィルタによる2次微分処理を施し、前記図14(C)に相当する図17(C)に示すような強調画像を作成する。
【0036】
次いで、ステップ16では、前記ステップ14で作成した図17(B)のマスク画像の有効部側(画素値1)を、前記ステップ15で作成された強調画像に生じている歪み(リンギィング)領域Rを覆うことができるように収縮する。即ち、無効部Iqに相当するマスク領域Mを、同図(D)に示すように広げる。その後、ステップ17で、前記図17(C)の強調画像を、同図(D)の収縮されたマスク画像でマスク処理し、同図(E)に示す強調画像のマスキング画像を作成し、該マスキング画像について、次のステップ18で前述したと同様に単純な2値化処理を行って判定画像を作成し、色ムラ欠陥の検査を行う。
【0037】
以上詳述した従来の検査技術によれば、検査範囲がフィルタの次数(大きさ:Km、Kn)によって決まる歪み領域Rにより制限されることになるが、前記空間フィルタを用いるフィルタリング処理によって、色ムラを強調することができることから、色ムラの欠陥検査を有効に行うことができる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の検査技術では、前記フィルタリング処理を画像処理、即ち演算処理で実行しているために時間がかかり、特に検出する対象が大きくなると、それに応じた大きな次数の空間フィルタを使用することになるため、大きくなるに従って演算時間が長くなることから、色ムラ欠陥の検査に時間がかかるという問題がある。
【0039】
又、前述したように光源画像を用いて作成した透過率画像を基に検査する場合には、試料Wの裏面による反射光が拡散板14で再反射されてCCDカメラ16に入力される裏面反射の影響が出るため、検査精度が低下するという問題もある。
【0040】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を迅速に且つ高精度に検査することができる周期性パターンの検査方法及び装置を提供することを課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は、周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査方法において、第1エリアセンサカメラの光学系を、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して、該カメラにより第1製品画像を撮像し、第2エリアセンサカメラの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、同カメラにより第2製品画像を撮像し、第1製品画像から前記第2製品画像を減算して強調画像を作成し、該強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出することにより、前記課題を解決したものである。
【0042】
本発明は、又、周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査装置において、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して第1製品画像を撮像する第1エリアセンサカメラと、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して第2製品画像を撮像する第2エリアセンサカメラと、撮像された前記第1製品画像から、前記第2製品画像を減算して強調画像を作成する強調画像作成手段と、前記強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出する検出手段とを備えたことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0043】
本発明者は、より効果的な検査技術を開発するべく鋭意検討した結果、第1と第2の2台のエリアセンサカメラを用意し、第1エリアセンサカメラの光学系を、検査したい欠陥の大きさに相当する領域(目標寸法)を集光できる(ピントが合う)第1フォーカスに設定し、対象物を撮像して第1製品画像を入力すると共に、第2エリアセンサカメラの光学系を、該第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して同対象物を撮像して第2製品画像を入力し、前者から後者を減算することにより、前記目標寸法に対応するムラが強調された画像、即ち強調画像を効率よく作成できることを知見した。
【0044】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、従来はフィルタリング処理で行っていたために時間がかかっていた色ムラの強調を、2つのエリアセンサカメラに異なるフォーカスをそれぞれ設定して撮像される2つの製品画像間で差分処理するだけで実現できるようにしたので、欠陥のサイズが大きい場合でも、光学的な条件を変えて撮像するだけで強調できるため、色ムラ欠陥を短時間で検査することができる。
【0045】
又、光源画像を用いない、即ち透過率画像を作成せず、透過光像である製品画像間の差分を取っているため、裏面反射の影響を排除できることから、高精度な検査ができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0047】
図1は、本発明に係る一実施形態の周期性パターンの検査装置の要部を示す概略説明図である。
【0048】
本実施形態の検査装置は、対象物Wを垂直上方から撮像するエリアセンサカメラであるCCDカメラ16Aと、該カメラ16Aの光軸に対して直交する方向に配置され、光路上に位置するハーフミラー(透過率50%、反射率50%)32を介して該対象物を撮像するエリアセンサカメラであるCCDカメラ16Bとを備え、前記図13に示した装置制御部22からの指示(制御信号)に従って、カメラコントローラ(フォーカス設定手段)により、これら2台のCCDカメラ16A、16Bの光学系(図示せず)のフォーカスを任意の値に設定変更可能になっていると共に、データ処理部26に含まれる画像処理部が以下に詳述する各機能部をも含んだ構成となっている。これ以外の基本的な機能は、前記図12、13等を用いて説明した従来の検査装置と実質的に同一であるので、同一の符号を使用し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
なお本実施形態では、後述するように第1エリアセンサカメラの光学系を、前記対象物Wの表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定するとともに、第2エリアセンサカメラの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、それぞれ撮像するようになっているが、これは固定されたものでなく、前記2つのCCDカメラ16A、16Bで、第1フォーカスに設定したほうが第1エリアセンサカメラとなり、第2フォーカスに設定した方が第2エリアセンサカメラとなる。
【0050】
本実施形態では、前記データ処理部(画像処理部)26が、図2に示すような構成を有している。即ち、図中画像入力部として示す前記2つのCCDカメラ16A、16Bから順次入力される製品画像を受信する画像受信部42と、該受信部42が受信した製品画像を保存する2つの製品画像用の第1メモリ44、第2メモリ46と、撮像するカメラが変更される毎に前記CCDカメラ16A又は16Bから受信される製品画像を、上記両メモリ44、46のいずれかに交互に上書きするために送信先を切換える第1セレクタ48が設置されている。そして、上記両メモリ44、46のいずれかを選択する第2セレクタ50と、選択されたメモリから入力される製品画像を基にマスク画像を作成するマスク画像作成部52と、作成されたマスク画像を保存するマスク画像メモリ54とが設置されている。
【0051】
上記第2セレクタ50は、後に詳述するが、マスク画像は設定されたフォーカスが小さい方の画像から作成するようになっているので、前記第1、第2メモリ44、46では上書きされる度に保存される製品画像のフォーカスの大小関係が逆転するため、格納されている画像のうちフォーカスの小さい方の画像、即ち第2製品画像をマスク画像作成部52に入力するための切換えを行うようになっている。
【0052】
又、前記第1、第2の両メモリ44、46のいずれから先に画像データを入力するかを選択する第3セレクタ56と、先に入力された第1製品画像から後の第2製品画像を減算して強調画像を作成する強調画像作成部58と、作成された画像データを保存する強調画像メモリ60とが設置されている。上記第3セレクタ56は、強調画像が、フォーカスの大きい方の第1製品画像からフォーカスの小さい方の第2製品画像を減算して作成するようになっていることから、上述したように前記第1、第2メモリ44、46は上書きされる度にフォーカスの大小関係が逆転するので、第1、第2メモリ44、46に格納されている画像を、フォーカスの大小関係を正しい順番にして強調画像作成部58に入力するための切換えを行っている。
【0053】
本実施形態では、上記強調画像メモリ60から入力される強調画像と、前記マスク画像メモリ54から入力されるマスク画像とからマスク済み強調画像を作成するマスク済み強調画像作成部62と、作成された画像データを格納するマスク済み強調画像メモリ64と、該メモリ64から読み出されたマスク済み強調画像の中で正側に強調されている画像データを2値化する正側2値画像作成部66と、逆に負側に強調されている画像データを2値化する負側2値画像作成部68と、それぞれの2値化画像を格納する正側、負側の各2値化画像メモリ70、72と、これら両メモリ70、72から読み出された正側、負側の2値画像から判定画像を作成する判定画像作成部74と、作成された画像データを格納する判定画像メモリ76と、該メモリ76から読み出された判定画像について、その2値化部を判定パラメータメモリ80から入力される判定基準を基に色ムラ欠陥とするか否かの判定を行う判定部78とが設置されている。
【0054】
なお、前記正側2値画像作成部66は、後述するように周期性パターンを構成する開口部の面積が正常値より大きいために白っぽく見える部分を、又、前記負側2値画像作成部68は、逆に開口部の面積が小さいために黒っぽく見える部分を、それぞれ2値化する働きをしている。但し、後述する具体例に示すように、絶対値をとって1つにまとめてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の作用を、図3のフローチャートに従って説明する。
【0056】
まず、検査装置を初期化して、処理に必要なパラメータ等の設定を行ない、前記図1に示したように、光源12の上に配置した対象物Wを、光学系の焦点を第1フォーカスFaに設定したCCDカメラ16Aにより上方から撮像し、その透過光像を第1製品画像Iaとして入力し、それを前記製品画像用第1メモリ44に格納する(ステップ1)。次いで、第1セレクタ48を切換え、光学系の焦点を第2フォーカスFbに設定したCCDカメラ16Bにより撮像し、同様に透過光像を第2製品画像Ibとして入力し、それを前記製品画像用第2メモリ46に格納する。
【0057】
このように、2つの製品画像を撮像する際に設定する第1、第2フォーカスFa、Fbは、図4(A)、(B)にそれぞれ設定1、設定2として概念的に示したように、Fa>Fbの関係にある。但し、ここでは便宜上、両方ともCCDカメラ16Aの場合として示してある。同図(A)に破線で範囲を示したように、CCDカメラ16によって試料Wの全体が撮像できるようになっているが、第1フォーカスFaでは、試料Wの表面で目標寸法Laにピントが合う、即ちこの寸法の範囲を明瞭に撮り込むことができるようになっており、第2フォーカスFbでは、寸法Laより大きなLbにピントが合うようになっている。従って、第2製品画像Ibでは、目標寸法Laの領域に対してはピンボケの状態になっている。
【0058】
次いで、前記強調画像作成部58で、前記第1メモリ44から読み込んだ第1製品画像Iaから、第2メモリ46から読み込んだ第2製品画像Ibを減算して、強調画像(画像間差分画像)Ieを作成する(ステップ3)と共に、前記マスク画像作成部52で第2製品画像Ibを2値化してマスク画像Imを作成し(ステップ4)、前記マスク済み強調画像作成部62で前者Ieと後者ImとのAND処理によりマスク済み強調画像Imeを作成する(ステップ5)。なお、各ステップで作成された画像データは、その都度それぞれ対応するメモリ54〜64に格納される。
【0059】
その後、前記正側、負側の両2値画像作成部66、68で前記マスク済み強調画像メモリ64から読み込んだマスク済み強調画像Imeについて、正側と負側に強調されている画像データをそれぞれ2値化し、正側2値画像Ibp、負側2値画像Ibmを作成し(ステップ6)、前記判定画像作成部74でこれら両画像のOR処理により判定画像Ijを作成し(ステップ7)、前記判定部78で該判定画像Ijに基づいて判定処理を行う(ステップ8)。この判定結果は、前記装置制御部22に出力される。
【0060】
以上のステップ1〜8に従って実行される処理の特徴を、イメージ図を用いて以下に説明する。
【0061】
ここで使用する検査対象物(試料)Wは、そのイメージを図5に示したように、均一な密度のドット(点)からなる正常部に比べて白っぽい色ムラと、黒っぽい色ムラとが存在し、しかもその中には不良として除かなければならない欠陥部と、除かなくてもよい非欠陥部とが混在している。
【0062】
便宜上、前記ステップ4で作成するマスク画像について先に説明する。図6には、(A)の上記検査対象物Wを撮像した(B)の第1製品画像Iaと、(C)の第2製品画像Ib、これらと(D)のマスク画像Imとの関係を概念的に示した。この図6(A)に示したように、上記検査対象物Wは、周期性パターンである検査対象が存在する有効部Ipと、それが存在しない枠部からなる無効部Iqとで形成されている。便宜上、ここでは、前記図14の検査対象画像の場合と同一の符号を使用している。
【0063】
第1製品画像Ia、第2製品画像Ibには、それぞれ周囲に無効部Iqがぼけて撮像されるために検査に適さない不良領域Ingが存在し、これは焦点距離が短くなるほど大きくなるので、第2製品画像Ibの方が広くなっている。そこで、この第2製品画像Ibを、不良領域より大きい輝度の閾値で2値化し、(D)のような2値のマスク画像を作成する。
【0064】
一方、前記図5の検査対象物Wで、SLで示した横方向の1ライン上における輝度のプロファイルを拡大して示すと、図7のようであった。便宜上、この図7では横方向が200画素で、輝度を256階調で表わしてある。なお、このプロファイルデータは、実際の画像データを想定して、スプレッドシート上でそのデータに対してデジタル的に処理を行って作成しており、以下の図8〜図10も同様である。
【0065】
前記第1製品画像Ia、第2製品画像Ibについて同様のプロファイルを作成したものが、それぞれ図8、図9である。そして、前記ステップ3で第1製品画像Iaから第2製品画像Ibを減算して作成する強調画像Ieは、図10のように得られる。但し、ここでは、分かり易くするために、差の絶対値を取ると共に、それを10倍に拡大して示してある。
【0066】
上記強調画像Ieをマスク処理して、それを2値化した画像が図11である。これが、前記ステップ6の2値化を絶対値を取ったImeについて行って作成したステップ7の判定画像Ijに相当する。因みに、この図11では、閾値40で2値化している。なお、第1フォーカスFaに対して設置する第2フォーカスFbの実際の値は、実験的に予め設定しておく。
【0067】
以上の説明では、第1製品画像、第2製品画像として、前記図4(A)、(B)に示した設定1、設定2で得られるIa、Ibを用いる検査処理を示したが、この組合せは任意に変更することができる。従って、更に同図(C)で設定3として併記したLcにピントが合うフォーカスFcと、同図(D)に設定4として併記したLdにピントが合うフォーカスFdを用い、寸法Lbの大きさに対応する欠陥を検査したい場合には、設定2と設定3の条件を採用し、寸法Lcの欠陥を検出したい場合は、設定3と設定4の条件を採用することにより、前記寸法Laより大きな色ムラ欠陥を順次検査することができる。因みに、前者ではFbが第1フォーカス、Fcが第2フォーカスである、即ちCCDカメラ16Bを第1エリアセンサカメラ、CCDカメラ16Aを第2エリアセンサカメラであるとし、後者ではFcが第1フォーカス、Fdが第2フォーカスであるとして処理すると共に、前記図2に示した第1〜第3の各セレクタ48、50、56をそれぞれ適切に切換える。このように第1と第2のエリアセンサカメラの関係を交互に変えることにより、順次大きさの異なる欠陥の検査を行うことができる。
【0068】
以上詳述した本実施形態によれば、フィルタリング処理を行うことなく、色ムラを強調することができるので、周期性パターンの不均一性を迅速に検査することができる。又、フィルタリング処理の一部である積分処理を光学的に行っていることになるので、正確な検査を行なうことができる。又、複数のフォーカスの組合せにより、大きさの異なる欠陥を検出できることから、欠陥のサイズが大きくなっても、実質上同一の時間で処理できるため、短時間で検査することができる。更に、透過率画像のように、光源画像を使用しないため、裏面反射の影響が無いことから、検査精度の向上も図れる。
【0069】
又、エリアセンサカメラを2台使用し、それぞれ第1フォーカス、第2のフォーカスに設定して撮像するようにしたことにより、1台のカメラを使用し、フォーカスの設定を変更しながら撮像する場合に比べ、処理時間を短縮することができる。その上、1台の場合に比べ、フォーカスの切替頻度を減らすことができるため、オートフォーカス機構の故障を低減できる。
【0070】
更に、2台のCCDカメラ16A、16Bを、ハーフミラー32を介して同一対象物を撮像できるように配置したことにより、これらカメラを機械的に移動させる必要がないため、一段と短時間で検査することができる。
【0071】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0072】
例えば、本発明の検査装置の具体的構成は前記実施形態に示したものに限定されない。
【0073】
又、本発明の検査対象物としては、「周期性パターンが形成されている」ものと「表面状態が均一に形成されている」ものがある。「周期性パターンが形成されている」対象物としては、前述したようにカラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスク(SM)やアパーチャグリル(AG)、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ(CF)の他に、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイパネル等があり、又「表面状態が均一に形成されている」対象物としては、表面にコーティングを施したフィルムや、ガラス、プラスチック等がある。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、2台のエリアセンサカメラにそれぞれ所定のフォーカスを設定するという光学的な処理により、任意の大きさの色ムラを強調することができるため、周期性パターンの不均一性を、迅速に且つ高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の検査装置の要部構成を示す説明図
【図2】上記検査装置が備えている画像処理部が有する機能部を示すブロック図
【図3】実施形態の作用を示すフローチャート
【図4】CCDカメラに設定するフォーカスと検査対象物上の寸法との関係を示す説明図
【図5】検査対象物のイメージを示す説明図
【図6】第1、第2製品画像とマスク画像との関係を示す説明図
【図7】検査対象物の透過光画像における1ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図8】第1製品画像における同ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図9】第2製品画像における同ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図10】強調画像における同ライン上の輝度のプロファイルを拡大して示す線図
【図11】上記強調画像を2値化した画像を示す線図
【図12】従来の検査装置の要部構成を示す説明図
【図13】従来の検査装置の全体構成の概略を示すブロック図
【図14】従来の検査対象画像の強調処理を示す説明図
【図15】空間フィルタの一例を示す説明図
【図16】従来の検査装置による処理手順を示すフローチャート
【図17】従来の検査装置による処理途中の画像の特徴を示すイメージ図
【符号の説明】
10…ステージ
12…光源
14…拡散板
14A…拡散シート
16A、16B…CCDカメラ
32…ハーフミラー
W…試料(検査対象)
【発明の属する技術分野】
本発明は、色ムラ欠陥検査方法及び装置、特にカラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスクや液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ等の、基板に周期性パターンが形成されている製品における、該パターンの均一性の乱れに起因する色ムラ欠陥を検出する際に適用して好適な、色ムラ欠陥検査方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単位となる微小な開口(パターン)が繰り返し配列された周期性パターンが形成されている工業製品としては、カラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスクや液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ等がある。このような工業製品では、形成されている周期開口が均一であることが重要であることから、その周期性パターンの均一性を、その乱れに起因する色(輝度)ムラが生じているか否かにより検査することが行われている。
【0003】
このようなシャドウマスクやカラーフィルタ等に形成されている周期性開口パターンを検査する技術としては、対象物をCCDカメラや撮像管等の画像入力装置(撮像手段)により撮像し、得られた検査対象画像を画像処理することにより、その色ムラ欠陥を検出するものが、例えば特開平6−229736に提案されている。
【0004】
図12は、このような色ムラ欠陥検査に適用される検査装置の要部を示した概略正面図である。この検査装置は、対象物位置固定部10上に載置された対象物Wの裏側に、光源12から拡散板14とこれに積層された拡散シート14Aを介して照明光を照射すると共に、該試料Wの表面側で透過光を撮像するCCDカメラ16と、該カメラ16により入力される画像データを処理するデータ処理部等(後述する)を備えている。なお、この図12で、18は筐体、20はカメラカバーである。
【0005】
図13に示すように、前記検査装置の全体は、装置制御部22、データ入力部24、データ処理部26、ヒューマンインターフェイス部28、マシンインターフェイス部30の5つのサブシステムから構成されている。
【0006】
装置制御部22は、装置各部の動作全体を管理/制御する機能を有するもので、専用装置、汎用シーケンサ、パーソナルコンピュータ等が利用できる。
【0007】
データ入力部24は、対象物を撮像して画像データを入力する機能を有し、以下の(1)センサ、(2)センサコントローラ、(3)光源、(4)光源コントローラ、(5)対象物位置固定部の各機能部から構成されている。
【0008】
(1)センサは、対象物を撮像して画像データに変換する機能を有する。ここで利用可能なイメージセンサとしては、前記CCDエリアセンサカメラの他に、CMOSエリアセンサカメラや撮像管等がある。
【0009】
(2)センサ(カメラ)コントローラは、上記センサへ電源を供給したり、トリガ信号、シャッタースピード、ゲイン、オフセット等の制御信号を供給したりする機能を有している。
【0010】
(3)光源は、撮像時に対象物に、透過照明や同軸落射照明等の照明を当てる機能を有する。光源としては、蛍光灯、ハロゲンランプ、ナトリウムランプ、ストロボ光源、LED光源等を利用できる。
【0011】
(4)光源コントローラは、光源を点灯するための電源であり、光源の光量をフォトダイオード等のセンサで検出し、光量を調整する機能を有する。
【0012】
(5)対象物位置固定部は、対象物を位置決めテーブルにおいて所定の位置で保持する機能を有する。
【0013】
データ処理部26は、撮像した画像から画像処理によりムラの可視化/検査を行なう機能を有し、以下の(1)画像処理部、(2)データ管理部の2つの機能部から構成されている。
【0014】
(1)画像処理部は、撮像した画像データを検査するために画像処理するもので、専用画像処理装置、パーソナルコンピュータ等を利用できる。
【0015】
(2)データ管理部は、可視化/検査した結果データや入力した画像データ、あるいは処理途中のデータを保管する機能を有し、人間(オペレータ)からの求めに応じて、保管してあるデータの検索、開示が可能であり、長期保管にはハードディスクドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等の補助記録装置を使用する。
【0016】
ヒューマンインターフェイス部28は、人間(オペレータ)が装置を操作するためのインターフェイスを提供するもので、以下の(1)情報表示部、(2)対人操作部の2つの機能部から構成されている。
【0017】
(1)情報表示部は、検査進行状況、検査結果、集計結果、過去の検査結果の履歴を表示したり、撮像した画像や処理途中の画像あるいは処理後の画像を表示することにより、オペレータに情報の提供を行なうもので、CRTモニタ、液晶モニタ、LEDアレイ等が利用できる。
【0018】
(2)対人操作部は、装置稼動に不可欠な情報について、オペレータからの入力操作を受け付けるもので、入力される情報としては、例えば対象物の特徴(サイズ、可視化/検査を行なう領域の座標等)、画像入力における設定値(シャッタースピード、照明の明るさ等)、可視化/検査における画像処理の設定値(2値化の閾値等)がある。ここでの情報入力には機械式ボタン、タッチパネル、キーボード、マウス等が利用できる。
【0019】
マシンインターフェイス部30は、対象物のハンドリング及び外部機器との情報交換を行なうための機能を有し、以下の(1)機械連動部、(2)供給排出部の2つの機能部から構成されている。
【0020】
(1)機械連動部は、外部の装置から、例えば対象物の特徴(サイズ等)、自動運転時における外部機器との連動命令(画像入力部への検査対象の供給終了タイミング等)の情報を入手したり、外部の装置への情報、例えば測定・検査結果の出力、装置の稼動実績や、自動運転時において測定・検査結果に基づいた物流装置への命令(対象物の選別振分け指示、装置への供給停止等)の情報を出力したりする。
【0021】
各機器間の情報交換には、例えばLAN(イーサーネット)、RS−232C、RS−422、GPIB(IEEE488)、IEEE1394、パラレルI/O、リレーを利用できる。
【0022】
(2)供給排出部は、外部の装置からデータ入力部を構成する対象物位置固定部への対象物の受け渡しを行なうもので、外部装置としては、前後工程の加工機、対象物専用のストッカがある。又、供給・排出には磁気吸着ハンド、真空吸着ハンド等を利用できる。
【0023】
前記検査装置において、CCDカメラ16を用いて試料(被検査物)Wを撮像し、得られた画像データを画像処理することによって、該試料Wに形成されている周期性パターンの色ムラの有無を検査することが行われる。
【0024】
一般に、検査対象となる色ムラは、画像データにおいて微妙な階調の変化として表われる。そのため、検査対象画像の画像データをそのまま単純な2値化処理しただけでは、色ムラの有無が判定できない。そこで、従来は、検査対象画像の色ムラを強調するために画像データの強調処理を行い、その後該処理により色ムラが強調された画像に対して、単純な2値化処理を行って色ムラの有無を判定し、色ムラ欠陥の検出を行っている。
【0025】
ここで実行される上記強調処理は、微分フィルタ等の空間フィルタを用いて画像データをフィルタリング処理することにより実現できる。その際、検出しようとする色のムラの形状を想定し、予めそれぞれの形状毎にフィルタの形状を設定しておくことにより、検出性能を高めることができる。図14には、この強調処理の特徴を概念的に示した。
【0026】
図14(A)は、画像入力された縦Im画素、横In画素の大きさからなる検査対象の製品画像を表し、便宜上白い色で示した領域は有効部(検査対象となる領域)Ipと、その外側周囲に網点を付した領域で示した無効部(検査対象とならない領域)Iqとで構成されている。
【0027】
上記有効部Ipに存在する色ムラを強調する際、例えば同図(B)にイメージを示したような強調処理用の空間フィルタを該有効部Ipに適用する。このフィルタは、縦2Km+1、横2Kn+1の各要素(画素)の大きさからなる2次微分フィルタであり、図15にはKm=3、Kn=2の場合の具体例を示した。
【0028】
このフィルタを使用する強調処理(フィルタリング処理)は、有効部Ip全体の各画素に対して該フィルタの各要素の数値を対応する画素の階調値に乗算し、その合計を中心画素の階調値に置き換える演算を実行することに当たる。
【0029】
ところが、検査対象画像においては、対象が存在する領域である有効部Ipが有限であるため、有効部Ipの外側の無効部Iqに対してフィルタリング処理に必要な縦Km画素、横Kn画素数分の領域を想定し、該領域の画素値を零値(階調値0)に仮定して、係数に負の値を持つ前記微分フィルタによる強調距離を行っている。そのため、このフィルタリング処理による強調処理は、微妙な色ムラを検査するためには効果が高いものの、有効部Ipの境界で画像データが不連続となっているため、図14(C)に二点鎖線で範囲を示すように、該有効部Ipの周縁領域に縦Km画素、横Kn画素の幅にリンギングと呼ばれる歪みRが発生し、この歪みRが発生した領域では正しい検査結果が得られないということになる。
【0030】
その対策として、従来は、上記のような歪みRが発生している範囲を検査対象から除外する処理を行っていた。以下、この除外処理を検査対象がシャドウマスクである場合について詳述する。図16は、この場合の判定画像作成までの処理手順の概略を示し、図17はそれに対応する主な画像処理の段階における画像のイメージを示している。
【0031】
前記図12に示した検査装置において、まずステップ11で、前記CCDカメラ16により試料(シャドウマスク)Wを撮像することにより、試料画像(透過光画像)データを得ると共に、ステップ12で、試料のない状態で光源のみを撮像することにより光源画像データを得る。
【0032】
次いで、ステップ13で、試料画像データを光源画像データで割ることにより、光源13自体に存在するシェーディングに影響されない透過率画像(検査対象画像)を作成する。図17(A)は、この透過率画像のイメージを示したもので、前記図14(A)に相当し、同様にIpは有効部、Iqは無効部である。この透過率画像について説明すると、試料のない状態で撮像した光源画像データをI1、試料を入れて撮像した試料画像データをI、CCDカメラ16の暗電流を表す画像データをI0とすると、試料W上の点の透過率Tは次の(1)式で計算できる。
【0033】
T=(I−I0)/(I1−I0) …(1)
【0034】
ここで、I、I0、I1はそれぞれ対応する位置の画素データであり、この計算を各画素について行うことにより、光源のシェーディングやその変動に影響を受けない透過率画像データを得ることができる。
【0035】
次いで、ステップ14では、上記ステップ13で作成した検査対象画像である透過率画像(データ)を所定の閾値で2値化し、有効部Ipが255、無効部Iqが0の階調値が設定された、それぞれ画素値が1、0の2値化画像からなる図17(B)に示すようなマスク画像を作成する。その一方で、前記ステップ3で作成した透過率画像に対して、微小変動(ノイズ)を除去するために平滑化処理(図示せず)を施し、その後、平滑化した該画像の色ムラを強調するために、ステップ15で前記空間フィルタによる2次微分処理を施し、前記図14(C)に相当する図17(C)に示すような強調画像を作成する。
【0036】
次いで、ステップ16では、前記ステップ14で作成した図17(B)のマスク画像の有効部側(画素値1)を、前記ステップ15で作成された強調画像に生じている歪み(リンギィング)領域Rを覆うことができるように収縮する。即ち、無効部Iqに相当するマスク領域Mを、同図(D)に示すように広げる。その後、ステップ17で、前記図17(C)の強調画像を、同図(D)の収縮されたマスク画像でマスク処理し、同図(E)に示す強調画像のマスキング画像を作成し、該マスキング画像について、次のステップ18で前述したと同様に単純な2値化処理を行って判定画像を作成し、色ムラ欠陥の検査を行う。
【0037】
以上詳述した従来の検査技術によれば、検査範囲がフィルタの次数(大きさ:Km、Kn)によって決まる歪み領域Rにより制限されることになるが、前記空間フィルタを用いるフィルタリング処理によって、色ムラを強調することができることから、色ムラの欠陥検査を有効に行うことができる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の検査技術では、前記フィルタリング処理を画像処理、即ち演算処理で実行しているために時間がかかり、特に検出する対象が大きくなると、それに応じた大きな次数の空間フィルタを使用することになるため、大きくなるに従って演算時間が長くなることから、色ムラ欠陥の検査に時間がかかるという問題がある。
【0039】
又、前述したように光源画像を用いて作成した透過率画像を基に検査する場合には、試料Wの裏面による反射光が拡散板14で再反射されてCCDカメラ16に入力される裏面反射の影響が出るため、検査精度が低下するという問題もある。
【0040】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を迅速に且つ高精度に検査することができる周期性パターンの検査方法及び装置を提供することを課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は、周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査方法において、第1エリアセンサカメラの光学系を、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して、該カメラにより第1製品画像を撮像し、第2エリアセンサカメラの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、同カメラにより第2製品画像を撮像し、第1製品画像から前記第2製品画像を減算して強調画像を作成し、該強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出することにより、前記課題を解決したものである。
【0042】
本発明は、又、周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査装置において、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して第1製品画像を撮像する第1エリアセンサカメラと、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して第2製品画像を撮像する第2エリアセンサカメラと、撮像された前記第1製品画像から、前記第2製品画像を減算して強調画像を作成する強調画像作成手段と、前記強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出する検出手段とを備えたことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0043】
本発明者は、より効果的な検査技術を開発するべく鋭意検討した結果、第1と第2の2台のエリアセンサカメラを用意し、第1エリアセンサカメラの光学系を、検査したい欠陥の大きさに相当する領域(目標寸法)を集光できる(ピントが合う)第1フォーカスに設定し、対象物を撮像して第1製品画像を入力すると共に、第2エリアセンサカメラの光学系を、該第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して同対象物を撮像して第2製品画像を入力し、前者から後者を減算することにより、前記目標寸法に対応するムラが強調された画像、即ち強調画像を効率よく作成できることを知見した。
【0044】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、従来はフィルタリング処理で行っていたために時間がかかっていた色ムラの強調を、2つのエリアセンサカメラに異なるフォーカスをそれぞれ設定して撮像される2つの製品画像間で差分処理するだけで実現できるようにしたので、欠陥のサイズが大きい場合でも、光学的な条件を変えて撮像するだけで強調できるため、色ムラ欠陥を短時間で検査することができる。
【0045】
又、光源画像を用いない、即ち透過率画像を作成せず、透過光像である製品画像間の差分を取っているため、裏面反射の影響を排除できることから、高精度な検査ができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0047】
図1は、本発明に係る一実施形態の周期性パターンの検査装置の要部を示す概略説明図である。
【0048】
本実施形態の検査装置は、対象物Wを垂直上方から撮像するエリアセンサカメラであるCCDカメラ16Aと、該カメラ16Aの光軸に対して直交する方向に配置され、光路上に位置するハーフミラー(透過率50%、反射率50%)32を介して該対象物を撮像するエリアセンサカメラであるCCDカメラ16Bとを備え、前記図13に示した装置制御部22からの指示(制御信号)に従って、カメラコントローラ(フォーカス設定手段)により、これら2台のCCDカメラ16A、16Bの光学系(図示せず)のフォーカスを任意の値に設定変更可能になっていると共に、データ処理部26に含まれる画像処理部が以下に詳述する各機能部をも含んだ構成となっている。これ以外の基本的な機能は、前記図12、13等を用いて説明した従来の検査装置と実質的に同一であるので、同一の符号を使用し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
なお本実施形態では、後述するように第1エリアセンサカメラの光学系を、前記対象物Wの表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定するとともに、第2エリアセンサカメラの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、それぞれ撮像するようになっているが、これは固定されたものでなく、前記2つのCCDカメラ16A、16Bで、第1フォーカスに設定したほうが第1エリアセンサカメラとなり、第2フォーカスに設定した方が第2エリアセンサカメラとなる。
【0050】
本実施形態では、前記データ処理部(画像処理部)26が、図2に示すような構成を有している。即ち、図中画像入力部として示す前記2つのCCDカメラ16A、16Bから順次入力される製品画像を受信する画像受信部42と、該受信部42が受信した製品画像を保存する2つの製品画像用の第1メモリ44、第2メモリ46と、撮像するカメラが変更される毎に前記CCDカメラ16A又は16Bから受信される製品画像を、上記両メモリ44、46のいずれかに交互に上書きするために送信先を切換える第1セレクタ48が設置されている。そして、上記両メモリ44、46のいずれかを選択する第2セレクタ50と、選択されたメモリから入力される製品画像を基にマスク画像を作成するマスク画像作成部52と、作成されたマスク画像を保存するマスク画像メモリ54とが設置されている。
【0051】
上記第2セレクタ50は、後に詳述するが、マスク画像は設定されたフォーカスが小さい方の画像から作成するようになっているので、前記第1、第2メモリ44、46では上書きされる度に保存される製品画像のフォーカスの大小関係が逆転するため、格納されている画像のうちフォーカスの小さい方の画像、即ち第2製品画像をマスク画像作成部52に入力するための切換えを行うようになっている。
【0052】
又、前記第1、第2の両メモリ44、46のいずれから先に画像データを入力するかを選択する第3セレクタ56と、先に入力された第1製品画像から後の第2製品画像を減算して強調画像を作成する強調画像作成部58と、作成された画像データを保存する強調画像メモリ60とが設置されている。上記第3セレクタ56は、強調画像が、フォーカスの大きい方の第1製品画像からフォーカスの小さい方の第2製品画像を減算して作成するようになっていることから、上述したように前記第1、第2メモリ44、46は上書きされる度にフォーカスの大小関係が逆転するので、第1、第2メモリ44、46に格納されている画像を、フォーカスの大小関係を正しい順番にして強調画像作成部58に入力するための切換えを行っている。
【0053】
本実施形態では、上記強調画像メモリ60から入力される強調画像と、前記マスク画像メモリ54から入力されるマスク画像とからマスク済み強調画像を作成するマスク済み強調画像作成部62と、作成された画像データを格納するマスク済み強調画像メモリ64と、該メモリ64から読み出されたマスク済み強調画像の中で正側に強調されている画像データを2値化する正側2値画像作成部66と、逆に負側に強調されている画像データを2値化する負側2値画像作成部68と、それぞれの2値化画像を格納する正側、負側の各2値化画像メモリ70、72と、これら両メモリ70、72から読み出された正側、負側の2値画像から判定画像を作成する判定画像作成部74と、作成された画像データを格納する判定画像メモリ76と、該メモリ76から読み出された判定画像について、その2値化部を判定パラメータメモリ80から入力される判定基準を基に色ムラ欠陥とするか否かの判定を行う判定部78とが設置されている。
【0054】
なお、前記正側2値画像作成部66は、後述するように周期性パターンを構成する開口部の面積が正常値より大きいために白っぽく見える部分を、又、前記負側2値画像作成部68は、逆に開口部の面積が小さいために黒っぽく見える部分を、それぞれ2値化する働きをしている。但し、後述する具体例に示すように、絶対値をとって1つにまとめてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の作用を、図3のフローチャートに従って説明する。
【0056】
まず、検査装置を初期化して、処理に必要なパラメータ等の設定を行ない、前記図1に示したように、光源12の上に配置した対象物Wを、光学系の焦点を第1フォーカスFaに設定したCCDカメラ16Aにより上方から撮像し、その透過光像を第1製品画像Iaとして入力し、それを前記製品画像用第1メモリ44に格納する(ステップ1)。次いで、第1セレクタ48を切換え、光学系の焦点を第2フォーカスFbに設定したCCDカメラ16Bにより撮像し、同様に透過光像を第2製品画像Ibとして入力し、それを前記製品画像用第2メモリ46に格納する。
【0057】
このように、2つの製品画像を撮像する際に設定する第1、第2フォーカスFa、Fbは、図4(A)、(B)にそれぞれ設定1、設定2として概念的に示したように、Fa>Fbの関係にある。但し、ここでは便宜上、両方ともCCDカメラ16Aの場合として示してある。同図(A)に破線で範囲を示したように、CCDカメラ16によって試料Wの全体が撮像できるようになっているが、第1フォーカスFaでは、試料Wの表面で目標寸法Laにピントが合う、即ちこの寸法の範囲を明瞭に撮り込むことができるようになっており、第2フォーカスFbでは、寸法Laより大きなLbにピントが合うようになっている。従って、第2製品画像Ibでは、目標寸法Laの領域に対してはピンボケの状態になっている。
【0058】
次いで、前記強調画像作成部58で、前記第1メモリ44から読み込んだ第1製品画像Iaから、第2メモリ46から読み込んだ第2製品画像Ibを減算して、強調画像(画像間差分画像)Ieを作成する(ステップ3)と共に、前記マスク画像作成部52で第2製品画像Ibを2値化してマスク画像Imを作成し(ステップ4)、前記マスク済み強調画像作成部62で前者Ieと後者ImとのAND処理によりマスク済み強調画像Imeを作成する(ステップ5)。なお、各ステップで作成された画像データは、その都度それぞれ対応するメモリ54〜64に格納される。
【0059】
その後、前記正側、負側の両2値画像作成部66、68で前記マスク済み強調画像メモリ64から読み込んだマスク済み強調画像Imeについて、正側と負側に強調されている画像データをそれぞれ2値化し、正側2値画像Ibp、負側2値画像Ibmを作成し(ステップ6)、前記判定画像作成部74でこれら両画像のOR処理により判定画像Ijを作成し(ステップ7)、前記判定部78で該判定画像Ijに基づいて判定処理を行う(ステップ8)。この判定結果は、前記装置制御部22に出力される。
【0060】
以上のステップ1〜8に従って実行される処理の特徴を、イメージ図を用いて以下に説明する。
【0061】
ここで使用する検査対象物(試料)Wは、そのイメージを図5に示したように、均一な密度のドット(点)からなる正常部に比べて白っぽい色ムラと、黒っぽい色ムラとが存在し、しかもその中には不良として除かなければならない欠陥部と、除かなくてもよい非欠陥部とが混在している。
【0062】
便宜上、前記ステップ4で作成するマスク画像について先に説明する。図6には、(A)の上記検査対象物Wを撮像した(B)の第1製品画像Iaと、(C)の第2製品画像Ib、これらと(D)のマスク画像Imとの関係を概念的に示した。この図6(A)に示したように、上記検査対象物Wは、周期性パターンである検査対象が存在する有効部Ipと、それが存在しない枠部からなる無効部Iqとで形成されている。便宜上、ここでは、前記図14の検査対象画像の場合と同一の符号を使用している。
【0063】
第1製品画像Ia、第2製品画像Ibには、それぞれ周囲に無効部Iqがぼけて撮像されるために検査に適さない不良領域Ingが存在し、これは焦点距離が短くなるほど大きくなるので、第2製品画像Ibの方が広くなっている。そこで、この第2製品画像Ibを、不良領域より大きい輝度の閾値で2値化し、(D)のような2値のマスク画像を作成する。
【0064】
一方、前記図5の検査対象物Wで、SLで示した横方向の1ライン上における輝度のプロファイルを拡大して示すと、図7のようであった。便宜上、この図7では横方向が200画素で、輝度を256階調で表わしてある。なお、このプロファイルデータは、実際の画像データを想定して、スプレッドシート上でそのデータに対してデジタル的に処理を行って作成しており、以下の図8〜図10も同様である。
【0065】
前記第1製品画像Ia、第2製品画像Ibについて同様のプロファイルを作成したものが、それぞれ図8、図9である。そして、前記ステップ3で第1製品画像Iaから第2製品画像Ibを減算して作成する強調画像Ieは、図10のように得られる。但し、ここでは、分かり易くするために、差の絶対値を取ると共に、それを10倍に拡大して示してある。
【0066】
上記強調画像Ieをマスク処理して、それを2値化した画像が図11である。これが、前記ステップ6の2値化を絶対値を取ったImeについて行って作成したステップ7の判定画像Ijに相当する。因みに、この図11では、閾値40で2値化している。なお、第1フォーカスFaに対して設置する第2フォーカスFbの実際の値は、実験的に予め設定しておく。
【0067】
以上の説明では、第1製品画像、第2製品画像として、前記図4(A)、(B)に示した設定1、設定2で得られるIa、Ibを用いる検査処理を示したが、この組合せは任意に変更することができる。従って、更に同図(C)で設定3として併記したLcにピントが合うフォーカスFcと、同図(D)に設定4として併記したLdにピントが合うフォーカスFdを用い、寸法Lbの大きさに対応する欠陥を検査したい場合には、設定2と設定3の条件を採用し、寸法Lcの欠陥を検出したい場合は、設定3と設定4の条件を採用することにより、前記寸法Laより大きな色ムラ欠陥を順次検査することができる。因みに、前者ではFbが第1フォーカス、Fcが第2フォーカスである、即ちCCDカメラ16Bを第1エリアセンサカメラ、CCDカメラ16Aを第2エリアセンサカメラであるとし、後者ではFcが第1フォーカス、Fdが第2フォーカスであるとして処理すると共に、前記図2に示した第1〜第3の各セレクタ48、50、56をそれぞれ適切に切換える。このように第1と第2のエリアセンサカメラの関係を交互に変えることにより、順次大きさの異なる欠陥の検査を行うことができる。
【0068】
以上詳述した本実施形態によれば、フィルタリング処理を行うことなく、色ムラを強調することができるので、周期性パターンの不均一性を迅速に検査することができる。又、フィルタリング処理の一部である積分処理を光学的に行っていることになるので、正確な検査を行なうことができる。又、複数のフォーカスの組合せにより、大きさの異なる欠陥を検出できることから、欠陥のサイズが大きくなっても、実質上同一の時間で処理できるため、短時間で検査することができる。更に、透過率画像のように、光源画像を使用しないため、裏面反射の影響が無いことから、検査精度の向上も図れる。
【0069】
又、エリアセンサカメラを2台使用し、それぞれ第1フォーカス、第2のフォーカスに設定して撮像するようにしたことにより、1台のカメラを使用し、フォーカスの設定を変更しながら撮像する場合に比べ、処理時間を短縮することができる。その上、1台の場合に比べ、フォーカスの切替頻度を減らすことができるため、オートフォーカス機構の故障を低減できる。
【0070】
更に、2台のCCDカメラ16A、16Bを、ハーフミラー32を介して同一対象物を撮像できるように配置したことにより、これらカメラを機械的に移動させる必要がないため、一段と短時間で検査することができる。
【0071】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0072】
例えば、本発明の検査装置の具体的構成は前記実施形態に示したものに限定されない。
【0073】
又、本発明の検査対象物としては、「周期性パターンが形成されている」ものと「表面状態が均一に形成されている」ものがある。「周期性パターンが形成されている」対象物としては、前述したようにカラーテレビのブラウン管に用いられるシャドウマスク(SM)やアパーチャグリル(AG)、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ(CF)の他に、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイパネル等があり、又「表面状態が均一に形成されている」対象物としては、表面にコーティングを施したフィルムや、ガラス、プラスチック等がある。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、2台のエリアセンサカメラにそれぞれ所定のフォーカスを設定するという光学的な処理により、任意の大きさの色ムラを強調することができるため、周期性パターンの不均一性を、迅速に且つ高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の検査装置の要部構成を示す説明図
【図2】上記検査装置が備えている画像処理部が有する機能部を示すブロック図
【図3】実施形態の作用を示すフローチャート
【図4】CCDカメラに設定するフォーカスと検査対象物上の寸法との関係を示す説明図
【図5】検査対象物のイメージを示す説明図
【図6】第1、第2製品画像とマスク画像との関係を示す説明図
【図7】検査対象物の透過光画像における1ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図8】第1製品画像における同ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図9】第2製品画像における同ライン上の輝度のプロファイルを示す線図
【図10】強調画像における同ライン上の輝度のプロファイルを拡大して示す線図
【図11】上記強調画像を2値化した画像を示す線図
【図12】従来の検査装置の要部構成を示す説明図
【図13】従来の検査装置の全体構成の概略を示すブロック図
【図14】従来の検査対象画像の強調処理を示す説明図
【図15】空間フィルタの一例を示す説明図
【図16】従来の検査装置による処理手順を示すフローチャート
【図17】従来の検査装置による処理途中の画像の特徴を示すイメージ図
【符号の説明】
10…ステージ
12…光源
14…拡散板
14A…拡散シート
16A、16B…CCDカメラ
32…ハーフミラー
W…試料(検査対象)
Claims (9)
- 周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査方法において、
第1エリアセンサカメラの光学系を、前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して、該カメラにより第1製品画像を撮像し、
第2エリアセンサカメラの光学系を、第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して、同カメラにより第2製品画像を撮像し、
第1製品画像から前記第2製品画像を減算して強調画像を作成し、
該強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出することを特徴とする周期性パターンの検査方法。 - 前記第1エリアセンサカメラと第2エリアセンサカメラが、光路上に位置するハーフミラーを介して、同一対象物を撮像可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の周期性パターンの検査方法。
- 前記第2製品画像を所定の閾値で2値化してマスク画像を作成し、該マスク画像により前記強調画像の周辺領域を検査領域から除外したマスク済強調画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の周期性パターンの検査方法。
- 前記マスク済強調画像を、正側と負側にそれぞれ所定の閾値を設定して2値化し、得られた正側及び負側の2値画像からなる判定画像に基づいて色ムラ欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項3に記載の周期性パターンの検査方法。
- 周期性パターンを有する対象物をエリアセンサカメラで撮像し、得られた画像を基に周期性パターンの不均一性に起因する色ムラ欠陥を検査する周期性パターンの検査装置において、
前記対象物の表面で目標寸法にピントが合う第1フォーカスに設定して第1製品画像を撮像する第1エリアセンサカメラと、
第1フォーカスより短い第2フォーカスに設定して第2製品画像を撮像する第2エリアセンサカメラと、
撮像された前記第1製品画像から、前記第2製品画像を減算して強調画像を作成する強調画像作成手段と、
前記強調画像に基づいて前記目標寸法に対応する大きさの色ムラ欠陥を検出する検出手段と、を備えていることを特徴とする周期性パターンの検査装置。 - 前記第1エリアセンサカメラと第2エリアセンサカメラが、光路上に位置するハーフミラーを介して、同一対象物を撮像可能に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の周期性パターンの検査装置。
- 前記第1、第2エリアセンサカメラにより、フォーカスが長い方から順に撮像される製品画像を、交互に格納する2つの製品画像用メモリが設置されているとともに、
これら両メモリから、長いフォーカスで撮像した方を第1製品画像として、短いフォーカスで撮像した方を第2製品画像としてそれぞれ選択し、前記強調画像作成手段に入力するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の周期性パターンの検査装置。 - 前記2つの製品画像用メモリのいずれかから選択した第2製品画像を所定閾値で2値化してマスク画像を作成する手段と、
該マスク画像により前記強調画像の周辺領域を検査領域から除外したマスク済強調画像を作成する手段とが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の周期性パターンの検査装置。 - 前記検出手段が、前記マスク済強調画像を、正側と負側にそれぞれ所定の閾値を設定して2値化する手段と、得られた正側及び負側の2値画像からなる判定画像に基づいて色ムラ欠陥の有無を判定する手段とを有していることを特徴とする請求項8に記載の周期性パターンの検査装置。
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KR101115729B1 (ko) * | 2004-12-22 | 2012-03-07 | 주식회사 포스코 | 선재 표면 결함 검사장치 및 방법 |
JP2012103204A (ja) * | 2010-11-12 | 2012-05-31 | Anritsu Corp | 光ファイバコネクタの端面観察装置および方法 |
JP2013104860A (ja) * | 2011-11-17 | 2013-05-30 | Toray Eng Co Ltd | 自動外観検査装置 |
KR101536909B1 (ko) * | 2013-10-30 | 2015-07-15 | 현대제철 주식회사 | 코일 검사장치 |
JP7413907B2 (ja) | 2020-04-20 | 2024-01-16 | 大日本印刷株式会社 | 光学測定装置および光学測定方法 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002283790A patent/JP2004117290A/ja active Pending
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